鎧駅沖の海上に浮かび上がった異空間、それは死神が棲む冥府の海へと繋がる『門』。
先の戦いで《甦生氷城》を制圧した事により、デスバレスの回廊がそこに姿を現した。
制圧に向かったケルベロス達が、作戦を終えて無事にケルベロスブレイドへ帰還する。
「皆の活躍によって巨大死神を撃破する事が出来たよ。まずはお疲れ様だね」
ケルベロスブレイド内に乗船しているヘリオンの前で、玖堂・シュリ(紅鉄のヘリオライダー・en0079)が労をねぎらいながら、お礼の言葉を口にする。
とは言え、死神との戦いはまだ終わっていない。
《甦生氷城》で戦っていたケルベロス達から、聖王女エロヒムの声を聴いたという報告がなされているが、『グラビティ・チェインレーダー』でも彼女の呼び掛けを受信しており、内容の解析が行われていた。
「その解析情報を元に、強化された予知能力によって予知したところ、突入口の向こう側、デスバレスの情報及び死神の防衛作戦についての情報を得る事が出来たんだ」
魔空回廊が出現し、デスバレスへの突入口が開かれた今、この状況は千載一遇のチャンスと言えよう。
万能戦艦ケルベロスブレイドで魔空回廊を突破し、聖王女エロヒムが囚われていると想定される『デスバレス深海層』を、冥府の海潜航能力を使ってこれから目指す事になる。
「敵の拠点に乗り込む以上、今回の作戦には相応の危険が伴うけれど、どうかキミ達の力を貸してほしいんだ」
死神との戦いに最後の決着を付ける為――ケルベロス達に頼むシュリの表情は、いつにも増して真剣だ。
作戦を実行するにあたって、幾つかの注意事項がシュリの口から説明される。
死神側も突入してくるケルベロス達を阻もうと、最精鋭の戦力『ヴェロニカ軍団』を差し向けて防衛してくる。
ヴェロニカ軍団とは、撃破された軍団をサルベージして戦い続ける不死の軍団。
更に今回の戦いでは、『イルカルラ・カラミティ』が行う儀式によってその不死性が強化され、倒してもその場ですぐ蘇生して再出撃する、非常に厄介極まりない存在だ。
故に、この不死身のヴェロニカ軍団に消耗戦を挑めば、こちらが先に力尽きてしまう。
そんな理不尽な敵に対して策を挙げるなら、ヴェロニカ軍団の攻撃を凌いでいる隙に、蘇生再出撃の儀式を行っているイルカルラ・カラミティを撃破するしか手段はない。
この作戦の標的であるイルカルラは、デスバレスのゲートの守護を担う最強の死神の一体で、死神勢力でも5指に入る程の実力者だ。
彼女自身は配下の『七大審問官』を率いて、遥か後方の安全地帯に隠れている為、通常の方法では接近出来ない。
しかし――万能戦艦ケルベロスの『強化ケルベロス大砲』を使用すれば、ヴェロニカ軍の軍勢を飛び越え、イルカルラ・カラミティの儀式を直接攻撃する事が可能になる。
「そこでその役割を、キミ達に担ってもらう事になるんだよ」
ケルベロス大砲で奇襲を仕掛け、七大審問官を撃破した後、イルカルラの元に向かって、彼女を倒す。因みに審問官は周囲に6体、イルカルラの戦場に副官として1体が配置されているとの事である。
「最初にキミ達の相手となるのは、審問官の一人『クストディア・マーロ』という名の死神だよ」
黒いローブを纏った魔女の如く、大きな鎌を武器に生命を狩り取る、リアリスト。
また、デスバレス大洪水を引き起こそうと企てたのも、彼女達、七大審問官なのだ。
強敵なのは違いない、が、彼女に打ち勝たなければイルカルラの儀式場には進めない。
「もし戦いが長引けば、ケルベロスブレイドへの被害が大きくなる。だから、他のチームがヴェロニカ軍団を食い止めてくれる間に、キミ達の力でイルカルラを倒してほしいんだ」
休む間もなく厳しい戦いが続く事になる。だがここが大きな正念場だと、シュリはケルベロス達を鼓舞させながら彼らの武運を祈るのだった。
近く訪れるだろう死神との決戦を前に、この戦いは絶対に負けられない――。
参加者 | |
---|---|
立花・恵(翠の流星・e01060) |
