シャイターン襲撃~血塗れの妖精

作者:森高兼

 人々は平和な時間が流れる街で、それぞれの日常を過ごしていた。
 しかし、デウスエクスは地球の平和を乱す者。突如街の上空に魔空回廊が現れ、そこから出現したヴァルキュリア達は、3体ずつ四方に分散していった。
 その内の一小隊はある住宅街まで飛行し、一体が散歩中の老人を見かける。血の涙を流しながら急降下すると、得物の剣で斬り捨てた。剣にこびり付いた血は意に介さない。
 異様なヴァルキュリア達が、生存している人間を求め機械的に街中を飛び回る。
「あれは、まさ」
 驚く営業マンの額を射抜いた一体は、次の標的を仕留めようと矢を番えた。
 別の一体が槍を構え、近くの家に子供を逃がそうとする母親に突撃していく。
「早く逃」
「ママー!」
 母親を殺害された直後、子供も無慈悲に命を絶たれた。
 建物の屋根にまで激しく吹き飛ばされた者など、至る所の死体や鮮血が街を死に染め上げていく。
 虐殺は動く者が見当たらなくなるまで……けっして終わらない。

 ケルベロス達を待っていたセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、険しい表情を浮かべていた。皆が揃い次第、早々に話を切り出してくる。
「城ヶ島のドラゴン勢力との戦いは佳境に入っていますが、エインヘリアルにも大きな動きがあったようです」
 鎌倉防衛戦で第一王子ザイフリートが失脚したことにより、後任の新たな王子が地球への侵攻を始めたようだ。
「エインヘリアルはザイフリートの配下だったヴァルキュリアを、何らかの方法で強制的に従えました。そのヴァルキュリアに人々を虐殺させてグラビティ・チェインを得ようと、魔空回廊を利用することを画策しています」
 セリカが変わらぬ真剣な面持ちで告げる。
「皆さんは東京都国立市に向かってください。ヴァルキュリアを従えている敵は、妖精八種族の一つシャイターンです。ヴァルキュリアの対処と、シャイターンを撃破することが全体の作戦目標になります」
 ヴァルキュリアの虐殺は各都市で行われる。同じ都市でも別々の地点に複数出現するという。
「国立市に到着後、皆さんはヴァルキュリアの撃破してください」
 街の一定区域を任され、討つべき敵は示された。
「ヴァルキュリア達の狙いは虐殺で人々のグラビティ・チェインの奪うことですが、邪魔者の排除を優先するように命令されているようです。皆さんが攻撃を仕かければ、その間に人々が虐殺されることはないでしょう」
 しかし、シャイターンが都市内部に存在する限りは、ヴァルキュリアの洗脳も強固なものだ。皆に容赦なく襲いかかってくる。
「ヴァルキュリアと戦闘中にシャイターンが撃破されれば……何かしらありそうですが。やはり確かなことは言えません」
 少なくとも、その時点で倒せていないヴァルキュリアと決着をつける必要はあるだろう。
「三体のヴァルキュリア達の装備は『ゾディアックソード』、『妖精弓』、『槍』と、それぞれ違います。戦闘の際は地上に降りてくるようです」
 なお、状況によっては一体のヴァルキュリアが援軍としてやってくる可能性もある。
「敵とはいえ、洗脳による虐殺の強要は許せるものではないでしょう。ヴァルキュリアに全身全霊で戦いを挑んであげれば、それは人々を守ることにも繋がりますから。どうぞよろしくお願いします」
 セリカは戦場に赴くケルベロス達へと、静かに一礼した。


参加者
殻戮堂・三十六式(語る名も亡き骨董品屋・e01219)
磐境・かなめ(山巫女・e01801)
山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)
イロハ・シャルフシュッツェ(銀燭の射手・e11591)
饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・e15276)
平島・時枝(フルメタルサムライハート・e15959)
ビィ・アルストロメリア(レプリカントのメイド機兵・e19093)
鋼・柳司(雷華戴天・e19340)

