東京焦土地帯争覇戦～戦う運命にある者達

■リプレイ

●東京焦土地帯
「……随分と派手にやっているな」
　相馬・泰地（マッスル拳士・e00550）は仲間達と共に、東京焦土地帯にやっていた。
　現在、東京焦土地帯では、蒼玉衛士団と死翼騎士団の戦いは熾烈を極めており、両勢力とも文字通り命を削りながら、自らの勝利を信じて剣を交えていた。
「東京焦土地帯で続く死神とエインヘリアルとの小競り合い……か。いずれにしろ、デウスエクスの戦力を削れる機会だからきっちり退治しようぜ！」
　相馬・泰地（マッスル拳士・e00550）が隠密気流を発動させ、物陰に隠れて様子を窺った。
　死翼騎士団は、どんなに傷ついても恐れを知らず、まるで自分達を不死身だと思い込んでいるようだった。
　もちろん、それは単なる思い込み。
　実際には、その気持ちに反して、肉体が限界に迎え、地に突っ伏しているのが、大半だった。
　それでも、絶対に負けないという気持ちが強いため、必要以上の力が全身に溢れているような感じであった。
「ここは因縁の場所ですしね。エインヘリアル王子たちの内紛に死神たちの思惑、わたしたちケルベロスの胸に宿るものと分からないことは、まだまだいっぱいありますけど、まずは目の前の敵ですね」
　ペテス・アイティオ（オラトリオのヤバくないほう・e01194）が、自分自身に気合を入れた。
「それに、どっちも放置しておくわけにはいかないから、ここに介入して、わたし達で安全を確保して開放しておかないと……」
　東雲・苺（ドワーフの自宅警備員・e03771）が物陰に隠れて様子を窺いながら、自分自身に言い聞かせた。
　蒼玉衛士団と死翼騎士団の戦力は、現在均衡しているものの、戦いの途中でケルベロス達が介入する事で、戦況が一気に動き出し、大きくバランスを崩す事が出来るはず。
　そうなれば、より早く戦いを終わらせる事が出来るため、ここでの行動で命運が分かれると言っても決して大袈裟ではなかった。
「……とは言え、敵同士の潰し合いを漁夫の利する立場というのはこう……とてもワクワクするというか、なんというか。この両陣営の戦いをポテチ食べながら眺めたいですね、これ」
　それとは対照的に、霖道・裁一（残機数無限で警備する羽サバト・e04479）が、興奮した様子でポテトを頬張った。
　何となく緊迫感が無い気もするが、これもひとつの精神統一。
　嫉妬の炎をメラリと燃やし、怒りの矛先を蒼玉衛士団に向けた。
「まあ、デウスエクス同士で争って戦略を落としてくれるとは、なんともありがたい話でござるが……。片側は死神勢力、倒すのはエインヘリアル側となると、なんとも踊らされている気がしないでもないでござるな……」
　不動峰・くくる（零の極地・e58420）が複雑な気持ちになりながら、アクアカーモ（レインコート）による光学迷彩と隠密気流を合わせ、戦場近くでジッと息を潜めた。
　その間も、あちこちから怒号が飛び交っており、風に乗って何処からか血のニオイが漂ってきた。
「とりあえず、いまのところは、任務最優先って感じだね」
　一方、瀬入・右院（夕照の騎士・e34690）が隠密気流で距離を縮め、翼飛行を活用しつつ、ビルからビルに飛び移った。
　蒼玉衛士団と死翼騎士団の小競り合いはあちこちで行われているものの、だいぶ距離が離れているため、戦闘の途中で増援が駆けつける心配もなさそうだ。
「まあ、任務優先だったら、その邪魔をするだけだ」
　長久・千翠（泥中より空を望む者・e50574）も隠密気流を発動させ、周囲の廃屋を利用しつつ、物陰に隠れながら距離を縮めていった。
