ケルベロス大運動会~聖火と巡れ、北日本・新潟・長野

作者:地斬理々亜

●2020、ケルベロス大運動会
 『全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)』は、ハイリスク・ハイリターンなものだ。
 リスク。それは、発動するたびに、世界経済に深刻なダメージが入ることだ。大規模戦争を行うケルベロスたちのために、それ以外の世界中の人々が、持てる力全てを投入してくれるのである。
 戦いにかかる、莫大な費用。それを補うために毎年企画されるのが、『ケルベロス大運動会』だ。
 今年、それが行われるのは……ついに! 日本の首都、『東京』である。これまで幾度も戦場となってきた、東京が、大運動会の場になるのだ!
 今回の大運動会は、戦費獲得だけが目的ではない。『ハイパーエクストリームスポーツ・アトラクション』による『東京の防衛力増強』も、目標として掲げられている。
 ここ数年で大きく発達した、『決戦装備』のテクノロジー。それを用いたアトラクションを、建造するのだ。大運動会が終わった後には、そのまま東京の防衛施設として活用するのである。
 それだけではない。
 大きく戦費を獲得する事ができれば、恒常的に活用できる『新型決戦装備』の開発に取りかかることができるかもしれないのだ。

●いざ聖火リレー
「ケルベロスの皆さん、いよいよ東京で大運動会ですね」
 白日・牡丹(自己肯定のヘリオライダー・en0151)は穏やかに微笑んだ。
「会場となる東京以外の、日本全国の観光名所や特産品の、海外への発信。それと、東京以外の日本全土の人達にも、ケルベロス大運動会を楽しんでもらうこと。それが、日本全国聖火リレーの趣旨です」
 牡丹は続ける。
「ケルベロスの皆さんの身体能力なら、コースを一気に駆け抜けることも可能でしょう。ですが、周辺住民の皆さんに対しては、『ケルベロスの能力を魅せるような、パフォーマンス』をしながら移動するのも良いかと思います」
 そこまで説明した牡丹は、小型のホワイトボードを取り出す。そこに書かれていたのは、この場に集まったケルベロスたちが走る区間であった。聖火リレーの、第1ルートである。

『福島→宮城→岩手→青森→北海道→秋田→山形→新潟→長野』

「つまり、福島からスタートして、反時計回りにぐるりと北日本を巡り、次に新潟、それから長野へ向かう形です。その後は、岐阜を始まりとする第2ルートを走るケルベロスに、バトンタッチならぬ聖火タッチですね」
 牡丹の説明によれば、地元テレビ局の中継車も聖火リレーに同行する予定だという。ケルベロスが走っている様子を全国放送してくれるのだ。
「福島では、地元の農家の方が、今が旬のジューシーな桃を持ってきてくれるそうなので、食レポしつつ走れば喜ばれるかと思います」
 同様に、青森では採れたてのりんごが出る。極早生種で、程よい酸味が特徴だ。
 山形のさくらんぼの時季は過ぎてしまったが、果汁100%のさくらんぼジュースが用意されているそうだ。
「もちろん果物ばかりではなく、他の名産品やご当地グルメをアピールするのも良いでしょう」
 長野の安養寺みそを使ったラーメン、北海道のジンギスカンや蟹鍋など、食べながら走るのは難しいかもしれない物も多いが、それらの素晴らしさを語りながら走るだけでも、地元の宣伝になることだろう。
「あとは、観光名所の紹介も素敵だと思います」
 例えば宮城。仙台の都心部を東西に貫く定禅寺通は、ビルの間のケヤキ並木が美しい。聖火リレーのコースにも入っているので、現地を走りながら紹介するのも可能である。
「各地の良いところは、たくさんありますよね。ぜひ、全世界にアピールしつつ、走りきってください」
 牡丹はそう述べて、にっこりと笑った。


