翠と剣風

作者:崎田航輝

 翠の葉がさらさらと揺れて、快い音を響かせる。
 何処までも続く竹林は、陽光をも淡い緑に染めるようで、長く続く路に幽玄な趣を与えていた。
 京の都、小山と街の間に伸びる道は、左右を挟む竹の景色に風流に彩られている。
 竹林は道から高度が上がっていく形で傾斜となっていて──伸びる幹その根元も天頂も、遠くになるに連れて天に近づいていくようだった。
 空までもを満たすような、翠色の世界。散歩道ともなっているそこには、俗世から距離を置こうとするように、途切れず人々が訪れる──けれど。
 人が容易に登れぬはずの竹林の中から、さらりと音が鳴って影がちらつく。
 人々は違和感に視線を上げて──そこで始めて気づいた。そこに現れたのが、人を超える丈を持つ巨躯の男であることに。
「剣戟を誘う風──」
 吹き抜ける爽風に長髪を揺らし、長刀を抜き放つそれは罪人、エインヘリアル。
「ならば、剣を振らぬ謂れはあるまい」
 瞬間、言葉とともに、和装にも似た衣を棚引かせて刀を振るう。
 切り捨てられた人々が斃れゆき、悲鳴がつんざく。その中で罪人は心の赴くままに──殺戮を続けていった。

「集まって頂きありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
「本日出現が予知されたのはエインヘリアルです」
 アスガルドで重罪を犯した犯罪者。コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれて送り込まれる、その新たな一人だろう。
 放置しておけば無論、人々が危機に晒される。
「そこで皆さんには、この敵の撃破をお願いしたいのです」
 戦場は竹林のある自然の景色。
 細道を谷にするように、V字型の傾斜が広がっている環境で……傾斜はその全体が竹林となっている。
 エインヘリアルは傾斜の中腹辺りに現れ、道へ降りようとするようだ。
「こちらはそれを阻止する形を取ります」
 敵出現前に現場につくことが可能だ。
 傾斜の上方や中腹付近で待ち伏せしたり、道で人々を守る形で位置しておくと良いだろう。
 なお、予知がずれてしまうので道を歩む人々の避難は事前には行えない。
「戦闘開始と同時に護りながら逃がす形となるでしょう」
 敵も相応の実力を持っているので注意を、と言った。
「それでも、皆さんならば勝利をつかめるはずですから。是非、頑張ってくださいね」
 イマジネイターはそう声音に力を込めた。


参加者
呉羽・律(凱歌継承者・e00780)
スウ・ティー(爆弾魔・e01099)
レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)
ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)
山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)
四季城・司(怜悧なる微笑み・e85764)
佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)

