●イカした奴が現れたぜ
とても天気の良い日だった。
澄み渡る空から眩しい日差しが降りそそいで、草葉の緑はくっきりと映えている。未だ暖かいとは言えない時期ではあるが、それだけ太陽の恩恵を受ければ草原はなかなか過ごしやすい気候になっていた。
たとえば都会の喧騒から離れ、自然を感じたい。
とか思うのであれば、その広やかな草原はまさにうってつけのロケーションだった。
ささやかな風が吹き、のんびりと時間が過ぎてゆく……。
ほら耳を澄ませてみれば、
揺れる草の音が、
小鳥のさえずる声が、
遠くから微かに聞こえる「ソフトクリィム……」という電子音声が――。
…………ん? ソフトクリーム?
いやおかしいだろう。自然の中で聞こえうる音声ではない。何かを空耳してしまったのだろうか。そうに決まっている。ここは緑あふれる草原だ。ソフトクリームもなければ電子音声なんて代物もあるわけが――。
「ソフトクリィィーーーム!!!」
めっちゃ聞こえてるよ! ド直球でソフトクリームっつってるよ!
てか来てるよ! 草原の地平線の向こうから「ズシン! ズシン!」てな擬音が見えそうな勢いで巨大ソフトクリームメーカーが歩いてきてるよ! かき氷機を彷彿とさせる形の真っ白い奴が闊歩してるよぉ!
「ソフトクリームゥゥゥゥーーーーーーーーーーーー!!!」
しかも何かを訴えかけるように叫んでるよぉぉ!
一本調子の叫び方じゃなくてバリエーションも持たせてるよぉ! 『クリーム』の『-』じゃなくて『ム』のほうを伸ばしたりできてるよぉぉ!!
これはもうソフトクリームの予感しかしないよぉぉ!!
のどかな草原でソフトクリーム食べ放題する未来しか見えないよぉぉぉ!!!
●みんな! コーンの準備はできているか!?
「というわけで出発しましょう! ダンテさん、GO!!」
「いや待って下さいっす環さん!? 気持ちはわかるけど待って下さいっす!」
「何を言ってるんですか! ソフトクリームなんですよ!? 急いで向かってぐるぐるしてまきまきしないとー!」
「いったん! いったん落ち着いて下さいっすーーー!?」
ヘリオンの搭乗口を境目として、朱藤・環(飼い猫の爪・e22414)と黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)が熾烈な戦いを繰り広げている。
とゆー状況を、猟犬たちは見せられていた。
呼ばれて駆けつけたらこれである。あぁ簡単な仕事なんだなと察するのは簡単でしたよ。
「あっ、皆さん来てくれたんっすね! 実は――」
環さんにぐるぐるまきまきされながらも、こちらに気づいたダンテくんは大体の状況を説明してくれた。
草原に投棄されていたソフトクリームメーカーにダモクレスが取り付いてしまった。
幸い今のところ被害はゼロだが、放置すればやがて人のいる町へと向かってしまうだろう。
そうさせるわけにはいかない。だから急いでコーンを持って現地へレッツGO!
