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「皆さん、先日の日本列島防衛戦、ほんとにお疲れ様でした~!」
小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が、集まったケルベロスたちへ彼女なりの労いの言葉をかける。
「竜業竜十字島を潰せたのも勿論でありますが、冥王イグニス、第三王子モーゼス、攻性植物の聖王女アンジェローゼをも撃破できたのはかなり大きな戦果でありますよ!」
とはいえ、一部の敵は戦場から撤退してもいる。
「ダモクレス勢力は宇宙へ撤退していきましたが、ドラゴンと攻性植物については勢力そのものが既に滅亡していて、撤退すべき本拠地が無い状態でありますね」
そんな状況で奴らは、ドラゴンに残された唯一のミッション地域、富士の裾野にある『40-5 ラストミッション』へと逃げ込んだようだ。
「竜業合体ドラゴンである大罪竜王シン・バビロンは、極度のグラビティ・チェインの枯渇状態でありますから、遠からずミッション地域から出て、市街地を蹂躙……グラビティ・チェインを略奪せんと動くでありましょうね」
また、攻性植物の光世蝕仏、『森の女神』メデインの2体は配下と共に撤退していて、竜業合体ドラゴンの唯一の生き残りである大罪竜王シン・バビロンを支援するつもりらしい。
「そんなわけで、皆さんにはグラディウスを利用したミッション破壊作戦をお願いします。ラストミッションの魔空回廊を破壊すると同時に、逃げ込んだドラゴンと攻性植物、そしてそして、幻想大帝ユーピテルを撃破して欲しいであります!」
かけらはぺこりと頭を下げた。
「さてさて。目標の強襲型魔空回廊があるのはラストミッション地域の中枢でありますから、通常の方法で辿りつくのは難しいであります」
場合によっては敵へ貴重なグラディウスを奪われる危険もあるため、今回もいつも通り『ヘリオンを利用した高空からの降下作戦』を行う。
「強襲型魔空回廊の周囲は半径30m程度のドーム型のバリアで囲われていまして、このバリアにグラディウスを触れさせれば良いので、高空からの降下であっても充分に攻撃が可能であります」
8人のケルベロスがグラビティを極限まで高めた状態でグラディウスを使用し、強襲型魔空回廊へ攻撃を集中すれば、一撃で強襲型魔空回廊を破壊することも充分に可能である。
「強襲型魔空回廊の周囲には、強力な護衛戦力が存在しますが、高高度からの降下攻撃を防ぐことはできないであります」
グラディウスは攻撃時に雷光と爆炎を発生させる。
「この雷光と爆炎は、グラディウスを所持している者以外へ無差別に襲いかかる為、強襲型魔空回廊の防衛を担っている精鋭部隊であっても、防ぐ手段はないでしょう」
自信を見せて言うかけら。
「皆さんは、この雷光と爆炎によって発生するスモークを利用して、その場から撤退を行ってくださいませ。数が増えても貴重には変わりないグラディウスを持ち帰ることも、作戦の上で大切でありますから……」
だが、富士山麓のミッション地域には、戦争から撤退してきた攻性植物が集結しているため、必ず起こる強敵との戦いは熾烈を極めるだろう。
「皆さんには、光世蝕仏の撃破をお願いするであります」
グラディウスの爆炎と雷光によって敵群を混乱させ、光世蝕仏と配下の攻性植物たちを討伐して欲しい。
「日本列島防衛戦の敵残党が合流したラストミッションの破壊……重要な任務でありますが、光世蝕仏や『森の女神』メデインをいち早く撃破できれば、配下の攻性植物が混乱して、ドラゴンと決戦するケルベロスたちの援護に繋がるであります。ご武運を!」
と、かけらは説明を締め括って、皆を激励するのだった。
参加者 | |
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シエナ・ジャルディニエ(攻性植物を愛する悩める人形娘・e00858) |
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506) |
