●虐殺指令
魔空回廊から姿を現したのは、濁った目が威圧感を湛えている妖精族であった。
大きなタールの翼で宙に浮く彼の後ろに、4体のヴァルキュリアが付き従っている。
「……良いか、貴様等。いよいよイグニス王子が地球侵攻を始められる」
そして、彼の前に居並ぶのは、12体のヴァルキュリア達。
「王子が地球へお出ましになる前祝いだ。人間どもを派手に殺せ!」
タールの翼の妖精――シャイターンが、彼女らへ高圧的な物言いで命じる。
「殺してグラビティ・チェインを奪い取るのは勿論、人間どもの血の海や肉塊の波で、イグニス王子の侵攻作戦の礎を築くのだ!」
「…………」
無言のまま、ヴァルキュリア達は翼を広げ、空へと飛び立った。
「そうだろうそうだろう、貴様らは逆らえまいよ……」
シャイターンは、彼女らの従順そうな様子を眺めて、酷薄な笑みを浮かべる。
「貴様等の支配権は、私がイグニス王子よりしかと賜っているのだからな……」
●
「城ヶ島のドラゴン勢力との戦いも佳境に入った中、エインヘリアルの方にも大きな動きがありましたよ」
小檻・かけら(サキュバスのヘリオライダー・en0031)が、静かに口を開いた。
「鎌倉防衛戦で失脚した第一王子ザイフリートの後任として、新たな王子が地球への侵攻を開始したらしいのであります……」
エインヘリアルは、ザイフリート配下であったヴァルキュリアをなんらかの方法で強制的に従えており、魔空回廊を利用して彼女らに人間達を虐殺させるという算段でグラビティ・チェインを得ようと画策している。
「ヴァルキュリアの指揮を直接執っている敵は、妖精8種族の一つシャイターンという名であります」
そう断じた後、作戦を説明するかけら。
「ケルベロスの皆さんには、都市内部で暴れるヴァルキュリアに対処しつつ、その一方でシャイターンを撃破して頂きたいのであります」
この場で話を聞いている面々に向かって欲しいのは、『東京都立川市』。
「皆さんには、シャイターンの確実な討伐を、宜しくお願いしますっ」
かけらが頭を下げた。
「シャイターンは、護衛として4体のヴァルキュリアを手元に置いてるでありますが、ヴァルキュリアの苦戦している戦場に対して、2体ずつ援軍を派遣するみたいでありますよ」
ヴァルキュリアと戦うケルベロスの状況にもよるが、最初の2体は3~5分後、次の2体は7~10分後に派遣される目安として考えて良い。
「故に今回は、援軍を派遣してシャイターンが手薄になった所を、襲撃する作戦となるであります」
指揮官であるシャイターンを撃破できれば、ヴァルキュリアと戦う仲間達が有利に戦闘を進められるだろう。
「護衛ヴァルキュリアが4体とも手元にいる状態、同市内の別戦場へ2体派遣した後、4体全部派遣してシャイターンのみの状態……どの時点で襲撃をかけるかは、皆さんにお任せするであります」
確実にシャイターンを撃破出来るような作戦を考えて欲しい。
「シャイターンは、ひとつだけ装備しているマインドリングのグラビティを用いて攻撃してくるようでありますが……他にも、炎らしきグラビティの使用が懸念されるであります」
炎のグラビティについては、詳細不明との事だ。
「また、他戦場へ援軍に向かう4体のヴァルキュリア達は、皆一様に妖精弓1張を装備して、そのグラビティで攻撃するでありますよ」
そう説明を締め括って、かけらは彼女なりに皆を激励する。
「強制的に従わされ、人間の虐殺を命じられているヴァルキュリアのためにも、元凶であるシャイターンを倒さなければなりません……皆さんのご武運をお祈りするであります!」
参加者 | |
---|---|
橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125) |
虚南・セラ(ファントムトリガー・e02267) |
大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082) |
アンドロメダ・オリュンポス(秘密結社オリュンポスの大幹部・e05110) |
ウル・ユーダリル(狩人・e06870) |
ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803) |
ルア・シルファリア(銀の砲撃士・e12220) |
立花・統(太正桜に浪漫と呪い・e18295) |
●
東京都立川市。
シャイターンと護衛のヴァルキュリア4体は、ヴァルキュリア12体の出撃後1分経ってもその場に留まっていた。
ケルベロス達は、全員物陰に潜んで、彼らの様子を伺っている。
「どれ、ちょっとシャイターンのところへ……」
途中、大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)が野次馬根性丸出しで作戦開始時刻より前にシャイターンへ近づこうとするも。
「大首領、フライングはいけません」
冷静なルア・シルファリア(銀の砲撃士・e12220)が、むんずと領の首根っこを掴んで制止した為、事なきを得た。
「困っている者に救いの手を差し伸べるのは、当然じゃないか」
悪の首魁にしては、妙に慈愛に満ちた言い訳でゴネる領だ。
さて、ヴァルキュリア達が飛び去って4分――同じ立川市内で戦闘開始したとコッペリアが電話を返してきてからは3分経った頃――徐にシャイターンがヴァルキュリア2体へ指示を出した。
「時間ね。みんな準備は良い?」
ずっと時刻を計っていた橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)が、仲間へ小声で伝えんとしたタイミングで、ヴァルキュリア2体が翼を広げ飛び去ったのである。
「ヴァルキュリア2体、増援に出撃しましたね」
すぐにアンドロメダ・オリュンポス(秘密結社オリュンポスの大幹部・e05110)が、アイズフォンを用いて同市内の4ヶ所の戦場にいるケルベロス達へと電話をかける。
1コールだけ鳴らす、それが敵の増援出撃の合図なのだ。
「これより、残るヴァルキュリアおよびシャイターンへの攻撃開始です」
そして恙なく連絡を終えれば、シャイターン達の前へと姿を現し、堂々と名乗りを上げた。
「罪のないヴァルキュリアたちを操り、大勢の人々に危害を加えようなどという悪行、この悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、アンドロメダが許しませんっ!」
――さあ、大首領様、我らにご命令を!
アンドロメダの呼びかけに応じ、啖呵を切る領。
「フハハハ……我が名は、悪の秘密結社オリュンポスが大首領! 今こそ我がオリュンポスの威光を高める時が来た!」
――シャイターンとやらには我が組織の糧となって貰うとしよう。
「承知しました!」
「了解です」
「ああ、わかった」
アンドロメダやルアに加えて、ウル・ユーダリル(狩人・e06870)も返事する。
「フハハハ……先ずは、シャイターンの手駒をこちらに加えるとしよう。従わせるとは……こうするのだ!!」
いかにも大物らしく一頻り高笑いした領は、まず狙いを護衛のヴァルキュリアへ定めた。
「さぁ、共に示そうではないか! 我がオリュンポスの威光を!!」
体内のグラビティ・チェインを暗黒のオーラに変えてヴァルキュリア達へ放射、洗脳の力があるオーラを纏わりつかせて、催眠状態に追い込んだのだ。
「流石です大首領様!」
アンドロメダは胸部を変形展開させると、発射口から必殺のエネルギー光線をぶっ放し、シャイターンへダメージを与えた。
「どうした人間ども、わざわざこの私に殺られに来たのかね?」
シャイターンは、確かに光線が命中したというのに涼しい顔で、ケルベロス達を挑発する。
「私の手駒に殺されるのが不満ならば、私が直々に命を奪ってやろう」
ヴァルキュリア達を道具としか見ていない言い草へ、真っ先に激昂したのは芍薬だ。
「はっ……! ヴァルキュリアを操って人間を虐殺させようなんて、とんだゲス野郎ねシャイターン」
肘から先を内蔵モーターでドリルのように回転させると、芍薬は身軽に飛びかかり、一気にシャイターンと距離を詰める。
「まあ、操られてるなら大元をぶっ飛ばせば良いわけか――地獄の底に叩きこんでやるわ!」
ゴリィッ!