要約すればそんな感じだった。
最後の一行らへんは横から環さんがすげぇ被せてきたからだいぶ滅茶苦茶になってるかもしれないけれど、きっと間違ってはいないはずさ。大丈夫。
猟犬たちはすべてを理解した顔で、ダンテくんに頷いておきました。
「よかった……じゃあこれで心置きなく皆さんを送り出せるっす!」
「今回のダモクレスさんは自前でソフトクリームを生産できるようですが、コーンは作ってくれません! ですけど心配は無用! なぜならすでに私が用意してますー!」
胸をなでおろすダンテ。その横でヘリオンから半身だけ出してきた環が、箱入りのアイスクリームコーンをがさがさと振る。ソフトな口当たりのレギュラーコーンから、パリッと香ばしいワッフルコーン、はたまたボウル型のやつ等々。
準備万端にも程があった。環のモチベーションがヤバすぎる。
「だってソフトクリームですからね! 悔いは残せません……向こう一年食べなくてもいいと思っちゃうぐらい、ばんばん食べまくりましょー!!」
おー、と拳を突き出す環さん。
そんな彼女にせっつかれるように、ダンテと猟犬たちはヘリオンに乗り込むのだった。
参加者 | |
---|---|
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479) |
湯川・麻亜弥(大海原の守護者・e20324) |
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455) |
朱藤・環(飼い猫の爪・e22414) |
小柳・玲央(剣扇・e26293) |
エルム・ウィスタリア(薄雪草・e35594) |
アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846) |
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102) |
●これがダモさん
晴れ渡る草原を、二人の女がスキップしていた。
「ぐーるぐるっ! まーきまきっ!」
「食べほーだい! 食べほーだい!」
朱藤・環(飼い猫の爪・e22414)とエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)である。
無限ソフトクリームという天国を前にしてテンションがヤバい。どんぐらいヤバいかと言うとヘリオンデバイス(アーム)まで使ってコーンとかを運んでるぐらい。
「コーンが作れないなら! 持ち込むだけぇ!!」
「お船(白羊宮)で食べほーだいはできるけど……それとこれとは別だもんね!」
ルンルンが止まらねえ環とエヴァリーナ。
その後ろには、がらがらとリヤカー引いてるアリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)の姿もあった。
「たくさんコーン持っテきたし! ガンガン食べルぞ!」
意気揚々と行く彼女のリヤカーに積まれているのはドラム缶やタライ等々。
主に金属。金属しかない。
小柳・玲央(剣扇・e26293)はそっと目をそらす。
「気にしたらいけないね」
「どうかしたの?」
「いや何でもないよ♪」
てくてく隣を歩いていたリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)の無垢な瞳に、玲央は肩を竦めて笑い、逆に少女が抱えているコーンの箱に視線を向ける。
「お気に入りは見つかったかい?」
「コーンっていろいろあるんだね。ココア味のとか気になったよ」
ごそごそ、と二十個入りのコーン袋を見せるリリエッタ。
「リリ、全部試してみたいな」
「うん。いいんじゃないかな」
コーンを箱に戻す少女を見ながら、くすっと笑う玲央。
と、そうこうしとったら。
「あっ、あれでしょうか?」
弾む足取りで前を歩いていたエルム・ウィスタリア(薄雪草・e35594)が、草原の向こうを指さした。遠く見えるその影は――。
「ソフトクリィム……」
ダモさん。
妙ちくりんな手足とか生えた巨大機械が体育座りしていた。
環の燃えるような目力が皆に送られる。
「さぁ皆さん! 行きましょう!」
「そーだね!」
「コーンを渡さネーとな!」
「パーティーの準備だね♪」
環に追随するエヴァリーナ、アリャリァリャ、玲央。
湯川・麻亜弥(大海原の守護者・e20324)は青空を仰いで、ぽつりと呟く。
「ソフトクリーム。季節としてはちょっと早い気もしますが」
「細かいことを気にしてはいけませんよ~」
麻亜弥の隣で怪しく笑うのは、歩く黒布もとい霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)。
「ソフトクリームの原材料がどうなってるとかも気にしませんからね!」
グッとカメラ目線してくる裁一。
さすが季節関係なくサバトスタイルの人は言うことが違いました。
●狂喜乱舞
1分後。
「ソフトクリィム!」
「見てくださいエルムさん! ういんういんってソフトクリームが……あー斜めにっ!?」
「まきまき……たくさんまきまきできますね」
環とエルムのテンションは全力で振り切れていた。ダモさんの排出口にコーンを添え、夢中でぐるぐるやっている。
