●その日は誕生日
六月。
「あーつーいー」
金色のドラゴニアンの少女、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・en0301)は竜の尻尾でぱたぱた自室の床を叩きながらぼやいている。
梅雨入りすらまだなのに、気温も大概なこの環境。もう少しすれば海に行くという選択肢だとか冷房をガンガンにかけた部屋だとかあるのだろうがなんとも中途半端な時期。活発な少女には辛いものがある。
「なんか涼めるとこ行きたいなー……ん?」
そしてソニアは山積みになった本の間に挟まっていた一枚のチラシを目に留め、目を通す。
「『水遊び大解放!』『ジェットスライダー』……これこれ!」
善は急げ。がばっと起き上がったソニアは、早速そのチラシに記載されていた施設を調べ始めた。
「というわけで、なんかすごいプールに行ってみない?」
すごいプール。とてとて走ってきた黄色い竜人の少女の言葉に、ケルベロス達は首を傾げる。
「なんでもねー、総合リゾート施設で少し早めのプール系の施設が今月頭に大解放されたみたいなんだよ。ウォータースライダーとかジェット系の流れるプールだとか飛び込みもできるような所もあるみたい」
ちなみに其々きっちり区域分けされているから安全面についてはお子様でも大丈夫、とソニアは言う。
「もちろんのんびりとする為のプールもばっちり完備! 必要ならボードとか色んな道具の貸し出しもやってる……ってこのチラシにはあったよ」
彼女が鞄から取り出したチラシには、水とか夏っぽさ溢れる謳い文句や写真が所狭しと並んでいて――楽しそうにしているサーヴァントの写真もあるから、そちらも大丈夫らしい。
「ちょっと早いけどもこーいう暑い日には水遊びしてさっぱりするのもいいよね! ……あ、水着は忘れないようにねー。貸し出しもあるみたいだけども」
そう言ってソニアは初夏の太陽の眩しさよりも明るい笑顔でケルベロス達を誘った。
●初夏の水遊び
日本の六月は雨の季節。
春が過ぎ、夏へと移り変わる間の時期はじめっとした独特の暑さがある。
そんな夏を前にソニアがケルベロス達を誘った場所は水のリゾート。少し早めのプール開きで涼しく楽しんじゃおうとの事で、この暑さを一時忘れるには十分な設備があるようだ。
施設は広く、普通のプールに流水のプール、飛び込み用のプールや巨大なスライダーまであると案内板には描かれており、どこから楽しむか悩ましい所。
説明を見ながらちょっとだけ頭を捻り、まずは流れるプールに行ってみよう、と金の竜の少女は歩み出し。
けれどその前に、と行先変更。ここを楽しむならまずは着替えなくてはと更衣室へと向かう。
今の時間はお昼前、ゆっくり着替えたとしても楽しむ時間は十分にあるのだから焦る必要もないだろう。
●熱い陽射しは容赦なく
流水のプールでは多くの人々が泳ぎ潜り楽しんでいる。施設の貸し出し品である浮き輪やフロートを広げてのんびりしている人々もいる。
水の温度はひんやりとしていて、空を透かす天井の真ん中に日が昇る頃には丁度いい具合の温度になるのだろう。
プールサイドでは思ったよりも冷えた体を太陽で温めている子供達も居れば、サンオイルを塗ったりして休息している大人もいる。
そんな中。
紫のビキニにホットパンツという出で立ちのオラトリオ、リーズレット・ヴィッセンシャフト(碧空の世界・e02234)は着替えて待ち合わせた広場に佇んでいた。
「リーズー! 何だその格好は!!」
声が聞こえる。彼女が振り向けば黒のトランクスに青パーカーを合わせた水着姿のヴァルキュリア、鍔鳴・奏(碧空の世界・e25076)が駆け寄ってきていた。
「最高じゃんかー!」
スポーティな姿にキュートさを演出している姿に、奏は飾らぬ本心を口にするとそのままぎゅっとリーズレットを抱きしめる。
