夢を夢で終わらせぬ為に

作者:雪見進



 ここは八王子から少し離れた場所。そこで異変が起きていた。
「……~♪」
 あるとき、歌が響き始めた。その歌は聞いた者の意識を混濁させる。ある者は記憶を失い、ある者は喜怒哀楽を暴走させ、声ならぬ声を上げる。
 そんな歌声の主は……愛柳・ミライ(夢で終わる青い鳥・e02784)。第八王子強襲戦にて、仲間を守る為に、自身の力を開放し、暴走してしまったのだ。
 その姿は普段の彼女の姿と、どこか面影を感じながらも、異質さを感じさせる姿。特徴的なのは痛々しいほどのボロボロな左手。その手首に多数の傷跡が見え、その身体に絡みつく鎖は何を意味するのか……。
「~♪」
 そんな彼女が、ゆっくりと翼を羽ばたかせ歌声を響かせながら、住宅地へと近寄っていく。このままでは彼女の歌声を聞いた住民が暴走し、街は壊滅的な被害が出るだろう……。


「愛柳ミライさんを助けて下さい……」
 八王子の地図を広げ、説明をしているのはチヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)。その口調はどこか淡々としているように聞こえるが、馴染みの者にとっては逆に不安を感じる。言うなば、無理して冷静を装っている口調なのだ。しかし、それは彼女なりのヘリオライダーとしての役割を果たすべく全力を尽くしている姿のだろう。
「第八王子強襲戦で行方が分からなくなってしまったミライさんが、近くの住宅地に現れる予知がありました」
 彼女は声を聴いた人を混乱させる歌声を響かせながら現れる。万が一、住民に被害を出したとしては、正気に戻った彼女自身が心に大きな傷を負ってしまうだろう。そんな事になる前に何とかして欲しいとチヒロは願っている様子だ。
「幸い、彼女を正気に戻す方法は分かっています。少々強引ですが、一度、ケルベロスの手で倒す事です」
 暴走状態のケルベロスを倒すのは容易な事ではない。しかし、暴走した彼女の心に強い衝撃を与えれば、弱体化する事が分かっている。しかし、それを説明するのを躊躇している様子が見える。
「……ミライさんは、少し気負い過ぎなのです」
 そんな躊躇の中から、言葉を絞り出すようにチヒロが説明を続ける。彼女の願いは皆を救いたいという願い。それが強くなりすぎた結果。それが彼女自身を縛る鎖になってしまったのではないかとチヒロは考えた様子。それが、現在の彼女を縛る鎖になっているのではないか……。そんな想いがチヒロにはあるようだ。
「あと、彼女が歌う歌には偏りがあるようです」
 予知で見た、暴走してから彼女が歌った歌の中には、一曲だけケルベロスの皆が一番良くしっているあの曲……『ヘリオライト』が無いのだ。この歌が鍵の一つであるのは間違いないだろう。

「それから……いえ、なんでもありません」
 一度メモを見て……それからメモを握り潰して説明を聞いてくれたケルベロスたちの顔を見て、声を上げる。
「このままでは、地域住民に被害が出るだけでなく彼女の心にも大きな傷を追ってしまいます。皆さん、ミライさんを助けて下さい」
 そう言って、後を託すチヒロ。そんなチヒロの手から零れ落ちたメモ。その内容が偶然見えてしまった。そのメモには『髪の毛を切る』と書かれていた……。


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)
燈家・陽葉(光響射て・e02459)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)
星奈・惺月(星を探す少女・e63281)

