シャイターン襲撃~隷属ヴァルキリーズ

作者:天枷由良

●殺戮乙女たちの舞
 東京都国分寺市に現れた、ヴァルキュリアたち。
 三体ずつ分かれて散った中の一組が、光の翼をはためかせて市街地に降り立った。
 行き交う人々が悲鳴を上げたのも束の間、ヴァルキュリアたちは人々を槍で貫き、斧で砕き、弓で穿って虐殺していく。
 強者の魂をエインヘリアルへ導くという使命は、何処へ消えたのか。
 崇高なる戦乙女たちは、ただ死体の山を築き上げていくだけの狂戦士へと変貌してしまったのだろうか。
「……た、たすけ……」
 命乞いをする者を、槍を掲げたヴァルキュリアが躊躇いもなく一刺しにする。
 その頬には、止めどなく溢れる赤い血の涙が伝っていた。
 
「大変っす! エインヘリアル勢力に、大きな動きがあったみたいっす!」
 城ヶ島のドラゴン勢力との戦いも佳境を迎えつつある中、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)から、もたらされた報せ。
 それは、鎌倉防衛戦でケルベロスたちに敗北を喫したエインヘリアルの第一王子、あのザイフリートの後任として、新たな王子が地球への侵攻を開始したというものだった。
 その王子はザイフリート配下であったはずのヴァルキュリアをなんらかの方法で強制的に従えると、彼女たちを魔空回廊から放って人間を虐殺させ、グラビティ・チェインを回収するつもりなのだという。
「襲撃される地点は幾つか予知されていますが、皆さんにはその中の一つ、東京都国分寺市へと向かって欲しいっす」
 ただ、と間を入れてからダンテは続けた。
「ヴァルキュリアたちに命令を下すためか、妖精八種族の一つであるシャイターンの出現も確認されたっす」
 このシャイターンの撃破を目標としながら、ヴァルキュリアたちにも対応するため、ケルベロスたちは幾つかの班に分かれて作戦に当たらなければならないようだ。
「皆さんには、国分寺市のヴァルキュリアたちの一角を担当してもらいたいっす」
 相対するヴァルキュリアは三体。
 皆、同じ鉄鎧を着用しているが、それぞれ扱う武器が槍、斧、弓と分かれている。
 ヴァルキュリアは住民を虐殺してグラビティ・チェインを奪おうとしているが、邪魔をするものがいれば排除を優先するように命令されているらしい。
 つまり、ケルベロスたちがヴァルキュリアと戦い始めれば、住民たちが襲われる危険はなくなるということだ。
「ただ、ヴァルキュリアたちはかなり強力な力で従わされているみたいで、皆さんに全力で挑んでくるっす。もしかしたら、シャイターンを撃破すれば付け入る隙が出来るかもしれないっすけど……すんません、確証はないっす」
 そう言って、ダンテは頭を下げた。
「それから、もう一体のヴァルキュリアが援軍としてやってくる可能性も予知したっす」
 あくまで可能性ではあるが、気を付けておかねば急襲されてしまうかもしれない。
 十分に注意してくれと、ダンテは念を押した。
 虐殺を強制させられるなど、ヴァルキュリアも本意ではないだろう。
 だが、相手に同情するあまりケルベロスたちが敗北すれば、市民たちが迎える結末は、より残酷なものとなるはず。
 無力な者たちの虐殺など、許してはおけない。
「ちょっと可哀想かもしれないっすけど、ヴァルキュリアは止めなきゃならないっす。皆さん、よろしく頼むっす!」


参加者
シャロート・ヴォールコフ(妹が好きすぎて朝も起きれない・e00987)
ソネット・マディエンティ(ブレイジングスティールハーツ・e01532)
高嶋・梓(地球人の巫術士・e03039)
タクティ・ハーロット(緑碧晶の拳破龍・e06699)
蓬栄・智優利(覚醒ヒロインイズム・e13618)
エステル・エクセレン(動き始めたココロ・e14107)
八雲・要(英雄志望のドラゴニアン・e14465)
阿部・知世(青の魔術師・e14598)