テレサ・コール(黒白の双輪・e04242) |
ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564) |
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827) |
風魔・遊鬼(鐵風鎖・e08021) |
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423) |
軋峰・双吉(黒液双翼・e21069) |
安海・藤子(終端の夢・e36211) |
●裁きの魔女
海上に突如出現した異空間――其処は死んだ魂達の還る場所、冥府の海の入り口だ。
遂に姿を見せた死神達の拠点。ケルベロス達はこの絶好機を逃すまいと、一大作戦を決行する。
ケルベロスブレイドから轟き響く砲撃音。大砲から発射されたケルベロス達が目指すのは――最強格の死神たる冥府の三神、その一柱、カラミティを名乗る死の女王。
彼女が操る不死のヴェロニカ軍団の上空を通過し、女王の許へ一直線に向かう。
「いよいよもうすぐですね。ヴェロニカ軍団を抑えている方々の為にも、聖王女さんの為にも……この戦いは、負けられません!」
デスバレスへと距離が近付くにつれ、イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)は逸る気持ちを抑え切れず、自身と仲間を鼓舞するように気炎を上げる。
「今回は聖王女さんに会いに行くんだったか? んじゃ、さっさと片付けちまおうぜ」
イリスと同様、軋峰・双吉(黒液双翼・e21069)もやる気に満ちた様子で気合を入れて、いつでも戦う準備は万全だ。
「気を付けて下さい。頭の上から、“降って”きます」
風魔・遊鬼(鐵風鎖・e08021)が不意に仲間へ注意を促す。
この一帯は、本来ならばザルバルクが漂う海の中。ケルベロスブレイドから発する波動によって半径8kmが空洞と化し、剣に変わったザルバルクがケルベロスの頭上に落下する。
だが一行は少しも慌てず、降り注がれる刃の雨を右へ左へ掻い潜り、『ザルバルクが剣化し続ける境界線』を難無く突破。
最初の区域を抜けた先、目の前に見える空中に浮かぶ広大な海の空間へ、勢いを落とす事無く飛び込んでいく。
――生死を分かつ常世の最果て、生命の終わりと始まりの海。
ケルベロス達はデスバレスを前にして、徐々に速度を落としつつ、不気味に静まり返った海中を、警戒しながら泳いで慎重に先へと進むのだった。
そこから奥へ潜っていくと、待ち受けていた一体の敵と遭遇する。
「こんな所まで野良犬共が入り込んでくるとは……まあいいでしょう。このデスバレスで、冥府の神に戦いを挑む無謀を思い知りなさい」
一行の前に立ちはだかるのは、漆黒のローブを纏った死神の魔女――七大審問官が一人、クストディア・マーロだ。
彼女はケルベロスの予想外の侵攻に一瞬顔を顰めるが、すぐ戦闘状態に切り替わり、侵入者を排除するべく迎え撃つ。
「悪いけどこの先に用があるんだ! 通してもらうぜ!」
番犬達にとってここはあくまで通過点。時間を費やす訳にはいかないと、立花・恵(翠の流星・e01060)が誰よりも早く先んじて、加速しながら流星の如き蹴りを放って、最初の一撃を叩き込む。
「活路は前にしかありません。最高火力をぶつけて一気に相手を倒しましょう」
恵に続いて、テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)が狙いを定めて、白黒一対の円形マスドライバー砲にエネルギーを充填。
立ち塞がるモノは何であろうと倒すのみ――強固な意思を込めながら、テレサが主砲を一斉発射し、死神の魔女にレーザービームを撃ち放つ。
「ザルバルクを滅ぼすだけなら、目溢しもしてあげましたのに。残念ですが……死を以て、罪を償ってもらいます」
