デスバレス電撃戦~冥府の水使い

作者:成瀬


「《甦生氷城》ヒューム・ヴィダベレブングも無事に制圧することができたわ。これも皆が力を貸してくれたおかげ。アタシからもお礼を言わせてもらうわ」
 ケルベロスブレイド内に収容されたヘリオンにて、ミケが軽く帽子に手を当て会釈する。甦生氷城に向かったケルベロスたちも帰還していると報告した。
「この成功がデスバレスへの突破口へと繋がったわ」
 ついに直接、デスバレスへと乗り込むことになる。甦生氷城で戦っていたケルベロスたちからは聖王女エロヒムの声を聴いたという報告があり、今現在グラビティ・チェインレーダーを使って確認と解析を行っている。そうミケは続けた。更に、この解析情報と強化された予知能力により、デスバレスの情報と死神たちの防衛作戦についても情報を得ることができた。
「このチャンスを逃す手は無いわ。聖王女エロヒムが囚われていると思われる『デスバレス深海層』へ乗り込みましょう。ケルベロスブレイドでデスバレス回廊を突破し、冥府の海潜航能力を使えばそれも可能となるはず。……危険な任務になることは間違いないわ。けれどこれで勝利を掴めば、長く続いた死神たちとの決着をつけることができると思う」
 防衛に当たっているのは死神の最精鋭軍であるヴェロニカ軍団。撃破されてもサルベージして戦い続ける不死の軍団だ。
「厄介なことに、「七大審問官」を従える「イルカルラ・カラミティ」の力により不死性が強化され……つまり、倒れてもその場で蘇生して再出撃して来る。キリがないわ。アタシたちに不死の力は無い。戦い続ければ消耗して、敗北してしまうのは時間の問題なの。……勝つには、蘇生再出撃の儀式を行っている『イルカルラ・カラミティ』を撃破するしかないわ」
 しかし現在、イルカルラ・カラミティは配下の「七大審問官」を率いてヴェロニカ軍団の遥か後方の安全地帯で儀式を行っており、このままでは手が出せない。
「そこで、ケルベロスブレイドの「強化ケルベロス大砲」の出番ってワケね。これを使えば、ヴェロニカ軍を越えて直接、イルカルラ・カラミティの儀式を妨害することができるわ。でも妨害だけ。大砲ではイルカルラを攻撃することはできないと判断されたの。……まずは周囲の「七大審問官」を全て撃破し、それからイルカルラとの戦闘に。七大審問官は周囲に六体、残りの一体は副官として最も近くに配置されているようね」
 全体の作戦の流れを説明した後、ミケは担当する審問官について説明を始める。
「アタシの班は、対アクアリウス・ムリエルよ。見た目は宝杖を持った人魚のようで、サルベージ作戦の総指揮を執っているわ。攻撃力も高く水の力を戦闘に使ってくるわ。アクアリウス・ムリエルを撃破次第、イルカルラとの戦いに入ってもらうことになる。ポジションチェンジは不可能ではないけれどある程度の時間は必要になるから、大きな理由がない限りオススメはしないわ」
 現時点でイルカルラの詳細な戦闘能力はわからないと申し訳なさそうにミケは告げる。
「ヴェロニカ軍団がケルベロスブレイドを撃沈させる前に、何とかイルカルラ・カラミティを倒さないと……。危険な任務になってしまうけれど、ただ待っていても平和は掴み取れない。この大勝負、あなたの力にかかってる。どうか力を貸して」


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
ミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)
君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)