■リプレイ

●福島
 灯された聖火を手に、雪斗は走り出す。ヴィと共に。
 雪斗は、走るのは不得意である。一方、ヴィは、戦いの日々の中、走る日があるのも良いと考えていた。
「しっかりと、この聖火を次に繋がんとね!」
「思いを繋ぐ聖火リレー、がんばろう!」
 口に出す前向きな思いは、二人一緒。
「さて、ここ福島県といやぁ北の玄関口。しかもフルーツ王国」
 雪斗と並走しながら、ヴィはカメラに語る。
「今の時期は、肉質の締まった品種の桃がおいしい!」
 ヴィがそう言ったところで、差し出されるのは、地元の人が持ってきてくれた桃だ。走りながら、ヴィは一口。
「うん、甘くてジューシー、おいしい! ありがとう!」
 雪斗にも桃を分けつつ、ヴィは明るく笑う。
「こちらもどうぞー」
 給水ポイントでも農家の人がお待ちかね。置いてあったのは、桃のジュースだ。
「これはおいしいよ! SNSでも大人気」
「そうなんやね」
 ヴィに答えつつも、雪斗はカメラを向けられそわそわ。
 くい、と二人一緒に一口飲めば。
「わ、こんなに美味しいジュース、この世にあるんやね……!」
「おおお! ほんっとにおいしい。桃そのものって味わいだね」
 雪斗は感動し、疲れもカメラも意識の外。ヴィはごくごく一気に飲み始める。甘くとろける、桃の魔法だ。
(「っと、中継中やった!」)
 はっとして、雪斗はカメラに向き直る。
「疲れも吹き飛ぶくらいのおいしさでした! 福島に来たときは、皆も是非飲んでみてな!」
「本当にケース買い必至な美味しさだったね! よし、もうひと頑張りしちゃうぞ!」
 雪斗とヴィは一緒に、農家の人へと手を振る。
「さ、いこっか! ヴィくん!」
 ほわりと笑う雪斗。そんな彼へ、ヴィは、そっと囁いた。
「今年の夏も、最高の思い出を残そうね」
 楽しいお祭りは、まだまだ始まったばかりだ。

●宮城
「緋色蜂、ヒャッハー!」
 緋色蜂のぬいぐるみを片手に。もう片手には、聖火を持って。ノアルは、宮城の街を駆け抜ける。
「さて。放送をご覧になっている皆さんに、宮城のソウルフード、ずんだ餅を紹介しますね~」
 カメラに向かってにっこり笑い、ノアルは話し始める。
「餅米をついてお餅にして、そこにずんだ餡をかけた一品です! ずんだ餡というのは、茹でた枝豆から作った餡ですよ~。鮮やかな翡翠色をしている、綺麗な和菓子です! 砂糖と少しの塩で味付けされていて、枝豆の優しい風味がとってもおいしいんですよ! ぜひお買い求めください~」
 一息に語った後、ノアルは続ける。
「こうして日本でケルベロス大運動会を開催できるようになったのも、皆さんの支援や応援によってデウスエクスの侵攻を食い止められたおかげです!」
 人々への感謝を述べ、最後にノアルはこう締めくくった。
「全力で大運動会を楽しんでくださいね!」

●岩手
「ヒャッハァ! なのじゃ!」
 師団でお揃いの、緋色蜂ぬいぐるみを抱えて、括がしゅたたたっと岩手の農道を走ってゆく。
 『緋』い林檎から採れる『蜂』みつで日本一の、長野県で走ることは、叶わなかったが。
(「この聖火を持ったフロッシュが、長野を走ってくれるはずじゃな!」)
 受け継がれる聖火の行方を思い、括は力強く笑みを浮かべた。
 今、彼女が走っているのは、ぶどう園の横である。そのぶどう棚に、ヒヨドリが降り立つのを括は見た。
 そのヒヨドリは、ぶどうの果実を狙っている。括は抜いた――水鉄砲を。
 作物を傷つけないように、という括の配慮である。
「不埒な鳥は、こうじゃ!」
 ばちゃんっ。水鉄砲は、括の狙い通りの位置に命中。ヒヨドリは慌てて飛び去っていった。
「どうじゃ? これが、わしがケルベロスとして培った銃技じゃ!」
 カメラに向かって、括は片目をつむって笑いかけた。

