冥府の守人

作者:坂本ピエロギ

 それは巨大な通路だった。
 在るのは静寂と停滞と、そして虚無。
 生ける者の如何なる侵入も拒む、『死』の気配が支配する空間。その無人の通路を満たす淀んだ瘴気の中から、突如として黒い影が現れた。
『ウウ……オオオオ……』
 影は苦悶の呻きを発しながら、たちまち人のそれへと姿を変えていく。
 死を与える現象に昇華した黒き騎士――『門』へと。
『ハイジョ……マッサツ……グググ……』
 42あった端末が、僅かに欠けた。
 しかし防御機構は未だ健在。その『門』は巨大な剣を手に、道の守りについた。
 ここは地上とは違うどこか。磨羯宮と双魚宮を繋ぐ場所。
 新たな『門』は、ただ静かに道を守り続ける――。

 磨羯宮ブレイザブリクの探索で発見された、双魚宮『死者の泉』へと至る転移門。
 この転移門の前に立ち塞がる、泉の防御機構――通称『門』の撃破は順調に進んでいるとムッカ・フェローチェはケルベロス達に告げた。
「今回の依頼では、引き続き『門』の撃破をお願いします」
 エインヘリアルの生命線、そして死神の最優先攻略目標である『死者の泉』。そこへ到る手段は只一つ、『門』を繰り返し撃破する事で防御機構を破壊する以外にない。
「破壊に必要な撃破数は合計42回。この依頼では『門』を1回撃破すれば成功ですから、絶対に無茶はしないで下さいね」
 現場は磨羯宮と双魚宮をつなぐ異空間だ。この空間は広い一本道となっており、『門』は道の奥で侵入者を排除せんと待ち構えている。空間の影響によって『門』の戦闘力は数倍に強化されているため、万全の準備で臨む必要があるだろう。
「今回の作戦では、ヘリオンデバイスの使用が可能です。少しずつ感覚も慣れて来た頃かと思いますので、皆さんで有効に活用して下さい。私も全力でサポートします」
 エインヘリアル勢力は、いまだケルベロスの動きを察知していない。しかし攻略に時間をかける程、当然ながら露見のリスクは高まる。時間をかけ過ぎず、かといって急かず。大事なのは一歩一歩の積み重ねだとムッカは話を結んだ。
「防御機構が破壊されれば、死者の泉への転移が可能となる事でしょう。その先に待つものが果たして何なのか、全く想像もつきませんが……」
 まずは今できる事をと、ムッカはコマンドワードを謳い上げる。
 戦地に赴くケルベロス達が、無事に帰還するようにと祈りを込めながら。
「ゴッドスピード、ケルベロス。――ヘリオンデバイス起動!」


参加者
シル・ウィンディア(鳳翼の精霊姫・e00695)
立花・恵(翠の流星・e01060)
シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)
ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)
颯・ちはる(寸鉄殺人・e18841)
影渡・リナ(シャドウフェンサー・e22244)
エマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314)

