●ひゃっ
「ウーム、ウーム……」
ジリジリと照り付ける太陽の下、だらだらと滴り落ちる汗はそのままに、ベンチに腰をかける鳥の人。
季節はまだ5月であるというのに、その陽光は割と半端ない。
「暑すぎる……どう考えても暑すぎる……」
よく考えたら鳥の人は毛がモッサーしているのであって、それは至極当然ではあるが。
そして丸一日かけ、この暑さをどうにかできないか、と考え抜き、ある一つの境地に達する。
「クッ、クククッ、フハハハハ! そうだ、こういう暑いときには冷奴を食べることこそ至高! 他の冷たい食べ物など最早眼中にはない! むしろ冷奴以外はすべて滅びるべきなのだ!! 冷奴以外の冷たい食べ物を食べている輩には、冷奴の角でぶんなぐってわからせてやるとしよう! ひやゃっこう!」
そう、その鳥の人は既にビルシャナとなってしまっていた。
なんだかテンション高いなあ。
●やっこ
「皆さん、依頼なのです。ドジせずできるのですか?」
ケルベロス達の前に姿を現すユバ・クサツム。
「先日、ドジなビルシャナを撃退していただきましたが、その後、新たなビルシャナが現れたのです」
神妙な面持ちで、そう告げるユバ。
「詳しくは……アンヴァルさん、お願いします」
ケルベロス達が視線を向けた先には、アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)がいた。
「個人的な趣味趣向による『大正義』を目の当たりにした一般人が、その場で、ビルシャナ化してしまう事件が発生しようとしています。ビルシャナ化するのは、その事柄に強いこだわりを持ち、『大正義』であると信じる、強い心の持ち主とのことです」
「ふむ。その事柄とは?」
ケルベロスの問いに一つ頷くアンヴァル。
「暑いときは冷奴こそ至高」
はいきた変態。
いや違う間違えた。
こっちの鳥は変態ではない、多分。
冷奴を身体にぬったくって悦に入ったりはしない。
「事象そのものは大したことがないかもしれないですが、このまま放置するとその大正義の心により、冷奴神の信仰が多大に深まる恐れがあります。その場合、同じ大正義の心を持つビルシャナを次々生み出すことをやられてしまう為、その前に、やる必要があります」
アンヴァルの言葉を受け、すっ、と前に出るユバ。
「大正義ビルシャナは、出現したばかりで配下はいないのですが、周囲に一般人がいる場合は、大正義に感銘を受けて信者になったり、場合によってはビルシャナ化してしまう危険性があるのです。大正義ビルシャナは、ケルベロスが戦闘行動を取らない限り、自分の大正義に対して賛成する意見であろうと反論する意見であろうと、意見を言われれば、それに反応してやってしまうようなのですので、その習性を利用して、議論を挑みつつ、周囲の一般人の避難などをやるようにしてほしいのです。なお、賛成意見にしろ反対意見にしろ、本気の意見をやらなければ、ケルベロスでは無く他の一般人に向かって大正義を主張し信者としてしまうので、議論をやる場合は、本気の本気でやる必要があるのです」
「依頼は二つ、なのです。周囲の一般人の避難と、ビルシャナをやるなのです。大正義に対する議論を行っている間は、ビルシャナはそれに応じるのです。ただし、避難誘導時に『パニックテレパス』や『剣気解放』など、能力をやった場合は、大正義ビルシャナが『戦闘行為と判断してしまう』危険性があるので、できるだけ能力はやらずに、避難誘導をやってほしいのです」
「避難が終わったら?」
「それは、やってください。素早く」
頷くユバ。
「冷奴は美味しいけれど、それだけしか許さないなんていう傲慢な考えを持つ鳥野郎は、例え大豆生産者の方々が許したとしても、この私が許すことはできない。最早心が我慢の限界を迎えた。その鳥野郎とドンパッチやってやろうじゃないか。ポン酢の用意はよろしいか」
またキメてしまった、と、ゆるやかなウェーブのかかった銀髪をファッサーするアンヴァルを見つめながら、ケルベロス達は冷奴に何をかけて食べようかな、と考えるのだった。
なんだかすごいデジャヴ感があるが、それは気のせいだ。
参加者 | |
---|---|
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214) |
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423) |
セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642) |
知井宮・信乃(特別保線係・e23899) |
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173) |
リリエッタ・スノウ(未来へ踏み出す小さな一歩・e63102) |
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107) |
リリス・アスティ(機械人形の音楽家・e85781) |
●ひややっこ?
