最小にして最強の防具

作者:雷紋寺音弥

●爆誕、葉っぱビキニ!
 夕暮れ時、カラスの鳴き声が響く時分に、人気のない山奥で項垂れるビルシャナが一体。その身に纏った最強の防具……と、少なくとも本人は思っているビキニアーマーは、今や錆ついて見る影もない。
「はぁ……まさか、ビルシャナ大菩薩が失われてしまうとは……。今まで、ビキニアーマーこそ最高の防具だと信じていたが……もしかすると、私の教義は間違っていたのか?」
 己の信ずる教義を広めるべく邁進するビルシャナにとって、自分で自分の教義を否定するのは自殺に等しい。もはや、デウスエクスとしての存在さえも危うくなったビルシャナ……『ビキニアーマー最強明王』であったが、そんな彼の前に、唐突に新たなビルシャナが現れた。
「案ずるでない。まだ、策は残されている。我の名は光世蝕仏……。汝に衆合無をも越える唯一の救済を与えよう」
 そう言うが早いか、謎のビルシャナが光を放つと、ビキニアーマー最強明王の着ていたアーマーが吹き飛んだ。そして、代わりに彼の胸元と股間を緑色の植物が覆い……それは、葉っぱビキニアーマーへと変貌し、明王の新たな力となった。
「おお、これは素晴らしい! フフ……ハハハハ! 今、この瞬間、私は『究極葉っぱビキニ明王』として再誕したのだ!」
 ビキニアーマー最強明王改め、究極葉っぱビキニ明王と化したビルシャナが高らかに笑う。新たなる力を得た彼は、手始めに麓の街で怪しげな教義を広めるべく、一気に山を駆け下りて行った。

●最強で最悪な融合
「うぅ……リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)さんの心配していたことが、本当になってしまいました」
 もはや、お約束となった涙目の笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)。ああ、これはあれだ。きっと、今回もイカれた教義のビルシャナが、変態的な故人の趣味を、誰彼構わず押し付けようとしているのだろうと、見慣れた者であれば直ぐに想像できる光景だった。
 果たして、そんな予感は正しく、ねむの口から語られたのは『究極葉っぱビキニ明王』なるビルシャナの話。なんでも、『ビキニアーマー最強明王』と名乗るビルシャナが攻性植物の力を得て、パワーアップした姿だという。
「パワーアップしても、ビルシャナの基本的な考えは変わっていません。ビルシャナは、ビキニアーマーこそが最強の防具だと信じていて……攻性植物のせいで、特に『葉っぱ素材のビキニアーマー』が一番で、それを身につけてユグドラシルと一体化すれば救われると思っているようで……」
 なんとも微妙な表情になり、ねむは大きく溜息を吐いた。葉っぱ素材のビキニアーマーって、それ、むしろ防御力低下してないか?