●青森
「あちらに見えるのが、青森県は八戸市! 蕪嶋神社だよ!」
 シルディが紹介するのは、海に飛び出した島のてっぺんにある神社だ。
「ウミネコさんの繁殖地でもあるんだよ」
 ミャア、ミャア、と鳴き声が聞こえる。
「特に5月ごろはウミネコさんが卵を足で器用にひっくり返したりするのも見られたりしてオススメ!」
 聖火を持ち、さくさくと砂浜を駆けていきながらシルディは口にし、それから小さめの声でこう言い添えた。
「でも驚かさないようにそ~っとね」
 それから神社の方向を見上げて、シルディは続ける。
「数年前の災禍で焼失しちゃったんだけど、ウミネコさんたちの繁殖する時期には工事を止めたりして、少しずつ、少しずつ再建していって……」
 シルディはカメラを見て、笑顔を弾けさせる。
「今年3月、ついに復活! 参拝できるようになったんだよ。まだまだ助けが必要なところなので、興味を持った人がいたらぜひぜひ来てね!」

●北海道
(「聖火リレーは……うーん……私の足の炎とは相反するものなのかな……」)
 聖火を手にした天音の視線は、地獄化した自らの右脚に向く。
「まあ……いいや……」
 小さく呟いて。天音は北海道の広い大通りを走り抜け、札幌の高い電波塔がそびえる方面へ向かう。
「みんなに楽しんでほしいしね……せっかくだから……」
 す、と音もなく、天音は聖火を高く投げ上げる。傾くことなく真っ直ぐに上昇した聖火を見据え、天音は地を蹴った。
「えい……」
 くるっと回転ジャンプし、聖火をキャッチして着地。
「おお!」
「かっこいい、さすがケルベロス!」
 見ていた人々から歓声が上がった。
 そのまま天音は北海道を駆け巡る。途中、富良野の30センチある棒餃子や、帯広のコルネ状のパイなど、人々にもらった、片手で食べられる北海道グルメをたっぷり楽しんだ。
「ここからは……聖火、お願い……」
「任せて」
 旭川名物のホットドッグ風おにぎりを食べ終えた天音が、ヴィヴィアンに聖火を渡した。

 ヴィヴィアンは、婚約者の鬼人と共に、旭川市を走る。
 二人揃って、アイヌ風のマントを着ての参加である。ヴィヴィアンのボクスドラゴンであるアネリーも、アイヌ風おめかしで空中を飛ぶ。
 ヴィヴィアンはカメラに笑顔を向けながら走る。一方、鬼人は、着慣れぬ民族衣装に少し恥ずかしげだ。
 ヴィヴィアンたちの走りは、神居古潭に架かる神居大橋に差し掛かる。そこでヴィヴィアンが、口を開いた。
「『カムイコタン』は、アイヌ語で『神様の住む場所』を意味するの」
 この北海道でアイヌ民族の信仰を集めていた神様が昔戦った、神聖な地。ヴィヴィアンはそう語る。
「いつまでも守っていきたい場所だよね」
 ねっ、と鬼人に話を振れば、一つ頷きが返った。それから彼もまた、語り始める。
「此処はよ、水路を使ってたアイヌ人にとっては、すごい難所だったそうだ」
 今でこそ風光明媚な光景として見ていられるが、かつては多くのアイヌ人が命がけで通ったことだろう、と鬼人は話した。
「いつか、俺たちとデウスエクスとの戦いも、この神居古潭の伝承みたいに語り継がれるのかもしれないぜ」
 遠い未来のことを想像して、鬼人はヴィヴィアンと笑い合う。
 それからヴィヴィアンは聖火をアネリーに預け、カメラの前でこう宣言した。
「ではここで、アイヌの古式舞踊を披露します!」
「待ってた。これ、こっそり練習してたんだぜ?」
 アイヌの弦楽器トンコリを鬼人は取り出し、奏でる。その調べに合わせ、ヴィヴィアンは舞を始めた。
 大事な儀式の時、お祝いの時、普段の生活の時。アイヌの人々にとっては、踊りは自分を表現する大切なものだった。ヴィヴィアンも今、聖火リレーを繋ぐという儀式の成功を祈り、懸命に踊る。
 この地をずっと守ってきた、アイヌの人々の想い。それを少しでも受け取れていることを、鬼人は願った。

