しびとの遵奉

作者:黒塚婁

●『門』
 捻れ、歪んだ奇妙な空間――不規則に、何かが地面を擦る音がする。
 重くて、鈍い、不穏な音。断続的でありながら、それはある周期で進み、停まる――どうやら、一定の距離を彷徨いているようだ。
 音を立てながら遠ざかって行ったそれは、やがて、元の場所に戻ってくる。
 ざりざりと地を削るは重い剣。
 先程から聴こえる、不安を駆り立てるような音は、長き切っ先が擦り、たてる音である――刃毀れの心配など不要そうな長重の得物。
 黒き甲冑に身を包んだそれは、無機質な動きをもって、この地を永劫警邏し続ける。
 そこに疑念が紛れ込む余地などない。無聊を憶えることもない。
 我ぞ――死者の泉を守る『門』であるならば。

●新しき任務、新しき力
「ブレイザブリクの隠し領域より、死者の泉に繋がる転移門を発見した」
 集ったケルベロス達を一瞥すると、雁金・辰砂(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0077)はそう切り出した。
 発見したのはリューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)――彼の探索が実り見つかった転移門は、双魚宮「死者の泉」へと繋がっているようだ。
 然し、行く先こそ確認できたものの、到達には問題が残っている。
 死者の泉を守る防衛機構『門』の存在だ。
 それらは、『死を与える現象』が実体化したような黒い鎧のエインヘリアル――死んでも蘇り『門』を守り続ける守護者である。
 それは、もう個ではなく。あくまでも死者の泉の防御機構であるため、個体が死亡しても、次の個体が再び出現する。
 ――ゆえに彼ら黒騎士には名前も無く、己を、『門』とのみ名乗る存在だ。
「死んでも蘇る――だが、無尽蔵ではあるまい。貴様らには、その一矢として向かって貰いたいということだ」
 辰砂はそう告げると、ひとつ区切る。
 戦場は、魔空回廊のような異次元的な回廊――転移の通路は、過去の例に漏れず、番人の戦闘力を強化する仕組みが或る。
 歴戦を経たケルベロスといえど、この地で剣を交えるならば、苦戦は免れぬ相手であろう。
「門は死者の泉の防衛機構。ゆえに、奴らと戦おうとエインヘリアルに即座に勘付かれることはない――状況を利用した、死者の泉の迅速なる攻略こそ、エインヘリアルの隙をつく奇襲となり得る」
 そこまで説明を終えると、彼は思いだしたように、ああ、と零す。
「ヘリオンデバイスの力も使える。大いに利用してほしい」


参加者
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)
輝島・華(夢見花・e11960)
アトリ・セトリ(深碧の仄暗き棘・e21602)
レイリア・スカーレット(鮮血の魔女・e24721)
ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)
款冬・冰(冬の兵士・e42446)

■リプレイ

●遭遇
「ブレイザブリクの内部に『死者の泉』――更なる深部に通じる隠しルートがあるのではないかと思っていたが、まさか本当に存在していたとはな……」
 リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)は青き双眸を細め、囁いた。だが、言葉で肯定されただけで、実感は未だ薄い。それを目の前に迎えるには、この空間を制覇せねばならぬ。
「異次元の回廊ですか……」
 興味深そうに翡翠の瞳を瞬き、カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)は周囲を眺めた。
 制限の無さそうな、何処までも広がりを感じる空間ながら、窮めて息苦しい不気味な雰囲気が漂っている――だが、此処には何も無い。即ち門の向こう側、である。
 重要なものの守護者とは、どんな強敵だろうか。微笑みの裏でカルナが考えていることは、そんなことだが。
「門か……かつては私も此処を通ったのだろうか――それも記憶から洗浄されたか」
 ヴァルキュリアであるレイリア・スカーレット(鮮血の魔女・e24721)は、泉へと通ずるやもしれぬ彼方と視線を送る。懐かしさのようなものも、思慕も浮かばなかった。
 彼らが周囲を観察できたのは、そこまでであった。
 まだ見渡せぬ闇の向こうから、ずるり、ずるりと、何かが擦れる音がする。
「おや――いらしたようですよ」
 朗らかな声音と共に、兜より溢れる炎をひときわ明るく燃やすはラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)――その炎の在り方こそ、彼の感情の吐露。
 ああ、敵が来た。その喜び。
 エインヘリアルを素とする巨大な敵は、長躯に相応しき大剣で地を轢いて、ゆっくりと此方に向かってくる。気付いたというよりも、巡回の路であるという機械的な動きだ。
「死者の泉を守る門番……何とも不気味な存在です」
 臆して退くような積もりはないが、その在り方に命を感じられず、輝島・華(夢見花・e11960)はつい傍らの箒型ライドキャリバーであるブルームに身を寄せた。
「――あくまでも、装置のような存在ということなのかな」
 その四肢の動きを、予め頭に叩き込めるなら有り難いと、アトリ・セトリ(深碧の仄暗き棘・e21602)は鋭く見つめながら言う。
 黒きウイングキャットのキヌサヤも既に翼を広げて哨戒にかかっていた。隙が無い。款冬・冰(冬の兵士・e42446)は大きな瞳で同じく敵を見つめる。
「新しいことを試す、良い機会」
 彼女の冷静な声色と、変わらぬ表情は機械めいている。けれど、何かのため打ち砕こうという心がそこにあるのは解る。
 ゆえに、藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)は軽く目を伏せた。
「永劫に死者の泉を守り続ける『門』――殺すか、将又殺されるだけの存在……」
 瞳の色を隠す眼鏡を外し乍ら、囁く。
「――死を冒涜する意味では、ある意味なんと死神らしい機構でしょうね」
 穏やかな口調でありながら。隠しきれぬ底冷えのするような声音には、死神への嫌厭が滲んだ。しかし、冰が軽く仰ぎ見た景臣は、藤色の双眸にあわく憐憫を備えていた。
 門が、こちらを見た。
 互いの認識が交わった瞬間、空間そのものが牙を剥いたような殺意を孕む。されど、
「さっさとこの回廊ごとやっつけてしまいましょう」
 カルナは朗らかに笑い、地を蹴った。

