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ユグドラシル・ウォー。
レプリゼンタ・カンギを打ち取ったケルベロス達はついにユグドラシルゲートの制圧に至る。
直後、ケルベロス達はその破壊を行うと、ユグドラシルは暴走を始めた。
轟音を響かせながらも、その根が場内にいたデウスエクスを巻き込まんと暴れ狂う。
巻き込まれまいと退避する勢力の中、とあるダモクレスが大阪の市街地方面へと逃げ出していた。
それは、ダモクレスにより建造された、大阪城ユグドラシルの出城……要塞ヤルンヴィドだった。
脚部を備えた黒い要塞は自力で脱出を行い、蜘蛛を思わせる動きで緩衝地帯にまで逃げ延びていた。
その後、ヤルンヴィド要塞はダモクレス達の手によって、徐々に解体されていく。
主に作業を行うのは、大阪市民の死体を利用した量産型ユニット『寄生体』達だ。
要塞ヤルンヴィドの重要部分だけでも分離させ、一時的に開く魔空回廊を使って移送できるよう加工を行っていたのだ。
「精鋭戦力の撤退は完了……砲塔部、進捗を報告せよ……」
「各脚部、重量負荷を計測……魔空回廊の維持時間を再測定……」
「現時刻より分離したパーツは次回の魔空回廊へ……集積地にて待機せよ……」
指示を出していたのは、蜂の女王を思わせる姿をした指揮官「インスペクター・アルキタス」。
「…………」
その傍には護衛として、鳩の頭を思わせる顔を持つ「インスペクトガード・プルウェリス」が無言で立っている。
仮にこの場へとケルベロスが現れたなら。間違っても、指揮官であるインスペクター・アルキタスだけは守らねばならないと、彼は考えていた。
現在、滞りなく作業は続き、魔空回廊内へとヤルンヴィドのパーツが運ばれる。
解体、運搬作業が進む中、インスペクトガード・プルウェリスは鋭い視線を周囲へと走らせていたのである……。
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ヘリポートでは、ケルベロス達がユグドラシル・ウォーの勝利に歓喜していて。
「皆、大阪城での戦い、お疲れ様」
リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)がやってきたケルベロス達へと労いの言葉をかける。
攻性植物のゲートを破壊できた上、長いことデウスエクスの拠点となっていた大阪城を奪還することができた。
これによって、地元大阪だけでなく、多くの人々に希望を与えることができたのは間違いない。
「でも、これで終わりじゃないよ。多くのデウスエクスが大阪城から逃げてしまっているんだ」
現在、それらの行方を追っている状況だが、手始めに大阪周辺へと残った敵の撃破を願いたい。
そのうちの1つとして、ダモクレスの要塞ヤルンヴィドがある。
大阪城を防衛を行っていたのだが、その大阪城陥落もあって大阪市街地の緩衝地帯へと逃げ込んだようだ。
現状、要塞の司令官である「インスペクター・アルキタス」が残っている防衛戦力を使い、ヤルンヴィドを解体、分離させて魔空回廊で本星移送の作業を進めている。
「できるなら、それをこの場で止めておきたいところだね」
今作戦は、6チームでの共同戦線を取ることになる。
目的は、司令官インスペクター・アルキタスの撃破。それを成し遂げれば、ヤルンヴィド解体、輸送作業も止めることができるはずだ。
その為には、役割分担を行い、それぞれができる限りの成果を上げる必要がある。
「皆は別チームと協力して、アルキタスの護衛を行う『インスペクトガード・プルウェリス』の討伐を目指してほしい」
鳩の頭を持つこのダモクレスは、アルキタスの命を最優先に立ち回る。
この為、次のような工程で作戦に臨みたい。
「まず、解体作業中のヤルンヴィド要塞を強襲してほしいんだ」
大阪市街地を巡回中にたまたま要塞を発見し、功を焦って襲撃した……といった演技ができると、相手を油断させられるかもしれない。
ほとんどの戦力はすでに撤退済みの為、残されているのは寄生体に外付け戦闘強制ユニット程度の指揮官と、そちらの相手はかなり楽なはずだ。
