迎撃、星戦型ダモクレス~決戦への序章

作者:沙羅衝

「みんな、集まってくれてありがとう」
 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)が、真剣な面持ちでケルベロス達に頷きかけた。
「投票の結果、アダム・カドモンとの決戦を行うことになったな。最後の戦いになるように、しっかりとやりきるで」
 絹の言葉はゆっくりとしていて、且つはっきりとしたものだった。彼女もまた、覚悟を決めているのだろう。
「いまや、アダム・カドモンのいる惑星級星戦型ダモクレス『惑星マキナクロス』は亜光速で太陽系に侵攻、太陽系の惑星の機械化を開始しているっちゅうことが分かった。目的は『機械化した惑星の運行を制御し、グランドクロスを発生させる』事。
 グランドクロスは、宇宙版の『季節の魔力』みたいなもんでな、その魔力で『暗夜の宝石である月』を再起動させて、地球のマキナクロス化を行うっちゅう作戦みたいや」
 絹は予知の結果を、一つ一つ丁寧に、全員を見渡しながら話す。
「ダモクレス軍は月に対して、惑星の機械化をしながら魔空回廊を利用して、月面遺跡の内部に直接、星戦型ダモクレスを転移させて、月遺跡の掌握を行おうとしてる。
 せやからみんなには、ケルベロスブレイドで月遺跡に急行してもらう。そんで、遺跡の防衛が今回の任務や」
 ここまで来たら腹を決めている。ケルベロス達も決意の表情で絹の説明を聞いた。
「ダモクレスが月遺跡の制御を奪う為には、ある程度の範囲の地点を狙って魔空回廊を展開してくるわけやけど、この地点はエロヒムちゃんの協力があってな、各地点を予知することができたで」
 そう言って絹はタブレット端末を操作し、前面にあるプロジェクターに月を映し出した。
「魔空回廊に送り込んでくるダモクレスは、1つの地点につき合計3体。全員が一気に現れるわけやなくて、1体につき8分毎になる。みんなにはここの地点で3体のダモクレスを撃破してほしい」
 1体が8分毎に現れるのならば当然1体のうちに各個撃破したほうが、戦闘は楽になるだろうことは、容易に想像できた。
「手間取ったらそれだけ敵の数が増えるわけやからな、ある程度の集中っちゅう作戦も必要になるやろ。
 もし勝つのが難しいんやったら、遺跡を破壊ちゅうこともできるから、そこんとこは判断任せるで。遺跡の破壊は出来れば避けたいけどな。やむを得んって場合もあるっちゅうことや」
 確かに遺跡を破壊してしまえば、地球のマキナクロス化という最大の困難を防ぐという事に対しての対策にもなるだろう。
 月面ビルシャナ大菩薩決戦での戦場となった地域ではあるのだが、決戦勝利後に、暗夜の宝石を利用する事が不可能になる場合がある。とすればあまり遺跡は傷つけたくない為だ。
「んじゃあ、敵についての情報や。
 星戦型ダモクレスっちゅうのは『宇宙での戦闘用に改修強化されたダモクレス』になる。制圧後に古代機械の操作とかを行う必要があるから、小型から中型で機器の操作などが可能な人間型のダモクレスが作戦に投入されてきてる。
 そんなかでも、みんなに相手にしてもらうダモクレスは、『心理博士』『グリード『憤怒』大隊:近衛仕様』『グリード『強欲』師団:精鋭仕様』の3体や。
 どうやらこの『心理博士』がこの中でのトップみたいでな、さっき言った古代機械の操作とかを行う一人になるみたいや。攻撃方法は心理戦を得意とした戦法を取ってくる。性格は『理知と欲に塗れた融和的利己主義者』なんて情報もあるな。
 で、他の2体は戦闘型になる。『近衛仕様』が前に出るタイプで、結構固い。『精鋭仕様』がサイドから仕掛けて削っていくタイプ。やな。当然この3体がそろうと厄介になる。今回はまず『近衛仕様』が出現して、次に『精鋭仕様』。そんで最後に『心理博士』が出てくるから、なるべく各個撃破を目指すんやで」
 この順番から察するに、最初の『近衛仕様』を如何にして早く撃破することが一つの鍵となりそうだった。後になれば、他の敵の攻撃が厄介になるだろう。
 ここで絹はふっと息を吐き、ケルベロス達に微笑んだ。
「ここまで来たんや。みんなやったらできるって確信してる。
 この戦いを皮切りに、ダモクレスとの決戦が待ってる。戦いはこれからになるから、これで終わりやない。
 でも、強敵との3連戦は、油断いっこもできへんやろ。
 せやからまずはここ、しっかりと頼む。信じてる! いつも通りみんなで作戦立てて、勝ってきてな。
 美味しいご飯作って待ってるから!」