 ちなみに、究極葉っぱビキニ明王は、信者となった一般人達を引き連れて、山の麓にある街の洋品店を襲撃する。どうやら、葉っぱビキニアーマー以外を身に纏うことは絶対に許さないらしく、衣服であろうと鎧であろうと、問答無用で粛清しようと企んでいるようだ。
「戦闘になると、究極葉っぱビキニ明王は、物質の原子配列を組み変える光線で攻撃して来ます。その能力を使って……その……皆さんの服を、葉っぱビキニに変えちゃうんです!」
 能力としてはチートに等しい部類なのに、それを下らないことにしか生かせないのが、ビルシャナらしいと言えばらしかった。だが、油断していると様々な能力を持った葉っぱビキニを装着させられ、場合によっては動きを封じられてしまったり、あるいは身体を操られてしまったりするので油断は禁物。
 なお、戦闘になると信者達も一緒になって襲い掛かって来るのもお約束だが、彼らの戦闘力は、当然のことながら最弱レベル。よって、グラビティの一発で簡単に昇天してしまうので、彼らを救うには先に説得をしなければならない。
「ビルシャナの影響力って、信じられないくらいに強いですからね。普通に説得しても……たぶん、殆ど効果ないと思います」
 この手の信者は、正論で解き伏せても殆ど効果がない。場合によっては状況を悪化させ兼ねないので、こうなったらそれぞれが思う『葉っぱビキニ以上にインパクトの強いビキニアーマー』でも提案してやった方がよさそうだ。
「こ、こんな人達が増えたら……ねむも、葉っぱビキニ以外は着ちゃいけなくなるんでしょうか……。うぅ……そうなったら恥ずかしくて、もうお外を歩けません!」
「う~ん……なんかもう、色々と突っ込みどころがあり過ぎて頭が痛いけど……でも、放っておいたら、もっと拙いことになりそうだし……」
 頼むから、こんなビルシャナはさっさと退治してくれと涙を浮かべるねむの前で、腕組みをして考える成谷・理奈(ウェアライダーの鹵獲術士・en0107)。今回もまた、碌でもないビルシャナだが……しかし、ここで戦わず、逃げるわけには行かなそうだ。


参加者
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
蘇・麗花(龍凰娘々・e19066)
瑠璃堂・寧々花(甲冑乙女・e44607)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)

■リプレイ

●最強の鎧
 ビキニアーマーを至高と信じ、その上にユグドラシルへの回帰願望まで乗ったヤバいビルシャナが現れた。こう記すと、なんだか凄まじくとんでもない敵が現れたかのように思われるが……ぶっちゃけ、やっていることは今までのビルシャナと大差はなく、ケルベロス達の対処もまた手慣れたものだった。
「ヘンタイとユグドラシルが一体になって、ヘンタイの生る木になったら大変だからね。今日も頑張ってヘンタイを退治するよ」
 リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)が、物陰でこっそりと銃に弾を込める。だが、それを聞いた成谷・理奈(ウェアライダーの鹵獲術士・en0107)は、思わず大きな溜息を吐いた。
「変態の生る木って……それ、放っておいても勝手に増えるってことだよね。そんなの、絶対に斬り倒……いや、もういっそのこと、燃やした方がいいかもしれないね」
 これまで戦って来た数々の変態達。あの連中が再び、しかも大量に復活するなど、考えただけでもやってられない。そう、考えた矢先……店の扉を乱暴に開け放ち、それは唐突に現れた。
「ここか、下らぬ薄布を売り、人々を堕落の道へ誘う店というのは!」
 ビルシャナを先頭に、ビキニアーマーを着た男達が店の中へと雪崩れ込んで来る。しかも、彼らの着ているのは全て葉っぱビキニであり、もはやアーマーというよりも、単なる変態の仮装にしか見えなかった。
「みんな、こっちよ! さあ、早く逃げて!」
 面倒なことになる前に、円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)が非常口の方へと店の中にいた人々を誘導して行く。その一方で、瑠璃堂・寧々花(甲冑乙女・e44607)とエニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)はビルシャナ達の前に立ちはだかると、時間稼ぎも兼ねて信者達に向かい叫んだ。
