迎撃、星戦型ダモクレス~機械博士の異常な愛情

作者:あき缶

●ダモクレス決戦
 香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)は、真面目な顔でケルベロスの前に立つ。
「ダモクレスとの決戦や。最後の戦いに、せなあかんね。せやからいつも以上に全力で頼むで」
 すでにアダム・カドモンが座上する、惑星級星戦型ダモクレス『惑星マキナクロス』は、亜光速で進行し、太陽系の惑星の機械化を開始しているという。
 アダム・カドモンの目的は、機械化した惑星の運行を制御して発生させたグランドクロスの魔力で『暗夜の宝石である月』を再起動させ、地球のマキナクロス化を行うことだ。
「ダモクレスは月面遺跡を掌握するために、魔空回廊を利用して、遺跡内部に星戦型ダモクレスを転移させとる」
 つまり今回のオーダーはこういうことだ。
「万能戦艦ケルベロスブレイドで月に行って、遺跡を守って欲しいんや」
 聖王女エロヒムの協力により予知済みのため、ダモクレスの目標地点にケルベロスが先回りすることができる。
 魔空回廊から転移してくる星戦型ダモクレスを待ち構えて撃破し、月遺跡を防衛するという作戦だ。
「ひとつの地域に投入されるダモクレスは、全部で三体。最初のダモクレスが出た八分後に、二体目、そのまた八分後に三体目が出現すると予測されとる」
 八分以内にダモクレスを倒すことができれば各個撃破が望めるが、手間取れば最悪ダモクレス三体を同時に相手取る羽目になる。
 いかるは暗い顔で忠告する。
「勝たれへんな、って思ったら、遺跡を破壊して撤退する勇気も必要やで。…………もちろん、暗夜の宝石の遺跡の破壊はできれば避けたい……けど、こっちが負けて地球がマキナクロス化されることを思えば、しゃーないことや」
 迎撃地点は、月面遺跡内部になる。
「月面ビルシャナ大菩薩決戦の戦場やから覚えてる人もおるかもしれんねんけど、あの時はマスタービーストの手が入ってたから、禍々しい感じやったやん? 今回は、暗夜の宝石本来の姿をしてるところになるねん。んー、説明しづらいけど、荘厳な感じやね」
 そこには、エネルギーが枯渇して停止している不思議な機械がある。
「勝たれへんって思ったら、撤退前にその不思議機械をぶっ壊してくれるか。もちろん、機械は無傷なままでダモクレスだけ倒すのが理想やけどさ」
 いかるが説明を担当する地域に出現する三体の星戦型ダモクレスは、波多野・絶という研究者型ダモクレスと、ディビジョンドール(右半身)、ディビジョンドール(左半身)というダモクレスとのこと。
「星戦型ってついてるように、決戦用に改修済み。二体のディビジョンドールは、波多野・絶っていう博士みたいなダモクレスが手ずから改造した自信作みたいやね」
 ディビジョンドール(右半身)は、右半身がドラゴニアンのような形で左半身が機械。
 ディビジョンドール(左半身)は、右半身が狼型ウェアライダーのような形で左半身が機械。
 波多野・絶は、白髪に白い口ひげ顎ひげをたくわえた紳士然とした中年男性型ダモクレスである。
「ディビジョンドール(右半身)、ディビジョンドール(左半身)、波多野・絶の順番で出てくるで」
 ディビジョンドール達に比べると波多野・絶の戦闘能力は、少し劣るようだ。
「波多野・絶は月遺跡制圧後に、地球マキナクロス化の作業をするつもりかもしれんね」
 といかるは首を捻った。
「地球マキナクロス化を許してしまえば、決戦は僕らの負けや。絶対に阻止するためにも、月遺跡は必ず守り抜かなあかんね!」
 頑張ってや、といかるは真摯な眼差しを、戦場に赴かんとするケルベロスに向けるのだった。


