宵風を縫う

作者:崎田航輝

 穏やかな秋の日。
 長閑な市街の一角の、とある一戸建ての駐車場に電気自動車があった。
 玄関傍のスペースに綺麗に収まっているそれは、流線の優美なデザインをしている。
 旧いモデル、とは言え今でも目を惹くけれど──同時にそれは、歩んできた年季を否定できないものでもあった。
 整備はされて、未だ十二分に現役だろう。だが塗装を直した跡は僅かに残り、凹みを修理したであろう形跡も完全には消えてはない。
 最新のフラッグシップも、いずれ古くなる。それは確かに、見る人が見れば“買い替え時”なのかもしれなかった。
 開いた家の窓からは、日々繰り返されているであろう、新しい車を買う話が響いてくる。
 ──家族も増えるならもう少し大きい方がいいよね。
 ──どうせなら色も変えようか。
 それは大きな買い物に伴うわくわくとした声音。長い時を見据えた夫婦の、ごく当たり障りのない会話。
 或いは遠からず、この車はここからいなくなるのかもしれない。
 ただ、その後何かの下見にでも行くのだろうか、夫婦が揃って家から出ていくと──その暫しの後。
 宵闇の帳も降り始める頃に、静かに座していた車へと空から何かが降ってきた。
 それは金属粉のような鈍く光る攻性植物の胞子。ふわふわと舞い降りるようにして車体の内部へ入り込んでゆく。
 そうして取りつかれた車は──ちかり、ちかり。
 ヘッドライトを明滅させた。
 次には僅かに鳴動したかと思うと、ホイールから茨の棘を生やして地を咬んで。
 瞬間、猛加速。まるで何かを訴えるかのように、眩くテールランプの光の尾を引きながら──柵を突き破って飛び出した。

「集まって頂いて、ありがとうございます」
 秋風の吹くヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
「本日はダモクレスの出現が予知されました」
 曰く、とある家の駐車場にあった電気自動車が変化してしまうのだという。
「このダモクレスには攻性植物の特徴があるようです」
 ダモクレス化した原因は、金属粉のような胞子に憑依されたのが原因であるようだが──何にせよ、このままでは人々が危機に晒されるだろう。
 そうなる前に撃破をお願いします、と言った。
「戦場は道路となります」
 ダモクレスは家の敷地を飛び出して道に出る。そのまま進んだ先に広めの道路があるのだが、こちらはそこで待ち伏せることになるだろうと言った。
 この車がダモクレスとなることは覆すことはできないが、警察の協力で事前に人払いや交通規制は行われる。こちらは道路の中央に陣取って迎撃することが出来ると言った。
「敵は一度こちらを脅威と見なせば、逃げることなく戦ってくるでしょう」
 広い道を活かして攻撃をしてくるので、警戒をもってあたって下さいねと言った。
「永らく人と共にあった車のようですが……だからこそ、それが人を傷つけてしまう前に。撃破をお願いしますね」


参加者
カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)
ヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・e62872)
肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)
九重院・飛鳥(鬼の姫・e86255)
オズ・スティンソン(嘯く蛇・e86471)
リサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488)