　幸い、廃屋が幾つもあったため、敵から身を隠すのは容易であった。
「……」
　そんな中、小柳・玲央（剣扇・e26293）は物陰に隠れつつ、蒼玉衛士団と死翼騎士団の戦いをカメラに収めていた。
　上手く撮れているか分からないが、作戦が開始されるまで、全神経を撮影だけに集中させた。
「……たくっ！　面倒を掛けやがって！　死ね、死ね！　二度と生き返るな！」
　その間に、蒼玉衛士団の一般兵が、死翼騎士団との戦いに勝利を収め、執拗に剣を突き刺していた。
　既に、死翼騎士は無残な死体を晒しているものの、戦闘の時に感じた恐怖を消えないため、途中で攻撃の手を止める事が出来ないようだった。
　他の蒼玉衛士団も死翼騎士達の鬼気迫る勢いに圧倒されていたのか、念入りにトドメをさしていた。
「蒼玉衛士団の面々、お仕事お疲れ様ですよ～。しかし残念、残業タイムです。というわけで覚悟ー！」
　すぐさま、裁一が物陰から飛び出し、死刑宣告の如く勢いで蒼玉衛士団に言い放った。
「い、何時の間に……！」
　その事に驚いた蒼玉衛士団が動揺した様子で、血塗れの剣をギュッと握り締めた。
「東京の地を我が物顔で占拠するエインヘリアルさん! あなたたちの悪行、たとえ月影に隠れてもこのペテスが見逃しませ……ひゃああああああああああああああ」
　次の瞬間、ペテス・アイティオ（オラトリオのヤバくないほう・e01194）が月をバックに空を飛び、空中からビシィッと蒼玉衛士団を指差すのであった。
　それと同時に、突風が巻き起こり、悲鳴を上げて何処かに飛んでいった。

●蒼玉衛士団
「な、なんだ、コイツらは！　い、何時の間に！」
　その事に気づいた蒼玉衛士団の一般兵が、警戒した様子でゾディアックソードを握り締めた。
「それじゃ、始めるか。ちなみに……拒否権はないからな」
　その隙をつくようにして、千翠がグラインドファイアを放ち、炎を纏った激しい蹴りで蒼玉衛士団の一般兵に攻撃した。
「ええい、怯むな！　皆殺しだ！」
　リーダーと思しき一般兵が、仲間達に喝を入れ、先陣を切ってケルベロス達に斬り掛かった。
「悪いけど、俺も不死身でしてね……！　 例え、どんなに傷ついたとしても、俺は死なない」
　それを迎え撃つようにして、裁一がリーダーと思しき一般兵の攻撃を喰らい、余裕の笑みを浮かべた。
　実際には、リア充相手にギャグ補正掛かっている時だけ不死身なので、シャレにならない程の痛みが全身を駆け巡っているものの、裁一は薄っすらと涙を浮かべただけで、表面上は不死身であるかのように装った。
「そ、そんなの、ハッタリだ！」
　リーダーと思しき一般兵が、動揺した様子で後退した。
　そのため、他の一般兵も警戒した様子で、裁一の傍から離れていった。
　もちろん、単なるハッタリ、痩せ我慢。
　それを表情に出していないため、上手く誤魔化しているだけだった。
　それでも、死翼騎士団との戦いで疲弊した蒼玉衛士団にとっては、恐怖以外のナニモノでもなかった。
「ハッタリか、どうか試してみればいい。それに、この星は地球の人々のものだ、後から奪って拠点だなどとは図々しいにも程がある！」
　そんな空気を察した右院が「寂寞の調べ」を発動させ、失われた面影を悼む歌で、魂を呼び寄せ、身に纏った。
　そう言いつつも、内心『なんか連戦にさせて、ごめんなさい……いやでも、そうしないと負けそうだしぶっちゃけ怖いし……』という気持ちでいるものの、ノリと勢いで強気な態度を取っているため、蒼玉衛士団の間に動揺が走っているようだ。
