黒騎士の守る向こう側

作者:寅杜柳

●死の機構
 ブレイザブリクと死者の門を繋ぐ転移門の狭間を黒鎧のエインヘリアルが一人歩いていた。
 剣を引きずり異次元の通路をただ徘徊する姿は既に生者ではないかのよう。或いは既に自我などないのかもしれない。
 呻く声に理性はなく、無機質に歩くその黒騎士こそが門番。
 その働き故に死者の泉に取り込まれ泉を守り続ける為の現象、機構と成り果てたエインヘリアルの姿であった。

「皆ちょっといいかい? ブレイザブリクの探索をケルベロスの皆が進めてくれたことで、隠し領域から死者の泉に繋がる転移門が発見できたんだ」
 集まったケルベロス達に雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259)は説明を始める。
「この隠し通路が双魚宮『死者の泉』に繋がっている事までは確認できたんだけど、当然のように死者の泉を守る防衛機構ってのがあってね。『門』という名のそれを突破しない限り死者の泉へ向かうことはできないみたいなんだ。それは黒い鎧のエインヘリアルの姿をとっていて、死んでも蘇り守り続ける守護者のような存在、死を与える現象が実体化したような不気味なヤツだね」
 ちなみにこの『門』は元々死者の泉だったエインヘリアルが死者の泉に取り込まれて昇華したなれのはてらしい、と白熊のヘリオライダーは説明する。
「死者の泉はエインヘリアルの生命線であり、死神の最優先攻略目標でもある。だからここにケルベロスが到達する事で一気に状況が動く可能性がある。自動で動いているこの防御機構を破壊するまでは此方の動きに気付かれる可能性は低いだろうけど、時間が経ったなら気付かれて封鎖されてしまう危険も高くなる。もしよければ皆の力を貸してほしい」
 そして知香は戦場についての説明に移る。
「まず戦場は魔空回廊のような異次元の回廊となる。障害物などはなく思う存分に暴れられるだろう。流れとしてはヘリオンから降下後、ヘリオンデバイスを装着した状態で隠し領域に向かい交戦を開始する形になると思う」
 道中の消耗は気にしなくて大丈夫だろうねと知香は言う。
「それで『門』については……見た目は黒い鎧のエインヘリアルで、意志とかそういうのは殆ど感じられない。ただ侵入者を破壊する為に自動で動いているロボットみたいな印象を受けた。攻撃は大剣を振るい衝撃波を飛ばしたり、異様な瘴気を放ち汚染してくるのが主なものとなる。時折鎧に紋様が浮かび上がって傷を修復したりもするみたいだ。ただ、戦闘力がこの空間では数倍に跳ね上がっている。決して油断できる相手ではないから全力で戦って打ち勝ってきて欲しい」
 そして知香は説明を終え、ケルベロス達に一つ付け加える。
「死者の泉へ到達するには『門』を42体撃破する必要があると予想されている。その後状況がどう動くかは分からないけれど……新しい力を得た今の皆なら何とかできると信じている」
 そしてケルベロス達を乗せたヘリオンが向かった先は東京焦土地帯、磨羯宮ブレイザブリク。上空で降下を開始したケルベロス達を見ながら知香はコマンドワードを叫ぶ。
「起きろ! ヘリオンデバイス!」
 その言葉と共にヘリオンから光線が放たれ、ケルベロス達の体に纏うようにヘリオンデバイスを実体化させた。


参加者
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
シル・ウィンディア(鳳翼の精霊姫・e00695)
伏見・万(万獣の檻・e02075)
進藤・隆治(獄翼持つ黒機竜・e04573)
氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)
リューイン・アルマトラ(蒼槍の戦乙女・e24858)
ファレ・ミィド(身も心もダイナマイト・e35653)