●秋田
 聖火を持ち、緋色蜂ぬいぐるみを小脇に抱えて、クロウは走る。
(「長野でも新潟でもなくて、秋田を走ることになったね……!」)
 クロウの片手には、おにぎりがある。秋田米を使ったおにぎりだ。
(「北信越地方のお米がおいしいって聞いてたけど、秋田のお米もおいしいって話だしね!」)
 上半身をあまり動かさずに走り続けながら、クロウは手元のおにぎりを見る。
「ふっくらして、つややかで、本当においしそう! いただきます!」
 ぱくっと一口、かぶりついた。
「うーん……! 粘り強くて、もっちりとした食感! ほのかな甘み! ふわっと広がった旨味が、しつこく残らずあっさりと消えてゆく……!」
 走りつつ、食レポを行うクロウ。その横を飛ぶ、ボクスドラゴンのワカクサは、『秋田最高!』の文字が書かれたホワイトボードをカメラに向けた。
 クロウは、日本で大運動会が開けるようになったという一歩の大きさを感じながら、駆けてゆく。

●山形
 緋色蜂ぬいぐるみを抱えて、あすかが山形の街をダッシュする。
「ここ山形特産の花と言えば、紅花!」
 カメラに向かって、あすかは笑う。
「鮮やかな橙色が綺麗だし、染料や食用油の材料にもなるんだよね。毎年夏に行われる花笠まつりでも、紅花の花飾りをつけた笠を持って踊るんだ」
 さっとヒールグラビティを街道に掛けていきながら、あすかは走る。
「あとは、甘くて果汁たっぷりのさくらんぼも忘れちゃいけないね。パイにするも良し、ぱくっとそのまま頂くも良し……!」
 語り終えたあすかは、前方の空中へ向けて、聖火と緋色蜂ぬいぐるみを投げ上げる。
 彼女は空いた両手を地面について、ロンダートを披露した。そこから連続バク転へと移り、空中で聖火と緋蜂ぐるみを華麗にキャッチ。
(「思えばここまでよく復興したよなあ」)
 しみじみ感じつつ、あすかは駆けた。
「素晴らしい自然と新鮮フルーツの山形をどうぞよろしく!」
 にっこりと、笑う。

●新潟
「がんばって走るよー!」
 聖火を受け取ったシュカが、犬耳フードをきゅっと直して、走り出す。
「新潟県って言ったら、みんなは何を想像する? おいしいお米? 冬のスキー場?」
 カメラに向かって、シュカは問いかけた。
「でもボクが紹介するのは……あれ! じゃーん!」
 シュカが指さした空にカメラが向く。そこには、クジラの絵が描かれた大きな凧が泳いでいた。
「ボクががんばって描いたんだよ」
 得意げに笑ったシュカは、新潟のお祭り、白根大凧合戦について説明を始めた。
「24畳もあるすっごくおっきい凧をみんなで作って飛ばして、ぶつけて戦うんだ! 空いっぱいに飛んでぶつかって、すごい迫力だよ! こんな風に!」
 シュカのその言葉と共に、次々と大凧が揚がってゆく。祭りの風景をイメージしやすいよう、一般の人々が協力してくれているのである。
「お祭り本番は毎年6月上旬! 熱くてすごいお祭りだよ! さて、ここからは【ベオウルフ】のみんな、PRがんばってね!」
「はい! 頑張りますっ」
 シュカからミリムの手に、聖火が渡った。

