ミッション破壊作戦~螺旋の支配を砕く

作者:寅杜柳

●螺旋の地へ
「みんな来てくれてありがとー! おっきな戦いも近いけど頑張っていこうね!」
 笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は集まったケルベロス達を前にして、いつもの元気な調子で依頼の説明を始める。
「今日はみんなに螺旋忍軍のミッション地域を破壊してきてほしいのです! 去年のドリームイーターとの決戦で新たな『グラディウス』を手に入れて破壊作戦を迅速に行えるようになったから、それを使って各ミッション地域を奪還しようって作戦だよ。一応説明するけどグラディウスは長さ70cm程の光る小剣型の兵器で、普通の武器としては使えないけど『強襲型魔空回廊』を破壊することができる凄い武器なんだよ! 再利用もできちゃうからちゃんと持って帰ってきてね!」
 そんな風にねむは言って、グラディウスの使い方を説明し始める。
「グラディウスは使用者がグラビティを高める事で威力を増していくんだよ。もし極限までグラビティを高めたグラディウスをみんなでぶつけちゃえば一発で魔空回廊も砕けちゃうかも! もし壊れなくてもちゃーんとダメージは蓄積していくから無駄にはならないはずだよ!」
 そしてねむの説明は具体的な作戦内容についてのものに移る。
「強襲型魔空回廊があるのはミッション地域の中枢になるけど、当然普通に歩いて行っても妨害されるし危険も大きいよね。だからヘリオンで上空まで行って降下する作戦が一番安全確実! 魔空回廊は半径30m程度のドーム型のバリアで覆われてるからそこ目掛けて空からグラビティを高めた状態のグラディウスを当てて砕いちゃう感じだね。グラディウスは攻撃の時にグラディウス持ってない人を無差別に雷光と爆炎、それからスモークで行動不能にしちゃうから防衛を行っている精鋭デウスエクスも一時的に行動不能になっちゃうよ。だからそのタイミングを狙ってグラディウスを回収しつつ撤退! そんな感じの作戦の流れでいけるはずだよ!」
 でもまあ、敵地だしそう簡単にはいかないよね、ねむは困った顔で付け加える。
「精鋭の護衛部隊はグラディウスの余波である程度は無力化できるけども、流石に全員無力化することまではできないよ。だから数は少ないけども撤退を阻む強敵との戦闘自体は避けられない感じだね。混乱させているからそんな一斉に連携取ってくるような事はないからそこは安心だけども。だから、どうにかちゃちゃっと強敵を倒して撤退しちゃってね。もし手間取りすぎると一回無力化した敵が態勢を整えて加勢してくるだろうから、そうなると大変な事になるからそれだけは避けてね。もし包囲されちゃったら……降伏するか、考えたくないけど最終手段を使うしかないと思う」
 きっとみんなならそんな風にはならないと思うけど、十分作戦準備して挑んでねとねむは言う。
「あと、どこの地域に攻め込むかはみんなが決めてね。やっぱり思い入れがあったりする場所があればグラディウスに想いも込めやすいだろうし!」
 そんな風に言ってねむは説明を締め括る。
「ヘリオンデバイスもあるから前よりは戦いやすくなってると思うけど、それでも敵地に飛び込んで魔空回廊壊してくるのは大変な作戦になると思う。とにかくみんな無事で帰って来てね!」
 それじゃ頑張っていこー! とねむは明るく言って、彼女のヘリオンにケルベロス達を乗せて戦場へと導くのであった。


参加者
神門・柧魅(孤高のかどみうむ缶・e00898)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
清水・湖満(氷雨・e25983)
紺崎・英賀(自称普通のケルベロス・e29007)
美津羽・光流(水妖・e29827)
岡崎・真幸(花想鳥・e30330)
帰天・翔(地球人のワイルドブリンガー・e45004)
九田葉・礼(心の律動・e87556)

