婦警さんの衣装こそ至高である!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「俺は常々思うんだ! 婦警さんの衣装こそ至高である、と! だって、そうだろ!? 俺はそれだけで、メシがいくらでも食える! 逆に、それ以外はゴミだ、ゴミ! ハッキリ言って、見る価値ナシ! 例え、誘惑してきたとしても、絶対に反応する事はない! ここで断言しよう! 少なくとも、俺は反応しない。そんなモノは、道端のカカシと同じ! だからこそ、俺は言いたい! 婦警さんの衣装こそ至高である、と!」
 ビルシャナが廃墟と化した施設に信者達を集め、自らの教義を語り始めた。
 信者達はビルシャナによって、洗脳されており、婦警の恰好以外は無反応ッ!
 例え、オッサンであろうとも、婦警の恰好であれば、大興奮であった。

●セリカからの依頼
「リゼリア・ルナロード(新米刑事・e49367)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが拠点にしているのは、廃墟と化した施設。
 この施設にビルシャナが信者を集め、イケない妄想を膨らませているようだ。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 ビルシャナは強力なビームを放つ事によって、相手を婦警の恰好にすることが出来るらしく、それをオカズにして如何わしい事をしようとしているようである。
 ただし、信者達の洗脳が中途半端であるため、色仕掛けする事によって、我に返る可能性が高いようだ。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
綾崎・玲奈(アヤカシの剣・e46163)
ミルフィーユ・タルト(甘いもの好き・e46588)
リゼリア・ルナロード(新米刑事・e49367)
リゼア・ライナ(雪の音色・e64875)

■リプレイ

●都内某所
「まさか私の危惧していたビルシャナが本当に現れるとは……。私も婦警の恰好をしているし、この事件は見過ごすわけには行かないわね」
 リゼリア・ルナロード(新米刑事・e49367)は仲間達と共に、ビルシャナが拠点にしている施設にやってきた。
 ビルシャナは婦警の恰好こそ至高であると訴え、信者達と一緒にイケない妄想を膨らませているようだ。
 その影響で信者達の洗脳されており、婦警の恰好以外はまったく反応しないようである。
「……婦警さんか、正義の味方と言う意味では僕も憧れる存在だね。だからと言って、服装が全てと言う訳ではないと思うけど……」
 リゼア・ライナ(雪の音色・e64875)が、深い溜息を洩らした。
 それだけ婦警の事が好きなのかも知れないが、婦警の恰好さえしていれば問題ないという時点で、ツッコミどころが満載であった。
 おそらく、相手が婦警の恰好であれば、喜んで逮捕される事だろう。
 ただし、ビルシャナ達にとっては、プレイの延長でしかないため、御褒美以外のナニモノでもないが……。
「私も昔は漫画の影響で警察を志した事もあったけど、婦警への道はとても険しく厳しいものなのだよね。それを安易に婦警のコスチュームを愛でるなんて、許せないわ」
 ミルフィーユ・タルト(甘いもの好き・e46588)が、嫌悪感をあらわにした。
 実際にビルシャナは婦警の恰好をしていれば良いため、そういった意味でも安易な気持ちで、婦警の恰好を愛でている事は間違いない。
「まぁ、男性の嗜好って人それぞれですけど、ビルシャナに関しては、私達が御仕置きしておく必要がありそうですね」
 そう言って綾崎・玲奈(アヤカシの剣・e46163)が覚悟を決めた様子で、仲間達と共に廃墟と化した施設に足を踏み入れた。

