●生でいくんや
都会とは程遠い、のどかな自然。
木々の深緑と渓流のせせらぎが気持ちいい環境は、暑くなってきた頃合いに訪れるには最高と言ってもよかった。
つまり、そこに在るバーベキュー場もまた最高だった。
「あー……涼しくて肉が美味い」
「ホタテもぷりっぷりやで……」
「とうもろこしも外せませんわ」
煌々と炎の昇るバーベキューコンロを囲む人々。
串に刺された肉や野菜にかぶりついて、あるいは熱々のホイル焼きで魚介を味わって、はたまた冷えた缶ビールをあおり散らかして――。
『最高や…………』
恍惚とした顔でアウトドアチェアに身を預ける。緑の匂う風がさらりと肌に。
至福。まさに至福のひとときである。
だがしかし、そんなときにノコノコ来るのが鳥さんだ!
「バーベキューは絶対に許さんぞ!!!」
「えっ……」
「ちょ、ちょっと……!?」
現れたのは、怒りを露にしたビルシャナ&リヤカー。
乗りこんでくるなり怒声を散らした鳥類は、人々のバーベキューコンロを睨みつけて「ふんす!」と鼻息を荒ぶらせた。
「せっかくの食材に火を通してしまうなど愚の骨頂! 肉も魚も野菜もすべてありのままの状態で食べてこそ、生食でこそ最高の美味しさになるんだぞ! それをおまえ直火で焼いちゃうとか…………もうっ、バカッッッ!!!」
ぷぅ、と頬を膨らませつつ、引いてきたリヤカーの荷物を見せる鳥さん。
荷台には段ボール箱や大型クーラーボックスがいくつも積まれている。段重ねにされたそれをひとつ持ち出すと、中には立派なステーキ肉がぎっちり。氷でしっかり保冷された肉たちはバーベキューすればさぞ美味しく頂けることだろう。
だが! 鳥さんは肉をひとつ無造作に掴むと!
「食べ物とはなぁ! こう食うんだよぉぉぉ!!!」
「きゃーー!?」
「うわぁぁぁぁ!?」
はむっと嘴で啄み、豪快に生のまま噛み千切ったァァァ!!!
「こんな美味しいものに火を通すなぞ大罪! 愚かしきバーベキューの民は私が駆逐してくれよう!!」
「こ、こっちに来るぅー!?」
「逃げろぉぉーー!!?」
嘴の隙間から生肉をぶらぶらさせながら、ずんずん歩いてくる鳥さん。そのあまりに強すぎる圧に、楽しい時を過ごしていたバーベキュー民たちは逃げ惑うしかなかった。
●バーベキューするにはいい日だ
「――というわけで、皆さんにはバーベキュー場に向かって頂きたいんです」
「今日はバーベキューだナ!」
予知された状況を伝えきったセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)の横で、アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)がからからと笑う。
なるほど本日はバーベキューらしい。
いい天気だし最高だなぁ、と晴天の空を見上げる猟犬たちだった。
「ビルシャナが現れるバーベキュー場は郊外の自然の中にありますから、きっと涼しくて過ごしやすいはずです。羽を伸ばすにはうってつけじゃないでしょうか」
「最近色々あっタしな!」
「どうぞ日々の疲れをリフレッシュさせて下さいね」
「肉も魚もたくさん食べルゾ!!」
すでに思考がバーベキューに向いちまってるセリカとアリャリァリャ。だがそれも無理からぬことだろう。なんせ鳥さんは信者を一人も連れていないのだ。
そう、つまり!
行って倒すだけ!
生肉を咥える鳥を屠るだけの簡単なお仕事!