■リプレイ


(「やっぱこれで行くんだよな……」)
 この上なく不安げな顔をして呟いたのは長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)だった。漫画なら白目をむいてゾンビのようなコマになっていたに違いない。
 その視線の先には万能戦艦ケルベロスブレイドに備え付けられた強化ケルベロス大砲。これでケルベロスを撃ち出し戦場に行こうというのだから、千翠がそう思うのも無理はない。だが意外というべきか、他の仲間でそれを心配している者はいないようだ。
「こんな大砲で大丈夫か」
「大丈夫だ、問題なイ」
 そう短く答えたのは君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)であった。金糸の髪をさらりと揺らし、はしゃいでいる声の主の方へ目を向けた。尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)と伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)が早くも大砲に乗り込んで(?)いる。
「おお、すげーっ。俺が入っても余裕だなっ。大砲の玉になるの初めてだ。ドーンといくぜーっ」
「……んうー。ずどーんでびゅーんからの、どかーんだな」
 勇名も怖がっている様子はなく、旅団で行われるイベントか何かの雰囲気さえある。
 デバイスを使うと、自分たちの他にも多くのケルベロスがこの戦いに参加していることがわかる。審問官だけでなく、軍団に所属している敵の数も多い。
「なーるほど。大丈夫な気がしてきたよ、眸」
「それは何よりダ」
 同意するように鳴き声を上げ、ぱたぱたと尻尾を振るチビ助をハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)が撫でる。見た目は茶色く人懐っこそうな子犬ではあるが立派なサーヴァントだ。
 ふとハインツは思う。聖王女が一体何を考えているのか、何を目的にしているのかは分からない。
「……多少聞く耳は持ってくれたみたいだな」
「聖王女のことですか。そうですね、……現状ある情報を収集、分析しても正確なところは未だ不明です。ですが彼女には恐らく何か大きな考えがあるのでしょう。ケルベロスと地球の、いえ、この宇宙に関わる未来に関して」
「できることをするだけだ。オレたちの行動で示していくしかないんだぜ」
 大砲を一瞥したミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)は、ならばゆっくりはしていられないとフローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)を促した。
「フローネ、私たちも行きましょう」
「えぇ。よろしくお願いします、ミチェーリ」
 互いに名を呼び合うのはこれで何度目になるだろうか。数え切れぬ程、そしてこれからも増え降り積もっていく愛しいという感情を、今は強き力に変えて。二人は視線を合わせ、小さく頷き合う。どんな多くの言葉よりもそれで、通じ合えた気がした。
「さて、地獄の門を開けにいきましょうか」
 カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)のその声は、これからまるで宴にでも出かけるかのような軽やかさ、歌の一節でも口ずさんでいるよう。
 銀の懐中時計がただ静かに、行く末を見守っている。


