とり残されて、なお

作者:ほむらもやし

●予知
 背振山の麓に怒りっぽいことで有名なおじいさんの家がある。
 子どもたちにはカミナリじいさんなどと呼ばれていたが、一昨年の年末に体調を崩して以来、入退院を繰り返すようになり、とても留守が多くなった。
 夜明け前の時間、青と黒のトーンが風景を支配している。
 北にそびえる背振の山から寒気を孕んだ風が吹き下ろして来て、閉ざされた板製の雨戸を揺らしている。
 当然、誰も居ない屋内だから真っ暗のはずだったが、光る宝石の身体に手足の生えた、蜘蛛のような光る粒が跳ね回っている。雨戸の隙間から進入したのか、意志をもって侵入したのかはわからない。
 光の粒が跳ねる度に様々な物の輪郭が浮かびあがる。
 壁に掛けられた天狗の面や功績を讃える表彰状、ふくよかなほっぺたのおばあさんの写真、空気清浄機や大画面の薄型液晶テレビ、湯飲み茶碗など、ありふれた日常品。
 暗い屋内を一巡りすると、光の粒は隅に寄せられていた空気清浄機の前で止まった。
 そして上部にある空気の吹き出し口にスルッと飛び込んだ。
 直後、青と橙の2色の光が流星の如くに二重の螺旋を描く。
 閃光が爆ぜて屋内が光で満ちた。
 閃光がおさまった後には、透明の身体をもつウエイトレス型ダモクレスが座っていた。
「ほこりっぽいですわね……」
 そう呟きながら綺麗な風を巻き起こつつ、腕を突き出す。
 手の先が光を帯びて破壊光線が放たれ、轟音と共に板の雨戸が焼け散っただ。
「これで、少しは風通しが良くなったかしら?」
 果たせなかった役割は果たす、両眸を赤く光らせ力を漲らせる。
 そして目覚めたばかりの、集落の方に歩き出した。

●ヘリポートにて
「故障して放置されていた空気清浄機がダモクレスとなって暴れ出すと分かった。至急対応をお願いしたい」
 ケンジ・サルヴァトーレ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0076)は、丁寧に頭を下げると、セレスティン・ウィンディア(穹天の死霊術師・e00184)が語った懸念が現実となろうとしていると告げた。
「ダモクレスが出現するのは、佐賀県東脊振村にある古い民家。背振山の麓に位置する一軒家だけど、少し南に下れば10世帯ほどの集落がある」
 到着は朝7時頃だ。
 モクレスは既に動き出しているが、すぐに戦いを仕掛ければ、周囲への被害を考慮して戦う必要は無い。
 しかし接敵を故意に遅らせると、集落に向かい状況が複雑になってしまう。
「ダモクレスは1体。外見は透明クリスタルのような身体を持つウエイトレス型アンドロイド。攻撃は清らかな風と光、高エネルギーを纏った身体による接触あるいは自爆攻撃だ」
 攻撃の詳細やデータは明らかではないが、清らかな光や風は空気清浄機に由来すると予測できる。
 しかし、接触あるいは自爆というのは、曖昧な表現にも関わらず危険な予感しかしない。
 そこまで話すと、ケンジは表情をキリッと引き締めた。
「おじいさんが元気になったら、家に帰って来られるようにしておかないとね」
 皆ならきっとうまくまとめてくれると信じている。
 そう締めくくって、出発の時が来たと告げる。


参加者
セレスティン・ウィンディア(穹天の死霊術師・e00184)
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
武田・克己(雷凰・e02613)
パトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
ステラ・ハート(ニンファエア・e11757)

■リプレイ

●春を迎えた里山
「捕捉しました。間も無く射程に入りますわ」