■リプレイ

●戦乙女を救え
 市街地へ降り立ったヴァルキュリアたちが武器を振るおうとした時、街路に男の声が響き渡った。
「皆、逃げるんだぜ!」
 声の主であるタクティ・ハーロット(緑碧晶の拳破龍・e06699) が、襲われる寸前だった市民たちへ避難を呼びかける。
 同時に、ヴァルキュリアたちの行く手を阻むようにして、残る七人のケルベロスたちが現れた。
「貴女達にも事情があるのでしょうけど、ここを通すわけにはいきません!」
「あぁ、こっから先に行かせる訳には、いかないからね!」
 高嶋・梓(地球人の巫術士・e03039)が杖を構えて叫び、八雲・要(英雄志望のドラゴニアン・e14465)がボクスドラゴンの廻と共に立ちはだかって言い放つ。
 それに対し、ヴァルキュリアたちは表情を変えることも言葉を発することもせず、ただケルベロスたちへ向き直った。
 正面から敵の姿を見つめる事となり、その頬に流れる血の涙の異質さが一段と目につく。
 何かを訴えているようなその姿に、阿部・知世(青の魔術師・e14598)は息を飲んだ。
(「彼女たちは、確かに敵ですが……」)
 思い起こすのは、以前遭遇したヴァルキュリアの姿。
 彼女は、新たなエインヘリアルになりうる素養を持つものを連れ帰る事という己の目的が果たせないと分かるや、ケルベロスたちの説得に応じて潔く引いていった。
 あの姿を、そして目の前の泣いている者たちを見れば、ヴァルキュリアが無用な虐殺を働く種族だとは到底思えない。
「やはり貴女たちは、自ら望んで、このような行為に及んでいるのではないのですね?」
 知世と同じく、ヴァルキュリアとの戦いを経験しているエステル・エクセレン(動き始めたココロ・e14107)が尋ねる。
 答えはないが、それすらも何か――恐らくは、共に現れたという新たな敵、シャイターンによって――抗えざる力で抑えこまれているのだろう。
 意志もなく従っているのなら同情の余地もないが、それを強制させている者がいるのなら話は別だ。
 ソネット・マディエンティ(ブレイジングスティールハーツ・e01532)が、表向きは飄々とした態度を保ちながらも、身体の中を巡る地獄の炎を燃え上がらせる。
 呼応するように、ヴァルキュリアたちも武器を構えた。
「……いいさ、来なよ。ケルベロスとの戦いだったら、意にそぐわないって事もないだろ?」
 シャイターンの撃破に向かった別働隊が成功すれば、彼女たちにも何か変化があるかもしれない。
 それまで自分たちが相手取る事で、少しでも、その血の涙を止めることが出来るなら。
「ちょーっち痛いのがまんしててね! ぜーったい、たすけてあげちゃうんだから☆」
 拳を構える要に続いて、桃色の覇気を湛えた蓬栄・智優利(覚醒ヒロインイズム・e13618)も呼びかけた。
(「そう出来れば理想的だけど」)
 ヴァルキュリアを見据えながら、シャロート・ヴォールコフ(妹が好きすぎて朝も起きれない・e00987)は最悪の事態にも考えを巡らせる。
 万が一にもケルベロスたちが敗れれば、待っているのは市民の虐殺だろう。
 何も変化のないまま戦況が厳しくなれば、躊躇なくヴァルキュリアを倒さねばなるまい。
「ま、こういう分の悪い戦いは嫌いじゃないよ」
 力を振るうより、それを受け止める方が気が楽だ。
 そう言ってシャロートがケルベロスチェインを構えた所で、まずは茶髪のヴァルキュリアが突撃を仕掛けてきた。