■リプレイ

●迎撃
 絹地のように優しい風が、翠に色付いて見える自然の只中。
 白妙の髪を揺らす涼しさにレンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)は視線を巡らせていた。
「Bambus……竹林の風景ってまさに日本って感じだよな。森には馴染みが深いが、また違う独特な感じで──」
 傾斜を仰ぐと、遠景の青に竹の翠が溶けて行くようで。
 深いのに、何処までも透き通った印象を抱かせるから──四季城・司(怜悧なる微笑み・e85764)も視線を惹かれている。
「翠の葉が綺麗で……こういう竹林は風情があって良いよね」
「そーだな。まぁ、嫌いじゃねーぜ」
 レンカも頷いて軽く笑んでいった。
 けれど──「ゆっくり堪能してみてートコだが」と目線を上げて。
「まずは招かれざる客にさっさと退場してもらわねーとな」
「うん。風情が分からず殺戮しか考えないエインヘリアルは……退治してしまおう」
 司も応えて見据える先。
 竹林の遠くで揺らぐ気配を確かに感じていた。
 その姿に最初に気づいたのは佐竹・レイ(ばきゅーん・e85969)。
 竹がそよぐ音は耳に心地良く集中力も高まる。故にでもあろう、目だけでなく耳も澄ませて、竹の間に垣間見える巨影をいち早く発見している。
「居たわ、あそこよ!」
「では始めようか」
 と、道行く人々を背に守っていた呉羽・律(凱歌継承者・e00780)は、それを機に彼らへ言葉を向けていた。
「俺達はケルベロスだ。敵の出現があった、速やかに避難してほしい」
 その声音には、はっとするものも少なくない。
 近場には既に気づいている者も居たけれど──。
『“銀翼の騎士”の呉羽・律?』
『本当だ。来年の“ブレードダンス”、私今から楽しみなんだけど……』
 歌劇団SEASONSの看板男優ともなれば、注目が広がるのも当然の事。そうして集まった視線を利用しつつも、律は皆へ離れるよう呼びかけていく。
 怖がっている者がいれば、ライドキャリバーの藍に乗ってやってきた山科・ことほ(幸を祈りし寿ぎの・e85678)が、ひらり。
「大丈夫だよー! 敵はしっかり私達がやっつけちゃうからねー!」
 道に降りて皆の背を押すように声を張る。その明るい声が元気を与えたろう、立ち止まっていた人々も移動を始めていた。
 レンカも殺界を形成して人波の逆流を防いでいる。その頃には林から和装の巨躯──罪人エインヘリアルが姿を現していた、が。
 その瞳が人々を捉えるより先に、上方の林よりばさりと降りてくる影がある。
 白と銀の毛を靡かせながら、罪人の眼前にふわりと着地したランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)。
「よお、テメエに会うのは初めてだが──外道に、増して死に逝く奴に挨拶はいらねえな」
 言いながら、いや、と一度だけ首を振って。
「やっぱ気が変わったぜ。コイツを挨拶代わりにくれてやる!」
 瞬間、嵐の如く剛速で翻って一撃、強烈な蹴撃を叩き込んでいた。
 幾重かの葉を落としながら後退した罪人は、成程、と刃に手をかけている。
「剣戟を誘う風に従ってみれば……番犬と出遭ったか」
「──はぁ、嫌だねぇ」
 と、敵の戦意も何処吹く風というように、やれやれと肩を竦めるのはスウ・ティー(爆弾魔・e01099)だった。
 うんざりしたように、しっしっと手を振って。
「争いを誘う風なんて吹くかよ。軽々しく鉄火場拵えてくれなさんな」
「そーそー。格好付けてんじゃねーよ、罪人」
 言って戦線に加わるのはレンカ。砲口を真っ直ぐに定めると眩い魔力を装填している。
「無抵抗の相手を嬲って粋がるつもりならダセー事この上ないぜ。サムライを気取るつもりなら、オレらが相手してやるよ」
 かかってきな、と。
 挑発と共に発射する豪熱の焔が、白色に閃きながら巨躯の膚を灼いていた。
 火力に感心するよう、鍔に手をかけながら──スウも追随。かちりとスイッチを押し込んで巨体の足元を爆破し後退させる。
 その間にランドルフは、未だ逃げずにいた人々を見つけると顔を向けて。
「写真映えにゃ自信あるが大概にしとけ! あの世にスマホは持ち込めねえぞ!!」
「そうだぞー。ここは危ないからあっちに逃げてなー」
 と、そこへリーズレット・ヴィッセンシャフト(碧空の世界・e02234)も羽ばたいて。誘導するように、残っていた人々を逃していた。
 それが済めば、すぐに前線へと加わって──。
「ひびちゃん、頑張って働くのだぞ♪」
 わしゃ、と撫でてあげた匣竜を飛び立たせる。
 蒼の毛並みをふわんと揺らす響は、応えるようにリーズレットへ光を注ぎ耐性付与。リーズレット自身はダークブルーの鎖を撓らせて耀く魔法円を描いていた。
 そこから溢れた光が前衛へ護りを齎していくと、罪人もまた踏み込んで攻撃を始めようとしてきていたが──。
 ──鋭き光の剣歌よ。
 ──我等に勝利を与え給え!
 朗々と声音が響いて旋律を紡ぐ。それは律が唄う『第三の凱歌』──光の加護で鋭き力を与える美しき祝福。
「さあ、今だ」
「ええ!」
 その力を活かすよう、応えたレイが疾駆。滑り込むように蹴りを加えて巨体の機動力を奪っていた。
 よろめきながら、罪人も刃から迅風を放つ。
 だが前衛が負った傷に、ことほが鎖を踊らせて光を振り撒いて、癒やしと共に護りも施していけば──。
「藍ちゃん」
 声に応じて奔り抜ける藍が突撃。火の粉を弾けさせながら巨体へ反撃を与えてみせた。
 罪人が一歩下がれば、その一瞬に司がレイピアを抜き放つ。
「僕の剣技を避けてみなよ」
 風裂く所作でその剣先を振り翳すと、放たれるのは明滅する衝撃波。
 『紫蓮の呪縛』──縛り付けるように、斬り裂くように。渦巻く斬撃の塊が罪人の全身を鋭く抉ってゆく。

