
分厚い雲に阻まれて、星も月も見えぬ夜。古びた漁船が一艘、岩がちな海岸に横たわっていた。
船底を波が叩く。
ときおり響く雷鳴とともに、艤装の朽ちたさまが稲光に浮かぶ。
やがて暗い海面が、波とは違ううねりをみせた。
うねりは渦となる。
その中央から、せり上がってくるものがあった。
漁船との対比では、高さ7、8m。痩せた人型をしていて、耳の位置から左右に伸びた角が、上にむかって直角に折れ曲がっている。
あたかも、角の先端が呼び寄せたかのように、ひときわ激しく落雷が起こった。
金属の骸骨といった姿。威容を誇る巨大ロボ。
ダモクレスの復活であった。
「また、海岸での戦闘になりそうですわね。先日は、ダモクレス技術も使われた謎の敵と遭遇しましたけれども、今度は7分間の制限時間付きの相手です」
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)はブリーフィングルームでの調査報告をして、あとを軽田・冬美(雨路出ヘリオライダー・en0247)に引き継ぐ。
白いポンチョ型レインコート姿で、冬美は集まったケルベロスの前に立った。
「こんな場所にまで、巨大ロボ型が封印されていたなんてねぇ」
復活から7分経つと、魔空回廊が開いて撤退してしまう。
ジュモー最終決戦の際には、ダモクレス軍団の威力を見せつけられた。復活回収によって手勢を増やされるわけにはいかない。
制限時間内に撃破するのだ。
「このダモクレスの武器は、電気ショック波。角と指先から周囲にそれを放出し、浴びたものは通電によって、痺れてしまう。つまり、電撃ダモクレスというわけね。服なんか、ビリビリよぉ」
ポンチョを掴んで細かく振動させる冬美。
痺れるのか、破れるのか。ともかく、自分でビリビリにしかねない勢いだ。
1度だけフルパワーの攻撃を、ダモクレス自身にもダメージを負いながら行う。効果は同じだが、まさに必殺パワーの威力があるらしい。
レイファの報告によれば、現場周辺は人が寄り付くような場所ではない。冬美も、ケルベロスの姿をみた敵は戦闘しようとするのだと伝えた。つまり、電撃ダモクレスを放置しないかぎり、一般人に被害がでる心配はない。
一行は、ヘリポートに移動する。
ヘリオンの現場到着とともに、例の出現の渦が起こるから、その時点から攻撃可能とのことだった。
「制限時間には気を付けてねぇ。レッツゴー! ケルベロス!」
参加者 | |
---|---|
![]() ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773) |
![]() パトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793) |
![]() 峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366) |
![]() レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524) |
●鋼鉄に薄着
夜の断崖を、岩場から岩場へと、跳ぶ。
ケルベロスコートがバタバタとなびいた。
「始まってます」
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)は、急ぎその上着を脱いで、ボンデージ衣装となる。
「うん。渦が起こってるけど、間に合ったんじゃないかな?」
黒ビキニのトップスが、大きく隆起している。峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)は、羽織ったコートの前をはだけさせていた。
波の打ちよせるところまで、いったん降りると、パトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)がジェットパックからの牽引ビームで、4人をつなぐ。
「みんなで海上に出て、トットとシマイにするデス」
水着のヒモしかないような格好だ。
浮きかけに、ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)も、上着を岩場に放った。
「絶望には希望を~、闇のものには光を~♪」
稲妻に、白くレオタードが浮かびあがる。
鋼鉄の敵を相手するには、頼りなさげな出で立ちの彼女らであったが、ミスラの『憐れみの賛歌(キリエ・エレイソン)』が響くかぎり、全員に加護を与えるのだ。