端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288) |
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815) |
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455) |
ユグゴト・ツァン(パンの大神・e23397) |
栗山・理弥(見た目は子供気分は大人・e35298) |
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107) |
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早春の静岡県上空。
いよいよ6班同時進行によるラストミッション破壊作戦が始まった。
「まだ解放していない地域もありますけど、この地を奪還して他方の希望や礎といたしましょう」
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)は、決意も新たにヘリオンから飛び出す。
戦い続きの日々に多少なりと心を擦り減らしながらも、前を見て歩み続けるブラックウィザードの女性だ。
「回廊久しぶりですけど、6チーム分のグラディウスを一斉にぶつけるなんて初めてですね。これで、草鳥の成敗に専念できます」
次いで、若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)が勢いこんで空中へ足を踏み出す。
彼女曰く草鳥とは光世触仏のことらしい。ビルシャナでありながら攻性植物へ与した奴だけに、言い得て妙な渾名である。
「富士やきそばとか名店ハンバーグとか、静岡の美味しい物食べて帰りたいな」
と、努めて気負い過ぎないように、作戦が終わってからの楽しみを口にするのはエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)。
「皆が気軽に美味しいもの食べに来れるように、平和を取り戻そう」
復帰にあたっての複雑な事情などおくびにも出さず、のほほんとした風情でヘリオンから飛び降りていった。
「お世話になってる先輩のミリムさんに、何度もお仕事をご一緒した括様、めぐみ様も……」
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)も、仲間が皆ベテラン揃いだからよく言うことを聞かねば! と緊張気味に降下する。
「私も皆様のお役に立てるよう頑張りますわ!」
ちなみにトレードマークの眼鏡は、伸縮性のある紐でしっかり頭に結わえていた。
「植物と鳥との混合体とは、懐かしさと恐ろしさを感じるものだ」
ユグゴト・ツァン(パンの大神・e23397)は、珍しくシラフらしい冷静な言い回しで、眼下の強襲型魔空回廊を見据えると、
「永い長い鎖を絶たねばな。腐り方が雑なのだよ」
小脇にミミックのエイクリィを抱えて、ひらりと空へ身を投げた。
どんな風圧に身体を揉まれても、黄金の蜂蜜酒が胃を逆流する心配は無さそうだ。
「攻性植物への信仰が救済となりえる衆合無とはいったい何ぞや……と問いたい気持ちもあるが」
端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288)は、全てのビルシャナが悟りの果てに望んでいるはずの衆合無について、ふと疑問に思い首を傾げる。
熊耳と熊尻尾、そして古体な話し方が特徴的なウェアライダーの少女——もとい、くくりさんじゅうにさい。
「如何様な理由であれ、他者に心変わりを強要してよい道理はないからの」
軽い身のこなしでヘリオンから落ちていく括は、光世触仏を必ずぶちのめすという気概と自信に満ちていた。
「Résoudre……今回は光世触仏さん以外の攻性植物さんも相手にしないといけませんのね」
