輝く玩具の光線銃！

■リプレイ

●都内某所
「まさか、僕が危惧していたダモクレスが本当に居たとは驚いたね。ここは、僕がきっちりと始末しておかないと……」
　四季城・司（怜悧なる微笑み・e85764）仲間達と共に、廃墟と化した倉庫にやってきた。
　ダモクレスと化したのは、輝く玩具の拳銃（光線銃）で、とあるＳＦ小説で使用されていたモノ。
　そのＳＦ小説はドラマやアニメになるほど人気であったため、メーカー側も本気を出して光線銃を製造したらしく、実にリアルなモノが完成したらしい。
　だが、光の点滅によって危険を及ぼす可能性があったため、回収されて倉庫の中で眠りについていたらしい。
「……光線銃ですか。ＳＦものが好きな私にとってはロマン溢れる一品ですわね。……ですけど、これがダモクレスなら油断は出来ませんわ」
　カトレア・ベルローズ（紅薔薇の魔術師・e00568）が、複雑な気持ちになりながら人払いをし始めた。
　幸い、まわりにはほとんど人がおらず、事情を説明すると、みんな素直に応じてくれた。
「……とは言え、そのようなおもちゃがあるんじゃったら、わらわが遊べるようなものもあったりせぬかのぅ。いいものがあるんじゃったらいいのじゃが……」
　ミミ・フリージア（たたかうひめさま・e34679）が、興味津々な様子で倉庫に視線を送った。
　倉庫には、他にも玩具が保管されているため、もしかしたら何かイイモノがあるかも知れない。
　ただし、その大半がメーカー側にとっては黒歴史のため、何かしらの問題点がありそうだ。
「ボクもこういう玩具は好きだよ。それが人を襲うのなら、話は別だけどね」
　香月・渚（群青聖女・e35380）が、気持ちを切り替えた。
　ここでの油断は、自殺行為。
　最悪の場合、罪のない人達を巻き込んでしまうため、決して気を抜く事が出来なかった。
「ダモクレス化したままでは、子供の夢を壊してしまいますからね。そういった意味でも、ここで私たちが食い止めておかないと……」
　彩咲・紫（ラベンダーの妖精術士・e13306）が、警戒心をあらわにした。
　既に、光線銃のダモクレス化が完了しているのか、倉庫の壁に何度も、何度も、体当たりをしている音が響いてきた。
「ヒーローがかっこよく使って悪を倒す光線銃がダモクレスになるなんて、実に残念な事ですね。子供達の夢である光線銃が無辜の命を奪う前に、ここで止めましょう。準備は出来ましたか、瑠璃？」
　源・那岐（疾風の舞姫・e01215）が、念のため殺界形成を発動させた。
　幸い、辺りに人影はないものの、ダモクレスがどういった行動を取るのか分からないため、念には念を入れておく必要があった。
「うん、那岐姉さん、一緒に頑張ろう。まあ、ダモクレスになる前から欠陥品だったようだけどね。だからと言って、暴走して人を狙うのだけは阻止しておかないと……」
　源・瑠璃（月光の貴公子・e05524）が、自分自身に気合を入れた。
　それに、このまま放っておけば、人々の命が奪われるだけでなく、子供達の夢まで壊れてしまう。
　それが分かっていながら、放っておく事など出来なかった。
「ピカ、ピカ、ピカチ……ァァァァァァァァァァァ！」
　次の瞬間、ダモクレスが倉庫の壁を突き破り、ケモノの如く咆哮を上げた。
　ダモクレスは巨大な光線銃と融合した蜘蛛型戦車のような姿をしており、ケルベロス達の存在に気付くと、アスファルトの地面に穴を開けながら、一気に距離を縮めてきた。
「微妙にやばげな鳴き声をしている気がするのですが……。き、気のせいだと思いたいのです！　でも、チカチカすると目に悪いので、みんなで倒してしまうのです……！」
　八点鐘・あこ（にゃージックファイター・e36004）が色々な意味で危機感を覚え、タモクレスの側面に回り込んだ。
　そうしている間も、光線銃の先端が不自然にピカピカと光り、ケルベロス達の心を不安にさせた。
　それが、どうしてなのか分からなかったが、胸騒ぎのする光り方であった。

●ダモクレス
「それにしても、随分と見た目が変わっているね？　これじゃ、光線銃って言うより、最早ロボット……多脚型戦車に近い気が……」
　瑠璃が複雑な気持ちになりながら、ダモクレスに視線を送った。
　光線銃は蜘蛛型のダモクレスと融合した事で、危険度が増しており、禍々しい雰囲気が漂っていた。
「確かに、原型を留めてませんね。だからこそ、ここで止めるべきです」