■リプレイ

●嵐の前
 もうじき、シャイターンに洗脳されたヴァルキュリア達が姿を現す。
 尊厳を奪われた者達の不殺を心に決め、ケルベロス達は空を見渡せる広場で待機していた。
 殻戮堂・三十六式(語る名も亡き骨董品屋・e01219)が気だるげに嘆息する。
「……全く、まさか敵であるデウスエクスに情け容赦掛ける日が来るとはな」
「新手の連中はお人形さん遊びが好き、ってな」
 使える手を用いようとする事自体については、平島・時枝(フルメタルサムライハート・e15959)は感心していた。だが洗脳という手段には、やはり良い気がしない。
 饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・e15276)がヴァルキュリア達の心情をおもんばかり、防衛戦のために意気込む。
「なんとまー酷いよね、シャイターン!」
「デウスエクスというのも色々としがらみは多そうだな」
「洗脳されてまでいいように使われるとか酷いし、誇りも酷いことになるし。どうにかしないとね……!」
「まずは一般人の安全確保が最優先だ」
 同情の余地はあると解っていても、鋼・柳司(雷華戴天・e19340)は人々のことを気にかけていた。
 ビィ・アルストロメリア(レプリカントのメイド機兵・e19093)が空を見ながら告げる。
「防衛戦は間もなくでしょう」
 ヴァルキュリア達に思うところはなく、ただ仲間達と為すべき事を為すのみ。
 勝利できれば、ヴァルキュリア達には命があるはず。以後は人々に危害を加えないでもらいたいが、それは避けられない運命だったりするのだろうか。
 磐境・かなめ(山巫女・e01801)と山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)の決意は、それでも揺るがない。
「人も街もヴァルキュリアさんさえも、わたしは助けたいと思うなのであります」
「虐殺を阻止するためにもヴァルキュリアを何とか、助けたいね。がんばらないと!」
 ケルベロス達の心構えはそれぞれ違っても、『不殺』は共通の意志だ。
 遠方から飛行してくるヴァルキュリア達を見やり、イロハ・シャルフシュッツェ(銀燭の射手・e11591)は戦闘に備えた。
「敵影です。気高き戦乙女の呪縛を断ち切ってあげましょう」
 もし援軍が現れてしまえば……ヴァルキュリア達の無力化以前に、防衛が困難を極めることになるだろうが。
 いざ、ケルベロス達は厳しい戦いへと臨むのだった。