■リプレイ


 小田原城上空に、一機のヘリオン。
「小田原は忍者の里で有名ですよね」
 上空から見下ろし帰天・翔(地球人のワイルドブリンガー・e45004)はそんな事を呟く。
 忍者といえば浪漫、翔はそう感じているようだ。
「小田原城は忍者にとって居心地良い環境なんでしょうか……」
 この地は風魔忍者の伝承の伝わる地、何かプラスになる環境要因があるのかもと推測するのはミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)だ。
 そして紺崎・英賀(自称普通のケルベロス・e29007)と九田葉・礼(心の律動・e87556)、美津羽・光流(水妖・e29827)は地図を読み合わせながら上空から地形を確認していた。
「居場所がない辛さは分かる気がするけど……それなら定命化を考えて欲しかった」
 少し残念そうにヴァルキュリアの礼は呟く。
 かつて螺旋忍軍が行っていた非道な行いを報告書で知って怒りを覚えていたが、居場所がないという事については多少同情を抱いている。
(「まだおったんかい……しかも近所や」)
 一方、鎌倉住まいの光流が抱くのはかつて洗脳されていたからの嫌悪感。しかも近所の小田原にいるのだから一層強く感じてしまう。
「地球上の忍軍と戦うのもあと……いや何を言ってるんだ僕は」
 ぶんぶんと言葉にしかけた『勿体ない』という思考を振り払う。
 同乗している仲間達は時期こそバラバラだけれど、どこかで共に戦ったことがある。
 だから少しばかり燥いで恥ずかしい所を見られても大丈夫だろう。
 それより、と視線を移せば着物姿、目と唇に紅を引いた清水・湖満(氷雨・e25983)。
 普段の微笑ではなく真剣な表情、穏やかさより剣呑な印象を今の彼女は纏っている。
「ま、オレがいるのだ……大丈夫だろう」
 フフ、と自信に溢れた笑みを浮かべる神門・柧魅(孤高のかどみうむ缶・e00898)。
 勝利して無事帰る、それだけでいいのだ。
 一方、オラトリオの岡崎・真幸(花想鳥・e30330)は箱竜のチビを横に座らせ仏頂面でこの地を見下ろしていた。

 そして準備を整えたケルベロスは降下を開始。
 コマンドワードが聞こえ、ヘリオンデバイスが実体化していく中それぞれグラディウスにグラビティを練りこみ始める。
「戦えて楽しいのかもしれん。けどな、ここはあんたらの居場所やない」
 この地を必要としているひとがいる、だから彼らの為に胡満はその意志を以てグラビティを込めていく。
 同じように柧魅もこの地に螺旋忍者は相応しくなく、排除せねばならないと考えている。
「真の忍者の世界を魅せる時……!」
 新の忍者の世界、それは非情さ無慈悲さを持っても尚焦がれるもの――つまり、
「オレの事だな!」
 くっくっくと笑う柧魅、その手のグラディウスが徐々に輝き始める。
 そしてミリムも精神集中。
「……零式忍者の研究探求にご熱心なのは結構ですけど、ほんといつまでこの地に居座ってるんでしょうか?」
 それは疑問、ただし怒り混じりだ。
 この地は決して螺旋忍者の遊び場ではなく、身勝手な侵略を許すつもりはない。
「小田原城は住民の誇りであり観光客の大の楽しみでもあるんです」
 同情する点はあるが、それで人の営みを諦めて貰う訳にはいかないと礼は考える。
 一方、英賀の思考はやや方向が異なっていた。
 正直な所、今となっては技を極めたいと思い始めている彼。平穏を望んでいるけれど、強くなる事を楽しく思う面がある事も間違いなくて、螺旋忍者の気持ちも分からなくはない。
 ――けれど、定命化していない螺旋忍者は今の英賀と同じ域に達しているのだろうか。
 そんな事を考える彼、しかしそこで叫び声が響く。
「お前達は……てめぇらには何のロマンもねー!」
 人が変わったような翔が叫びに、ひっ、と英賀も気圧されてしまった気がする。
「忍者は非情で過酷でも道を歩いてんだよ! 道を外れた時点でてめぇらは忍者じゃねー!」
 この地の骸鴉達に『零の術』は相応しくない、そんな気圧される程の怒りに呼応し刃の輝きは増していく。
 真幸は骸鴉にとってはこの地自体が居場所なのだろうと推測する。
 拠り所を失くした放浪の辛さや無理解、軽んじられる腹立たしさと他者に見切りをつけねばならない底冷えするような感情は、彼も理解できるものであるから。
(「だが、今同じ目に遭っている奴らがいる」)
 螺旋忍軍と和解を望めない今、この地を追われた人々に土地を返してやりたい。
 何より。
「……俺が同じ立場なら絶対に許せん」
 失いたくない、真幸は静かに力を込めていく。
「ずっとここにおって望んだものは得られたか?」
 光流は憎悪こそこなしているけれど、好悪で言えば間違いなく嫌いな部類に入るその存在。
「死に瀕すれば得られるんやろ! せやったらくれたる!」
 受け取れ、死をもって『零』へ至れと心底から叫ぶ光流に呼応しグラディウスの輝きは臨界点に達する。
 回廊を守るバリアはすぐそこだ。
「拠り所が無いからっていつまでも屯ってないでさっさとゴーマイホームしなさい!!」
 すり減らし尖らせたミリムの心に去来する感情は剣のように鋭く、鬼の如き憤怒。
「私はここの復興のお手伝いの方が大切だから、貴方達は速やかに見送らせてもらいます!」
「……小田原を土地の奴らに返せ」
 礼と真幸がグラディウスを振りかぶり、
「似非忍者共はさっさと退場しやがれ!」
「……忍軍ぶっ殺す!!」
 英賀と翔が忍者刀のようにバリアに突き立てて。
「――今からあんたらを切り伏せる、覚悟しとき!」
「近所に「身近な死」なんていらへんねん!! 去ね!!!!!」
 同時胡満と光流、そしてミリムがグラディウスを強襲型魔空回廊を守る光幕に突き立てて一斉にその力を解放した。