●施設内
「いいか、お前ら! この世で最も尊い存在……それが婦警だ! つまり俺達にとって、婦警は世界であり、俺達のすべて! そして、俺達も婦警の一部だ!」
 施設の中は牢獄のような雰囲気が漂っており、カビのニオイが充満した室内で、囚人服を着たビルシャナが信者達を前にして、自らの教義を語っている最中だった。
 信者達は洗脳状態に陥っているらしく、ビルシャナが意味不明な事を叫んでいても、誰ひとりとして異を唱えず、逆に聞き惚れているようだった。
「確かに、婦警さんの衣装はカッコ良くて素敵ですけど、実際の婦警さんを口説いたり襲ったりしてはいけませんよ? 直ちに逮捕されてしまいますから……」
 そんな中、玲奈がドレス姿で、ビルシャナ達の前に陣取った。
「なんだ、お前達は……! お前達に、婦警の何が分かる! 分かる訳がない。何も、な!」
 その途端、ビルシャナが殺気立った様子で、ケモノのように吠えた。
 ビルシャナ自身、薄っぺらい感情しか抱いていなかったものの、その表情は真剣。
 まるで『婦警の事なら、俺に任せろ!』と言わんばかりに、自信満々な表情を浮かべていた。
「ねぇ、キミ達。だったら、婦警なら問題が無いって事……? 婦警さんが好きなら僕が一緒に遊んであげるよ」
 リゼアが婦警の恰好をして、ビルシャナ達に迫っていき、信者達に手錠を掛けていった。
 だが、信者達はまったく抵抗しておらず、むしろ御褒美と言わんばかりに勢いで、リゼアに両手を前に突き出した。
 ビルシャナも信者達と同じように両手を前に出したものの、手錠を掛けられる代わりに、鞭を振り下ろされた。
「だ、大丈夫ですか、ビルシャナ様!」
 それを目の当たりにした信者達が、心配した様子でビルシャナに駆け寄った。
 しかし、手錠を掛けられてしまったせいで、ビルシャナを助ける事が出来なかった。
「残念だけど、ビルシャナを助ける事は出来ないよ。これもプレイの一環だから。こういうシチュエーションも好きでしょ? みんな揃いも揃って、変態のようだしね」
 リゼアが含みのある笑みを浮かべ、信者達の顔色を窺った。
「ま、まあ……、それほどでも……」
 その言葉を聞いた信者達が、恥ずかしそうに頬を掻いた。
「いや、それは否定しておけよ!」
 そのため、ビルシャナが、思わずツッコミ!
 リゼアの言葉で信者達が助ける事を止めたため、鳩が豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべていた。
「私は、こう見えてもドSなのよ。私のいう事が聞かない輩は、お仕置きしてあげるから、覚悟しておきなさい」
 そんな空気を察したリゼリアが、婦警の恰好でビルシャナを見下し、再び鞭を振り下ろした。
「なんだ、婦警だったのか。だったら、話は別だ! もっと悪い事をして、御褒美……いや、御仕置きしてもらわないとな!」
 その事に気づいたビルシャナが、思いっきりゲスな笑みを浮かべた。
 おそらく、もっとイケない事をして、あんな事や、こんな事をしてもらおうと思っているのだろう。
 まわりにいた信者達も、ビルシャナの思惑を理解して、とても羨ましそうにしているようだった。
「どうやらケタ外れのド変態だったようね。……という事は、それ相応の覚悟も出来ているという事かしら? だったら、私の言う事を聞いて、従う覚悟はお持ちかしら?」
 リゼリアがビルシャナ達に冷たい視線を送り、冷たい床にピシィッと鞭を振り下ろした。
 それだけで、信者達は大興奮ッ!
 ビルシャナに至っては、だらしのない笑みを浮かべ、今にも一人遊びを始めそうな勢いだった。
「でも、いいの? みんな恐怖で身体が震えているようだけど……? もう一度、よく考えてみて。本当に、みんな婦警さんが好きなの? それって本当に自分の気持ち? それに、婦警は気が強くて、貴方達の言う事は簡単には聞いてくれないよ。その分、私はメイドだから、ご主人様のお望みなら可能な限り、叶えるよう努力するけど……。さぁ、自らの野望通り婦警を選ぶか、貴方に従順なメイドを選ぶか、貴方はどっちにするかな?」
 ミルフィーユがメイド服の裾を摘まみ、クルクルと回ってアピールした。
「私だって、婦警さんの様な凛々しさは無いですけど、婦警さんに負けない優美さと清楚さを持っていますよ? このフリフリのドレス、フリル付きで黒を基調としたゴシックタイプです。これに勝るものなんてないと思いますが……」
 それに合わせて、玲奈も対抗意識を燃やすようにして、ビルシャナ達の前でクルリと回った。
「な、なんだ、この気持ちは……。本当に俺は……婦警が好き……なのか?」
 その途端、ボサボサ頭の男性信者が、動揺した様子で激しく目を泳がせた。
 本来であれば、婦警以外には反応しないはず。
 だが、下半身は正直だった。
 他の信者達も下半身に違和感を覚えたのか、みんな動揺している様子であった。
「うぐぐ……、こうなったら……!」
 そんな空気を察したビルシャナが、半ばヤケになりつつ、超強力なビームを放ってきた。
「さぁ、行きますよ、ネオン。回復は任せましたから」
 それに合わせて、玲奈がボクスドラゴンのネオンに声を掛け、ビルシャナに攻撃を仕掛けるタイミングを窺うのであった。