攻撃を受けても尚、余裕の笑みを浮かべるクストディア。番犬達に対して憐れむような眼差しを向け、手にした巨大な鎌を無造作に振るう。
閃く刃は毒々しい色の瘴気を纏い、生命を喰らう斬撃が前衛のケルベロス達を薙ぎ払う。
「邪魔をするな、クストディア!」
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)は強敵相手であろうが微塵も怯まず。巨大な槌をくるりと片手で取り回し、大砲と化した巨槌を肩に担いで、竜が猛るが如き砲弾を死神目掛けて狙い撃つ。
「味方の損傷を確認。直ちに手当てします」
回復役のピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)が、斬撃を食らった仲間の消耗を確認すると、胸に埋め込まれた赤い宝石が輝きを帯びて、ナノマシンから発する光の粒子で味方の傷を瞬時に癒す。
「死の先が見れるのならば、見せてもらいたい気もするけれど」
安海・藤子(終端の夢・e36211)は死神とは因縁めいた過去があり、そうした相手と戦う事を密かに悦び、布面を外した表情から微かな笑みが零れ出る。
そんな自分が出来るのは、最大限に嫌がらせをしてあげる事、と藤子は周囲に紙兵を散布させ、敵の攻撃に備えて守りを固める。
次の決戦へと繋げる一大作戦。ケルベロス達は並々ならぬ気迫を昂らせ、必ず勝ってみせると心に誓うのだった。
●遍く生命を統べし者
デスバレスにおける戦いは、海の中ではあるがケルベロス達にとって支障はない。
水中を自在に素早く泳ぎ、死神の中でも精鋭揃いの審問官と互角の勝負を繰り広げる。
「銀天剣、イリス・フルーリア―――参ります!」
凛々しく名乗りを上げながら、イリスが愛刀を振り抜くと。斬撃が風の刃となって死神を襲い、氷の如く凍てつくような斬れ味に、クストディアは顔を歪めてイリスを睨む。
「形質投影。シアター、顕現(スタンド)!!」
双吉がオリトリオの力を用いて、ブラックスライムに時空干渉の性質を投影。黒い残滓の時が巻き戻り、瞬間的に疑似デウスエクスを顕現させる。
その容貌は蝙蝠のような大きな翼を持った人型で、天使が堕とした悪魔の如き存在だ。
「ブッ殺されたくなけりゃ、とっとと道を開けやがれ!」
双吉の声に応じて混成の天魔がクストディアに飛び掛かり、伸ばした鋭利な爪で斬りつけた後、身体が溶けて元の残滓に姿を戻す。
「目に見えぬ刃をかわせる者はなし」
次いで遊鬼が攻撃を重ねて手裏剣を投擲。無数の刃が縦横無尽に飛び交い、斬り裂く。
手数で攻める番犬達に、クストディアは高威力の一撃を放って押し返す。
「ドローンを展開。防衛態勢に移ります」
仲間が負傷すれば、ピコがすかさず治療に回る。小型治療機の群れを周囲に飛ばし、回復しながら護りの障壁を張り巡らせる。
「さあクロス、思い知らせてやりな」
藤子の下した命令に、オルトロスが疾走するかのように距離を詰め、口に咥えた剣で駆け抜け様に死神の脾腹へ一太刀浴びせる。
ケルベロスと死神の、互いの力は均衡し合って一進一退の攻防が暫く続く。
しかしケルベロス達の連携力が戦線を支え、強い決意が死神の魔女の力を上回り、やがて決着の時が訪れようとする。
「私達は絶対に、負けはしない!」
ティーシャが力を溜めると、鋼の脚が熱を帯び、炎を纏った脚から蹴りを繰り出し、熱く灼けつく痛みがクストディアを襲う。
「行きますよ、テレーゼ。活路を開く為にも」
敵に反撃の機会を与えるまいと、テレサがライドキャリバーを駆って猛突進。勢いを増した超加速で突撃し、クストディアの体勢がグラリと傾ぐ。
生じた僅かな隙を突き、恵が闘気を込めて急加速。一瞬のうちに接近し、リボルバー銃を抜いて死神の魔女に冷たい銃口を押し付ける。
「一撃をッ! ぶっ放す!!」
トリガーを引き、零距離から放った恵の一発――銃声が鳴り響き、弾丸がクストディアの胸を貫き、内部で爆散。
