斬が斬る

作者:紫村雪乃


「劉・沙門」
 呼ぶ声がした。
 振り向いたのは精悍な顔立ちの男である。年齢は三十ほどであろうか。
 その背には白き翼があった。人間ではないのである。竜種であった。
「貴様はーー」
 劉・沙門と呼ばれた男は息をひいた。彼を呼んだ者の正体を見とめた故である。
 朱盆のような月を背に男が佇んでいた。
 漆黒の衣服に、純白の羽織をまとっている。所々散っている真紅の紋は返り血であろうか。紅の髪を背にたらし、目のみ隠した仮面をつけていた。
「柔武・斬!」
「ふふん。覚えていたか」
 斬は薄く嗤った。すると沙門は歯を軋らせた。
「忘れるものか、貴様ら破天会の連中を」
 沙門は叫んだ。
 破天会。それは世界中の道場を潰してまわっている武闘集団であった。
 そして眼前の柔武・斬こそ破天会の師範代の一人であり、沙門の道場襲撃を計画した張本人であった。
 はじかれたように沙門は襲いかかった。疾風の速さで拳を叩きつける。
 その拳撃を斬は掌でさばいた。のみならず手で沙門の手首を掴み、捻る。すると嘘のように沙門の身が空に舞い、地に叩きつけられた。
「ーー合気術か!」
 はねおきた沙門の口から愕然たる声が発せられた。
 刹那である。沙門の手首が爆裂、鮮血をしぶかせた。
「ふふふ。お遊びはここまでだ」
 斬は抜刀した。


「劉・沙門(激情の拳・e29501)さんが、宿敵であるデウスエクスの襲撃を受けることが予知されました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がいった。
「急いで連絡を取ろうとしたのですが、連絡をつけることは出来ませんでした。一刻の猶予もありません。彼女が無事なうちに救援に向かってください」
「宿敵はどんな相手なの?」
 妖艶な女が問うた。和泉・香蓮(サキュバスの鹵獲術士・en0013)である。
「名前は柔武・斬。螺旋忍者です。武器は日本刀。さらには螺旋掌と合気道の技も使います」
「かなりの強敵のようね」
 香蓮はいった。さすがにその艶然たる顔に余裕の笑みはない。
「だからこそ、誰かがいかないと。劉さんを救い、宿敵を撃破しなければ」


参加者
源・那岐(疾風の舞姫・e01215)
パトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
カタリーナ・シュナイダー(断罪者の痕・e20661)
瀬部・燐太郎(殺神グルメ・e23218)
雪城・バニラ(氷絶華・e33425)
兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)

■リプレイ


「沙門さんの道場を壊滅させた仇なんだね」
 風の速さで疾走する八つの影のうちの一つが声をもらした。
 生真面目そうな顔立ちの若者。名を源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)といった。
 うなずいたのは源・那岐(疾風の舞姫・e01215)という名の玲瓏たる娘であった。瑠璃よりも年上であるが、その姓が示すように瑠璃の妻であった。
「沙門さんが不覚を取る可能性もある武人よ」
 那岐はいった。その那岐の金色の瞳には、隠しようもない好奇心の光がある。純粋に武人として柔武・斬という螺旋忍者に興味があるのだった。
「敵である所が惜しまれる所ですが……今は沙門さんの無事が最優先です。瑠璃、急ぎましょう」
「はい」
 瑠璃は肯首した。那岐と同じく好奇心をねじ伏せて。
 瑠璃もまた拳士。強き武人には大いに興味があった。
 が、それはそれ、これはこれである。今はとにかく沙門の無事が最優先であった。瑠璃が疾走の速度をあげる。
 同じく疾駆しながら、精悍な風貌の男もまた独語した。
「なるほど、仇討ちか。手を貸しましょう」
 男ーー瀬部・燐太郎(殺神グルメ・e23218)は自身の両腕を見下ろした。左腕を地獄化、右腕をワイルド化している。
 その左腕であるが。地獄化した原因はデウスエクスにあった。かつて襲撃された際に失ったのである。
 のみならずデウスエクスは憐太郎の婚約者まで奪った。デウスエクスを天敵とする者として、憐太郎は沙門に共感せずにはいられなかったのである。
「ですが」
 兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)が、ぼんやりとはしているが可愛らしい顔に憂慮の翳を滲ませて憐太郎を見た。
「その柔武斬という敵はなかなかの手練れの螺旋忍者のようですね」
「日本刀だけでなく、螺旋掌と合気道まで使いこなすみたいだからね」
 夜目にも鮮やかな純白の髪と白磁のようになめらかな肌の女がこたえた。
 雪城・バニラ(氷絶華・e33425)という名のその娘は、常からそうであるのか無表情であるのだが、その実、戦慄している。が、そうと他者には悟らせぬ強さが、確かにこの華奢な娘にはあった。
「はい」
 とうなずき、すぐに紅葉は再び、ですが、と続けた。
「どんな強力な力であっても、正義の為に使わない力などには負けませんよ」
 紅葉はいった。
 ここにもまた、いる。外見に似合わぬ強い心をもつ娘が。