「か、甲冑です。ぼ、防御で甲冑に勝る物はありません!」
「馬だって、このように重装を施して相棒たる騎士と共に戦地に赴きましたのよ。全身を包む甲冑の安定感と身持ちの良さは、ビキニアーマーでは味わえませんわね!」
 なお、二人が纏っているのは紛うことなき全身甲冑。ビキニアーマーとは反対に、隙間なく全身を覆うことで、あらゆる攻撃からしっかりと全身を守れる優れ物。
「というより、葉っぱ一枚など、もう鎧の類で見る等笑止千万! 鉄と鋼をふんだんに使用し体の各部を派手に装飾してこそ、ビキニアーマーの醍醐味ですの!」
 もはや、お前達の着ているのはアーマーですらないと、エニーケはバッサリ切り捨てる。そうこうしている間に、なにやら店の中の気温が、急激に低下して来たような気が。
「な、なんだ、こりゃ?」
「なんか、急に寒くなってねーか、おい!?」
 まあ、これから秋になろうという時期に、葉っぱビキニなんぞ着ていたら、そうなる。しかも、一般人を避難させるドサクサに紛れ、キアリが店の冷房のスイッチを押し、温度を最低まで下げていたのだ。
「これから本格的な秋になり、さらに冬になればもっと気温は下がるわ。葉っぱビキニなんて着ていたら、凍死するわよ?」
 信者達の前に現れたキアリが、ニヤリと笑う。それでも、あくまでビキニアーマーに拘るなら、これを使ってみろと何かを渡し。
「使い捨てカイロを繋いで作ったカイロビキニアーマーよ。これなら冬の寒い季節でも、気にせず行動できるわよ」
 そういうわけで、疑うのであれば着替えて試せ。半ば強引に信者達へカイロビキニアーマーを押し付けるキアリだったが。
「ん~、なんか、じんわりと温かくなって来たな」
「うん、こりゃいいや! あ、でも、別にカイロでアーマー作る必要なないような。ぶっちゃけ、こうすりゃ温かいんじゃね?」
 もっとも、そこは筋金入りのビキニアーマー信者達。おまけに、ビルシャナのせいで頭のネジが吹っ飛んでいた彼らは、キアリからもらったアーマーを解体すると、カイロを葉っぱの裏側に押し込み始める始末。
「ちょっ……! なにやってんのよ、あなた達!?」
「え? なにって……普通に胸元を温めてるんだけど?」
 何ら悪びれた様子もなく、信者達はキアリに告げた。しかし、彼らは忘れていたのだ。カイロは直に肌に当てては、時に低温火傷を誘発するということに。
「ん? なんか様子が……って、あちぃぃぃっ!!」
 案の定、信者達の何人かは盛大に胸を火傷し、慌ててカイロを放り捨てた。が、そうすると今度は部屋の寒さが追い打ちをかける。もう、どうすれば良いのか分かったものではなく、早くも大混乱である。
「そ、そんなに寒いなら、やはり甲冑を着るべきです」
 そんな中、寧々花がすかさず子どもの頃の写真を取り出し、信者達に畳み掛けた。
「お、おい。なんだあ、こりゃ?」
 写真を渡され、困惑する信者達。そこに映っていたのは、甲冑を着たまま様々な行事に取り組む寧々花の姿。中には『鎧を着たまま、どうやってるんだこれ?』というものもあったが、それはそれ。
「わ、私達(一族)は、365日、夏も冬も甲冑を着て過ごして来ました。ぽっと出の教義とは年期が違うんです!」
 最強の防具は、やはり全身鎧に限る。そんな寧々花の様子に、エニーケも思わず感嘆の声を漏らしている。
「幼少期から甲冑とはガチ勢の極みですわね……」
 彼女こそ、真に甲冑を愛する者だ。この鎧愛に、お前達は果たして敵うのか。そう言って、信者達の方を見たのだが……彼らの反応は、思った程によろしくない。
「う~ん……確かに、凄いっちゃ凄いけど……」
「これ、別に全身鎧じゃなくても良くね? 俺達だって、これからは365日、葉っぱビキニアーマーで過ごすつもりだしな♪」
 日常生活まで鎧で送るというのは確かに凄かったが、頭の中身まで葉っぱビキニのことしか考えられなくなった信者達には、それだけでは最後の一押しが足りなかった模様。
 さすがは、パワーアップしたビルシャナの信者達だ。ビルシャナの影響力も、気のせいかいつもより強い気がする。頭だけ鎧で首から下はパンツ一丁とか、彼らを正気に戻すには、そのくらいのインパクトが必要だったかもしれない。
 これは、予想以上に強敵だ。しかし、こちらにもまだ策がある。世界を葉っぱビキニ色に染めさせないため、ケルベロス達は次なる作戦に出ることにした。

●至高の無防備?
