●音々子かく語りき
地球のマキナクロス化を宣言した超機神アダム・カドモンにどう対応するか?
それを決めるべく投票をおこなった結果――、
「――アダム・カドモン率いるダモクレス軍団に決戦を挑むことにあいなりましたぁーっ!」
ヘリポートに並ぶケルベロスたちの前でヘリオライダーの根占・音々子が声を張り上げた。激しい戦意が光に変じて、ぐるぐる眼鏡を眩しく輝かせている。いや、実際は日差しを照り返しているだけなのだが。
「現在、アダム・カドモンの座乗する惑星級星戦型ダモクレス『惑星マキナクロス』が太陽系の惑星の機械化を進行中なんですよー。機械化することで惑星の運行を制御し、グランドクロスを発生させることが目的だと思われます。ほら、ドリームイーターたちが何度も利用しようとしていた『季節の魔力』っていうのがあるじゃないですか? 言ってみれば、グランドクロスは宇宙規模の『季節の魔力』なんですよ。滅多に見られない大イベントですからねー」
アダム・カドモンは『季節の魔力』を以て、暗夜の宝石――すなわち月を再起動し、地球をマキナクロス化するつもりなのだ。月面遺跡を掌握するため、遺跡内部に戦力を送り込む準備も始めているという。もちろん、送り込むための手段は魔空回廊である。
「なので、ケルベロスブレイドをかっとばして月に先回りし、遺跡内で防衛体制を固めちゃいましょー。アダム・カドモンが戦力を送り込んでくる地点は複数ありますが、聖王女エロヒムの協力で全地点を予知することができました。皆さんにはそのうちの一つで敵を迎撃していただきます」
各地点に投入されるダモクレスは三体ずつ。予知によると、最初の一体が現れてから八分後に二体目が送り込まれ、更に八分後に三体目が送り込まれてくる。八分以内に撃破できなければ、複数の敵と同時に戦うことになるだろう。
「敵のおおまかな情報も予知できました。一体目は『マダム・バーガンディ』。貫禄ある老婦人みたいな姿の人間型ダモクレスです。本来は戦闘タイプではないようですが、甘く見てはいけませんよー。今回の作戦に参加するダモクレスたちはすべて決戦用に改修され、武装が強化されていますから。
二体目は『ピアンジ』。西洋甲冑を纏った重戦士って感じのやつです。三体の中で唯一、人語を話すことができません。まあ、話せたところで交渉とかできるような状況ではありませんけどね。
三体目は、若い女性型ダモクレスの『グラッジ』。マダム・バーガンディもそうですが、外見は人間とさして変わりません。そして、甘く見てはいけないという点も同じです。こーんなに大きな――」
音々子は両腕を広げてみせた。
「――剣と重火器を持ってやがるんですから。あと、これは予知ではなく、ただの予測に過ぎませんが、三体の中で最も理知的で慎重なのは先鋒のマダム・バーガンディだと思われます。たぶん、無茶な戦い方はせず、後続の到着を待つために時間稼ぎに徹するんじゃないでしょうか……だとしたら、ちょっと厄介ですねー」
仮にマダムが『ちょっと厄介』な戦術を取らなかったとしても、強化改修された三体のダモクレスとの連戦は厳しいものになるだろう。勝てる見込みがなくなった時は遺跡内の機械を(敵に利用されないように)破壊した上で撤退したほうがいいかもしれない。破壊することで自軍もそれを利用できなくなってしまうが、地球のマキナクロス化を防ぐためにはやむを得ない。
「なお、今回はケルベロスブレイドの援護は受けられません。戦場が遺跡の内部ですから。とはいえ、援護があろうがなかろうが――」
ぐるぐる眼鏡がまたもや眩しく輝いた。
「――皆さんがダモクレスなんぞに負けるはずはありませーん! 私はそう信じています!」
参加者 | |
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青葉・幽(ロットアウト・e00321) |
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486) |