「なかなかにやる。が、しょせんは番犬。この俺にはかなわぬ」
 仮面の男は嗤った。柔武・斬である。
 その足下には血まみれの男が横たわっていた。劉・沙門である。もはや身動き一つすることはなく、戦闘不能状態であるのは明白であった。
「そろそろよかろう。とどめを刺してくれる」
 斬は血刀を振り上げた。
 刹那である。斬は跳び退った。その彼の眼前を漆黒の弾丸が疾り抜けていく。
 次の瞬間、沙門と斬の間に人影が立ちはだかった。
 小麦色の肌の女だ。乳房も尻もむっちりと肉のついた豊満な肢体の持ち主である。名をパトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)といった。
 そのパトリシアの背後、瑠璃が沙門に駆け寄っている。重そうに抱えあげ、歩み出す。
「待て!」
 斬が叫んだ。するとパトリシアが両手を広げた。
「オットここは通行止めデス」
「番犬か。邪魔をするなら死んでもらうぞ」
 斬が刃の視線をむけた。するとパトリシアがすうとかまえをとった。
「ブラジルといえばルチャ・リブレ。ワタシもかじってたノヨ。タフネスには自信があるのダワ。押し通れ。できるものなら」
「ほう」
 斬がニヤリとした。
「少しはできるようだな。が、プロレスの業などで俺は倒せん」
「剛武・拳とやらを潰すトキはワタシも立ち会ったワ。あなたは奴より歯ごたえアルのかしらネ!」
 パトリシアが不敵に笑った。すると斬の目がわずかに見開かれた。
「ほう、お前が剛武・拳を」
 ふふ、と斬はしかしすぐに嗤った。
「が、さしたることもない。奴は弱かった。故に負けた。それだけのことだ。この柔武・斬を奴と一緒にしてもらってはこまるな」
「ほざくな!」
 叫びとともに一条の光が迸り、斬の腕を撃った。呻く斬の視線はバスターライフルをかまえている女の姿をとらえている。
 年の頃なら三十ほどか。冷然たる面持ちで、猛禽を思わせる鋭い目の持ち主であった。
「道場破りか……デウスエクス風情が図に乗りおって。貴様の如き半端者が武術の覇者を名乗るなどおこがましい。此処で消えるがいい」
 女ーーカタリーナ・シュナイダー(断罪者の痕・e20661)がいった。
「消えるのはお前たちだ」
「いいえ!」
 否定の叫びは空でした。はじかれたように目をあげた斬は光の尾をひいて飛翔する紅葉の姿をとらえている。
 咄嗟に回避しようと試みた斬であるが、瞬時に彼は不可能だと悟った。彼をして、そう思わせうる鋭さを紅葉の蹴りは秘めていたのである。
「この飛び蹴りを、見切れますか?」
 紅葉の蹴撃が強かに斬に炸裂した。咄嗟に後方に跳び、少しでも威力を削ぐのが斬の渾身の業だ。
 刹那である。小柄の影が斬の間合いに飛び込んだ。
 地を踏む砕くほどの踏み込み。薙ぎ下ろされる刃は鉄塊を思わせるほど巨大で肉厚であった。
 刃を受けた斬の足が衝撃で地にめり込んだ。が、斬の顔にはまだ余裕の笑みが浮いている。
 斬の手が巨剣ーースルードゲルミルの持ち主であるコクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)の手首を掴み、軽く捻った。瞬間、コクマの身が宙を舞った。受け身すらとれず、地に叩きつけられる。
 むくりと身を起こすと、コクマは吐き捨てた。
「ふん…東洋の奇跡という奴か。まぁよい。貴様は唯ワシの気晴らしに叩き潰されてしまえ」
「できるかな」
 斬が嗤った。
 次の瞬間である。コクマの手が爆裂した。
「ぬあっ!」
 たまらずコクマがスルードゲルミルを取り落とした。
 その時、瑠璃は離れた位置にたどり着いていた。沙門を横たえ、気による一時的な治療を行う。もはや戦うことはかなわないが、これで死ぬような事態にはならないだろう。
 その瑠璃の様子を見とめ、那岐はうなずいた。
 瑠璃はしっかりと役目を果たしてくれている。ならば私は私の役目を全うしなければ。
「舞え、藤の花、大切な人に癒しの加護を……」
 神韻縹渺たる様。厳かに那岐が舞う。藤の花が乱れ吹雪くその中に。刹那の那岐は聖気の怪物だ。
「螺旋掌か」
 憐太郎が唸った。
「螺旋、忍軍……?  まだ居残っているか……?」
 憐太郎は驚嘆の声をもらした。
 かつて戦争で螺旋忍軍のゲートは破壊したはずである。それなのに、いまだに生き残っている。驚くべき種族のしたたかさであった。
「が、貴様はここで潰す。ほんの悪意(きもち)だ。お口に合わないかも分からんが……とりあえず喰らっておけッ!」
 憐太郎の両腕から漆黒の炎と水流が迸り出た。地獄の炎と混沌の水である。
 撃たれた斬の身裡で炎と水が駆け巡り、反発。斬の体内で爆発した。
「くっ」
 斬の口から鮮血が溢れ出た。内部の破壊は斬に無視できぬダメージを与えている。
 が、まだだ。沙門に斬がかかる時間的余裕を与えてはならなかった。故にバニラは攻撃する。
「さあ、これで凍えてしまいなさい」
 バニラの手から氷結輪が飛んだ。霧氷の尾をひきながら疾り、斬を切り裂く。斬からしぶく鮮血が凍りついた。