 目標の反応を捉えたエニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)が落ち着いた様子で告げたので、セレスティン・ウィンディア(穹天の死霊術師・e00184)はすこしホッとした。
「そういえば、佐賀はエニーケさんの故郷だったわね」
「そうですわね。私の縄張りで狼藉とは、有無言わさずとっととブッ潰しましょう」
 生まれたばかりのダモクレスの身体は透き通っていて、淡く発光している。
 身体を覆う衣服のようなものは見当たらない。
 羽化したばかりの羽虫を連想させる。肌の滑らかさは朝の陽光に照らされて融け始めた氷柱のような清々しい印象だ。
「じ、自爆とか。こんなのどかなところでやめるのじゃ!」
「ガラスのクレア……」
 ステラ・ハート(ニンファエア・e11757)の呟きに、パトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)はぽつりと漏らした。
 銀河宇宙を旅する、とある物語、少年の危機を助けんと果てた女性の最期とイメージが重なったのだろうか。
 さて、敵はまだこちらに気づいていないようだ。
 儚げで美しい外見をしていても、武田・克己(雷凰・e02613)は危険なダモクレスだという事実を忘れない。
「死なば諸共ってか? まぁいい。その覚悟で来るなら、こっちも相応の覚悟で行かないとな」
「心配しないで。僕がしっかりと盾役をつとめるから」
 源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)は自信ありげに言うが、防ぐのが成功するのは3回に1回程度。
 完璧に防げないことくらい経験的にも統計的にも理解している。
 そして良い結果を目指すのと目指さないのでは、なぜか結果が違ってくることも。
「兎に角、出来るだけ被害は押さえたいよね」
「まったくじゃ。後ろはばっちり、余が守るによって、大船にのったつもりでおるがよい」
 ステラは、自分の元気を分け与えるように、力強くブレイブマインを発動する。
 それはカラフルな爆発を巻き起こし、戦いを開始する号砲となる。
 様々な色の爆煙が爆風となって吹き抜けて、前衛に立つ者たちの気持ちを奮い立たせた。
「家から引き離すように誘導したいところね」
 セレスティンの言葉に同意を示すように、すかさず、敵の前に踊り出るエニーケ。
 人間型の敵なら対面した方向に進んで来るはず。
「無法者、ここから先は立ち入り禁止ですから、退いてくださいな。永遠に」
 言い放つと共に、竜騎兵銃を前に突き出す。言葉のとおりに本当に後ろに行かれるのは困るが、ダモクレスは首を傾げながらもまっすぐに進んで来る。次の瞬間、沈み掛けの夕陽の如きエネルギー光弾を射出する。
 それは薄雲に遮られたように輪郭が滲み、琥珀色とも橙色ともつかない煌めきを放ちながら、敵に向かって飛び行き、吸い込まれるようにして命中した。
 光弾を受けたダモクレスの身体が夕陽の色に輝く。
 直撃だったにも関わらず、表情を変えることもせず、不気味なほど寂しげな目線をエニーケとセレスティンの方に向けた。
 輝きの色は指折り数えるほどの間に、もとの色合いにもどる。
 態度から推測すれば、自分たちを敵と認識しただろう。そう直感してパトリシアと瑠璃は前に出る。
 機を合わせたように、突き出した女の手がするりと伸びて、強い光を帯びる。
「風に光ネェ……。オネイサン綺麗ダシ、なんだかチョット正義のヒーローみたいじゃナイノ」
 敵なのに綺麗なんてコンチクショウな気がする。複雑な気持ちを抱きつつパトリシアは降魔真拳を放つ。
 瞬間、魂を喰らう降魔の一撃と、ダモクレスの光る腕がぶつかり合った。
 降魔の闇が爆ぜた光に打ち消されるようにして、消えた。