 ヘリオンデバイスのサポートを受け、ケルベロス強化大砲で撃ち出され高度数キロの高さをケルベロスたちは飛ばされていく。眼下には不死のヴェロニカ軍が見える。
 風が強く物凄い速さゆえに景色を楽しむ余裕はないが、気分的には楽しんでいる者も何人かいるようだ。
 8キロ程進むとザルバルクが剣化を続ける境界線に到着した。
 ケルベロスブレイドは動きを停め、ザルバルク剣化波動を放ち続けている。
 波動によって端から剣化していくザルバルクを掻い潜ったり小さな物は盾で打ち払ったりしながら、ケルベロスたちは徐々にスピードを落とし、ザルバルクの海へと飛び込んだ。
 どぶん、とケルベロスたちは身体に衝撃を受ける。七大審問官、そして冥府の女王イルカルラ・カラミティのいる領域へ突入したのだった。
 まるで海中にでもいるよう。地上とは違う海中戦のような感覚ではあるが、ケルベロスならば息継ぎや重力を問題とせず戦うことはできる。
 石版と宝杖を携え、人魚のような姿で振り返ったのはアクアリウス・ムリエル。
(「……? 僕たちが来ることは完全に予想外だったんでしょうか。しかしそれも、どうでも良いことですね」)
 一瞬の表情でカルナはそう分析し、些事かとにこりと笑って武器を向ける。何処か芝居がかっていてその動きは優雅でさえある。
「精鋭軍が相手なら、申し分無いですね。愉しい戦いができそうです」
「……それならば是非、そうなるように」
 イルカルラ・カラミティ。地球の未来。
 それぞれの大切なモノを守る為、両者は対峙した。
 意識を集中させると水の加護により、力杖の先につけた宝石に光が宿る。
「貴様ノ大切なものヲ、奪っテやろう」
 今回はキャスターとしての参戦だ。
 瞬時に表示させたいくつものモニターに超高度演算が展開され、三秒にも満たぬ時間で結果が表示される。高められたエネルギーは弾丸となり、胸や関節部分といった重要な箇所をピンポイントで狙う。
「穿て、幻魔の剣よ」
 魔力の高まりが渦となり、幾本もの魔剣を具現化させる。
 カルナの前方に陣を描くよう集まった不可視の魔剣が、短いその言葉に従い一直線に人魚へと向かい飛んでいく。硬い鱗だけでなく武器である石版に小さくヒビまで入れ、攻撃力を僅かに低下させた。
 ザルバルクの海にして、人魚型の審問官。の利はアクアリウス・ムリエルにあった。
 海中を魚の如き動きで泳ぎ回り向けられる攻撃を回避し、破剣の力を宿した攻撃を仕掛けてはケルベロスを翻弄する。命中力の補正されたスナイパーやキャスターであればまだしも、華麗に戦場を泳ぐアクアリウス・ムリエルの動きを完全に捉えることは難しい。
 淡い光を纏った水の槍が幾つも具現化され、殺意を込めてケルベロスへ向けられる。
「ミチェーリ! そちらをお願いします!」
「了解です」
 紫水晶と青氷壁。
 二つの美しき壁が襲い来る水槍を代わりに受け止め文字通り盾となる。
 が、衝撃は身体の芯まで届きミチェーリは僅かに眉を寄せた。
「大丈夫ですか。長久さん。あなたはパーティーの剣、この紫水晶の盾がお守りします」
「フローネ……、わかった。ぶっ潰せばいいんだろ。実にわかりやすい、俺の性に合ってるよ。防御は任せた」
 範囲攻撃とはいえ決して軽くはない。
 他の審問官には別の仲間が対応し戦っている。遠くはないが近くもなく、別の戦闘領域となる。アクアリウス・ムリエルに当たっているのはこの班だけなので、他班の影響や人数による列減衰効果を考える必要は無い。
 高い機動力を存分に発揮し戦場の主導権を取った人魚は、人数差を考えても互角以上に立ち回っている。
 目まぐるしく動いていく戦場で敵の攻撃を選んで庇うことは本来できないが、意識を集中すれば可能性は零ではない。ディフェンダー三人で防具を分けて着用し、偏ったダメージを防ごうという案により、範囲攻撃を仕掛けられてもある程度はダメージが分散している。
(「これは、……もしかして。やはり、そういうことですか」)
 冷気のオーラを纏い、重装甲のガントレットとブーツで壁役に徹していたミチェーリはふと気付く。
 七大審問官が存在し続ける限り、イルカルラ・カラミティには攻撃は届かない。ケルベロスを倒すことよりも、自分が死なないことを優先した戦い方をしていると。
 光に包まれた石版から光線が……と思いきや、ミチェーリが受けたのは物理的な重い一撃だ。がつんがつんと、一度ならず何度も。その細腕、しかし見た目に反して力は強い。
(「殴るんだ」)
(「殴るのカ」)
(「殴るんですね……」)
 三人が同時に似たような感想を抱いた。
 海の中を自在に泳ぎ回る人魚に翻弄されつつも、時間が経過するにつれて少しずつ命中率が上がってくる。硬い鱗は攻撃を良く弾いてダメージを軽減させていたが、それも少しずつ傷が入り光沢が弱まる。
 しかし、それでも強敵には違いない。
「……ぶわっと、じりじりー」
 多少味方の命中率が上がったことを察し勇名は攻撃方法を切り替える。
 炎を纏った蹴りを容赦なく人魚の腹めがげて叩き込むが、その感触は人のように柔らかいとは言い難かった。
「ケルベロスブレイドで耐えている仲間達の為にも、必ず、儀式を阻止します!」
 今この瞬間にも、ケルベロスを守る為に別の仲間が戦っている。少しでも早く撃破して、女王のいる戦場へ向かわなくては。
 前衛を維持させ、中後列の仲間が攻撃に専念できるように。その為にも自身が倒れるわけにはいかない。
「アメジスト・シールド、全力展開!!」
 澄んだ紫水晶を思わせる光が防護壁の形に広がり、その出力がフローネの強い意思と『ココロ』によって最大まで上げられる。
 戦場に花弁を生み出して流し広喜が前衛を回復させると、癒し手であるハインツがそれに続いた。片手をぐっと握り締めるとカルナにオーラを飛ばし傷を癒していく。いつもなら壁役が多いハインツではあるが、立場が変わったとしても「守るべきものがある」という事実は変わらない。
「テンション上げてこうぜ! 回復は俺に任せろ」
 チビ助が主の鼓舞に力強く鳴き声を上げ、毒に侵されながらも懸命にソードスラッシュで攻撃を仕掛ける。
 人魚の持つ石版が淡く光り、ファナティックレインボウにより怒りを買ったミチェーリへ殺意が向けられる。与えられた炎がじりじりと人魚の細い腕を焼くのをしっかりと勇名はみる。
 注意深く観察していると、絶対にここは引かないというアクアリウス・ムリエルの強い意思をカルナは感じる。撤退は無いと考えて良いようだ。
 宝杖を掲げて二度目の水の加護を身に受けるが、杖の宝石に宿る力が幾分弱い。眸や勇名、広喜による攻撃で受けたアンチヒールが効力を発揮した結果に違いない。
 石版で何度も殴りつけられ額から頬にかけて赤い血が流れても、広喜は笑う。
「機体の硬さ比べしようぜ」
 人魚の身体を掴もうとするがするりと逃げられる。
 だがそれでいい。
 一瞬の隙に入り込んだのは眸だ。
 耳につけたデバイスが海中に差し込んだ光を受けて一瞬光る。古代文明の叡智を集め、細工師が作り上げたような。不可思議な形をしたそれが耳を飾っている。
 地獄化した右腕を振るい、キャスターの身軽な動きでチェーンソーを振り下ろした。
「連携ってのはこうやるんだよ」
「一人では叶わなイ」
「それもそうか」
 広喜の豪快な笑い声が響く中、キリノの飛ばした石つぶてが顔のすぐ横を掠めて放たれる。今ひとりで戦う人魚に、相棒など存在しない。
 七大審問官が一人アクアリウス・ムリエル。攻撃力を重視したクラッシャー。その攻撃の半分程が、付与された怒りによってミチェーリが食らうことになった。その分、味方への被弾を減らすことはできるが、……。
「……もう、寝る時間」
 折れかけた宝杖をぎゅっと握り締め人魚は唇を噛む。
「がりがりーの、ぎゃりぎゃりー」
 幾つもの丸鋸の刃が人魚を切り刻む。
 掻き毟ったような無残な傷跡を残しながら、それは残る生命力を全て喰らい尽くした。
「なあ、地獄って何だ?」
 広喜がそう最期に尋ねると、人魚……アクアリウス・ムリエルは薄く笑みを浮かべ質問者自身を指差し、それからケルベロス全員に指先を流し――息絶えた。