 爆音と光、そして煙が小田原城一帯を包み込む中、降下したポイントは小田原城の天守閣の東側。
 すぐさま身を低くし天守閣を振り返る光流の目には魔空回廊は影も形もなかった。
 グラディウスの効果は覿面で、集まってくる忍者の姿も今は見えない。
 服の裏側や懐、自作の鞘等に短剣を各々落とさぬよう仕舞い込んだケルベロス達は撤退開始しようとするが、
「そっちから来よる!」
 強化ゴーグルのヘリオンデバイスを覗き込んで索敵していた胡満が警告、同時光流の耳も音を捉える。
 『骸鴉』の忍者『哀夜女』という名の忍者が応戦にやってきたのだ。
「僕の技……知りたいなら教えてあげる!」
 現れた黒装束の忍者の『死』になってやろうと、英賀がナイフを構えた直後、光流が跳躍し空からの流星の蹴りを見舞う。
 螺旋忍者はその一撃を躱し切れず受けて後方に吹き飛ばされ、そこに影が差す。
 跳躍した柧魅が降り注ぐ雨のように鋼糸を伸ばしていて、直後哀夜女の体に絡まり空へと体を引き寄せる。
 降下時の交錯、柧魅が体内の水分を練り上げて掌底を叩き込みそれを浸透させ、
「この銀雨が最後に見る景色……かもなっ!」
 直後、炸裂。衝撃に地に叩きつけられた螺旋忍者は、だが即座に体勢を立て直す。
 その間に礼とチビがエクトプラズムと属性インストールで周囲の仲間の抵抗力を高め、真幸が柘榴石の名を持つ赤のオウガメタルより粒子を前方に展開し支援する。
 そしてミリムも日本刀を構えて一気に駆け出し、月弧の軌跡で緩やかに忍者の足元に振るうがそれは後方に跳躍され回避される。
 しかしその回避先に胡満が流星の勢いで急降下、純白の下駄で螺旋忍者の頭に普段通りのキツイ一撃を加える。
 更に海藍刃に空の霊力を纏わせた光流が音もなく飛び込み螺旋忍者の傷口を切り裂き呪縛を増幅。
 反撃に鞘に納めていた忍者刀を抜き放ち一閃するが、身軽な英賀が飛び込みナイフで忍者刀を逸らし、ウイルスのカプセルをお返しに炸裂させた。
 治癒を阻害される感覚に舌打ちし、骸鴉の忍者は後方へと飛びのき距離を取った。

