飫肥城での決闘、再び

作者:秋津透

 宮崎県日南市飫肥。
 この地に復元されている飫肥城は、伊東氏と島津氏が長年にわたって激しい争奪戦を行った場所として知られるが、近年は、エインヘリアルの『対神機関デュランダル』の拠点とされていたものを、ケルベロスが数回にわたる襲撃の末に解放。その後、なぜか螺旋忍軍の姫が籠ってなぜかドラゴン軍団の襲撃を受けるという、ややこしすぎる戦争の舞台になったりして、日本でも指折りの高名な地になっている。
「……それもすべて過去のことになった……のだろうか」
 飫肥城解放に尽力したケルベロスの一人、皇・絶華(影月・e04491)は、南九州ののどかな初夏の景色を眺めながら呟く。景色そのものからは、激闘の片鱗もうかがえないが、絶華の脳裏には激しい闘いの光景が蘇り……。
 その時、絶華が背負う黄金の斬霊刀『霊剣「Durandal Argentum」』が、かたんと音をたてた。そして、それを合図とするように、周囲の一般人の姿がすうっと遠ざかる。
「……デウスエクスの、結界か?」
「いかにも」
 落ち着いた声とともに、一体のエインヘリアルが、復元された石垣の陰から姿を現す。
「我は対神機関デュランダル総帥バーン・マーディ。人は我を『マーディロード』と呼ぶ」
「……デュランダルの総帥か」
 凄まじい圧を感じながら、絶華は相手を見据える。一方『マーディロード』は悠然と言葉を継ぐ。
「ケルベロス達よ…貴様らはデウスエクスに、そして死神に叛逆し、勝利したのだな…良い。その叛逆と勝利を我は祝福しよう」
 そう言うと『マーディロード』はすらりと大剣を抜き放ち構える。
「だが…まだ、終わりではない。デュランダルは此処に在る。我は此処に在る!」
「デウスエクスは……エインヘリアルは我々に敗れ、もはや地球に来ることはない。お前は一人だ。それでも、戦うのだな?」
 訊ねながら、絶華は『霊剣「Durandal Argentum」』を抜き放つ。すると『マーディロード』は悠然とうなずく。
「むろんだ。さあ、ケルベロスよ、尋常に勝負しようぞ!」

「緊急事態です。皇・絶華(影月・e04491)さんが、宿敵であるデウスエクスの襲撃を受けることが予知されました」
 ヘリオライダーの高御倉・康が、蒼白な表情で告げる。
「急いで連絡を取ろうとしたのですが、連絡がつきません。絶華さんは、宮崎県の飫肥城にいるはずなので、これから全速で急行します。一刻の猶予もありません」
 震える声で言いながら、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「現場はここです。飫肥城については、皆さん、だいたいご存知だと思います。絶華さんを襲うデウスエクスは、デュランダル総帥『マーディロード』と名乗っています。そうです、あの『対神機関デュランダル』の総帥です。何で他のエインヘリアルとともに戦わず、今頃出てきたのかはわかりませんが、凄まじいばかりの強さを誇ることは、たぶん間違いありません。いくら絶華さんでも、一対一では絶対に勝ち目はないでしょう」
 そう言って、康は画像を切り替える。
「『マーディロード』は巨大なゾディアックソードを装備し、バトルオーラの機能を持つ鎧をまとっています。甲冑騎士と刀剣士の技能をすべて使用することができ、ポジションはおそらくキャスターと思われます」
 予知から読み取れるデータだけでも、厄介すぎて泣きたくなるような相手です、と、康は続ける。
「敵は単体で、完全に孤立しており、撤退も逃走もしません。相手を斃すか、絶華さん……と、救援に入った皆さんが全員斃れるか、どちらかになります。『ヘリオンデバイス』での支援も可能な限り行いますので、どうか絶華さんを助けて、デュランダル総帥を斃し、皆さんも無事に帰ってきてください」
 よろしくお願いします、と、康は深々と頭を下げた。