■リプレイ

●黒騎士の『門』
 死者の泉へと通じる隠し領域。
 ダンジョンを抜けその入り口に辿り着いた一行は装備確認を行っていた。
「近くに敵は隠れていないみたいよ」
 強化ゴーグル型のデバイスを装着したリューイン・アルマトラ(蒼槍の戦乙女・e24858)と悪の女幹部風の装束を纏うサキュバス、ファレ・ミィド(身も心もダイナマイト・e35653)の二人は周囲を確認中。金のヴァルキュリアの姿をしたビハインドのアミクスは、主であるリューインの傍に騎士の如く佇み警戒している。
「便利ね、これ」
 そう呟くファレ。道中もこまめに索敵していた彼女だが、非戦闘時限定とはいえ地形を見通し敵味方の大まかな位置を把握できるその効果はダンジョンのような入り組んだ場所では有用。ここまでの道中敵を察知し不可避の戦闘以外を避け消耗を抑えられた事にはこのその効果が大きい。
「んー、ディフェンダーのデバイスは戦闘用じゃなさそう?」
 アームドフォートに一体化した巨大機械腕を確認する鎧装騎兵の氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)。同じ護り手の相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)はいつもの格闘スタイルに加えて背中に二本の機械腕を装着しているが、それ自体は戦闘用の装備ではない。
「……今回はあまり活用できないが、有益な時は有益なのだろう」
 そう言う竜派の青年、進藤・隆治(獄翼持つ黒機竜・e04573)の装備するデバイスは靴型。追跡や逃走に効果を発揮するが今回その能力は活用し辛い。
 できる事で言うなら普段と殆ど変わらない、そうかぐらは思う。けれど、底上げされる力については増していると道中の戦闘で実感していた。
 一方、黒狼のウェアライダーである伏見・万(万獣の檻・e02075)は装備のレスキュードローンを思念で操り確認している。
 いざという時に仲間を避難させる為のドローンだ、緊急時に使えなければ非常に困る。
(「……暴走した時にゃどうなるかねぇ」)
 そうはならないようにするのは前提、けれど危機が迫ってしまえばどうなるか。
 だからこそ危機に陥らぬように仲間を支える。常備しているスキットルの酒精を煽るのは勝利の後でだ。
「それにしても門を護る騎士、か」
 背にジェットパッカー型デバイスを装着したシル・ウィンディア(鳳翼の精霊姫・e00695)が呟く。この先にいる騎士は門番の機構であり何度も復活するとの話だ。
「まぁ、何が居たとしてもその先に用がある故に取り除くだけだな」
 隆治の言うように、ケルベロス達がやるべき事は変わらない。
「それにしてもねえ、必要討伐数42ってのは洒落なのかしら?」
 死という言葉に掛けた死神ジョークなのか、少々気になるファレが冗談めかし言う。
「どうでしょうか。門番では答えないでしょうから突破してから、でしょうね」
 そう返した穏やかな竜人、レフィナード・ルナティーク(黒翼・e39365)はこの先の死者の泉に思う所がある。
 かつて死別した旧知の仲――そう言うにはもう少し近しい間柄の相手が死神にされ邂逅した一件以来、彼は死神とその周りについて独自の調査を行っている。
 泉について明らかにするには『門』を何度も撃破する必要がある。故に彼は今抱える私情を抑え、敵の撃破を最優先に定めている。
「ここを突破すれば死神との共闘も大詰めかしら?」
 かぐらの言葉通り、死神にとって重要な死者の泉への道が開かれれば死神も動くだろう。そうなればどう状況が動くかは分からない。
 そうこうして準備を整えたケルベロス達は、隠し領域の前に並び立つ。
「それじゃ頑張っていきましょー」
 あくまで自然体の調子でかぐらが言い、そしてケルベロス達は死者の泉への異空間へと踏み込んだのだった。