 骨の髄まで葉っぱビキニのことしか考えられなくなった信者達の目を覚まさせるには、およそ現実には存在しない、凄まじいインパクトの鎧が必要だ。だが、果たしてそんな鎧とはいったい何だろうか。
(「正直、全裸しか思いつかないんですが……」)
 単に脱いだだけでは駄目だろうと、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)は自分の身体を晒すタイミングを図っていた。その一方で、ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)は何やら覚悟を決めたのか、その全身をオウガメタルで包んだまま信者達の前に躍り出て。
「なんだ、また全身鎧か?」
「いいえ、違いますわ。さあ、ご覧あれ!」
 そう、彼女が叫ぶと同時に、オウガメタルで構成された衣装が寄り集まって、両腕を守る頑強なガントレットと肩当てになった。下半身を覆っていたものは、両脚を膝まで守る、黒光りするのブーツとグリーブへと変形。が、当然のことながら、そんなことをすれば肝心のボディは丸裸!
「これが葉っぱのナチュラルビキニアーマーを超える、ネイティブビキニアーマーですわ!!」
 ちなみに、彼女の胸元は長く伸ばした髪の毛が隠し、下半身のデリケートな部分も尻尾の先端が隠していた。髪ブラと尻尾パンツという組み合わせは、なんとも目のやり場に困るわけで。
「んっ、なるほどね。それならリリは、逆ビキニアーマーを提唱してみるよ」
 親友の姿に何かを察したのか、リリエッタもまた更衣室で何かに着替えて来た。やがて現れた彼女の姿は……一見、全身鎧に見えるものの、なんとも奇妙な形をしたアーマーだった。
「ビキニアーマーは急所だけを守って身軽にすることで、攻撃を避ける防具だよ。でも、自分より素早い相手には無力だよね? そこで逆ビキニアーマーだよ」
 敢えて急所だけを晒すことで、相手の攻撃を特定の部位へ誘導し、それを先読みして確実に完封する。そう、リリエッタの纏っているアーマーは、胸元と股間だけ装甲がなく、他はガッチリとガードしていたのである。
「リリちゃんやりすぎですわ! そこまで見せちゃダメですわ!」
 だが、さすがに胸と局部を丸出しにするのは拙いと思ったのか、ルーシィドが慌てて止めたが……そこは、リリエッタも考えていたのだろう。インナーにレオタードを着ていたので、実際は何も丸出しになどしていなかったのだが。
「な、なんだよ、びっくりさせやがって……」
「でも、ちょっと勿体なかったような……」
 どことなく、残念そうな表情を浮かべる信者達。こいつら絶対、イケないことを期待していたな。そんな冷たい視線が注がれるものの、これはむしろチャンスでもある。
「葉っぱ程度の日和った鎧が最強とは片腹痛いアル。より最強でセンシティブなビキニアーマーは絆創膏三点ガード式ネー!」
 それでも全身鎧に抵抗があるなら、もういっそのこと可能な限り軽量化してはどうか。そんな提案をしつつ、蘇・麗花(龍凰娘々・e19066)は唐突に理奈のことを指差して。
「さぁ見るヨロシ、かの小妹が新たな教義の開祖として皆を導いてくれるよう、ワタシ話通すと約束するアル」
「えぇっ!? な、なんでボクが!?」
 何故か、実演の方は理奈に丸投げであった。もっとも、麗花はこっそりと理奈に耳打ちした上で、とりあえず正気に戻った連中だけでも外に連れ出せを耳打ちしていた。
「おい、本当に話を通してくれるんだろうな?」
「ヘッヘッヘ……よろしく頼むぜ、お嬢ちゃん」
 どう考えても下心丸出しな連中が、キモい笑みを浮かべながら理奈に迫る。まあ、それでもスケベ心がビルシャナの影響力を上回った者もいるようなので、とりあえずコイツらだけでも外に連れ出しておくか。