「冷奴が美味しいのは周知の事実ではありますが……冷奴だけというのは頂けませんね! もっと美味しいお豆腐の料理もあるというのに……」
眼鏡をくいっとあげながら憤慨するイリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)。
食べることが好きなイリスからすれば、豆腐という無限の可能性を秘めた食材に対する、ビルシャナのあまりに狭すぎる視野に我慢がならないのだ。
「豆腐は湯豆腐にしても揚げ出し豆腐にしても麻婆豆腐にしてもおいしいのに、冷や奴にしか目を向けないなんてもったいない! これが終わったら豆腐料理のお店に案内しますよ!」
雰囲気の良い京料理の割烹があるんです、と、拳を握りしめる知井宮・信乃(特別保線係・e23899)。
「むぅ、このビルシャナをやっつけちゃえば、鳥は別の宇宙に行っちゃったからもう出てこなくなるんだね」
リリエッタ・スノウ(未来へ踏み出す小さな一歩・e63102)は、ちょっとおセンチな表情を浮かべる。
失って初めて気が付く大切なモノ。
ビルシャナは、身体を張って僕たちにそれを教えてくれようとしている。
「夏の冷奴は至高ですね。でも、ビルシャナを釘付けにするためには……ディスらざるを得ない。あとで罪を償うようにモグモグしよう」
そしてアンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)は、これから心無い罵詈雑言を冷奴にありったけぶっかけることに対するせめてもの償いとして、どこに逃げても必ずモグモグしてやる、と心に誓うのだった。
●ひややっこ!
「あひっ、あひぃっ」
今まさに冷奴を身体に塗ったくりながら悦ってるビルシャナを目前にするケルベロス達。
残念ながら、こちらのビルシャナもやはりHENTAIの方でよろしかったでしょうかの鳥だった。
ちなみに塗ったくった冷奴は後ほどスタッフが美味しくいただくため心配は無用である。
「豆腐の栄養価をご存じですか? 確かに、100グラム当たり、木綿豆腐のカロリーは80kcal、絹ごし豆腐は62kcalとどちらも低カロリーです。糖質は木綿豆腐で0.4g、絹ごし豆腐で1.1gと、低糖質ですね。おなかも膨れて低カロリーな万能食材と思うでしょ? ところがどっこい! カロリーがあるのは変わらないから、食べ過ぎたら太るんですよ! どんな食べ物も同じです! だいたい、冷や奴ばっかり食べていればいいという発想がいけません! 暑いときこそ、熱いものも食べてください! 冷たいものばかり食べていると胃腸の働きが弱ります。そうなったら、結局は冷や奴も楽しめなくなってしまうんですよ! それでいいんですか!? 良くないでしょう!?」
知井宮・信乃(特別保線係・e23899)は熱量(カロリー)高く健康の大切さを説く。
胃腸の働きが弱くなっては電車旅のオトモである高級駅弁も食べられないと、その説得は一層熱量(カロリー)を帯びるというものだ。
「ひゃっ、ひゃっこい、フヒヒヒィ」
なお、ビルシャナは一心不乱に冷奴を塗ったくっている。
「暑い時は冷奴、なるほどそれは正しいように思えますわ。けれど見落としてはいませんか? 冷たいと言っても冷奴には限界があります。凍りつくほど冷やしては、それはもう冷奴ではありません。けれど、心を蝕む猛暑の中で、氷に劣るクールさでは、十分な満足感は得られないのでは?」
そこまで一息で告げると、クーラーボックスに入れてきた豆腐アイス(プラスチックのカップ入り木製スプーン付き)を取り出すルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)。