■リプレイ

●夜道
 遠い街明かりと、交通規制によって設置された投光器。
 夜闇の中に光が瞬く、その道路の只中へとオズ・スティンソン(嘯く蛇・e86471)は舞い降りていた。
「こういう場所に来るのは、何だか新鮮な気分だね」
 広い道の中心は普段は止まることのない場所だから。
 そうでなくともオズにとっては少々縁遠い眺めでもあろうか。続いてひらりと着地した佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)が視線を向ける。
「オズさんって、車とか持っているのかしら?」
「いいや。脚を使うのは、慣れていなくてね。運転免許は取れる歳なのだけれど……」
 オズはゆるりと首を振る。
「服も新しく買わなきゃいけないし、そう思うと大変かな。とても便利な乗り物だとは思っているけれど」
 その言葉になるほどとレイは頷いていた。
 レイ自身にはまだ先の話だけれど。大きな買い物だとは勿論判っているから、難しいものなのねと納得する気持ちだった。
 もし何かの拍子にオズが購入でもすれば一緒に乗せてもらおうかと、そんなことも想像したりしたけれど──。
 ふとそこに、タイヤが地を咬む音が響く。
 ガソリンの燃焼に依らない、風のような走行音。直後に遠方から、光を鈍く反射するボディで現れたそれは──。
「電気自動車か」
 ヘッドライトの眩しさに目を細め、カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)はその姿を確認していた。
 一見すると車そのものと違わぬ──ダモクレス。
「これまた大きな物がダモクレス化したものだね」
「うん。それにあの、攻性植物の特徴……」
 ヴァイスハイト・エーレンフリート(死を恐れぬ魔術師・e62872)は空色の瞳で確かにそれを捉えている。
 ホイールから生える無数の茨。
 それはただのダモクレスというにはあまりに植物的で。
「……ドラゴンの時といい手を出し過ぎたね。キミは」
 ヴァイスハイトは仄かにだけ吐息を零し──視線に戦意を滲ませた。
「さぁ、僕。あの頃を思い出して、死を恐れぬ魔術師の力を披露しようではないか!」
 ゆらりとジャケットを揺らし、湛える魔力は目映くも濃密に。ばら撒く紙兵に光を巡らせ、皆へ輝く防護を与えていた。
 同時、足元に煌々と蒼の光を明滅させるのがリサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488)。
 下方へ翳した手を直上へ上げると、煌めく属性の力が光柱となって自身を覆い──強固な守りを齎していく。
「これで戦いの態勢は整ったわ。後は──」
「任せて。先手は譲らない」
 残滓を戦いの狼煙にして、カシスが翼で低空を翔けていた。
 ダモクレスはランプを点滅させながら加速を始めようとしている、が。
「月の弧を描く斬撃で、その動きを止めてあげるよ」
 カシスが一瞬疾く、飛び抜けながら蒼い斬撃を奔らせて。月を象るようにタイヤの一端を斬り裂いていた。
「皆も攻撃を」
「ええ、始めますわよ」
 夜風の中にも嫋やかに、艶のある声音を響かせるのはカトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)。
「力を借りますわ」
 言いながら優美な刀を抜くと、光の中に喚んだのは一人の残霊。その姿と共に走り出したカトレアは、無数の斬閃を繰り出して薔薇を象ってゆく。
 ──『バーテクルローズ』。
 連ねた剣撃の最後に一突きを加えれば──花弁が舞うかの如き爆破が車体を包んだ。
 ダモクレスはそれでも、煙の中を突っ切ってくる。まるで何かを訴えるかのように、分離帯をも乱暴に破壊しながら。
「こらー、お別れだからって暴走しちゃダメでしょ! 中古って悪い印象が目立つけど、立派な需要なんだからねっ」
 レイは腕をぶんぶん振るって見せている。
 けれどダモクレスは止まらず、鋭いライトがこちらに向くから……レイはうぅっと言葉を止めた。
 怯んでは駄目と判っていても、車が迫るとなればやはり迫力は否めない。
「こういうのは任せたわディフェンダーさん!」
 素早く飛び退くと、応じてオズが前面へ。扇で薙ぎながら、翼猫のトトと共に突撃してくる敵の衝撃を減じさせていた。
 そのまま、レイの健常を問う視線に頷きを返すと──寓話語り『勇者よ奮い立て』。終わらぬ戦いの物語を紡いで自身を含む前衛を癒やす。
「僕も助力させて頂きますね」
 と、背中に背負った太刀を抜くのは肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)。
「皆さんの苦痛を、すぐに祓って見せますから」
 握った柄に意識を集中させると、空から星灯りを降ろして。星座を為すその光で加護を為し、前衛を守りながら体力を保っていた。
「こちらは問題ありません」
「それなら──攻めに回るわ」
 鬼灯の声に頷き、九重院・飛鳥(鬼の姫・e86255)も白木鞘から太刀を引き出していた。
 ダモクレスは再度の加速を目論み間合いを取る。けれどそこを逃さず、飛鳥は刃を振り上げて──。
「させないわ」
 この刃の雨を浴びなさい、と。
 振り下ろす一閃から生み出すのは無数の斬撃の雨。
 立ち居は凛然と、けれど威力は激しく鋭く。降り注がせたその鋭利な衝撃が金属音を上げて車体を穿ってゆく。