■リプレイ

●一
 静寂に満ちた磨羯宮の隠し通路を、ケルベロス達が駆けていく。
 双魚宮へと続く転移門、その番人を倒すために――。
「皆、もうすぐ異空間だよ」
 影渡・リナ(シャドウフェンサー・e22244)は仲間に注意を促しつつ、前方に広がる空間を凝視した。あの奥で待つ黒騎士『門』を全て倒すまで、絶対に弱音は吐かない――そんな決意を胸に、リナはチェイスアート・デバイスのビームを全員と接続する。
「靴の調子も万全だね。頑張らなくちゃ」
「ヘリオンデバイスか。初めて使ったけど、凄いなこれ」
 オルトロスのチビ助を連れるハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)が、感心したように口笛を吹いた。
 ハインツが着けるアームドアーム・デバイスは、装着者の生命を大幅に向上させる機械腕のデバイスである。彼の隆々たる体躯、分厚いシールドに加われば、そのガードはまさしく鬼に金棒と言えよう。
「にしても42体の番人か……それだけ大事な場所なんだろうな、奴らにとって」
「うん、絶対勝たないとね。頑張るぞーっ!」
 シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)が奮い立つ。初装着する機械腕デバイスに、彼もまたやる気満々の様子だった。
「この腕って、本数とか装着場所は自由なんだよね? 色々使えそうだなあ」
 あれこれと想像を巡らせつつも、シルディは腕の機能をテキパキとチェックしていった。反応速度、機敏性、耐久性……どれも文句なしの性能だ。
「よしっ、百人力。頑張って皆を護るよ!」
「こっちのデバイスも上々。いい感じだよ」
 シルディの言葉に、エマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314)が頷いた。
 彼女は今、飛行ドローン型デバイスに思念を送り、操作の感触を確かめている。回復支援のみならず、囮や人員運搬にも使える優れものだ。
(「どうか、皆無事で帰れますように」)
 今回戦う『門』は、手強い相手と聞いている。デバイスがあっても油断はできない。万難を排して臨まなければ――そう考えつつエマがドローンを後列へと移動させた矢先、同型の機体がそっと隣に並んだ。
 颯・ちはる(寸鉄殺人・e18841)の操作するドローンである。
「よろしくねっ、エマちゃん。頑張ろう!」
「こっちこそ。頼りにしてるよ」
 人懐こい微笑みを浮かべるちはるの隣で、相棒のライドキャリバー『ちふゆ』が、挨拶の代わりにエンジンを景気よく唸らせる。そうして異空間へ突入すると同時、立花・恵(翠の流星・e01060)が警告を発した。
「皆気をつけろ。もうすぐだぜ」
 恵達の進む前方、異空間の内部にいる敵を、バイザー型デバイスが捉える。
 『門』――泉の門番たる黒騎士を。
「倒しても倒しても復活する門……か」
 リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)は、視界の先に敵の姿を捉えながらふと考える。あの門が守る先、双魚宮『死者の泉』では何が待っているのだろうかと。
(「死神種族……不死の存在でありながら、『死』を司るデウスエクス達。彼らの謎を解き明かすためにも、着実に勝利を積み重ねていこう」)
 リューディガーは思索を打ち切り、仲間と共に『門』と対峙した。
 今為すべきは、この黒騎士を討つ事のみ。小さな一歩も、積み重ねれば目指す先へ到ると信じ、全力をもって戦うだけだ。
「皆よろしく。絶対に勝とうねっ!」
 隊列の前衛、ジェットパック・デバイスを装着したシル・ウィンディア(鳳翼の精霊姫・e00695)が低空飛行で戦闘態勢を取った。これで『門』と戦うのは3度目だ。幾度も甦る異形の黒騎士、それを前にシルの覚悟はいっそう強靭さを増していた。
 だが幾度蘇ろうとも全て砕いてみせる。
 転移門の先に待つ、死者の泉へ到るために――。
「この道、通してもらうよっ!」
 ケルベロスと門、その12回目の戦いが幕を開けた。

