空気のないところでは、星は瞬かない。
地上からでは思いもよらぬ数の、光の粒をまぶした宇宙空間。
だがその一角に、わずかばかりの揺らぎが起こった。
星の光に強弱がつく。
霧がかかったように、天体はボヤケていき、ふたつの青い光点だけが、ギラギラと輝きだした。
そこから紋様の列が辿れるようになる。
星座のお勉強でイメージイラストを重ねた図があるだろう。
同じ要領で、霧をつなげれば、動物めいた姿が現われるのだ。
光点は眼。紋様はウロコだった。
翼をもつ、四つ足の巨大爬虫類、ドラゴン。
いわゆる龍座には蛇っぽい細長さがあるが、もっと典型的な西洋竜といった趣き。
依然として、青い目だけがはっきりとしている。
白っぽい霧状の体で、星の並びが透けていた。
そして、宇宙を渡るドラゴンは、この非実体的な一匹だけではない。
透明竜の周囲には、それこそ蛇型からワイバーン、人体の混じったものと、数十体が前へ、後ろへと群れ成している。
軍団の中央には、ひときわ大きな竜の『かたまり』があった。
まるで、蛇を何匹も寄り合わせたような、螺旋を描いたそれは、ぼんやりとした明るさを浴びた。
地球からの照り返しを。
ここはもう、衛星軌道上。日本への落下コースにあった。
「大阪城地下の探索と第二王女ハールの撃破、お疲れさまぁ。エインヘリアルと攻性植物による同時侵攻の危機を回避できたし、みんなには感謝よお」
軽田・冬美(雨路出ヘリオライダー・en0247)の挨拶は、ブリーフィングルームの演台からであり、戦勝祝賀会の席ではなかった。
情報を映すプロジェクターのために、室内の照明を落としてあり、冬美の顔だけが、操作端末からのバックライトに浮かびあがっている。
すぐ次の戦いの、依頼がなされるのだ。
「大阪地下のドラゴン勢力から、本星のドラゴン軍団が、竜業合体によって地球に到達しようとしてるって話が得られました。けど、地球に迫ってるドラゴンは、本星のドラゴンだけでは無かったのよお」
新たな予知。
それは、サリナ・ドロップストーン(絶対零度の常夏娘・e85791)が警戒していた、スパイラスに遺されたドラゴンたちが竜業合体によって惑星スパイラスと合体し、地球の衛星軌道上に出現するというもの。
黎泉寺・紫織(ウェアライダーの・e27269)、エマ・ブラン(白銀のヴァルキュリア・e40314)が協力を要請していた天文台と、死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)が注意を喚起していたNASAによって、より詳しい情報が確認されている。
「サリナちゃんの心配は当たっていたけど、幸いなことには、無茶な竜業合体により、慈愛龍が率いていたドラゴン軍団は殆どがやられちゃってて、残ったドラゴンたちも、グラビティ・チェインの枯渇によって、戦闘力を大きく損なってるの」
スクリーンには、予知から再現されたドラゴンの群れの姿が投じられた。
「慈愛龍は、この真ん中にいる竜業合体した惑星スパイラス……『螺旋業竜スパイラス』を、衛星軌道上から日本に落下させ、その衝撃で殺害する数百万数千万の人間のグラビティを略奪する事で、失った力を取り戻そうとしているの。これが実現すれば……」
バックライトに浮かぶ冬美の顔は、ちょっと怖い。
「地球は終わってしまうでしょうね」
かつて、『スパイラル・ウォー』の際にも、慈愛龍軍団の到達は地球の『終わりです』と伝えられた。
だが、ケルベロスは戦いに勝って、ここにいるのだ。
「先ほども話したとおり、紫織ちゃんとエマちゃんが頼んだ天文台の観測に、刃蓙理ちゃんが伝えていたNASAの解析で、ドラゴンが出現する衛星軌道上のポイントは既に割り出してます」
叩くチャンスは、その到達時だという。
「みんな、慈愛龍らドラゴンを撃破して、螺旋業竜スパイラスの破壊をお願いよお!」
冬美は、演台から出て照明のスイッチをいれた。
「迎撃場所は衛星軌道上になるから、宇宙装備ヘリオンで連れてきます。わたしのヘリオンに搭乗する班には、『ザィム=アドリック』を担当してもらうね」
明るくなるにつれ、ポンチョ姿が見えてくる。いや……。
「透明ドラゴン、あるいは幽霊や霧のような姿で、口から吐くブレスは、当てた相手も透明にしてしまうの。こんなカンジにぃ」
いつもは白いレインコートだったが、今日は透明ビニール素材だった。
なるほど、防具だけが非実体化されるのだ。冬美の示した見本のイメージで。
「非実体化ブレスの毒が、ザィム=アドリック自身を蝕んで、死にかけてるみたい。でも、生き延びる執念は相当なもので、竜業合体を免れたし、スパイラスの落下で力を取り戻すつもりよ」
ゆえに、必死であがいてくるだろう。
担当するドラゴンは、迎撃開始から12分で撃破せねばならない。でなければ、螺旋業竜スパイラスの破壊に参加できなくなる。
この最大出力のグラビティ一斉攻撃が、何班によってなされるかに、最終的な作戦の成否が掛かっているのだ。