「残された防衛戦力をある程度撃破すれば、インスペクトガード・プルウェリスが防衛に出てくるはずだよ」
その後は、インスペクトガード・プルウェリスの撃破に全力を尽くしたい。
なお、プルウェリスは素早くケルベロスを蹴散らし、アルキタスの元へと戻ろうと短期決戦を仕掛けてくる。
その考えをうまく利用すれば、有利に戦うことができるかもしれない。
一呼吸を置き、リーゼリットはさらに続ける。
「ダモクレスはこの要塞を解体して、魔空回廊を使い、戦力、資源の回収をはかっているようだね」
それだけ相手も追い詰められているともいえる。
敵戦力はかなり減少しており、解体中の要塞防御力も大幅に減少している。この好機を利用してインスペクター・アルキタスも撃破したいところ。
大阪城で多くの情報を得ているこのダモクレスに逃げられてしまうと、ダモクレス側の技術が革新される危険もある。それだけは避けたい。
最後に、リーゼリットは作戦に当たるケルベロス達へとこう告げた。
「どうか、この作戦の成功を。ボクは皆の勝利を願っているよ」
参加者 | |
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フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172) |
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720) |
峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366) |
風魔・遊鬼(鐵風鎖・e08021) |
マロン・ビネガー(六花流転・e17169) |
葛城・かごめ(幸せの理由・e26055) |
空鳴・熾彩(ドラゴニアンのブラックウィザード・e45238) |
如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384) |
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大阪市の緩衝地帯。
先日のユグドラシル・ウォーにおいて、大阪城をついに奪還したケルベロス達だが、残念ながら数多くのデウスエクスが戦地から逃れた状況にある。
そのうちの1体がダモクレスの要塞ヤルンヴィドだ。
まるで蜘蛛のような形となっていたこの要塞は今、ダモクレスの本星へと運ぶ為に寄生体達……ダモクレス化した大阪市民の死体である……の手によって解体作業が進められている。
「通常の魔空回廊が出現しているなら、あれの向こうにダモクレスのゲートが?」
葛城・かごめ(幸せの理由・e26055)がそんな疑問を抱くが、そちらには魔空回廊制圧チームが向かってくれている。今はそれどころではないとかごめはその考えを振り払った。
現状は、別班と合わせてヤルンヴィドの強襲する作戦中だ。
全体としては、この要塞の指揮官インスペクター・アルキタスの討伐が目的だが、こちらの班が目指すはその護衛であるインスペクトガード・プルウェリスの討伐。
ただ、一気に攻勢をかけると、ダモクレスに逃亡されるかもしれない為、遭遇戦を装うことと別班と決めていた。その別班は視認こそできないが、大声なら届く程度の距離にいるはずだ。
「うまく、連携したいところですねー」
フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)が確認するチームの共通認識は、プルウェリス出現に合わせて大声を発するなどして、他班にその存在を示すというもの。場合によっては、建物の倒壊もその合図としている。
「デウスエクスには僅かな隙も与える訳には行きません」
情報は知識で武器になると、マロン・ビネガー(六花流転・e17169)は語る。
ヘリオライダーの予知によって先手を打てている状況を、最大限に生かしたいところだ。
顔を見合わせ、メンバー達は巡回を装う形で敵へと姿をさらす。
「あれは要塞ヤルンウィド? まさかこんなところに隠れていたとは」
かごめが驚いたような演技をし、他のケルベロスに知らせようかと戸惑う素振りを見せながらも一気に駆け出す。