●新たな力と共に
 踏み込んだ異次元空間は平坦、障害物も何もなく死の不穏な空気だけが立ち込める空間だった。
「来たわ!」
 ファレが一方向を向き警告。彼女のゴーグルにはこの異次元空間の彼方より歩いてくる黒騎士の姿が映し出されていた。
 ――こちらの迎撃準備は万全。
「わたし達が用があるのはその奥、それを邪魔するなら……押し通らせてもらうよっ!」
 シルが星の輝きを宿す戦槌を構え、
「――その奥に用がありまして」
 押し通らせて頂きます、そう礼儀正しく有無を言わせぬ口調でレフィナードが告げ鎖を伸ばし、
「さあみんな、やっておしまい!」
 額に正気を補う地獄の炎を灯したファレが変形させた神撃槌より砲弾を放ち、それを合図に一斉に駆け出す。
 ファレの砲弾は黒騎士の剣に防がれつつもその初動を妨害、
「うーん、いかにも強そうな門番って感じね」
 その隙にかぐらがドローンを前衛周囲に展開、同時にシルが空へと飛び上がり、
「試させてもらうよ、新しい力っ!」
 ジェットパックデバイスで姿勢制御を行いながら狙い定めるは黒騎士の兜、
「流星の煌めき、受けてみてっ!」
 デバイスのブーストを乗せた流星の飛び蹴りは剣に衝撃をずらされるも、受け流された上で騎士の巨体をよろめかせる。
 そこに隆治の放った槌の砲弾が間髪入れずに命中、同時に跳躍していた青のツインテールの少女が空より急降下。黒騎士の頭を正確に蹴り飛ばす。強化ゴーグルにより引き上げられた集中力により隙を見極め放たれた一撃は黒騎士の足を止め、そこに背後に回り込んだアミクスが飛び掛かり大鎌を振るう。
 しかし騎士はその大鎌を黒剣で受け流すと、至近距離のリューインを切り裂かんと黒剣を腰だめに構えた。
 だがそこに泰地が飛び込み、
「盾役は任せろ! そう簡単に倒れはしねえぜ」
 そう言い黒騎士の振るう剣に蹴りを合わせ、青のレガースでその刃を受け止める。
 双方が弾かれた瞬間、レフィナードは鎖を前衛の足元へと伸ばし床に守護の陣を描き出す。更に泰地の纏うオウガメタルと万が纏う『獣』の姿を写し取ったオウガメタルが前衛に周囲に銀の粒子を展開し傷を癒やしつつ加護を与える。
 それを確認するや否や、左手の指輪より光の剣を生成した蒼風のエルフは黒騎士の懐に飛び込み喉元に光刃を高速で突き出す。だが黒騎士は人形のように体を背中側に倒れ込ませ回避、その状態から空ぶったシルに反撃の刃を叩きつけんとする。しかしシルの方もジェットパックの小刻みな噴射で軌道を変え回避、剣の慣性で体勢を立て直した黒騎士から距離を取る。
(「ちょっと目が回るかも……」)
 これまでの戦いでできなかった機動、熟練のエルフと言えどまだ慣れない。経験あるのみ、だろう。
「ぐっちゃぐちゃにしてあげるわ!」
 そしてシルの後退と同時にファレが叫ぶ。すると黒騎士の胴体が鎧ごと歪められ、鎧が捻じれに耐え切れずひび割れる。
 だが黒騎士の反撃。その傷口、そして剣から禍々しい瘴気が噴出。距離を取っていたケルベロス達へと波濤のように襲い掛かる。それらは庇いに入った護り手二人と一体が食い止める。
(「正直デバイスが無かったら結構苦労しそうね……」)
 生命力をごっそりと奪われる感覚を覚えるかぐら。矢張りこの『門』は普通のエインヘリアルの数段強い。その破壊力は普段であるなら直撃すれば一撃で瀕死に追い込まれかねない程だ。
「牽制は任せろ!」
 瘴気が薄れると同時、それを切り裂き黒騎士の懐に飛び込んだ泰地がその巨体の胴体に無数の蹴りを叩き込む。硬質な音、しかし連続蹴りの勢いは黒騎士を一瞬留めるには十分。
 更に地面スレスレの低空を滑り込むように飛び込んだ隆治の蹴りが黒騎士に星形のオーラを撃ち込み、加護を張り終えたレフィナードのチェーンソーの鎖刃が鎧を切り裂く。増幅された呪縛はまだ少し、けれども確かな手ごたえをレフィナードは感じていた。