「おのれ! 先程から黙って聞いていれば、下らぬことを! 最強の鎧は、葉っぱビキニアーマー以外に在り得ぬというのに!」
 信者達の何人かを奪われたことに、ついにビルシャナも怒りを露わにして動き出す……かに見えたが、そこはすかさず若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)が突っ込みを。実は、このビルシャナの競技には、最大の欠点があることを彼女は見抜いていたのだ。
「鳥さん、鳥さん、葉っぱビキニアーマーが最強で、他は不要なんですよね?」
「む、なんだお前は? ああ、そうだ! 葉っぱビキニアーマーこそ至高! それ以外の衣服や鎧など、全て邪道に決まっているだろう!」
 何の躊躇いもなく、ビルシャナはそう言い切った。だが、それこそがめぐみの待っていた答え。彼女はジト目でビルシャナを見ると、改めて葉っぱビキニの下に広がっている羽毛を指差した。
「へぇ、そうですか。なのに、なんであなたは下に羽毛アーマーをつけているんですか?」
「な、なんだと? いや、これは別に鎧ではなく、私の地毛で……」
「おかしいですよね……信者さんもそう思いませんか?」
 反論することを許さず、間髪入れず信者達に畳み掛ける。彼らの中に湧いた微かな疑念。それを見逃さず、めぐみは更に駄目押しを。
「え? 地毛だから問題ない? 違うでしょ? ちゃんと脱毛して地肌を出してつけないとだめですよね」
 そういうわけで、この不要な毛は自分が抜いてやろう。サラっと恐ろしいことを述べ、めぐみはビルシャナの毛を引っこ抜きに掛かった。
「ちょっ……や、やめろ、貴様! なにをす……あぁぁぁぁっ!!」
 デウスエクスはグラビティ以外でダメージを受けないが、痛みだけはしっかりと伝わる。毛を毟られ、ビルシャナが叫んでいる最中、ついに今まで機会を窺っていたシフカが動き出す。
「これぞ、私が考えた究極を超えた至高のビキニアーマーです。さあ、どうですか?」
 颯爽と服を脱ぎ捨てれば、その下から現れたのは全裸……ではなく、限りなく透明に近い素材を用いたビキニアーマー!
 隠す面積など、最小どころか皆無であった。一応、服や鎧を着ていることにはなるが……ぶっちゃけ、見た目的には何も着ていないのと同じこと。
「布地や葉っぱで局所を隠すなんてのは、己の羞恥心に負けた証! 羞恥の念を知る前のアダムとイブのように、裸を隠さないのが真の美なのです!」
 そういうわけで、今こそ羞恥心を捨て、共に至高の美へと到達しよう。裸だけど裸じゃない。着ているけど着ていない。そんなシフカの姿は、今までにない程に凄まじいインパクト!
「そ、そうか! 葉っぱビキニではなく、全裸になることが正解だったのか!」
「確かにな! なんか大昔に、そんな民族がいたって話も聞いたことあるしな!」
 古代、ゲルマン人の英雄は、その強さを誇示するために敢えて全裸に武器を装備した姿で戦場に立ったという。また、ローマの剣闘士達も、頭は鎧で保護しつつ、身体は脂肪を蓄えることで致命傷を防げるようにし、他には何の防具も纏っていなかった。
「「「うぉぉぉぉっ! 筋肉こそ、最強の鎧なりぃぃぃっ!!」」」
 シフカの説得をきっかけに、今までのケルベロス達の話を勝手に頭の中で纏め上げた信者達は、葉っぱビキニ教から全裸至上主義の筋肉崇拝者へと変貌していた。彼らは最後の砦である葉っぱビキニさえ脱ぎ捨てると、そのまま興奮した様子で叫びながら、店の外へと飛び出して行った。
「うわぁ……。あれはあれで、お巡りさんに捕まりそうな気がするけど……」
 お前達、せめてパンツくらいは穿いていけよ。あまりに斜め上へ弾けた信者達の姿に唖然とする理奈だったが、まあビルシャナの影響下からは外れたのだし、結果オーライである……たぶん。

●イケない葉っぱビキニ!?