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
皇・絶華(影月・e04491)
ジュリアス・カールスバーグ(山葵の心の牧羊剣士・e15205)
村崎・優(黄昏色の牙・e61387)
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)
青沢・屏(光運の刻時銃士・e64449)
ニケ・ブレジニィ(マリーゴールド略してマリ子・e87256)
 

■リプレイ

●激戦
「さあ、ケルベロスよ、尋常に勝負しようぞ!」
 言い放つと同時に、デュランダル総帥『マーディロード』は皇・絶華(影月・e04491)に向け、鋭く踏み込む。大剣が振るわれる瞬間、遥か上空でヘリオンデバイスが発動した。
「ケルベロスに勝利を!」
 ヘリオライダーの宣言とともに、絶華にクラッシャーの装備「ジェットパック・デバイス」が装着される。ほとんど反射的に、絶華はデバイスを使って飛翔し『マーディロード』の大剣の間合いから逃れる。
(「躱した……えっ!?」)
 空を斬った『マーディロード』の大剣の先端からオーラの弾丸が発射され、宙に飛んだ絶華を直撃する。一撃で戦闘不能にされはしなかったものの、大きなダメージを受け、絶華の表情が歪む。
(「なんという……騎士だ!」)
 そこへ降下してきた日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)は厳しい表情で絶華と『マーディロード』を見比べ、ガネーシャパズルから光の蝶を飛ばして絶華を治癒、加えて命中力を上げる。
(「先手は取れないか……デュランダル総帥のレベルがどのくらいかとか、あまり考えたくないな」)
 次にジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)が、急速降下の勢いそのままに『マーディロード』に向け重力蹴りを放つ。続いて絶華も滞空状態から急降下し、エアシューズ『斬狼』で重力蹴りを重ねる。絶華が構える黄金の斬霊刀『霊剣「Durandal Argentum」』が僅かに揺らぐが、絶華は宥めるように呟く。
「逸るな、銀静……『マーディロード』との闘いは確実に長くなる。まずは、命中を確保しなくてはな」
 そして、次に降下してきたジュリアス・カールスバーグ(山葵の心の牧羊剣士・e15205)は絶華にエネルギー光球を投げ、治癒と攻撃力上昇を行う。
「大丈夫ですか皇さん」
 絶華に声をかけたジュリアスは、視線を転じて『マーディロード』を見やる。
「出来れば剣を収めて欲しいのですが」
「それは出来ぬな」
 ごく淡々と『マーディロード』は応じる。
「既に神を制した貴様らにとって、我との闘いはさほど意味がないのだろう。だが、貴様らが勝利者である以上、意味があろうがなかろうが、我の挑戦は受けてもらうぞ」
「いや、そういう話じゃないんですが……」
 聞いちゃくれませんね、と、ジュリアスは小さく溜息をつく。
(「自分の死に場所に民間人を巻き込まないような男こそ、生き恥をさらしでも民のために働くべきだと思うんですけどねえ…ま、根本的に価値観が違うんでしょうね。残念なことです」)
 続く思いは言葉には出さず、ジュリアスは内心で呟く。
 そして村崎・優(黄昏色の牙・e61387)が降下し、上空の絶華を見やる。
「無事か、皇さん?」
「ああ。全霊を以て闘える状態だ」
 駆けつけてきてくれたことに感謝する、と、絶華が応じる。うなずくと、優は『マーディロード』に目を向ける。
「相手にとって不足無し…全力で行くぞ!」
「来るがいい、若きケルベロスよ!」
 何か感じるものがあったのか、『マーディロード』の言葉に力が籠る。優はジークリット、絶華に続き、三撃目の重力蹴りを『マーディロード』に叩き込む。