いよいよ、渦の中から身長7mがせり上がってきた。
四方から囲むように布陣したケルベロスは、先制にグラビティをぶつけていく。
時間に猶予はない。
レイファのタイマーが、一分ごとを刻みはじめた。
「電気を使う巨大ロボですか……相手にとって不足はありませんね」
ダモクレスは断崖に向けて歩む。
復活直後で、補給をしたいのであろう。そう思った瞬間、歪曲した角に落雷があった。
放電が、レイファたちに反射されてくる。
「んほぉ!」
歯を食いしばって耐えようとも、ヘンな声がでた。
絶縁しそうなボンデージであっても、バリバリと振動している。
Sカップの黒ビキニは揺れに揺れ、恵の年齢に見合わぬ谷間が、押し出されてくる。
パトリシアの身体に巻かれたヒモ類はよく耐えた。
もとから、隠す役には立っていないが。
レオタードの色は、正確にはピンク。薄地のせいで白く見え、いまでは電撃で青い。
こちらも、Tバックにハイレグと、ヒモ並みだ。
だが、パトリシアが要所に、水着とは別にガードするパーツを貼っているのと違って、ミスラのヒモは、埋められた機械を固定していた。
ダモクレスの攻撃が、その電圧を上げたのか、ナカへの動きは激しい。
恵の黒ブラは、振動と弾力に負けて金具が壊れ、暗い海面にハラリと堕ちていった。
「服破り範囲攻撃特化ってふざけてるようで、他の攻撃役とセットで出てくるとかなり厄介そう……」
コートの前は、閉じ合わせきらない。
膨らみを揺すって恵は、単騎の敵を撃破する、残り6分に集中した。
●ダモクレス封じ
電撃ダモクレスが波を蹴立てて進むなか、パトリシアはあえて正面にまわった。
鋼のアバラ骨に掌を当てる。
なおも歩を進めてくる巨体とのあいだに、非物質的な盾が浮かぶ。
恵が、呼応した光を、マインドリングに帯びている。
「パトリシアさん、服のピンチを忘れちゃダメだよ!」
「服がピンチ?」
サキュバスは、同族に視線を投げ返したが、ふふんと笑った。
「模範生の香蓮を見なさい! そしてワタシをミナサイ! いつだってピンチ!」
隠れてない服を誇り、掌を敵に伸ばしたまま。
「ピンチはチャンス!」
螺旋を送り込む。幅数mの胸部に火花が散った。
これには、ダモクレスも上陸を諦めたらしい。ひざ下を潮に浸からせたまま、棒立ちとなる。
「でも、見せる相手がイナイ! こうなったら、ボテくり回すゾ!!!!」
よく判らない理由で激高すると、パトリシアは大成就他化と大満足歓喜の自在天。すなわち、二本のヌンチャク如意棒を振り回した。
我が身かまわず戦う仲間の姿に、レイファは胸を高鳴らせる。
バスターライフルからフロストレーザーを撃ちながらも、身体は熱い。
「私だって電気責めくらいぃ、耐えりゅぅ!」
戦いというよりも、女性の裸に感じいっている。
見るのも、見られるのも。
裂けたボンデージの切れ目から、ビンビンの突起がのぞいた。
「何てことぉ! ひぎぃい!」
それぞれから、白と黄色を噴き出す。
頭をカクンと後ろにのけぞらせた。
本人が絶頂を迎えて色々と緩んでいても、ファミリアロッドが戦闘を続行させる。
ロッドは小動物に戻り、敵の受けているプレッシャーや武器封じを、その魔力で倍化させていった。
恵はミスラにも、マインドシールドを与える。
「やっぱり、復活ダモクレス程度じゃ、みんなたいしたピンチに感じないのかな?」
「フフ。それは言い過ぎだ。私だって、一張羅を台無しにされたくなくて、仕方なく」
などと、破けても支障のないよう、レオタードになったと主張しても。
着たくて着ているスケベ衣装なのは、誰もが知るところ。
「あんっ……♪」
股の機械は、グチュグチュとシェイクしている。
ブラックスライムの『CODE≪Gleipnir≫』が、ミスラに代わって、敵を拘束していた。
残り3分。
黒い液体が呑もうとしている右腕をなんとか持ち上げ、電撃ダモクレスはフルパワーのショック波を放った。
しかし、指先がバチっとスパークしただけの不発に終わる。
それほどまでに、ケルベロス側の封じ込めは徹底していたのだった。
●雷光
フルパワー攻撃を使ってしまった以上、復活ダモクレスには反動があるはずだ。
実際、電気的な焦げた匂いを、各部から立ち昇らせていた。
「特大攻撃に耐えられれば後は出し惜しみナシ!」
パトリシアは、『ミサイルヒット・PM(サイコマスター)』に構えた。
ミサイルとついてはいるが、飛び道具の火器ではない。