玉榮・陣内(双頭の豹・e05753) |
比嘉・アガサ(のらねこ・e16711) |
リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197) |
巽・清士朗(町長・e22683) |
エマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314) |
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807) |
●マダム・バーガンディ
「先鋒に精鋭を配置するとは、さすが判ってるって感じだよね。でも――」
真紅の甲冑を纏ったヴァルキュリアの娘が爆破スイッチを押した。
「――わたしたちは負けられないんだから!」
『精鋭』と評されたあたしの背中で爆発が起きた。不可視の爆弾をいつの間にやら貼り付けられていたようね。
その爆発音に紛れて、男の声が聞こえてきた。
「六分経過だ」
そして、爆煙が晴れると同時に、陰気くさいシャドウエルフの娘が刀を振り下ろしてきた。
斬り裂かれたのはあたしの右上腕部。傷口から赤いものと白いものが飛散して、六分の一の重力に抗いながら、ふわふわと舞い落ちていく。赤は疑似血液の滴、白は刀身から生じた灰。
「何度か食らって判ったけど――」
あたしは蜘蛛型機械を腕に這わせ、傷口を癒着させた。
「――この穢らわしい灰にはアンチヒールの効果があるようね」
「それが……なにか?」
無表情に応じるエルフの斜め後方から砲弾が飛来した。射手は、敵チームの中で唯一の地球人。アームドフォードを装着した娘よ。
あたしは吹き飛ばされたけど、空中でじたばたもがくようなみっともない真似はしなかった。四肢に仕込まれたスラスター(星戦型への改修の一環)を噴かし、華麗に着地。
もっとも、足裏が地に着いた瞬間、猫耳を生やした娘が華麗ならざる降魔真拳を叩き込んできたけどね。
「随分と荒っぽいわねぇ。少しは手加減してよ、お嬢ちゃん」
「あんた殺すという方針は絶対に変わらないけど、あと一度でも『お嬢ちゃん』呼ばわりしたら――」
細い瞳孔を更に細くして、猫耳の娘は睨みつけてきた。
「――かなり惨い殺し方になると思うよ」
「あらあら、おっかない顔だこと。女は愛嬌よ、愛嬌」
「時世に疎いな、マダム」
口を挟んできたのは黒豹の獣人。『六分経過』と報告していた男よ。
「最近は『女なら云々』だの『男はどうこう』だのといった発言は炎上必至なんだぜ」
「地球をマキナクロス化してしまえば、そんな時世も一変するでしょうよ」
「させるものか!」
別の獣人(といっても人型だけどね)が銃弾を撃ち込んできた。
「一度は東京湾のマキナクロス化を許してしまったが、あれを地球規模でおこなわせたりはしない」
四角四面って感じのお兄さんね。
やっぱり、戦闘任務ってのは性に合わないわー。この手の生真面目な男を籠絡する楽しみがないんだもの。
●エマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314)
「刃蓙理さんの灰がお気に召さないのでしたら――」
馬の獣人型ウェアライダーのエニーケさん(ちなみにわたしと同じく甲冑姿だよ)が形のいい脚を高ぁーく蹴り上げて、星形のオーラを発射。
「――灰も残さず、燃やし尽くしてさしあげますわ!」
ドレス姿のおばさん型ダモクレスにオーラが命中した直後、人派ドラゴニアン(だけど、角とかは引っ込めてるよ)のお侍――清士朗さんが突っ込んだ。
「古代中国において、月は死者の魂が昇る場所と言われていたそうだ」
日本刀が一閃して、おばさんの体から血(みたい液体)が飛び散った。パッと花咲くように。
「遙か見上げて美しいものを古人は天国と呼んできた。なればこそ、天より降りた魔たるおまえたちは地球を見下ろして地獄と呼ぶのだろうな……」
「詩人ですこと」