 一対八、骸鴉の忍者とケルベロス達の戦いは静かに続いていく。
 胡満を狙い毒纏う手裏剣を投擲する哀夜女、その手裏剣をミリムが機械腕のデバイスで阻む。
 そして手裏剣の創傷をエクトプラズムの疑似肉体が補い治癒する中、ミリムが低い体勢から忍者にタックルを喰らわせると、彼女に合わせ空高くから虹纏う英賀の急降下蹴りが炸裂。
 よろめく忍者に胡満が飛び込み摩擦熱に焔纏う蹴撃を正確に蹴りこんだ。
 何となく、先輩の胡満とミッション破壊で共に戦うのはこそばゆくはある英賀。
 一方の胡満はかなり気負い気味、ヘリオンデバイスの機能で動きは問題ないが、仲間に気を使って貰っているのは間違いない。
 故に見合う働きを、そんな決戦のような心境で胡満は戦いに臨んでいた。
 遠距離戦に持ち込もうとする哀夜女だが、前のめりに食らいついてきた柧魅の神速の蹴りが突き刺さり、その衝撃に動きが一瞬停止。
 そこに重量ある竜槌を変形させた翔の砲撃、真幸が鋼鬼の赤き拳を構え飛び込んできて、二つの速度から逃れる事は出来ず見事命中する。
 鬼のような目で敵達を睨む骸鴉の忍者、けれどどこか自分と似たものを真幸は感じていた。
 幼少期、四国を転々と移りながら育ち、今も残り続けたよく分からぬ蟠り。その実態はいつかの魂の叫びそのもので。
 もし出会った人が違えばそんな骸鴉と同じだったかもしれないが、彼の同級生は故郷はここだと笑って言ってくれた。
 それが救いとなっているから、彼らと同じではない。そんな事を考えながら、真幸は次の行動に移る。
「西の果て、サイハテの楔よ。訪れて穿て。滅びは此処に定まれり!」
 そして光流が胸の前の高さで十字に刀を振るい切り裂いて、空間の隙間から氷の楔が頭をのぞかせ螺旋忍者に射出、命中。
 癒しの力を阻害する楔に苦しむ忍者に翔がグラビティを中和する光弾を放つが、骸鴉は回避し再び分身を纏おうとする。
 帰る場所のない故の必死さ、厄介な相手ながらもケルベロス達の戦いは続いていく。