●二
 剣を振り被る門、それに先んじて仕掛けたのはシルだった。
 ジェットパック・デバイスを低空モードに維持。白銀戦靴で宙を蹴り、急降下からの急襲で門の間合いへと肉薄する。そうしてデバイスの推力を脚へと注ぎ込むと同時、繰り出すのは純白のスターゲイザーだ。
「闇夜を切り裂く、流星の煌めき受けてみてっ!」
 轟く衝撃。並の敵なら深手となる一撃も、しかし門は僅かな揺らぎを見せたのみ。
 一方のシルディは前衛にオウガ粒子を散布していく。その視線は門の構える剣へと注がれ、いつでも仲間達を庇える態勢だ。
(「いい感じ。命中確保は問題なさそう」)
 門の強みと弱点は、いずれもシンプルだった。
 強みは攻撃力が高く、攻撃と回復を両立できる事。対する弱点はブレイクとキュアの力を持たない事だ。これに抗するケルベロス達もまた、選んだ戦法はシンプルなもの。
「味方を強めて、敵を弱める……その弱点、突かせて貰うよ!」
「さあ門、全部受け止めてやるぜ」
 ハインツはサークリットチェインで前衛を守護しながら、相棒であるライオットシールド『Heiligtum: zwei』を構えた。門が泉を守る者なら、自分は仲間を護る盾。守護する戦士の矜持にかけて、この戦いは絶対に譲れない。
「行け、チビ助!」
 跳躍するチビ助。一閃するソードスラッシュ。
 そして次の瞬間、門が動いた。最前列からの斬撃が吸魂の力を帯びて、ケルベロスの後衛めがけ薙ぎ払われる。
「ぐおおっ!」
 凄まじい威力を帯びた一撃が、ケルベロスの生命力を削り取った。ハインツはシールドを構え、必死に後衛のエマを守る。列攻撃でこの威力――中後衛が浴び続ければ、そう長くは保ちそうになない。
「エマ、防御の増強頼む!」
「了解だよ。聞きしに勝るパワーの敵だね」
 ドローンデバイス起動。番犬鎖展開。エマの描く守護魔法陣が、瞬時に前衛を包む。
「ちはるさん、後衛の回復お願い!」
「オッケー。任せて!」
 言い終えるや、ちはるは爆破スイッチを起動した。
 景気の良い炸裂音が響き、後衛の背を彩るのはブレイブマインの爆風だ。その直後、勇気を鼓舞されたちふゆが、炎の体当たりで突撃。続く恵が、ゴーグル型に変形したドライブで門を見据え、エアシューズで一気に距離を詰める。
「今回もきっちり倒してやるから覚悟しとけよ!」
 炎上する門を睨み据え、恵は脚に力を込めた。
 小細工なしの高火力、しかもドレインつき。こうした相手にアタッカーが果たすべき役割は、ある意味非常に簡単だ。即ち――。
「攻めて攻めて攻めまくれ、ってな!!」
 そうして恵が放つスターゲイザーが門の脚甲へ直撃し、回避を封じる。
 門は未だ、ケルベロスの猛攻に怯む様子はない。リューディガーは反撃で飛んできた冥府の冷気をガードで防ぎ、その凄まじい火力に生命を削られながらも、ヒールドローンで恵ら後衛を護衛していった。
「恵、シル、行け! 攻め続けるんだ!」
「頑張って。サポートはわたし達が引き受けるよ!」
 続けざま、ステルスリーフで妨害力を高めたリナが絶空斬を繰り出す。デバイスによって狙いすました一撃が、黒き脚甲を捉えた。空気を切り裂く衝撃。足止めの傷を切り開かれて炎上する門が、くぐもった呻きを漏らす。
「気をつけて。気を抜いたら一瞬でやられるよ!」
「最後まで護り続けてみせる。それがオレ達の戦いだ!」
 シルディとハインツは頷きを交わし、全力でガードを固めた。
 がっちり組んだ機械腕の向こう、立ちはだかる黒い鎧の騎士。その苛烈なる攻勢は、いまだ微塵も衰える事はない――。