「私達だけで仕留めるしかありません」
功を焦るように見せかける。それこそがメンバー達の狙いだ。
寄生体達が運んでいた資材を、空鳴・熾彩(ドラゴニアンのブラックウィザード・e45238)は早速、バスターライフルから凍結光線を発射して破壊していた。
状況を察した防衛戦力の指揮官、ヘルメットとバックパックを背負った人間……いや、それこそが本体の外付け戦闘強制ユニット タイプKが駆けつけてきて。
「敵襲……排除、排除……!」
機械のような音声を発し、周囲の寄生体達に作業を止めさせ、応戦するように指示を出す。
「追撃戦だけど、やばくなったらすぐ引き返すよっ。勝手に仕掛けてるから、救援は期待できないし!」
黒ビキニ姿の上からケルベロスコートを纏った峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)は口三味線で相手を翻弄しようとしながら、仲間の背後で回復に当たる構えだ。
「この程度の敵、大した事なさそうですね」
風魔・遊鬼(鐵風鎖・e08021)も軽口を叩き、新人であるように思わせ、この場の防衛戦力を欺く。
「存外な戦力の少なさー。これは全部お掃除してしまえる好機なのではー?」
「そうですね、粗方掃討してしまいましょうか」
フラッタリーの言葉に、如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384)が同意する。
「このくらいならいけちゃいそうだね? 指揮官級もまとめて行けちゃうんじゃないかな」
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)もまた敵の油断を誘おうと強気な態度を見せる。
「…………排除、開始」
タイプKは無機質な声を響かせ、ゆらり、ゆらりと大阪の街中を素早く駆け出すのだった。
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作業を行っていた寄生体の数は多い。
それらは束になり、ケルベロス達へとドリル状にした腕で殴り掛かってくる。
後方のマロンは前線にいる敵から狙い、まずは数を減らそうと頭上へとオウガメタルを集めて球体とする。
それは絶望の黒光を放ち、それを浴びた寄生体達が次々に倒れていく。
合わせ、マロンは戦略物資を見つければ確認の上で重要でないと判断すれば、片っ端から破壊する。
フラッタリーもまた盾役となる寄生体をメインに、近寄ってくる相手を資材ごと破壊に当たる。
戦いとなれば、彼女のサークレットが開いて金色瞳が開眼し、弾痕から地獄を迸らせながら狂笑を浮かべて。
「鋼、骸、機構ノ傀儡。汝ラ、万象、皆尽kU獄門ヲ潜レ」
口調すらも狂わせながらも、野干吼を地面に突き刺した彼女は獄炎を刀身から地中へと流しこみ、周囲を一時的に地獄化させる。
寄生体達は足元からくる焔の奔流を避けられず、焦がした機械部分に異常を発して元の骸へと戻っていく。
ケルベロスに対し、タイプKを中心に寄生体達も数を活かして襲い来る。
「破壊、排除……」
タイプKの重い拳の一撃を沙耶が受け止めながらも、戦場にばら撒いた不可視の地雷を一斉に起爆し、今度はジャマーの数を減らす。
倒れ行く寄生体……奪われた命を目にする沙耶は悲痛な表情を見せるが、長い目で見ればこれが新たな被害を防ぐことに繋がる。
沙耶はそう考え、大胆な立ち回りで敵の気を引きに回る。
すぐ後ろの遊鬼は敢えてギリギリで寄生体らの攻撃を避けるよう振る舞っていて。
「くっ、今のは危なかったな」
直接の被害を食い止めながらも、遊鬼は周囲に広がる影から無数の苦無を呼び出し、敵の体を切り裂いていく。
「よし、やったぞ」
自分の手柄と主張する遊鬼の演技は警戒心の無さを感じさせる。
これでプルウェリスがこちらに現れれば、それも無駄にはならないのだろうが……。
(「早く出てくれるといいのだけれど」)
恵は内心ではそう思いつつ、血気はやる仲間達の回復役の振りをする。
とはいえ、実際に序盤は敵の数の多さもあり、恵は仲間の回復の為にとサキュバスミストを展開していく。
その恵と協力して癒しに当たっていたのは、箱竜ペレだ。