「それよりも大変なのは、ビルシャナが持ちこむ食材の量です。お肉や魚介類、野菜などなど色んな食材が大量にあるみたいで、このままでは大変なフードロスになってしまいます」
「それを防げルのは……ウチらしかいネーってことダナ!」
「はい、そうです!」
「パパッと焼き鳥にシテ、食材はウチらで美味しくイタダクー!!」
二振りのチェーンソー剣をぶぃぃぃーんと鳴らして、アリャリァリャはもうアップを始めている。鳥さんを処して食材だけ貰うためのアップを始めている。鳥さん逃げて。
「機材は現地にありますし、飲み物や調味料はヘリオンに積みましたから……もうあとは出発するだけですね! 皆さん準備はいいですか?」
「バーベキューーー!!!」
ふふっと微笑むセリカの問いかけに、珍妙な返事で応えるアリャリァリャ。
かくして、猟犬たちは渓流沿いでのバーベキューを楽しむことになるのだった。
参加者 | |
---|---|
幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・e00039) |
オイナス・リンヌンラータ(歌姫の剣・e04033) |
マロン・ビネガー(六花流転・e17169) |
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716) |
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290) |
栗山・理弥(ケルベロス浜松大使・e35298) |
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004) |
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164) |
●それは常識
空気を吸えば草木の匂い。
耳をすませば水の音。
豊かな自然の感触に、ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)は一瞬だけ作業の手を止めた。
「ふむ。風光明媚な所だ」
「キャンプとかにも良さそうだよなー」
バーベキューコンロを準備している栗山・理弥(ケルベロス浜松大使・e35298)が、しみじみと頷く。
「ここキャンプもできねぇのかな。あとで調べてみるか」
「確かに余暇を過ごすには絶好だろうな」
コンロに炭を入れる理弥から風景へと目をやるジークリット。普段の鎧ではなく私服を着てきた彼女は、憩いを求めに来た普通の女性客に見えなくもない。
一方、いつもと変わらぬ軍服姿である宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)は真剣に飯盒を見つめていた。
「人数が居るから、4合目一杯炊いておくか」
タッパーを開き、持参した米(計量済み)を飯盒に注ぐ双牙。
もう完全にただのバーベキュー民である。楽しそうな空気しかない。
だがそんな空気をぶち破るように、がらがらとリヤカーの車輪の音が!
「NOバーベキュー!」
来るなり怒鳴り散らす鳥。
大量の食材を運んできた鳥さんは猛り散らした。内容は割愛する。
「調理の仕方、食べ方は人それぞれなのです……。でも生はお腹壊しちゃうのです」
「お腹を鍛えなさい!」
どうどう、と静めてきたオイナス・リンヌンラータ(歌姫の剣・e04033)のことも一蹴する鳥。勢いがパない。
「食材を焼こうとするなど看過できん所業ぞ! これだから素人は……って肉を漁るんじゃない!」
「!?」
ビシッ、と鳥さんに指差され、クーラーボックスの上の小猫――ではなく小虎がびくりと飛び上がって地面に降りる。
その小虎はみるみると姿を変えて、
「チッ……馬刺しワンチャンあるとおもったのですが……」
普通に悔しがる八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)になっていた。肉を前に我慢できなかったのだろう。奔放すぎる。
「人の物を盗もうなどと! 生食をしないからそんなふうに育つんだ!」
「なるほど。あなたの言い分はわかりました。しかし私からも言うことがあります」
「むっ!?」
背後から聞こえた冷静な声に振り向く鳥。
そこにいたのは幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・e00039)。
拳士にして料理人でもある彼女は、ぐっと拳を握った。
「お肉にはしっかり火を通そう!」
「ひでぶぁっ!?」
そして容赦なく鳥さんに打ちこまれたァ!
