魔導神殿追撃戦~滅私奉公の理の下に

作者:寅杜柳

●稲妻より迅く
「アスガルド・ウォーの勝利おめでとう! エインヘリアルの大侵攻を未然に防げてよかったよかった!」
 先の戦いを乗り越えヘリポートに集まったケルベロス達を雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259)が笑顔で労う。
「さて、疲れも取れていない中悪いけど予知が引っかかった。英雄王シグムントの最期の足掻きで魔導神殿群ヴァルハラの制圧されていなかった宮殿を地上へと転移させたんだけど、そのうちの一つ『金牛宮ビルスキルニル』が残存兵力の軍勢を吸収して鎌倉市周辺に出現、鎌倉駅に向かって進軍を始めたんだ」
 鎌倉駅――エインヘリアルと関わりのある虹の城ビフレストの中枢、蒼のビフレストのある地だ。
「五年前の鎌倉奪還戦もあって市民の避難訓練が行き届いていたのが不幸中の幸い、何とか侵攻前に市民の避難は間に合っている。……金牛宮は周囲にグラビティの雷を降らせる能力を持っている。万が一市民が残っていたら大変なことになっただろうけどそれは今回考えなくて大丈夫だ」
 そして知香は作戦の説明に移る。
「今回は鎌倉駅に陣取っての迎撃戦となる。金牛宮は移動状態では牡牛の姿をとるが、その状態では止まる事すらできない――つまり目的地付近では必然的に宮殿の姿へと変形する、その間は雷を降らせることもできないから潜入には狙い目だ。もし先手を取られていれば対応も難しいものになっていただろうけど……今回はその隙を突いてこの金牛宮を強襲し、中の指揮官を速やかに撃破するのが今回の目標だよ」
 そう白熊のヘリオライダーは言い、資料を広げる。
「それでその減速地点は鎌倉駅、変形を開始したらヘリオンより降下、変形の際に肩の可動部から中に侵入できるからその間隙を縫ってリーゼリットの班と共に中に突入する形になる。当然ながら敵は強力で、地の利も基本は向こうにある。だが今回は精度の高い予知が得られていて、上手くルートを選び進行できれば十分目標達成はできるはずだよ」
 一枚の資料、金牛宮内部の大まかな地図を開いて道筋をを知香が示す。
「それでこのルートを通り抜けた先のこの大広間、二班で狙って貰う相手の名は近衛騎士団長バルデルス。数名の配下を傍につけている所を叩いてほしい」
 それで相手の能力についてだけど、と白熊は言葉を続ける。
「まずバルデルスだが……性質は自他共に認める英雄で、実力もそれに見合う程に強力だ。アスガルド・ウォーでも大空洞で精鋭を率いていただけあり指揮能力も高い。攻撃手段としては刀と背中の甲冑翼を使ったものがメインで、素早く翻弄してくるから注意が必要だろうね。部下の金牛兵は牡牛の甲冑を纏う兵士で膂力、スタミナともに優れた精強な兵達だ」
 いずれにせよ油断できる相手ではない、そう知香は言って渋い顔をする。
「……その上で場所が敵陣、あまり戦いが長引くと増援がやってくる可能性がある。予知の感じだと大体20分ぐらいは来ないと思うけど……とにかく、長引かせてもいい事はないから可能な限り速やかに叩いてほしい」
 そして知香は資料を閉じケルベロス達の目を見、確認する。
「一度破壊され復興した鎌倉市街が再び壊されるのは厳しいものがある。……けど、それでも生きてさえいればまたヒールして復興する事もできる、そのためにも金牛宮に集った残党達の撃破を頼む」
 そして知香は期待に満ちた目でケルベロス達を見、説明を締め括った。


参加者
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
セレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)

