至高の全裸よ、母なる大樹よ

作者:雷紋寺音弥

●光の世界に触れたる仏?
 誰もいない、夜の浜辺。静まり返ったその場所で、波の音を聞きながら項垂れているのは、しかし人ではなく全身を羽毛に包んだ異形の存在。
「ああ……大菩薩の加護がなくなってしまった……。私はいったい、どうすればいいんだ……」
 ビルシャナ。集合無意識が人の身体と融合する形で受肉したデウスエクス。彼らはその性質故に、信仰心を失えば、その力を大きく減じてしまう。たとえ、その信じる教義が、どれだけ下らないものだったとしても。
 ちなみに、彼の名は『海で泳ぐのに水着を着るやつ許さない明王』である。要は、『泳ぐなら全裸が至高!』と唱えるしょーもないビルシャナなのだが、それはそれ。
「ふむ……どうやら、悩み迷っているようだな」
 突然、どこからか声がした。明王が思わず顔を上げると、そこにいたのは全身に植物の蔦を纏ったかのような、新たなるビルシャナだった。
「あ、あなたは……」
「我が名は光世蝕仏(こうせいしょくぶつ)。ユグドラシルの光に触れたことで、集合無をも越えた存在だ」
 信仰心を失った今、残された救済の方法は、ユグドラシルとの同化のみ。そう言って、光世蝕仏は明王に、自らの力を分け与え。
「さあ、行くがよい。我の与えた攻性植物の力により、今一度、己の信ずるものが何かを思い出すのだ!」
「おお、この力は……! よぉ~し、やってやる! 手始めに、水着を売るような悪の枢軸は、この私が全てぶっ潰してくれる!!」
 新たに授けられた力によって信仰心を取り戻し、明王は再び立ち上がった。そして、自らの信念に従い、水着を売る店を潰すべく、夜の街へと消えて行った。

●強化されても、やることは変わりません
「うぅ……『暗夜の宝石』攻略戦でビルシャナ大菩薩が消えてくれたことで、ようやく変な事件も減っていると思ったのに……」
 この期に及んで、弱体化したビルシャナに余計な力を授ける者が現れた。そう言って、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)はケルベロス達に、いつもの如く大きな溜息を吐いて説明を始めた。
「海で泳ぐのに、水着を着るのは許さないっていうビルシャナが現れました。このビルシャナが信者の人達を連れて、海辺の街にある洋服屋さんを襲うので、それをやっつけてください……」
 要するに、行動パターンはいつものビルシャナである。なんだか知らないが、攻性植物の力でパワーアップしているようだが、行動原理はあまり変わっていないようだ。
 なお、ビルシャナの連れている一般人は、戦闘になるとサーヴァントのような存在と化し、ケルベロス達に襲い掛かって来るのも同じである。もっとも、彼らはパワーアップしていないので、ちょっとグラビティで小突いた程度で、瞬く間に昇天してしまうのも同じだが。
「信者にされた人たちの目を覚ますには、戦う前に説得しないといけません。でも、まともに説明しても、話を聞いてくれないと思います」
 説得の際、重要なのはインパクト。ビルシャナは全裸で泳ぐことで母なる海に受け止めてもらえ、その先にユグドラシルとの融合という救いがあると説いている。どう考えても無茶苦茶で意味不明な主張なのだが、それでもインパクトで負けた場合、信者達は説得できない。
「あ、それと……戦闘になると、ビルシャナは攻性植物っぽい技で攻撃してきますので……その……戦う時は、油断しないでくださいね」
 敵のビルシャナは、蔦のようなもので敵を縛る、花から防具を溶かす溶解液を発射するといった攻撃の他、食虫植物のような器官を通して相手の身体からエネルギーを吸い取る攻撃も行って来る。防御力の低下したところを襲われると酷い目に遭うので、戦う時はそれぞれ気をつけるようにと、ねむは念を押し。
「こ、こんなビルシャナが増えたら、ねむも海で泳ぐときは、裸にならなくちゃいけないんでしょうか……。うぅ……そうなったら恥ずかしくて、もう海になんか行けません!」
「大丈夫だよ! ボク達だって、ヘリオンデバイスでパワーアップしているはずだからね! 今までみたいには、行かないぞ!」
 ねむの説明を受けて、俄然やる気になっている成谷・理奈(ウェアライダーの鹵獲術士・en0107)。彼女が言うと、なんだか盛大なフラグ臭が漂っている気もするのだが……とりあえず、本人もやる気になっているみたいだし、突っ込まないようにしておこう。