●イバラの道
 ヴァルキュリア達は地上を駆けるケルベロス達を目撃すると、グラビティの射程内に入る前に道路へと降り立ってきた。
 臨戦態勢を整えてくるのは事前情報で聞いており、涼子が構わず先手を取りに突き進む。
「いくよーっ!」
 ブラックスライムを変形させながら剣使いのヴァルキュリアに肉迫し、捕食モードになった得物で敵を包み込んだ。中で暴れられようと攻撃の間は絶対に離さない。
「意識は……無いのかな?」
 ヴァルキュリア達の洗脳は本当に強固のようで、その身を顧みず苛烈な攻撃を繰り返してくるだろう。
 ディフェンダーの柳司は攻撃より回復重視で戦うつもりだった。
「援軍到着までに戦力を減らしておきたいものだ」
 三十六式の『御業』が至近距離から炎弾を飛ばすと同時に、回復専念となることを見越してドラゴンの幻影を掌から放っておく。彼との集中攻撃で剣使いのヴァルキュリアを焼き払った。
 三十六式が命令を実行しようとする哀れなヴァルキュリア達に言い聞かせる。
「お前らの大事な奴が、シャイターンとかいう野郎に良いようにされても構わねえのかよ。こんな所で操られてる場合じゃねえだろ。敵は俺らの仲間が何とかしている」
 完全な洗脳状態では通じてくれないようだが、訴えかけていくのは重要と考えたのだ。
 前衛陣が近接不可能な所にいる弓使いのヴァルキュリアは、エネルギーの矢を精製した。回避を諦めさせるような命中精度で涼子を射抜いてくる。
「戦線を支えます! シールド展開!」
 涼子に威力重視の剣が振るわれる前に、かなめは彼女の正面に光の盾を具現化させた。
「わたし達で皆さんのどんな傷も治すなのであります!」
「まー大変そうだけど、やるしかないね!」
 メディックには樹斉もいるため、二人ならば戦線を何とか維持できるかもしれない。
 ケルベロス達が剣使いのヴァルキュリアを中心に攻撃していく。
 剣使いのヴァルキュリアは涼子を狙い続ける最中、乙女座の加護を得てきた。それは三十六式が消し去り、他の敵は援護に回ってきて戦況は拮抗。
 不意に、中衛陣の時枝が空を見て呟く。
「どうしたものかねぇ」
「援軍接近中です。気をつけてください」
 イロハは皆に警戒を促しておいた。
 防衛戦開始から5分が経った頃、ゾディアックソードを携えたヴァルキュリアが援軍としてやってきた。それによって……戦況は一変することになる。
 槍使いのヴァルキュリアが氷を纏い、前線を越えて中衛陣を薙ぎ払ってきた。
 キャスターの対応はライドキャリバー『リベリオン』に任せており、戦うメイドのビィも中衛で黙々と仕事をこなす。新たな敵を引きつけようと、アームドフォートの主砲を一斉発射させた。
 援軍のヴァルキュリアが剣使いの敵に獅子座の加護を与えてくる。だが解除させてしまえば大して問題ない。
 まだ剣使いのヴァルキュリアに手加減するのは早く、イロハが特殊AFに光刃を生成させ、両掌部射出口よりプラズマエナジーの刃を放出させた。
「ジェネレーター出力、危険域へ突入……さあ、刃を交えるとしましょう」
 接敵して怒涛の十刀流を見舞い、すかさず後衛のかなめ達がいる付近まで退いていく。
 三十六式は体内のグラビティ・チェインの一部を破壊力に変えた。
「何も考えずに攻撃して暴れんのが性分な身としちゃ、面倒な状況は些か小難しく感じちまう」
 そう言いながらも剣使いのヴァルキュリアの懐に踏み込み、敵を守護する獅子座の加護を打ち砕く。
「まあ、この状況じゃそうも言ってられねえか……」
 敵の戦力が増えたことにより、ケルベロス達は徐々に苦戦を強いられようとしていた。