参加者
フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
天羽・蛍(突撃戦闘機・e39796)
ナナツミ・グリード(貪欲なデウスエクス喰らい・e46587)
柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)
 

■リプレイ

●月面遺跡
「ここがー、目的の月面遺跡内部ですわねぇー」
 ケルベロス達は万能戦艦ケルベロスブレイドで月面に移動し、遺跡内部に潜り込んでいた。フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)が、辺りをゆっくりと見渡し、内部を確認する。
 月面内部は、荘厳な神殿のようだった。何かの機械のような物体も見えた。
「どうやら、エネルギーは枯渇している様子。今は動かないようですが、これが月のあらゆる所にあると思うと、恐ろしいですな……」
 据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)は、その機械の一部を確認し、頷いた。
「デバイスは起動させておくねぇ~」
 ナナツミ・グリード(貪欲なデウスエクス喰らい・e46587)は、そう言って自らのジェットパックデバイスを起動させた。
「皆はいるかなぁ?」
 そして続けて、仲間に尋ねた。
「そうだね。私はお願いしようかな」
 すると、天羽・蛍(突撃戦闘機・e39796)が同意して頷いた。
「俺も頼むぜ。出来る事は、なんだって準備しておくに越したことはないからよ」
 柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)は、戦場を一通り確認した後に追加で頼むとナナツミに伝えた。彼の大きな肩にはウイングキャット『虎』が腰を掛けていたが、主が宙に浮くとさっと飛び降りた。
「ははっ。これは良いね!」
 蛍はつながったジェットパックデバイスを確認し、上空を滑空する。翼を広げてざっと飛んで見せた。
「物量攻勢ですわねぇー。最初期を考えるとー、懐かしくもありー。
 故にこそ闘うのが私達でしてー」
 その様子を見ながら、フラッタリーはケルベロスとして戦い始めた当初を思い出す。敵はあとダモクレスのみ。最後の決戦となろう事は、全員が分かっていた。
「その為の前哨戦ですからな……。と、来ましたか」
 赤煙がそう言葉を発した時、目の前に大きな魔空回廊が出現していく。
 グラビティの収束が、1体のダモクレスを出現させた。
「なんだ? 誰か居やがる……?」
 現れたダモクレスは、そう呟いた。手には大きな金棒のようなものを持ち、肩からは火器が露出している。
「おっと残念、そこでストップです。遺跡を利用させる訳にはいきません」
 赤煙がそう言うと、ケルベロス達は現れたダモクレス『グリード『憤怒』大隊:近衛仕様』を取り囲んだ。だが、彼は焦る様子はなく、その金棒のような武器を構え、嗤う。
「まあいい。ぜんぶ、壊しゃ良いことだ!」
 こうして、月移籍での戦いが始まった。それは、ダモクレスとの最終決戦の始まりでもあったのだった。