 着実に攻撃を重ねていくケルベロス達は危なげなく優勢に戦いを進めていた。
 妨害手である骸鴉の毒は強力だが、礼が悉く即座に対応し目立った被害は見られない。
 その上骸鴉の攻撃は前衛に集中させられている。
 元より一人を狙う業しか持たぬこの螺旋忍者、回復と守りを十全に整えているケルベロスを崩す事は叶わない。
 ミリムのルーンの輝き宿す暴斧の一撃を躱そうとするが、呪縛により反応が遅れ直撃を受ける。
 分身で傷を癒すが、グラビティ込めた柧魅の深紅の長手袋纏う拳の一撃に霧散させられる。
 チビのタックル含め他の分身解除の手段も豊富で礼は回復、支援に専念できている。仲間への耐性の付与にやや時間を取られたが、チビの助けもありようやく完了した。
「今一度、あなたの力を!」
 礼がその体に記録した死せるもののグラビティを具現化し、胡満に送り込みその力を高める。
 そして胡満が影干を伸ばし痛烈な一撃で急所を突き忍者が血を吐いて、更に胡満の前にそれとなく出た光流が氷結の螺旋を解き放ち骸鴉を包み込む。
 光流は彼女の覚悟を止めるつもりもない、いつも通り戦っているだけだ。きっと。
 そんな様子をちらりと振り返る柧魅から見ても胡満が特に後れを取っているようにも見えない。
 獰猛な笑みを浮かべ柧魅は氷の螺旋の余波に動きを鈍らせた骸鴉に飛び込み自身に注意を惹きつけるかの如く電光石火の蹴りを叩き込む。
 そこに翔のワイルドスペースの力を変換した凍結光線が放たれ、続けて真幸の変形させたナイフが螺旋忍者の腕の肉を乱雑に切り裂き呪縛を増幅。
 反撃の手裏剣が放たれるも、英賀が飛び込みそれを受け切って、
「風槍よ! 穿て!」
 ミリムの詠唱と共にその眼前に出現した紋章より五本の風槍が放たれ、螺旋忍者を穿ちながら吹き飛ばす。
 ここまで胡満には傷一つない、それは護り手達――特に親友であるミリムが喰らいつくように、盾のように骸鴉の攻撃を阻んでくれているから。
 心の内で感謝を述べつつ、なら仕事を果たさねばと胡満は想う。
「骸と成って沈め」
 右手を自由にして舞踏のように優雅な所作で飛び込むと、そこから暴力的な手刀の斬撃を叩き込む。
 それは決して逃れられぬ死そのもののような攻撃、逃れようとする骸鴉を連続で切り裂き血みどろに染め上げて、彼女に合わせ緑髪の水妖が空の霊力纏う刃で斬り抜ける。
「真の忍者の世界を魅せてやろう……ま、それに気づく頃には見惚れて終わっているかもしれないがな!」
 神門忍者らしく、魅せる忍術を。
 そんな声と共に雨のように降り注ぐ鋼糸の絶技は骸鴉の忍者の目を奪うほどに美しく、それは致命的な隙となる。
「来たれ神性。全て氷で閉ざせ」
 異なる世の神の一部を召喚する真幸の術により骸鴉周辺の温度が一気に奪われ凍結、その極低温の中、礼により雪さえ退ける凍気を纏いし杭が撃ち込まれて、
「さあさっさと死になさいこの死に損ないの塵!!」
 音もなく近づいていたミリムの居合の一閃、しかしそれを骸鴉は忍者刀で阻み致命を避け――、
「……さて、何を消せば君の死を証明できるだろう」
 静かに、虚を突いて。
 ミリムの気配に紛れ完全に日常の動作で近づいてきていた英賀が傍にいた。
 骸鴉の忍者は悪寒に飛びのいたがもう事は済んでいる。
「……ギロチンは既に落とされた」
 血飛沫が舞い、ぐらりと螺旋忍者の体が揺れる。しかし忍者の意地か踏み止まり反撃の居合の一閃。
 しかしそれをミリムが斧で阻み、そこにジェット加速で突っ込んでくる一つの影。
 四肢と左目を補う混沌の水を溢れさせて竜槌に限界まで纏わせた彼が距離を詰め、全力で螺旋忍者に槌を叩きつける。
 そのまま無呼吸で往復で衝動のまま振るう、振るう。
「てめぇがくたばるまで、この攻撃は止まねーよ!」
 混沌の力を纏わせた竜槌の連撃が柔軟に鍛えられた螺旋忍者の体を容赦なく打ち据え、破壊していく。
「もう終わってるよ」
 英賀のその言葉を地に崩れ落ちた骸鴉の忍者が認識する事はなかった。


 骸鴉を撃破したケルベロス達、
「さあ、離脱しましょう!」
「この位置なら東から堀を越えて逃れるのが安全だと思います」
 ミリムの言葉に礼が言って、上空から確認していた光流と英賀も同意する。
 真幸の靴のデバイスのビームに導かれるようにして撤退を再開した。
「ありがとう」
 駆ける中、胡満がミリムと英賀、柧魅に向けて言葉にする。
「あなたたちのことが、大好きだよ」
 嘘偽りない言葉は無事難局を乗り切ることができたから。
 ヘリオン内での険しい雰囲気も和らいで見える事に柧魅は安心しつつ、照れ隠しのように速度を上げる。
 そして程なく、大きな堀が出現。
「ここの堀……飛び越えた方が早えか?」
 翔がジェットパッカーのビームを仲間に繋ぎ、牽引して一気に飛び越えて着地。
 そしてそのまま駆け続けて、八人のケルベロスは魔空回廊を破壊した成果と共に無事帰還したのであった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年7月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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