■リプレイ


 ここは八王子から少し離れた場所。そこに八人のケルベロスが気合の入った表情で集まっていた。
「ミライはいつだって全力で、だからこそほっとけなくて。力になりたいって思うんだ」
 心配そうな表情を浮かべながら、空を……いや、宇宙(そら)を見つめるのマヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)。宇宙(そら)はよくミライが口にしてきた言葉。
 そんなミライの事を想うと、様々な思い出が脳裏をよぎる。
「ミライ姉……会いにきたよ……」
 そんな言葉と共に星奈・惺月(星を探す少女・e63281)は自身の纏う服を……浴衣を掴む。そんな思い入れのある浴衣は、ミライからのおさがり品。その浴衣がミライへ想いを届ける手伝いをしてくれると願って……。
「また一緒に過ごす時間の為、必ずミライさんを連れて帰ります」
「そうだよ。僕にとっても、ミライは大事な友達だから、絶対に連れ戻すよ」
 そんな惺月の隣にそっと立ち、強い気迫と共に惺月を勇気づけるように声を出すミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)と燈家・陽葉(光響射て・e02459)。
「そう……ね!」
 二人に勇気づけられるように顔を上げる惺月。
「ミライさんのみんなを救うって言う、その想いはわたしには眩しすぎるよ」
「そうだね。私も大きな夢に向かうミライさんを心から凄いと思う」
 シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)と幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)が肩を寄せ合いながら呟く。
 他にもいつもミライが口にしてきた言葉はシルの言う通り『みんな救う』という言葉。それは、皆が思い描くものの、それが叶わぬ願いだと諦めてきた言葉。ミライ自身も、そんな現実に様々な葛藤をしてきた。
 今回の件も仲間を救う為の結果なのだ。
「だからこそ、わたしには……ううん、わたし達には、ミライさんが必要なの。だから……絶対に、何があっても連れて帰るっ!」
「こんな形でミライさんの夢を終わらせられない!」
 強い覚悟を見せるシルと鳳琴。
「……」
 そんな中、目を引く姿なのは日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)。その髪の毛は少し湿っている。それは、ちょっとした願掛け。他の者のように言葉に出さないが、想いだけは強くある様子。
「今度は私が支える番……」
 フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)は強い想い……いや、強いココロを胸に静かに宇宙(そら)を見る。ミライと縁を持つ者は、ここにいる八人だけではない。
(「ここに来たかった人達に託されているココロと共に……絶対に連れて帰ります!」)
 そんな者たちの想いと共に、気合を入れるフローネ。

 シルは『必要』だと、鳳琴は『尊敬』していると、陽葉やフローネは『友』だと、蒼眞やマヒナは『心配』だと、ミオリや惺月は『助け』たいと……。
 色々言うが、その言葉で伝えられるほど、心は単純ではない。ただ、思いの丈が口から溢れているだけなのだ。
「……っ♪」
 ほどなく、遠くから、何か心がかき乱されるような歌声が響く。聞きなれたミライの歌声のような、まったく違う異質な歌のような歌声。
 その歌声が皆の不安を煽る。
「見つけました。モード・レスキュー、オープン・コンバット」
「すみれさんと三人で遊ぶ約束も、他の約束もまだ果たしていません!」
「さあ、行きましょう!」
 各々が覚悟を口に出す。暴走したミライを救う為の戦いが始まった!


「……っ♪」
 ミライの歌声が響き、皆の不安な気持ちが駆り立てられる。そんな歌声に負けないように響き始めたのは、歌声。それは、八人の合唱……曲はヘリオライト。
『言葉にならない想いはいつも、めくれた空のオレンジ色に飲み込まれて♪』
 ケルベロスの中では、最高に知名度のある曲。それを戦いの開始と共に、八人が歌声を重ねる。
「一人で抱え込まないでください。救う事は皆で」
 その歌詞の一部をミライへの想いを込め、声を響かせるミオリ。
『掲げた理想は誰かを傷付けて、かすれた地図の上を ずっと彷徨っているだけ♪』
 歌声を響かせながら戦うのは容易では無い。それでも、歌声が途切れないように歌う様は、まるでミライを助ける為に差し伸ばす手のように、強く響く。
「人の想いも歌も、たとて自分が失敗しても、誰かが続いてくれる限り、跡切れる事はないのさ……なんてな」
 その歌声の繋がりは、まるでケルベロスたちの絆を表しているかのよう……。
「あァァァァ……」
 八人のヘリオライトはグラビティではない。しかし、その歌声に不快感を表す暴走ミライ。その不快感を具現化するかのように、周囲に現れるのはザルバルクの幻影。ザルバルクは過去にミライが数多対決した相手。それが幻影とはいえ、彼女を守るように周囲に現れるのは、なんの皮肉なのか……。
『巻き戻すことは もう出来ないけど、創造する世界は きっと運命を変えるんだ♪』
 歌詞の通り、ミライが暴走した未来を巻き戻す事は出来ない。しかし、これからの運命は変えることが出来る。
「僕が宿敵に襲われた時に助けに来てくれたのありがたかったよ」
「君がどれだけ大きな存在だったか改めて気づかされたよ」
 陽葉とマヒナはミライの思い出をグラビティに込め、流星となってミライへと、伝える。
「その気持ちを……今は歌で想いを届ける……ね」
 惺月は立ち止まらぬ気持ちをヘリオライトに込め歌声を響かせる。
 そのままでは届かない想い。それを暴走したミライに伝える為、様々な形で……グラビティで伝えるのだ!
「聞こえますか、ミライさん!」
「一人では紡げないものも、みんなで一緒に紡いでいけるの!」
 声を張りながら、歌声を響かせ攻撃を繰り出すのは鳳琴とシル。
「私は、憎しみしかなかった。ですが、シルさんと、皆と出会えて、ミライさんの夢を見て……」
「そうです。琴ちゃんと出会って、ミライさんから先生って呼ばれて!」
「素敵な『未来』を思い描くようになったんですよ!」
 ミライと出会い『未来』を見るようになったと語る鳳琴。そんな過去を思い出して欲しいと願いながら、シルと鳳琴は共に流星の蹴りを放つ。
「星域結界展開! ハロウィンの時のように、一緒にステージに立ちたいです!」
 二人に続き、過去の思い出と共に防御の結界を展開するミオリ。
「……随分とつまらなそうに歌うんだな……」
 今のミライの歌声は、普段のミライとは違う声。しかし、それも一つの歌なのだろう。それを蒼眞は『つまらない』と評する。
「前はもっと楽しそうに歌っていたし、そういう歌の方が俺は好きだぜ……」
 今のミライを悲しんでいるというよりは、抱え込み過ぎてしまったミライの様子に、一部で敬意を抱くと共に、そこまで抱え込んでしまった彼女の様子に、言葉に表せない感情を抱いている……そんな雰囲気の蒼眞だ。
(「誰一人、愛柳に倒させない!」)
 そんな想いと共に気合を入れる蒼眞。
『ヘリオライトが僕を照らすように、君の未来へ届くように、強く光を放てたら♪』
 込めた気合を歌声に乗せるように、ヘリオライトの歌を響かせる蒼眞。
(「愛柳が自分を許せなくなりそうだしな……」)
 そんなぶっきらぼうなセリフも全て、ミライを想っての言葉だろう。
(「力を合わせれば、歌い続けられる。それは独りでは出来ないこと。どうか一人で気負いすぎないで……」)
『欠けた地球が僕を笑っても……♪』
 ココロを込め歌いフローネ。それを邪魔するザルバルクの幻影。戦いは長引くのだった……。