■リプレイ

●金牛宮内へ
 鎌倉駅に高速移動形態の金牛宮が迫る。
 それは停止の為に減速し変形を行う。そしてその瞬間、牡牛の肩へと上空からケルベロス達が降下する。
 その内の一人から三人へとビームが伸びて変形中の構造に巻き込まれぬよう牽引、微調整しながら内部へ続く隙間へと潜り込み潜入を果たした。
「どうにか侵入できたな」
 金牛宮内部に降り立った四人を結ぶビームを一旦解除しつつ、卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)が言い周囲を見渡す。
 非常に大きな造りの神殿だが、見た範囲では特に通行に支障はなさそうだ。もし必要ならばその時改めて牽引すればいいだろう。
 そして相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)の強化ゴーグル型デバイスには神殿内の人員の大まかな位置が映し出されている。
 八人が固まって動いているそれが合流予定の班、同じ場所への潜入は叶わなかったがそれでもデバイスとヘリオライダーの地図がある。
 合流を図るケルベロス達は静かに駆け出していく。
 寡兵に加え消音、隠密を意識し行動する彼らは上手く警戒を潜り抜け交戦を避け進む。
「……きっと、私達ケルベロスへの憎しみは深いでしょうね」
 速度を落とさぬ範囲で警戒しつつ、セレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)は呟く。
 彼女の考えるのは標的の敵将である近衛騎士団長バルデルスの事。彼の主である英雄王を討ったケルベロス達に抱く憎しみは如何程か――少なくとも、互いに手を取り合うには遅いだろう。
「ここで止めねば確実に被害が増えるでしょう……手遅れにはしたくないものです」
 そんなセレナに赤き龍人の据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)は言う。
 その通りなのだろう。既に叶わぬ夢であるならば人々を守る為に、そう心に定め乙女座の星辰を宿す白銀の騎士剣を握る手にセレナは力を込める。
「どうやらあっちは一回戦うみてえだ、早いとこ合流してえな……あ、ここは右だ。正面通路は先の方に兵がいる」
「そうですね。迂回しつつ先で合流するのが上善でしょう」
 デバイスで把握できる状況を仲間に告げる泰地に、スーパーGPSにより地図に浮かび上がった光点を見て赤煙が同意する。
(「全世界決戦体制が終わった直後を突くとは、油断ならん相手ですな」)
 思案しながら進む彼の足に纏わりつく雲――靴のデバイスの見た目もありそれはまるで雲に乗る龍のよう、床に足つけぬような静かさで進んでいく。もしも敵と接触した場合でも追跡も逃走もスムーズに行えるだろう。
「ん、ちょっと待ってくれ。……この少し先の十字路で合流できるないか連絡が来た」
 向こうの班からの思念通話。その申し出に否を言う者なく、彼らは金牛兵と交戦する事なく別班との合流に成功した。
 そして十二人の大所帯で進む中、泰地が進行方向にいる敵兵の存在を告げる。
「……迂回できねえ。押し切るしかない」
 赤煙も地図を確認し他のルートがないことを確認し彼に同意。
 別班の小型通信機型のデバイスを装着したグランドロンによる思念通話によりタイミングを合わせ――全員が一斉に動く。
 泰地の竜槌が変形し両腕を地獄化させたレプリカントと同時に砲撃を放てばケルベロス達が一斉に金牛兵へと殺到、仮面のメイドと青髪の青年の展開した銀の粒子が活性化させた感覚で炎纏いしライドキャリバーが突撃、さらに竜の砲弾が三発金牛の巨体に突き刺されば赤き人馬の一閃と影のエルフの刃が頑健なる鎧に罅を入れる。
 体勢を立て直す前に赤煙がウイルスカプセルを投擲、肩口に命中し弾けたそれに続くように老練のグランドロンが光線を放ち肩を穿てば、卓越した技量による歩法で懐に潜ったセレナが腹部へ、そして左腕の廃材より引き抜いたエクスカリバールを振りかぶった泰孝が頭部へと同時に致命打を叩き込んだ。
 完全に奇襲、屈強な金牛兵でも受けきれずその巨体は崩れ落ちた。
「しっかし今の所順調だなあ。占いは外れたか」
「悪い結果でしたが……このまま上手くいくといいのですけれど」
 降下前にいつものコイントス占いを行っていた泰孝。その結果はよろしくなかったけれども占いは占い。結果は覆せるものなのだから悲観はしないのが彼だ。
「まあもしこれからなんとかなるはずだぜ、セレっち」
「適当なあだ名は止めてください泰孝殿」
 泰孝の軽口にセレナはさらっと否定、そんなやり取りをしながら進むうちに、目的地である大広間が近づいてくる。
 セレナがアラームをセット、態勢を整えた二班のケルベロス達が大広間へと飛び込めば、その中央には六名の金牛の兵とその将の姿。
『むう、もうここまで……!』
 一人だけ意匠の違う装備を纏う彼こそが近衛騎士団長バルデルスだろう。
 只ならぬ殺意を向けるシャドウエルフの女が武器を構え、エインヘリアル達も武器を構える。
『ゆくぞ、ケルベロス……!』
 光翼を羽ばたかせるバルデルスが告げ、戦いの火蓋が切って落とされた。

