メリュジーヌ奪取戦~謀略者の末路

作者:ハル


「先日行われた決選投票の結果、ブレイザブリグを明け渡さず、大阪城の攻性植物のゲートに挑む事となりました」
 山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)が、集まってくれたケルベロス達を見回す。
 彼女が口にするのは、注目されていたベルンシュタイン伯爵率いるエインヘリアルの軍勢に関する連絡だ。
「メリュジーヌのコギトエルゴスムを使い、交渉しようと画策するベルンシュタイン伯爵への対応の詳細を端的に申し上げますと、素早く撃破し、同時にメリュジーヌのコギトエルゴスムも奪取してしまいましょう、というものです!」


 そのための作戦も、既に立案されている。
「全体の流れとしては、まず前段階として、ベルンシュタイン伯爵の元に嘘の交渉役として1部隊が赴きます。その交渉を元にベルンシュタイン伯爵をブレイザブリクへ誘き出し、そこで待ち構えるケルベロス部隊にて、配下諸共、包囲殲滅するというものです」
 桔梗は、ここに集まってくれたケルベロス達には、包囲殲滅の役割を果たしてほしいのだと丁寧に説明する。また、ブレイザブリクの内部にベルンシュタイン伯爵を実際に招き入れるのには、機能を悪用されるなどの危険が伴う。そのため、包囲殲滅はブレイザブリク到着前に仕掛ける形となる。
「包囲殲滅は、4部隊で行う事となります。1部隊が、交渉が成立していると思い込んでいるベルンシュタイン伯爵の迎えを装って出向き、油断して近づいてきた所を残りの3部隊が包囲するのです」
 包囲網は、後方、左翼、右翼で概ね構成される見通しだ。
「皆さんにはその中で、右翼を担当して頂きます。やるべき事は、のこのこと突出してきたベルンシュタイン伯爵の軍勢に気づかれないように周囲に潜み、出迎え役の部隊が時間を稼いでくれている間に包囲網を築きます。その後、機を見て伯爵を出迎えに行った部隊が奇襲を仕掛ける手筈ですので、皆さんもタイミングを合わせて襲撃を開始してください」
 ベルンシュタイン伯爵も、当然ケルベロス側の動きを察知すれば撤退すべく動くだろう。不確定要素として、ベルンシュタイン伯爵がどの部隊の方向に向かって逃げ出してくるかは現段階では不明となっている。
「もし右翼側に逃げてきた場合は、皆さんの手で逃走を許さず、撃破してください」
 伯爵が逃げてこなかった場合は、私兵団の撃破に力を注いて欲しい。伯爵らが運んできたメリュジーヌのコギトエルゴスムを奪取するという重要な役割が残っているからだ。
「コギトエルゴスムの奪取後は、ベルンシュタイン伯爵と戦闘を行っているだろう部隊か、最初の奇襲後、逆に敵に包囲されてしまっているだろう出迎え役の部隊の救援に向かってあげてください」
 作戦の内容としては完全な騙し討ち。褒められたものではないにせよ、メリュジーヌのコギトエルゴスムをチラつかせてくる相手には相応だろうと確信するものだ。
「大阪城の攻性植物のゲートへの決戦という、一つの大きな決断が下されました。しかしその前に、メリュジーヌのコギトエルゴスムを奪取してしまいましょう。この機会を逃す手はなく、ベルンシュタイン伯爵に鉄槌を!」


参加者
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)
ミツキ・キサラギ(剣客殺し・e02213)
三刀谷・千尋(トリニティブレイド・e04259)
アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)
クリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)
植田・碧(紅き髪の戦女神・e27093)
湊弐・響(真鍮の戦闘支援妖精・e37129)
副島・二郎(不屈の破片・e56537)