●剣戟
「……見事な腕だ」
 血の雫を零しながらも、罪人は何処か喜ばしい様相でもあった。予想を超える強き敵の存在をまるで歓迎するように。
「それでこそ斬り甲斐がある。そして命を賭した研鑽にも」
「研鑽、ねぇ。強さを求めるストイックな姿勢は見習わなきゃいけないかも、だけど」
 レイは言いながらも首を振る。
「それが誰かを犠牲にしていい理由にはならないはずよね」
「大体、幻想的な場所に血生臭い大男なんざ不釣り合いだぜ」
 レンカも腰に手を当て言ってみせれば──リーズレットも頷いた。
「お前を野放しにしておいて被害を増やすワケにはいかない。だから、ココで撃破し阻止してくれる」
 真っ直ぐな声音に意志を込めて。
 翳す手から揺蕩う魔力を編むと、不可視の鎖にして射出。『黒影縛鎖』──影を奔らすように瞬く間に躰を縛っていた。
 そこへ飛び込んだランドルフが、豪腕に旋風の如き螺旋を渦巻かせて一撃。苛烈な掌打で巨体を吹き飛ばせば──。
「いいタイミングだね」
 仄かに上がる砂塵の中、スウが起爆装置に手をかけていた。
 罪人は宙で足掻く挙動を取る、だがそれで下方の爆破を防ぐことはできず──隠れた目元でスウが微かに笑みを浮かべて見せた直後、強烈な破砕音。
 直下に埋められていた爆薬が弾けたかと思うと、無数の礫が刃のように巨体を穿って血煙を上げさせる。
「さ、これで隙だらけだ」
「gut.畳み掛けてやるよ」
 粉塵も晴れぬ中、傾斜を一直線に駆け上がるのがレンカ。罪人は地に脚をついて体勢を直そうとするが──遅い。
「やらせねーよ」
 足下で魔力を発破させたレンカは、前方宙返りして一撃、鮮やかな踵落としを叩きつけてみせた。
 地に膝をつく罪人は、呻きながらもすぐに立ち上がろうとする、が。
「その動き、封じさせて貰うよ!」
 無数の竹を縫うように空中に奔る光。
 翼を煌めかせ、粒子の軌跡を残しながら司が飛翔していた。一瞬の内に頭上へと到達した司はそのまま一撃、星を落とすが如き蹴撃を見舞う。
 再度よろける罪人が、それでも刀を振り回そうとしても──グリップをしかと握りしめ、デリンジャーの銃口を突きつけるのがレイ。
 狙う敵の、端正な面立ちを見れば微かに困惑はしてしまう。だがその思いに攻撃の手を緩める事はなく。
「銃は剣よりもつよーし。知らないの?」
 翠の間にフラッシュが閃く。
 罪人はとっさに刃に火花を散らして逸らすが──弾丸は一発、二発、無数。巨躯が刃を動かすよりも早く翔ける衝撃が、その膚を確かに貫いていった。
 弾線を避けるように、罪人は縦に跳び刃を振り下ろす、が、そこへふわりと飛ぶ姿。
「通さないぞ」
 黒と紫のグラデーションを持った翼をはためかせるリーズレット。ブルースターの花を仄かに揺らし、宙で阻んで攻撃を受け止める。
 直後にはことほが上方へ腕を向けて、その掌を輝かせていた。
「それじゃ、受け取ってねー」
 清らかな光が翅となり、形を成していくのは小さな蝶。
 ひらひらと鱗粉を零しながら昇っていくその煌めきは、躰に溶けゆくと共にリーズレットの苦痛を祓い、癒やしを齎していく。
 その間に傾斜から跳んでいた藍が巨躯へ突撃。間合いを作り出すと──律が腕輪に擬態していたオウガメタル、ノクから粒子を燦めかせて強化と治癒を兼ねていた。
「これで問題はなさそうか」
 呟く律は、既に着地している罪人の眼前。刀を構える巨躯へ自身も刃を抜いている。
「剣戟を望むのならば喜んで相手をしよう。剣を扱う者同士──最高の剣戟を魅せようじゃないか」
 『ブレードダンス』は剣舞が主題の演目。ならばそれを演ずる主役が、生半可な剣を振るうわけにはいかないのだからと。
 罪人が横薙ぎした刹那、律は刃を縦に向けて受ける。
 それを角度をずらしていなすと連閃、返す刀で流麗な斬撃を刻み──巨躯がよろければ、最後にノクの魔力による爆破を畳み掛けた。
 罪人は血を零しながらも反撃を狙う。だがその頃には司がバレルロールをこなすように至近距離に入って──。
「紅蓮の炎に、焼かれてしまえ」
 纏わせた焔の全てを撃ち込む蹴り落とし。爆炎を伴う一撃で巨体の表皮を灼け焦がす。
 罪人は堪らず後方へ下がるが──それを超える速度で、ランドルフが既に坂を駆け上がっていた。
 こうして奔ると、吹き下ろす風も翠の香りも一層強く感じられるから。
「いい風だ、気分爽快ってヤツだな」
 なら、と零距離に迫って。
「無粋な敵さんをとっとと片付けて、ゆっくり味わわせてもらおうか!」
 瞬間、ナイフで一閃。横に抜けながら胴を薙ぎ、血煙を噴かせてゆく。