 水中を自在に泳ぐアクアリウス・ムリエルに翻弄され撃破まで時間がかかってしまったが、休んでいる余裕はない。
 千翠たちがイルカルラ・カラミティのいる領域に到着する頃には、既に他のケルベロスたち全チーム到着していた。
 イルカルラ・カラミティが冥府の神カラミティを大量に召喚し、先に到着したチームを包囲し殲滅しようとしているところだった。一体何匹いるのだろうか。深海魚のような醜い姿をした冥府の神カラミティが泳ぎ回っている。
 副官にもイルカルラにも、既に対応しているチームがいるようだ。
 カラミティによる外壁を勢いに任せて打ち破り、戦場となる領域に侵入を果たす。
「……んうー。魚、こっちで引き受ける」
「そうそう! あの魚共はオレたちに任せて、そっちはイルカルラを!」
 ハインツと勇名が声を上げる。
 現場の判断として、イルカルラと戦うチームを守りながら無数のカラミティと交戦に入ることになった。
 敵を挟んで反対側にいる氷霄・かぐらたちと視線が合い、二班で協力してカラミティの抑えに回ろうと頷き合う。
 勇名は距離を測り考えるが反対側にいるチームとは、連携ができるほど近くはないと仲間にも伝え。巨大なハンマーを思いっきり横へ薙いで払う。
「さぁ行こうぜみんな、まだまだこれから! トイ、トイ、トイ!!」
 余計に時間を食うこともあって、今回ポジションチャンジは行わないことにした。
 ハインツが開幕、皆を鼓舞し黄金に輝くオーラでダメージの多い前衛に回復を。独特の掛け声は故郷の魔除けのまじないでもあり激励の言葉でもある。そして、姉の口癖だ。フローネも忙しく気力溜めで回復を手伝う。
「よっと。……悪いけどそりゃ届かないぜ」
 デバイスによって飛行状態にある千翠には冥府の牙も届かない。指先で眸はぴっと唇を拭い、傷のある魚を選び確実に蹴り飛ばし命を終わらせる。
(「再生するとはいえ、倒された時に感じる痛みや恐怖は無いのでしょうか」)
 痛みとは生の実感。死神には痛覚がないのかとカルナは疑問を浮かべる。
 カラミティが招いた雷が中列の二人の上に落とされる。熱と、焦げつくような痛み。、これも生者の特権かと他人事のようにカルナは思ってしまう。
 人魚を貫いた不可視の魔剣で醜い冥府の神へ放ち、回復は他の仲間に任せ攻撃に集中すると、今度は何もないところで派手な爆発が巻き起こる。広喜が遠隔爆破スイッチから手を離した。無邪気に笑い戦うその姿はしかし、何故か野生の獣が牙を剥いているようにも見える。
 舞い上がるよう飛び上がったミチェーリは美しい虹を纏い、痛烈な蹴りを一匹のカラミティへ叩き込む。傷を負った一匹を見事仕留めることができたが、――前戦でダメージが大きく消耗していたところに別のカラミティが突撃し傷口に冥府の牙を大きく突き立てる。仲間が声をかけるが、間に合わない。纏う冷気がやがて弱くなり、意識が闇の底へ落ちていくのを感じた。気高い誰かの声が名を呼ぶ声は、その寸前届いたかどうか。
 最後の一匹を包み込んだのは花の嵐。
 血塗れになった千翠の手に流れてきた花弁が落ちる。
 傷つき肩で息をしている七人は冥府の女王撃破の声を聞き、深く息を吐き出した。ひとりの死者も出すことなく目的を達成したのだ。
 またひとつ、危機を乗り越えることができた。遠くない大きな戦いの日の為に、今は身体を休めなければ。

作者:成瀬 重傷:ミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年4月19日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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