参加者
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
除・神月(猛拳・e16846)
リーア・レオノーラ(紫銀の戦棍法師・e61699)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)
霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)

■リプレイ

●中身はいつもの鳥でした
 海辺の近くに設けられたアパレルショップ。新作水着を多数扱う店内に、唐突に響き渡る客の悲鳴。
「むぅ、攻性植物と合体してより変態になった鳥……。せっかく、最近湧いてこないと思ってたのに……」
「でも、パワーアップしても、やることは変わらないんだね」
 呆れ顔で溜息を吐くリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)の隣で、成谷・理奈(ウェアライダーの鹵獲術士・en0107)が小さく頷いた。
 見れば、ビルシャナと信者達は、早くも店の商品に手をかけ始めている。目につく水着を破り、燃やし、店員が制止するも軽く跳ね除けてやりたい放題。
「フハハハ! 水着こそ諸悪の根源! 母なる海に抱かれるのであれば、全裸こそが正義なのだ!」
 相変わらず、好き勝手なことを叫びつつ、ビルシャナは信者達を店内で暴れさせている。もっとも、新しくパワーを得たとはいえ、その行動原理がブレない辺りはさすがというべきか。
「大菩薩からでっけー木に鞍替えってわけカ? マ、中身は変わっちゃいねーみてーだけどサ」
 要するに、対処の方法も今までと同じだろうと、除・神月(猛拳・e16846)は余裕の表情をだ。しかし、見ればビルシャナと信者達は、早くも店の商品に手をかけ始め、目につく水着を破り、燃やし、店員が制止するも軽く跳ね除けてやりたい放題。ついには、試着室にまで魔の手を伸ばし、その中で着替えているお姉さんの水着を強引に剥ぎ取った。
「きゃぁぁぁっ! な、なにするんですか!!」
 慌ててカーテンで身を隠すお姉さんだが、これは拙い。このままでは、ますます被害が拡大し、取り返しのつかないことになってしまう。
「まーた、どうしようもねぇ教義じゃねぇかよ。けど、ユグドラシルと同化するだけは洒落になんねぇな」
「確かに……裸になることについては肯定派な私ですが、ユグドラシルと同化というのは流石にねぇ……」
 あまりに酷過ぎるビルシャナ達の暴挙に、霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)とシフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)は早くもドン引きしていた。というか、ユグドラシルと同化云々以前に、他人の着ている水着を剥ぐという時点で、既にアウトだ!
「それにしても、男女問わず全裸で海になんて……なんと破廉恥な……」
 リーア・レオノーラ(紫銀の戦棍法師・e61699)に至っては、あまりに酷過ぎるビルシャナの主張に、少々赤面している模様。
(「水着……これが終わったら、リリちゃんに新しいものを……ハッ! 今は、そんなことを考えている場合ではありませんわ!」)
 そんな中、舞い散る水着を眺めつつ妄想に耽っていたルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)が、ようやくこちらの世界に戻って来た。
 これ以上は、黙っているのも限界だ。ビルシャナの野望を阻止するべく、ケルベロス達は、まず取り巻きの信者達から説得することにした。