●翠風
 短い静けさに、風による葉鳴りが響く。
 仰ぎながら、罪人は血混じりの吐息を零していた。
「……これ程とはな」
 呟く声音には己の死を垣間見る感情が滲んでいる。それでも逃げはしないと、居合の構えで地を蹴ろうとするが──。
「動かせないぞ!」
 リーズレットが振るった鎖から魔力の光線を放ち。巨躯の足元を硬化させた。
「みんなもお願いだ!」
「了解だよ」
 応える司もすかさず剣を横一文字に振り抜いて、紫に赫く波動を発射。巨躯に巻き付かせるようにその動きを鈍らせる。
 その機を逃さず、ことほは手にパズルを握り締めていた。
「よーし、行くよレイちゃん!」
「ええ!」
 頷くレイも照星にしかと巨体を収めている。間合いは遠くない、敵の挙動も鈍化している、ならば間違いなく。
「外さないんだから!」
 氷の結晶が飛び散るように、六方向に蒼のフラッシュを燦めかせて──飛んだ弾丸は違わず巨躯を貫通する。
 同時に息を合わせたことほが竜を象る雷を放ち、眩い火花を散らせながら罪人の躰を灼いていった。
 ふらつきながら、罪人は藻掻くように刀を振り上げる。が、そこへ奔った律が刃を振り抜いて、巨躯の刀を弾き飛ばしている。
「そこまでだ」
 罪人がはっとした一瞬、銃を向けているのがランドルフ。
「喰らって爆ぜろ、瘋癲野郎ッ!!」
 瞬間、閃光の如きフラッシュを瞬かせて放つ一弾は『バレットエクスプロージョン』──着弾と同時に巨大な爆炎を上げて巨躯を打ち上げた。
 そこでスウが『悪神の狡知』。水晶型の見えない機雷を浮遊させ、周囲を埋め尽くしながらレンカへと視線を向けていた。
「行こうかレンカちゃん。どうせなら派手にね」
「ああ」
 頷くレンカも既に陽炎の如き魔力を漂わせていた。
 直後、墜ちてくる罪人が触れた機雷が爆烈。その衝撃が誘爆を生み出して、巨体の全身が焔に包まれていくと──レンカが掌を向けて。
「許しを乞うても、もう遅い。逃がしはしない──Knie nieder!」
 ──さぁ……お仕置きの時間だ!
 刹那、地に叩きつけられた巨躯へと無数の刃が飛来する。
 『不運な七番目の花嫁』──禁忌を犯した代償を、その命で払わせるように。幾重もの衝撃で躰を、魂を突き刺して罪人を霧散させていった。

 竹がさわさわと揺れて、空気に穏やかさが戻ってくる。
 その中でスウは、レンカへ拳を突き合わす仕草で笑いかけていた。
「結構な御手前で」
「ああ、終わったな」
 レンカも応えてその場を見下ろす。
 敵は残骸も残らずに消滅していた。そこにあるのは静かな空気と、美しくそよぐ竹林の景色だ。
 レイは見回しながらも銃を収めている。
「何とか勝てたわね」
「そうだねー」
 良かった、とことほも一つ息をついて戦いの姿勢を解いている。リーズレットは皆へ歩み寄りつつ、周囲にも視線を巡らせていた。
 逃げ遅れて怪我した者がいないかと思ってのことだが──周囲は静寂で、仲間にも傷一つ残っていない。
「皆、大丈夫みたいだなー」
「無事に終わることができて良かったよ。後は、直せるところだけ直していこうか」
 と、律が見つめる地面は、多少だが荒れている部分もあった。
 折角の景観だからと、皆と共に司は入念に一帯をヒール。趣深い和の色の景色に、戦いの痕跡も残さない。
「これくらいで、良さそうだね」
「それじゃー、逃げてった人達にも声かけに行くか。デッケーお邪魔虫も呼び寄せちまうよーな魅力的な場所、しっかりと味わいてーだろうし」
 レンカが言えば、皆も頷いて人々へ無事を伝えに赴く。
 すると程なく人の姿が垣間見えて──少しの後には、前と変わらぬ人波が竹林を楽しむ景色が戻ってきていた。
「──何、写真? まあ、平和が戻った今ならいいが」
 と、ランドルフは逃げていた人々や、子供達に人気。集まる人の対応に追われている。
 ことほも散歩へ。
「このまま少し、歩いていこっかー」
「その後は何か、お土産探しにいくのもいいわね」
 隣のレイも、頷きつつ共に歩んでいった。
 レンカも竹林を眺めながら、ふと思い立ったように。
「そーいえば日本には竹の中にPrinzessin……プリンセスがいるおとぎ話があるんだよな。どっかにいたりして」
 興味深げに周囲を観察していた。
 そんな様子も横目にしつつ──スウは小さく笑む。
「ああ、成程。良い風だね」
 これは確かに、と。
 吹き抜ける涼しさに納得の声を零しながら、暫しその空気を味わっていた。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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