●今の私にできること
馴染みのプラネタリウムが閉館寸前になっている。そんな噂を耳にしたのは、本当にただの偶然だった。ここは静かで良い場所だけど、確かに客の入りはいつも少ない。娯楽の選択肢に満ちた現代では、珍しくもない自然な話。けれど、それだけでは寂しいではないかと彼女は思う。
そんな時、最初に思い出したのは、ついこの間開催された、大運動会だった。
「大きな戦いは終わり、世界は救われた。それでもなお、君達ケルベロスは人々に頼られる存在であることに変わりはない」
ケルベロス達の活躍は、今も人々を惹きつけてやまない。
それが根本的な解決にはならないとしても、一度プラネタリウムに足を運んでもらえる、その切っ掛けになれば――。
「――ということで、君達にはドッヂボールをしてもらうよ」
その様子はプラネタリウムで上映させてもらうからね。
いつものネクロオーブの代わりに、何かトゲトゲしたボールを手に持って、五条坂・キララ(ブラックウィザード・en0275)はケルベロス達にそう呼び掛けた。
●流星のように、彗星のように
ということで参加者の募集がかけられたケルベロスドッヂボール。ルールは通常のドッヂボールと同様だが、上映されるプラネタリウムにちなんで、使用するボールとして星を模したものを準備してある。
「平たく言うなら、眩く発光するトゲトゲボールだね」
片手に乗せたボールをぽんぽんと片手で投げて、キララが言う。このトゲトゲボールは当たったらきっと痛いだろうが、ケルベロス達はグラビティ以外ではHPダメージを負わないから平気のはず。
というわけで、大運動会で培った経験と、ケルベロスの能力を適度に活用し、視聴者を沸かせるド派手なドッヂボールを見せてやって欲しい!
「ナイター対応の運動公園を借りておいたからね、撮影というか、試合はそこで行おう。諸君の奮闘と、大活躍を期待しているよ!」
高らかにそう言って、キララは参加者一同を送り出し――。
――ふふふ、私? 私は参加しないよ。
誰も誕生日にトゲトゲボールをぶつけられたいなんて思わないだろう?
えっダメ? 私も参加? 本気?
●夜空の下
「諸君! お集まりいただきありがとう! それでは各々交代しながら試合をしていこうか!」
そう宣言し、キララは例のトゲトゲボールを夜空に掲げた。
いつまでやるのかって? それはもう動画の素材が揃うまでだよ。
●必殺技
「ほなプラネタリウムのためにドッヂボールや! ……って何でやねん!」
誰かが言っておくべきことを、光流が代表して口にする。だがもう仕方が無いのだ。この企画通っちゃったし。
「お星様のPRのために、お星様を体現するのですネ」
「さぁ星を作ったり星になった後星を見ましょう!」
諦めか納得か、エトヴァとジェミ・フロートは頷いてくれたが。
「物分かりが良すぎて怖いわ」
「正直自分でも何言ってるかわからないわ」
「お星様になるのはマズくないか?」
フラグにしか聞こえない。そんな千梨等の心配を他所に、競技は見切り発車で始まった。
「まずは景気付けね」
ブランシュがブレイブマインで開始の合図を入れて、必殺のボールを投げる。
「食らえギャラクティカなんとかー!」
「その程度っ」
狙われたジェミ・ニアは、先の爆煙を活かして躱し、その身を隠す。
「これぞ我が必殺技、セイクリッドウィンド!」
この技は清らかに漂う風の如く、予備動作無しの回避を可能とする。この状態になった彼を捕らえることは、ほぼ不可能なのかもしれない。
「まぁ、僕もボールを捕らえられてないけどね!」
かわいそうでは?