●全裸の果てに
 水着を悪と断じ、あくまで全裸で海にダイブするべきだと主張するビルシャナ達。そんな彼らの魔の手から一般人を逃がすべく、理奈はドローンを駆使して彼らの保護にあたっていた。
「さあ、早く逃げて! ……うん、こういう時、盾が使えるって便利だね♪」
 さすがはヘリオンデバイス。その優秀さに惚れ惚れする理奈だったが、それだけで事件を解決はできない。最後の最後は人の力……人の言葉と行動を以て、信者達の目を覚まさねばならないのだから。
「お待ち下さい! 水着売り場の破壊は、あなた達にとって本当に正しいことなのですか?」
 まずは暴走する信者達の気を引くべく、ルーシィドが彼らに声を掛け。
「例えば……想像して下さい。女性用下着売り場に並ぶ下着は、それを身に着けた女性の姿を直接目にすることは……殿方にはむずかしい、ですよね?」
 しかし、この女性用水着売り場に並ぶ水着をつけた女性達であれば、後に海やプールで目にすることができる。時に他者の視線に恥じらいながら、時に無垢な喜びとともに、いつか、まだ知らぬ女性が身に着けて、その身体を飾ることができる。だから、そんな素敵な水着を破壊してはいけないと訴えるルーシィドだったが……信者達は、彼女の主張を軽く鼻で笑い飛ばした。
「ハッ……何を言うかと思えば、そんなことかよ?」
「全裸で海に飛び込もうってのに、今さら下着も水着もないだろう?」
 恥じらい? そんなもの、とっくの昔に捨てて来た。そう言ってドヤ顔を決める信者達には、水着を着た女性よりも全裸女性の方が、よっぽど魅力的に映っているようだった。
「あー、面倒臭ぇな! 要するに、水着を着てみたいと思わせれば良いんだろ?」
 ルーシィドの熱弁に御託で返す信者達に苛立ちを覚えたのか、今度は小獅が水着姿で前に出た。身に纏っているのは、今年の水着コンテストで着た新作水着。
「あ? 上着がぶかぶかだって? これが今の流行りなんだよ!」
 信者達からの突っ込みを流しつつ、小獅は水着の良さについて語り始めた。
 そもそも、何故に夏のビーチでイカした水着を着るのか。それは、自分をカッコよく見せるためだと。イカした水着で浜辺に繰り出して、女をナンパで引っ掛ける。勿論、女も綺麗な水着を着て、いい男と出会う。ユグドラシルとの融合してしまうと、毎年やってくる夏も楽しめないと告げるが……それを聞いても、やはり信者達は動揺の色さえ見せなかった。
「フハハハ! 心配するな、少年よ!」
「その通り! そもそも、男も女も全裸になってユグドラシルと融合すれば、真の意味で身も心もひとつになれるのだからなぁ!!」
 その快感は、男女の『あ~ん💕』なことを軽く凌駕する程に素晴らしいことだ。全人類がユグドラシルと一体化すれば、ナンパなんて必要ない。それこそ、世界中の全裸女性と肉体的にも精神的にもリンクできるのだと、とんでも理論で反論してくるので、頭が痛い。
「女性の身体は、衣装あってこそ品格と美しさが宿るのです。内に秘められたものにこそ感情を刺激するものがあるとは……思いませんか?」
 それでも諦めず、リーアが水着になって信者達に問い掛けるが、今さら水着の良さを説いたところで、こんな信者どもに通じるはずもない。ともすれば、証拠を見せろと詰め寄られ、仕方なく水着姿になること。
「さ、さあ、これでどうですか? ね? 水着姿の方が、素敵ですよね」
 引きつった笑みを浮かべながら、リーアは改めて信者達に尋ねた。ちなみに、彼女の着ているのはシンプルなビキニの水着だったが、胸が大きすぎるため、下手に動くと大事故が起こりそうな気も。
「うるせー! そこまで露出してんなら、いっそのこと全裸の方が潔いだろ!」
「そうだ! そんな布切れ、魂の一体化には不要なんだ!」
 そして、案の定というべきか、やはり水着になっただけでは信者達を説得などできなかった。それどころか、中には怒りに任せてリーアに襲い掛かり、水着を剥ごうとする者まで現れる始末!
「え? きゃぁっ! ちょ、ちょっと! なにするんですか!!」
 水着を剥ごうと背後から伸びた手に胸まで捕まれ、リーアは本気で赤面した。しかし、そうこうしている間にも、信者の指が彼女の水着を剥ごうと更に深く食い込んで来る。
「や、やめてください!!」
「……うごっ!」
 ついに、ブチ切れたリーアの鉄拳を食らって倒れる信者だったが、その表情は何かをやり遂げた感じでいっぱいだった。こうなったら、全員気絶させてしまえば良い気もするが、それで戦闘に突入してしまった場合、面倒なことになりそうなので厄介だった。
「いいですか皆さん、全裸で海を泳ぐのはとても気持ちがいいです。これは私自身とてもよく知っています」
 ならば、否定ではなく、まずは肯定から入ろうと、シフカが敢えて全裸になることを肯定し。
「……ですが、海は怖いですよ。カツオノエボシ等のクラゲや、イモガイ等の強い毒を持つ生物があちこちにいるのですからね」
 毎年、何人もの海水浴客が犠牲となり、下手をすれば死んでしまう。そんな危ない海へ全裸でダイブするのであれば、せめて危険生物に注意して泳ぐように伝えたのだが。
「なぁんだよ、そんなことか!」
「だったら、何も問題ねぇよな? だって、ユグドラシルと一体化したら、そんな生き物なんざ恐れる必要もないんだからさ!」
 全裸で海にダイブすることで、人間を超えた存在になれると信じている信者達にとって、カツオノエボシ程度では、何の脅威にもならないようだった。
 これは、いよいよ拙い雰囲気だ。この辺で流れを変えなければ、本当に信者達の一人か二人が戦闘に巻き込まれて死にかねない。さすがに、それはどうかと思ったのか、とうとう神月が自ら服を脱ぎ捨てて。
「おめーら、母なる海ってのに抱かれて欲しいのニ、ただ全裸なだけじゃ想いが足りねーんじゃねーカ? 海だっていつまでも無料ご奉仕とかしてらんねーシ、それじゃー甘えてばっかで敬意って奴が足りネェ」
 そういうわけで、これはちょっとした味付けだ。そう言って、神月は自らの身体に生クリームやマヨネーズを盛り、見えてはいけない部分を覆い隠した。
「日頃の感謝を込めて自分を味付けしてこソ、海にも喜んで抱き止めて貰えるってモンじゃねーカ! お前がプレゼントになるんだヨ!」
 単に海へ裸でダイブするのではなく、海に受け入れてもらうべく、身体に調味料を盛って入る。これぞ、新世代の全裸水泳! あまりに無茶苦茶な主張だったが、全裸に生クリーム&マヨネーズといったインパクトに押され、信者達の意見が真っ二つに割れた。
「おお、素晴らしい! ならば、俺も早速全裸に生クリームを盛って、母なる海へ食べてもらうぞ!」
 ある者は、神月の意見に賛同し、ビルシャナそっちのけで身体に盛るクリームを探しに店の外へと飛び出して行く。だが、その際に服を全て脱いでしまったので、警察に通報されるのも時間の問題だ。
「え……いや……さすがに、生クリームやマヨネーズを盛って海に入ったら、海が汚れるんじゃ……」
 その一方で、妙に真面目な部分が残っていた連中は、食品を身体に盛ることに対して抵抗があるようだ。
「んっ、人間は陸で生きる生き物、裸で海に飛び込んでもぶくぶくと沈んでいくだけだよ」
 ならば、代わりにこんな水着はどうだと、リリエッタがペンギンの着ぐるみを着て現れた。どう考えても、水着ではなく単なる着ぐるみなのだが……これには、ちゃんとした理由がある。
「でも、こんな風に海の生き物の水着を着てたら、ぶくぶく沈んでいっても海の仲間として受け入れてくれるはずだよ」
 要するに、海に抱かれて大樹と一体化したければ、海の生き物になりきる必要があるという主張だ。だから、まずは着ぐるみ水着にチャレンジしてみるのが良いと、どこからか引っ張って来た着ぐるみを並べ始めた。
「ふ~む、なるほど。確かに、一理あるかもしれんな」
「海の生き物は全裸だから、俺達も全裸になれば良いと考えていたが……どうやら、そう簡単なことではなかったようだな」
 恥ずかしい部位を隠すために衣服を着るという発想から一転し、動物達とも一体化するために衣服を着るという逆転の発想! その、あまりに強烈過ぎる発想に、信者達の一部が更にビルシャナの傍を離れ始め。
「ど、どうしたというのだ、お前達! ……えぇい、こうなれば、もう形振り構ってなぞいられるか! 全裸のユグドラシルパワー、貴様達にも見せてくれる!!」
 ついに、ヤケクソとなったビルシャナが、残る信者達と一緒に、怒りに任せて襲い掛かって来た!