●死闘の予感
 気合いの声と共に、額から地獄を噴き出す狂笑を携えながら、フラッタリーが『蝶之掌』を突き出す。
 ギィン!!
「甘めぇ!」
 しかし、『憤怒』はその金棒を操り、彼女の攻撃を真正面から受け止めた。
「オラオラぁ! どうした、その程度かあ!!」
 そして、体を一時縮めて、一気に内部の血を爆発させる。
「見切っておりますとも!」
 その上空から降る血の攻撃を避け、赤煙の日本刀が弧を描く。すると、確かに『憤怒』を切りつける事が出来た。
「虎!」
 すると、その攻撃に間髪入れず、鬼太郎が突っ込む。『虎』がキャットリングを放ち、その攻撃を援護として、鬼太郎は右拳を握りただ、殴りつける。
「強い強い! でも、まだまだァ!」
 腹に撃ち込んだ確かな手ごたえはあった。だが、倒れない。
 ケルベロス達は『憤怒』に猛攻を加えていた。敵の攻撃の精度を削ぎ、こちらの攻撃を確実にヒットさせる。敵の攻撃は単純であり、それ程脅威とは思えなかった。確かに一撃は力があり、まともに食らってしまえばかなりのダメージはもらってしまう。だが、ケルベロス達は情報をもとに対策を整えていた。
「感覚が無いのかな?」
 蛍がそう感じるのは無理もなかった。彼女はその足を止めるべく、滑空しながら両脚に重力の蹴りを叩きこむが、それでも、にやりと嗤いながら動きを停めない姿に、少しだけ戦慄を覚えた。ただ破壊する事だけに特化している姿は、もはや、異常とも思えた。
「……皆壊せば変わらないって? キミも変わらないねぇ~」
 そこにナナツミが空中から、即座に接敵すると即座に貫手を『憤怒』の肩口に突き刺した。
「……ならわしも、変わらず喰らうまで」
「手前ぇ……」
「あ、怒った? 短気は損気だねぇ~」
 ナナツミは笑みを浮かべながら貫手を引き抜き、再び距離を取った。
「知り合いですかな?」
 少し楽しんでいるような様子のナナツミに、赤煙はそう尋ねた。
「そんなとこだねぇ~」
 そうこうしているうちに、戦いはケルベロスが一方的にダメージを与えるようになっていっていた。普段であれば、このまま押し込めるだろうと思える感じと思えるくらいに。だが、鬼太郎が叫ぶ。
「7分!!」
 あたりに響き渡る声は、ケルベロス達に緊張を走らせる。そう、それは魔空回廊が次の敵を呼び込む合図だ。
「ハハッ! 何を焦ってんだあ?」
 嘲笑を浮かべながら、目の前の蛍を殴りつける『憤怒』。それを『虎』が必死に庇った。
 一斉に攻撃を開始し、ダメージも与える事ができる。だが、敵が、倒れない。
「拙い……ですかな」
 赤煙がそれを確認する。
 そう、魔空回廊が再び収束しているのだ。
「おっと、これはこれは『憤怒』殿。お楽しみのようでありますな?」
 そして、1体のダモクレスが降臨する。金属でできている鳥の仮面が特徴であろうか。軍人のようなダモクレスだった。

●魔空回廊
 出現した『強欲』によって、敵の構成がガラリと変わる。今までは存在しなかったコンビネーションが生まれだしたのだ。
「その武器、良いものでありますな」
 目の前にる『憤怒』に庇われながら、『強欲』が無理矢理に戦場を駆け抜けると、前衛のフラッタリー、鬼太郎、『虎』の武器に直接手刀が叩きこまれ、握りに違和感が出る。
「じっくり、いただくとしましょうか」
 ただ、ケルベロス達も冷静さを欠いてはいなかった。出現する敵が増えるのは想定内のことだ。
 まずはダメージが大きい『憤怒』を始末することに注力する。蛍が空中から地獄を変換した輝くプラズマの剣を造り出す。
『レイディアントソード!』
 翼を大きく広げた後に身を翻して、きりもみ状態となる。そして、瞬時にして『憤怒』を切り裂いたのだ。明らかなる大ダメージが入る。だが、彼の執念だろうか、最後にグラビティをひねり出す。
「これで最後だ、とっときなぁ!」
 繰り出した拳が、蛍の腹を襲う。
 ガツッ!!
 鈍い音を立ててその攻撃を庇ったのは鬼太郎だった。
「しゃーねえ……」
 その言葉が『憤怒』の最期だった。