チームの盾になるペレは同じ盾役のかごめに属性注入を行って。
「あ、ありがとうございます……」
体に燈る蒼い炎に少し戸惑いも見せていたようだ。
そんなやり取りにくすりと笑うペレの主ノーフィアは翼や尾を使った牽制も合わせ、黒曜断剣の一撃で寄生体を切り伏せていた。
一方、仲間の支援回復を受けていたかごめは後方から仕掛けてくるタイプKを巻き込むようにして、指先を変形させた発射口から必殺のエネルギー光線を放つ。
多数の寄生体を倒すかごめだが、遺体の損壊を気にしてか寄生体の機械部分を狙っていた。
少しずつ敵の数が減ってきている状況の中、熾彩も集まる敵にフロストレーザーを織り交ぜつつ、力ある言葉を発して。
「……凍て付き、眠れ」
文字通りに寄生体を……犠牲となった市民を眠らせる為、熾彩は敵陣を氷へと閉ざしていく。
その時だ。
「君を倒して僕らがMVPさ!」
「きゃっ!」
交戦中に聞こえてきた叫び声に、熾彩が思わず驚いてしまう。別班ヴィルフレッドのものだ。
「プルウェリス……」
フラッタリーはそう一言発し、すでに交戦中の別班と合流すべく、この場の防衛戦力の排除を目指すのだった。
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討伐対象であるインスペクトガード・プルウェリスは根占・音々子が事前説明を行った別班の元に出現したようである。
ならば、早くそちらと合流したいところ。
回復を続ける恵や箱竜ペレの援護を受ける沙耶は時間を凍結する弾丸を発射し、ノーフィアも竜の爪を振るう。
かごめも氷結輪を飛ばして寄生体の機械部を破壊し、動く寄生体の数を減らしていた。
「…………」
プルウェリスが出たなら、新人を演じる必要もないと判断した遊鬼もまた氷結輪を操り、冷気の嵐を噴出させる。
熾彩も凍結光線を発射することで敵を凍らせていく。気づけば、かなりの数の寄生体が完全に凍り付いてしまい、動きを止めていた。
「不利……撤収優先……」
これ以上戦うのは危険と判断したのか、タイプKはまだ無事な資材を持ち運ぼうと動く。
しかし、フラッタリーが見過ごさず、火球を投げ込んでタイプKを体ごと燃やそうとする。
追撃をかけ、マロンが特製モンブランを強引に敵の口へとねじ込む。
「任務遂行、ふカ、ノ……」
機能を停止したその遺体は最後に、生前の味を思い出すことはできただろうか。
ともあれ、一行はこの場の戦力を全て無力化して。
「後で弔いに来ますね」
マロンは寄生体とされられていた人々の遺体へとそう声をかけてから、別班の元に向かう仲間を追いかけていくのだった。
駆けつけた先の別班メンバーもやはり防衛部隊と交戦はしていたが、タイプKはすでに倒れていた。
残る寄生体も数少なくなってきていた中、現れていた鳩の頭のダモクレス……インスペクターガード・プルウェリス。
「…………!!」
そいつは宙に浮き、別班メンバーと交戦していた。
「おっとまさかのボス級? いいね! みんなまとめて私たちでもらっちゃおう」
ノーフィアは気楽な調子で油断を装い、仲間と共に乱入してくる。
「いらっしゃーい。待ってたわよ」
「ぎゅ~~~ん!」
笑顔を見せるのは、弓を射かけていた言葉。さらに、箱竜ぶーちゃんも雄叫びを上げる。
「信念を貫く為の力を!!」
沙耶の叫びで力を増したメンバーが飛び込み、強い信念を持って戦う仲間達へと祝福を与えていく。
「このような大物が残っていたとは……」
状況把握の最中、かごめは念を押して功を焦ったことを悔いるような振る舞いをして敵の油断を誘おうとしながらも、肘から先を高速回転させてプルウェリスへと殴り掛かる。
「これは中々ー、手ごわそうな手応えがー」
いつの間にか、冷静さを取り戻していたフラッタリーも様子見の為に戦闘態勢を解除はしていたが、それでも攻撃自体に手は抜いていない。
振るった鉄塊剣に地獄の炎を燃え上がらせ、フラッタリーはプルウェリスへと浴びせかけた。
その一閃は近場の建築物をも巻き込んでいく。元々、建物を倒壊させるのは別班に知らせる為の合図であったのだが、勢い余ってと言うやつである。
「…………」
プルウェリスは応戦しようと自らの周囲に浮遊する円筒状の機器を差し向けようとしてくるが、遊鬼の動きの方が速い。