手の甲で口を隠すようにして笑いながら、おばさんは蜘蛛のマシンで傷を治した。ちなみに彼女が攻撃したのは最初の一回だけ。後はずっと守りに徹してるんだよね。
●死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)
「でもね、詩人さん。あたしは地球を地獄だなんて思ってないわ。デウスエクスにとって、地球というのはグラビティ・チェインの供給源なんだから」
「一度でも考えたことある?」
幽さんが……地面にワイヤーフックを発射すると同時にジャンプ。ワイヤーの力とアームドフォートのスラスターで慣性を制御して急降下に移り……マダムにスターゲイザーを打ち込みました。
「その『供給源』で生きてる無数の命のことを!」
「みゃあ!」
『無数の命』の一つであるウイングキャットが……尻尾の輪を飛ばしました。
しかし、これだけの猛攻を受けてもなお……マダムは倒れません。見た目よりも頑丈……というだけでなく、ただひたすらにヒール系グラビティだけを……使っているからでしょう。
その作戦は功を奏して――、
「来たよー」
――エマさんが指さした先に……現れました。
二体目のデウスエクスが……。
●リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)
アガサがゾディアックソードで守護星座を描き、俺や陣内や清士朗に(そして、アガサ自身にも)異常耐性を付与してくれた。
守護星座の光を受けながら、俺もまた星座の光を放った。スターイリュージョンだ。標的は、新たに現れた甲冑姿のダモクレス……ではなく、マダムのほう。
「すまない。先約があってな」
と、甲冑ダモクレスに断りを入れて、清士朗もマダムに斬りつけた。
もちろん、甲冑ダモクレスはおとなしく引き下がったりはしない。
「~~~♪」
歌声めいた電子音声で怒り(なのか?)を表しながら、ドリル状のミサイルを清士朗めがけて撃ち出した。
しかし、それは清士朗に命中しなかった。俺が素早く踏み出し、盾となって受け止めたから。
その間に他の者たちも攻撃を仕掛けている。言うまでもなく、相手はマダムだ。
「なんで、あたしを集中攻撃するのぉ?」
マダムがうんざりした顔を見せても(これだけの攻撃を受けて『うんざり』レベルで済ませるのはたいしたものだが)皆の攻撃は止まらない。
「私たちは蛇のようにしつこいんですよ」
「チームの半数が……巳年ですから……」
エニーケがフロストレーザーを発射し、刃蓙理が白い喰霊刀で斬りつけた。
●ピアンジ
「ダモクレスもまた未来を憂いていることは知っている。だが――」
狼の人型ウェアライダーが発砲。
「――地球には地球の未来があるのだ」
銃弾がマダムの胸を貫通。
「あたしはもうダメみたい。後はよろしくね、ブリキの兵隊さん……」
マダム、機能停止。発言の意味不明。我はブリキ製ではない。
「~~~♪」
我は歌唱型グラビティをケルベロスたちにぶつけた。
「言の葉をつくして今宵あいまみえ、仰ぐ旗のみ違うを惜しむ」
ヴァルキュリアが光の蝶の群れ(ヒーリングの効果を認む)を召喚。マダムと同様、発言の意味不明。
他のケルベロスたちも理解していないと思われる。猫系のウェアライダーがヴァルキュリアに質問。
「なに言ってんの、エマ?」
「敵の歌に短歌で答えてみたの」
やはり、意味不明。ある種のユーモアか? それは定かではないが、マダムの最期の発言もユーモアだったのかもしれない。軽口、諧謔、冗談と呼ばれるもの……うむ。そうに違いない。
我は一つ学んだ。数秒前より賢くなった。定命者たちよ、これがダモクレスだ。不老不死は停滞にあらず。永遠の学習。終わりなき成長。さあ、我が歌を聴け。自らの無知と不明を恥じよ。
「~~~♪」
「こいつ、妙にテンション上がってない?」
アームドフォートを装着した女が轟竜砲を発射。恥じる素振りなし。
定命者、許すまじ。
●巽・清士朗(町長・e22683)
