リリー・ルビー追撃戦~河川敷まであと少し

作者:あき缶

●ラブホテル通りの裏で
 深夜の梅田――大阪屈指の繁華街である。
 そして、人通りが多いようで場所によっては意外と少なく、加えて他人に関心を持たない人々が行き交う街である。
 中崎町と曽根崎のちょうど真ん中あたり、住宅街とラブホテルが入り交じる界隈の裏通りは、滅多なことで人は来ない場所だ。
 放置自転車の陰に、二メートルある巨躯を縮めてしゃがみ込み、策謀術士リリー・ルビーは孤独を噛み締めていた。
「使えない軍勢は置いてきた。……いい。私さえ逃げることができればチェック。ルートは確保できている。あとはケルベロス共に探知されなければ私の勝ち。ケルベロスが来たとしても一般人を人質にとればよし。あの連中は、ケルベロスでもデウスエクスでもない者が死ぬのが心底お嫌なようだから。連中は、人殺しをしないデウスエクスに用事はない。故に私の逃亡は確約されている」
 一人、策謀を巡らせるリリーは口を歪めて音無く笑う。
 闇に包まれた彼女がいる道の向こう、大通りでは酔っぱらいの調子外れな歌や、ラブホテルに何とか女を連れ込もうとかき口説く男の繰り言が響いている。

●追う価値のない女?
 ユグドラシル・ウォーの勝利を、香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)は祝いだ。
「毎度のことながら、みんなお疲れさんやったな。ユグドラシル・ウォーは文句なくケルベロスの勝利やったんやけど……逃げた敵も仰山おるんよね。探索してる最中やけど、とりあえず大阪城周辺の敗残兵撃破を皆には頼みたいんや」
 いかるが追討を担当するのは、エインヘリアルの第二王女ハール残党、策謀術士リリー・ルビーだ。
「リリーは、ひとりで大阪市内に潜伏中やろうな。静かに大阪を脱出しようとしてるみたいや」
 しかし、リリーが無事に逃げおおせてもエインヘリアルは彼女を受け入れないだろうし、他のデウスエクス勢力も『利用価値なし』と断ずるだろう。
「ほんなら、そんなヤツほっといたらええやん。と思うのは分かるねんけどな……」
 いかるは、困ったことがある。と言葉を継ぐ。
「リリーが事件を起こさずに逃げるつもりなのは、デウスエクスが騒動を起こそうとしたらケルベロスが未然に防いできた……という今までの経緯からや。被害を出さなきゃ捕捉はされんやろう、というこっちゃね。
 これまでの経験と、持ち前の頭脳から『ヘリオライダーの予知』や『ケルベロスの方針』などについて、かなり正確な仮定に辿り着いているようなんや。その過程に基づいて、逃げようとしてるわけやけど、もし彼女が見事逃げおおせたら……その仮定は正しいとリリーは認識するやろうな」
 ヘリオライダーの存在や、ケルベロスの考え方……そういう知識がデウスエクスに広がれば、厄介なことが起きる可能性がある。
「念には念を入れる、ということで……リリーを探し出して倒してほしいんよ」

●袋のネズミ
 リリーは大阪市北区内にいる。
 梅田茶屋町方面から、人通りの少ない路地もある入り組んだ中崎町、豊崎、中津を抜けて、淀川河川敷から川沿いに進んで大阪湾に出るようだ。
 エインヘリアルは、身長は地球人に比べて高く、翼が生えていて、携行する武器も長物である。目立つはずの容姿だ。
「あとリリーは、ケルベロスの襲撃を受けたら周囲の人間をすぐに殺せる状況を維持して移動したいみたいや。人質にするんかな」
 リリーの逃走経路は、人が歩いていない路地を通るのだが、いざとなれば脇の民家に飛び込んだり、数歩歩くだけで人通りの多い道に出たり、と人間にすぐに遭遇することができるという特徴がある。
 つまり彼女の選んだルートは完全な無人ではないはず、なのだが。
「まぁ、人って正常性バイアスかかってるもんやし、大阪って妙なファッションの人も多いから、リリーくらいの容姿なら『そんな人もいるわね』程度の認識になってしまうかもしれんね」
 と、策謀術士らしく策を練り上げたリリーであるが、一般人を人質にとられることなくリリーに攻撃できるタイミングがある。
「本庄西の端にある本庄公園の前を走る東海道本線は高架でな。桁下ニメートル強という天井の低いトンネルがあるんや。そこにリリーを追い込んで、突然両端を塞いでしまえば、逃げ場なし。ついでに天井が低すぎて飛ぶこともでけへんで」
 本庄公園自体は人々が憩う場所なので、いざとなれば公園に飛び込んでしまおうとリリーはあえて高架下を移動するようだ。公園の反対側もマンションなどの住宅街なので、人質には事欠かない。
「本庄西も、トンネルの先の豊崎も静かなエリアや。どの時間帯にリリーがそのトンネルを通るかはわからん。長丁場の待ち伏せ、張り込みってことになるやろうね」
 いかるは、アンパンでも用意するか? と笑ってみせた。