「こんなに綺麗なのに、皮肉だね。人の命まで洗浄するのは阻止するよ」
 狙い定めて放ったはずのバスタービームを避けられて、瑠璃が唇の端を薄く噛む。
 自爆攻撃という予知に警戒していたが、それ以外の攻撃はさほどでもない。
 しかし動きは俊敏だ。次第に敵の有り様が明らかになってくる。
「危険を冒してまで急ぐ必要はないのじゃ。睡蓮の加護を存分に堪能するがよい!」
 ステラの発動した黄金の果実の光が睡蓮の花についた朝露の如くに清らかに輝き、広がってゆく。
 小さなダメージと共に、ひっそりと刻まれていたバッドステータスが霧散する。
 セレスティンは肩の高さにドラゴニックハンマーを引いて溜めをつくる。
 ドラゴニック・パワーの噴射と共にヘッドを振るうまでの刹那、戦況を分析しつつ、自ら考えて術を繰り出すステラの姿が思い出されて、思い出が万感となって溢れ出す。
(「戦いの中でも、この子の笑顔はいつも私を心の底から励ましてくれる。暗い気持ちも、埃っぽい気持ちも」)
 それだけではない。敵の破壊という行為ではなく、笑顔という好意で紡いでくれる彼女に感謝を。
 もし世界が壊されてしまっても、この感情は変わらないだろう。
 不規則な弧を描くドラゴニックハンマーのヘッドがダモクレスの透き通った身体を直撃する。
 水面を叩き付けたような飛沫の如き破片が散り細い脇腹の半分ほどが抉れるのが見えた。
 だが、その抉れた傷は融け出て来た水飴のようなものに塞がれて元の形に戻る。
「俺は細かい戦術考えるのが苦手だからよ。だから真正面からできることをやらせてもらうぜ」
 引き絞った全身のばねを解き放つような動きから、克己は空の霊力を纏った直刀・覇龍を振るう。
 肩から胸までをざっくり切り裂かれたガラスの身体。
 しかし傷口から透明の粘液が溢れて、急速に傷が塞がれて行く。
 ダメージは入っているはずだが、女の眸は苦痛を映さない。
 しかし衣類を纏わぬ姿はひどい境遇に陥れられた女の様で――物事を解釈する克己にとっては気分的なやり辛さを感じさせた。
「まるで、俺らが悪人みたいだな」
「気にしても、仕様のないことですわ」
 印象にとらわれてやりたいことをする機を失うなどエニーケにはありえない。
「あなたに未来なんていりませんのよ。自らの行いをあの世で悔いながら死ぬがいいですわ」
 跡形も無く焼き尽くすような勢い。展開した伝承器砲から撃ち放った光線が空間で不思議な反射の軌跡を描きながらダモクレスを追いかけて行く。
「それそれ♪ 必死に逃げ回らないと焼け死にますわよ?」
 思いがけない方向からの光線に、女の腹が半分ほど爆散した。見た目の印象では斬るよりも痛そうに見えるが、抉られた腹の内部は透明で、またしても、どろりと垂れてくる流体で塞がってゆく。
 人であらざる者の挙動。そう、これは敵でありデウスエクスなのだ。
 言葉が通じても、価値観の大元が違う。見た目に好感を抱けたとしても説得に応じる相手ではない。
 閃光が爆ぜる。
 前に出たパトリシアの情欲が清らかな光のなかでの緑の眸が、その光のなかで輝きを失って行く。
 彼女にもし、なぜ戦うのかと問いかければ、詳しい理由を話してくれるだろうか。
 そういうイメージはあまり浮かばない。
 ただこの敵を倒さなければ、世界の片隅で見知らぬ誰かが殺されて、その結果さらに誰かが苦しむことになっただろう。
 次の瞬間、白い光と混じり合う様に、桃色の霧がパトリシアの身体から噴き出てくる。
 磨かれていない翡翠のように艶を失っていたパトリシアの両眸が輝きを取り戻す。
「この光は明るすぎる気がするよ」
 瑠璃の起こした癒やしの風が、ダモクレスにとっての清い光に支配された空間に、穏やかに広がって行く。
「斬ってもすぐ繋がるなら、突くのはどうだ」