人目は気にしない、寧ろ見せつけるかのよう。
――こんなに素敵なリーズレットを他の誰かのナンパに晒させるなんてとんでもないのだから。
「えへへ♪ 嬉しっ!」
奏の反応にリーズレットも喜びぎゅっと抱きしめ返す。
そんな二人にくいくいと触る感覚がある。
リーズレットに触れる箱竜の響と奏に触れる箱竜のモラ、どちらも白くもっふもっふとしていて、夏の日差しに少々暑そうな様子。
「……って、モラ!?」
というかモラの方は、一日置いた綿飴の如く萎んでいた。毛並すごいからね。
こりゃアカン、とそおいと手近なプールへと放り込めば、ばしゃんと水飛沫を上げて少し沈んだ後、元気百倍の様子で水上にモラが飛び出した。
ここはサーヴァントも大丈夫な水のリゾート、入り口で着替えに分かれた時点で箱竜達の瞳もわくわくに輝いているようにも見えていた。
「奏くーん! はよー!」
白いモップ、もとい流水のプールでその雪白の毛をしんなりさせた響を頭に乗せ、プールの中からリーズレットが奏に手を振る。
その動きに合わせ、ぷるぷる響が体を振るわせればたちまち元通りのふっかふかボディを取り戻す。
そんな彼女に誘われて、奏も飛び込み初夏の涼やかな水の冷たさを肌に感じ、二人と二匹で早めのプール開きを楽しむ事にしたのであった。
普段からにこにことしている金狐の瀧尾・千紘(唐紅の不忍狐・e03044)もいつも以上に上機嫌。
花開く深紅の曼殊沙華を象った髪飾りに軽やかなパレオのついた白の紐ビキニ、そして海の天と紅桔梗の色合いのサンダルを合わせた格好は今日という日のための物。
「まあ俺は水と、というよりは千紘と戯れたいのが主なわけだが」
6月にしては強い日差しによく似合う、自然の色合いのアロハにグレーのパンツの巽・清士朗(町長・e22683)は少し素っ気なく述べる。
とは言うものの、眼光鋭い瞳をサングラスに隠し、髪を結わえた姿は千紘と合わせてとても似合っていた。
「そう言えば喜ぶと思っているんでしょ?」
そんな風に返しながら、千紘は清士郎の腕にぎゅっと抱きつく。
――照れ隠し、できているかしらとちょっぴり思いつつ、二人はリゾート施設を歩いていく。
そしてターコイズブルーと白を基調とした水着のラウル・フェルディナンド(缺星・e01243)と紫と闇色を基調にした水着の燈・シズネ(耿々・e01386)はフロートを膨らませていた。
青年二人を支えられるくらいに大きなピザ型のフロートは道具を使っても膨らませるにはちょっと時間がかかる。
それでも空を見上げれば、天井の向こうにぺかぺか眩しく輝く太陽と鮮やかな空。
(「こんな日にはプールで思いっきり水遊びするしかない!」)
シズネはそう心に誓っていたのであった。
そんな二人の青年の横を金色の鱗の少女が走っていく。
水着姿のソニアは浮き輪を以て流水のプールに飛び込もうとしているようで、そんな彼女をラウルが呼び止める。
「誕生日おめでとう。君に沢山の幸せが訪れるように願ってるよ」
ラウルの言葉に、金の竜の少女はありがとー! と表情を綻ばせる。
「お兄さんたちもしあわせいっぱいにね!」
そんな風に言葉を交わし、浮き輪片手にプールを流れていくソニア。
その辺りで二人がかりで膨らませていたフロートも準備完了、まずはシズネがそのフロートにそろりと乗る。
青年一人の体重に少し揺れるけれども十分膨らんだ水上のピザに問題はない。バランスを整えつつごろりと転がり、空を見上げる。 じりじりと焼けるような陽射しが透明な板を抜けてプールへと降り注ぐ。
この季節には珍しい鮮麗な青空と燦々と輝く太陽は既に夏らしく、じっとしているとじわじわ肌が焼けていくような感覚。
なんとなく、じわじわと窯で焼かれて溶けていくチーズの気持ちがわかるような。そんな気分を感じてきたところで、ラウルがフロートに乗りシズネの横に座り込む。