ピアンジがドリルのミサイルをまた撃ち出した。
標的は刃蓙理だったらしい。何故に『らしい』が付くのかというと、標的に届く前にアガサが盾となったから。
「なんでドリルなの? 発掘でもするわけ?」
結構なダメージを受けたであろうに、アガサは苦痛の表情など見せなかった。勇敢な行為に相応しいキメ顔も見せなかった。無表情……というより、むすっとしている。
「どこに可愛げを落としてきた?」
陣内が苦笑している。
「マダムも言ってただろう。女は愛嬌だぞ」
「……炎上したいの? 物理的に」
陣内を横目で睨みつつ、ピアンジめがけて熾炎業炎砲を放つアガサ。仲良きことは美しきかな。
「~~~♪」
炎を浴びたピアンジがまた歌声を発した。なにかを伝えたいらしいが、なにも伝わってこない。
「さっさと消え失せなさいな!」
三流の歌い手に向かって、エニーケが怒鳴った。
「譲れない思いや他種族への理解なんて、機械ごときには不要ですから!」
ピアンジの甲冑のそこかしこで火花が散った。どうやら、今の怒声はグラビティだったらしい。
●玉榮・陣内(双頭の豹・e05753)
「受け取れ、陣内」
リューディガーがルナティックヒールの光球を投げてくれた。
月で『ルナティック』なヒールを施されるってのも皮肉だよな。いや、そもそも月を守るというシチュエーションそのものが皮肉だ。狂月病に苦しめられてきた俺にとっては地獄も同然の場所なんだから。
なぜ、地獄なんぞを守る必要がある? 最悪の場合は遺跡の施設を破壊して退却するという手筈になっているが、いっそのこと、自分の手で『最悪の場合』を作り出てやろうか……なんて衝動を戦意に変換して、俺は敵の背後に回り込んだ。
甲冑の隙間を狙い、斬殺ナイフで一突き。
「~~~♪」
怒号と思わしき歌声を響かせて、甲冑野郎は振り向いたが――、
「不用意……ですよ」
――刃蓙理の黒影弾を背中に喰らい、巨体をよろめかせた。
続いて攻撃を仕掛けたのは清士朗。俺と違い、月を天国と見做している男。
「この遺跡は思い出の場所なんだ。ゆえに――」
清士朗の刀が水平に走り、甲冑野郎の上半身が下半身に別れを告げた。
「――悪戯などされてはかなわん」
●青葉・幽(ロットアウト・e00321)
ピアンジが一刀両断にされた数秒後、少女の姿をした第三のダモクレス――グラッジが現れた。
「一足遅かったですわね!」
エニーケさんが轟竜砲を発射したけど、グラッジは小銃の単射で相殺した。転送直後に仲間の死体(残骸?)と敵の不意打ちというダブルショックに見舞われたというのに冷静沈着ね。
「いや、逆に早すぎた。不良品どもが倒されるのが……」
憎たらしげなことを言いながら、グラッジは小銃を連射。
前衛陣がダメージを受けたけど、エマが光の蝶を何十羽も飛ばしてヒールした。ヒーリングパピヨンの広範囲バージョン。
「仲間を『不良品』呼ばわりするのはひどいんじゃないの? 倒した側が言うのもナンだけどさ」
エマが非難してもグラッジは眉一つ動かさない。なるほど。弱者や役立たずと見做した対象を平気で切り捨てるタイプってわけね。
私が嫌いなタイプだわ。
そして、私が嫌いだったアイツが最も嫌うタイプだわ。
●グラッジ
「アダム・カドモン様は貴様たちに一定の評価を与えたようだが、私は違う」
定命者たちに私は言ってやった。
「貴様たちは進化を否定的に捉える愚か者であり、宇宙の歪みの問題を先送りにして子孫に負債を押しつけている卑怯者だ」
「べつに否定的に捉えちゃいないさ」
黒豹の獣人がブラックスライムをけしかけてきた。
「あの青い星に根を下ろし、定められた時間を生きることもまた進化の一つの形なんだよ。俺たちは楽園を追われたのでもなければ、手放したのでもなく――」
スライムは捕食形態に変じて、生意気にも私に食らいついた。
「――アダムとイブであることを自ら選んで袂を分かったんだ」
「ここにも詩人がいたか」