この一撃が致命傷となり、糸が切れたように倒れる死神の手から鎌が落ち、横たわる体躯は水底へ引き摺り込まれるように、沈み逝く。
「申し訳ありません、イルカルラ様。この償いは、“次の”クストディアが必ずや――」
力尽き、命潰えたクストディアの身体が、幻のように消滅していく。その死の間際、消え入るような小さな声で、復活を望む言葉を最期に遺して――。
斯くして、ケルベロス達は最初の難関を突破する。
戦闘開始から10分を要したが、彼らは息を整える間もなく、次の戦い――大本命である冥府の女王の待つ儀式場へ急ぐのだった。
――他者を畏怖させ、威圧するかのような凄まじい気迫を纏った、死神の女性。
傍には女性を護るように回遊している、奇怪な深海魚の如き死神の群れ。
彼女こそ、最強の死神の一体と名高い、冥府の女王を冠するイルカルラ。
そして彼女の周囲で泳ぐ深海魚こそが、冥府の神カラミティと云われる存在のようだ。
一行が到着した頃には、彼らより先に来た別のチームが既にイルカルラと交戦していた。
それと彼女のお供をしている副官の死神とやらは、離れた所で他のチームと戦っている。
この状況において彼らが成すべき行動は――イルカルラに奇襲を仕掛け、仲間を援護する事だ。
幸いにして、敵は他のチームに気を取られていて、こちらの存在にまだ気付いていない。
ケルベロス達はこの機に乗じて、背後からイルカルラを狙って雪崩れ込む。
「ここで終わりにさせてもらうぞ、覚悟しろイルカルラ!」
ティーシャのバスターライフルが火を噴いて、二度目の戦いの狼煙が舞い上げる。
一斉に攻め入り、ティーシャに続いてイルカルラへ波状攻撃を仕掛けるケルベロス達。
対するイルカルラは思いも寄らぬ不意打ちを受け、怒りを露わに番犬達を一瞥する。
「死してデスバレスに還る定命の者と思えば、神への無礼も見逃してやろうと思っていたが……気が変わった」
冥府の女王の逆鱗に触れてしまったか。イルカルラから殺意に満ちた禍々しい気が溢れ出し、海が大きく歪んで揺らぎ、うねりを上げて渦を巻く。
「お前たちの魂は、サルベージもできない程に千々に引き裂いて欠片も残すまい。ザルバルクを喰らい現れよ、カラミティ」
低く冷たい声が静かに響き、次の瞬間――ザルバルクの海の海水を呑み込みながら、2つのチームを取り囲むように巨大な黒い深海魚、カラミティの大群がそこに姿を顕わした。
●災厄の神
「チッ、何だってんだ! コイツらがカラミティだっていうのかよ!?」
突然、海を呑み込み出現した怪魚の群れに、双吉が焦りの色を滲ませながら思わず叫ぶ。
「面白い。命を賭けた殺し合い、上等じゃねぇか」
危機的状況にも関わらず、藤子の戦闘狂の血が疼き出し、命のやり取りを愉しむかのように不敵に笑う。
「そんな余裕もなさそうだけどね……。けど、今まで不死の奴らとは嫌って程戦ったんだ。今回も……倒す!」
例え相手が神であれ、牙を剥くのが地獄の番犬。恵が戦意を奮わせながら、絆を繋ぐ銃を構えて怪魚の群れに立ち向かう。
包囲され、窮地に陥っても必死に抗うケルベロス達。だがそんな彼らを嘲笑うかの如く、この場の全てを喰らおうと、カラミティの大群が迫ってくる、その時――。
「深海魚は我々に任せて、皆様はイルカルラを倒すのです!」
声が聞こえてそちらの方を振り向くと、新たに2つのチームが合流し、間に割って入ってカラミティの攻撃を防ぐのだった。
「了解しました。目標確認、イルカルラへの攻撃を再開します」
駆け付けた増援組にピコが言葉を返しつつ、仕切り直しとばかりに態勢を整え、改めて冥府の女王と対峙する。
「目論見は外れたみたいですね。観念しなさい」
イリスが前に歩み寄り、刀を抜いて頭上に翳すと、刃に光が降り注ぐ。
「光よ、かの敵を縫い止める針と成せ! 銀天剣・弐の斬!」
集めた光が圧縮されて、刀に宿る。青い瞳で相手を捉え、イリスが太刀を一振りすれば。刀身から光の針が撃ち込まれ、イルカルラに刺さると光が鎖となって絡み付き、女王の動きを抑え込む。