参加者
セレスティン・ウィンディア(穹天の死霊術師・e00184)
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)
エレ・ニーレンベルギア(月夜の回廊・e01027)
華輪・灯(春色の翼・e04881)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)
ジェミ・フロート(紅蓮の守護者・e20983)

■リプレイ

●堅牢竜機
 ケルベロス達は、魔空回廊が出現するというポイントに到着し、やってくる星戦型ダモクレスを待ち構えていた。
「月でまた戦うとは思わなかったわ」
 あちらこちら転々とする戦場に対する、セレスティン・ウィンディア(穹天の死霊術師・e00184)のぼやきに、渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)がうなずく。
「冥府の海の次は月面とか忙しいな」
「太陽系惑星の機械化とはねぇ……さすがのスケールというべきかな」
 メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)が肩をすくめて呟くと、
「地球はマキナクロスに変えていい所じゃないわ」
 ジェミ・フロート(紅蓮の守護者・e20983)がぐっと拳を握りしめる。
「私たちの故郷である地球を、マキナクロス化なんて絶対にさせません」
 エレ・ニーレンベルギア(月夜の回廊・e01027)が呼応した。
 ぶぅんと空間が歪み、ディビジョンドール(右半身)がゆっくりとその姿を具現化させていく。
「さ、招かれざる客人にはお帰り願おうか」
 メイザースは腕に宿す時計草を掲げた。
「銀天剣、イリス・フルーリア―――参ります!」
 高らかに名乗りあげたイリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)の突きつける冽刀「風冴一閃」、その刃が冴え冴えと濡れたように光る。
 同時に華輪・灯(春色の翼・e04881)が八分のタイマーをセットした。新手出現までの時間を計るのだ。
 ごうっとディビジョンドールは炎を吐いた。
 炎の壁を物ともせず、イリスが月遺跡の床を蹴って突っ切る。星駆ける白銀の靴底が固い床とぶつかり、硬質な音を奏でた。
「光よ、かの敵を束縛する鎖と為れ! 銀天剣・玖の斬!!」
 刀身がディビジョンドールに当たる。だが刃は通らず、装甲を滑った。しかし、刀は集めた光を鎖に変えてダモクレスを戒める。
「守ってみせるから!」
 続いて炎をまといつつも意に介さぬジェミの掌底が、ドールの胸にヒビを僅かに入れる。間髪を入れず、冷凍ビームがドールの体に霜をつける。数汰のバスターライフルだ。
 清浄な羽が舞い降りて、前衛を癒やしていく。エレのサーヴァント、ラズリと灯のサーヴァント、シアの力だ。
 柔らかな羽を浴びながらエレ自身もエクトプラズムを溢れさせ、火を消していく。
 おとめちっくハンマーを構え、灯は爆音とどろく砲撃を行う。
「黒曜牙竜のノーフィアより星戦型ダモクレス波多野・絶とディビジョンドールたちへ。剣と月の祝福を!」
 全力のぶつかり合いだと理解するノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)の足がディビジョンドールを痛烈に蹴りつけた。
 固い。相手のポジションはディフェンダーか。
「地球は渡さないわよ!」
 セレスティンのオーブ『枯骨の夢の鍵』が己の運命を占う。
 ディビジョンドールの腕が高速回転し、セレスティンの胸を貫く。
「かはっ」
 血を吐き、セレスティンは腰を折る。さすが改造済みデウスエクス、その威力はお墨付きだ。
「おっと。我が名を以て命ず。其の身、銀光の盾となれ――堅牢なばかりが盾ではないよ?」
 メイザースがオウガメタルの分体を、セレスティンの傷口を塞ぐ自動盾として派遣する。
 ノーフィアのボクスドラゴンがセレスティンに属性を注ぎ込み、体力を回復させる。
 エレの巻き起こす癒しの風が炎を完全に消し止めた。
「今回も激戦だろうけど、しっかり皆を守ってあげてくれ」
 とセレスティンについたオウガメタルに、メイザースは声をかけた。
 ジェミのゲシュタルトブレイドをドールは避け、イリスが時空を切り裂き放った凍結弾も、当たらない。
「……やってくれるわね」
 セレスティンも水晶の炎をドールにけしかけるが、ドールはすんなりと避けてみせた。
 しかし避けた先に待つのは数汰の達人級の一撃。したたかに蹴られ、ドールはたたらを踏む。
 その頭上に、大量の光る羽と花。キラキラの光は灯がもたらしたものだ。
「いっぱいキレイにしてあげますね!」
 そのすべてを吹き飛ばすノーフィアの轟竜砲。当たる、当たるが固い!
 堅牢すぎるディビジョンドールの体躯を砕けている感覚がない。相手の動きを抑える施策は重ねたので、そろそろクラッシャーの攻撃もあたってくれるといいが。
「あと二分……です!」
 灯は鳴るタイマーを見て焦れる。このままで倒しきれぬまま、新しい敵が現れてしまう。