●命を賭して
 ヴァルキュリア達には星座の加護以外に呪力を解除する術がなく、それを封殺していったケルベロス達。数の上では有利だとしても、敵の一撃が重く劣勢に陥りつつあることは否めない。
 槍使いのヴァルキュリアが槍に光を宿し、回復前の三十六式を刺突しようと向かってきた。
 アスファルトを削るような勢いで道路を走ったリベリオンが、三十六式の代わりに槍で貫かれる。少々痛い部位であって、けっしてダメージは浅くない。
「今ヒールかけるからねー!」
 ボクスドラゴン『エン』もディフェンダーを担っているものの、樹斉は深く傷ついているリベリオンに満月のような光球を当て、蓄積していたダメージを減少させた。
 時枝が中距離から前線までローラダッシュしていき、摩擦でエアシューズに炎を纏わせる。標的は援軍のヴァルキュリアだ。
「アンタへの蹴りは足りてない、ってな!」
 参戦のタイミングが遅く、援軍の敵には他の敵達より呪力を付与できていなかったが。時枝が蹴りを決めれば、炎が激しく燃え上がった。
 最早刻まれた呪力を解除しようともせず、剣使いと援軍のヴァルキュリアが絶えず攻撃を仕かけてくる。
 リベリオンは星座の重力が乗った斬撃により、サーヴァントゆえに重傷の可能性は皆無で戦線離脱となった。
 一言のみ、ビィが労う。
「お疲れ様でした」
 涼子は序盤から特に攻撃を受けていて、大事をとって魔人降臨を行った。全身に呪紋を浮かべて傷を癒し、感情を爆発させなかったビィに変わって怒号する。
「誇り高き種族の人が何でそんなことするのさ! 恥ずかしくないのかい!?」
 たとえ虚しさが沸いてくることになろうとも、声をかけ続けることは絶対に止めない。
 劣勢を覆すには剣使いのヴァルキュリアを無力化させることが近道。だが前衛陣はおろか中衛陣とて……いつ倒れてもおかしくないため、戦況は悪化の一歩を辿るばかりだ。
 守備の要は自分とエンであり、柳司が溜めたオーラの循環で自らを奮い立たせた。気合は十分となって、振り下ろされた剣を腕全体で受け流すように防ぐ。
「中々のものだ。だが、俺も仲間もやらせるわけにはいかんな」
 綻びを隠せない戦線を保とうと、メディックに援護してもらって動ける限り体を張った。
 しかし、ヴァルキュリアの猛攻がケルベロス達を追い詰めてくるのは、皆が思っているよりも早かった。街の防衛すら危うい中で、剣使いの敵が消耗の激しい涼子に剣を振りかざしてくる。
 矢継ぎ早に攻撃にも重傷は免れそうな柳司は、攻める者と守る者を天秤にかけ、迷わず涼子のために庇い出た。
 次の瞬間、援軍のヴァルキュリアが柳司に襲いかかってくる。
「そろそろ……状況が、好転するかも、しれんぞ……?」
 倒れゆく柳司に希望を託され、涼子が剣使いのヴァルキュリアとの間合いを詰めていく。
「これで、おわって!」
 バトルガントレットに仲間の思いを込め、敵の腹に打撃を叩き込んだ。
 剣使いのヴァルキュリアは……止まってくれなかった。死なせないために涼子が加減はしたが、恐らく本気のグラビティでも僅かに耐えられていただろう。
 瓦解した戦線が、負の連鎖を発生させていく。
 剣使いのヴァルキュリアには後一撃を相殺や回避などで生き残られ、槍使いのヴァルキュリアは突撃でビィに膝を折らせた。
 弓使いのヴァルキュリアが涼子の細身を正確に射て、道路にひれ伏させる。
「ボク、はっ……!」
 仲間が次々と倒れていき、まだ立っているケルベロス達にとっては絶望的な光景だ。
 事態は深刻だが、エンが何かを傷つけるためではなく……樹斉の仲間のために諦めず身を挺した。
「エンー!」
 ヴァルキュリア達と話すのは樹斉達だと、ちゃんと理解している。だからこそ、三十六式を槍の一突きから守り、次なる攻撃に晒された。