流水に跳ねる水飛沫が肌に触れれば、ひんやりとした感覚はとても心地よい。
ゆらゆら揺れるピザでのラウルとシズネの緩やかな船出が始まった。
●ウォータースライダーは賑やかに
清士朗と千紘は普通のプールサイド、よく陽光が取り込まれる場所で優雅な時を過ごしていた。
清士朗がサンオイルを手にとり、金の狐の背の肌に優しく塗り広げていく。その感触は千紘にはくすぐったくもあるけれども気持ちよくて、ついふにゃんと脱力してしまう。
そして一頻り塗り終われば準備は万全、二人はあるウォータースライダーの前に立っていた。
視線の先には素晴らしく設計者の頭を疑いたくなるような複雑な形状の構造物。入口に並んでいる人はなく、というよりも誰かが挑戦する様子を窺っているようにも見える。
そんな中、金色の竜の少女が曲がりくねったスライダーをはしゃぎながらフロートと飛び出し着水、派手に水飛沫を上げていた。
その様子をしっかりと見つめ、この明らかに上級者向けなスライダーに挑む事を決めた二人は出発口へと登っていく。
二人乗りの浮き輪にしっかりと掴まり、いざ出発。
落下防止のネットはあるけれども、それはあくまで安全柵。
空に放り出されそうなヘアピンカーブを曲がり切り、ぐんぐん下りで加速すれば進路は急に上向き、ジャンプ台のようになった坂から飛び出した二人を襲う浮遊感。
派手に滑り水流に押し出される感覚に千紘も思わず歓声を上げて大はしゃぎ。
そしてチューブの中へと飛び込めばそこは暗闇。
実際はそこまで暗くないのだが外が明るい分の落差と速度も相まってカーブや傾斜が分かり辛くなっており、予想外の動きを二人に味わわせていく。
そうしてその先、光が差したかと思えば見る見るうちに光は近づきそこに飛び込めばそれはトンネルの出口、二人の体が巨大なプールの真上に放り出される。
派手に着水、けれど周りに被害などはない。受付でとびきりにチャレンジャブルなスライダーの終点だから、追突等がないようにしていると説明されていた通りであった。
水中から上半身を浮かべた清士朗は涼しい顔。陸に上がり外していたサングラスをかけ直し、
「いや、これは馬鹿にしたものではないな、面白いではないか」
そう呟き、再度の挑戦の為にスライダーの入口へと足を向ける。
さりげない動作で手に取るのは金狐の手。そして千紘はその手を取りながら竜の青年の腕へと体を寄せ、
「次はしっかりと千紘に掴まってね」
にこにこと、いい笑顔で彼の言葉に応ずるのであった。
プールで一通り遊んだリーズレットと奏の二人は陸に上がり、一時の休息をとっていた。
「それじゃお次はこっち行こう! 軽く見てきたけどスライダーからの飛び込みが目玉らしいぞ!」
そうリーズレットが指し示したのはチラシにもあった巨大ウォータースライダー。入口の方に人は列になる程は並んでいないようだ。
「ん、ウォータースライダーとな。OK、涼しそうだね」
奏もモラを青パーカーのフード部分にすぽっと入れて、二人は入口へと向かう。
階段を登る前にいくつかの注意書きがあり、それらに二人は目を通す。
他にもウォータースライダーはあるようだが、こちらは割と初心者向けというか比較的緩いコースになっていて、親子連れの人が対象らしい。
「……なんだか妙に注意書き、多くない?」
「一応は大丈夫そうだよ? 二人で滑るのも響達も一緒でいけるみたいだからコレ乗ろ!」
と、注意書きを読んだ二人は階段を登り、スライダーの出発点へと到着。
「……リズ、スリルが欲しくない?」
ここにきて奏が企み顔で何やら言い出した。
「スリル……だと……?」
「この浮き輪を下に敷いて……滑りやすく!」
浮き輪を座布団のようにし、摩擦を減らしつつ流水の勢いをより大きく受けるようにする。そうすれば当然速度も上がり、よりスリリングになるだろうと、奏の談。