 ミリムはお米の着ぐるみを着て、ぴょんぴょこと走る。ローレライと、笹団子の着ぐるみ姿のリリエッタも一緒だ。
「リリが味見した新潟の美味しいものの中で、リリは特に笹団子が気に入ったよ」
 リリエッタの着ぐるみは、笹団子から手足が生えたような格好である。
 大きな米粒(ミリム)の隣をトコトコ走る、人間サイズの笹団子。テレビの前の視聴者たちが、『可愛い』と思ったこと間違いなしである。
 ちなみに、笹団子着ぐるみの下はスクール水着だ。
 そんなリリエッタは、手にした笹団子の笹の葉部分を器用にはがし、ぱくり。もぐもぐ。
「笹団子ー、笹団子ー、新潟の笹団子。ふっくら甘くてとっても美味しいよ。ミリムも、ローレもどうぞ」
 リリエッタがおすそ分けとして差し出した笹団子を、ミリムとローレライもぱくっと。
「甘くてもちもち、おいしいです!」
「ヨモギの風味が良いわね!」
 二人にも好評だ。
「さて!」
 緊張気味のローレライに、カメラが向けられる。
「新潟には色んな観光名所があるわ。様々な形に削られ、美しい岩の数々が天然記念物になった海岸、笹川流れ! 近代最大の金山である史跡、佐渡金山! さらには水族館! これは新潟に来るしかないわよ!」
 バッチリとPRを行った後、ローレライは続ける。
「それから新潟と言えば、県内で育てられた黒毛和牛! 牛さんと言えば焼肉、焼肉と言えばご飯! お米が美味しい新潟……最高じゃない!」
「はい! 和牛とお米が絶品の新潟、最高ですよ!」
 ミリムが笑顔で、ローレライに一つ頷いた。
「あちらをご覧ください」
 走りながら、ミリムは横を示す。そこには、棚田が広がっていた。
「スクスク育つ新潟の米! それで出来たこちらのライスボール!」
 ミリムは、おにぎりをはむはむと頬張った。
「栄養補給にどうぞどうぞです」
 ローレライとリリエッタにも手渡す。
「ありがとうね、ミリム」
「そうよ、これこれ。これこそが新潟の美味しいお米よ!」
 三人揃って、新潟のお米からエネルギーをチャージだ!
「そして、新潟、米、と言ったら、やはりコレでしょう!」
 ミリムがスッと取り出したのは、酒瓶だ。
「新潟の、純米大吟醸です! 淡麗辛口ですっきりした味わい、地酒ブームの引き金にもなったんですよ!」
 説明しているだけで、その喉越しがミリムの脳裏にありありと浮かぶ。
 ……今すぐここで、ゴックゴクとラッパ飲みしてしまいたい。
 ちょっとだけなら……ほんのちょっとだけなら。
「走り終わったら、自分へのご褒美にするんだよね?」
「……そっ、そっ、そうですよ!」
 リリエッタの言葉に、ミリムは我に返った。
「日本全国聖火リレーの第1コースも、残りはわずかね。気合入れて行くわよ!」
 ローレライの言葉に、ミリムとリリエッタが、『おー!』と応じた。

●長野
 緋色蜂のぬいぐるみを片手に、緑髪の少女が駆ける。日本全国聖火リレー、第1コースの最終走者にして、【緋蜂師団有志】の最後の一人。フロッシュである。
(「聖火を持ち運ぶ……その責任、絶対に果たすのです!」)
 別の都道府県では仲間が運んでくれた、聖火。その重みをしっかりとフロッシュは感じる。
「さあスーパーに、ヒャッハーにダッシュしちゃうのですよ!」
 走るのは楽しい。フロッシュは気持ち良さそうに笑う。
 ここ長野は、蜂蜜が有名だと聞いた。フロッシュは蜂蜜が好きだ――けれど、その紹介や、派手なパフォーマンスよりも、フロッシュは直向きに走ることを選んだ。
 自慢の俊足を大いに活かして、聖火が消えないようにと気を配りながら、駆け抜ける。
 日本でもケルベロス大運動会を開催できるようになったという『希望』を、様々な人々へ届けられるように。
 フロッシュ、あすか、括、クロウ、ノアル――【緋蜂師団有志】の心は一つだ。
「皆様ご一緒に……ヒャッハー!」
 フロッシュは地を蹴って駆けた。聖火を、第2コースの走者へと繋ぐために。

 かくして、ケルベロスたちは第1コースを完走した。
 楽しさ溢れる大運動会が、この後も続いてゆくことだろう。

作者:地斬理々亜 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年8月10日
難度:易しい
参加:15人
結果:成功!
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