「まだまだ……思いが届くまで歌う、想いを届かせる! あの人を救えずして、なんのための拳ですか!」
 長引く戦いに、声が枯れそうになる鳳琴。しかし、力の緩む拳を再び強く握る。その手が、まるでミライとの絆を放さぬように、引き寄せるように、力を込める。
「わたし達には、ミライさんが必要なの!」
 鳳琴の言葉に答えるようにシルが声を上げる。
 ミライを救い出す為の方法としていくつかの手段があった。
 その一つが『彼女には誰も救えないし、救わなくていいと認めさせる』事だった。
 しかし、誰一人その手段を取っていない。皆、言葉は違えども、ミライが誰も救えないなんて思ってないし、救わなくていいなんて思っていない。
(「一人で救えないなら、他の多くの人に協力を願っていいんだ。もっと仲間を信じて頼っていいんだよ」)
 陽葉が生きる事を肯定する歌声を響かせながら、歌に想いを乗せる。
『……それでもずっと輝いて、ちぎれそうな空の隙間に虹をかけるよ♪』
 それ故に、ミライの暴走した力は減衰せず、グラビティを暴走させ、救う為に集まったケルベロスたちを傷つける。
 しかし、それでも徐々に暴走していた力が弱まっていく。それは、予知を超えた絆の力だろうか、それともミライの心に歌に込めた想いが届いたのだろうか。
「あぁぁ……」
 暴走したミライの動きに陰りが見える。
「今です! 一緒に帰ろう」
 そんな勝機を察したマヒナが声を上げる。まだ、暴走ミライには危険な切り札があると予知されている。それを使わせる訳には行かない。
「これをまさか、あなたに撃つ時が来るとは思わなかったけど……」
 その勝機に動いたのはシルと鳳琴の二人。
「こんな形で貴女の夢を終わらせられない!」
 二人がミライへ手を差し伸べるの如く、描く六芒星。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……」
「私のグラビティと共に輝け……」
 二人の詠唱が重なり、歌声のように響く。
「……っ!?」」
 しかし、二人の連携は、ミライへ届く前に……停止してしまう。
「……ぇ!?」
 二人は状況を把握出来ず、判断も出来ない。背中の翼を展開したまま停止するシルと魔力が拳で停止する鳳琴。
「……あ……ぁぁ」
 そんな二人に、ゆっくりとミライの左手が動き出す。それはゆっくりなのに、無を……ゼロをを感じさせる動き。
「それはダメ……だ!」
 何かを感じ、二人を守ろうと手の伸ばす蒼眞だが、足が……動かない。無理やり腕を伸ばすも届かない。まるで夢の中のように『認識』と『時間』がズレる異常な状況。
「……あ……」
 止まった時の中で感じるのは異常なほどの口の渇き。ヘリオライダーではくても見えてしまう最悪の未来。数多の傷と鎖から解き放たれた力は、ミライが暴走した力の根源。それを受ければ全てを無に……ゼロに変えてしまう。
 動かぬ腕で、動かぬ足で……それでももがくケルベロスたち。そこへ別の歌声が響き始めた。
「どんなに願っても……♪」
 それはフローネの歌声だった。
「涙は枯れはしない……♪」
 それは、さきほどまで歌っていたヘリオライトではない。その曲は、仲間なら良く聴いた事のある歌……ミライのオリジナルソング『KIAIインストール』。その歌は、フローネの背中を何度も押してくれた歌。その歌に背中を押され、もう少し頑張る力をミライから貰っていた。それを返すように、歌うフローネ。
「……あぁぁぁぁ!!!!」
 二人の歌声に激しく動揺を見せるミライ。同時に、止まった時が動き出す。
「……ゼロを1に変える魔法が、生まれたときから、君にかかってる♪」
 時が停止し、すべてがゼロになってしまった時間。それを、好転させた奇跡。それは、ミライの歌だった。
 アメジストシールドを展開させるフローネ。時が動き出しても止まらぬミライの左手。その左手の傷痕から鮮血が滴り落ちる。その傷を広げているのは、彼女に巻きつく鎖。