さらに、ツンと立ったソフトクリームの頂きをはむっとすると。
「バニラソフト、美味しいです」
「ですねー。こっちはバニラとチョコが合わさって……もう最高です!」
きゃっきゃと語らう始末である。
「この調子で食べまくりましょう、エルムさん!」
「そうですね! 無限ですからね!」
「――♪」
視線を交わしてガッツポする二人の頭上で、シュネー(シマエナガなファミリア)も弾んだ鳴き声を零す。
とゆー光景を横目に、エヴァリーナは何かを逡巡して止まっていた。
「排出口でお口開けてスタンバイしたい……!」
どうでもいいことだった。
「でもダモさまがコーンをご所望なら……」
んしょ、と何処からか巨大コーン(2m)を取り出すエヴァリーナ。
ソフトクリームを入れたら多分高さは倍とかになると思う。もう怖い。
「おー……ボリュームがスゲー!」
「段々コーンが重くなってくのがたまらないー♪」
いいなーと見上げるアリャリァリャを尻目に、手に伝わる感覚に小躍りするエヴァリーナ。
「ウチはそこマデでけーのハ持ってきてネー……」
アリャリァリャがしょんぼりしながら地面に横に。
で、仰向けになる。
「ウチは直デいかせてもラウ!!」
「あーっ、ずるいー!?」
「レギュラー満タンで頼ム!」
「マンタン!」
「あっ、あーっ!!」
溢れだすソフトクリームをダイレクトで飲むアリャリァリャ。一度は我慢したエヴァリーナにゴクゴクと見せつけるのは鬼畜の所業だった。
「むぅ、みんな大胆だね」
「季節の変わり目は、と言いますね」
騒がしさしかない連中を遠目にソフトはむはむしてるリリエッタと麻亜弥。
「ん、苺の感じがしっかり出てて、美味しい」
「気温も割と暖かいですし、冷たいソフトクリームが美味しいですね」
「うん」
パリパリコーンで苺ソフトを楽しむリリエッタと、ワッフルコーンを齧りながらバニラ&チョコを味わう麻亜弥。
そこへ、裁一がぬるっと。
「楽しんでいるようですね~」
「裁一さん」
「裁一はそんな服で暑くないの?」
「俺もちゃんとソフトクリーム食べてますからね~」
見上げてくる二人に裁一がソフトを見せつける。
黒い。いやクリーム自体はストロベリー&バナナで普通なのだが、なぜか土台のコーンが真っ黒なのだ。
「黒いコーン、イカスミやゴマですかね」
「でも、そんなのあったかな」
「俺のオリジナルコーンですよ~。実はこれ、逆さにするとサバト頭巾のようになるのです! ほら目の部分がくり抜かれているでしょう?」
別のコーンを逆にして見せる裁一。確かにコーンには目っぽい穴が開いていて、彼の手先の器用さがうかがえる。何か別のことに使うべきだ。
「対リア充布教活動の一環にもなる、素晴らしい品です。ひとつどうです~?」
「なるほど。では一個もらいますね」
「リリも一個食べてみようかな」
「おっ。いいですね~」
少女らに怪しいブツを配る裁一。
そんな事案シーンの横では、玲央がそのサバトコーンをダモさんに突き出していた。
「これに合うソフトクリームを出してくれるかな? 例えば、食べたら爆破してきそうな味とか」
「ソフー!」
がってん。ドバッとクリームを放出するダモさん。
まきまきされたそれは――何か赤黒かった。
「ソフトクリィム!」
「食べ物の色とは思えないけど……」
若干の躊躇を見せながらパクッとやる玲央。
それから三秒後、彼女は謎の轟音とともにぶっ倒れたみたいっす。
いったいどんな味がしたんや。
●おいしいソフトの作り方
20分後。
「…………はっ」
「お、起きましたか」
「玲央さん。無事でよかったですね」
意識を取り戻した玲央を待っていたのは、左右から見下ろす裁一と麻亜弥の顔だった。
もっと言うと、両手にソフトクリーム持ってる二人の顔だった。
「楽しんでるみたいだね……」
「チョコ&キャラメルのミックスは美味しいですよ~」
「ストロベリーもおすすめです」
ジト目で見てくる玲央に、両手のソフトをふりふりする同僚たち。
仲間が謎の気絶を遂げていても、皆はしっかり宴を満喫しているのでした。
「こんなにミルク味が濃厚にー!」
「チョコソフト、とってもチョコレートまみれの味で美味しいよ」
「ソフトォ!」
ダモさんの横で仲良く並んでいるのは環とリリエッタ。ミルクソフトとチョコソフトをはむはむしてる姿は何となく小動物っぽくて微笑ましい。
が、二人も猟犬である。
ただ愛らしいだけなわけもなく。
「次は味噌ソフトとか食べてみようかな」
急にご当地ソフト的なものを作りはじめるリリエッタ。ダモさんから出てくるクリームは圧倒的な味噌色だ。
「せ、攻めますねリリエッタさん……けど私も負けませんよ!」
袖で鼻を覆いながら(草原はすっかり味噌の香り)、環がボウル型のワッフルコーンを取り出す。
「このコーンに収まるだけ巻きますよー!」
「ソフトォ!」
「そしてここにトッピングを散らせば完成です!」
「美味しそう……私も食べたい!」
ダモさんとの連携であっという間にボウルに詰めたソフトクリームを完成させる環。その大食いメニューじみたブツにエヴァリーナは当たり前のように食いつく。
自分のすぐ後ろに、重量トラックサイズの超巨大パフェをそびえさせながら!