 そして青沢・屏(光運の刻時銃士・e64449)が、花火を打ち上げるような感じで応援爆破を行い、滞空中の絶華に癒しと破壊力強化を行う。
「このような強力な宿敵に対しても堂々と立ち向かっていくのか…なら、私は全力くてフォローする」
 絶華に向かって叫ぶと、屏は続いて『マーディロード』に告げる。
「戦争はもう終わりました、戦火はもう燃えない。だから、せめて無辜の人に対して剣を振るっていないあなたには敬意を払わせてください」
 すると『マーディロード』は、わずかに物憂げな表情を浮かべて応じる。
「無辜の民に剣を振るわぬことに敬意か……しかし、若きケルベロスよ。戦争はまだ終わっていない。終わらせたいのならば、すみやかに我を倒すことだ」
「む……」
 屏は表情を引き締め『マーディロード』を見据える。
 その間に最後の一人、ニケ・ブレジニィ(マリーゴールド略してマリ子・e87256)が降下する。
「ヘルプで入りますねー」
 軽い口調で言い放ちながら、ニケは目を輝かせて『マーディロード』を見やる。
(「正々堂々と、ですね、カッコいいなぁ♪」)
 内心の呟きはいかにもミーハーっぽく、他人に聞かれたらちょっと恥ずかしいけど、こんなこともあろうかと(?)心の声を拾う「マインドウィスパー・デバイス」は自分で装着してるから問題なし。今のところ、他のメンバーの内心の呟きも、彼女が聞いて困るようなものはない。
(「おっと。ここは真面目にやらなくちゃ」)
 皇さんのダメージは、まだかなり残っている、と見定め、ニケはアニミズムアンクを掲げて共鳴治癒を行う。
 すると『マーディロード』が、七人のケルベロスを見回して告げる。
「我と立ち合わんとする者は、これですべてか。では、改めて行くぞ!」
 大剣を振りかざすと『マーディロード』は、ジークリットに向けて雷電を帯びた突きを見舞う。ジークリットは「アームドアーム・デバイス」で受け止めようとしたが間に合わず、胸元をまともに貫かれる。
「ぐはっ!」
 一撃でジークリットの顔色が蒼白になり、口から鮮血が噴き出る。すぐさま蒼眞が気力を送り、傷を治癒し防御の低下を防ぐ。
(「ディフェンダーポジションで、ダメージを半減してこれか。グラビティが枯渇しているという話だが、なんという凄まじい剣技だ」)
 称賛したいが声が出ない、と、ジークリットは苦笑する。ならば戦いの中で敬意を示そう、と、彼女は口中に残った血を吐き捨て、ゾディアックソードと斬霊刀を振るう。高速演算で算出した『マーディロード』の鎧の構造的弱点へ、狙い澄ました一撃が決まる。
「さすがだ……我の一撃を受け、痛手を負っても怯みもせぬ。まさに、不屈」
 重々しい声で『マーディロード』が唸る。そこへ絶華が急降下を仕掛けて『霊剣「Durandal Argentum」』を振るい、ジークリットがつけた傷を正確になぞって斬り広げる。
「これが、ケルベロスの連携か……見事なものだ。我にも、共に闘う者たちがいれば……我が騎士達…トーマス…銀静…ギリガム…バード…」
 ケルベロスと闘い倒されたデュランダル騎士たちの名とおぼしきものを『マーディロード』は悼むように、そして懐かしむように呟く。
 それに対して絶華は、声を張って応じる。
「……確かに、貴様が本来のデュランダル総帥として麾下の騎士たちとともに戦っていれば、とても勝てなかっただろう。だが貴様は一人だ。だからこそ…打ち破れる!」
「……残念至極だ。我の眠りと目覚めは、戦いに逸る我が騎士達を制止するには遅すぎた。そして、我の力を万全にするほど充分でもなかった。今更言っても始まらぬが……悪手であったな」
 独白のように呟く『マーディロード』に、絶華は敢えて問う。
「…何故貴様程の騎士がこのような暴挙に走った? 貴様もまたケルベロスへ至れただろうに!」
 すると『マーディロード』は、細め気味だった両眼をかっと見開き、気迫に満ちた声で応じる。