●金牛兵と近衛騎士団長
「我が名はセレナ・アデュラリア! 同じ騎士として、戦いましょう!」
 背のジェットパックを起動し飛翔したセレナは真っ先に将の傍へと退いた金牛兵へと急降下しつつ加速、戦斧で固めた防御の隙を巧みに見切り、切り抜けるように騎士剣の一撃を見舞う。
 更に泰孝が牽引し赤煙と泰地を空へと引っ張りあげれば金牛の兵による攻撃は届かなくなる。
 赤煙の祝福の矢を受けた泰地の放ちし轟竜の砲弾が金牛の兵の重心の軸を見事に捉え、屈強なる兵をよろめかせ、重ねて泰孝が廃材の左腕より引き抜いたバールを打ち付ける。
『蹴散らせ。早く目の前のケルベロスを排除するのだ!』
 バルデルスの号令に応じ金牛の兵が攻めにかかるも、それは別班のケルベロス五人に食い止められる。
 こちらがその間に狙うは妨害手としての金牛兵二人。
「援護は任せろ!」
 泰地が吠え、青のガントレットを纏う左手に練り上げられた螺旋の気弾を放つ。
 命中したそれに連携する形で赤き龍人のオーラが収束し鍼の形を成し、
「気脈の流れはグラビティチェインの流れ……」
 言葉と共に放たれ、鎧の隙間から金牛兵の秘孔を突けば巨体に満ち満ちた力の流れが乱され力強さが目に見えて衰える。
 更に攻撃は重ねられるが、元々のタフさから中々撃破には至らない。
「どうした、飛び回る相手に飛び道具しか使えねーか? 一太刀で倒してみなよ、それともその鎧の羽っぽいのはやっぱ飾りで飛べねーのか?」
 そんな中、泰孝がバルデルスに挑発の言葉をかける、それに対する答えは翼からの閃光。
(「乗って来ねえか」)
 釣られる事を期待したのだが存外冷静なようだ。
「悪いな、ピン札に愛されちまってるようだ」
 切替え、泰孝が二枚の札を金牛兵に向け放つ。泰孝の持つ花札の束より引き抜かれた九、そして隠し持っていた一の札。無論イカサマであるがそのニ札は正しく親の総取りとばかりに金牛兵の生命力を泰孝へ転化させる。
 さらに赤煙の投擲したカプセルが黄金鎧のエインヘリアルをウイルスで侵せば、重ねて放たれた泰地の螺旋弾が金牛兵にクリーンヒット、耐えきれずに倒れ伏した。
 前衛を相手取っている別班も着々と倒している。このままいけばと考える中、バルデルスの光月の刃が泰地を斬り裂く。即座に泰地は気合を入れ治癒力を高めるが、刃による攻撃への耐性あってなお、傷は深い。
 決して侮れる相手ではない、そう気合を引き締めながら戦いは続く。
 剣撃と喧騒が広間に響く中、泰地の砲撃が金牛兵に命中。機と見た泰孝が一気に降下、釘を生やしたバールで強烈な一撃を叩き込みよろめかせ、
「アデュラリア流剣術、奥義――銀閃月!」
 連携したセレナが叫び、低空から床スレスレを弾丸のように加速、更に肉体に魔力を巡らせ限界まで高めた運動能力で力強く床を蹴り加速――その速度に金牛兵は対応しきれない。
 夜空の月を思わせる冴えに冴えた鋭い一閃が黄金の鎧を深々と斬り裂き、血華を咲かせ打倒す。
 それとほぼ同時に人馬が星座剣で金牛兵の一体を切り崩し、残るは二人。
 戦い方が荒い――そう赤煙は訝しむ。有利な地で増援を待たず今ここで倒し切ろうとするのは侮りか、追撃を不安に考えたか。
 そう考える内に後衛を焼く閃光が放たれ、泰地を蝕む火炎の害が看過できぬ程に強まる。赤煙が薬液の雨を降らせるが、飛行中の者含め人数が多く分散してしまい本来の目的の治療は思った効力を発揮できない。
 回復の手が回ってない事を受けて泰孝は気合を入れ直し、纏わりつく炎気を振りほどく。元々耐性を合わせていた上、攻撃に生命力を奪い取るものを織り交ぜていた事もあり彼の負傷はまだ軽度。
『その命、貰い受ける……!』
 息つく間もなくバルデルスがセレナに向かう。どこか焦りを感じさせる光月の軌跡が彼女を斬り裂かんとしたその瞬間、主たるメイドの呼びかけに応じし黒きライドキャリバーがガトリング掃射をしつつ庇いに入る。
 鋼鉄の硬さをものともせず深々と機体深くまで斬り裂いた一撃にライドキャリバーは消失。だが直後、泰孝の花札が最後に残った金牛兵から生命力を吸い尽くした。
 残るはバルデルスのみ。