●豪腕狼機
 ドールが吹き付ける豪炎をかいくぐり、イリスの冽刀「風冴一閃」がひらめく。
「時間がないのね! とにかく! ぶっ飛ばすわ!」
 ジェミの渾身の-魔法(物理)-をこめた拳がディビジョンドールをぶっ飛ばす。
 魔杖鞘『龍の顎門』をぶん回し、ノーフィアがドールを殴打。
 灯が放つ女子力の輝きに照らされながら、ラズリやシアのリング、エレの放つ霊弾、数汰のファミリアと並走してペレの封印箱もドールに果敢にぶつかってゆく。
「あなたに呪いの祝福を」
 セレスティンの詠唱と共に大量のワタリガラスがダモクレスをついばむたび、ドールを包む氷塊が大きくなってゆく。
 ジェミを狙うドールの回転するドリルアームをエレが受け止める。骨まで見えそうなくらいに削れる肉、飛び散る血液、しかしエレは笑顔を崩さない――笑っていれば、絶対大丈夫。
 ぼろぼろになったエレの腕にメイザースが急ぎ手術を施す。
 回復は手厚かった。誰も倒れていない。しかし、相手も倒れていない――わずか届かなかった!
「次が来ます!」
 灯が、ディビジョンドール(左半身)の登場を告げる。
 半身を狼型ウェアライダー、もう半身を機械としたそれは、現れるなり吠えた。
 びりびりと空気が震え、後衛の動きが鈍る。灯は次のタイマーをセットした。
 狼型という新たな脅威は気になる、しかし弱っているはずの先客から倒す。
 エレが再びディビジョンドール(右半身)のドリルアームを受ける。遺跡の壁に赤の斑点が飛び散る。
「ぐ、う! ……清浄なる力を秘めし、空の石よ。……神聖なる輝きで穢れを、祓い賜え!」
 激痛に耐えながらも、エレはなんとか天青石の煌めきによって安息を得た。
 サーヴァントたちの猛攻を、ディビジョンドール(右半身)が受け切る。
「銀天剣・玖の斬!!」
 イリスが振るった妖刀「紅雪散華」は竜型ドールを覆う鋭い氷もろともギリギリと押し込まれていき。
「イリス、合わせるよ。これで終わりっ!」
 敵の背後に回り込んだノーフィアのぶん回した龍の頭骨製の魔杖鞘によって、ドールは刃に貫かれ、完全に破壊された。
 数汰のバスターライフルは単身残った狼型に向けて凍てつく光線を放つ。ウイングキャットがバリバリとひっかき、ボクスドラゴンはブレスを吐く。
 灯のきらめく女子力をセレスティンがワタリガラスの群で増幅する。ゆめかわカラス。
 ドールは鋭い爪を亜音速で振り切った。真空波が生まれて、後衛に襲いかかる。
 サーヴァント達がいっせいに後衛を庇い、一瞬で襤褸布のようになる。
 主達が一斉に悲鳴めいた声でサーヴァントの名前を呼んだ。
「クラッシャーかな。さすがの破壊力だ」
 メイザースは冷静に分析し、ディフェンダーとして頑張ったサーヴァントに黄金の光で支援する。
「ありがとう、メイザース。……お互い全部使って全部賭けての大勝負! だもんね、弱いワケがない。分かってるよ……ッ!」
 痛々しいペレの姿に心痛めつつも、ノーフィアはぐっと耐えて床を蹴って流星蹴りをドールに見舞った。
 ジェミの指輪が光り、剣を具現化する。握った剣をドールに突き刺し、払う。
 ドールがジェミの腹をドリル腕で貫く。回転する硬質な腕がジェミのハラワタをめちゃくちゃにミキサーする。
「!?」
 ごぼりと吐血し、ジェミが声もなく悶えた。
「ジェミちゃん!」
 数汰が叫んだ。だが、回復は専門職に任せ、今は相手を沈めることを最優先にしたほうがいい。戦士としての経験値で冷静に考え、数汰はグラビティを限界まで圧縮し、ドールにぶちこんだ。
「刹那は久遠となり、零は那由他となる。悠久の因果は狂い汝の刻は奪われる……狂え、時の歯車!」
 時流変転によってドールを覆う氷が成長する。
「得意手段で行くわ。押し返してやるから!」
 黒衣翻すセレスティンの振るう長物がドールの急所を掻き斬って、動きを抑制した。
 灯の蹴り込む星がドールの装甲を削る。
「ジェミさん、しっかり。まだまだ途中ですよ」
 エレが腹を抱えるジェミに駆け寄って天青石の光を見せた。
 なんとか魂の緒を握り直し、ジェミはうなずく。まだ会うべき相手が出てきていない。ここで倒れるわけにはいかない。
「騙り部呪術医に任せてくれるかい」
 と、エレから治療手を交代したメイザースはぐちゃぐちゃのジェミの傷口を見分し、的確に縫合した。
 ドールが再び放つ真空刃で遂にサーヴァントは消し飛んだものの、ドールはすでに壊れかけ。
 ノーフィアは半壊しているダモクレスを指さす。
「我、流るるものの簒奪者にして不滅なるものの捕食者なり。然れば我は求め訴えたり、奪え、ただその闇が欲する儘に」
 指先に生じた漆黒の球にドールを吸い込み、収縮する世界――球体内部で圧潰させた。
 灯のタイマーが鳴る。
 最後のダモクレスが現れるまで、若干の猶予がある。
「万全の準備を」
 イリスが言うまでもない。それぞれのヒールを駆使して、ケルベロスは残された二分で出来る限りの準備を整えた。