●闘争
 微かな煙が夜空へ昇ってゆく。
 ダモクレスは僅かに破損を進めた状態で、後退していた。
 車体には無数の傷。とはいえ──戦いのダメージを抜きにしても、その車体は年季による旧さを隠せてはいない。
 だからこの車が本来辿る運命は必然だったのだろうと、カトレアは思った。
「流石に長年同じものに乗っていると、買い替えたくもありますわよね」
「……そうね。長年を経たからこそ、やっぱり新品の物には性能は劣るのだろうし」
 リサも声を返す。
 仕方のないことだけれど──それでもあの車が不要のものとして扱われることに、どこか物悲しいものも覚えながら。
 鬼灯も気持ちは同じだった。
 それが地獄化した心から浮かび上がるものなのかは判らないけれど。車体に凹みを修理した形跡が目に映るから──。
(「……大事に、されていたのでしょうね」)
 素直な思いが湧き上がる。
 それでも皆が戦意を見せれば──飛鳥もまた握る刃を下げはしない。
「何であれ。害をなす敵であるならば、倒すべきね」
 故に迷いなく、刀身に焔を抱いて直走っていた。その瞳には、それが敵であるという以上の感情は浮かんでいない。
 けれど──それはただ慈悲に欠けている訳ではないのだろう。
 戦うべき相手に情けや哀れみを向けることは判断を鈍らせる。何より倒すべき相手をそんな目で見たくない。
 内奥にあるのはきっと、そんな本音。冷たさというよりも、長らく戦いと共に生きてきた者としての姿勢。
 だからこそ、刃は清冽な程に研ぎ澄まされて。灼熱を宿された一閃がダモクレスへと燃ゆる痕を焼き付けていた。
 ならば鬼灯も後に続くよう、雷光を纏った刺突で動きを鈍らせる。
 それでもダモクレスは止まらずに、敵意のライトを瞬かす。それにヴァイスハイトは、ほう、と声を零して。
「あくまでも僕たちの邪魔……するんだ? そうは、させないッ!!」
 腕を真っ直ぐに伸ばす。
 瞬間、飛翔するビハインド──テスタメントが刃を振るって車体を金縛りにしていた。
 ヴァイスハイト自身は手元に紅と黒の『破錠せし2丁の魔銃』を召喚。銃口の先に魔法陣を展開している。
 狙いとその瞳で、敵の先の先まで見据えるように。
「魔女と呼ぶ存在ならば、魔術師としてこの戦いを楽しませて貰おう。では、死を恐怖と……知れ!!」
 刹那、紫のオーラに煌めく銃弾を発射。弾ける衝撃で内部から破損を進めた。
 異音を零しながらも、ダモクレスは茨で地を穿ち突進する。だが鬼灯に車体が迫るその瞬間──飛鳥が面前に滑り込んでいた。
 それは単なる戦略だけではなくて。
 今度は自分が助けるのだという、想いが突き動かしたもの。
 重い衝撃を庇い受けた飛鳥は、その痛みに微かにふらつく。
「大丈夫、ですか──?」
「ええ。心配ないわ」
 鬼灯に飛鳥が応えれば、直後にはリサが夜空を映した螺子から星の光を立ち昇らせる。
「すぐに治すから、待っていてね」
 光量を増していくその輝きは、いつしか飛鳥の全身を包んでいて──。
「自然を巡る属性の力よ、仲間を護る盾となりなさい!」
 リサの求めに応ずるように、体に宿った魔力が防護を成して。苦痛を内から和らげるように癒やしを与えていく。
「これであと少しよ」
「じゃあ、僕がやっておくね」
 オズもまた腕から黄金に煌めく魔法力を揺蕩わせていた。
 掌に収束させたその力を、触れるようにして注ぎ込めば──温かな感覚と共に傷が消え去っていった。
 その間にもレイは敵を見据えている。
「ダモクレスの機械技術と攻性植物の生命力……実力は新品以上ってとこかしら」
 それが仮にデウスエクスでないとしても、人の身には巨大な凶器でしかない。
 それでも車であるが故に、対抗策はあるのだ、と。ダモクレスが走り出した瞬間、レイは星のオーラを飛ばし──道路へ氷気をぶつけていた。
「ふっふーん。路面凍結注意よー♪」
 タイヤまでもを凍らされたダモクレスは、甲高い音を上げてスリップ。
 そこへひらりとカトレアが跳んでいる。紅のドレスを優雅に靡かせ、握る刀を中段へ引き絞って。
「その状態で、この月光の様に華麗な刀捌きを見切れますか?」
 降り立つと共に弧状の斬撃。車体を斜めに深く抉って動力にも傷を刻むと、そのまま間を開けずに飛び退いていく。
 そこへ飛来するのがカシスだ。
 車が飛べぬ高空から、錐揉みの軌道で一息に距離を詰めるように。翼を開いて降下しながら素早く体を回転させて──。
「この飛び蹴りも、見切れないよね」
 言葉に違わず、振り下ろした脚でダモクレスを強烈に捕らえる。直上からの衝撃に車体は大きく抉られ、沈み込み──烈しい火花を上げていた。

