回転すし屋でサイドメニュー出すの絶対に許さん!

作者:秋津透

 その店は、サイドメニューが充実していることで知られた大手回転すしチェーンの一店だった。ラーメン、うどん、焼きそば、カレーライス、ハンバーグ等の主食系から、あんみつ、饅頭、ケーキ、パフェ等の和洋スイーツ、コーヒー紅茶等のソフトドリンクなど、もう何でもござれで揃っており、家族の中に魚が苦手だったりアレルギーが出たりする者がいても、一緒に楽しく食事ができる、と好評を得て繁盛していた。
 ところが、ある時、その店の正面に車が止まり、中から鳥人間ビルシャナと、割烹着姿で包丁を持った四人の信者たちが降りてきた。どやどやと店に乗り込んできたビルシャナは、仰天して逃げ出す客や店員たちには目もくれず、甲高い声で叫ぶ。
「我こそは、回転すし屋でサイドメニュー出すの絶対に許さん明王である! 回転すし屋と言えども、すし屋を名乗る以上、すし以外を出すのは邪道である! しかし、何ぞや、この店は! 肝心のすしそっちのけで、何でもかんでも節操なく出しおって! 何がサイドメニューだ! 許さん! 天誅に値する!」
「そうだ! そうだ! すし屋はすしを出せ! ラーメンをだすのは邪道だ! カレーライスをだすのは邪道だ! あんみつをだすのは邪道だ! チョコパフェをだすのは邪道だ! サイドメニューで客を呼ぶのは邪道だ! 天誅! 天誅!」
 信者たちが声を揃えて叫び、ビルシャナは孔雀型の火炎を発して、既に無人の店内に叩きつける。あっという間に、店は焼け落ちた。

「回転すし屋さんのサイドメニュー、私はとっても好きなんですけど、それが許せないっていう、とんでもないビルシャナが出てくる気がするんです! もう、絶対やっつけないといけませんよね!」
 兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)が、いつになくテンション高く言い放ち、ヘリオライダーの高御倉・康が、少々複雑な感じのする苦笑を浮かべて続ける。
「はい、紅葉さんの予想通り、神奈川県大和市の回転すし屋に、ええと『回転すし屋でサイドメニュー出すの絶対に許さん明王』と名乗るビルシャナと、四人の信者が襲撃を仕掛けて焼き討ちをする、という予知が得られました。ビルシャナは長々と演説をしてから火を放ったので、店にいた人々は早々に逃げ出し犠牲者は出ないようですが、だからといって放置はできません」
 そう言うと、康はプロジェクターに画像を出す。
「現場はここです。今から急行すれば、ビルシャナたちが襲ってくる時刻より三十分ほど前に到着できます。事情を話して、店の人やお客さんには事前に避難してもらうのが良いと思いますが、店を閉めてしまうとビルシャナたちがよそへ行ってしまうので、必ず開けた状態にしておいてください。店が開いてさえいれば、他の状況がどんなに不自然でも、ビルシャナたちは突入してくるでしょう」
 そう言って、康は画像を切り替える。
「ビルシャナのポジションは不明。グラビティは孔雀炎を使いますが、他はわかりません。周囲を見ないで激しく主張するタイプのようで、あまり戦闘慣れしているようには見えませんが、油断はできません。信者は中年の男性四人、割烹着姿で包丁を持っています、ビルシャナの主張に共感し、サイドメニューを非難、というか呪詛するような声をあげており、服装から見て、回転すし屋に客を奪われたすし屋の職人さんかもしれません。だとすると、説得はかなり難しいでしょう。経験則として、説得・離脱させられないうちに戦闘になったら、ディフェンダーとして盾に使われるものと思われます」
 そして康は、一同を見回す。
「いったい何がどうなって、こんな変な教義を奉じるに至ったのかわかりませんが、ビルシャナになってしまった人は倒すしかありません。『ヘリオンデバイス』での支援も可能な限り行いますので、できるだけ他に被害や悪影響を与えないうちに、撃破していただければと思います」
 ケルベロスに勝利を、と、ヘリオンデバイスのコマンドワードを口にして、康は頭を下げた。