「否! 貴様達はデウスエクス…偽りの神とも協和を目指した! 我が目指すは我以外の神を滅ぼし真の神を…人の心のみに宿させる事よ! 現人神は須らく滅ぶべし!」
「む……」
 激しい『マーディロード』の言葉に、深い瞋恚と絶望を感じ取り、絶華は眉を寄せて唸る。
 その間にジュリアスがジークリットに向け、オリジナルグラビティ『ゴーストテイル』を発動させる。
「万邪駆逐! 急急如律令!」
 ジュリアスが口早に唱えジークリットに御札を貼り付けると、ジークリットの狼尻尾が二又に分かれる。
「……な、なんだ?」
「あ、増えたのは善き霊の尻尾なので、ご心配なく」
 当惑するジークリットに、ジュリアスが告げる。『ゴーストテイル』は被術者に善き霊を憑け、その尻尾を体外に出して状態異常の要素を輩出する霊術なのだが、ウェアライダーのジークリットには元々自前の尻尾があるので、結果的に猫又ならぬ狼又になったわけだ。
 そして優が、オリジナルグラビティ『牙零闘滅・雷吼之太刀(ガレイトウメツライコウノタチ)』を放つ。
「見事な腕だ。ならばこちらも…!」
 自分を鼓舞するように言うと、優は大きく跳躍する。
「く゛ぅだぁけろ゛おおおおああっ!!!」
 本来は怒りを籠めて放つ技だが、今回は強敵に対する闘志と畏敬を籠め、優は喰霊刀『暗牙』と我零刀『織心』の二刀を轟く雷吼(カミナリ)と化して振り下ろす。まともに決まれば相手を唐竹割りにする技だが、そこはさすがと言うべきか『マーディロード』は手甲で受け止める。
「良い技だ……だが、わずかだが気合が空回りしているようだ。本来は怒りを籠め、悪を憎んで放つ技であろう」
 どうやって見抜いたのかわからないが『マーディロード』は淡々と優に告げる。
「怒りは力となる。憎しみは力となる。たとえ戦争が終ろうと、武に生きる者は正しい怒り、悪への憎しみを捨ててはならない」
「……その言葉、肝に銘じておく」
 深く一礼し、優は跳び下がる。なんか、いつの間にか師弟っぽくなってないか、と、蒼眞が小さく肩をすくめる。
 一方屏は、明らかにニケに聞かせるつもりで口の中で呟く。
「私は皇さんに行く。ニケさん、ジークリットさん頼ます」
「了解」
 ニケがデバイス越しに短く答えると、屏は輝くオウガ粒子を絶華に向けて放出する。ニケはちょっと考えたが、再びアニミズムアンクを掲げ、ジークリットに共鳴治癒を送った。

●そして決着へ
「我が身…唯一つの凶獣なり……四凶門…「窮奇」……開門…!…ぐ…ガァアアアアアア!!!!」
 絶華がオリジナルグラビティ『四門「窮奇」(シモンキュウキ)』を発動させる。通常はカタール状の惨殺ナイフ『三重臨界』を魔獣の爪の如く振るって相手をズタズタにする技だが、今回に限っては『霊剣「Durandal Argentum」』をナイフ並みの速度で扱い『マーディロード』に凄まじい勢いで連続斬撃を浴びせる。
「ぐっ……見事だ……」
 低く唸りながら『マーディロード』は大剣を使って巧みに連続防御するが、その動きは明らかに戦闘開始時から見ると鈍っている。ケルベロスたちの攻撃を受けて満身創痍になりながら、『マーディロード』はまだ一度も自分に対して治癒を使っていない。
(「立ち止まらず、治癒もせず、進めるところまでひたすら進んで、力尽きたら倒れる所存か。自分の意地を貫き通して、納得出来る最後を迎える……少し羨ましい気もするな……」)
 状況を冷静に観察しながら、蒼眞が内心で呟く。ニケにはデバイス越しに伝わるだろうが、別に伝わっても困らない。
 そしてジュリアスは、ジークリットに治癒と攻撃力増加のエネルギー光球を投げる。『マーディロード』は、最初に絶華へオーラの気弾を撃ったのを唯一の例外として、ずっとジークリットへ近接の剣撃を行い、蒼眞とジュリアスは一貫して治癒に専念する状況になっている。一、二度蒼眞が自動でジークリットを庇ったが、ディフェンダー同士なのであまり結果は変わらず、ジュリアスの『ゴーストテイル』で治癒された蒼眞のお尻から、何の動物のものかわからない尻尾が生えた、程度しか記すべきこと(?)はなかった。