 斬られて繋がった身体には何の変化も見られないが、抉れた傷を修復した後には、身体のサイズが少し小さくなったような気がした。
 ならばと、克己は得物に雷の霊力を纏わせ、超高速の突きを放った。
 必殺の突きで、殴りつけるように、貫き通す。
 ダモクレスの透明の身体は上と下の2つに割れたようにして吹き飛んで棚田の石垣に激突して爆発する。
 泥くれや石片に混じってキラキラした細かな物が飛び散った。
 爆煙の中から立ち上がった、ダモクレスの姿は元の綺麗な形のままだったが、案の定、身体は小さくなっていた。
「だんだんと小さくなっているようじゃな」
 支援の術を重ねながら、ステラが言う。そして誰がみても分かるほどに、敵の見た目は小さくなっている。
 一方朝の陽射しが強くなるにつれて、エニーケは鼻がムズムスしてきた。
「……これ以上彼女を暴れさせませんわ」
 付近の斜面にはヒノキの林になっている。前日の佐賀県の気象情報ではヒノキ科の花粉が非常に多くなると報じられていた。だからもう、この敵に時間を与えてはいけない。
 鼻の目も喉もあらゆる粘膜が刺激されるような気分の中、エニーケは敵に肉薄し、見いだした構造的な弱点に一撃を叩き込む。
 壊すことを最優先にした苛烈な攻撃に再び敵の身体は2つに砕け散る。
 砕けた部位は再び繋がろうとするが、当然、つながるまで待つことはしない。
 追い討ちとばかりに、ライフルによる至近距離射撃。
 非情さを際立たせる表情で敵を見詰め、内なる闇の力を弾丸に変えて撃ち放つ。
「よく聞きなさい、これが私の唄よ」
 その身に流るは圧倒的な死と暗く哀しい闇。
 月光や星々の煌めきによって闇の濃さを知る。
 繰り返し、繰り返し胸に去来しては胸を締め付ける闇。
 それらを凝縮した弾丸は、ガラスの身体に触れると同時に爆散して、繋がり合おうとしていた断片を砕いた。
 ダモクレスの女は仰向けに空を見たまま、悲鳴にならない声を上げる。
 それでも戦うために身体をつなげ立ち上がろうとする。
「木は火を産み火は土を産み土は金を産み金は水を産む! 護行活殺術! 森羅万象神威!!」
 克己の詠唱が紅薔薇の魔術師カトレア・ベルローズを呼び出し、共に大地の気を集約する。
 克己は強者を求める求道者の気持ちで、カトレアは心の赴くままに、鋭い刃を振るう。
 融合した二人の気は斬撃となり、透き通った敵の身体を砕く。
 刃が十字に混じり合う刹那、満開の桜に爆破するように、煌めくガラスの砕片が散った。
 再生できる限界を超えて小さくなった破片が光を散らしながら蒸発する。
 再び立ち上がったダモクレスの姿は小学校に入学する前の女児ほどにまで小さくなっていた。
「もう終わりにするのじゃ!」
 ステラ支援から攻めに転じる。
 漆黒の両眸を肉食獣の如くにつり上げ、蔓触手形態と変えたイドラ植物を荒々しく振り回す。
 奔流と化した蔓はダモクレスの小さな身体を締め付ける。
「力を借りるよ!! グリフォン、その武威を示せ!!」
 ペキペキと音を立てながら明滅するダモクレスを目掛けて、瑠璃の召喚した伝説の霊獣グリフォンが襲いかかる。死角から現れた、霊獣はプレッシャーによってダモクレスの力を削ぎ取って行く。
「フォーティーエイトアーツ・ナンバーナイン! サキュバスター!!」
 パトリシアはダモクレスの小さな両脚に組み付いて、飛び上がろうとして足を踏み込んだ。
 瞬間、発光したダモクレスの身体は大爆発を起こした。
 バラバラに砕け散ったダモクレスの身体は、もう再生しなかった。――できなかった。
 意識が揺らぐ。だが身体中に刺さった破片から吹き出る血が温かく、それが生きている実感になる。
「かの者を癒し、輝かせ給ふ!」
 若葉を育てる恵みの雨の如き、癒やしのシャワーを背に受けて、パトリシアはハッと後ろを振り向く。