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
ミリア・シェルテッド(ドリアッドのウィッチドクター・e00892)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)
柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)
兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)
リサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488)

■リプレイ

●迎撃用意。
「え? うちの店にデウスエクスが押しかけてきて、焼き討ちをするんですか? いったい、どうして?」
 やってきたケルベロスたちから話を聞いた回転すしチェーン店の若い店長は、目を丸くして訊ねる。
 そして兎波・紅葉(まったり紅葉・e85566)が、丁寧な口調で応じる。
「はい。デウスエクスのビルシャナは、このお店がたくさんのサイドメニューを出すのが許せないと言ってるんです。私は、回転すし屋さんで色々とメニューを選ぶのがとても楽しみなので、断固として阻止します。ご安心ください」
「それはどうも……しかし、サイドメニューが許せないビルシャナですか。まあ、そういうクレームも時々ありますけど、問答無用で焼き討ち仕掛けてくるとは、さすがデウスエクスは理不尽ですね。お知らせいただき、ありがとうございます」
「うむ。デウスエクスは我々が迎え撃つので、店の方々はお客さんを避難させた上で、早急に避難してくれ」
 ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)が淡々と告げ、そのままの口調と表情で続ける。
「ところで、この店のサイドメニュー一覧を見せてもらえるかな?」
「え? はい、どうぞ」
 店長はハルにファミレスにあるような大型の分厚いメニュー冊子を渡し、それからスマホを取り出して本部らしき相手と通話を始める。
 一方、ハルはメニューを開き、小さく笑みを浮かべる。
「よし。『海鮮たっぷり茶碗蒸し』は、ちゃんとメニューにあるな」
「どれどれ」
 柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)が、ハルからメニューを受け取って目を通す。
「お、『海鮮天ぷら盛り合わせ』『海鮮フライ盛り合わせ』……うん、単品の天ぷらやフライ、唐揚げも各種あるな。酒も、燗酒、冷酒、焼酎にビール、ワイン、ウイスキー、梅酒にハイボール……ずいぶんと豊富に揃えてるな」
「季節のあら汁、しじみの味噌汁、豆腐の味噌汁、赤だしのなめこ汁……味噌汁も豊富ですね。それとは別に吸い物もある」
 鬼太郎からメニューを受け取った瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)が、真面目な表情で唸る。
「どうやって、こんなに豊富なメニューを揃えているのかな?」
「それは、ファミレスと同じです。サイドメニューのほとんどはセントラルキッチンで調理して、冷蔵・冷凍状態で店に配送されます」
 本部との連絡を終えた店長が、律儀に説明する。
 一方、紅葉とミリア・シェルテッド(ドリアッドのウィッチドクター・e00892)ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)リサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488)の女性陣は、メニュー冊子のスイーツのページを開き、これ美味しそう、こっちも良さそう、季節限定のこれはどうかしら、と品定めに余念がない。
 そして日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)が、客の避難が終わったところで店長に訊ねた。
「すまんが、店員さんの制服で、俺にサイズが合いそうなやつを一つ貸してくれないか?」
「あ! 私にも、女性用の制服貸してくれませんか?」
 ミリムが叫び、なぜ、とは聞かずに店長はうなずく。
「承りました。他には、ご要望はございませんか? ……では、皆様、どうかよろしくお願いします」