参加者
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)
ルベウス・アルマンド(紅い宝石の魔術師・e27820)
エマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314)
クロエ・テニア(彩の錬象術師・e44238)
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)

■リプレイ

●本庄西
 むしむしとした空気が満ちる本庄公園は、人影まばらだ。
 そのまばらな人影の一つが、若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)である。
 彼女の相棒であるナノナノ『らぶりん』は公園前の交差点奥にある線路下トンネルの脇、蔦が茂る中に潜ませている。
 めぐみは耳につけたヘッドセットを手で押さえ、ちらりとトンネル前の歩道を見やる。
 車は通るが、歩行者はいない。
 水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)と一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)は並んで、公園の木の陰に待機していた。鬼人は纏う隠密気流で、気配を消している。
「人目につかず、逃げ回るデウスエクス、ねぇ。なんだか、なぁ……」
「何にせよ油断は禁物ですね。……ただ、わたしは、待ち伏せは比較的、得意な方だと」
 鬼人が視線だけで続きを促す。瑛華は淡々と答える。
「わたしはもとより、狙撃兵でしたので」
 幼い頃から銃とともに生きてきた瑛華は、伏せ気味の瞳をトンネルに向ける。標的はまだ――長丁場のようだ。
 今日は藪の中に伏せて銃を構え待ち続けるというところまで必要とされていないだけ、まだ楽な仕事だ。
(「でも、油断は禁物……戦場は油断した人から、死ぬんですから」)
 瑛華は気配を殺しながら、静かに待つ。狩人の仕事は、待つことだ。
 公園と道を隔てたマンションの下で、トランクを持つ上等なスーツ姿の女性は、約束の時間を待つ営業職を装うエニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)である。
 彼女のトランクの中には武器が満載だが、当然売り物ではない。
 エニーケも隠密気流を帯びているため、延々と立っているキャリアウーマンを不審に思う者はいない。
 四人が待つのは、中崎町方向からやってくるであろう単騎の女エインヘリアル、策謀術士リリー・ルビーだ。
 その頃、曇った梅田の空を紅が飛んでいた。
 オラトリオのルベウス・アルマンド(紅い宝石の魔術師・e27820)は、血のような赤い翼を広げて、上空からリリー・ルビーを探している。
(「頭が回るようだけれど、小手先に頼る時点で余裕の無さが窺えるわ、ね」)
 いくら梅田が人通りの多い地区だからといって、エインヘリアル並の長身の女性は稀だ。
 群衆でも頭一つ抜け出ている者を探せばいい、とルベウスは目を凝らす。
「……それにしても、目がチカチカする」
 昔ながら、といえば聞こえは良いが、区画整理などろくにできていない中崎町や本庄、豊崎や中津の町並みはぐちゃぐちゃに細かく入り組み、道も細い。
 茶屋町や曽根崎の方面と違ってタワーマンションなど高い建物がさほどなく、高度を下げても飛行に支障がないのはありがたいのだが、長屋のような屋根同士がつながっている家屋の隙間を選んで通られると上空から視認ができない。
 それでもトンネルを通ると仮定して想定できる比較的大きな道をルベウスは探し続け、ようやく白百合の君を見つける。

●豊崎
 線路下のトンネルを抜けた先、降雨時の冠水状況を知らせる電光表示柱の横で、スマホに集中している様子の学生の正体は、ヴァルキュリアのエマ・ブラン(ガジェットで吹き飛ばせ・e40314)だ。
 彼女も隠密気流を使用しており、長時間突っ立っていても周辺住民に咎められる恐れはない。
 足元に置いた学生鞄を漁り、エマは牛乳とアンパンを取り出すと、ぱくつき出した。
「まだかなー?」
 パンを食べつつも、視線はスマホに向かっている。
「あーいいなー。アタシも食べたいヨ!」
 スマホを握ったクロエ・テニア(彩の錬象術師・e44238)が駆け寄ってくる。
「どうぞどうぞ、つぶでもこしでも好きなの選んで」
 エマは鞄を開いてみせる。たくさんのアンパンが詰め込まれていた。
 どれにしよう、と大量のパンを前に迷うクロエも闇纏いの力で気配は抑えられている。
 その反対側、電柱のそばにあるとても小さな地蔵の側で、死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)も闇を纏っていた。
 リリー・ルビーがトンネルを通過した場合、エマ達のいる本庄公園周辺よりも輪をかけて人通りのない地域に出る。
 刃蓙理は振り返る。彼女の背中側は、淀川河川敷。リリー・ルビーが目指す大阪湾につながる北港に手がかかる。川の中に飛び込まれでもしたら、追跡はもはや困難を極めるだろう。
 河川敷に到達する前に、リリー・ルビーを倒さなければならない。
 刃蓙理は河川敷から視線を周囲に向ける。昼休みの時間を過ぎた豊崎は静まり返っている。皆、オフィスの中に引っ込んでいるのだろう。戦場に一般人が紛れ込んでしまうことはなさそうだが、リリー・ルビーが手当たりしだいにこのあたりの建物に突入すれば、惨劇は避けられない。
「ちょっと宿敵補正とかで近付いてきたらわかったりしないカナ! ……しないよねウン…………って!?」
 クロエが口にパンを頬張った瞬間に、スマホに着信が来た。ルベウスだ。
 まだ公園に到達はしていないが、すぐ側をリリー・ルビーと推測される人物が歩いているという報告だった。
「そろそろ来そうだね」
 エマがトンネルを睨む。クロエはいつでもトンネルに駆け込める位置に己を置く。
 トンネルは中で少し曲がっていて、本庄西側を見通すことができない。
 刃蓙理はスマホを見やる。本庄公園で待機している瑛華達からはまだリリー・ルビー発見の一報はない。