とにかくトゲトゲボールは光流の手に渡り、さらなる必殺技が舞台を彩る。
「唸れ必殺! ヘヴィースロー!」
「効かないわ!」
より凄まじい力を込められたボールは、ジェミ・フロートの鍛え上げられた腹筋に受け止められ、爆散して消えた。何が起こったのかわからないが新ボールで試合続行。今度は彼女の手から必殺技が放たれる。
「オトナの魅力! ミッドナイトチェイサー!」
名前の割に力任せの直球を、礼の両手が受け止めた。響き渡る重い音色、鉄板を仕込んだ手袋で、礼は何とかそれを押し留めた。
「ペインキラー着て来るんだった……」
ダメージはないけどとてもいたい。とにかくここからは反撃の時間だと、彼女は刺繍で輝く両手のを高く掲げた。
「輝くこの一撃、レイディアントアームズ!」
きらきらとした輝きが尾を引き、流星を描く――。
そんな白熱した戦いの一方、観客席では、お弁当とおやつを並べたウォーレンが、慧斗と一緒に皆を応援していた。
「頑張れー!」
「みなさん頑張ってくださーい!!」
ケーキやシュークリームまであるのを察し、一部メンバーが「さっさとそっちで休憩したい」という気配を出し始める。
「なんだ、観客席あるじゃーん」
騙されたー、と深緋が溜息を吐く。それならそっちが良かったなー、などと言いつつ、最低減の動きでボールを回避。その後にボールを得たエトヴァが、この日のためにと準備した必殺技を披露する。
「とくとご覧あれ、ワンダフルマジック」
きらきらとしたエフェクトを纏い、優雅な仕草で放たれたボールは、同じチームの深緋の手元に収まった。
パスだコレ。
「おっと、ありがとー」
あーでも働きたくないんだよなー、と嘆きながらも、深緋は氷を纏った剛速球を敵方に投げ付けた。
「すんません、凍っておくれやすー。デスパレートアイシクルー」
「うおっ!?」
咄嗟の動きで光流がこれを回避、「伊達に死線はくぐってへんな!」などと盛り上がる台詞を口にしたが。
「疲れたー。飲み物おくれー」
とりあえずこれで仕事は果たしたと、深緋は自らコートを離脱していった。
「あ、じゃあ俺も」
腹減ったし。
「自由だなあ……」
転がったボールを拾い上げ、千梨はそこで本気を出す。護殻装殻術の使用でパワーアップ感を醸し出しながら。
「ここで退くとは良い判断だ……。そう、お前達の護りなど、この俺にとってはシュークリームの薄皮に過ぎぬ」
覚えてきた必殺技はなんだっけ、シュークリームスワップ? 観客席のおやつに引っ張られて集中を欠いた一投は、ワイルド化した翼を広げて待ち構えていたブランシュにキャッチされる。
「喰らえ! コズミックなんちゃらー!」
反撃のトゲトゲボールが直撃し、千梨は死んだ。
いや、死んではいないが観客席に引き取られていった。休憩がてらシュークリームを食べ始めたその姿に、ジェミ・ニアが閃く。
「あっ、そうすれば僕もおやつ食べにいける?」
そう、つまりボールに当たれば。当たれば……。
「……でも当たらないよおおおお!」
「条件反射って怖いですネ」
「あ、あぶなーい!」
「――ハッ」
そうした戦いの最中、気配を察知してウォーレンが顔を上げる。とんでもないノーコンのブラックウィザードが試合に混ざっていたのか、流れ弾が観客席に飛んできていた。
「無限遠の彼方! 幸運の星の護りをここに! アンリミテッド・フォーチュン!」
防御用の必殺技を用意しておいてよかった。飛んで来たボールは結界で防がれ、バウンドした先で弁当を食べていた千梨が直撃を受けて死んだ。
「千梨さんー!?」
「な、何故……?」
「千梨先輩の尊い犠牲は忘れへんで……」
極めて嘘くさい光流の涙が、星明りの下で小さく輝いた。やったぞちょっとエモい気がする。
●クッションせい
「派手に見栄えが良い方が良いのだろう? 任せておくれ」
『極星一至』、ティユの手によりコートに星図が描かれる。プラネタリウムで上映するのに丁度良い絵面だと意識して、ボールを手にした佐楡葉も「派手にいきましょう」と禁呪を紡いだ。散弾のように放たれた虚無の球体に紛れて、光るボールを投げつければ、光と闇の合体攻撃の出来上がり。