 数合斬り合い、そして黒騎士が黒剣を振るう。その一撃を受けた泰地は即座に気合の咆哮、傷を癒やす。戦争時同様に体力が底上げされている上に攻撃に合わせた防具で備えているから一気に追い込まれる事もない。
 更にレフィナードの鎖が喰らいつくように黒騎士の鎧に絡みつく。
 普段なら躱されてもおかしくない序盤戦、しかしデバイスによる補助でここまで想像以上に攻撃を騎士に見舞うことに成功している。
 そして竜の力宿す槌を変形させたかぐらの砲撃が鎖に絡まれた黒騎士に命中して動きを鈍らせれば、黒騎士の頭上から墜落するような勢いでハンマーを振り下ろした隆治の超重の一撃が炸裂。
 進化の可能性すら断ち切るその一撃は防がんとした黒剣越しに黒騎士の体を凍結させていく。
 重ねられていく呪縛、それを厭わしいと思考したのか黒騎士は黒剣を掲げ瘴気を自身に纏わせる。
 鎧の隙間から吸い込まれていく瘴気により呪縛が塗り潰され傷口も塞がっていくが、相手自身のグラビティ・チェインを次元を歪める力に転換するファレの魔術による傷は酷く治癒し辛いもの。呪縛こそ祓えども傷自体の修復は想定以下に抑え込まれている。
 そして回復に回るなら攻撃の手が緩む、つまりケルベロス達に余裕が出来る。
「ウィンディア、援護するぜぇ」
 万がパズルを組み換え蝶をシルへと羽搏かせ、その加護を受けたシルがジェット噴射で黒騎士の頭上を取り、全てを凍てつかせる超重の鉄槌を振り下ろした。
(「しっかし詰らねえ奴だ」)
 万は思う。多少の意志があるなら挑発も吝かではなかったが、相対して感じた。これはただの機構、意志も何もあったものではない。
 俯瞰するように観察していたレフィナードも同じように感じていた。
 あくまで機械的に、行動の妨げになるレベルになれば解除するようなスタイル。姿こそエインヘリアルだが、ただの機械のように薄ら寒い。
 火力は確かに強烈だが敵は一体、手数と手厚い守りが揃っている状況ならばそう簡単には崩されない。
 ヘリオンデバイスの助けもあって、この空間での黒騎士の高い戦闘能力に対しケルベロス達は非常に優位に戦闘は進めていった。