■リプレイ


「こうもあっさり騙されるとはね。まあ所詮エインヘリアルっていったところか」
「チラッと見えたけだが、随分と陽気な顔してんじゃねぇか、あの伯爵。自分の妄想通り世の中が動くとでも思ってんのか? ワンチャン賭ける気概だけは認めるが……」
 交渉が上手く進んだという報告が齎されていた。それでも警戒していたケルベロスらであったが、迎えに出た部隊をあまりに無警戒に近付かせる伯爵の姿に、アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)が辛辣な意見を述べ、相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)は呆れ返っていた。
「まっ、そのおかげでアタシらは楽に隠密できるんだけどねぇ」
 あまりの判断力のなさに怒りすら浮かべる竜人を、三刀谷・千尋(トリニティブレイド・e04259)が肩を竦めて宥める。
 ケルベロス達は現在、伯爵及び100人規模の私兵団に対し、隠密気流を纏い包囲網を形成。奇襲を仕掛ける手筈となっている迎えの部隊が動くまで、待機の状態だ。
「仰る通り、世界が自分の為に回っていると思っているのでしょう。あのカーネリアの父親ですもの。この親ありにしてこの子あり、逆もまたしかり、ですわ」
「その説明で納得できてしまうのが微妙な所でありますね」
「……本当にね」
 予想が的中して満足そうな湊弐・響(真鍮の戦闘支援妖精・e37129)が語る内容に、クリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)と植田・碧(紅き髪の戦女神・e27093)が苦笑する。
「一応、話には聞いてはいたが……」
 ミツキ・キサラギ(剣客殺し・e02213)が碧を見やる。碧は、彼に深く頷いて見せた。
「そろそろ伯爵を迎えに行った部隊が動きそうだぞ」
 いい塩梅の緊張感を保ちつつ待機する仲間を、最年長の副島・二郎(不屈の破片・e56537)の一声が一段引き締める。
 と、二郎は千尋に視線を。正確には、彼女のアイズフォンを、だ。
「ダメだね。圏外さね」
 意味を悟った千尋は、ヤレヤレと首を横に振る。
「となると、信号弾が頼り――」
 そして碧が情報を整理しようとした、その時!
「前線で動きがあった模様! むっ、あれは信号弾! 色は白であります!!」
 クリームヒルトが告げ、皆がそれを確認する。
「私兵団の隊列にも乱れがあるね。本当に何の警戒もしていなかったんだ」
 迎えの部隊による奇襲成功が確実視される中、冷笑を浮かべたアビスら右翼も動き出す。
「白の信号弾っつーことは、伯爵の撤退先は不明か。なら、とりあえずぶん殴るぞ」
 髑髏の仮面を被った竜人が、数字形のピースで構成されたパズル――戯画を握りしめる。
 隠密気流を纏ったケルベロスは、少し前まで完全な『非戦闘状態』であった私兵団の直近まで迫っていた。ゆえに、その奇襲が私兵団に襲い掛かるのも、大きな混乱の渦中にあり!
 慎重な接近から一転。竜人の戯画から竜を象った稲妻が、Mdと思しき無防備な私兵目掛け、解き放たれる。
 クリームヒルトによって奏でられた「寂寞の調べ」が味方後衛に纏うと、続けざまに碧が冷気を帯びた手刀で敵軍に襲い掛かる。スノーの尻尾の輪が深々と抉ると――。
「て、ててて、敵襲ーー!」
「応戦せよ、応戦せよーー!」
「増援だ! この、裏切り者共め!!」
 一拍遅れて私兵団の面々はようやく自分達が袋の鼠である事を悟ったようだ。慌てふためきながら陣形を整えるが、あまりにも遅々とした動き。
「さてと、とりあえずご愁傷様と言っておこうかな。……伯爵共々、ここで終わりだよ」
 アビスがヒールドローンを前衛に展開する。白銀を思わせるボクスドラゴンであるコキュートスが、ブレスを放射した。
「もう貴様らは逃げられない。俺達が逃がさない。……貴様らの戦力はどの程度だ?」
 後方から、二郎は変形させたハンマーから竜砲弾にて狙撃する。そして敵陣全体を一瞥し、「20体前後、といった所か」そう仲間に周知した。
「20体前後だな。ならこれでまずは一体目、だな! 狐月三刀流奥義、待宵!――この二撃、見切れるか!」
「お待ちよアンタ。最初の奇襲ぐらいアタシも参加させな! ひぃ、ふぅ、みぃ……これで残り18体さね!」
 喜々と敵の背後を取ったミツキが、素早い二段突きにて血祭りにあげる。
 流れに乗り遅れてなるものかと、千尋が無銘なれど洗練された刀にて、私兵団を斬り捨てた。
「皆さんご機嫌がよろしいようで」
 響は仲間の後衛に対し、光輝くオウガ粒子を放出。覚醒を促す。
「ここまで伯爵の姿が見られないという事は、彼は別の部隊に袋叩きにされている最中という訳ですわね。娘の仇が四人もいる私達の前に現れないなんて、酷い親もいたものですこと」
 やがて響は私兵団に向き直ると、自信満々にニッコリと微笑んだ。