「なにそれめっちゃ楽しそう!」
ウキウキしながら奏の案に快諾するオラトリオ、二人の頭の上の響やパーカーの中にいるモラの様子が不安げなのは問題ないだろう。
そして、スライダーの出発地点に座るリーズレットと奏、そして箱竜達。
そこが定位置で当然とでも言うかのように、リーズレットは奏の前に座りながら訪れるスリルに期待を膨らませている。
「しっかり捕まってろよー?」
奏が後ろからぎゅっとリーズレットを抱きしめ、
「よし、いっくぞー!」
スタート。
ひゃっはー! との二人の掛け声と同時に二人と二匹は飛び出した。
初速は想定通り。ただ一つ、二人が失念していた事があった。
最初のカーブで大きく振られ、奏の首元に引っ張られるような感覚。首というかパーカーのフード部分が何やら遠心力を強く受けているような――、
(「……あ、サーヴァント達の事を考えてなかった」)
奏が気付いた時には修正不能。加速していくと共に激しさを増すコースに、リーズレットの頭の上の響とフードのモラがカーブで減速した瞬間、慣性でぶっ飛び、スライダーを先に流れていく。
ふかふかの二匹はくるくる回転しながら水切りの石の如くスライダーを跳ねそして着水、先を流れていく二匹の様子に、
「ひびちゃーん?! モラー!?」
「ごめーん!」
流石の二人も慌てた様子で叫ぶ。先を流れていく箱竜二匹が一瞬向けた視線には、終点で二人が土下座タイムになる事を確信させるような感情が籠っていたという。
その少し後。
「楽しかったー!」
ウォータースライダーの最後、加速してばしゃーんと派手に飛び込み水飛沫を上げたソニアがぷはっと息を吐きながら水中から顔を出す。
プールサイドに上がると、白くふかふかとした箱竜達に土下座する二人の姿があった。
なにかあったのかなーと思いつつ、何か凄みを感じて触らぬ神に祟りなしとばかりに、次はどこにいこうかと少女は歩き出す。
流水のプールに扇形のピザ型フロートがゆらゆらと流れていく。
それに乗るラウルとシズネは、初夏の日差しを受けながら、ゆったりした時間を過ごしていた。
「なんだか俺達トッピングみたいだね」
「だねー」
軽く笑うラウルにシズネがゆったりと返す。天井を仰ぎ見れば、じっくりと焼き上げるような陽射しは船出の時より強さを増していて、そして指先に触れる水の涼やかさがより心地よくなっている。
微睡そうに緩やかな流水の揺れを感じるシズネの目が一点に向く。ラウルがその先へと視線をやれば、そこにはドーナツを模した浮き輪で遊ぶ子供たち。
「美味そうだからって食うなよ?」
ラウルは甘いもの好き、だからシズネが揶揄うように金の青年へと呟けば、
「シズネが俺から目を離したら食べちゃうかも?」
悪戯っぽく笑う彼に返された。
「なにー!?」
流石のシズネもちょっぴり驚いて、その橙の瞳を鋭くしてじーっとラウルを見る。
盗み食いしないか、目を離すまいとするシズネに、ラウルは水面に触れていた指先を弾き水をかける。直後、お返しとばかりにシズネが両手で水をそーれとラウルにばしゃんとかける。
そしてささやかなじゃれ合いが始まる。舞い散る水の彩、だんだん激しさを増す二人の動きにフロートがゆらゆら揺れて、遂にはバランスを崩しピザ型フロートはひっくり返ってしまう。
水にダイブした二人はざばりと上半身を出して、フロートに掴まる。それがなんだかおかしくて、そして楽しくて。
どちらからともなく、笑顔が弾けた。
ソニアが最初に挑んだスライダーに再び辿り着いた時、清士郎と千紘が正に二週目に挑戦する所だった。
先程のスライダーは楽しく、けれど千紘的には盛り上がりが少々足りなくもあって。
ここでワンランク上の愛を見せるのが良妻というもの。腕を繋いだ旦那様の顔を見上げつつ、彼女は浮き輪を押し出す。