●近衛騎士団長の奮戦、そして
 バルデルスがその光翼で身を固め負傷を癒す。しかし付随する耐性はセレナの重力込めし騎士剣の一撃と泰地の加護砕き宿す砲弾をはじめとした攻撃に霧散させられる。
 しかしここからのバルデルスの奮闘は凄まじいものとなる。
 恐ろしい加速から放たれた月の如き鋭い刃に護り手で奮戦していた人馬は深々と斬り裂かれ倒れ伏す。
 即座に赤煙のオーラの鍼がバルデルスに放たれ命中、その翼と刀に巡る魔力を乱す。たなびく雲の如き靴のデバイスの補助を受けた赤煙であるなら辛うじて命中させる事も可能。
 ただ解除される心配はほぼないが、敵の手数から赤煙がやや回復に手を割かれていた為にまだ威力を然程落とせてはいない。
 相手の元々の技量が高い上に速度に優れるキャスター、セレナが思念を集中させ爆発させんとするも、捉えきれず通り過ぎた後の空間を爆破してしまう。
 どうしても手数が限られてしまう中で健闘はしているものの、バルデルスの地力が凄まじく中々押し切ることはできない。
 泰地の体に幻影が纏わりつき傷を癒すけれども傷が重なってきている。
 それでも、ここで神殿を止めなければどれだけの被害が重なるか分からない。何としても作戦を成功させ喰い止めるとの強き意志の元、熱に蝕まれる苦痛を噛み殺して螺旋弾を気合と共にバルデルスに放ち命中させる。
 しかしその攻撃の瞬間を待っていたのか、バルデルスの光翼が輝き幾度目かの閃熱を放つ。蝕む熱に体力を奪われていた高熱纏う衝撃波に耐えきれず彼の頑健な体は弾き飛ばされ、壁に全身を強かに打ち付け倒れ伏してしまう。
 更に青髪の青年も切り伏せられ、反撃を切り払いながらバルデルスは恐ろしい速度で広間内を走り、飛翔する。
 その速度に追い縋るようにセレナが距離を詰め、ガードの隙間を縫うように白銀の一撃を喰らわせる。だがバルデルスは即座に距離を取り再び急旋回、雄叫びと共にその翼より閃光を放ち前衛を蝕むと、銀狼の少女と黒白の二つの輪を操るメイドが倒れてしまう。
 手数も減ってくる中攻撃を重ねるがクリーンヒットは悉く回避される。
 そして、突如バルデルスがセレナへと刀を構え突進。即座にセレナは銀閃月にて迎撃する。
「……私は人々を守る為、貴殿を倒します!」
 ――真っ向からぶつかり合う銀月と光月、二つの剣閃が交錯する瞬間、兜の下の目とセレナの目が合う。その眼差しに宿るのは焦燥と覚悟。
 その瞬間セレナは理解する。この近衛騎士団長はただ護るべきものの為に最善を尽くそうとしているだけなのだと。
 仕える王を失った近衛騎士、彼が守るのは王子。眼前のケルベロスの殲滅よりその身を擲ってまでの加勢を狙っているのだ。
 ここを通す訳にはいかない、通せば王子と交戦している班が壊滅の危機に晒される。
 赤煙のデバイスでの追跡は可能だろう、だが不慣れなこの宮殿を位置把握のデバイス効果も利かぬ状況で追い縋るのは恐らく困難。
 だが、この近衛騎士の一撃で最早セレナの意識は刈り取られる寸前、縋る事も出来ない。