シエナ・ジャルディニエ(攻性植物を愛する悩める人形娘・e00858)は、最近心に生じた迷いを振り切るように飛び降りる。
自他ともに認める偏執的な攻性植物愛好家で、本人曰く『少しでも多くの攻性植物に定命化してもらう』ことを目指して活動する心霊治療士の女性。
シエナにとって今の状況は、攻性植物とそれを愛するビルシャナがゲートに篭って定命化を拒んでいると映るらしく、それを打開すべく参加したそうな。
「ビルシャナには散々苦汁をなめさせられたけど……特にあの依頼は、 俺も警察官目指してて他人事に思えなかった……」
栗山・理弥(見た目は子供気分は大人・e35298)は、警察学校の生徒がビルシャナ化しかけた事件を思い返していた。
(「幸い元に戻せたけど、下手したら警察官を目指した先輩をこの手で葬ることになってたかも……あの時本気で思った、ビルシャナとの共存は無理だって!」)
渾身の説得が功を奏して大事には至らなかったものの、普段明るい理弥の心へ密かに暗い影を落としているようだ。
それでも、未だ寒さ残る上空に身を曝せば、神経もピシッと引き締まる気がする理弥だ。
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グラディウスをしっかりと携え、魔空回廊を覆うバリアに向かって落ちていく8人。
「近辺の街や人々を襲い脅かさんとするドラゴンや、それに与するデウスエクスを野放しにはさせません!」
早速グラディウスを構えて吼えるのはミリム。
「周囲へ被害が出る前にあなた達を倒してやります! この国の象徴でもある霊峰抱えるこの地を取り戻して、ココから大きな脅威を取り払ったと世に知らしめてやりましょう!」
ミリムの宣言には力があった。決して失敗しない自信、共闘する仲間への信頼。
「此処に居残るあなた達とは、これでサヨナラです!!」
だから彼女の言葉に偽りはなく——真実に変えてやるという気合いが光となって、グラディウスの刀身を満たす。
眩い剣戟が半球状の防壁を襲い、長く深い亀裂を刻み込んだ。
「話してもわかってくれない植物さんは刈るしかないですものね」
低く呪詛のように呟くのは、鳥絶対屠殺という強い意志をもって挑むめぐみ。
「人間だけでなく、純朴な植物さんまで騙して、利用するなんて許せない」
めぐみとしては、今まで遭遇した草鳥——光世触仏の影響を受けたビルシャナの行動を見るに、たとえ攻性植物に変質しても行動はビルシャナのままと考えて、つい両者の関係性を逆に捉えているらしい。
「絶対倒す……いや、屠殺します」
そんなめぐみの強い意志が目も眩むばかりの輝きとなって、グラディウスを包んでいく。
多少認識の齟齬があろうと魂の叫びに曇りはなく、バリアへ大きなひび割れを生じさせた。
「母星に帰れない以上、あなた達は定命化か死を選ばないといけませんの」
そして、グラディウスは強い信念さえあれば、どんなに実現困難な願望のこもったグラビティでも柔軟に受け入れる。
「わたしは攻性植物達や攻性植物を愛するあなた達に生きて貰いたいですの。だから、あなた達の定命化を阻むゲートを壊させて頂きますの」
とはいえ、シエナが魔空回廊を疎ましく思うのは事実で、その理由も彼女なりの筋道は通っている。
「Declaration! 閉じこもる時間は終わりですの!」
だから光輝くグラディウスの眩しさは何ら遜色なく、バリアもしっかり貫いて穴を開けた。
(「これまでたくさんの鳥さんと戦ってきたよ」)
エヴァリーナは憤懣やる方ない思いでグラディウスを振りかぶる。
「ビルシャナに憑りつかれて本来の姿を、人として生きる未来を全部奪われても、掲げる主張や教義だけは、その人の心から出たものだったのに」
(「鳥さんて呼んでても、そこには憑りつかれた元になった人がいるんだって、本当はちゃんと知ってた」)
元人間であるビルシャナの中には予知の時点で命を救えない——撃破の方針が確定している者も多く、エヴァリーナは密かに心を痛めていた。
(「だからこそ、その人の最後の意思まで奪ったのが——」)