●消耗戦
 地を這うように翔びながら突き出された槍は、タクティや要たち最前線に立つ者たちを次々と貫く。
 勢いを殺すことなく、そのまま離脱していく茶髪。
 その後ろにピタリとついていた金髪のヴァルキュリアは、巨大な斧を振り上げてソネットへ迫った。
 だが、ソネットは力任せの一撃を片腕の手甲で受け止め、空いたもう一方の腕を腹に叩き込む。
 機を徹し、身をも透す一撃。
 ドスンという鈍い音がして、金髪は腹から足の先まで駆け抜ける衝撃に目を見開いた。
「私らがしてあげられるのは、食い止めることだけ。後はあんたたち次第よ」
 金髪の目を至近距離で見つめ、言い聞かせるように呟く。
 しばし見つめ合った金髪は、こみ上げてきた胃液を僅かに垂らしつつ、翼をはためかせて飛ぶように後退していった。
「このまま、まずは相手の足を鈍らせます!」
 接近戦を挑んできた二人が引いた隙に、梓が掌を突き出して巨大な光弾を放つ。
 それに合わせて、ケルベロスたちは一斉に攻撃を行った。
 要も掌から光弾を撃ち、並ぶ廻は沿うようにブレスを吐く。
 飛び上がって避けようかと、茶髪と金髪が上を見上げれば、そこにはエステルが撃ちだした幾つものミサイルが迫っていた。
 二つの光弾とブレスにミサイル、それに乗じて突撃していたミミックまでもが牙を剥いて、二人はたちまち爆風と砂埃に包まれる。
「……!」
 一瞬、姿の見えなくなった仲間を援護するべく、青髪のヴァルキュリアは弓を構えた。
 そこへ智優利が、詠唱と共に魔法の光線を放つ。
「ビューンととんでけ、魔力のビーム! 恐怖の光で彼の者の動きを止めろ! ペトリフィケイション☆」
 光線を受けた青髪は身体が鈍くなるのを感じつつも、砂埃の中へと弓を放つ。
 互いの攻撃が止み、僅かに生まれた間隙。
 そこでシャロートと知世が、ケルベロスチェインで地面に魔法陣を描いた。
 それは攻撃を受けた者たちの傷を癒しつつ、同時にケルベロスたちの肉体を強化する。
 加護を受けながら、タクティは自らでも光の盾を張って更に防御を固めていく。
「これなら、少しは耐えられ――」
 その眼前に、槍の煌めきが迫った。
 咄嗟にガントレットで受け流そうとするが、完全にそらすことは出来ない。
 多重に敷いた呪的防御すらも食い破って、切っ先が肩へ食い込む。
 痛みと共に痺れが身体を襲い、顔をしかめるタクティ。
 その視線の先で、相棒のミミックが金髪の振るう斧によって半壊状態になり、逃げ惑っていた。
 腕を振るって茶髪を追い払うが、今度は青髪の放つ弓矢が身体に突き刺さる。
 痛みのせいか、敵も味方も分からなくなりそうな目眩に襲われたところで。
「回復は任せて下さい!」
 梓の生み出した鎧状の御業に包まれて、タクティは難を逃れた。
 例え強制されているとしても、ヴァルキュリアの戦闘力はやはり侮れない。
 彼女たちを操っているはずのシャイターンとやらが倒されるまで、あとどのくらい掛かるのか。
 指標となるものもなく、ケルベロスたちの戦いは終着点がぼやけたまま進んでいく。