「同じ豆腐を起源とするこの豆腐アイスは、豆腐のヘルシーさと猛暑を吹き飛ばすクールさを兼ね揃えています。蜂蜜で甘みをプラスして、さらに黒蜜をかけて召しあがれば……豆腐の奥深いコクと蜜の甘みが混ざり合い、爽やかな冷たさで暑さを吹き飛ばしてくれますわ!」
そしてたっぷりとアイスをすくい、リスみたいな感じでほっぺたを膨らませながら頬張りまくる。
(「ルー、かわいい……」)
そんなルーシィドを見つめるリリエッタ。
「もっと、もっと冷奴ほしいの! もっと!!」
なお、ビルシャナは一身腐乱に冷奴を塗ったくっている。
「暑い時に最高なのは、コーラを始めとした炭酸飲料よ。暑さに抗する為に必要なのは、単純な温度の低さではなく爽快感。炭酸の適度な刺激でそれをもたらしてくれる炭酸飲料に対し、冷奴には爽快感をもたらす適度な刺激など無いわ。七味などを足して刺激をプラスしても、それは冷奴自体のものではないし」
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)はコーラをくいっと一口。
口内に程よい刺激が広がれば、それはもう、爽やかになるひとときである。
「それに加え、お豆腐は足が速く傷み易い食べ物よ。暑い時期に冷奴で食べるのは、実はリスクが高いわ。デウスエクスなら食中毒にはならないでしょうけど、腐敗はお豆腐の味を落とすのよ。それで至高なんて笑わせるわ」
そしてシュワっと蓋をあけ、残りのコーラを一気に飲み干す。
「むむっ……ゴクリ……」
冷奴を塗ったくる手を止め、視線を送るビルシャナ。
お? こうかはばつぐんか?
「そのシュワシュワ……塗ったら、すごそう……ポッ」
いやそっち。
「残念だけど、お豆腐は冷ややっこ以外でも美味しいんだよ。うん、暑い時こそ熱いものだね。熱くて辛いものを食べていっぱい汗をかけばいいと思うよ。だから、リリはお豆腐料理ならこの激辛麻婆豆腐をオススメするよ。はふはふ、んっ、一口食べるだけでも汗がいっぱい出てくるね。この真っ白いご飯との相性ももちろんさいこーだよ?」
どこから取り出したのか、熱々のスキレットにのった真っ赤な麻婆豆腐と、ツヤツヤにお米が立った炊飯器をぱかりと披露するリリエッタ。
「冷奴とかお豆腐とか、既にオワコン。時代は冷たいそうめんなのですよ! 冷奴はあくまでサイドメニューが関の山。でも、そうめんはそれだけで……一食の食事になる。食材にもなるのに、食事として単品で完結できる、パーフェクトフードなんですよ! ピンで主役を張れる大物女優みたいですね。しかもつゆや具材で、質素であっさりしたイメージから、ゴージャスで芳醇なひとときをもたらす逸品にもなれる! まるで私みたい!」
事前にそうめんをたっぷり茹で冷水で締めておいたアンヴァルは、ビルシャナの前で竹の流し台をこしらえると、これみよがしに流しチュルチュルをしはじめる。
「いかがですか? あなたに私の姿がとらえられますか?」
残像を残しながら躍動感に溢れる流しそうめんをするものだから、流水やつゆがびちゃびちゃに飛び散るが、そんなことは最早パーフェクトアンヴァルの前では何ら問題ではない。
●ひややっこ……
「こんな暑い所で変(態)な鳥を見ているより、建物に入ったり家に帰ったりして冷たい飲み物をぐびっと飲んだ方が安全で幸せですよっ」
仲間達が熱い主張を繰り広げている間に一般人の誘導を行うセレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)。
能力は使わず、近くにいる一般人から順に声をかけて避難を促す。
「申し訳ありません。こちらはただいま危険ですので、道を迂回して頂けるようお願い致します」
相手を落ち着かせるように礼儀正しく振舞い、安心させるようにはっきりした言葉で伝えるリリス・アスティ(機械人形の音楽家・e85781)。