「もしも俺が死んだら、美少女に生まれ変わらせてくれるのか? じゃなけりゃ、てめぇの方が先にくたばりやがれ」
双吉が眼光鋭く冥府の女王を睨み付け、懐に潜り込み、ナイフを突き立て、抉り裂く。
刃に仕込んだ火薬が血と混ざり、朱い飛沫の花が弾け飛ぶ。
――仮にイルカルラが万全の状態だったなら、彼らだけではとても太刀打ち出来なかっただろう。
しかしヴェロニカ軍団の蘇生再出撃に多くの力を注入し、奥の手であるカラミティ召喚術も防がれた事により、2チーム掛かりで対等に渡り合えるようになっていた。
「どこまでも神に歯向かうか。その穢れし魂諸共、朽ち果てるが良い」
イルカルラが残った力を振り絞り、カラミティの群れを召喚させて番犬達に襲い掛かる。
「初めて紐解いた唄……守護者を称え、困難を切り開くものを祝福する、そんな唄だ」
傷付く仲間を支えるべく、藤子が声に魔力を宿し、透き通るような玲瓏たる唄を歌う。
異国の言葉で綴った幻想的なメロディが、癒しを施し、戦う気力を昂揚させる。
2チームの連携攻撃によってイルカルラが次第に押され、戦況はケルベロス側が優位に立つ。ところが、どれだけダメージを与えても、イルカルラが倒れる気配は一向にない。
「不死身だなんて、いくら最強の神でもそんなわけはない。何か仕掛けがあるはずだ」
心は熱く、されど頭は冷静に。恵は状況を見極めようと、思考を巡らす。
すると、空間に一つの映像が浮かび上がり、カラミティに対応していたチームから、マインドウィスパー・デバイスを通じて副官ポロス・ナムタル撃破の報せが届く。
その直後、先程まで平然としていたイルカルラが苦しみ悶え、突然様子が一変する。
「なるほど、貴女の不死性は七大審問官の力があればこそ、ですか」
敵の秘密をテレサが見抜き、一行は互いに顔を見合わせ、頷いた。
形成はケルベロス側に大きく傾いた。後は火力を集中させて全力を尽くし、目の前の敵を討ち取るのみ――。
「対象の情報解析、完了。これより総攻撃を開始します」
回復役のピコも攻め手に回り、ケルベロス達は怒涛の猛攻撃で冥府の女王を追い詰める。
「最後はお任せしました。どうか止めを」
イリスが視線を向けた先には、ティーシャの姿が。その言葉を受けた鋼の乙女は、テレサに目配せしながら合図して、二人で同時に攻撃を仕掛ける。
テレサがジャイロフラフ―プをティーシャのアームドフォートに換装させて、『斬環の末妹』モードに切り替え、制御する。
「「切り裂け!! デウスエクリプス!!」」
其れは神を喰らいし双円刀――『デウスエクリプス』が烈しく回転しながら弧を描き、冥府の女王を決して逃さず、無慈悲なまでに斬り刻む。
「まさか、冥府の神たるカラミティが、このデスバレスで滅ぼされようとは……」
八つ裂きにされた四肢は蘇らず、生命を統べる死神の女王の最期の時が、訪れつつある。
「だが、デスバレスある限り、カラミティは不滅。たとえ、数百数千年かかろうと、必ずや蘇り、お前たちに復讐するだろう」
番犬達に憎悪の目を向け、恨み節を吐き捨てながら、イルカルラの死に逝く身体は泡と化し、海に還るが如く消え散った――。
最強の死神、冥府の三神が一柱を、見事打ち倒したケルベロス達。
ここから先は、いよいよ死神達との決戦の時が待っている。
全ては聖王女を救って真実を識る為――恵は冥府の海を見遣りつつ、次に備えて一旦ケルベロスブレイドに帰還する。
「聖王女エロヒム……会えばきっと色んなことがわかるはずだ。さぁ、いこうぜ!」
作者:朱乃天 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年4月19日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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