「ブレイク、来るぞ! 散開、散開だ……!」
 二郎が警告を発し、ケルベロス達は即座にその場から飛びのく。
「っくぅ……! しつこいでありますね! しかし、その程度でボクの守護を打ち破ろうなど、片腹痛いであります!」
 私兵団による、四方八方から数で押してくる戦術に対し、Df陣が奮闘する。クリームヒルトは重鎧と盾が軋みをあげるのを無視し、私兵団を徐々に押し返す。
「碧、大丈夫か!?」
「ええ、大丈夫よ、このくらい! それよりミツキくんこそ、集中しなきゃダメよ?」
「わ、わーってるよ! 重々承知さ!」
 同じ前衛にいるだけに、ミツキは私兵団の範囲攻撃に晒された際など、どうしても彼女を気にかけてしまう。先に成人を迎え、どこか大人びた風に見える碧の横顔から視線を逸らし、ミツキは迫る星座のオーラを振り払った。
「クリームヒルトは逆に前だけ見すぎだよ」
「申し訳ありません、アビス様! しかし、これがボクのスタイルでありますゆえ!」
「……なら仕方ない、のかな。じゃあフォローはしてあげるよ……!」
 クリームヒルトが、オーラを溜める。素っ気ない態度ながら、アビスは声色に僅かなれど確かに彼女を案じる色を混ぜ、六角形の大きな氷の盾を宙に展開。
「テメエの未来は火葬場の灰、そうなっちまえばみんな同じさ!」
 竜人がワイルドの力由来の黒い焔を形成し、直近の私兵団多数を纏めて黒焔で侵食する。
「――おい」
 そして端的に声を発すると、どこか硬派な雰囲気を醸すマンデリンが、動画で負傷者を癒していく。
 フリズスキャールヴもそれに追随するよう、動画を流した。
「前衛を無力化するまでもう少しね!」
 回復支援を受けながら、碧が轟竜砲を放ち、負傷が色濃いDfから順次排除していく。
「ぎゃあああ!!」
「ベ、ベルンシュタイン伯爵様は無事に逃げおおせられたのか!?」
「わ、分からん! ――ぐふぅぅっ!!」
 右翼側の私兵団は戦線を維持できているとはいえ、やはり最初の奇襲のダメージは色濃い。数的優位は変わらずも、それでも次々と戦死していく団員の存在は、彼らの士気に多大な影響を与えているようだ。
「……哀れだな」
 ただ命令に従うだけの私兵団の姿に、二郎の瞳に僅かな憐みの色が宿る。
「だが悪いな。俺は武力。そして貴様らはただの敵だ」
 しかし彼が宿す混沌の青黒い水が染み出し、衝撃波と化して、喚く団員に容赦なく沈黙を与えていく。
「まったく、アンタらは絵に描いたようなやられ役だねぇ。ちょっとはマンガを読んで、フラグってもんを学びな!」
 千尋が薬液の雨を前衛に降らせる。
(「確かに、ちょっとばかし心配しすぎてたかもな。狩人の気分には、どうもなれそうにない」)
 この場に狐月三刀流の真価を発揮するに相応しい強敵は存在しないと結論付け、ミツキは露骨に溜め息を吐き出しながら、超加速突撃で私兵団を蹴散らす。
「この分じゃ、伯爵とやらも期待薄だったか?」
「どうでしょう。伯爵もかつては騎士であったそうですから、それなりの力は有しているはずですわ。ただ、今も騎士としての誇りがあれば、の話ですけれどね」
 吐息と共に零れたミツキの呟きに応じるのは、微笑を浮かべた響。二人は伯爵と相対しているだろうケルベロスの勝利と無事を祈り、同時に伯爵がケルベロスが勝利という名の栄誉を掲げるに相応しい敵である事を期待しつつ、私兵団を相手どる。
「さあ行きなさい。踊りなさい。私の奏でるワルツと共に!」
 響が緑色の燐光を放つ自律式空中砲台を召喚し、後衛の周囲に展開した。