状況を丁寧に伝え、安全に避難できるように細心の注意を払う。
「さあ、こちらへどうぞ」
物腰柔らかな趣もあってか、リリスの言葉に反論することもなく、素直に避難を始める一般人達。
「デウスエクスが現れました! 落ち着いて避難をお願いします!」
イリスもまた、手際よく避難を促す。
避難が困難な者がいれば、自ら背負うなどして安全な場所まで運ぼうという気概もあったが、幸いにそのような者はいなかったのである。
かくしてセレネテアル、リリス、イリスの的確な指示により、人々は危なげなく避難を完了することができた。
●湯豆腐
「冷や奴以外にも美味しいお豆腐料理はたくさんありますよ~! 例えばディップにしてクラッカーの上にのせて食べるとか、とても美味しいですっ!」
避難を終えたセレネテアルは議論を投げかけながら他のケルベロス達に目配せをする。
それは避難が完了したことを意味していた。
「!? 貴様らいつの間に!?」
はっと現実に戻ったビルシャナは、悲しい哉、既にケルベロス包囲網のど真ん中である。
彼に成す術があることがあろうか。
いや、ない。
「コーラよりも刺激的なものをあげるわ」
キアリは螺旋竜巻地獄と螺旋転生・英雄王剣を使用し攻撃を仕掛けたかと思うと、ソードスラッシュと地獄の瘴気をさらに使用し、ビルシャナをかく乱する。
ルーシィドは周囲を見回しながら補助をメインに行動し、プリズムキャノンと眠りを守る死の茨を使用し攻撃する。
「みんな、見切りに注意だよ~!」
セレネテアルは注意を促しながら旋刃脚とフォーチュンスター、ハウリングフィストを順番に使って、ビルシャナをぽこぽこ殴る。
綿毛が宙を舞うような捉え所のない動きとはまさにこのことで、縦横無尽に戦場を駆け巡り、ヒットアンドウェイを繰り返す。
「冷奴だけとはわかっていませんね! 暑い日に食べる麻婆豆腐、揚げ出し豆腐! これがとっても美味しいんです!」
イリスは命中率の一番高いグラビティを使用し、命中率が低いようであればスターゲイザーで足止めを付与する。
「まだまだ終わりませんよ!」
さらにドラゴニックミラージュで(物理的に)暑くしつつ、議論出来なかった思いの丈をぶつけまくるイリス。
「それにしても湯豆腐に喧嘩売ってますねこのビルシャナ。その上ケルベロスにも喧嘩を売ったからには、覚悟はあったんでしょうね?」
絶空斬を使って攻撃する信乃。
ああ、湯豆腐に喧嘩を売ったやつは地獄を見るぞ。
「私は後方から仲間をヒール」
アンヴァルは後方から仲間をヒールする。
「そろそろトドメだよっ」
セレネテアルが先閃諷封を仕掛ければ、ビルシャナの動きが鈍る。
「わたくしの演奏、聴いて頂けると幸いです」
その隙を逃さず、すっ、とバイオリンを構えたかと思うと、機械仕掛けの夜想曲を奏で始めるリリス。
弦の上で弓をすべらせれば、音符達には命が吹き込まれ、その音色は心地よく、そして時に儚く、辺りに響き渡る。
「せめて、最期は安らかな夢を……」
そしてついにフィナーレを迎え、一呼吸置いてから弦から弓を離せば、最期のビルシャナはその活動を停止していた。
「これで、本当に最期なのですね」
バイオリンを肩から外し、ビルシャナを見つめるリリス。
その長く垂らした前髪の端に、きらりと光るものが見えたのは気のせいだろうか。
●そうめん
「本当に、あのビルシャナは見落としていたわ。暑い時に美味しいお豆腐の食べ方は、わたしは『あれ』が一押しなのよ。――麻婆豆腐! 帰ったらこのお豆腐で作って、ホカホカのご飯と一緒に掻き込むのー♪ ……そして、その食後に炭酸飲料で爽快感を。今日はキンキンに冷えたコーラが良いわね」
暑い時にはピリ辛料理もまた至高と、キアリは目を輝かせる。
幸いにお豆腐はたらいの中にたくさん余っているので、食材に困ることはない。