威力を増した一撃がシャイターンの剥き出しになった腹を抉って、決して少なくないダメージを与えた。
テレビウムの九十九は、凶器を手にシャイターンへ突撃、ずぶりとぶっ刺して体力を削る。
「妖精8種族の面汚しが……すこし灸をすえてやらんとなぁ」
ウルも凛々しい物言いでシャイターンを非難した。
(「格好つけられるとこで 格好つけとかないとね」)
シャイターンへの怒り自体、勿論彼女の本心に違いなくとも、そのセリフ回しには多少の茶目っ気が発揮されていたようだ。
「君の敵はこちらじゃない。 ほら、君の隣にいるだろう?」
ウルは弓を引き絞り、グラビティの経絡で矢を射かけ、同士討ちを狙う。
ドスッ!
矢はヴァルキュリアの内1体へ突き刺さり、視覚、嗅覚、魔術的な感覚に至るまで、全てを突発的に狂わせた。
「ヴァルキュリアを束縛するシャイターン許すまじですね……背後にいるイグニス王子とかいうのも気になりますが」
一方、ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)は、丁寧な口調で打倒シャイターンの覚悟を語るや、先にヴァルキュリア達の前へと赴く。
「まずは目の前の不埒者を討伐し、ヴァルキュリアを解放するための一助となりましょう。螺旋忍者ガラム・マサラ、参ります!」
そして、巨乳をぷるんぷるん揺らしつつ、世界中のカレー力なる多種のスパイスをその場で集約、粉砕。
ポワッ――!
美味しそうな香りを目一杯振り撒く事で、ヴァルキュリア達の激しい空腹感を呼び覚まし、麻痺にも似た虚脱へと陥らせるのだった。
「……」
ヴァルキュリアの内1体は、シャイターンの洗脳に従うがまま氷を身に纏い突撃してくるも、ガラムのボクスドラゴンであるマンダーがルアを庇い、その身で槍を受けた。
そして、もう1体であるが、領やウル、ガラムの催眠へかける一念が効いたのか、何とシャイターンへ槍を向け、光宿りし強烈な一撃を見舞ったものだ。
「……鬱陶しい蝿どもが。私の手駒を惑乱させるとは小癪な真似を」
シャイターンは幾許かの怒りを滲ませて言い放つや、掌で幻砂蜃気楼を顕現させる。
「小細工には小細工で返すとしよう……」
ビュォオオオオオ……!
勢いよく渦巻く砂の嵐を解き放ち、前衛陣へ鋭い苦痛と幻覚作用をもたらした。
「無駄な戦いを避けるためにもシャイターンを倒し、ヴァルキュリアの解放を目指しましょう」
バシャァァッ!
そこで、ルアがすさかず薬液の雨を景気良く降らせて、彼らの体力を戻すと同時に、催眠状態をも解除してみせた。
美しい銀髪と見事な巨乳を持つレプリカントである彼女は、感情が希薄なせいか至極冷静な性格。
反面、スタイル抜群の肢体が際立つような露出の高い服を好んでいた。
もっとも、今は秘密結社の面々と揃いのオリュンポスコートを着ている。悪の秘密結社の絆は固いようだ。
「誰かを利用して甘い蜜を吸う……俺の一番嫌いなタイプだ……」
と、普段は滅多に見せぬ憤怒の表情で呟くのは、立花・統(太正桜に浪漫と呪い・e18295)。
黒髪を濡れ濡れと結い上げた剣術青年で、藤色の矢絣の着物に何故か女物の紅色の袴を穿いている。
「――――散!」
統は鋭くひと声叫ぶと共に、縛霊手の祭壇より紙兵をばら撒く。
頭上より降り注ぎし紙兵の加護か、前衛達の異常耐性が高まる。
「さて、他の方々がヴァルキュリアの説得を頑張っていた中、それをぶち壊すように現れた新たなデウスエクス……」
虚南・セラ(ファントムトリガー・e02267)は、愛用のSR-361 Third Moon Customを手に、至極平坦な表情でシャイターンを眺める。
艶のあるピンクの纏め髪と幼さの残る面差しを持ち、落ち着いた色のチュニックとロングのトレンチコートがよく似合うガンスリンガーだ。
「ザイフリートも気になりますが、まずこちらにはご退場いただきましょう、早急かつ確実に」