「ケルベロスってすごいことできるんだなー……」
千穂がそう拍手を送る。彼女もケルベロスに違いないのだが、この辺りは経験の差だろうか。耳と尻尾を出して身体を大きく見せつつも、千穂はじりじりと派手な戦いから離れていく。が。
「そこ! 逃げられると思わないように!」
「でもこれチーム競技だし……!」
敵チームのキララから狙われているのを察して、彼女はわーきゃーしながら避けにかかった。
……さあ、私が囮になっている内に。そんな風に友人達に合図を送るが、チェザは飛び交うボールの中で「きゃーこわーい」みたいに瞳を潤ませていた。とりあえず序盤はかわいい女ムーブで乗り越える構え。ほらほらこんな子にボールは投げられないでしょう、というオーラはしかし、彼女をよく知る味方程イラッとくるようで。
「あー、手が滑りましたー!」
キャッチ失敗、という体で佐楡葉が飛んできたボールにスパイクをかまし、チェザに向かって叩き付ける。
「何その溢れ出る殺意!? えーいっ!!」
ふわもこの羊毛がそれを受け止め、勢いを失ったボールをシシィとペルルが改めてキャッチ。それを見ていたティユは、感心したように頷く。
「見事な合体技だね。厚い信頼を感じるよ」
「って、合体技じゃないから!!!!!! さっゆは本気で当てにきてるから!!!!!!」
「誤解です、らっむ。次はちゃんとやりますから」
「殺意が漏れてる!!! 助けてちっほ!!!!」
「えっ私?」
いつもの賑やかな様子に微笑んで、ティユはスターイリュージョンの光と共に、ボールを相手に投げ返した。
●どうしてそうなった
高く上がったボールに、楓が翼を広げて空中で追いつく。キャッチするように思われたそこで、彼は素早く攻撃に移った。
「行くぜ! 旋風脚!!」
強く回転してからの、足による一撃。空中から放たれたボールに、雅也が迎撃に入る。
「させるか! 達人の一撃(エターナルフォースブリザード)!!」
見事な捕球からのボールさえ凍てつかせる一投。冴えた攻撃に、楓は不敵な笑みを浮かべ、バットもといライトニングロッドを取り出した。
「お返しだ!! 稲妻怒爆杖(ライトニングコレダー)!!!」
稲妻を纏うスイングがボールを捉える。打球は狙い通り真っ直ぐに飛んで。
「甘い!! グラビティブレイク(全てを粉砕せしもの)!!!」
応ずる雅也もまた得物を振う。問題はそれが妖刀だったこと。真っ二つになったボールは両方向に飛び、楓と雅也の顔面に直撃。
「「……」」
同時に倒れた両者は、仲良くコート外に引き摺られていった。
●唐揚げは美味しい
「さあ、行くよ!」
「受けて立とう!」
翔子の槌の一撃ですっとんで来たボールを、俊輝は抜刀した黒刃で打ち返す。
「シロ! ボクスブレスだ!」
一進一退、互角の戦いを繰り広げる両者に、コート外のシアと、お誘いを受けた慧斗から声援が飛んだ。
「お二人とも頑張って下さいませ~」
「がんばってくださーい!」
こちらは平和なお弁当タイム。美味しいですねこの卵焼き、などとやっている内にも、コートでは熱い戦いが続いていた。
「……以外に粘るね」
「娘の前で情けない姿は見せられないさ」
ふ、と笑う。さすがにこの競技には巻き込めないと、美雨はシア達と一緒に観戦しているのだが。
「はい、美雨ちゃん、あーん」
あっ、唐揚げに夢中で全く見てない? 俊輝の横顔に哀愁が漂うのを察しながら、翔子は容赦なく大技に入った。
「シロ、やっちゃいな!」
恒星のように輝くオーラを纏ったボールを、空中でシロがスマッシュ。二人の合体攻撃が、俊輝の横顔に突き刺さった。
「お疲れ様です!」
「俊さん、お顔にトゲトゲの跡が……」
「……ペインキラーと眼鏡が無ければ危ない所でした」
「アンタの眼鏡どうなってんの?」
勝敗も決したところで一段落、彼等は皆で休憩に入ることにした。俊輝の様子を、美雨が心配そうにしているのを微笑んで眺めながら、翔子は身体をほぐしにかかった。