●独善のビルシャナ、蒙惑の信者。
「来たか」
 店員の服装をして店の前に立っていた蒼眞が、店の専用駐車場に入らず、入口前にいきなり急停止したワゴン車を見やって呟いた。
 店を開けておいて、かつ何も知らず来店する客を断るにはどうするか。入口にキープアウトテープを貼るという案も出たが、もしもビルシャナ一味が「店が閉まっている」と認識して他所へ行ったら依頼失敗なので、そこまでのリスクを冒すことはあるまい、という結論になった。店内では、シャドウエルフのハルが「殺界」を形成し、半径300m以内の一般人を無意識に使用者のいる場所から遠ざけているが、意識的にこの店を目指して来る客まで完全に遠ざけらるかどうかはわからない。なので、蒼眞が店の前に立ち、万一客が入ってきそうになったら、丁重に、かつ断固としてお断りする、ということになった。そして、何台かの自動車が店の駐車場に入ったが、すべて車から降りようとせずにそのまま出ていった。
 そして、入口前に急停止したワゴン車から降りてきたビルシャナと信者四人は、蒼眞を完全に無視して店に走りこむ。蒼眞は苦笑し、店の扉に「臨時休業」と書いた紙を貼り付け、店内に入ってドアを閉める。
「我こそは、回転すし屋でサイドメニュー出すの絶対に許さん明王である!」
 ビルシャナがそこまで言った時、ハルがずいと前へ出て告げる。
「よく来たな、迎撃する」
「げ、迎撃だとぉ?」
 嘴をぱくぱくさせて、ビルシャナが呻く。それを完全に無視して、ハルは割烹着姿で包丁を持った四人の信者に告げる。
「寿司屋とは魚介のプロフェッショナルだ。回る寿司も回らない寿司も関係なく、新鮮な魚を取り扱っているからこそ提供できるものがあろう。そう、魚介たっぷりの茶わん蒸しだ」
 そう言うと、ハルは信者たちを見回す。
「確かに最近はイロモノサイドメニューが増えてきたことに違和感を覚えるのはわかる。だがそれでサイドメニューすべてを否定するのは、お前たちが培ってきた技術のいくらかを否定することにもつながるだろう。重ねて言う。寿司屋の茶わん蒸しは正義だ」
「な、何を抜かすかと思えば!」
 信者たちは無言だったが、態勢を立て直したビルシャナが大声で叫ぶ。
「確かに茶碗蒸しは美味い。魚介たっぷりなら猶更だ。料亭、割烹、日本料理屋の茶碗蒸しは正義だろう。だが、茶碗蒸しは寿司ではない。寿司屋で茶碗蒸しを出せば、それが美味であればあるほど、主役の寿司を霞ませる。茶碗蒸しを主役に据える寿司屋は邪道だ! 正義ではない!」
「ほう」
 ハルの目つきが険悪になるが、そこへ紅葉が割って入る。
「サイドメニューもお客様に喜んで頂ける為の工夫です。お店を出す以上、より良いサービスを提供する事は間違っていないと思います。それに、より沢山のメニューがあった方が、お客様の好みに合ったものも増えると思いますし」
「ふん、金儲けがしたい経営者はそれで良かろう。売れれば正義、客が喜んで金を落とせば正義だ。だが、それなら寿司屋などと名乗らず、その時その時の流行り物を中心に、よろず定食屋なりコンビニエンスレストランとでも名乗ればいい。寿司屋の名を汚すな!」
 そう言ってビルシャナは偉そうに頭を反らすが、一方、信者たちはわずかにではあるが動揺を見せる。
 そこへリサが、冷静な口調で告げる。
「寿司を作る際に身を切り取った後の魚のアラも、みそ汁の具などにして食品を無駄なく使う事が出来るわ。これは生ごみを減らす事に繋がり、環境にも優しいとても素晴らしいシステムだと思わないかしら?」
「素晴らしいかもしれんが、料理人の考えるべきことではない。それこそ経営者の考えるべきことだ。一つの店で無理に食材を使い切らなくても、定食屋とでも提携して、使わない部分を活用させれば済むことだ」
 馬鹿馬鹿しい、と言わんばかりにビルシャナは応じるが、信者たちはますます動揺する。
 そして店員の制服を着たミリムが、レーンの向こう側から声をかける。