 全ての信者達を解放し、残すは元凶のビルシャナのみ。だが、ふざけた教義の内容に反し、究極葉っぱビキニ明王は強かった。
「ひゃぁっ! な、なにこれぇ! 気持ち悪いよぉ……」
 謎の光線を食らって、早くも理奈が葉っぱビキニ姿にされていた。しかも、その裏面には何故か触手がびっしりと生えており、一斉に蠢いて彼女のイケない部分を刺激していた。
「んっ……ぁぅ……そ、そんなとこ吸っちゃだめ……ぁぁぁぁっ!!」
 完全に弄ばれ、理奈は早くも力を失いその場に崩れ落ちた。見れば、理奈の他にも葉っぱビキニに苦しめられている者達はおり、なかなかどうしてピンチである。
「くっ……回復したのに、恰好は葉っぱビキニのままだなんて……」
「こういうのって、バステが回復したら、一緒に治るものじゃないんですかぁ!?」
 冷や汗を流すキアリに、恥ずかしさのあまり胸元を隠して叫ぶめぐみ。
「ま、まぁ? 日夜プロポーション作りに余念ないアルし? 見られて恥ずかしい体はして……な……い」
 その一方で、強がりを言って耐える麗花だったが、完全に腰が震えて涙目だった。
 なんというか、相手は別の意味で強敵だ。しかし、ここで叫んでいるだけでは仕方がないので、さっさとあの変態を始末せねば。
「み、皆さん! 私が押さえている間に、攻撃を!」
「な、なにをする! 貴様、放せ!!」
 隙を突いて寧々花がビルシャナに強引なタックルをかまし、その動きをしっかりと封じ込めた。そこを逃さず、流れるような連撃で、リリエッタとルーシィドが襲い掛かり。
「これ以上は、おかしな教義を広めさせませんわ!」
「んっ、ヘンタイは撲殺だよ。慈悲なんてないから……」
 ハンマーの一撃がビルシャナの顔面に炸裂し、鋭い蹴りが脚部を砕く。だが、それだけでは終わらない。
「まあアル! これもついでに持って行くアル」
 麗花の拳が、吹っ飛んで行ったビルシャナに追い付き、炸裂する。おまけに、ビルシャナが吹っ飛ばされた先には、エニーケが怒り心頭の様子で待ち構えており。
「わけのわからない光線なぞ出して、仲間を増やすんじゃありませんわよ!」
 自慢の美脚による盛大なキックが、真横からビルシャナに襲い掛かった。当然、葉っぱビキニでは防ぐこともできず、骨の砕ける音が周囲に響く。
「そんな可燃物素材のアーマーなんて、焼かれたら灰になるだけですよね~。汚物は消毒で~す」
 悶絶しているビルシャナに、めぐみがお返しとばかりに火球を発射。瞬く間に燃え上がるビルシャナだったが、これで死ねれば、まだマシだっただろう。
「その首、貰い受ける! 螺旋忍法! 『鎖縛斬頭狩』!」
 最後は、シフカが鎖で陣を形成し、異空間から伸びる多数の鎖でビルシャナを拘束! そのまま動けなくなったビルシャナの首を斬り落とし、死体を空間の裂け目へと蹴り込んだ。
「お、終わったの? はぁ……今回も、酷い目に遭ったよ……」
 触手攻めから解放され、理奈が大きな溜息を吐いた。なお、麗花に説得されて理奈の絆創膏三点ガード姿を期待している者達もいたようだが……話は通すと言ってはいたが、誰も強制するとは言っていない。
「アイヤー、話は通したけどダメだたアル。残念だたアルな」
 抗議の声を軽く流し、麗花は言った。ちなみに、葉っぱビキニ姿に変えられた者達には、めぐみがローブを配ってくれたことが、せめてもの幸いであったという。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年9月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 4
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