「無重力空間での戦闘になるけど、みんなはへっちゃらよね。一応、希望者にはジェットパッカーなど、移動用装備を貸し出すから」
脇のスナップを外すと、フードを引き下ろす。
「こっちだって、体張るわよぉ。 レッツゴー! ケルベロス!」
参加者 | |
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円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214) |
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313) |
除・神月(猛拳・e16846) |
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441) |
シフォル・ネーバス(アンイモータル・e25710) |
黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269) |
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586) |
ガートルード・コロネーション(コロネじゃないもん・e45615) |
●宇宙の番犬
自身では初めての大気圏離脱を成功させたらしい。
操縦シートに宇宙服も着ずに直接座っているヘリオライダーは、簡易エアロックの圧力が抜ける直前、その姿を小さめのモニター越しに映し、激励の声を送ってきた。
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)は、8人を代表して手を振ってやる。
「ブリーフィングで役得あったし、やる気満々だよん……んグ」
そして、口をつむる。ハッチが大きく開いて、星の海が広がる。
ここからは、音のない世界だ。ガートルード・コロネーション(コロネじゃないもん・e45615)は、左手にだけ装備したガントレットの、さらに上から巻いたリストウォッチを皆に見せてカウントをとると、全員も同じものを操作した。
時間を計るための振動アラームの合わせだ。
ジェットパッカーを背負った、渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)が、1秒も無駄にできないといった風情で、噴射で出口をくぐる。
同じく借りた装備で、円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)も続いたが、扱いが悪かったのか、でんぐり返しになったまま飛んでいった。
ホットパンツと丈の短いキャミソから、背中を丸出しにして。
オルトロスの『アロン』が、鼻先で行き先を直してやったから、担当敵の元には着けるだろう。
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)などは、ビキニアーマーに光の翼を生やして、大気中での滑空と変わらぬ姿勢をとっている。
ケルベロスにとっては、宇宙空間は障害にならない。
すでに見た通り、服装も各々で自由にしていて、除・神月(猛拳・e16846)は、中華風上着だ。
ただし、後ろは長さがあるのに、前垂れがなく、紐のような赤い下着が見えているのだが。
黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)は、脚を組んで座った姿勢のまま、肩に羽織ったコートをなびかせていた。
いや、砂でできた蔦の先に腰かけていて、運ばれている。
予知にあったとおり、敵は竜をより合わせたような螺旋業竜スパイラスを、ドラゴンたちが取り囲んだ布陣。
味方といえば、数十くらいの光点くらいにしか見えない宇宙ヘリオンから、全ケルベロスが出撃したようだ。
紫織らは、スパイラスまで一直線、ではなく、うっすらとカタチをとる透明な図体が、割り込んできていた。
(「宇宙で相手を裸同然にするような敵と戦うことになるなんてね。とはいえ相手はドラゴン、恥ずかしがる余裕なんてなさそうね?」)
どうせ、喋れないのだが、問答無用でいこう、と仲間に目配せする。
シフォル・ネーバス(アンイモータル・e25710)は、特に強く頷き返した。
(「ドラゴンの実体を捨てても生き延びようなんて。もはや別の種族みたいですわね。生に溺れるその命、救ってあげますわ」)
黒の魔導衣は、セレブリティなドレス。胸元は開いて、肩出しなれども、肘から先にはパイルバンカーがはまっている。
突きだしたイガルカストライクは、何もない空間をはっきりと穿ち、氷が張るとともに、ドラゴンの太い片脚を浮かび上がらせたのだった。
永代(えいたい)とガートルードを除いた6つの攻撃が、ザィム=アドリックの姿形をそれぞれに捜し当てて、繰り出される。
●ザィム=アドリックを倒せ!