●結局、いつものお約束
 ケルベロス達の必死の説得により、ビルシャナの信者達は、残すところ3人まで減っていた。だが、戦いに突入してしまった以上、もはや説得では彼らを救うことは不可能だ。
 信者への説得の際、重要なのは度肝を抜くようなインパクト。だが、大半の者が真面目な路線で正統派な説得を続けてしまったので、あまり効果がなかったのである。
「フハハハ! こうなれば、実力行使だ! 貴様らの衣服を剥いで、そのまま海に放り込んでくれる!」
 本性を現したビルシャナの攻撃が、情け容赦なくケルベロス達に襲い掛かる。やっていることは今までのビルシャナと大差ないが、しかし攻性植物によって強化されているため、攻撃も苛烈になっている。
「ちょっ……! さっきから、なんでボクばっかり……ひゃぁっ!? なにこれ、気持ち悪いよぉ!!」
 ちなみに、理奈は真っ先にビルシャナに狙われた挙句、その身を恥ずかしい恰好に縛り上げられ、服もズタズタにされていた。そして、最後は巨大な食虫植物の袋に、そのまま飲み込まれてしまった。
「そ、そんな……パワーアップ……したはずなのに……」
 悔しそうに呟きながら意識を失う理奈だったが、それも仕方のないことだ。避難誘導にドローンを使ってしまい、そのまま戻さなかったので、彼女はヘリオンデバイスが戦闘に使えなかったのである。
「うぅ……。まさか、こんな鳥に捕まるなんて……」
 同じく、蔦攻撃に捕まってしまい、リーアもまた懸命に脱出しようともがいていた。が、そもそもビキニ姿のまま着替えていなかったので、下手に動くとビキニがずれて、そのままポロリしてしまいそうな勢いに!
「ひゃー! み、みないでくださーい!?」
 ついには、胸の先端が見えそうになってしまい、リーアは慌てて物陰に身を隠した。このままでは、本当に脱げてしまい兼ねないので、もはや戦いどころの騒ぎではなく。
「グヘヘヘ……そんな恰好になってるなら、いっそのこと、もう脱いじゃいなよ」
「そうそう♪ 俺達が、優しく手伝ってやるぜぇ」
 ドサクサに紛れて、残る信者達が一斉に、リーアの下へ殺到し始めたから、堪らない!
「おいおい、あたしのことは無視カ? どうせなら、まとめて相手してやるヨ」
 見兼ねた神月が信者達の前に立ち塞がり、その顔面を強引にホールド! そのまま、味見と称して生クリームの盛られた胸に、彼らの顔面を押し付ける!
「おら、どうダ? 美味いカ? 美味いよなァ?」
「んぐっ!? むぐぐぅぅぅっ!!」
 巨大な胸に顔面を埋められたことで、息ができなくなった信者達が次々に気絶して行く。大きな胸に抱かれて逝くのは本望かもしれないが、実際は単なる窒息であり、とてもではないが胸の感触を楽しむ余裕もなかったようだ。
「ひぇぇぇっ! 助けてくれぇ!」
「む……逃がさないよ。変態は、おしおきだからね」
 最後の1人もリリエッタにより気絶させられ、これでビルシャナは文字通り丸裸! 全裸を望んでいたのだから、むしろ肉の壁などないほうが本望であろう。
「これで邪魔者はいなくなりましたわね。……逃がしませんわ!」
 まずは、ルーシィドがビルシャナの足元にエクトプラズムのキャノンを撃ち込み。
「へっ、如意棒にはなぁ……こういう使い方もあんだよ! 行くぜ、火尖槍!!」
「真っ黒焦げにしてあげます! 螺旋忍法『願黑・陽焼去乱』!」
 小獅の燃え盛る如意棒がビルシャナの腹に突き刺さったところで、シフカの全身から放たれた光が、ビルシャナをこんがりと焼いて行く。
「先程は、よくも破廉恥な真似をしてくれましたね! ……万死に値します!!」
 そして、最後は雷光を纏った槍を構え、リーアがビルシャナへ一直線! 今までの借りを返さんと、武器を握る手にも力が入り。
「師より受け継ぎし技、いまこそ解放します! 戦棍術・紫電輪舞!!」
「ぐぇぇぇっ! そ、そんな馬鹿なぁぁぁっ!!」
 攻性植物と一体化しても、やることが同じであれば、末路も同じ。全裸で海にダイブせよと主張する変態鳥頭は、稲妻を纏った槍に貫かれ、そのまま感電して焼き鳥と化した。