●『門』を砕く
 そして戦いは続き、黒騎士が幾度目かの刃を振るう。
 その眼前にかぐらが割り込みアームドフォートで受ける。ミシミシと響く一撃だが、重圧により鈍らされている事もあり致命打を受けることなく防ぎ切れている。
 護り手であるケルベロス二人が黒剣の一撃を防ぎ、瘴気を息を合わせビハインド込みの三人で庇う事で被害は最小に抑えられている。ヘリオンデバイスの装着はサーヴァントには行われない為力の底上げはないが、アミクスも持てる力で十分に役割を果たしていた。
 そこにリューインの投擲した大鎌が回転しながら飛来、黒剣で弾き飛ばそうとするが間に合わない。剣をすり抜けその刃で深々と鎧を刻んだ大鎌に続き、隆治のナイフとレフィナードのチェーンソーの刃が連なる様に黒騎士に命中、呪縛を一気に増幅。
 妨害手二人は彼らが与えた分に加え、仲間達が与えた呪縛を種火としそれを増幅もしている。これまでは妨害手は攻撃を当てる時点で躓く事もあったが、ヘリオンデバイスの効果で精度が増している為殆ど外れていない。
 そして幾度目かの瘴気が後衛のケルベロス達を襲うも、
「させるかよ!」
 泰地が叫び飛び込み万への瘴気を防ぎ、かぐらがファレを守る。
「ドローン起動。集中モードで展開」
 癒し切れていなかった分の負傷も鑑み、かぐらは回復機能を持たせたドローンを自身の周囲に展開、体に響いていた瘴気の呪縛を祓いつつ負傷を癒やす。
 更に万がオウガ粒子を展開、底上げされた体力すら癒しきる勢いで治療を重ね、それにより活性化した感覚を以てシルがデバイスの加速を合わせた疾風の蹴りを黒騎士に見舞う。風の力を秘めた白銀の靴が黒騎士の胴に突き刺されば、
「アッハハハァッ!」
 息を合わせた様に同時に飛び込んだファレが狂笑しながら竜の力で加速させた槌を横薙ぎに振るい、黒騎士の体はくの字に折れ曲がり大きく弾き飛ばされる。
 暴力的、という言葉が彼女の攻撃を評するにはぴったりだろう。悪らしくその衝動に任せた攻撃――けれどそれは不思議と全体の作戦目標に一致していた。
 更に弾き飛ばされた地点に飛び込んだかぐらが雷の霊力を帯びた星座の長剣を神速で突き出し鎧の守りを砕き、そこにレフィナードの鎖刃の斬撃が命中する。
「喰い千切れ、飲み込め、塗り潰せ!」
 そんな彼に合わせ黒き獣が金の瞳を輝かせ咆哮、黒き禍竜を模した巨大な獣の幻影が黒騎士にその顎で喰らいついた。
 しかし、まだ黒騎士は倒れない。黒剣のみならず全身から瘴気を溢れさせ周囲を汚染せんとする。
 だが黒剣を握る手元が突如爆発、泰地が念を集中に引き起こされたそれにより瘴気の勢いが殺がれる。
 その瘴気から主を身を呈して庇ったアミクスの横を抜け飛び出したリューインが、空の霊力を纏う魔槍を黒騎士の鎧の破損部を狙い穿った。
「その身に刻み込んでやろう」
 そこに隆治の左腕――地獄で補ったそれの形が歪み、竜爪のようになったそれが黒騎士の鎧を引き裂き、更にファレの滅望砲から放たれた凍結光線が貫く。
「ここまで来たら、一気に押すよっ!」
 そしてシルが編み上げる魔術は彼女の切り札、増幅魔法を使用した精霊集束砲は元より威力特化の術だ。
 それにヘリオンデバイスの力を上乗せしたのならどれほどの破壊力になるのか。
「――六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 一対の青白き魔力の翼を展開し、放つ。
 防ごうとする黒騎士だがその身を覆う呪縛は回避も防御も許しはしない。精霊の輝きが黒騎士を飲み込み――あとには砕けた鎧の残骸が金属音を立てて落下し、そしてちりとなって消え失せたのであった。

●一歩、刻む
「さーて、他に敵はいないようね」
 戦闘時の酷く好戦的な調子からすっかり落ち着いたファレ、そしてリューインがゴーグルで周囲を索敵するも、今この空間にはケルベロス以外は何もいないようだ。
「これを向こうに感づかれるまでに42回か」
 泰地がうんざりしたように呟く。黒騎士は自動的に発生する――時間を置けば同じような存在が再び現れる。
 それら全てを討ち果たしてようやく死者の泉へ辿り着く事が出来るのだ。
「それにしても凄いわねー、これ」
「デバイスに頼りっきりにならないようにしないとね」
 装着されたヘリオンデバイスを感心した風に確認するかぐらにシルの言葉。
 確かにヘリオンデバイスは強力だ。しかし、使えなくなる状況も想定しておくのは重要だろう。
「それでは帰りましょう、どうにも嫌な気配がします」
 黒騎士撃破後も注意深く周囲を観察していたレフィナード、すぐに何かが起こる気配は認められないがこの空間の空気は相変わらず不穏なままだ。
「んじゃま、帰ろうぜぇ」
「家に帰るまでが遠足と言うしな……遠足ではないが」
 万と隆治が同意し、ケルベロス達は異空間の出口へと駆け出した。

 そして、『門』より一つの勝利を勝ち取った彼らは誰一人欠けることなく、無事地上へと帰還したのであった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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