……うん、何でも大型水棲生物用の水槽らしいよ。デバイスで運んできたそれにソフトとフレークとフルーツとをぶっこんでしまったらしいよ。
「自分のを食べればいいんじゃ!?」
「それはそれ、これはこれだよ!」
「別々にしないでくださーい!」
「エ、分けてくれナイのカ?」
環たちの間にてくてく歩いてきたのはアリャリァリャ。きょとんとした声を聞かせる彼女は環を見つめたまま、バケツに入れたソフトをバケツごとムシャア。
「コーンじゃない!」
「いやヨク見ろ。あるダロここにコーン」
「トッピングに使われてる!?」
ツッコんだ環が、クリームにぶっ刺さってるコーンを指すアリャリァリャに連続でツッコむ。二匹の規格外に絡まれて環のツッコミ体力がヤバい。
「あ、トッピングはマダマダあるゾ。ビスケットにー一夜干しにー、チョコポテチやバターピーナッツにーガッツリチキンカツー」
「ところどころ怖いのが混ざってますね……」
「私全部たべたーい」
「…………」
アリャリァリャが披露するトッピングに食いつくエヴァリーナ。そろそろリアクションに疲れた環は言葉もねえぜ。
「みんな色んな食べ方してるなぁ」
「あ、小柳さん。おはようございます。ご無事でよかった」
玲央が起きてるのに気づいたエルムが、微笑みとともに歩いてくる。
その両手には、メロン。
否、中身をくり抜いたメロンの器だ。上部の切り口からはソフトクリームがたっぷりと覗いて、さらにカットメロンや苺がトッピングされている。
「何だか映えというやつが凄そうだね」
「そうですね、パフェですから!」
興味津々の目を向けてくる玲央に、少し照れながら笑うエルム。
さらに、彼は傍らを飛ぶドローンデバイスに積んでいた段ボールをごそごそ。
「炭酸飲料も持ってきてるのでフロートにもできますよ」
「クリームソーダ、ですか」
エルムの持つパフェと、冷えたメロンソーダを交互に見る麻亜弥。
「あの、よろしければ食べてみたいのですけど、いいでしょうか?」
「ええ、もちろん」
「なんかリア充っぽい感じがしますが、俺も試してみたいですね~」
「霖道さんもどうぞ」
やったー、というノリでパフェにありつく麻亜弥&裁一。
そんな二人を見た玲央はハッとあることに気づく。
「私も良いものを持ってきてるんだ」
「良いもの?」
「うん♪」
かくんと首を傾けるエルムにぱちりとウインクをして、玲央は持参した荷物を漁った。
そして現れたのは、魔法瓶とウォータージャグ。
「これらはなんの変哲もない魔法瓶とウォータージャグだけどね? どちらも私特製ブレンドの珈琲なんだ」
これまた荷物から出したグラスにジャグからアイスコーヒーを注ぐ玲央。
「アイスコーヒーと一緒にすればフロートに、エスプレッソと一緒にすればアッフォガードが楽しめるはずだよ♪」
「わぁ、美味しそうです!」
「ソフトー!」
見るなり期待を膨らませるエルムとダモさん。
「キャラメル味でマキアート風とか、オレンジやナッツのフレーバーにするとか、楽しみ方は色々だね」
「試しましょう試しましょう」
玲央の言葉にぶんぶんと首を縦に振りまくるエルム。
ソフトパーティーが始まったのは、だいたいそのあたりからでした。
●感謝の一日
「んー! このアフォガードはたまらないですねー!」
「こちらのコーヒーフロートも絶品です……」
「――♪」
環とエルムとシュネーが、幸福に満ちた吐息をつく。