●ビルシャナ
「何をしたのか分からないけど、この程度の攻撃じゃ、マッサージにもならないわよ」
 そのビームをモロに浴びたリゼリアが拍子抜けした様子で、ビルジャナにトラウマボールを炸裂させた。
 何故なら、ビルシャナが放ったビームは、相手を婦警の恰好にするだけ。
 それ以外の力を持っていないため、最初から婦警の恰好をしているリゼリアには無意味だった。
「お、俺に……何をしたァ! いくら婦警の恰好をしていても、許されない事だってあるんだぞ!」
 その影響でビルシャナが悪夢を見せられ、酷く怯えた様子でケルベロス達を睨みつけた。
 一体、どんな悪夢を見せられたのか分からないが、両目が血走っており、息も荒々しかった。
 そのせいで、まわりにいた信者達もドン引きしており、あからさまに警戒している様子であった。
「さぁ、育ちなさい。……地中に眠る植物よ。蔦となり相手を絡み捕りなさい!」
 その間にミルフィーユが捕食の蔦(ホショクノツタ)で床から植物の蔦を急成長させ、ビルシャナの脚を絡め取った。
「な、なんだ、これは……。か、身体が動かない!」
 ビルシャナが半ばパニックに陥った様子で、再びビームを放ってきた。
「本当だ。まったく痛くない。これで攻撃した気になっているんだったら、僕達を倒す事なんて出来ないよ」
 そのビームを浴びつつ、リゼアがスターゲイザーを仕掛け、流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りを炸裂させ、ビルシャナの機動力を奪った。
「……このまま焼き鳥にしてあげます」
 続いて玲奈がグラインドファイアを仕掛け、ローラーダッシュの摩擦を利用し、炎を纏った激しい蹴りをビルシャナに放った。
「ぎゃあああああああああああ! 熱い、熱い! 熱い!」
 ビルシャナが真っ赤な炎に包まれながら、ブスブスと真っ黒な煙を上げた。
 そのため、ビームを放つ事が出来ず、熱さから逃れるようにして、床をゴロゴロと転がった。
「ほら、大人しくしなさい!」
 すぐさま、リゼリアが怒號雷撃を仕掛け、自らの怒りを雷に変え、ビルシャナを攻撃した。
「……弱点を見抜きました、この一撃を食らいなさい!」
 それに合わせて、リゼアが破鎧衝を仕掛け、高速演算でビルシャナの構造的弱点を見抜き、痛烈な一撃を食らわせた。
「遠隔爆破よ、この一撃を食らいなさい!」
 次の瞬間、ミルフィーユがサイコフォースを発動させ、精神を極限まで集中させる事で、ビルシャナの身体を爆破した。
「ぎゃあああああああああああああああ!」
 そのため、ビルシャナは何が起こったのか、全く理解する事が出来ず、断末魔を響かせ、物言わぬ肉の塊と化した。
「何だか呆気ない最後でしたね。でも、リゼリアさん達の恰好……本物の婦警っぽくてカッコ良かったですよ」
 そう言って玲奈が仲間達を見つめて、ニコリと笑うのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年4月13日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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