●新手
 宙空に文字を綴るのは、これで何度目だろうか。
 分からなくなるほど、知世はひたすらに羽ペンを走らせていた。
 青く輝く文字列となったそれは要を取り囲み、湧き出てきた光の粒が傷を癒していく。
 ソネットは、シャロートの生み出した光の玉で。
 タクティは、梓の御業で。
 苛烈極まるヴァルキュリアたちの攻撃を何とか凌いでいたケルベロスたちだが、遂に一角を崩されてしまう。
「廻!」
 回復の途中だった主人を庇って、ボクスドラゴンが槍に貫かれた。
「雷電☆解放《サンダーレリーズ》!! うおあぁぁぁぁっ!! ……っれれ!?」
 必殺キックで突撃した智優利をするりと避け、茶髪のヴァルキュリアは槍を払う。
 放り捨てられた廻は、大地を数度跳ねてそのまま動かなくなった。
 弟同然の存在をボロ布のように扱われ、歯噛みする要は炎を纏った蹴りを放つ。
 それが茶髪の身体を捉えた一方で、視界の端に更なる犠牲が生まれる。
 ソネットの拳を受けながらも、金髪のヴァルキュリアが壊れかけていたミミックへと斧を振り上げていた。
 血のまとわり付いた刃は、それ自体の重みを乗せて加速していき、ミミックを半分に叩き割る。
 動かなくなったそれを一瞥して、金髪は掃き捨てるように街路の端へ追いやった。
「っ! 喰らうんだぜ! 碧晶ッ……龍牙ァ!」
 片割れが無残にも蹴散らされ、タクティは地面を殴りつけた。
 そこから流れた衝撃波は、金髪の足元で鋭い結晶へと変化する。
 しかし、翼をはためかせてひらりと舞い上がったヴァルキュリアを傷つけることは出来ず、結晶はすぐに消えてしまった。
「……ちょっと不味いんじゃないのかだぜ」
 タクティは、ちらりとシャロートの顔を見やる。
 攻勢に転じる為の条件は幾つか取り決めていたが、そのラインの見極めは殆どの者が彼へと委ねていた。
 シャロートは、仲間を癒しながら思案し続けている。
 サーヴァント二体が倒れ、ヴァルキュリアに未だ変化がない状況は少々苦しい。
 だが、未知の敵であるシャイターンとの戦闘も楽なものではないだろう。
 作戦を変えるには早い、もう少し時間を稼げるはずだ。
 ……だが。
「あれは……」
 アームドフォートの狙いを定めていたエステルが、ぽつりと零した。
 ロックオンしていたヴァルキュリアの先に、空から近づいてくる小さな光がある。
 残る者たちも同じ方向を見上げれば、そこには求めていたものとは違う、新たな天の御遣いの姿。
 光翼を翻し、弓を手に颯爽と向かってくるそれは、予知に可能性を記されていた増援。
 溢れ出る血の涙と同じ赤色の髪を揺らして戦場への介入を果たしたヴァルキュリアは、ケルベロスたちへ矢を引き絞った。