そこから始まるはまさに大フィーバー、スライダーの壁や床を手で押し急加速、ジャンプ地点ではサンダルで回転を加え浮き輪を中心に空中大回転。
当然安全は確保済――というよりも、基本が一般人向けなので余程の余程でなければ危険はないようには設計されている。重ねてケルベロスの身体能力なら問題もない。
暗闇のトンネルを抜け、飛び出す瞬間に清士朗と手をしっかり繋ぎ、着水の瞬間に派手な大波をプールに引き起こす。
誰もいないのは予め確認済、だから影響を受けるのは二人だけだ。
派手な大飛沫が返す波として二人に飛沫として降りかかるが、繋いだ手は離れる事もない。
そして暫くして波は収まり、二人はプールサイドへと浮上する。そして千紘は清士朗の手を取り、
「ね、今日は一日。こうしてましょうよ♪」
お互いの相手の身体側から巻き込むようにして繋ぐ、親愛の繋ぎ方。
「らぶらぶだねー」
そんな二人の様子に、無邪気に発せられたソニアの言葉に照れる事もなく、当然のように腕を絡めた二人は次のウォータースライダーへと向かうのであった。
●初夏の夕暮れ
流水のプールを楽しみ、二人の時間と水での戯れを楽しんでいると、時間が経つのも忘れそうになる。
初夏の煌めく陽射しをきらきらと映す水飛沫と、どこまでも抜けていくような眩しい空。
そして、それ以上にラウルに輝いて見えるのは黒猫の青年の輝く笑顔。
心まで夏模様に染まっていくように感じながら、二人は陽が茜色を帯びるようになるまで輝くような時間を過ごしていく。
その光景を、美しいものを写真に焼き付けるように心に留めながら。
太陽よりも眩しいふたりぶんの笑顔は、互いの心にずっと残るのだろう。
一方。
土下座タイムの後に今度こそ、とモラと響の事を考えて準備した奏とリーズレットはウォータースライダーに再挑戦していた。
一度は体感しているからちょっとだけスリルは減っているけれども、二人と箱竜がぎゅっと固まり味わうその感覚はまた別感覚。
派手に飛び込み水飛沫を上げ、皆で到着したスリルはまた格別。陸に上がり、水を周囲に弾き飛ばし毛並を整える二匹の箱竜の横で、二人は一息をつく。
陽は大分傾いているが、もう少し遊ぶ時間はある。
「次はどうするかな!」
「それじゃあっち行ってみない?」
リーズレットの言葉に奏が別のスライダーを指し示す。それは先程清士郎と千紘が挑んだ上級者向け。
「よし! 行こう!」
即断即決、何となく不安そうな響とモラを定位置に置いたリーズレットと奏はそのスライダーへと挑む事にしたのであった。
――結論だけ述べるのなら、今回は土下座タイムにはならなかったようだ。
すっかりと陽射しが橙に染まったころ。
スライダーをはじめ、リゾートを心行くまで――手がふやける程に楽しんだ清士朗と千紘はプールサイドで一休み。
初夏の日差しを存分に浴び、遊び尽くした二人の瞳に映る柔らかな日差しは、これから訪れるであろう真夏にも負けない美しさを二人の瞳に映す。
金狐の金の毛並みが夕陽に柔らかに輝き、楽しい時間の終わりが近い事を示す。
二人の手は相変わらずの親愛の繋ぎ方。今日一日が終わるまでは、このまま。
そして、楽しい時間の終わりはやってくる。
身支度整え帰路に着いたケルベロス達の肌に涼しい夜の匂いの風が触れる。
昼の暑さは少し肌寒く感じる位に落ち着いていて、帰り道を歩くには丁度いい具合になっている。
――まだ夏には早い、けれども十分に夏の香りを感じるこの季節。
その季節の合間の休日を、ケルベロス達はそのようにして過ごしたのであった。
作者:寅杜柳 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年6月28日
難度:易しい
参加:6人
結果:成功!
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