●三
 異空間での激しい戦闘は、それからも続いた。
 門の猛攻はまさに嵐だった。ケルベロスは順調に護りを固め、力を蓄えつつあるが、無傷で立っている者は一人もいない。亡魂が纏わりつき、冥府の冷気が迸る度に、その生命力は容赦なく削られていく。
「マインドシールド、仲間を護れ!」
 ハインツがリングを掲げると、輝く光が盾に変じ、負傷したシルを包み込んだ。盾役以外が冷気を浴びれば、メディック一人では回復が追い付かない。ハインツは徹底的に仲間達の護りに徹しながら、隊列を維持し続ける。
「受け取れ、シル。俺の分まで、あの門に叩き込んでやれ!」
 リューディガーもまたハインツと肩を並べ、アタッカーのサポートに徹する。彼が放った満月の光球は、回復と火力向上を同時にもたらす事で、敵の外堀を埋める役割をも果たしてくれているのだ。
 シルの体に吸い込まれる光球。同時、仕掛けたのは恵だった。
「露払いは任せろ。受けた分はキッチリ返さないとな!」
 恵は精神を集中させながら、標的の門を凝視した。デバイスが示す急所はひとつ。黒騎士の胸部、剥ぎ取られた鎧から覗いた隙間である。
「そこだ!」
 直撃するサイコフォース。派手に吹き飛ぶ剣の破片。
 刹那、息を合わせたシルがデバイスを駆って突撃する。未だ慣れない三次元軌道を懸命に使いこなし、マインドソードを発動。具現化した光の剣が断頭台の剣めいて振り下ろされ、門を破壊の力で損傷させていく。
「この一撃、受けてみてっ!」
『グ、ググ……』
 重圧を受けた門が呻く。シルもまた、傷を増やす門の姿に確かな手応えを感じた。
 効いている。だが攻めの手は緩めない。完全な勝利を掴むその瞬間までは、絶対に。
「気をつけて、来るよ!」
 シルディが機械腕を構え、リナめがけ放たれた反撃の亡魂を防ぐ。
 即座にエマはサークリットチェインを引き戻し、ガジェットを装着。噴霧器状の機器から噴出する魔導金属片で、シルディを包み込んだ。
「すごい出力。これがデバイスの力なんだね……傷の具合はどう?」
「平気、問題ないよ!」
 防壁と為したマシンアームでガッツポーズを組むシルディ。守りを固め、更には敵の武器を封じ、僅かずつだがメディックの回復には余裕が生まれ始めていた。それと同時に、門の体にはドレインで癒し切れない負傷がじわじわと蓄積されていく。
「けど……守りっぱなしじゃ、いられないよね!」
「そうだよっ。勝負はここからだもんね!」
 シルディとちはるが息を合わせ、爆破スイッチをオン。カラフルな爆風で前後衛の仲間を鼓舞した。苦しい戦いだが劣勢ではない。決定打となる一撃を叩き込む好機を、何としても掴み取るのだ。
 そして――。
 息継ぐ間もなく、リナの稲妻突きが叩き込まれた。
「そこだよ!」
『グ……オォ!』
 全身を蝕む麻痺の刺突。その一撃に、剣を構えた門がぐらりと膝をついた。
 時は今だ。待ちに待った契機に、ケルベロス達が牙を剥いて襲い掛かって行く。