「『暗牙』よ……『織心』よ……僕を導いてくれ」
 僕は『マーディロード』に怒りも憎しみも感じない。ただ、自分の全力を尽くす。それが武に生きる者の誠心だ、と呟き、優が二本の喰霊刀を美しく舞わせ、斬りつける。華麗な斬撃を受け『マーディロード』が唸る。
「なるほど……若きケルベロスよ。貴様の本領は、今やこちらにあるのだな。無駄な力みのない見事な攻撃だ」
「……過分な称賛、痛み入る」
 ごく自然に礼をして、優は『マーディロード』から離れる。そして屏が、オリジナルグラビティ『災厄増幅弾(ディザスタァ・バスター)』を発動させる。
「永遠なる時間の流れに潜伏している災厄よ、この私の呼びかけに答えよ! 目の前の敵を喰らう! ディザスタァ・バスター!」
 叫びながら屏は『マーディロード』の身体に直接ではなく、その周囲に改造弾「タイムエクスパンド」を撃ち込む。撃ち込まれた弾丸が一種の結界を発生させ、『マーディロード』にダメージを与え、身体に付与されている状態異常を増やす。
「ここは、攻め時かも!」
 ニケがオラトリオの翼を広げ、オリジナルグラビティ『スナイプ・シャイニングレイ』を放つ。
「シャイニングレイ、スナイプモード!」
 翼から放たれた聖なる光は、屏のオリジナルグラビティと同様、ダメージに加え状態異常を増やす力がある。
「む……ぐ……」
 ダメージはさほど大きくないものの、状態異常を続けざまに増やされたのが効いたのか、さしもの『マーディロード』が不明瞭な呻きを漏らす。そして、ついに自己治癒を行おうとしたのか、それとも敢えて攻撃を続けようとしたのか。いずれかはわからないが、アクションを起こそうとした『マーディロード』の腕が震え、動きが止まる。
「麻痺か!」
 蒼眞とジークリット、二人のディフェンダーが視線を交わし、揃って上空の絶華を見上げる。
「好機だ!」
「行け!」
「心得た!」
 二人の声を受け、絶華が『霊剣「Durandal Argentum」』をかざして急降下する。
「銀静……行くぞっ!」
 鋭い気合とともに、絶華は『マーディロード』の鎧に深く刻まれた傷へと、黄金の斬霊刀を突き込む。ばきっと鎧が割れ、エインヘリアルの身体が、鋭い刃に裂かれて両断される。
「……見事!」
 おそらくグラビティの枯渇により、再生力が極端に落ちていたのだろう。『マーディロード』は肩から脇腹へと袈裟懸けに斬られ、大量の血潮を振り撒いて崩れ倒れる。
 そして、その口から掠れた声が漏れる。
「我が騎士…我が同胞ら…我もまた逝こう…デスバレスなき今…真の冥府での叛逆を…」
「マーディロード…否…バーン・マーディ。眠れとは言わない。貴様は冥府でも戦い続けるのだな」
 崩れ倒れる『マーディロード』を、斬霊刀を振り抜いた姿勢のまま見据え、絶華が呟く。
「ならば…私もまた祈る。貴様の戦いを。その叛逆を」
「皇さん……」
 呟いたニケの耳に、マインドウィスパー・デバイスを通して絶華の声には出さない声が届く。
「だが……銀静だけは連れて行ってもらっては困る。エインヘリアルに転生してデュランダル騎士に列したといえども、銀静は私の弟だ。貴様の終わりなき叛逆に、同行させるわけにはいかないのだ」
(「あ、やっぱりそうですか」)
 これは皆には伝えないでおこう、と、ニケはわずかに首をすくめた。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年7月13日
難度:普通
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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