「畳み掛けるよ! 伯爵がこちら側に来ない以上、コギトエルゴスムの回収はきっちりとね!」
 DfとMdを迅速に排除できた事で、消耗の点でも抑制が効いている。数の脅威から中衛及び後衛への影響を最小限に止めてくれた前衛陣に感謝と発破をかけつつ、千尋がミツキにエレキブーストを。
 二郎の炎を纏った苛烈な蹴りが、私兵を灰燼に帰す。
「既に勝ったつもりか、ケルベロス!」
 ミツキと碧の関係性を察したのか、ミツキが敵から視線を逸らしたタイミングで私兵らが攻勢に出ようとする。しかし彼は私兵の思惑を嘲笑う様に、不用意に突出してきた彼らを射出した氷結輪の冷気で凍てつかせた。
「勝ったつもり――ではなく、既に勝敗は決しておりますわ。もしや御自覚がありませんでした?」
 煽るようにクスリと嗤い、響がフロストレーザーを発射する。
「お前さんらも難儀だよな。上が無能なばっかりにこんなトコまで連れてこられちまってよ。だけどよ、ここまで来ちまった以上……分かるよな?」
「わ、分かってたまるものか! 我等はベルンシュタイン伯爵様と共に本国に凱旋を――」
「本気で言ってる? 無理、無駄、見通しが甘過ぎるね……!」
 それでも囀る私兵団の抵抗から、マンデリンが盾となる。すかさず竜人のオーラの弾丸が喰らいつき、アビスの放ったハートクエイクアローが貫いた。
「フリズスキャールヴは変わらず皆様の回復を! ボクは敵の掃討に助力させて頂くであります!」
 フリズスキャールヴにヒールを指示し、戦線維持最優先の耐久から一転、クリームヒルトが剣の先端から美しき花の嵐を舞わせる。
「スノー、準備はいいわね!?」
 碧が尋ねると、スノーは既に鋭い爪を飛ばし、やる気満々。碧は笑顔で頷きつつ、チラリと共に戦う彼を伺い見る。そして、彼に自分の姿を誇示するよう、スノーとタイミングを合わせ、私兵に設置しておいた見えない爆弾を起動させた。
 そして間もなく、右翼側の私兵団は全滅という結末を迎えた。