「…………」
やはり、こちらでももはや語る必要はないと判断した遊鬼。
まるで忍者の如く物陰を立ち回りながらも、彼は精神を集中させてプルウェリスの体を起爆する。
巻き起こる爆発の中、バスターライフルを構えた熾彩が凍結光線を浴びせかけた。
「…………!」
度重なる攻撃を受けたプルウェリスの身体が落下し、地面へと落ちていく。
地面へと針の如きつま先を突き刺したそいつは、必死にバランスをとろうとする様は滑稽極まりない。
しかし、ここは戦場であり、大阪市民の依頼を寄生体へと変えたダモクレスの一員である。笑いなど起きようはずもない。
別班メンバー達もまた手加減する様子はないようだ。
「哀れだねぇ。守るべき姫の傍で死ねない騎士というのは……」
「哀れなものか」
アンセルムが腕を突き出して放つ蔦が大蛇へと変わってプルウェリスへと食らいついていき、リューディガ―がその喉元へと突きを入れる。
「……哀れなものか」
「…………」
プルウェリスは黙したまま、展開した嘴へとエネルギーにエネルギーを高め始める。
事前情報によれば、そこからビークブラスターなる光線を発射するはずだ。
「口を閉じてろぉーっ!」
そこで、荒ぶる環がヌンチャク状とした如意棒を横っ面へと叩きつけ、地面へと転がしていく。
崩れ落ちるプルウェリス目がけ、マロンが腕を突き出して時空凍結弾を撃ち込み、恵も回復の必要すらないと感じて妖精靴に理力を溜めてから星形のオーラを叩き込んでいく。
ダメ押しの攻撃を浴びたプルウェリスに、立ち上がる暇など与えられない。
「黒曜牙竜のノーフィアよりインスペクトガード・プルウェリスへ。剣と月の祝福を」
こうなれば、油断を誘う必要などないと確信したノーフィアが敵に向けて黒曜穿剣を突きつけ、高らかに名乗りを上げて。
「ちょっとした騙し討ちだけど、卑怯だなんて言わないよね? こっちだって全力だ!」
箱竜ペレが炎に包まれた封印箱に入ってからタックルを食らわせると。
「我黒曜の牙を継ぎし者なり。然れば我は求め命じたり。顕現せよ、汝鋼の鱗持ちし竜」
ノーフィアは右腕に降ろした古の鋼竜の魂を具現化させて。
「我が一肢と成りて、立塞がる愚者へと鉄鎚を打ち下ろせ」
彼女はそれを一気にプルウェリスの頭へと叩き込んだ。もはや、その嘴は原型を留めてはいない。
「……ア、アルキサス様」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
漏れ出す濁った電子音声に別班メンバー達も目を見開いていたが、近づくヴィルフレッドがブラックスライムを刃へと変化させて。
「すぐにまたアルキサスと会えるよ。今頃は彼女も他のケルベロスたちに倒されてるだろうからね」
笑顔と共に影の刃を放ち、天を凝視したプルウェリスの頭を胴体から切り離していったのだった。
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続々と入ってくる状況報告。
要塞内部へと潜入チームがインスペクター・アルキタスを打ち取ったという情報も入り、ケルベロス達は皆、喜びに沸き立つ。
それなら後は事後処理をとメンバー達は動いていくが、気になるのは解体される要塞ヤルンヴィドの資材である。
その破壊を試みていたメンバーも少なくないが、逆に有効活用してやろうと、ノーフィアや恵は怪力無双で持ち運ぶ。この先何かに使える機会はあるだろうか。
恵はさらに、戦闘の影響で破壊された街を修復すべくヒールを施す。沙耶もまた修復作業に当たっており、ようやく大阪市民の役に立てたと笑みを浮かべていたようだ。
そして、マロンは仲間を伴って、寄生体とされていた遺体の弔いへと当たる。
「どうか、やすらかに……」
尊い犠牲を払った彼らの為に。マロンはしばらく鎮魂の祈りを捧げていたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年7月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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