そして、元人間が自ら育てて自ら恭順を誓った教義を簡単に塗り替えてしまう光世触仏のやり口に、怒りを覚えるのだ。
「それすら別モノに塗り替えちゃったのは許さない……!」
すっとエヴァリーナの纏う空気から穏やかさが消える。
「人の心を、バカにするな!」
グラディウスを振り下ろした瞬間の絶叫は、日頃ののほほんとした雰囲気からかけ離れた、気迫と勢いに満ち満ちていた。
バリアを貫く小剣の眩い光も、エヴァリーナの意志の強さを表している。
「この世界にだれもが認める正しい答えはありませんわ」
それが真理だとばっさり言い切るのはルーシィドだ。
「あなた方の救済も、生存を誇るための弱肉強食も、結局は地球に住まう皆への侵略に他なりません」
どんなにご立派な教義を掲げても動植物の生存戦略と何ら変わりない、と。
「その歩みのために、小さな命が、幸せが、たくさんの大事なものが踏み潰されるのを、わたくしは何度も目にしてきました」
だから悲しみを背負って立つルーシィドもまた、敵の正義へ自らの正義をぶつけるに過ぎない。
「もう繰り返させないために、全力で止めさせて頂きます!」
正義同士の衝突、否、侵略に抗う反抗だとしても世に正しさなど無い以上、勝敗を決するのは己が意志の強さ。
それこそまさにグラディウスの輝きだと、ルーシィドもバリアを力いっぱい断裂させた。
「鳥人間と植物、頭には竜と言うべきか。脳から漏れた連中よ。地球を貪り尽くしたいと嗤うならば、我等の面を知り給え」
ユグゴトは相変わらず難解な言い回しながら、光世触仏へ喧嘩を売るべく啖呵を切った。
「最後の最後に勝利を掴むのは番犬と思え――貴様等は小さいものを奪い過ぎた」
普段なら定命種デウスエクスひっくるめて総ての生命を自らの仔だと嘯くユグゴトが、ケルベロス側に立って勝利宣言をする——それこそ地球に住む人々を守りたいという想いの深さの表出であろう。
そんなユグゴトの気持ちを受けてかグラディウスも眩い閃光を放ち、バリアへ蜘蛛の巣状のひび割れを広げた。
「信仰とは心を、願いを預け、託すこと」
括は元人間のビルシャナや配下の信仰心を慮る。
神の遣いと崇められる彼女にとって、護るべき民草の百花咲き乱れるが如き心は慕わしく、それはビルシャナとして肥大した欲望でも変わりない。
「その大切な預かり物の願いを捻じ曲げ染め上げる所業、決して見過ごす訳にいかぬのじゃ」
人々の心身双方を護り抜く決意をグラディウスに込め、全力で突き立てる括。
「何方付かずのおぬしに、心惑わせなぞさせるものかっ!」
小剣は溢れんばかりの光を湛えて、バリアに更なる裂傷を生んだ。
「俺はビルシャナが嫌いだ……人の信念や生き方を捻じ曲げて勢力増やしやがって!」
最後は、ビルシャナそのものへ並々ならぬ憎悪を燃やす理弥。
「おまけに光世蝕仏! てめーはビルシャナの信仰まで歪めてんじゃねーか!」
それでも、やはり彼もエヴァリーナや括同様、教義を無理矢理奪われた元人間ビルシャナを思いやっていた。
「ビルシャナ大菩薩が滅んだからユグドラシルに信仰変える? 個々が信じるものをコロコロ変えさせるんじゃねえ!」
多くのケルベロスの激怒を代弁して、理弥は絶叫する。
「ビルシャナとは共存できない! 静岡県出身として言わせてもらう——」
彼のグラディウスも仲間に負けないぐらい煌々と照り映えた光を蓄積して、バリアに叩きつけられる。
「静岡県民の誇り、富士山から出てけ!」
八振りのグラディウスによる連続攻撃が、半球状のバリアを打ち破り、強襲型魔空回廊も機能停止に追い込んだ。
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8人は爆炎と電撃が降り注ぐ煙幕甚しい現場で、ヘリオンデバイスの装着とグラディウスの回収に追われた。
「うわ、次々と反応が消えていくのを見るのは不思議な気分だな」
「HAHAHA……是は痛快だ」
とは、ゴットサイト・デバイスを覗いた理弥とユグゴトの感想。
強弱の区別なく範囲内の敵の位置がわかるため、グラディウスに焼かれていく雑魚の消滅が目まぐるしい。