●機械紳士
 回廊からゆうゆうと現れた波多野・絶は周囲を見回して、ディビジョンドール二体の残骸を発見すると眉を寄せた。
「この儂の改造を受けさせてやったのに、この体たらくか。シザードール謹製の『コレクション』とやらも、儂の目指す理想には程遠かったようだ。……そもそもが破損した素体だったしな」
 と髭面の科学者めいたダモクレスは肩をすくめてため息を吐く。
 ジェミは彼を見据える。
 大切な友人の視線の意味を知る灯は胸を痛めた。
(「お父さん、なんだっけ。戦うの、辛いんじゃないかな……。なんて言ってあげればいいんだろう」)
 慰めも応援も、上手く言葉にできない。だから灯は、ジェミにただ寄り添う。
「傍にいますから! 一緒に戦いますから……!」
「ジェミちゃん、本懐を遂げるときだ」
 数汰も真剣な声音でジェミを励ます。
 ジェミは深くうなずく。頼りになる友と一緒ならば、何も怖くない。
 息を吸い込み、地球を守るケルベロスとして高らかに、ジェミは声を上げた。
「お久しぶりね博士。フロートシリーズの長女、ジェミです」
「ん? ……さぁて誰だったか。久しぶりもなにも、ダモクレスの出来損ないたる『レプリカント』なんぞに知り合いなどいないのだがね」
 と目を細めるダモクレス。
 旧交を温めることができるとは、ジェミも思っていない。だから殴りかかる。
 しかし掌打はすんなりと避けられた。
「まったく、ご挨拶だな」
 波多野・絶は全身からミサイルを発射し、ジェミを含めた前衛を雨あられと降らせる。
「地球のマキナクロス化は絶対に阻止します! ……くっ!?」
 ダモクレスを縛ろうとイリスは刀に光を集めようとするが、手がしびれて上手くいかない。
「イリス、任せて!」
 ノーフィアが轟竜砲を打って足止め役を代わる。
 灯も博士の足止めに集中する。
「初めまして! 私はジェミさんの友達です! 宇宙だってどこだって迷わず一緒に行っちゃうくらいの! いっぱいキレイにしてあげますね! 王道で最強な乙女の戦法です!!」
 時計草に黄金を実らせるメイザースに合わせてエレも癒しの風を吹かせる。
 波多野・絶はジャマーのようだ。ミサイルによる麻痺の度合いがひどい。
 数汰のフロストレーザーをかいくぐった博士へ、セレスティンの漆黒の宝珠から作り出した水晶炎が降りかかる。
 博士が纏う金属片を含む蒸気が彼を護る。