「『憤怒』殿も、良くやったと言わざるを得ませんな」
 勿論1体を倒したからと言って、戦いは終わっていない。ケルベロス達は『強欲』に対しての攻撃に注力し始めた。
「獲っても問っても盗り足らなーい……そうでしょ? わしも摂り足らないってとこ。
 ねっ? 採るだけで満足してない?」
 ナナツミがガントレットから指を突き出し、急所めがけて突く。
「そうですな。まだまだ足りませんとも」
 ナナツミの攻撃をひらりと躱す『強欲』。だが、その着地の隙を見たフラッタリーが姿無き刃を手に駆け抜けた。
『遍クヲ包mU静穏之如ク、終Enヨリ来タレRi颶風之滅ビヲ告ゲ真セウ。流転輪廻ガ囁クヤフニ』
 フラッタリーの放った刃が創り出した傷を『強欲』が確認する。
「これは中々。厄介という事ですかな。ですが、これもまた一つ得た。といったところでもありますかな」
 すぐに『強欲』が反応し、フラッタリーに右腕を差し出す。まるでその力ごと奪いたいと言った狂気がそこに存在していた。掌を広げ、その存在そのものを掻きむしろうと強引に引き裂く。
 虚を突かれたフラッタリーは、その攻撃を避ける事が出来ない事が分かって、ニイと嗤う。ならばそのまま狂気に付き合えば良いと。
「虎!!」
 鬼太郎が指示を出す。既に『虎』のダメージは限界に来ていることもわかっていたが、まだここでフラッタリーに致命傷を与える訳にはいかないからだ。
 果たしてウイングキャットは、主の命令に忠実に従う。体を投げ出し、フラッタリーに伸びた掌を受け止めたのだ。
「良い、サーヴァントですなあ……」
 身体を貫かれ、四散する『虎』
「ああ……。俺の自慢の相棒だぜ?」
 そう言って鬼太郎は、二本の短刀を両手持ち、『強欲』の目の前で構えを取ったのだった。

 この『強欲』は先ほどの『憤怒』とは、まったく違う戦闘方法を取った。素早く戦場を駆け抜け、こちらの弱い所を突いてくる。特にケルベロス達が持っている武器に執着があるのか、攻撃を食らうごとに、こちらの動きが阻害されていくのだ。
 だが、敵も1体となったことで、各段にやりやすくなった。
「そこですな!」
 赤煙が放った竜砲弾が、その脚を止める。すると、ガクリとその移動速度が落ちたのが分かった。こちらに形勢が傾いた。そう思えた瞬間だった。鬼太郎のアラームの音が無常に響き渡る。
 こちらに分があると分かった所で、1分ではどうしようもなかった。収束した魔空回廊から、また新たにダモクレスが出現したのだった。