ルーシィドはメカニカルなコウモリの羽根型ジェットパックを背負い、同じく機械化したテイルパーツからビームを出して皆を繋いだ。
「ユグドラシルの母星との繋がりが断たれたか」
かくて、光世触仏と配下の明王たちが現れる頃には、皆充分に臨戦態勢を整えていた。
複数の強敵に囲まれるのを忌避する今までの作戦と違い、闇雲に逃げ出す必要がないからだ。
「さりとて、それも同化の前には些事でしかない。悟りの遠くでもがく衆生を救済しましょう」
明王らが次々攻撃を仕掛けてくる傍ら、光世触仏はぺらぺら喋っているだけだ。
否、奴の言葉ひとつひとつにグラビティが宿り、前衛陣の体を蝕んでいく。ユグドラシル読経である。
「草鳥、戦場からは上手く逃げ出せたみたいですけど、もう逃がしません」
めぐみは啖呵を切ると同時にメディカルスイッチをオン。
「これ以上あなたに騙されてひどい目にあう子を出さないためにもここで屠殺します」
後方にカラフルな爆発を起こして、爆風を背にした前衛の士気を高めた。
らぶりんも負けじとエイクリィをハート型のバリアで包み、傷を治している。
戦いは続く。
「ふるべ。ゆらゆらと、ふるべ。衝き立ち示すは黄泉路の手向けじゃ」
障りを拒み阻む御業を杖のように硬く凝縮させて弾に乗せるのは括。
「惑うことなく進まれよ」
六花輪胴より撃ち込まれた弾丸は、穢が光世触仏の体外へ排出されるのを押し留め、自然治癒力を阻害した。
「いっっけー!!」
理弥もどっかから取り出したやかんに重力を込め、光世触仏の頭目掛けて蹴りつける。
括ともども牽制役に徹してきた彼だが、明王などの配下が全員くたばった今は、安心して威力重視のグラビティへ切り替えられた。
「Contre argument! 定命化しても攻性植物達と共に生きる事は出来る筈ですの!」
シエナは傷ついた前衛陣のために黄金の果実をばら撒く傍ら、光世触仏へ語りかける。
「個として生き延びて何の意味があろう。定命化なぞ百年もせずに滅ぶ。衆合無を上回る完全な救済を待たずして果てるなど、愚の骨頂」
しかし、ユグドラシルとの同化を至上とする光世触仏が耳を貸すはずも無い。
「瞬く間に傷だらけになるshowをお見せします」
ミリムは奇術師ゼペットの紋章を描くと、火の輪やジャグリングナイフ、マジックボックスなど瞬時に取り出しては器用に投擲。
まるで危険な手品ショーのごとき華麗な手捌きで、光世触仏の喉笛へそれらを突き立てた。
「早く消えなさい死に損ない……」
凄みのある声で唾棄するミリム。どうやら想像以上に心が磨耗しているようだ。
エヴァリーナは、小妖精の祝福や呪的防御を破る力の付与に奔走する中、隙を見てエクトプラズムを圧縮。
「無理やり草鳥さんにされた人たちの、塗り替えられた想いの仇——!」
大きな霊弾を光世触仏へぶちかまし、鳩胸を羽毛ごと焼きつくして激痛を齎した。
「植物と鳥人間……暴走した腐れ縁……嗚呼、おやすみなさい」
ユグゴトは苦い記憶へ蓋をするかのように低く呟くと、己を信ずる心を魔法に変換。
幅広い将来性を感じさせる殴打を、光世触仏の顔面へとお見舞いした。
エイクリィも機敏に光世触仏へ飛びついて、その太ももへ牙を減り込ませている。
「わたくしの中で眠るもの。夢から覚めるにはまだ遠く、呼び声に応えて蠢くのは、すべてを覆う茨の垣。命を奪う、死の茨」
つらつらと魔女の呪いの言葉を吐きつけて、光世触仏の影からイバラの蔦を溢れさせるのはルーシィド。
巻きつき締め上げる茨の棘が太い体に突き刺さって、棘に込められた死の呪いも霊体に深く食い込み、ついに光世触仏の体力を潰えさせた。
「死など恐る……足ら……全て……我も……ドラシルと共に——」
それが光世触仏の最期の言葉だった。
作者:質種剰 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年3月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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