●飛翔
 背負っていた人工翼を広げ、冰が浮かぶ。地から足が離れる感覚は不思議だが、違和感は無い。地を蹴るような動作もイメージ通りにできそうだった。
「ではカゲオミ、予定通り使用」
 ええ、と同じく景臣も『ジェットパック・デバイス』により、浮いていた。デバイスより伸びた光線が仲間達を牽引し――飛翔させた。
 コードに託されし願いは『疾し殲滅を』――実体化された装備は、ケルベロス達にも力を分け与え、加速する。
 ヲォオオォオ、迎え撃つ『門』は猛々しく吼えた。
 思ったよりも肉の伴う声であった。その身体を包み闇が震え、地を伝って奔る。出鱈目な方角に伸びた鎖が、ケルベロス達に襲い掛かる。
「開門の術がなければ抉じ開けるまで、だね――中々に分かりやすい」
 小さく笑ったのはアトリだ。
 敢えて地を踏んだ儘の二人と一体。リューディガーが闇を斬り裂くように細剣を振るい、アトリは軽やかな蹴撃で応じた。ブルームも正面から鎖を受け止める。
 その衝撃はいくらか緩和されると同時、牽引された皆に等しく届いた――それでも著しく強化されている門の力に、レイリアは怜悧な眼差しで相手を貫く。
「強敵でしょうが負ける訳にはいきません。新たなる力とともに皆様をお守りします」
 華がすかさず杖を掲げた。
 雷の壁が、前に立つ三者を守るように癒やす。
 後衛を守るべくキヌサヤが羽ばたく姿を確認したアトリは、立ち塞がる巨躯を真摯と見つめ、どんな動きにも対応できるよう注視しながら、風を喚ぶ。
「危難を祓う護りを…!」
 右手の中指の蒼き石が煌めく。護りの力を持つ向かい風を受けながら、リューディガーがヒールドローンを放つ。
「ヘリオンデバイスの力、見せてもらおう」
 次へ備える力は飛翔したものたち全てを癒やしていく。
 突出したブルームが激しく回転しながら、門へと躰を打ち付けた。
 なるほど、とラーヴァは高度を上げながら、デバイスの力を確認する「飛行も一度やってみたかったのですよ」と嘯いてみたが、まさか門を眼下に見下ろし戦うことになろうとは。狙撃手としては願ったりの状況だ。妨害の力もそのままだというなら、尚愉快だ。
「『門』『防衛機構』……良いですね 嫌いじゃあないよそういうの――機能に生きる貴方に敬意を。我々は破壊する者でございます」
 宙で取り回すことは考えておらぬ機械仕掛けの脚付き弓、きりりと金属の弦の音を鳴らしながら引き絞る。
 放つは、エネルギー光弾。相手の力を中和させ弱めるもの。
 合わせて錐揉みの如く落下するは、レイリア――軌跡に流星を散りばめながら、それの頭部を確り狙う。
「かつては勇猛なエインヘリアルであっただろうに、随分と悪趣味な真似をする――もっとも、かつてはただ任務に忠実であっただけの私に言える事ではないか」
 誰に向けたわけでも無い言葉は、淡淡として感情を滲ませぬ。されど、密かに眉を顰めていた。
(「……己の意志など要らぬと、愚かだった過去の私を見ているようで、不愉快だ」)
 白銀の足が、重力を伴って敵の頭部を強か撃つ。
 蹴り上げながら、優雅に舞い上がりながら、彼女は名乗りを上げた。
「我が名はレイリア・スカーレット。兵站と看取りを司る者として、貴様を討ち滅ぼす」
 いらえは無い。門は無言で、次の一撃へ備えるよう剣を構えた。
 刹那、轟くは、竜の咆哮に似た衝撃。カルナの腕で煙を吐くハンマーがその元であった――飛翔しながら戦うことは滅多にないが、翼を持つものとして、彼が竜砲弾の反動に吹き飛ぶようなこともなく、高度を維持している。
 砲撃は斯くて門の背を捉え、爆ぜた。
 然れど、揺らぐ事もなく。甲冑に焦げ付くような痕だけ残し、門はあった。
 目まぐるしく位置を変える敵の動きへの戸惑いもないようだ。その様に、カルナはつと零す。
「門達は死後も身体を利用れ続けているという事でしょうか――それは、敵ながら気の毒なような……」
 そこまで言い、軽く頭を振った。そんな事まで気に掛けていては、こちらの気持ちが揺らぐ。この門を、その運命から救うことなどできぬのだから。
「今この時の邂逅を楽しみましょう」
 そうですね――彼の言葉を耳にした景臣は、断片より紡いだ光の蝶を纏いながら、深く頷く。
「兎にも角にも、今はあの騎士を――残機が尽きるまで斬るだけです」
 仲間のため、地球のため――己が為に斬る。言葉を飾っても仕方在るまい。己はこの戦いを、解放などと嘯くまい。
「……それこそ、自己満足でしょう?」
 門を見下ろし、問いかける。丁度、脇へと迫る、一直線に伸びる白き光が見えた。
「一刀にて、積もる命を月並みとする。」
 冷ややと宣告し、魔法で生成した氷の剣を冰は垂直に振り下ろす。雪崩の如く、冬月の如く、氷華を散らすが如く――垂直、円弧、鋭く払い。氷の礫を纏うような白刃は流麗な奇跡を描いて、甲冑に創を刻む。
 彼女の小さな身体からは想像も付かぬ苛烈な剣戟。然し、全てを負えると、その剣は自壊し、溶けゆく。
「――冬影『乱れ雪月華』」
 そっと囁く演舞の名。彼女の躰は翼を広げて急上昇し、間合いを離れる。
「戦争時同様の威力向上を確認」
 振るって解る――今までよりも格段に威力が高まっている。
 尤も、その絶技を受けても、地に伏さぬ敵の頑強さを、冰はただ冷静に見つめた。