「ああ…苛立たしい。忌々しい」
 呪詛の言葉を吐きつつ、コクマが襲った。身を独楽のように回転させ、遠心力をくわえた一撃を繰り出す。
 その一撃は、しかし空をうった。斬がすらりとかわしてのけたのである。
 次の瞬間、斬の手の鞘から銀光が噴いた。ケルベロスですら視認できぬ速さの斬撃がコクマを容赦なく切り裂く。いやーー。
 パトリシアが動いていた。本能的行動でコクマを庇って立つ。切断されたパトリシアの腹から鮮血がしぶいた。
「今度はコッチの番デス!」
 パトリシアは斬に拳を叩きつけた。破壊力をぶちまけると同時に斬から体力を奪い、自身のそれへと変換する。
 が、まだだ。完治にはほど遠い。
「任せてください」
 那岐が軽やかに舞った。その身から噴く気が花吹雪となってパトリシアとコクマを包み込み、花弁の触れた傷が再生を始める。
 瞬間、斬が跳び退った。が、竜の咆哮のごとき唸りを発して迫る砲弾をかわすことは不可能だ。爆炎に斬が包まれる。
 直後、前衛の位置に瑠璃が走り込んだ。その手の超硬度鋼のハンマーは砲弾発射の余熱にいまだ赤熱化している。
 その時、爆炎をカタリーナはバスターライフルでポイントしていた。撃つ。
 銃口から迸り出る灼熱の魔法光は、しかし爆炎を貫いて流れ過ぎた。炎に灼かれながら斬がかわしたのである。
「なるほどいい《腕》を持っている。が、それだけだ」
 憐太郎の手から黒い粘塊が飛んだ。巨大な顎門と化し、粘塊が斬に喰らいつく。
 直後、顎門はむなしく牙を噛み鳴らした。斬がまたもやかわしたのである。
 が、さらに続くケルベロスの三撃めはさすがにかわし得なかった。紅葉の得物ーー紅の和みの流麗な一閃が斬を鮮やかに斬る。
 たまらず斬がたたらを踏んだ。その隙をつくバニラの一撃は強烈無比。
「漆黒の弾丸よ、敵を闇に染めてしまいなさい」
 シャドウエルフのみ扱える高等グラビティ。影を凝縮したこなような黒い弾丸が侵食せんと斬めがけて疾った。
 誰が想像し得ただろうか。必殺必中の弾丸が斬り落とされようとは。
「――ちイッ、もうちょっと《手加減》しやがれ!」
 憐太郎が大袈裟にごちた。
「手?」
 那岐が首を傾げた。憐太郎の言葉の中に手という語のつくものが多いことに気づいたのだ。
 これは彼の経歴による。幾多の戦いを経て両腕を失い、それぞれ地獄の炎と混沌の水に憐太郎は置換しているのだが、どうも自虐的に彼は手に関する慣用句を使いたがる傾向にあった。
 その憐太郎の手から漆黒の奔流が噴出。なに、という呻きは斬の口から発せられた。奔流が硬質化鋭利化したからだ。槍の穂先と変じた粘塊が斬を貫く。
「くっ 」
 苦悶する斬。その目は獣のように躍りかかる紅葉の姿をとらえている。
 姿もそうなら、襲撃速度も獣と同等。いや、それ以上であった。
「貴方の命、頂きますよ!」
 デウスエクスすら避け得ぬ速さで紅葉は襲った。これもまた獣を超える力で無残に素手のみで斬を引き裂く。
「ううぬ」
 斬が唸った。その瞬間、さらなる攻撃を加えようとしていたケルベロスたちの動きが止まった。凄絶の殺気が斬から吹きつけてきたからだ。