「いらっしゃいませ! 確かに当店は、万人受け狙いで家族連れの要望に寄り添うサービスを提供する所です! でも、人気があるものしか出さないのではなく、寿司が食べられない人や子供でも喜んで貰える寿司屋流の工夫があるのです! あなた達も食材の大切さを知る料理人なら、食わず嫌いなく先ずは食べてみてください!」
 すると、前もってミリムと打ち合わせていたのかどうか、ビルシャナや信者より先に、ミリアが朗らかな声で応じる。
「皆さん、サイドメニューを許せない、との事ですので、レギュラーメニューを頼みますね。ハンバーグ寿司、ツナマヨコーン、甘海老、塩カルビ、お願いしまーす!」
「はーい、毎度っ!」
 ミリムが応じ、ミリアが頼んだ寿司をちゃっちゃと握る。すると信者の一人が動揺を隠せない声で喚く。
「そ、その注文のどこがレギュラーだ! ゲテモノばかりじゃねえか!」
「いや、少なくとも甘海老は一般的な寿司ネタだ。他のネタも、一般的ではないがゲテモノではない。食材としては普通のものだ」
 そう言って信者に反駁したのは、意外にもビルシャナだった。
「寿司屋で、寿司でないものを出すのは許さん。しかし、寿司ネタに何を選ぶかは、寿司屋の自由だ」
「そ、それじゃ話が違う!」
 喚く信者に、ビルシャナはいっそ堂々と言ってのける。
「何が違うか。我は『回転すし屋でサイドメニュー出すの絶対に許さん明王』であり『回転すし屋で一般的でない寿司ネタを出すのを許さん明王』ではないのだ!」
 そしてビルシャナは、ミリアとミリムに訊ねる。
「こちら、我がいただいても良いのかな?」
「どーぞ」
 あら、意外に紳士的、と、ミリアが微かに呟いたが、ミリムは、紳士は紳士でも変態紳士でしょ、と、小さく肩をすくめる。そしてビルシャナは、四皿の寿司をぺろりと平らげ呟く。
「うむ、ネタの素材そのものは平凡だが、巧く調和させている。値段を考えれば、充分以上の品だ」
「それはどーも」
 職業的な笑顔を見せるミリムを横目で見ながら、右院が溜息混じりに訊ねる。
「あのー、美味い茶碗蒸し出すのが邪道だったら、あら汁もダメなんですか?」
「無論ダメだ。あら汁は寿司ではない」
 ビルシャナのにべもない返答に、信者たちが一斉に呻きを漏らす。そして鬼太郎が、怒りを含んだ口調で訊ねる。
「じゃあ、魚の天ぷらや唐揚げもダメか! 魚に合う酒もダメか! 熱燗のフグの鰭酒もダメか!」
「天ぷらや唐揚げには、許される余地がある。茶碗蒸しやあら汁と違って、握りに乗せたり海苔で巻くことができるからな。やろうと思えば、寿司ネタにできる」
 大真面目な口調で、ビルシャナは応じる。
「しかし、酒はダメだ。茶碗蒸しと同様、酒は美味ければ美味いほど、寿司に合っていればいるほど、寿司から主役を奪う。茶碗蒸しと同様、美味い酒が飲みたいなら、料亭、割烹、日本料理屋、あるいは居酒屋で飲め。寿司屋で酒は、邪道だ」
「そ、そ、そんな~」
 情けない声を出したのは、鬼太郎ではなく四人の信者だった。そこへ背後から蒼眞がこっそり近寄り、小声で信者たちに囁きかける。
「どうもあんたたち、ついていく相手を完全に間違えたようだな。今なら、いかにバカな真似しそうになってたか、わかるだろ?」
「わかります……サイドメニューを許さない、茶碗蒸しもあら汁も酒すら許さないなんて奴は、回転すし屋だけじゃない、あらゆる寿司屋の敵です」
 信者の一人が泣きそうな声で応じ、蒼眞はうんうんと優しくうなずく。
「こいつは、俺たちケルベロスが始末する。あんたたちは自分の店に帰って、どうすればお客さんが喜んでくれるか、真面目に工夫することだ。サイドメニューをわんさか出すだけが、繁盛への道じゃない。まして他人の店を焼き討ちなんて、それこそ邪道外道の所業だろ?」
「……肝に銘じます」
 一礼して、四人の信者……元信者の寿司職人たちは、そーっとビルシャナから離れて店の入口へ向かう。一瞬、振り返りかかったビルシャナに、ミリアが殊更に元気な声で告げる。
「それじゃあ、マグロやイワシや卵焼きも注文しますね! レギュラーメニューですから!」
「それはそれは」
 期待に満ちた声を出し、ビルシャナはミリムを見やる。ちょっとやりにくい、と、声には出さず唸りながらも、ミリムは鮮やかな手つきで注文された寿司を握った。