全身をグラビティによる念動力で意のままに動かし、肉体の限界を超えた精度と速度で対象に行う打撃である。
要所のカバーも壊れ、身一つで拳を握る。
ミスラは、二振りの喰霊刀、『虚空ノ双牙』の陽と陰を抜いている。
「出すには、ギャラリーが居なくて、少し残念ですけれど」
バイブレーションは抜かぬまま。
「そうネ。……羞恥も興奮もないストリーキングなんて空しいワ」
ふたりは、敵までの空間を、いっきに駆け抜けた。
脱落者もなしに、ここまで耐えきったものの、転移させては作戦の意味がない。
最後のシールドをレイファまで浮遊させると、恵はダモクレスの頭上をとる。
靴先で理力が、オーラとなった。
レイファは、防御を任せてくれて、バスターライフルにしがみつくような姿勢だ。
「ふぐぅ、いいぃ……!」
押しつけられた乳房からまた、ピュッと噴き出した白さが、結晶化して宙を漂ってくる。
「ボクからの贈り物だよ。デウスエクスにはもったいないけどね!」
結晶に重ねて星形のオーラを蹴り込んだ。
黒のボトムスも脱げて、ケルベロスコートの中身は裸身となった。
星をくらったほうも無防備にされる。
金属骨格にヒビが走り、回路や装置の位置が露呈した。
恵のフォーチュンスターでできた弱点を、レイファがフロストレーザーに撃ち抜いていく。
正確な射撃、と思えるが、狙いをつけているのは、紫髪のツインテールにのっかった、小動物にも見える。
チョロロロ……。
湯気とともに、内股をつたう液体は、海面へと降りかかることだろう。
巨人を支えていた両脚は、波を巻き込んで凍結してきた。
それでも、タイムリミットまで残り1分。
ミスラは斬撃に加えて、ブラックスライムも放つ。鋼鉄への切れ味に、不安が出てきた。
その一方で、パトリシアは連打を繰り返す。
突けばシャフトがへし折れ、ほじればシリンダーからオイルがこぼれる。
もはや、最大威力の技に賭けるしかない。
「間に合って! 間に合え!」
ヒモ水着がズレまくろうとも、拳で耕した装甲。
ダモクレスの内部から、雷光がひらめく。
魂が抜け出たような放電があって、7mの骸骨はくずおれていった。
「昇天させて……ヤッタゼ」
●海を流れる
電撃ダモクレスの回収を阻止したのなら、作戦は終了だ。
その合図を送ったことで、デバイスはエネルギー消費を抑えるため、すぐに解除された。
いささか、際どい決着に疲労があったのか。
ケルベロスたちは脱力したまま落下し、ドボン、ドボンと海に沈む。
「レイファさん、大丈夫なの?」
恵は、漂う仲間の元まで水をかいて、その背に抱きついた。
Sカップの感触に、反応がかえってくる。
肩をすくめたような、縮こまった姿勢は崩さないものの、どうやら無事らしい。
海面に顔を出した、パトリシアとミスラは、互いを見あった。
「岩場のカタチが、判りマスカ?」
「はい。潮に流されていますね、私たち」
さりとて、彼らの強靭さにとって、どうということもない。
休憩がてら、しばらくプカプカ浮いていくことにした。
垂れこめていた暗雲も風に飛ばされ、合間に星さえのぞくようになる。
突かず離れずの陸地は、岩場から砂浜に代わっていった。
背後にも、灯りのついた建物が確認できる。
「現場は人気のない場所デシタガ、そろそろ一般人がいても不思議はアリマセン」
「調査したレイファなら、地形がわかるかもしれないけれど……」
ミスラが辺りに視線を巡らせると、まだ恵に抱きかかえられていた。
パトリシアのほうへ顔を戻すと、いたずらっぽく表情を崩す。
「ストリーキングでもして帰る?」
「ギャラリーがイレバナ♪」
呑気に笑った。
あるいは、冷えた身体を温めてくれる人を、誘ってもいい。
傷や疲れが癒えないのではなく、レイファは、体の疼きが止まらないのだった。
股間まで伸ばした指が、ずっと弄っている。
「はぐぅ、ひん!」
「あんなデウスエクスの電撃でも、良いことあるんだな」
恵も承知のこと。背に柔らかさを擦りつけ、お手伝いしていた。
「こんなにも気持ちよくさせちゃうなんて」
「あぶぅ、あああ!」
何度かの絶頂。
そして、海への放流を、いっしょに感じていた。
作者:大丁 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2020年11月25日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
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