「せんせい、明日は安静にしてた方がよさそうですねえ」
「いや……経験上、来るのは三日後だね」
あらまあ。
●無理ゲー
ふむ、と。トゲトゲボールを試しに両手で持ってみる。少しは覚えのある銃と違い、『投擲』で動く相手を狙おうなどと、出来る気が全くしないなとティアンは確信した。ゆえに。
「先に戦闘不能くらいにしようと思う。どうだろう、サイガ」
同じチームのサイガも、それに対して「気が合うな」と頷いた。
「良いんじゃね? やり方は試合中に洗練させてこうぜ」
「まてまてまてもはやそれはドッヂボールじゃねえよ!」
無茶を言うなと相手チーム側からダイナが止めるが、返答代わりに二人分の武神の矢が飛んで来た。
「はー、とんだ誕生日プレゼントだね……」
「やはり序盤は足止めの方が良いだろうか」
「あーっ、やめたまえよ制圧射撃は!!」
悲鳴を上げるキララの前にダイナが立ち塞がって、クイックドロウで応戦しながら攻撃を引き受ける。
「キララには傷一つ付けさせねーから!」
「なぁにカッコつけてんだネコクン」
「うるせえ! せめてボールを投げろ! ボールを!!」
競技の体裁ぐらいは整えていただきたい。そんな訴えは、獲物をいたぶるモードに入っていたサイガにも通ったようで。
「しょうがねえなあ」
旋刃脚。サイガの一撃でボールがかっ飛び、既に満身創痍のダイナを直撃した。
「だ、ダイナくーんっ!!」
散っていった彼の思いを無駄にはしまいと、キララは残った希望をボールに込め、投擲するが。
「キャッチは、こう?」
ティアンの伸ばしたブラックスライムに呑み込まれ、あえなく膝を付いた。
●掛け合い
「ということで、ワタシとショーコが同じチームね」
大好きなプラネタリウムのために、というマヒナの提案に乗った理弥だが、チームの人数比に首を傾げる。
「でも理弥は得意でしょ?、小さいから避けやすそうで」
「そうそう小さいからなかなか当たんないって……オイ!」
梢子の茶化しで空気が柔くなったら試合開始。まずはボールを手にしたマヒナが翼を広げた。
「じゃあワタシ、翼飛行で上から投げるね!」
「ずるくね!?」
いくらドッジの経験があるとはいえ、ボールが上から落ちてくる、という状況は中々無い。慌てて構える理弥に、マヒナはごめんねと謝ってから。
「ホークーレレ、流れ星って実は上空100mくらいの地球の大気で起こってる現象なんだよー。案外近いよね!」
へー、そうなんだ。
「……ってそんな蘊蓄今いらねぇ!」
「惜しい! 良い作戦だったのに!」
梢子が残念そうな声を上げる。危うく意識を逸らされかけた理弥は降ってきたボールを避けてから、バウンドして戻る前に飛び込んでそれを確保。早速敵戦力を切り崩しにかかる。
「やだ理弥ったら本気で投げないでよ、そんなとげとげしい球、当たったら絶対痛いじゃない!」
予想外、と目を丸くした梢子は素早く一歩二歩と後退り――。
「ちょっと葉介盾になって頂戴!」
「オイ旦那さん盾にすんなよ!?」
「よ、ヨースケ……!」
咄嗟に盾にされた葉介が顔面でそれをキャッチ。鼻血を出してそこに倒れた。
●流れ星
「ボールが夜空に相応しいきらきら綺麗仕様なら、この場も秋の夜空に相応しい浴衣が正装でしょう!」
言われてみればそんな気もしてきた。というわけで、環の言うように番犬部の面々は浴衣で参戦した。
「でも……勝負事は、当然全力で行かなくちゃですよね?」
黄薔薇模様の浴衣の環が押せ押せでボールをぶん投げれば、涼し気な水色の浴衣の竜矢がそれをがっちりと受け止める。
「さすが、環さんのボールは力が乗っていますね」
「防御の方は頼らせてもらうよ」
だから攻撃は任せて、とアンセルムはボールを受け取って、瞳と同じ色の浴衣をはためかせて投げ返す。取りにくそうな場所を確り狙ったついでに――。
「こういうのはどうかな?」
「え……?」
か弱い僕を狙うなんて酷くない? 『六花』で氷に似合う雪を降らせ、味方の防御を整えつつ。秘蔵していたはずの藤色の女物浴衣を着せられたエルムが、そうアピールをするが、アンセルムからは足元へのアイスエイジと同時に剛速球が飛んできた。