宣言通りに素早く弾丸をばら撒いて、ヴァルキュリア達の足止め役を担うセラ。
狙い澄ました正確な射撃で、彼女ら2体へしっかりとダメージを与えられたのも、スナイパーに不可欠な冷静沈着な性格故――かは定かでは無いが。
「それにしても8人中7人女性とは偏りましたね。いえ、やりやすくていいのですが」
等と、仲間へ向かって冗談を飛ばす可愛らしい一面もあるようだ。
「セラ、俺男だから」
統とてセラのような反応は慣れたもので、さらりとツッコむも。
「ぇ、男性? ……え?」
「…………」
どうやら、冗談でなく本気で彼を男と信じていたらしいセラへ不思議そうな目で見られて、視線を逸らした。
●
「ヴァルキュリアが悲しんでるのわかっててやってんの?」
芍薬の怒りは簡単に収まるはずもなく、熱エネルギーを集めた手が赤熱して、次第に輝きを増していく。
「エネルギー充填率……100%! いくわよ、インシネレイト!」
――ドンッ!
そのままシャイターンへ肉迫するや、芍薬は掌で触れた奴の体内へ全ての熱エネルギーを送り込み、身体の内側から爆砕せしめた。
「セラが憤慨するのも当然である! 私も悪の秘密結社的に、ヴァルキュリアを無理矢理従わせている事には、遺憾の意を表明する! 悪の秘密結社的に!」
領も怒りを露わにして、シャイターンへ飛びかかる。
星座の重力宿りし二振りの剣で、天地揺るがす超重力の十字斬りを見舞い、奴の胸をバッサリと斬り裂いた。
「目障りな……人間がここまで往生際の悪いものだったとはな」
胴を汚す血を忌々しげに見やって、シャイターンが舌打ちするのへ。
「眠り過ぎて耄碌したか? シャドウエルフが暗殺を司る種族だと忘れたか? こういう搦め手こそ我らが真骨頂よ、無様に踊れ」
ウルは存分に馬鹿にした言い様をキメて、小動物の姿に戻したファミリアロッドへ魔力を籠めるや撃ち出した。
ボコーーン!
決定打に思える威力で命中したファミリアシュートが、シャイターンに苦痛を味合わせると共に、星天十字撃による痺れの度合いも増やす。
「フェンネル、サフラン、ディル、コリアンダー、クミン、アニス、ジンジャー……全てのスパイスの力を此処に集結して、解き放つ!」
と、見切りを防ぐべく螺旋掌を挟みつつも、懸命に華麗忍法・粉塵爆破でヴァルキュリアの行動阻害へ専念するのはガラムだ。
「あら、あそこに本格インドカリー屋があるようですね。うわー、終わったら絶対行かなくちゃ!」
カレー専門店を発見するだけの余裕を見せつつも、しっかりとカレー力を粉砕、ヴァルキュリア達へ精神的ダメージをもたらすのだった。
「…………」
ヴァルキュリア達は、無言で血の涙を流したかと思うと、すぐにそんな事は忘れたかのような身のこなしで、氷に包まれた身体を宙に躍らせ、体当たりしてくる。
ドゴッ!
すぐさま九十九が芍薬の前、マンダーがルアの前へ仁王立ちして、彼女らの代わりに負傷した。凍傷が酷い。
「お前らの相手も飽きて来た。さっさと死ね、せいぜい無様にな」
シャイターンは口元を歪めて酷薄に笑うと、灼熱の炎塊を生み出す。
「炎が見えるわ、何か来るわよ気を付けて!」
芍薬が叫んだのと、統がシャイターンの前へ立ちはだかったのは、殆ど同時。
「させるかッッッ!!!」
シャイターンの掌より離れた炎塊は領へ届く事なく、済んでの処で統が受け切る。
ディフェンダー故ダメージを半減できたにも拘らず、今までの負傷が積み重なったせいか、ゴボッと血を吐く統。
「ぐっ、生憎まだまだ死ねなくてな……」
口元の血を拭う統の眼光は、炯々としていた。
「すぐに、回復します」
慌てる事なく芍薬へ声かけしたルアが、魔術切開とショック打撃を伴う緊急手術を統に施し、深手を見事治癒する。
「さあ、悪のシャイターンは、私達オリュンポスが許しませんっ!」
次いで、バスターライフルの照準を合わせるのはアンドロメダ。
ビシュッ!