●響け
 エンが戦線離脱となってしまってからすぐ後に、防衛戦開始から15分が経過。ヴァルキュリア達に異変が生じたのは、その時だった。
 どうやら、別動隊がシャイターンを討ってくれたようだ。
 これまで声を発することのなかった剣使いのヴァルキュリアが、ついに口を開く。
「私……」
 己の置かれた状況を大体察したのだろう。
「私に、容赦しないで!」
 剣使いのヴァルキュリアは道路に獅子座の光を描いた。最後の前衛たる三十六式を鼓舞し、再び様子がおかしくなる。
 他のヴァルキュリア達にも同様の変化が見られて、ケルベロス達に態勢を立て直す時間の余裕ができた。
 三十六式がまた聞こえていなさそうな剣使いのヴァルキュリアに、一声かけておく。
「忠告通り、痛くするが我慢しろ」
 性質の悪い洗脳を解くため、今度こそ意識を取り戻せるように目覚めの一発をくらわせた。
「自我をしっかり持て」
 戦いの間、ずっとヴァルキュリア達に語りかけてきた。クールながらも三十六式の言葉には、確かな熱が帯びている。
「……もう大丈夫、です。私は撤退しておきます」
「そうか」
 剣使いのヴァルキュリアは争っている自分の仲間達を一瞥し、眉根を寄せて空に上がっていった。色々と聞くことができればよかったが、憔悴している者を引き止める理由はない。
 最後に力を抑えた攻撃を当てることにより、正気に戻る場合があるようだ。それならば、ますます遠慮はいらないだろう。
 形勢逆転で手加減するまでの遅れを取り戻そうと、時枝が内なるグラビティ・チェインの力で身体を制御する。グラビティ発動に伴う肉体と知覚の能力が瞬間的だが、ここに全解放された。
「今は頭が働いてないかね……。ま、死なない程度にブン殴ったりするけど、悪く思うなってな!」
 神速で踏み込む。同士討ちも辞さない覚悟らしいヴァルキュリア達を掻い潜り、槍使いのヴァルキュリアに鮮やかな一太刀を浴びせた。
「わたし達はダンジョンでヴァナディースさんの残霊さんとお会いしました。彼女は皆さんの自由を願っておられた……」
 かなめがヴァルキュリア達に繰り返し、撤退を呼びかける。
「ホントは皆さんもこんな戦いを望んでないのでしょう? だから、退いては頂けませんか?」
 声が届けば一番ながらも頃合を見計らい、イロハが槍使いのヴァルキュリアを傷つけ過ぎない攻撃にシフトした。
「気高き戦乙女に、血の涙は似合いませんね」
 ヴァルキュリアの頬を伝う赤い線は、はっきり見えている。早く正気に戻して、そんなものは拭ってもらいたい。
「ヴァナディースだかってのが、シャイターンにとっ捕まって大変みたいだけど。アンタら、まだここでアタシらに油売ってて良いもんかね? この場は一時休戦ってな」
 時枝は『休戦』という言い方で撤退の気持ちを刺激してみた。
 皆のおかげで、ヴァルキュリア達の洗脳は確実に解けかけている。シャイターン撃破後の動向を読めない以上、説得は時間との勝負だ。
 樹斉が内容の方向性を変え、攻防を繰り広げる合間に説得を続ける。
「戦士の貴女達が仕えていたのは誰? あの黒いシャイターンとかいうの? 違うよね。単なる虐殺とかに使われるとか、誇り穢されたままでいいの?」
「ザイフリートの救助は本作戦と同時に行われています」
 耳を傾けてくれる頻度が増えており、イロハはヴァルキュリア達に重大なことを明かした。
 かなめが混乱のピークに達しているヴァルキュリア達のため、誠心誠意で心から叫ぶ。
「少しだけでも自由に動けるなら、生き長らえる為に時間を使ってくださいなのであります!」
「……ッ」
 一番強い反応を示した槍使いのヴァルキュリアは、頭を振って槍を引いてきた。
 しかし、弓使いのヴァルキュリアと援軍のヴァルキュリアが指令を受け取ったかのように、無感情でケルベロス達から離れていく。
「先程の方とは、別の方角に行かれましたね。残念ですが、追えません」
 イロハ達は立ち尽くし……それを見過ごすしかなかった。
 互いに一旦落ち着いてから槍使いのヴァルキュリアが、ケルベロス達に断言してくる。
「お前達は、最善を尽くしてくれた。それは全員に伝わっている」
 途切れ途切れの意識でケルベロス達の雄姿を目の当たりにしていたがゆえに、一定の信頼を寄せられると思ってくれたようだ。敵にも情けをかけることのできる者を信じず、誰を信じろというのか。
「此度の事は覚えておこう」
「はいなのであります!」
 妙に改まって敬礼するかなめ。
 槍使いのヴァルキュリアは空中へと上がり、八人のケルベロスを順番に見据えてきた。それから、剣使いのヴァルキュリアが行方をくらませた方角に去っていく。
 窮地に立たされる条件下で、ケルベロス達は最大の成果を挙げることができたのだった。

作者:森高兼 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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