●トンネル
 足早に白いエインヘリアルが歩道を行く。
 彼女の側を車が何台か通り過ぎていくが、自分の通行に関係ない歩行者を注視するドライバーは居ないのか、誰一人気にしていないようだった。
「あれがリリー・ルビーですわね」
 エニーケが手にしたスマホに手早く連絡を叩き込む。
 公園でも鬼人をはじめ、潜伏していた面々が殺気を抑えつつも、エインヘリアルに注意を向ける。
 ここで気取られてはすべてが台無しだ。ジリジリとリリー・ルビーがトンネルに入り切るのを待つ。
「らぶりん、今!」
 めぐみが走りながら指示するなり、トンネルの側から飛び降りたナノナノがトンネルを塞ぐ。
 ナノナノの横を駆け抜け、鬼人は越後守国儔を抜き放った。空を帯びた刃がエインヘリアルの背を裂く。
「!」
 ギリギリまで隠密していた奇襲に、リリー・ルビーは小さな悲鳴とともに振り返った。
「ケルベロス!」
「また、こそこそ逃げ出すんですか?」
 彼の後から滑り込むなり、めぐみは嘲りの声を投げつけた。グラビティの罵倒にリリー・ルビーは眉を寄せる。
 トンネルに入るなり瑛華は殺気を放った。これでトンネルにあえて近づこうとする一般人は居なくなるだろう。
「ハール残党をこれ以上生かすのは面倒ですの」
 エニーケはトランクから地裂竜鱗砲槌【メーレスザイレ】を取り出すと、砲撃形態に組み替えて竜砲を撃った。
「くっ」
 どう考えてもこの低い天井のトンネルでケルベロスと対峙するべきではない、とリリー・ルビーは豊崎側に走り出ようとする。
 しかし豊崎側からも痛いほどの殺気が放たれた。すでに知らせを受けた刃蓙理がトンネルに滑り込んできていた。
 トンネルの出口付近に立つルベウスが放つ銀のオウガ粒子に包まれた閃光が、暗いトンネルに一直線に飛び込んでくる。
「リリー発見、確保ー!」
 全身を光に変えたエマがエインヘリアルに突撃してきたのだ。
「ここで会ったが百年目ー! って、アレ? マジで何年前だったっけ?」
 と叫びながら流星のように迫りくる蹴りを、すんでのところで避けたリリー・ルビーは蹴りの主クロエと相対する。
「……何者?」
「うわぁ。忘れられてるー! ひどいナー」
 まぁそこまですごい因縁は無いんだけどネ。と内心舌を出しつつも、クロエはエインヘリアルに指を突きつける。
「こんな形であっさり塩味だケド、終わりにしようか、リリー・ルビー!」
 リリー・ルビーは不愉快そうに鼻を鳴らすと、強行突破しようと手にしていた杖を薙ぐ。杖についた紅玉から光の刃が生え、鬼人、めぐみ、エマ、刃蓙理を傷つけた。
「通していただく」
「やだよ、これ以上自由にはさせないんだから!」
 リリー・ルビーの静かな怒声に、エマは大きな声で返す。声はうわんとトンネルのコンクリートに反射して響いた。