●遺跡と、ダモクレスと、ケルベロス
「あれぇ~? 一人足りなくない?」
 出現したデウスエクスは、周囲の様子を確認すると、そう発した。
「……なるほどね~。理解したよぉ。うちの子達がお世話になったみたいだねぇ」
 様々な色で発色する翼を広げ、ケルベロスに近づいてくる。
「よう、あんたがここの指揮官かい? 俺はオウガ、柴田鬼太郎!
 全力で相手してやるからよ……かかって来いよ!」
 鬼太郎は、ここで一歩前に出る。正直、分が悪いのは理解していた。ならば、どうしていけば良いかを考えながら、相手の様子を伺う。
(「選択肢としては、もう一つのほうも考えなければなりますまい」)
 それは赤煙も同じだったのか、二人は軽く頷きあった。
「ハロー博士~久々だねぇ~。積もる話もいっぱいあるんだけどねぇ~」
 するとナナツミがそう『心理博士』に呼び掛けた。
「そうだねえ。もっと色々と話をしたいよねぇ」
 相手の反応は興味があるようで、興味が無い。実態があるようでない。そんな感覚がケルベロス達には伝わる。表情も良く変わり、良く出来たダモクレスなんだろうが、何故か芯の部分が無いような気がした。
「でも……今言いたいことは一つだけ、……心理を喰らってね、わたしがオリジナルになる」
 すっと指先を伸ばして構えるナナツミ。じりじりと距離が縮まっていく。
「……じゃあ、どうするんだい?」
 目がゆっくりと細くなり、獲物を狙う表情となっていく『心理博士』
「デバックデータと言っても、わしとキミは同一なんだ。
 ダモクレスとケルベロス……どちらの力が勝るのかな?」
 ナナツミのその言葉が戦闘の合図となる。『心理博士』が翼を広げ、七色のビームが展開される。蛍は何とか避けるが、ナナツミは避ける事ができない。
「ぐを……」
 それをナナツミを突き飛ばし鬼太郎が庇う。鬼太郎の体が七色の光に蝕まれ、脳に良くわからない情報が叩きこまれてくる。
「頂戴しますね」
 それは一瞬の出来事だった。『強欲』が鬼太郎の腕を叩き落とし、切り裂く。明らかなる致命傷に、『強欲』の頬が緩む。しかし、すぐに驚愕の表情に変わる。蛍の『ガトリングガン+』から時空凍結弾が射出され、足元が凍り付いたと同時に、フラッタリーの手刀が『強欲』の胸を貫いたのである。
「まあ。合格点でしょうかなあ……」
 己が何を得たのかを理解しながら、満足げな表情を浮かべて散っていく『強欲』。見ると鬼太郎が苦悶の表情で地に降り立った。
「……ここまでか」
 彼の右腕がだらりと下がり、大量の出血が無事では無い事を告げる。もう彼にこれ以上の戦闘は無理であった。
「鬼太郎はもう下がろう!」
「天羽殿、悪い」
 鬼太郎は蛍に頭を下げて、戦闘区域から下がっていった。

『喝ッ!!』
 赤煙は『心理博士』の背後に回り込み、手刀を繰り出す。すると、『心理博士』にかかっていた防御のオーラが少し削がれた。だが、完全ではない。このオーラを排除しない限りは、敵の行動に制限がかけられない。
 ナナツミが指を『心理博士』の喉に突き刺すが、まだ相手を屈服させるには至らない。
「潮時ですかな……。まだ、何も終わっていませんからな」
 赤煙はその様子を見て、全員にそう視線を飛ばす。このまま決死の覚悟でこの敵を討ち取るというのもまた、選択肢としてはあった。だが、前衛の一角が崩れ、敵はまだまだ倒れないだろう。それに、まだ勝の絵が描ききれない。
 ならば、不安定な未来に賭けるより、現実的な未来を取る。
「先達ノ遺産。遺子ノ意志。簒奪サルrU事能ワ不」
 フラッタリーが、踵を返し、遺跡を破壊し始めた。
「へぇ~。そう来るんだぁ。でも、させないよぉ」
 即座にその破壊を止めようとする『心理博士』。だが、その前にナナツミが立つ。
「ごめんねぇ~。ホントはもっと遊びたいんだけど」
 そう言って、拳を繰り出して『心理博士』を突き飛ばす。この隙に赤煙も遺跡にグラビティを放ち、蛍は鬼太郎を担いで、飛翔した。
「残念だけど、相手はここまでだよん。わしらの目的は、まだ先にあるからねぇ」
 それが撤退への合図となった。
 遺跡を破壊しながら、撤退していくケルベロス達。少なくともこれで少しの時間は稼げるだろう。

「撤退路を案内しますね」
 ゴッドサイト・デバイスを展開し、帰路を確認する赤煙。
 まだダモクレスとの決戦は序盤に過ぎない。
 やはり強敵達であることを再認識し、次への戦いへと備える。
 最後に立っているのはケルベロスか、それともダモクレスか。

 その運命の戦いが、これから始まる。

作者:沙羅衝 重傷:柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年6月17日
難度:やや難
参加:5人
結果:成功!
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