魔法光線をぶち当てて、シャイターンへ極めて重い衝撃と威圧を加えた。
「セェェイ!!!」
統は、手刀を高速で振り抜き、風圧により生まれしカマイタチを飛ばす。
シャイターンの手足を空気の刃が幾度となく斬り裂いて、身体の自由をも奪った。
如何に催眠を重ねたとはいえ、半分以上はシャイターンの意のままに動くヴァルキュリア達はシャイターン同様に手強く、戦いは簡単には終わらない。
「冥土の土産、はあんたには勿体ないわね。とっとと地獄に堕ちろ!」
芍薬は倦む事なくスパイラルアームによる攻撃を続けたし。
「本格インドカリーを美味しく食べるためにも、シャイターンを綺麗にやっつけないとね!」
ガラムもカレーの為と奮起して気咬弾を見舞った。
「コア・ブラスターリミットカット……消し飛びなさい」
ルアは胸部に内臓されしコア・ブラスターの出力制限を一時的に解除、大幅に威力を上げた極大レーザービームを照射した。
ズォォォッ――!
巨岩を易々砕くとも言われる威力の光線が、シャイターンの腹へ風穴を開ける。
本人曰く、シャイターンのやり方と顔が気に入らないらしい。
セラも統もオリュンポスの面々も皆手を休めない。
「そろそろ締めと行きましょうか」
勝機が見えてもあくまで冷静な態度を崩さず、自身の周囲へ無数の光の玉を展開するのはセラ。
「輝ける光の弾丸よ、我らが前に立ち塞がりし敵を撃ち貫け……セイクリッドオンスロート!」
そして、SR-361 Third Moon Customのを引くのを合図に、眩い光輝放ちし群勢を、一斉に発射した。
カッ――!
光の群れはシャイターンへ吸い込まれるように全てが着弾、恒星の如き強い煌めきでもって奴の身体を苛み、終いにはその命を奪った。
「テメェら……絶対許さ、ねぇ……、……」
ギョロリと目をひん剥き、傲岸不遜な物言いすらかなぐり捨て、負け犬の遠吠えの如く呻いて死んでいくシャイターンこそ、無様である。
戦闘開始から数えて9分後、ケルベロス達はついに、ついにシャイターンを討ち倒したのだ。
「シャイターンの撃破、完了しました!」
すぐさまアンドロメダが他の4班へ2コール電話を鳴らす。シャイターン撃破の報せだ。
「さて……どうしますか?」
セラが残ったヴァルキュリアへ向き直ると、片方は槍を構えて戦闘の意志を見せたが。
「やめましょう、こんな戦いしちゃ駄目よ!」
もう片方は意識を取り戻したかの悲鳴をあげ、仲間へ組みついた。
シャイターンの洗脳が解けかかっているのでは、と看たルアが、懸命にヴァルキュリア達へ声をかける。
「あなた方は知っていますか? 八王子市郊外の多摩ニュータウンに、ザイフリートがいることを。彼は生きていますが、苦境に立たされているんですよ」
「急に俺達の所へ来いと言ってもどだい無理な話だろうが、ザイフリートならどうだ? 奴の元へ向かうなら止めないぞ」
統も隣人力を駆使して言葉を添える。
「…………」
時々は我に返るらしい2体のヴァルキュリアは、互いに互いを庇う風にして、ふらふらと空を飛び撤退して行った。
「では、これにて一件落着……と、行けばいいのですけどね」
心配そうに呟くセラであった。
作者:質種剰 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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