「わー! 足元滑りますー!」
若草色の浴衣を着込んだかりんが何とかそれを受け止めて、尻尾を振り振り、朝顔模様の浴衣を着たアリシアをそれで引き付けながらボールを投げ返す。
「ボール、あそぶ、すき!」
飛んで来たそれを避けるのではなく跳びつくようにして、アリシアがボールに向かう。見事キャッチ――とはいかなかったが、ヘディングで打ち上げる形で対応すると、竜矢がそれをしっかりと受け止めた。
そんなこんなで戦いは進んで、「白熱したけれどこれはこれで楽しい」とかりんが汗を拭う。改めて目を細めれば、夜空を飛び交うボールはまるで流星のようにも見えて。
「なんだかお願い事をしたくなっちゃいますね」
「なるほど、流れ星かあ」
彼女の言葉に環が頷く。ならば願い事もしてみようと彼女は言って、輝く星を空へ放った。
「またこうしてみんなと遊べますように!」
「えぇと、環みたいに強くて可愛くてカッコイイせいぎのみかたになれますように!」
かりんもそれに合わせて、星に願をかける。
「エルムみたいにお料理上手になって、ふわふわ卵焼きが作れますように」
「何だか照れますね……」
面映ゆいが、そういわれるとやはり嬉しいもので。
「僕の願いは、『皆がいつまでも幸せに笑っていますように』、ですよ。せっかく頑張ったんですから……」
「そうですね……気軽にあえて遊べるような平和な日ががずっと続きますように」
ん、と三人の動きが止まる。最後の一つは相手のコートから聞こえてきた。見れば竜矢が思い切り尾を振るっている。尻尾によるスパイクで、輝くトゲトゲボールがかりんに向かって撃ち出された。
「わぴゃっ!? お星様がこっちに!?!?」
願い事を三回唱える間もなく、流れ星は彼女に命中した。
●エモってコト
「筋・肉・全・開!!!」
両腕に炎を纏わせて、ムギが飛んで来たボールの威力を相殺、がっちりと受け止める。競技の性質もさることながら、彼女の護衛となれば自然と気合も入るというもの。
「さあ反撃は任せたぜ、相棒!」
「ムギさんからいただいたチャンス、無駄にはしませんとも」
彼から引き継いだ『星』を手に、紺はコートの際で跳躍、ダブルジャンプまで駆使して天高く、跳ぶ。
「私の大人気ない本気の一撃、受けてください」
その一投は彗星の如く。夜の運動公園を照らし出す一撃を敵陣に見舞い、紺はふと微笑んだ。
着地のことは特に考えていない。最後のお役目とばかりにムギへ回復を施し、落ちていく。
「ムギさん、あなたと一緒にいられて幸せでした……」
だが切なげに〆られそうなそこを、跳び上がったムギがしっかりと抱き留めた。
「俺も紺と一緒にいられて幸せだ、だからこれから先もずっと一緒にいてくれよな、紺」
●俺たちの戦いはこれから!
「戦と聞いちゃ黙っちゃおれねえ。形は今までと違えど、俺ら戦人のやるこたあ戦よ!」
「頼もしい限りではないか鬼太郎君……今は敵同士だがね!」
鬼太郎の言葉に高らかに応え、キララがポーズを決める。
不敵な笑みを浮かべた鬼太郎は、『星』と、傍らの相棒をその手に掴んだ。
「行くぜ、虎。力を貸してくれ!」
ボールに捕まった虎ごとの投擲。不規則な軌道を描く星の名は、虎玉(こだま)。一人と一匹が放つ必殺のボールは、果たして――!?
●星を仰いで
皆の協力によって完成した動画は、早速プラネタリウムで放映された。
何故ここで? という思いを観客に刻みつけながらも、その動画は好評を博したという。
作者:つじ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年9月22日
難度:易しい
参加:33人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 9/キャラが大事にされていた 0
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