不意の一撃をもらった鳥さんは悲鳴をあげ、ボウリング玉のように転がった。
で、転がった先が悪かった。
「くっ! いきなり殴るなどと!」
「……貴様、どういうつもりだ」
「え?」
体を起こした鳥さんが、怒りの滲んだ声にビクッ。
双牙だった。
鳥さんはバーベキューコンロの足元まで転がっていた。炭に火をつけ、飯盒を乗せていたコンロに。もう少し転げていればコンロを倒していただろう。
「飯盒の蓋は炊き上がるまで絶対に外してはならない……そんなこともわからんのか」
「いや今のは不慮の事故で……」
「……生肉を咥えて喋るな。その食い方の汚さ……万死に値する」
ゆらり、と地獄化した手に紅炎を灯す双牙。
パない。圧がパない。
「あの、落ち着こ……? ね……?」
逆鱗に触れたことを察した鳥さんは、地面に尻をついたまま後退した。
が、背中が何かにぶつかり、止まる。
「バーベキューの機会を与えてくれたことには感謝するが……すまない」
「野菜はともかく、生食用じゃない魚と生肉は危険なのです」
「デスヨネ」
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)とマロン・ビネガー(六花流転・e17169)の二人が、しっかり行く手を塞いでいました。
この後は鳥さんがあえなくBBQされるだけだから、カットしときますね。
●あれも美味いこれも美味い
串打ちされた肉と野菜が、焼き網の上で炙られている。
そこから野菜串を拾い上げたマロンは、ふーふーと冷ましてがぶりと齧りついた。
「人参も葱も美味しいのですー」
「じっくり焼くと甘味が出て美味しいですよね。アスパラやピーマン、茄子や玉ねぎなどもおすすめですよ!」
「では、その辺りから食べてみるか」
「肉の前に食べることで胸焼けも避けられますので、是非!」
網から野菜串を取ったジークリットに、パッと嬉しそうに笑う鳳琴。そんな彼女の持つ紙皿にも主張どおりに野菜がこんもり収まっていて、程よく焦げ色のついたアスパラを頬張ると鳳琴はにんまり。
――てな感じで、猟犬たちはすっかりバーベキューを開始していた。
鳥さんを処してから数分程度とは思えないほど、和やかな空気になっとりました。
「鳳琴さん。長芋とかヤングコーンもありますです?」
「どうでしょう、たぶんあったと思います」
犬のようにピーマンを咥えたマロンに応え、(鳥の)クーラーボックスを探る鳳琴。ボックスの山はうず高く、彼女が探索してるもの以外にも何十個と残っている。これを胃袋に処理するのは骨の折れる仕事だろう。
というわけで、カシスはせっせと焼き網に肉を踊らせていた。
「これは、中々いい具合に焼けてきたかな?」
「お腹がぺこぺこで大変なのです! 早く食べたいのですー!」
「ふふ、そうだね。俺もお腹が空いてきたよ」
バーベキューコンロの周りをぴょいぴょい跳ねてるあこに笑いかけつつ、牛肉を丁寧にひっくり返すカシス。鳳琴たちのとは別で稼働しているその網にはずらりと肉類が並んでいる。香ばしすぎて胃袋がヤバい。
「あこさんのステーキはレアがいいんだよね。だったらもういけると思うよ、はい」
「いただきますなのです!!」
カシスがステーキを皿に取るなり、目を星にして飛びつくあこ。塩コショウのみで味付けしたそれをガブリした少女は豪快に噛み千切り、ジタバタと足踏みした。
「これは、絶妙な火加減で火がちゃんと通っているのです! ふしぎ!」
「そうだね。これは極上の味の肉だ」
厚めのカルビを口に入れて、カシスもその美味さに破顔する。肉それだけでも驚くほど上質な味わいだが、それを持参したタレに絡めて食うのもまた最高に美味い。
しかし、肉の食い方も多様にあるものだ。
「二人とも、よかったらこれも食べるか?」
「? 何かに漬けてあるのです?」
ジークリットが差し出したジップ式の保存袋を見て首を傾げるあこ。
「ああ。肉の下拵えにと漬け焼き用のタレを持ってきた。半刻ほど漬け込むだけでも味は染み込むからな」
「何だか……美味しそうなのです!」
「うん、ぜひ食べてみたいな」
「では網に投下だ。タレがある分、焦げやすいから注意しなければな」