●血の果てに
 手数が増えれば、被害も増える。
 梓と知世、シャロートが全力で回復し続けても間に合わない。
 ソネットや要、タクティら攻撃を受け続けていた者たちは、自身でも回復を行わなければならない状況へと追い込まれていく。
 それでも一向に、ヴァルキュリアたちの様子が変わることはない。
 ついにシャロートは反転攻勢の礼を下し、自身も前線に打って出た。
 だが、その間にもヴァルキュリアたちの攻撃は続く。
「俺は! 倒れるわけには! いかないんだ!」
 地獄と化した翼を燃え上がらせ、気合と根性で立ち続けていた要。
 しかし、荒れ狂う金髪の斧が身体を上下に両断せんとばかりに薙ぎ振るわれ、血を吐きながら倒れこんでいく。
「やばいんだぜ……っ!」
 仲間の様子に声を上げたタクティも、次の瞬間には槍に貫かれ地に伏してしまう。
 助けようにも、倍に増えた矢が邪魔をしてくる
 ケルベロスたちに生じていた焦りは、いよいよ無視できないものとなってきた。
 対するヴァルキュリアたちも決して無傷ではない。
 時たま腕の力が抜けたかのように武器を落とし、石像にでもなったかと思わせるほど鈍い足さばきを見せ、要の攻撃で生じた炎がじわじわと身体を焼いている。
 だが、それらはケルベロスたちを優位に立たせる程には影響を及ぼしていない。
 どちらかと言えば、青髪の弓矢に加護を受け、ケルベロスたちの防御を食い破ってくる槍と斧の方が厄介な存在であった。
 手心を加える余裕もなく、殴り合いになった戦場はあちこちが血で染まっていく。
「……あれ。ちょっと、しくっちゃった、かな」
 魔法光線と必殺キックで、ヴァルキュリアたちの行動を阻害しながら戦い続けていた智優利が倒れる。
「……どうやら私も、ここまでのようです」
 遮るものが減った矢が、後衛に位置していたエステルまでも捉えた。
 ケルベロスたちの戦力は半減し、ヴァルキュリアたちも傷だらけ。
 どちらかが全滅しなければ終わらないのではないかとさえ思えた時。
「あ、あ……あぁぁぁぁ!」
 突如、茶髪のヴァルキュリアが叫びを上げてかぶりを振った。
 戦場に残る者たち全ての目が、そこに注がれる。
 顔を上げた茶髪の瞳は、生気を取り戻したように輝いていた。
 そのまま槍を振りかざし、金髪のヴァルキュリアへと向ける。
「……っ、駄目よ……こんな戦いで、ヴァルキュリアの誇りを汚しては!」
「そう……そうよ。私たちは、私たちは何てことをしているのっ!」
 青髪のヴァルキュリアも、引き絞った弓をケルベロスではなく赤髪へと向けた。
 放たれた矢は、赤髪の身体に突き刺さる。
「……もしかして、シャイターンが倒されたのでしょうか」
 梓がシャロートに尋ねた。
 確かめる術はないが、この突発的な事象を説明できる要因は、他にない。
「だとすれば、今が好機です。彼女たちに撤退を呼び掛けましょう」
 知世の言葉に頷き、残ったケルベロスたちはヴァルキュリアへの説得を試みる事にした。
 再び正気を失ったのか、濁った眼で暴れだした茶髪と青髪の攻撃をかい潜りながら、シャロートがもがき苦しんでいる金髪の目の前に向かう。
「ちょっとお姉さん! 大丈夫!? 意識はハッキリしてる? これ何本? 愛してるよ!?」
 指を突き立てて矢継ぎ早に言う様は、少しばかり軽薄にも見える。
 だがそれも、相手の反応を確かめる為のもの。
 彼女らが正気に戻ったのならば、怒るなり蔑むなり哀れむなり、何かしらの態度を露わにするはず。
 もう少し細かな事を尋ねてもみたかったが、そこまでの余裕はない。
「無駄な血を流すのは、終わりにしましょう!」
 知世が、普段では到底出すことのない声量で呼びかけた。
 茶髪が槍を落とし、頭を押さえる。
「私、は……私たちは……」
「殺したくないのに殺す必要はない、嫌なことは嫌だと言えばいい。あんたらが、命令を聞くだけの人形じゃないという意志を見せなさい!」
 ソネットの言葉で、茶髪はより一段と苦しみだす。
 もうひと押し、あと一息。
「抗って見せろヴァルキュリア! 己の意志を、いつまでも誰かの好きになんてさせるんじゃない!」
 その叫びが、ついに壁を越えた。
 茶髪のヴァルキュリアは、しっかりと意志の現れた目でケルベロスたちを一瞥し、翼を翻して何処かへと飛び去っていく。
「どうやら……あの方は退いてくれるようですね」
 目に見える結果として現れたのだ、残る者たちへも通ずるだろう。
 説得を続けようとしたケルベロスたちだが、次なる言葉を発するより早くヴァルキュリアたちは飛び上がる。
 茶髪と違い、彼女たちの目に光はない。
 ただ、突然ケルベロスたちへの興味を失くし、何か新しい目的を持たされたかのようにして、茶髪とは違う方向へ逃げていく。
 全てのヴァルキュリアがいなくなり、ようやく戦いの終わりへ至ったケルベロスは、自然とその場に倒れこんだ。
 何とか虐殺は防ぎ、ヴァルキュリアの一人へ呼びかけることには成功したものの、その代償たるや甚大なもの。
 最後まで戦い続けた四人は震える脚に鞭打って、地に伏したままの仲間を抱き起こす。
 そして傷の治療も程々に、ヴァルキュリアの飛び去った彼方を見上げた。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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