 そこには真剣な表情をしたステラがいて、パトリシアの無事な姿を見て、にかっと笑んだ。
 かくして東脊振村石動地区にて発生した、ウエイトレス型のダモクレスは撃破された。
 死傷者は無く、最善の形と言える勝利に終わった。

●戦いの始末
「焼き尽くすまでもなく、ご自分で消えてしまったようですわね……」
 エニーケはちょっと物足りなそうに言うが、パトリシアが無事だったことには安堵している。
 最期に自爆を掛けて来ることはある程度予想していため、武器封じとプレッシャーを頑張れる限り限り重ねていたことが功を奏した。
 戦いの場所を移したことで、法面を保護する石垣が壊れた以外には目立った損壊はなく、皆が気に掛けていたおじいさんの家には戦いによる禍は及ばなかった。
 ただしダモクレスはこの家のなかで生まれたため、外に出るときに雨戸や壁を光線でぶち抜いた。その分が壊れており、風通しが良さそうな感じに見えた。
「想定内の壊れ具合とはいえ、お婆さんとの思い出が残る家だからなあ」
 瑠璃は額に入ったおばあさんの写真を拾いあげて、土を払った。
 家の中の物も、庭に飛び散っていた。
「おばあさんの写真か。これを幻想化させたら腰を抜かすだろうな」
「家具やら壁やらがファンシーになりすぎてモ、よくないデスネ」
 ヒールを掛けなければいけないところ、掛けなくても良いと感じるもの様々だと、瑠璃とパトリシアも気がついた。
 割れた額は直しても、中の写真には手を加えない。もう誰も着ないであろう女性物の衣類は廃棄したほうが良いかもしれない。だが着物はどうするか。ケルベロスの仕事じゃない――そんな地味で時間もかかるデリケートな判断が、思い出を大切にするということと直結していた。
 家自体のヒールは、この手の古民家を見たことのある者が多く、イメージが湧きやすかったためか、だいたい元と同じような具合に修復できた。
「こんな感じで良いと思うのじゃが……」
 率先してヒールを掛けていたステラが、元気いっぱいだが、だいぶ疲れた様子で言う。
「おつかれさま。これならおじいさんが、いつ帰ってきても大丈夫だと思うわ」
「細かい所までご苦労様だ。俺なら、そんなところまで気が回りそうもないな」
 セレスティンが労い、克己が感心したような顔をする。
 作業を終えて立ち去ろうとしたとき、地面にきらきらするものが散っていることに気がついた。
「ガラスの破片が熔けたものみたいね」
 ダモクレスが外に出るときに放った光線でガラスが融けたものだろうと、セレスティンは推測した。
「尖ってもおらんし、危なくはなさそうじゃが」
 ステラが拾い上げた塊は、水滴のような形をしていて、頬を伝う涙を連想させた。
 エニーケ、克己、パトリシア、瑠璃、それぞれの足元にも様々な形のガラスが落ちていることに気づく。
 喜びや楽しみ、怒りや悲しみ、解釈次第だが、それらの形は心を孕んでいるように見えた。
 太陽は空高く上り、陽射しは暖かい。時間はもうお昼近くになっていた。
「さあ、帰りましょう――よかったらこの辺りを散策しながら」
「タケノコやワラビの美味しい時期ですわね。あとこの辺りにはやたら古墳が多くて……」
 鼻をむずむずさせつつも、近辺の情報を告げるエニーケ。
 微笑みを返しつつ、セレスティンは庭の一角を見遣る。
 そこでは、小さな柿の木の枝先に芽吹いた若葉が、黄色い陽光を反射していた。

作者:ほむらもやし 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年4月9日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
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