●四
 門への一斉攻撃、その先陣を切ったのは恵だった。
「さあ。ここからは俺達が攻める番だぜ!」
 言い終えた時、すでに恵は間合にいた。空の霊力をエアシューズに込めて、雷光のごとき蹴撃を放つ。ゴーグル型デバイスの導く一撃が、狙いを外す事はない。
「くらいやがれっ!」
 金属の砕ける感触と共に、鎧の破片が飛び散った。直撃による痛打を浴び、なおも吸魂の剣を前衛に振るう門。それを受け止めたハインツを、エマがガジェットの蒸気で包む。
「大丈夫、ハインツさん?」
「ああ。どうって事ないぜ!」
 ハインツの『竜士誓約《光明》』が放つ輝きは、いまや前衛を幾重にも包み、門の攻撃を防ぐ黄金の防壁を果たしている。それは彼の揺るがぬ決意そのものであり、敵の剣がもはや脅威足りえない事を無言のうちに示していた。
「リューディガー。頃合だぜ」
「ああ。そうだな」
 リューディガーは頷きを返し、フェアリーブーツを踏みしめる。仕上げの布石は整った。命中、攻撃、防御、回復……どこにも一切の隙はなく、後はひたぶるに攻めるのみ。
「行くぞ。門を落とす!」
「いっけー! 一斉攻撃だー!」
 リューディガーが蹴飛ばす星のオーラが、攻撃の合図となった。間を置かずにシルディがブレイブマインを発動、七色の爆風で前衛を鼓舞する。
 同時、仕掛けたのはシルとリナだ。阿吽の呼吸で地を蹴り、標的を挟むように疾駆。狙うは一つ――星のオーラを浴びた門の、吹き飛んだ装甲の隙間である。
「逃がさないっ!」
「闇を斬り裂き道を切り開く!」
 耐えに耐え、溜めに溜めたケルベロス達の力は怒涛のごとく門を捉え、決して逃れる事を許さない。シルの旋刃脚が、門の鳩尾にめり込んだ。続いて振り下ろされるリナの絶空斬。露出する門の装甲めがけ、ちはるが振り被った戦術超鋼拳を全力で振り下ろす。
「貰ったよっ。えーいっ!」
『マッ……サツ……!』
 門は亀裂だらけの籠手を翳し、冥府の冷気を放った。シルを狙うその一撃は、しかし重圧で狙いを逸れ、彼方へ空しく飛んで行く。
 攻撃も命中も叶わぬ門に、もはや勝機はない。異空間の強化、突出した火力――それらをケルベロスの連携と作戦が上回った瞬間であった。
 そして――恵とシルが、最後の一撃を放つ。
「一撃をッ! ぶっ放す!!」
 全身に闘気を纏った恵は門の懐へ飛び込み、リボルバー銃『T&W-M5キャットウォーク』を発砲。零距離から放つ銃弾が門の内部で炸裂し、鎧の隙間から漆黒の濃霧が噴出する。紛れもない致命傷だ。
『モン……マッサツ……ハイ……ジョ……』
「わたし達は、必ず此処を通ってみせるよ」
 シルはデバイスの推力を全開、一気に敵へと接敵した。
 麻痺に捕らわれた門へ傷だらけの掌をかざす。その手に収束するは『六芒精霊収束砲』。六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力である。
 炎と水、風と大地。そして光と闇の力が収束し、いま発射された。
「最大火力で押し通すっ。欠片も残さないからっ!」
『オ……オオオォォォォ!!』
 立て続けに迸る青白い魔力の奔流が、門の全身を包み込んで消滅させていく。
 禍々しい剣、漆黒の鎧、存在の痕跡全てを。
 そうして長い長い断末魔が絶えると同時、再び異空間は静寂に包まれるのだった。

●四
「よし、敵影はないな。俺達の勝利だぜ!」
 恵は颯爽と銃を回し、ホルスターに収める。
 門を撃破した今、彼のデバイスにはケルベロスの影だけが表示されている。あとは新たな敵が出現する前に、この場を離脱するのみだ。
「こっちは大丈夫だ。怪我人はいないぜ」
 ハインツは機械腕でサムズアップすると、すぐさま離脱の支度を整える。
 リナもまた準備を終え、異空間の気配を伺った。すぐに敵が湧いてきそうな気配はない。デバイスを使用せずとも離脱は問題なさそうだ。
「さあ皆、戻るよ。長居は無用だしね」
「うんうん。連戦怖いし帰ろ帰ろ……!」
 エンジンをふかすちふゆに跨り、ちはるは仲間達と異空間を離脱していく。
 リューディガーもそれに続きながら、遠ざかりゆく戦場を一度だけ振り返った。死神達の秘密も、世界の謎の一端も、あの道の果てに通じているのだと信じて。
(「必ずだ。俺達は必ず、辿り着いてみせる」)
 任務は完了した。もはや彼は振り返らず、ただ前を見据えるのみ。
 自分達が手にしたひとつの勝利、それを吉報として携えながら。
 残る門――あと、30体。

作者:坂本ピエロギ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年9月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。