散々楽しんだ末にコーヒーとソフトクリームの連携攻撃を喰らっている二人と一羽は、一周回ってなんかもう落ち着いていた。
「今日は来れてよかったですねー」
「そうですね、本当に」
話しこむ環とエルムの視線が向かうのは、傍らにそっと置かれているぬいぐるみと、ソフトの入った紙カップに顔を突っこんでるシュネー。見ればその二体の首には『代理』と記された札が。
「彼も来れればよかったんですけどね」
「帰ったら自慢してあげましょう!」
悪戯っぽく笑って、ソフトクリームを撮りだす環。
と、その一方。
「はい、麻亜弥も団長もお待たせ」
「ご苦労ですよ~玲央」
「いただきます、玲央さん」
裁一と麻亜弥が、玲央が直々にサーブしたアフォガードにスプーンを入れる。
器ではなくトッピングとして添えられたワッフルコーンもエスプレッソが染みて良い塩梅であり、キャラメルアイスと一緒に食べれば身悶えしそうな美味さだった。
「冷たくなった口に良い感じですね~」
「エスプレッソ自体も、とても美味しいです。これって、おかわりもできますか?」
「いくらでも構わないよ♪」
笑顔で麻亜弥へのおかわりを作る玲央は、ちなみに言っとくと本日最初からメイド服を着ております。メイド服で草原を歩いたり気絶したりしてました。
「給仕してると、さまになってますね」
「ん、できるメイドさんだね」
麻亜弥の言葉に頷いたのは、横でコーヒーフロートを味わっていたリリエッタだ。とはいえ使ったのは玲央の特製ブレンドではなく、自分で用意したホットコーヒー。
なみなみ注いだグラスに浮かぶソフトクリームを、スプーンでひと掬い。
それをぱくっと口に入れて、リリエッタは納得するように首を縦に振った。
「んっ、リリ、一回自分で作ってみたかったんだ」
そして数分後。
「ソフトォ……」
「ソフトクリーム美味しかったです、ありがとうございますね」
草原には、消えゆくダモさんに頭を下げる麻亜弥の姿があった。
うん、仕事は楽勝でした。
「ごちそうさまでした……ぐすん」
「ありがとうございました。今日の思い出は忘れません」
名残惜しそうに残骸へ手を合わせるエヴァリーナとエルム。
そんな二人の手にはソフトクリームを詰めたカップが大量に確保されている。しっかり用意しといた保冷バッグやらアイスボックスやらはパンッパンだ。
「それじゃー帰りましょうか」
「ん、そうだね」
「十分楽しめましたね~」
「私も今日はすごく楽しかったよ。気を失った時間は悔やまれるけど」
わいわい、と帰路への準備をする環やリリエッタ、裁一や玲央。
そんな中、アリャリァリャは神妙な顔であるものを見上げていた。
「どうやっテ運べばイイんだ?」
彼女が茫然と見上げるのは、ドラム缶いっぱいに詰めこんだソフトクリーム。
高ぶるテンションのまま作ったはいいものの、帰る段になって運搬の難度がやべぇことに気づいたアリャリァリャさんだった。
「……ここデ食っとくカ!」
がぶりとドラム缶に齧りつくアリャリァリャ。
こうして、猟犬たちのソフトな一日はのんびりと幕を閉じるのだった。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2021年4月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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