タレの染みた肉をごっそり網に下ろすジークリット。美味そうなそれが台無しにならぬようカシスとあこも見守り態勢に入り、その真剣みのある背中を見ながら双牙は切り分けたステーキ肉を口に運んだ。
「……美味いな」
強めに塩コショウを効かせた肉を味わい、さらに炊き立ての白飯を頬張る双牙。
肉と米。
その無敵すぎる連携に双牙はしばし陶然と目を瞑った――が、すぐ思いだしたように厚切りの玉ねぎを食べる。
「……バランスは考えて食わなくてはな」
「はい、バランスは大事なのです」
双牙の独り言を、ニコニコ笑ってキャッチしたのはオイナスだ。左手に野菜の串を、右手に肉の串を装備した彼はそれを交互に食べては嬉しそうに顔を綻ばせている。
「タレで食べるのも美味しいですけど、塩と胡椒だけも美味しいんですよねぇ」
「わかるのです。私も薄味のほうが好みなのですー」
ひょこりと首を突っこんでくるマロン。その紙皿にはエリンギや厚揚げ、それからほくほくと熱そうな鮭のホイル焼きが乗っかっている。優しい味。
「バーベキューは素材本来の味を楽しみやすいと思うのです」
「……調理法も限られているからな」
「あ、だからなのですかね? ボクって小食なのですが、バーベキューとか結構いっぱい食べれちゃうから不思議に思ってたのです」
とりとめのない会話をしつつ、バランス良く食べ進める三人。主に喋ってるのはマロンとオイナスの二人だが、真ん中の双牙も特に嫌そうな顔はしていない。というか焼き網の上から目が離れない。あんま聞いてないかもしれん。
と、そこへ。
「普通に焼くだけでも美味いけど、ここで一つ秘密兵器を登場させるぜ! じゃーん!」
ドヤ顔とともに理弥がやってきた。
肉串を握る彼が空いた手に持っているのは、網をすぽっと覆える形の蓋だ。
「……蒸し焼きにするということか?」
「ああ! 本場アメリカだと蓋つきのグリルが主流なんだよな。ムラなく火が通るから厚みのある肉もばっちりだし、野菜もパサパサせずジューシーに焼けるぜ!」
双牙の問いに答えながら、焼き網に蓋を乗せる理弥。脂の弾ける音や白い煙がぱたりと止んで、まるで力を溜めるかのように蓋内に熱が充満してゆく。
オイナスは、その様子をまじまじと見つめていた。
「こういう焼き方もあるのですね」
「肉厚の椎茸もジューシーで美味くなるぜ。味付けはバターと醤油で……あー考えただけでたまらない! もう食っちゃうか!」
がぽっと蓋を外す理弥。
閉じこめられていた熱気が一気に昇り、秘められていた肉や魚や野菜の香りがぶわーっと拡散する。もちろんバターと醤油の強烈な匂いも。
「これこれ! これだよ!」
「わぁー、美味しそうなのです!」
鼻腔を襲う暴力に沸き立つ理弥とオイナス。
バター醤油で椎茸を食った二人は、それから二十秒ぐらいは言葉を忘れていたらしい。
●まだまだ!
「お肉、美味しいですね……」
「ああ。やはりバーベキューといえば肉だな」
肉を頬張る鳳琴の心からの声に、むぐむぐと肉を食っているジークリットが頷く。
「幸せですね……♪」
「鳳琴さんのソースもとても美味しいのです! あこは大好きなのです!」
「ありがとうございます。持ってきた甲斐がありましたね」
魚介や貝類も合わせてせっせと食べる鳳琴の横で、特製ソースを絡めた肉をあこががぶがぶする。鳳琴が持ちこんだコク深いソースは実に肉とよく合って、さっきからあこの狂喜乱舞が止まらない。
「食べ飽きる気がしないのです!!」
「確かにバリエーションがあるのは嬉しいね」
サーロインステーキをソースで食べていたカシスも首を縦に振ると、鳳琴はホッとしたような表情を浮かべた。
「気に入ってもらえて嬉しいです。ところで皆さんは何の肉が好きですか? 私は鶏肉が一番ですが」
「あこはどれも好きですがやっぱりステーキが好きなのです! でも脂身は好きじゃないのです!」
「俺もどの肉も好きだけど、強いて挙げるなら牛肉かな?」
「やっぱり牛は人気なんですね……ジークリットさんは――ってそれは何ですか?」
ふと、ジークリットが手元で何か作業をしているのに気づく鳳琴。
その視線にジークリットは、完成物を取り上げて答えた。
「肉巻き団子だ」
「お団子なんて持ってきてたんですか」
「肉巻きかぁ。それも良さそうだね」