●月面遺跡
 ケルベロスの全力が単騎の星戦型ダモクレスに注がれていく。もはや増援はなく、いかな強力なダモクレスであろうとも、じりじりと追い込まれていく。
 追い詰められていく戦況に焦ったか、波多野・絶は手を拳銃に変形させ、ジェミに銃口を向けた。
「出来損ないは、廃棄処分だ」
 放たれる銃弾から、独り残った守り手たるエレがジェミを庇う。
 エレの体がみるみるうちに石に変わる。完全に石化する前に、エレはジェミに笑顔を向けた。
 その笑顔だけでエレの言いたいことは伝わった。ジェミはうなずく。
(「私達の最大の武器は、暴走じゃないわ。人々の願いの結晶デバイス、そして友との絆こそが!」)
 彼女がぐっと握る拳の横で、イリスが今度こそ銀天剣・玖の斬でダモクレスを拘束した。
 ノーフィアの飛び蹴りと同時に襲いかかったワタリガラスの群に拘束を深めさせ、セレスティンは淡々と呟く。
「驚くことは何もない。私は淡々と準備をしていただけ」
 ファミリアをダモクレスにぶつけ、数汰がジェミを呼ぶ。
「いまだ、ジェミちゃん」
「子は親を越えていくものだよ、ミスター?」
 メイザースが放つエレキブーストの支援を受けながら、ジェミは走る。
「ええ!! とにかく!!!!! ぶっ飛ばすわ!!!!!」
 渾身の掌打が身動き取れぬ波多野・絶にまともにぶちあたる。
 爆発四散――内外から破壊された機械の博士は粉々のパーツをばらまいて断末魔もなく消滅した。
 ばらまかれたパーツを見やり、ジェミは叫ぶ。
「博士……お父さん! 私、貴方の、マキナクロスの、妹達の! 望むようにはなれなかった!」
 もはや聞く相手は居ないがそれでもジェミは続ける。
 震える声。溢れる涙。
 仲間との絆は、今ここにあって、今日も私を奮い立たせてくれた。
 そして――これからも、きっと、歩んでいくから。
「今っ! とっても幸せなんです!!」
 言い切り、立ち尽くす彼女に、同じように泣く灯が寄り添って背を撫でた。
 しばらくしてセレスティンが、
「さあ、いきましょう」
 と移動を促す。
 月遺跡を出た勝者を、宇宙装備ヘリオンが迎えに来てくれていた。

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年6月17日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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