「やってくれたな、番犬ども。もう容赦はせんぞ」
 呪詛のごとき言葉を斬は吐いた。
 次の瞬間だ。斬の姿はケルベロスたちの眼前にあった。
 あっ、とケルベロスたちが思った時は遅い。閃く光流はケルベロスたちを薙ぎ払っている。
 範囲攻撃というにはあまりに重い一閃であった。たまらずケルベロスたちはがくりと膝を折っている。
「なんという威力」
 戦慄しつつ、しかし那岐は見抜いていた。戦いの終わりが近いことを。故の斬の渾身の一撃であろう。
 この機を逃してはならない。もう一度、先ほどの攻撃を受けたら回復は追いつかないだろう。
 そう判断した那岐は超越存在たる御業を召喚した。すると斬の動きが止まった。半透明の巨大な手が斬を鷲掴みにしていると見とめ得た者がいたか、どうか。
 とまれ、戦闘巧者であるカタリーナはその機を見逃さない。
「貴様は武術の腕だけは一級だろうが、己の限界は見えていないな? 腕力や技巧力の違いだけが実力の違いだと思い上がるな。最後にモノを言うのは、徹底した殺意だ」
 カタリーナの目がギラリと不吉に光った。死神の鎌のごとく。そして一撃もまた死神のそれ。斬の呪的防護が一時的にではあるが砕かれた。
 刹那である。はねあがった足が鉈のように斬めがけて疾った。
「壁って言ったけどサア! 押し通れないナラ、痛い目に合ってもらうワヨ!」
 パトリシアの蹴撃が斬にぶち込まれた。咄嗟に跳び退って威力を削ぐ斬。
 が、それでもパトリシアの蹴りの威力は規格外に強烈であった。地を削りながら斬が後退する。
「柔武・斬とやら」
 かまえをとる斬にむかってコクマが声をかけた。
「合気とやらは火も受け流せられるものなのか? 試してみるとしようか」
 コクマのスルードゲルミルが燃え上がり、さらなる巨大な炎の刃を形成した。コクマの口の端が嘲笑に形にゆがむ。
「貴様の使う武術は本来は危険を避ける護身の技術である。故に…貴様の合気は三流であったと証明されるだろう。何せ…ワシらと会った時点で無様に泣き叫び逃げるか土下座して定命化を行わなかった時点でな」
 炎の奔流とともにコクマが刃を薙ぎおろした。
 カッ、と火花が散った。斬が日本刀で受け止めたのだ。衝撃で斬の足下の地が陥没した。
 受け止め得たのは斬なればこそである。が、コクマの刃は斬の想像を超えて熱かった。灼熱の炎が斬を灼く。
 とはいえ、やはり斬はデウスエクスであった。左手のみにてスルードゲルミルを受け止め、右手をそろそろとコクマの手にのばす。
「螺旋掌か。もうその手はくわん!」
 コクマが後方にはね跳んだ。代わって斬の懐に飛び込んだのは瑠璃であった。
「キミは沙門さんが不覚を取るほどの強敵だ。けれど僕達は負けない。沙門さんの為にキミをたおすよ!」
 瑠璃は身の丈よりも巨大な機龍槌アイゼンドラッヘを斬に叩きつけた。竜力を噴出して加速させたアイゼンドラッヘの威力は高層ビルですら一撃で粉砕する。
 凄まじい衝撃に斬の身が吹き飛んだ。廃ビルに激突、粉塵に変えてようやく止まった。
「お、おのれ」
 よろよろと斬は立ち上がった。対峙するのはバニラである。斬が口を開いた。
「番犬。俺は強い。故に負けぬ」
「無駄よ。私はあなたの弱点を見抜いているわ。これでも食らえ!」
 コートの裾をなびかせてバニラが踏み込んだ。同時に迸る斬の剣流。
 バニラが身を沈めた。その頭上を刃が流れ過ぎる。翻った髪がばっさり切断された。
 衝撃が斬を襲ったのは瞬き一つもせぬ寸瞬。バニラの一撃は斬の息の根を完全にとめていた。


 沙門が目を開けた時、視界には四人の顔があった。那岐と瑠璃、バニラと紅葉である。
 離れたところには二人の男女の姿があった。パトリシアと憐太郎である。二人は辺りの修復を行っていた。
「大丈夫かい」
 薬師蛇の医療鞄をもった瑠璃が訊いた。かすかに沙門がうなずく。まだ意識が朦朧としていた。
「もう心配はいりませんよ。あなたの宿敵たる柔武・斬は私たちが倒しましたから」
 那岐が微笑みかけた。バニラと紅葉もまた。
「そうか」
 清々しい子供のような笑みを返し、沙門は再び眠りについた。

 この時、すでにコクマの姿はなかった。鬱憤を晴らさんがため、香蓮に夜這いしていたのである。その首尾はーー。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年5月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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