　那岐が深い溜息を漏らした後、ダモクレスの前に立ち塞がった。
「ピカ、ピカ、ピカァァァァァァァァァァァァァァ！」
　それと同時にダモクレスが地面を蹴りつけ、ケルベロス達に突っ込んできた。
「こ、これは本気で戦わないと危ないのです……！」
　すぐさま、あこがブレイブマインを発動させ、仲間の背後にカラフルな爆発を発生させ、爆風を背にした仲間の士気を高めた。
「ピ、ピ、ピカァァァァァァァァァァァ！」
　それでも、ダモクレスは怯まない。
　さらにスピードを上げて、全力全開ッ！
「少し動かないで貰えるかな？」
　それを迎え撃つようにして、司がスターゲイザーを放ち、ダモクレスを蹴り飛ばした。
「ピ、ピカァァァァァァァァ！」
　その衝撃でダモクレスがバランスを崩し、そのままビルの壁に突っ込んだ。
「わらわ達を甘く見過ぎじゃ！」
　その間にミミが一気に距離を縮め、轟竜砲でハンマーを砲撃形態に変形させ、竜砲弾をダモクレスに撃ち込んだ。
「ピカピカピィィィィィィィィィィィィィィィィィィ！」
　その一撃を喰らったダモクレスが、怒り狂った様子でケルベロス達に殺意を向けた。
「ドラちゃん、準備はいい？」
　その殺気に気づいた香月・渚（群青聖女・e35380）がボクスドラゴンのドラちゃんに声を掛け、躍動の歌（ヤクドウノウタ）で生き生きとした元気な歌を歌い、仲間を元気付けるのと同時に、状態異常への耐性を付与した。
「ピ、ピ、ピカァァァァァァァァァァァァァァ！」
　次の瞬間、ダモクレスが興奮した様子で、光線銃の先端をピカピカさせ、ケルベロス達を狙って、強力なビームを放ってきた。
「あ、あぶないにゃ！」
　そのビームに驚いたあこが、ぴょんとその場から飛び退いた。
　ウイングキャットのベルも、危うくビームを喰らって、ゴッソリと毛を持っていかれそうになっていたため、全身に毛を逆立てて、御立腹であった。
「光線よりも、こちらの方が火力は上ですわよ！」
　その間に、カトレアがグラインドファイアを放ち、ローラーダッシュの摩擦を利用した激しい蹴りで、ダモクレスの身体を炎に包んだ。
「ピ、ピ、ピカカァァァァァァァァァァァァァ！」
　それでも、ダモクレスの勢いは衰えておらず、まるで衣の如く炎を纏いながら、再び強力なビームを放ってきた。
「随分と乱暴じゃのう」
　倉庫の壁が崩れ落ちる音が響く中、ミミが仲間達と連携を取って、ビームを避けつつ、ダモクレスを囲むようにして陣取った。
　その間にテレビウムの菜の花姫がバールのようなモノを振り上げ、ダモクレスをボコって、ボコって、ボコりまくった。
　そのたび、どす黒い血にも似たオイルが飛び散ったものの、菜の花姫に迷いはなかった。
「……意外と頑丈ですわね。だったら、これで刈り取ってあげますわ」
　そこに追い打ちをかけるようにして、紫がギロチンフィニッシュで刃に『死』の力を纏わせ、ダモクレスめがけて振り下ろした。
「ピ、ピカチィィィィィィィィィィィィィィ！」
　次の瞬間、ダモクレスの上部に設置されていた光線銃が宙を舞い、百万ボルトを発しそうな勢いでピカピカと輝き、アスファルトの地面に転がった。
　だが、ダモクレスにとって光線銃の部分は、トレードマークにも等しいモノだったため、先程よりも勢いが増して、躊躇いが無くなった。
　そのため、目の前に障害物があっても気にせず、ケルベロス達に突っ込んできた。
「いくよ、ドラちゃん！」
　渚がドラちゃんに声を掛け、間合いを取ってダモクレスに、スターゲイザーを炸裂させた。
　それに合わせて、ドラちゃんがボクスブレスを仕掛け、ダモクレスの装甲を引き剥がした。
「その傷口、更に広げて差し上げましょう」
　続いて、カトレアが絶空斬を仕掛け、空の霊力を帯びた武器で、ダモクレスの傷跡を正確に斬り広げた。
　その途端、ダモクレスの体から、どす黒い血のようなオイルが、噴水の如く勢いよく噴き出した。
「ピカ、ピィィィィィィィィィィィィィィィ！」
　ダモクレスが怒り狂った様子で、光線銃型のアームを次々と伸ばしてきた。
　それと同時に、先端の光線銃が不規則にピカピカと光り、ケルベロス達のイライラを増幅させた。
「悪い事をしたら駄目なのです……！」
　すぐさま、あこがダモクレスを叱りつけるようにして、ベルと連携を取るようにして、次々と攻撃を仕掛けていった。