「かなりの数のコギトエルゴスムを所持しているようだな」
「情報通り、兵士1人1人が分散して所持しているようだねぇ。相当数あるのは間違いないさね」
「全てのコギトエルゴスムを持ってきているというのは、あながち嘘でもなさそうだ」
 二郎と千尋が未回収のコギトエルゴスムを回収しながら、言葉を交わす。当初から騙し討ちを画策していたケルベロスとは対照的に、ベルンシュタイン伯爵はある程度真っ当な交渉をするつもりだったようだ。最も、あくまで伯爵側から見た真っ当なそれではあるのだが。
「左翼側の動向に何か異変があったみたいだよ。たぶん、伯爵と会敵したんだと思う」
「雰囲気的に見て、ケルベロス側がかなりの優勢で間違いありませんわね。でしたら――」
 アビスと響が状況を確認し、クリームヒルトに視線を向けた。
「了解であります! では、救援の信号弾を!」
 クリームヒルトが、救援に向かう旨を知らせる緑の信号弾を打ち上げる。
「伯爵をぶん殴ってやれないのは残念だが、そこは左翼の奴らに期待しておくか。よし、急ぐぞ」
 コギトエルゴスム回収を終えたタイミングで竜人が告げる。
 ――もう少しだけ辛抱しておくれよ?
 千尋が大事そうにコギトエルゴスムを仕舞うと、ケルベロス達は迅速に動き出した。
「見つけたぜ! ……あの一団、だよな?!」
 ややあって、ミツキ達ケルベロスは磨羯宮を背に大量の私兵に押し込まれかける友軍を発見する。
「予想していたよりも状況は悪いみたいだね。ただ、全員無事だよ……!」
 傷だらけなれど、辛うじて全員健在で踏み止まる友軍の姿に、アビスの声にも力が籠った。
「植田さん、三刀谷さん、相馬さん! こっちです!」
 ――と、信号弾からこっち、救援を待ち侘びていただろう友軍。その内の一人である小柄な少女が、こちらを見つけ手を振った。
 碧が笑顔を、千尋が大振りで手を振り返し、竜人が小さく首肯する。
「必ずめぐみさん達を助けるわよ、みんな!」
 碧は手刀を構え、グッと渾身の力を込める!

 一閃――空間を切り裂くように、冥府深層の冷気が私兵団に押し寄せた。
「待たせたみたいだね。でも、無事で良かった」
「間一髪って所か?」
 猛然と友軍の元へと振り下ろされようとしていたゾディアックソードの前に、アビスとミツキは盾となり、立ち塞がる。
「まだ倒れるには早いであります!光よ!」
「仕事が残っているようで何よりさ! 癒しの力を感じられる内は、アンタらが大丈夫な証だからねぇ……!」
 クリームヒルトの光が包み込み、千尋がメディカルレインを行使する。
「……右翼側にいた貴様らの仲間は俺達が排除した。直に貴様らもそこに送ってやる」
 二郎が負傷した友軍の姿に怒りを見せる。一体彼らは何体を相手どっていたのか。消耗具合から鑑みて、激戦であった事は疑いようも無い。
「テメエら、よく耐えたな。だけどよ、喜べ、もう一仕事してもらうぜ? そんでよ――」
「ご一緒に、お呼びではない方々にはご退場願いましょう?」
 そして、背後からの強襲に虚を突かれたらしい私兵団に対して、どこまでもふてぶてしく、竜人と響が再度の口火を切った。創世衝波が放たれ、光輝くオウガ粒子が宙を舞う。
「最後のヤツ、いっちゃおうかな。――より派手に、盛大に彩ろうかねぇ!」
 無論、友軍も黙って守られている程、軟ではない。透明化機雷が散布され、派手に花火が上がる。
 残存する敵勢力にSnやMdが多いと見て取るや、アビスの指示を受けたコキュートスが体当たりを仕掛け、「妖精種族の解放は悲願であります! メリュジーヌの皆様は、全てお返し頂きます!」クリームヒルトが広く破剣を付与。
「――最早、逃れられんと知れ」
 二郎の青黒い混沌の水が、触れた私兵を不快感の沼に沈めていく。
「ほれ、気合入れろよ。俺らを平らげたらこの場所はテメエらのモンだぜ?」
 友軍から大量のミサイルが放たれ、回避を許さぬ超高速の突撃が私兵を粉砕。
 竜人も負けじと黒焔で私兵を染め上げ、碧のグラビティ弾が乱れ飛ぶ。
 ミツキの二段突きが迸り、千尋が繰り返し薬液の雨を降らせ戦線を維持していると――ついに勝利の瞬間は訪れる。
「私たちの勝利です!」
「私達の勝利ですわ!」
 自然と上がる勝鬨。
 伯爵のいる左翼側からも同様の声が聞こえると、響は勝利の余韻に浸るように。
「伯爵がどのような最後を辿ったか、お話を伺える機会を楽しみにしつつ、帰還と致しましょう」

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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