ガートルードの初手は、『ワイルド・リジェネレーション』で、回復役のエメラルドを強化することにあった。
(「星ごと竜を墜とすなんて、敵も後がないんでしょうね。だからこそ……負けられない」)
混沌の水を霧にして、後衛に纏わせる。
透明竜も口から霧を吐く。
宿敵の自覚があるかはわからない。狙いは、シフォルだった。
彼女は、パイルを引き抜いた反動で後退したものの、ドレスの裾に非実体化の効果を受ける。
息を噴きつけながら、竜の首が動いた。
前衛5人のすべては捉えきれないが、ガートルードの鎧が輪郭だけになり、神月(しぇんゆぇ)の赤パンツも、レース編みみたいになる。
シフォルは武器のバンカーを前に持ってきて、隠すのに使う。
(「やだ、もう、恥ずかしいですわね……」)
裾から染み込むように効果が登ってきて、胸元の下でようやく止まった。
もしも、服が物理的に破れるのなら、ウエストをやられた時点で、上半身も崩壊したはずだ。
バストはしっかり収めたままでいる。
その非実体化浸食を、神月は自分のと交互に覗きこんで、感嘆のような顔を見せる。
(「ほんト、服自体は破れてねーって事だよナ? 面白ぇ手品するじゃねーカ♪」)
お返しとばかりに、降魔真拳でザィムの腹を蹴りに行く。
やはり、見えなくとも手ごたえはある。ドレインを頂いたぶん、ウロコはさらに薄くなった気はした。
いっぽうで、ダメージは回復しても、赤パンツは消えかけている。神月には履いてる感触があるぶん、かえって異様な気分だ。
鎧の輪郭の下には、アンダースーツがまだあって、ガートルードは自身の心配はしていない。
けれども、ディフェンダーとして、シフォルの被害の大きさは看過できなかった。
(「ひと噴きで、下着まで非実体化させるなんて……!」)
まあ、これについては、シフォルが原因だ。セレブリティなドレスには、最初から下着は着けないらしい。
ともあれ、そんな惨状までは、数汰(あまた)からは判らなかったが、やはり真正面から仕掛けていっても通らない敵だとは理解できた。
(「当て辛いうえにしぶとい。時間がないってのに厄介な奴だ!」)
12分以内に眼前の、不確かな姿の敵を倒さねばならない。
ならば、適切なエンチャントとバッドステータスを重ねることが、結局は近道になるはず。
永代も、そう信じていて、九尾扇を振った。
幻夢幻朧影が、数汰の周囲でうごめく。握る日本刀に、月の力を与える。
ジェットパッカーを吹かすと、回り込むようにして懐に飛び込む。
円弧の斬撃を竜の首元に当てた。
刀身から、月の幻影が三つに分かれて傷口に残る。
数汰と永代は、ザィム=アドリックの背中側で合流し、無音にして熱く、手を叩きあってすれ違う。
その、竜翼のあいだには、キアリが位置していて、轟竜砲を撃ち込んでいた。
ジェットパッカーは、もう外してしまい、オルトロスと共に、敵に取りついての攻撃だ。
首わきの傷をみて、同部位を狙おうと、ヌンチャク型如意棒で斉天截拳撃にいく。
しかし、器用にも透明の首が背中に捻じってきた。
アロンの防御は間に合わない。数汰も巻き込まれて、羽織っていたマントの全面に浴びた。
「うわ、これが言われてた奴か……! ドラゴンの癖に、オークかビルシャナみたいな真似を」
「ほんと、ヒドイ攻撃だよねん。……おや、どうなってんの、喋れるよん」
声は出ていない。口をパクパクしていれば、意思は通じると、永代は気が付く。