　その事に腹を立てたダモクレスが、執拗にアームの光線銃をピカピカさせ、あこ達の目をチカチカさせた。
　それが原因で、あこ達のまわりにキラキラと星が輝き、ダモクレスとの戦闘どころではなくなった。
「これで、オーバーヒートしてしまえー！」
　その間に渚がグラインドファイアを放ち、ダモクレスの体を炎に包んだ。
　それに合わせて、ドラちゃんがボクスタックルを仕掛け、光線銃型のアームをへし折った。
「さぁ、まどろみの世界へ誘ってあげますわ」
　次の瞬間、紫がハートクエイクアローで心を貫くエネルギーの矢を放ち、ダモクレスを催眠状態に陥れようとした。
「ピカ、ピカ、ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ！」
　だが、ダモクリスはまったく怯んでおらず、折れ曲がったアームを揺らし、光線銃型のミサイルを飛ばしてきた。
「ミ、ミサイルなんて卑怯じゃよ！」
　ミミが驚いた様子で、ダモクレスが放ったミサイルを、ギリギリのところで回避した。
　それと入れ替わるようにして、菜の花姫がテレビフラッシュを放ち、ダモクレスの動きを止めた。
「そもそも光線銃がミサイルを撃つのもおかしいし、早く壊しちゃおう」
　瑠璃が那岐と連携を取りつつ、物質の時間を凍結する弾丸を精製すると、ダモクレスに撃ち込んだ。
「……そうですね。こんなチカチカとしたものを、ずっと見ている訳にもいきませんし……」
　それと同時に、那岐がフラワージェイルを仕掛け、剣の先端から美しき花の嵐を放ち、ダモクレスを閉じ込め、戦闘意欲を奪おうとした。
「ピカピカピカピィィィィィィィィィィィィ！」
　しかし、ダモクレスは殺気の塊と化しており、再びミサイルを放ってきた。
　そのミサイルはケルベロスだけでなく、辺りにあるモノも手当たり次第に爆破した。
　そのため、大量の土煙が舞い上がり、目を開けている事さえ困難になった。
「その身に刻め、葬送の薔薇！　バーテクルローズ！」
　それでも臆する事なく、カトレアがバーテクルローズで克己と共に、ダモクレスのボディに薔薇の模様を描くようにして斬り裂き、最後の一突きで薔薇の花弁を散らすかの如く爆発が起こした。
「華麗なる薔薇の舞を、その身に刻み込むと良いよ」
　それに合わせて、司が薔薇の剣戟を仕掛け、幻の薔薇が舞う華麗な剣戟で、ダモクレスを幻惑した。
「今のうちです！　ダモクレスを壊してしまいましょう！」
　すぐさま、那岐がフォーチュンスターを発動させ、理力を籠めた星型のオーラを敵に蹴り込みで、ダモクレスの装甲を破壊した。
「……今度はマトモなヒーローの武器に生まれ変わってね」
　瑠璃がダモクレスに別れを告げ、太古の月・強（エンシェント・ムーン・レインフォースメント）を発動させ、瑠璃が秘めた太古の月の力を剣にして、ダモクレスに振り下ろした。
「ピカ、ピカ、ピィィィィィィィィィィィィィィ！」
　その一撃でダネクレスが真っ二つに斬り裂かれ、大量のオイルを撒き散らして崩れ落ちた。
「皆さん、怪我はありませんか？」
　そんな中、紫が仲間達に駆け寄り、心配した様子で声を掛けた。
　仲間達に大きな怪我はなかったが、土煙で服が汚れ、みんな酷い有り様だった。
「無事と言えば無事だけど……ヒールで修復しておかないと酷い有り様だね。ダモクレスがいた倉庫に至っては瓦礫の山になっているし……」
　司が倉庫だった場所を眺め、乾いた笑いを響かせた。
　ヒールを使えば、すべて修復できるとは言え、辺り一面焼け野原と言わんばかりに変わり果てているため、しばらく時間が掛かりそうだ。
「この光線銃は使い方次第で、非常用の灯りとかに使えそうな気がするのです！　だから専門家に聞いてみるのです！」
　あこが足元に落ちていた光線銃を拾い上げ、希望に胸を膨らませた。
　光線銃はダモクレスと化した事で、形が変わってしまったものの、これはこれで格好いい感じであった。
「それじゃ、帰っておやつにしましょうか」
　そう言って那岐が瑠璃を連れ、その場を後にするのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年5月29日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 3
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