●そして決着へ。 
「いや、堪能したよ。これだけの技術があるのだ。サイドメニューなどという邪道はきっぱり捨てて、寿司屋の王道を歩んでみないかね?」
 ミリムの握った寿司を平らげて、ビルシャナが偉そうに告げる。
 しかしミリムは答えず、元信者たちが全員逃げたのを確認して、ハルが告げる。
「鳥ごときに自分の正義を否定されて黙っていられるほど、人間ができてはいないのでね。迎撃を再開する」
「な、なにっ!?」
 ビルシャナが愕然とした声を出した瞬間、ハルは斬霊刀『境界剣”久遠”』を抜き放ち、美しい弧を描いて袈裟懸けにばっさり斬り下ろす。
「ぎゃあっ!」
 濁った悲鳴をあげて転倒するビルシャナに、紅葉が日本刀『紅の和み』で見事な追い討ちをかける。
「この一撃で、氷漬けにしてあげます!」
「ぐえっ!」
 反対側から斬り付けられて傷に氷を付着され、ビルシャナは硬直して固まる。
「こいつ……弱いぞ!」
 右院がバスタードソード『月下美人』で斬りつけ、ビルシャナの右羽を切断する。
「弱いのかよ……まあいい。俺はオウガ、柴田鬼太郎! 言葉の時間は終わり、今からは戦の時間だ! 試合おうや!」
 鬼太郎が太い両腕を広げ、がっしと組みつく。ばきばきと壮絶な音がして、ビルシャナの嘴から大量の鮮血が噴き出す。
「ミリム?」
「……大丈夫、やれるわ」
 気遣うような声を出したハルに、ミリムは小さな苦笑を向け、続いて裂帛の気合を放つ。
「人を惑わす塵は! さっさと消え失せなさい!」
 日本刀『終霊滅絶刀』が緩やかな弧を描いて閃き、ビルシャナの頭部を縦に割る。しかしビルシャナは倒れない。
「……意外にしぶといな」
 呟くと、蒼眞はオリジナルグラビティ『終焉破壊者招来(サモン・エンドブレイカー!)』を発動させる。
「ランディの意志と力を今ここに!……全てを斬れ……雷光烈斬牙…!」
 雷撃を帯びた強烈な斬撃が、ビルシャナの身体を真っ二つに裂く。しかしそれでも、ビルシャナは倒れない。
「霊体が散らないのかしら」
 リサが呟いて、オリジナルグラビティ『ライトニングパルス』を放つ。
「この電気信号で、痺れてしまうと良いわよ」
 高速で流れる電気信号がビルシャナを直撃し、全身の羽が逆立つが、しかし倒れない。鬼太郎のサーヴァント、ウイングキャットの『虎』が飛びついて引っ掻き、ミリアがオリジナルグラビティ『病魔の弾丸』を叩き込むが、ビルシャナはゆらゆら揺れるばかりで崩壊しない。
 とはいうものの、パラライズで麻痺しているのか、ビルシャナの方も攻撃も治癒もせず、ハルに二撃目が回る。
「これで決めろということだな。……我が内なる刃は集う。無明を断ち切る刹那の閃き、絶望を切り裂く終わりの剣…! 久遠の刹那(ブレードライズ・エーヴィヒカイト)ッ!!」
 強烈な気合とともに、オリジナルグラビティ『終の剣・久遠の刹那(ブレードライズ・エーヴィヒカイト)』が炸裂。意外にしぶとかったビルシャナも、これには微細片すら残さず吹っ飛んで消える。
 そしてハルは、目に見えない何かを斬るように両手の二刀で空間を十字に両断すると呟いた。
「さよならだ」

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年5月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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