●お買い物
 戦いの終わった店内は、再び元の雰囲気を取り戻していた。客も戻り、先程までの戦いが嘘のように、店内もしっかり修復されている。
「うぅ……今回も、酷い目に遭ったんだよ……」
 なお、理奈は食虫植物の溶解液のせいで服を完全に溶かされてしまったので、試着室の中で泣きながら着替えていた。ビルシャナがいつもと変わらないように、彼女の運命も変わっておらず。
「さて、それでは気を取り直して、ショッピングを楽しみましょうか」
「そうですわね。あ、リリちゃんには、この水着なんかが似合いそうですわ」
 一方で、シフカと共に店内を物色しながら、ルーシィドがリリエッタに際どいデザインの水着を勧めている。
「ん、これを着ればいいんだね」
 なお、リリエッタは知識がなかったのか、何の躊躇いもなく水着に着替えた。それを見た小獅の視線が、思わずマイクロビキニ姿のリリエッタに釘付けになり。
「ハッ、シャオ様の視線が! いけません冗談ですホントに着てはいけませんわー!?」
「えぇっ! い、いや……俺は……」
 ルーシィドに突っ込まれて思わず視線を逸らすも、時既に遅し。18歳になったばかりの少年には、今のリリエッタの姿は、少しばかり刺激が強過ぎたようだ。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月25日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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