「鎖なんて、みんなで分けて持てばいい!」
 ミライの左手を包み込むように展開させたアメジストシールドが菫色に光を帯び……ミライの手首から流れる鮮血を優しい包帯のように包み込む。
「左手の傷は知ってます。絶望から飛び立ち、ずっと救うために、それでも手を伸ばしてきた……傷だらけの手です」
 歌声を響かせながら、左手を……まるで抱擁するかのように受け止めるフローネ。
「……あぁぁぁ!」
 時間の凍結は解除されても、それでも全てを無に帰す手は力を失わない。
「喧嘩でも想いでも、中途半端はよくない。全力全開で出し切らなきゃな!」
 フローネが掴むミライの左手に蒼眞の右手が添えられる。
「苦しいのも辛いのも、ワタシ達が受け止めるから、遠慮はいらないよ!」
 さらに、マヒナの左手が添えられる。
「一人では受け止められない願いも仲間となら受け止められる」
 そんな願いを形にしたような三人の連携。蒼眞の度胸とアロハの心、そしてアメジストの輝きがミライの左手から鎖を解き、傷痕を包み込む。
「あなたの心が暗い悲しみに囚われていたとしても、きっと大丈夫。あなたの傍にも星は輝いているはずだから」
 KIAIインストールの後に、惺月が歌い始めたのは、彼女のオリジナルソング。その歌に『一人じゃない』という想いを込め、歌声を響かせる。
「……あ……」
 惺月の歌声に、一瞬ミライの動きが止まる。しかし、それは一瞬。動き出した時が暴走を始める。歌が乱反射するように反響し、歌とは思えないように響き、精神を蝕む音になる。暴走した彼女を元に戻すには、やはり一度、気絶させるしかない。
 しかし、先ほどまでとは違う暴走。今の彼女は、道が分からず泣いている迷子ではないのだろう。その道を記せた以上、後は少し休ませるだけだ。彼女の中のグラビティの暴走を止める為に、最後の一手を撃つケルベロスたち。
「今だよ、縫い留めて!」
 再び左手を動かそうとするミライを止めたのは陽葉。ファミリアの舞葉がミライの影を羽で縫い、動きを阻害する。
「六芒に集いて、友を救う力となれっ!」
「我友を……救い出せ!」
 動けるようになった鳳琴とシルが声と共に、再び六芒星を描き、グラビティを発動させる。
「誰かを助けたいなら、まず自分が救われろ! 雷光烈斬牙!」
「砲撃パラメータ問題なし、セイフティリリース……撃ち方、始め」
 理不尽を破壊する冒険者の力を借り、放つ蒼眞の斬撃が雷光を帯び、同時に放たれたミオリの鏃型弾頭がミライを……いや、ミライを暴走させている力の根源を貫く。
「あ……」
 次の瞬間、周囲に溢れていたザルバルクの幻影が消滅し、ミライを包んでいた禍々しいオーラが消滅し、そのまま膝から崩れ落ちる。
「おかえりなさい……ミライさん」
 膝から崩れ落ちるミライを支えたのは硬い地面ではなく、フローネの抱擁……。
「おかえりなさい」
 他のケルベロスたちも口々におかえりなさいと口に出す。
「よかったー!」
 そんな様子に泣き出してしまったのはマヒナ。緊張の糸が安心で切れてしまったのだろう。溢れる涙を拭いながらミライの無事を喜ぶ。
「……っ」
 しかし、その言葉にミライは答える余力は無い。とはいえ、もう大丈夫だろう。ミライを救い出す事が出来たのだ。今はゆっくりと休ませてあげたい。そう願うケルベロスたちであった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年6月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 11/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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