●宵風
 夜の中に、機械がショートした光が激しく明滅する。
 破片を周りに零しながら、ダモクレスは挙動を如実に鈍らせていた。
 半壊を越え、既に活動を止めるまでのいとまもない状態。それでも回転数を無理矢理に引き上げて速度に乗ってくるが──。
「最後までやるつもりなら、こちらも同じだよ」
 カシスは退かずに正面から対峙する。
 そのまま伸ばした手から、空間に生み出すのはエナジーの欠片。
「さぁ、断罪の時間だよ」
 ──無数の刃の嵐を受けよ!
 瞬間、呼びかけに応えてその全てが形を変え、鋭利なる剣を成す。『断罪の千剣』──嵐の如く飛び交うそれが幾重にも車体を斬り裂いていた。
「皆も畳み掛けて」
「勿論ですわ」
 薔薇色の髪をさらりと靡かせて、それに続くのがカトレア。側方に宙返りするように、美しい跳躍を見せると──。
「その傷口を、更に広げてあげますわよ!」
 着地と共に鎌鼬の如き連閃。斬撃を十重二十重に踊らせてボディを裁断してゆく。
 削られた車体のまま、ダモクレスはそれでもライトにエネルギーを注いで物理的な威力を伴う閃光を発した。
 焼け付くような痛みを運ぶ、故にリサはそれを捨て置かない。
「大丈夫よ、落ち着いていれば安心だからね」
 皆へ言葉を伝えながら、翼を仄かに揺蕩わせ──生み出すのは同じ青色に色付いた癒やしの風だった。
 痛みも眩すぎる光も、全てを流してしまうように治癒すれば皆は万全。ならばとオズは攻勢に廻って宙へと飛び立っていた。
 ダモクレスは下がろうとするが、壊れた躰ではそれもままならず。直後にはオズが流麗な流線を描き、オーラに輝く尾撃を打ち込んでゆく。
 衝撃に滑って角度をずらしたダモクレス。側面に顕になったそのタイヤを目がけて、レイは銃口を向けていた。
「これで動けなくしてあげるからね!」
 アスファルトの景色に銃声を反響させて、連射。狙い違わずタイヤを撃ち抜き、乾いた音と共に破裂させてゆく。
 生まれた隙に鬼灯は走り出す。
 今度は敵に攻撃の機会を与えぬ内にと、飛鳥へ視線を送って。
「行きましょう」
「──ええ」
 その心に応えたくて、飛鳥も頷いて。はらりと舞う花吹雪を顕現しながら一刀、飛翔する斬撃をダモクレスへ加えていた。
 そこへ鬼灯も重ねるように『気合一閃』。刃にグラビティを纏わせて、渾身の一閃で車体の半身を斬り裂く。
 命を得た車が、死の淵に立つ。
 ヴァイスハイトはそこへ魔力を収束していた。
「哀れとは思わない、けど……ごめんなさい」
 呟いて、後は躊躇わず。炸裂する衝撃でダモクレスの命を打ち砕いた。

「終わったわね」
 秋風の吹き抜ける、静かな平穏が戻ってくる。その中でリサは呟いて周囲をぐるりと見回していた。
 建物に大きな被害はない。
 ただ、戦場となった道路は大きく抉れていて闘争の名残を見せていた。
 カシスはそこへ歩んでゆく。
「随分自動車も暴れたものだね。ヒールで修復しておかないと」
「ええ。道路は皆のものですものね」
 と、カトレアも頷いて作業に加わっていた。
 皆もまた助力すれば……少しの後には、道は均されたように綺麗に戻り。戦いの痕すら判別できないほどの眺めとなっている。
 ほっと一息をついた鬼灯は、飛鳥へ目を向けた。
「先程、守ってくれてありがとうございました」
「……ええ。その」
 飛鳥はほんの少しだけ迷ったように応えている。
「力になれて良かったわ。恩を、返したかったから」
 自分はこの人に報いたかったのだ、と。飛鳥は思いながら、自身の中に不思議な気持ちの芽生えを感じていた。
 その瞳に滲むのはきっと好意の感情だったろう。
 ただ飛鳥にはまだ自覚が無くて。鬼灯はその幾ばくかには気づいていたけれど──単なる好意以上のものがその奥にあるのだと、今は感じ取る事が出来なくて。
 ただ丁寧に、頭を下げて言葉に返事をしていた。

 ダモクレスは僅かな欠片だけを残して消滅した。
 だからヴァイスハイトは帰ってきた夫婦へと、謝罪を行った。
「大切な思い出の品をごめんね」
 夫婦はそれに対し責めたりはせず、ただ深く礼を述べる。それから少しだけ戦場だった方向を見やって、悼むような表情を見せていた。
 ヴァイスハイトは、お二方の様な人達を出さないように頑張るから、と伝えて二人を家まで送ってゆく。
 見送りながら、オズは道路へ視線を戻した。
「車、か……」
「オズさん、もしかして興味持ったの?」
 レイの言葉にオズは頷く。
 改めて真正面から対峙して、それはオズの中で単なる『乗り物』から『最新技術の粋を集めた作品』に認識が変わった。
 そしてそこにはオズが強い興味を抱く、『物語』が存在する。
「購入と免許の取得、前向きに考えてみようかな。蛇尾で運転できるタイプは……ないかなぁ……」
「あとで調べてみましょうよ」
 自分は詳しくないけれどきっとあるはず、と。
 レイは明るい声音を響かせて。交通規制もなくなり、徐々に人通りも戻り始めてきたその場所から……オズと会話を交わしつつ去ってゆくのだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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