●終決
 凄まじい剣風が、平坦な地を抉った。
 身体捌きで身の丈を越える刀身を躱し――然し完璧ではない。小型の鎌で無理なく力を逃がしたつもりだが、腕はぎしりと軋んで痛んだ。恐ろしい膂力だ。
 その儘、刃を離さぬよう押さえながら剣の内側へと身を滑らせ、アトリはブーツの踵を鳴らすようにステップを踏めば、黒い蓮の花弁が舞う。足りぬとみるや、すかさず華が杖を彼女に差し向け、雷を放って、傷を完全に塞ぐ。
 黒蓮が消えゆく前に、次は幻の薔薇が舞い始める――。
 短い発声と共に、リューディガーが踏み込んでいた。華麗なる剣戟が閃いて、門の躰を斬りつける。
 彼らが足元を躍ると同じく、頭上より飛来するは――不可視の魔剣。
「穿て、幻魔の剣よ」
 カルナが魔力を圧縮させて生成したそれと合わせ、レイリアが突き出すは銀の槍。全てを拒絶するような刃は、空の霊気を纏い、鎧の隙間に刺さった魔剣を通して、更に深く傷を斬り開く。
 ふわりと躍る、儚き紅蓮――陽炎ばかりが揺らめいて、その幽玄の狭間に景臣は居る。
「――火加減は苦手でして」
 鋭く抜き撃つ一刀は幻に非ず。甲冑の腕をすっと引いて、芯を灼き焦がす。
 ふたつに分かれた白き如意棒を巧みに操り、冰は守りに入った両腕を叩き払う。ピッケルのように飛びだした牙をねじ込んで、破壊を深める。
 門の傷口からは、黒く揺らめく影のようなものが、血の代わりに溢れていた。凝り、闇色に染まった戦士は言語に落とせぬ咆哮を放ち、ケルベロス達の中央を駆った。
 頭上できらりと輝くは、炎に照らされた甲冑。ラーヴァは獲物を眼下に、然れど頭上に向かって矢を射る。
「我が名は熱源。余所見をしてはなりませんよ」
 地獄の炎が門の上から降り注ぐ。炎の直瀑を受けたそれは剣を振り上げた儘、止まらぬ。黒と朱が混ざり合い、奇妙な残像が視界を横切る。
「来て、ブルーム――」
 華が気持ち、声を張って呼ぶ。急加速した花咲く箒は、そのまま門へと体当たりしていく。新たな力は得られぬサーヴァントであるけれど、臆さず死を孕んだ刃を受け止める。
 全力の衝突に、砕けそうな音が距離をとった皆の耳まで届く――キヌサヤが羽ばたき、風を送る。
「比較。弱体確認――しかし」
 冰の言葉に、充分ですとカルナが微笑んだ。
「攻撃は最大の防御ですから」
 伸ばした左腕から、白梟が飛び立つ。魔力の弾丸となった相棒が、剣を押さえ込まれている門の肩を貫いた。
 それを切っ掛けに躰が傾いだことで、門は剣を振り上げ、解き放たれた。
「目標捕捉……動くな!」
 警句と共に、リューディガーが発砲する。それは兜の額を穿つ。
「飛べなくても、届かせて見せる――!」
 門の腕から肩を一息に駆け上がったアトリは、鎌を短く振り抜いた。虚の力が、兜を割ってその死の力を吸い上げる――顕わになった顔は闇に覆われ、見えなかった。
 彼女は、直ぐに跳び退く。
「鎧の弱い場所は、よく知っていましてね」
 入れ替わり、ラーヴァが光り輝く呪力と共に斧を振り下ろせば、背を守るパーツを砕く――門の全身に亀裂が走っていく。
「さあ、よく狙って。逃がしませんの!」
 華が柔らかく合わせた掌をそっと開く。溢れだす魔力で生成された花弁が、彼女が紡いだ風に乗り、門を取り囲む。
 斬り裂く花嵐が容赦なく巨体を翻弄し、闇を周囲へ撒き散らす。
 どちらも掻き分けるように、人工翼を折り畳んだ冰が、獲物を定めた猛禽が如く急降下する。
「一刀にて、積もる形骸を――」
 再度、奉じる冬影「乱れ雪月華」は苛烈なる冬を刻みこむ。
 対面より門へと斬り込んだ景臣は、影の如く。その存在は寄り添うように其処にあった。閃く一刀の耀きは冴え、打ち砕かれた鎧の隙間を縫って、腹を貫いた。
 集中を高めるように、レイリアはひとつ息を吐く。
「貴様に恨みは無いが、その在り方は不愉快極まる。そろそろ、消えて貰おうか」
 彼女の翼が、氷の結晶の如く鋭利に――より紅く、輝き出す。
「――貴様を、冥府へ送ってやろう」
 周囲の冷気を集約し、その手に生成されるは、冥府深層の冷気を纏った氷槍。身体をしなやかに撓らせると、全力で投擲する。
 白氷の煌めきは、闇を吐露した胸の中心に吸い込まれ――核を貫く。
 闇が爆ぜて、門は形を喪っていく。
 それを静かに見守りながら――いつか集めた勇者の果てではなかろうが、これもひとつのけじめかもしれぬ。思いながら、瞳を閉ざした。