(「ここから逃がさないで」)
 それだけを何とか念話で伝え、女騎士の意識は闇へと落ちた。
「セレっち! ……分かった!」
 視線から彼女の意図を察した泰孝は即座にバルデルスの退路を塞ぐようジェット噴射で加速、叫び気合いを入れ直す。
 だが一度包囲を突破したバルデルスは速い。このままでは回り込めない――その思考が頭を過った、その瞬間。
 飛翔した影のエルフ――その総身は炎上し暴走した彼女が炎を纏う両腕でバルデルスの背に掴みかかり、抵抗を無視しながら詠唱を開始、解き放つ。
 負の慟哭に苛まされ動きが止まったほんの短い間、ケルベロス達は体勢を立て直しつつ逃走阻止の為の布陣を立て直す。
 それと同時にアラームの音、セレナがセットしていたそれが示すは残り時間が残り少ない事。
 ここで決める。赤煙と泰孝が同時に動いた。
 四と一の札、そしてウイルスのカプセルがバルデルスに放たれ傷を与える。向こうの班も完全に攻撃に集中している。
 無数の攻撃が突き刺さり、それでもなおバルデルスは近衛騎士団長の意地からか、倒れない。
 なら倒れるまで攻撃するまで。赤煙は鎖刃唸る剣を、泰孝は釘を生やしたエクスカリバールを構え、飛び出す。
 バルデルスの鎧の劣化した部分を鎖刃の群が斬り開き、同時泰孝の振り被ったバールが兜へとデバイスの加速をも乗せ全力で叩き付けられその呪縛を一気に倍加。
 更に猛攻が次々に近衛騎士団長の体力を削り、そして狙い澄まし放たれたグランドロンの熱線が近衛騎士団長の胸を貫いて――光を失ったバルデルスの崩れ落ちる音と共に、戦いは終わった。

●そして、脱出へ
 暴走した影のエルフは全身から炎を吹き出しながら向かってくる金牛兵の気配に向け走り去る。
 半壊した現状で追える筈なく、ケルベロス達は現状を手早く確認する。
 何とか意識を取り戻した泰地が敵の位置を確認、別動隊の接近を告げる。
 敵地内でこの状況、迎撃は困難と即座に判断、深手で動けぬ者に応急処置を行い、レスキュードローンの助けを借り撤退を開始する。
 脱出前に、赤煙がバルデルスの遺体を振り返る。
(「主君を護れなかった近衛……私達も一つ間違えればこうなるのかも」)
「どうかしたのか? 据灸庵の旦那」
「何でもありませんよ。退散退散」
 泰孝の問いにとぼけるように答え、赤き龍人はデバイスの能力を発動する。
 ――心残りこそあるけれど、今は無事を祈るしかない。
 今は目的の達成だけを胸に、撤退するしかないのだ。

 そして十一人のケルベロスは、金牛宮脱出の為に大広間を飛び出したのであった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年1月4日
難度:やや難
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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