「あこも食べたいのです!」
「人数分はあるから、遠慮なく食べるといい。これとは別にみたらし団子もあるし、合体させた肉巻きみたらし団子もあるぞ」
「それ合うんですか……?」
ジークリットの振る舞う肉巻き団子に喜ぶカシス&あこ。それに紛れてこっそり出された謎料理を訝しげに眺める鳳琴。なぜ合体させたのか。
一方、オイナスは理弥とマロンに挟まれて、新鮮な驚きを味わっていた。
「チーズにウィンナー、ナッツ……う~ん、この風味がたまらないぜ……」
「確かに独特の風味があるのです!」
「実は地味な所で油揚げなんかもバーベキューに使えるのですー。好みで唐辛子を振ってどうぞ!」
「こんな料理もあるのですね。勉強になるのです!」
オイナスが興味津々で反応しているのは、燻製と油揚げ。
理弥が燻した燻製は、桜のスモークチップの香りがよく移ってちゃんとしたものになっている。普通に食べるのに飽きたところへ投入すれば、また一段とバーベキューを楽しめるだろう。
マロンが料理した油揚げは、醤油で味付けされた葱と鰹節が入っていてさっぱりと食べられる。納豆の詰められたものもあってそれもまた何とも言えぬ美味になっていた。
「新しい発見ばかりなのです。今度お家でバーベキューするときにやってみるのです!」
「どうぞ試してくださいですー」
「ああ。匂いとかは気をつけてな!」
「はい!」
書き留めたメモ帳を閉じ、にっこりと笑うオイナス。
と、そこへ。
「そろそろお腹も膨れた頃合い……ということで点心とケーキを宜しければどうぞ!」
鳳琴が自作の甘味をひっさげて、仲間たちに声をかけた。
点心もケーキも、どれも立派な出来栄えだ。皿に残ったホタテを口に放り、ごくりと水を飲んで後味を洗った双牙は、新たな紙皿を持って近づいた。
「少し貰っても構わんだろうか?」
「ええ、どうぞ!」
二つの甘味を受け取る双牙。
終わりの近づいた宴だったが、まだもう少しは続くようだ。
●10分後!
「水の音が落ち着くのですー」
「そうだね。涼しくて気持ちいい」
渓流の岩べりに腰掛け、食後の休憩をキメているのはマロン&カシス。
マロンが持ってきたグレープフルーツシャーベットをしゃくしゃく食べる二人は、水を撫でた風で涼んで最高にまったりしていた。
「またこういう機会があるといいのです!」
あこも両足をぷらぷらさせて涼んでいる。食ってるのはデザートでなく肉だが。
「成長期なのでいっぱいたべるのです!!」
あ、ハイそうですね。
にしても小脇に生肉を抱えてるのはどうかと思うのですが……。
「これはベルの分なのです! さぁベルどうぞ――っていつの間にチキンを……??」
傍らに寝転んでいたベルが、焼きたてチキンを咥えたまま首をふりふり。しばらく両者の間に気まずい空気が流れたのは言うまでもない。
と、涼んでる人たちの一方で。
「……だいたい片付いたか」
「後片付けはしっかりやらないとな!」
「立つ鳥跡を濁さず、だな」
双牙、理弥、ジークリットの手によって機材等は粛々と撤収されていた。三人しかいなかったが、理弥はソロキャンパーなので手慣れていたし、ジークリットも予め片付けが楽になる小技を用いたりしていたので、大変ということはなかった。
「少し残った食材は、各自持って帰るか」
「そうだなー」
「置いていくわけにもいかんからな」
クーラーボックスの数箱を見るジークリットに頷く理弥&双牙。
そう、フードロスは防がなければならない。
ということで、鳳琴とオイナスはきっちり残った食材を人数分に分けていた。
「これは家で美味しく頂くとしましょう」
「お家バーベキュー、楽しみなのです」
ぱたりとクーラーボックス(鳥さんのを貰った)を閉じ、ふふっと笑うオイナス。
バーベキューの二次会は、きっとそれぞれの家でやったことでしょう。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年5月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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