「全裸になったら本気で泣くわよ!?」
キアリが、ハンマーと如意棒で体の前後をはさむようにして、胸と股、お尻を庇っていた。
キャミもホットパンツも大事なところはちゃんと残っているようだが。
一旦、ドラゴンの背からも距離をおく。
「よっし、カタキは俺がとるからねん♪」
チェーンソー剣を振りかざして、永代はドラゴンの頭につかまった。この位置から斬りつければ、与えた障害を増やせるだろう。
ザィム=アドリックは、まさに死の恐怖にかられたように、首を振り回す。
そこへ、ケルベロスらが実攻撃を命中させるので、戦闘能力はそがれていく。
狙いも不確かな、ブレスを噴いて、抗うよりない。
服としては後がないシフォルを、ガートルードが庇う。
「って、下の服も透けてきた!?」
左手のガントレットや、ブーツは無事だが、体はそうはいかない。
「ガートルードさん、無理はなさらないで」
後ろから密着したシフォルが、パイルバンカーをかざした。服の感触はあるので、ヘンな気にはならない。たぶん。
「けどヨー。隠し合ったままジャ、武器がつかえねーシ」
スカルブレイカーをきめた神月が、武器の重みで方向転換してきた。彼女も数回のブレスを浴びたのだろう。中華服の襟元から下も消えていた。
そこには、エメラルドの歌う『英雄凱旋歌(ヒーローズ・コンクエスト)』が、非実体化を打ち消すべく流れてきている。
「彼の者は来たれり! 見よ! 空を穿ち、大地を揺るがし、海を割りて、今ここに凱旋するべく奮い立つ!」
神月の防具は、幻想化もうけて、前垂れが付いていた。
防御力は元通りだ。しかし、布が増えたせいなのか、透けているのは変わりがない。
メディックも必死だが、このぶんだと、命は助かっても。
などと、心配を沸かせていれば、またブレスが撒き散らかされて、とうのエメラルドのビキニアーマーが消えてしまった。
シフォルらの悲鳴が、真空に音もなく伝わる。永代は、ドラゴンの頭につかまったまま、チェーンソー剣を突き立てた。
「こらー。なんてことするんだー」
いや、音がなくても、棒読みなのは丸わかりである。
なんか、さっきから、永代が竜の首をあっちに向けたり、こっちに向けたりしてブレスを吐かせているような絵になっている。
少なくとも、女性陣の被害を特等席で見ているのには違いがなかった。
「待て、もう一息で堕とせそうではないか」
全裸に見える姿で、当のエメラルドが胸をはり、ザィム=アドリックを指し示した。
キアリも流れてきて、頷く。紫織が、たぶんコートをきているハズの姿で、アースヴァインにつかまってきた。
「ほら、恥ずかしがる余裕なんてなさそうね?」
その時、全員のアラームが振動した。
●ケルベロス八段返し
「宇宙空間で裸のおんにゃのこ、幻想的な光景だねん」
飛行士の訓練でもこんなに振り回さないだろう。という、勢いの頭部にしがみつきながら、鼻の下を伸ばすのはやめない。
欲望に忠実な、地獄からきた男、永代はしかし、ジグザグを与える手を抜くことも当然、しない。
残り、2分。だが、全力をだせば、ここでカタがつきそうなのだ。
「衆人環視にあるわけでもない、ガマンだ……!」
エメラルドは、いまこの攻撃の瞬間だけ、羞恥に耐えろと励ます。
敵の一番の負傷か所、頭部に近接攻撃を集中するのだ、と。
ゲシュタルトグレイブの稲妻突きを放つ。
裸に、光の翼だけの姿で、接近しながら。ちょっと、別のナニカを感じもした。