麻婆豆腐♪ 麻婆豆腐♪ とご機嫌に歌いながら、お豆腐を袋詰めしていくキアリ。
「豆腐アイスはたくさんあるので皆さんもぜひ。リリちゃんもどうぞ」
クーラーボックスから豆腐アイスを取り出し配りまわるルーシィド。
親友のリリエッタをはじめ、今回は、以前依頼で一緒になった顔見知りのケルベロス達ばかりである。
超会議での屋台でちょっと食べすぎて以来、食べ物関係のお仕事が大変多くてちょっとだけピンチなのは秘密だ。
「ありがと、ルー」
にこり、とルーシィドに笑みを返すリリエッタ。
そして豆腐アイスをぱくつきながら、
「冷ややっこ、色々なアレンジがあるんだね……リリは帰ったらトマトとチーズを乗せた洋風アレンジにチャレンジしてみようかな」
と、冷ややっこのレシピ本をぺらぺら捲り、誰ともなく呟く。
そんなリリエッタに、お手伝いしますよ、と、ルーシィドは笑みをお返しする。
この二人、らぶらぶである。
「うーん、動いたら少し暑くなってきましたね。こういう時は……やっぱり冷奴です!」
事前に、色々冷奴の上に乗せるタレとか調べてきたイリス。
マイ箸持参となれば、用意周到とはまさにこのことである。
「個人的には食べるラー油を掛けるのが美味しいです」
そしてイリスはざっくざっくとビンから食べるラー油をかけまくる。
「今までは、ただ好きなだけで人類の敵であるビルシャナ化してしまうような残念な出来事が多かったですが、これからは好きなものを安心して主張できるようになるんですね~! 依頼で沢山の食べ物ビルシャナを倒してきたので、平和を取り戻した感じがして感慨深いですっ」
周囲をヒールで片付けた後、まったりと冷奴を頂きはじめるセレネテアル。
「さぁ、食べまくりますよ~! ポン酢だけでなく薬味なんかも沢山持ってきてますっ」
そして様々な薬味を広げ、皆に振る舞い始める。
「私も持ってきたんです、薬味。よかったらどうぞ」
にこっと差し出すリリス。
「まだだ、まだ終らんよ。お豆腐始まったな」
そう告げると、残った冷奴とかそうめんを、おいしくなあれするアンヴァル。
「そうめんは刻みネギに市販のつゆでも、あっさりしててそれなりにおいしい。それに天ぷら盛り合わせ付けて、こだわりの厚削り鰹節や利尻昆布で取っただし入りのつゆを添えれば、なんて贅沢な逸品。薬味には、鮫皮でおろしたわさびや、刻んだミョウガ、刻み海苔に紅葉おろしなんかも取り揃えて、いろんな味で楽しめるように。もちろん、薬味やつゆは冷奴にも使えるぜ! 実は、つゆや醤油のかわりに青じそドレッシングも、個人的にはありです」
そうめんの何がそこまで心を掻き立てるのかわからないが、やたらそうめん推しに走るアンヴァル。
ていうかそんなことを言っているうちにそうめんが食べたくなってきましたけど?
「豆腐の角に頭をぶつけてといいますが、実際にぶつける人はドジっ娘です。極めろ道、悟れよ我。私よりドジな人に会いに行く」
そんな豆腐(そうめん)パーティを楽しむケルベロス達に一瞥すると、赤い鉢巻を巻きバトル野郎と化した信乃は、夕陽に向かい、ただ真っすぐ歩き出す。
「愛しさと切なさと何かとが入り混じったような、何かの波動に目覚めそうな、そんな感じですね」
そして信乃の後ろ姿を見つめながら、アンヴァルは薬味たっぷりゴージャスそうめんを一口すするのだった。
そうめん。
作者:湯豆腐 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年6月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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