刀剣を手にした人派ドラゴニアンらしき男が獣人を見てニヤリと笑い、そして、私に斬撃を浴びせた。躱すことができなかったのは、それが微風かせせらぎを思わせる自然な動きだったから。
「アタシたちのことを卑怯者扱いしてるけど、アンタらはどうなのよ!?」
アームドフォートを装着した女が叫んだ。そのアームドフォートの下のサーコートはオーバーサイズの物を仕立て直した物に見える。最初から適正サイズを着ればいいものを……定命者のやることは判らない。
「『更なる進化で宇宙の歪みを克服する』とかいうお題目は立派だけど、それで利を得るのはアンタらだけでしょうが!」
●エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
「だから、なんだ? 戦いに勝利した者が利を得るのは当然……いや、利を得たからこそ、勝利者と呼ばれるのだ」
傲慢な小娘型ダモクレスの声を聴いていると、嫌でも思い出してしまいますわ。私(と私の両親)の人生を滅茶苦茶にしてくれたダモクレスどもを……。
私の憤りが伝わったというわけでもないでしょうが、幽さんは叫び続けました。
「アタシは誓ったのよ! 『勝利者』気取りの連中から見捨てられ、時には虐げられる弱き者たちのために戦うって! だから――」
アームドフォートから何十発ものミサイルが一斉に飛び出しました。
「――アンタらの目論見は必ず打ち砕く! 必ずよ!」
ミサイル群は眼にもとまらぬ(そう、缶チューハイが紛れ込んでいても見分けられないほどの)スピードでジグザグに飛び回った末、次々と小娘に命中して爆発しました。
「貴様らがわた……」
「あー、はいはい」
爆炎にまかれた状態で小娘はなにか言いかけましたが、そこにアガサさんが割り込みました。チェーンソー剣を振りかぶって。
「もっとシンプルに考えようよ。あんたらが自分たちを守るために戦うのなら、あたしたちも地球を守るために戦う。それだけのことでしょ」
チェーン状の刃が唸り、小娘の外皮の破片が飛び散りました。
●比嘉・アガサ(のらねこ・e16711)
「こっちが消耗してる段階で、いちばん攻撃力の高い敵をぶつけてくるとは……やっぱり、判ってるよねー」
エマが感心してる。
実際、グラッジの攻撃力は高い。
だけど、治癒や援護をしてくれる『不良品』たちがいないんじゃあ、せっかくの高火力も宝の持ち腐れ。三回戦開始から七分が過ぎた頃には、見るも無残な姿になっていた。
「さっき、勝利者について語っていたな? だが、勝つのは俺たちだ」
リューディガーのスターイリュージョンがグラッジに命中した。
「数多の戦いをくぐり抜けてきた心強い仲間がいるのだからな!」
「それに比べて、仲間に恵まれなかったダモクレスたちの哀れなことぉ!」
例の罵声系グラビティをエニーケが披露した。凄い迫力だね。『罵声』の『罵』の字の中に『馬』が含まれている理由が判ったような気がする。
対照的に刃蓙理は静かだけど――、
「……死んでもらいます」
――アイスエイジインパクトをしっかり食らわせてるし。
でも、グラッジはまだ死ななかった。折れかけた腕でライフルを構え直し、銃口をこっちに向けようとしている。
「ほ、本当に愚かな連中だ……貴様らは……」
ん? 負け惜しみタイムの始まりかな?
いや、始まらなかった。
「ごめんね。あなたの話を聞いてる暇はないんだ」
エマがバスターフレイムを発動させたから。
グラッジの体が燃え上がり、ゆっくりとくずおれていく。
その様子を見ながら、陣のウイングキャットが鳴いた。
戦いの終わりを告げるかのように。
「にゃあ!」
作者:土師三良 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年6月17日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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