●大阪
「そういえば、ハールが倒された時もこそこそ逃げ回って、ハールのそばにいませんでしたね。同じ軍師でもホーフンドのところのユウフラとはえらい違いですね。彼はホーフンドがピンチの時には彼のそばに駆け付けましたから」
 七色の爆煙を上げながら、めぐみはさらにリリー・ルビーを煽った。彼女のとなりでナノナノがハート型のバリアを作って刃蓙理を包む。
「貴女の主ハールはそれはそれは惨めな死に方でしたわよー? 策を弄し続けた愚かな女の末路です。そんな先に逝った主を尻目に一足先に逃げた貴女はそれ以上の卑怯者ですわね! ほら悔しいでしょう?」
 スーツ姿のエニーケがビシッと両腕を交差させる。
「空想と妄想の力、お借りします!!」
 まばゆい光線がエインヘリアルを包み込む。
 しかし詰る言葉をリリー・ルビーは涼しい顔で聞き流し、月光斬を仕掛けてきた鬼人と淡々と杖で鍔迫り合う。
「なんとでも言えばいい」
「包囲を抜け出せば、それで勝ち、だもんな」
 押しあった末に、鬼人とリリー・ルビーは同時に飛び退いた。
「ご理解いただけているようで何より……ぐっ!」
 飛び退くタイミングと距離を正確に捉えていた練達の狙撃手、瑛華の狙いすました銃撃が、リリー・ルビーの足を射抜く。
「へっぽこ軍師の攻撃なんて痛くないですよ」
 と杖の刺突を向けられた鬼人を庇い、
「はあ、主人が死んでも何とも思ってないみたいですね。まあ、性格はダメダメでも腕は優秀ですから、このまま放置はできません」
 めぐみは肩をすくめる。
「轍のように芽出生せ……彼者誰の黄金、誰彼の紅……長じて年輪を嵩塗るもの……転じて光陰を蝕むるもの……櫟の許に刺し貫け」
 ルベウスの詠唱と同時に赤い瞳を持つ黄金の槍(ルイン・アッサル)が生まれでて、リリー・ルビーめがけて飛んでいく。
 リリー・ルビーは撃たれた足をかばいつつも、それを杖の柄で振り払った。光の粒子になって雲散霧消するルイン・アッサル。
「確かに貴女の考えは正しい……ですが……生き延びる事が目的だというのなら……逆効果ですよ……」
「何?」
 ルベウスの技を回避できたことで生じたリリー・ルビーの油断に乗じ、刃蓙理が放つ死灰が降りかかる。
「貴女はもう……この世に存在していてはならない……。灰は灰に……と言ったんです」
 灰でむせたリリー・ルビーの咳き込む間に、
「チェストー!」
 エマのハンマーがリリー・ルビーの胸を打ち上げる。
「狙うヨ!」
 落ちてくるエインヘリアルをクロエのブラックスライムが丸呑みの刑に処す。
 多勢に無勢を痛感したリリー・ルビーはなんとかケルベロスの包囲を抜けて、外に走り出ようとする。
 もはやこの際、豊崎にこだわること無く、本庄西の方から川に抜けてもいいと思っているようだ。
 だが彼女は軍師であって戦士ではなかった。身のこなしで意図を悟った鬼人の刀が、リリー・ルビーの切り裂くことで止める。
「……刀の極意。その名、無拍子」
「そこです」
 よろめくリリー・ルビーに瑛華が星のオーラを蹴り込む。たまらず膝をついたエインヘリアルめがけ、
「逃げずに戦って死になさいな」
「ここで、倒させていただきます」
 竜騎兵銃【ランゲンカップ】を構えたエニーケと「殲剣の理」を歌うめぐみの攻撃が、リリー・ルビーを追い打つ。
「あと少しだというのに!」
 歯を食いしばったリリー・ルビーが目にも留まらぬ速度で杖を突き出す。
 光の刃に貫かれ、めぐみが血を吐く。
 有効打にリリー・ルビーの口元に笑みが浮かぶが、間髪入れずルベウスがガネーシャパズルから生み出した光の蝶が傷を塞いだ。
「軍師が手数を用意できなかった時点で、詰んでいるの。貴女の赤は有害だわ。この星にはいらない」
 無表情にルベウスが指摘すると、リリー・ルビーは自嘲と絶望の笑みを漏らした。
「……手数……はは、ぐうの音も出ない……」
 刃蓙理はクロエに目配せした。
「宿敵主に止めを刺して貰う事……。それが悪党の定めです……」
 クロエは頷き、宿敵の前に進み出る。
「リリー・ルビー、アンタの終わり、アタシの錬象で彩ってアゲル!」
 ガジェットと禁呪を組み合わせ、彼女が放つは赤い弾丸――『錬象』。
「術式、セット! 天より降れ、地より絡めよ、汝の身を染めるは……潰崩の赤! シュート!」
 弾丸が放つ波動がリリー・ルビーを飲み込み、腐食させ潰崩させて、あとには何も残らなかった。
「さよなら、策謀術士」
 何もなくなったアスファルトを見て、クロエはそっと彼女に別れを告げる。
「クロエさん、終わったね」
 エマが声をかけると、クロエは即座に笑顔で元気に決め台詞を放つのだった。
「アタシの術式はいつでも最高!」

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年7月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。