「わりィ! あたしは、やっパ、むずむずすっからヨ」
結局、中華服は、神月の手でビリビリと破かれた。
着ているのか、いないのか。
半端よりはいいのだ。『降魔・鳳凰光背武強明王・武強仏恥義理斬(ブキョウミョウオウ・ブキョウブッチギリザン)』に、全身の本当の素肌を黄金に輝かせ、突撃する。
ガートルードも、宇宙に裸身を晒した。
「地球の命運が掛かってる。はずかしがってる暇は……ない」
ルーンアックスの刃が、透明のウロコをそぎ落とす。
「お前の存在も……無に返す」
「死を恐れてのあがき、だったな。とっておきの技があるぜ」
数汰の放つ、『時流変転(クロノアクセル)』は、注ぎ込んだグラビティ・チェインにより、目標の体内時間を加速させる。
「刹那は久遠となり、零は那由他となる。悠久の因果は狂い汝の刻は奪われる……狂え、時の歯車」
ドラゴンの姿が、崩れ始めた。
「……まさか、ドラゴン相手に『Nutcracker』を使うことになるとは思わなかったわよ。このド変態竜!!」
技の特性上、キアリだけは、敵の下方から蹴りにいった。
砕ければ、完全にトドメになる。
「ん……残念だわ」
フィニッシュには、いたらなかった。その代わり、振動が竜の脳天まで伝わって、そこに跨っていた、味方の急所をゴンした。
「みなさん、怒ってるみたいだけど……私は楽しめたのよ」
紫織は、何を気にすることもなく、肌をみせた状態で宇宙を駆けた。アースヴァインに乗って、竜の首を締め上げながら。
そして、シフォルは呟いた。
「かつてはあなたと命について話したこともありましたけど……。もう、終わりにしましょうですわ」
『黄泉人の刃(ヨミビトノヤイバ)』が、世界にあまねく苦痛の刃が。
「不死なるを滅す!」
ザィム=アドリックの首から下は、すでに消滅していた。その蒼い眼に、刃が刺さると頭部も霧と却っていく。
フラ、とバランスを失って虚空に流れそうになったシフォルの身体を、永代は抱き留める。
確かに布越しの、肉感がそこにあった。
唇が、『また、あとで』と動いた気がしたが、それどころではない。
スパイラスへの一斉攻撃まで、1分ある。クラッシャーへと移動することにした。
数汰も移ってくる。
「とんでもないデカさだな……だがここで打ち砕く!」
他の班が準備を整えていくのも見て取れた。スパイラスを取り囲むために、互いに離れている。
まだ、この恰好のままでいなければならないようだが、まさか、うちの班の状態は知る由もあるまい。
神月は、クイックドロウに構え、皆が長射程の技や武器で狙いをつける。
威力が落ちないなら、武器で隠しはしたけれども。
カウントがゼロになった。
グラビティの帯が幾筋も、螺旋に届く。半分が破壊され、残りは破片となって、大気の摩擦熱に燃えた。
日本は、地球は護られたのだ。
宇宙ヘリオンが回収にくる。宙に浮きながらヒールを掛け合うこともあるまい。
8人と1体が流れていくと、キャノピー越しに、皆とおんなじ恰好のパイロットが、両手を振って迎えてくれたのだった。
作者:大丁 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年6月4日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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