●撤退
「うーん、何も見えませんね」
「――ああ。そして、嫌な予感がする」
 カルナと、レイリアが『ゴッドサイト・デバイス』を装着して、それぞれに告げる。見えない、というのは敵などが全く観測出来ぬという意味だ。
 レイリアのは予感のようなもの――何も見つからぬ以上、早々に撤退を決めていた方針に従い、直ぐに行動すべきだという提言だ。そして、それは正しい判断であった。
「ん、帰るまでが任務」
 戦果と、この報告を伝える事が重要だと、冰は真面目に頷く。
「はい、そうですね」
 華は青紫色の瞳を優しく細めた。ブルームもその近くでじっと撤退の合図を待っていた。
「『チェイスアート・デバイス』の力は、発揮できなかったね」
 キヌサヤに警戒に回って貰いながら、アトリがそういえばと振り返る。
 良いことですけどね、とラーヴァは肩を竦めた。炎を大きく揺らして、溜息を零す。
「適材適所というものです。まぁ、いつかの機会に期待しましょうか」
 この撤退に試してもいいのですが、と己のグリーブを見つめる。彼の膝から下は風除けのように鋭利に尖らせたようなフォルムの装備を増やし、それは常に陽炎で揺蕩っているようだった。
「さて、予想によればまた門が復活するのだったな――そうなる前に、急ごう」
 リューディガーが皆に声をかける。泉側から離れれば、そう遠くまで追ってはこないだろうが、回廊にいる間は気が抜けぬ。厳しい眼差しを、門が顕れた方向へ注ぐレイリアを一瞥し、彼は続けた。
「――いずれエインヘリアル、そして死神陣営と雌雄を決する日も訪れよう」
 その言葉に首肯し、景臣は熱を覆うように眼鏡をかけた。
 喪われたものは戻らない。死を弄ぶ者達へ、この一刀にて刻んでみせよう。
「――また、近いうちに」

作者:黒塚婁 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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