「みんな怯むな！　コイツらが不死身な訳がない！　さっきの奴だってハッタリだったろうが！　それに、新たな王子が地球に派遣される前に功績を上げねば、サフィーロ様が……」
　リーダーと思しき一般兵が、危機感を覚えつつ、まわりにいる一般兵を叱りつけた。
　どうやら、彼らには時間が無いのか、かなり焦っている様子であった。
「やっぱ八王子なだけに、第八王子が来てるの？　……と言うか、別の人？」
　右院が間合いを取りつつ、茶化すようにして問いかけた。
「ところでサフィーロって、どんな人なんですか！　マン・ハオウとおんなじような性癖だって聞きましたけど！　いい加減覚えられないんですけど、王子って全部で何人いるんですか！」
　その流れに乗ってペテスも、リーダーと思しき一般兵にカマをかけた。
「サ、サフィーロ様は、偉大な御方だ！　断じて、変態などではない！　それに……い、いや、お前達に関係のない事だ」
　リーダーと思しき一般兵が、何かを口にしようとした途端、ハッと我に返ってゾディアックソードを握り直した。
　先程の問いに肯定も否定もしなかったが、新たな王子が地球に派遣される事は間違いないようである。
「はあはあ……、酷い目に遭いましたけど、絶対に許しませんからね！」
　そんな中、ペテスが荒々しく息を吐きながら、蒼玉衛士団の前に現れた。
　だが、戦う前から、既にズタボロ。
　頭から地面に落ちたのか、額から血が流れ、見るからに痛々しい感じであった。
「お前が怪我をしたのは、俺達のせいじゃない！」
　それに気づいた蒼玉衛士団の一般兵が、反射的にツッコミを入れた。
「そんな事を言って怖いんじゃないの？　こんなに血塗れでも、平気な顔で向かってくるから……」
　その間に、玲央がペテスを守るようにして陣取り、スターサンクチュアリを展開した。
「お、愚かなヤツめ。よほど死にたいようだな」
　リーダーと思しき一般兵が自らの動揺を隠すようにして、他の一般兵を引き連れ、ゾディアックブレイクを仕掛け、星座の重力を剣に宿すと、あらゆる守護を無効化する重い斬撃を放った。
「随分と粋がっているようだが……。相手が悪かったな」
　次の瞬間、泰地がセイクリッドダークネスを仕掛け、光輝く聖なる左手でリーダーと思しき一般兵を引き寄せ、漆黒纏った闇の右手で鎧を粉砕した。
「ば、馬鹿なっ！」
　その途端、リーダーと思しき一般兵が、信じられない様子で血反吐を吐いた。
「まずは動きを抑えるでござる！」
　それと同時に、くくるが轟震天・怒號稲妻嵐（ゴウシンテン・アングリーサンダーストーム）を仕掛け、轟震天の内蔵機構によりグラビティで発生させた雷撃を増幅させ、蒼玉衛士団の一般兵達をマヒさせた。
「いくよ、マカロン、ごー！」
　続いて、苺がボクスドラゴンのマカロンと連携を取りつつ、蒼玉衛士団の一般兵に攻撃を仕掛けていった。
　それに合わせて、マカロンがボクスブレスを放ち、蒼玉衛士団の一般兵を牽制した。
「デストローイ！　纏めて焼きます！　蒼玉衛士団は敗北者じゃけぇ」
　裁一もヤル気満々な様子で、嫉妬溶岩腕（ケッコンハジダイノハイボクシャジャケェ）を仕掛け、嫉妬の溶岩と化した腕で蒼玉衛士団の一般兵をブン殴った。
「テメエら、殺す！　殺してやる！」
　蒼玉衛士団の一般兵が危機感を覚えつつ、ゾディアックミラージュを仕掛け、剣に宿した蠍のオーラを飛ばしてきた。
「戦場で舞ってこそ、剣舞の本領発揮、ってね♪」
　それを迎え撃つようにして、玲央が蠍のオーラをかわし、鉄塊剣を扇に見立て、剣舞の如く華麗に蒼玉衛士団の一般兵を斬りつけた。
「コ、コイツ、強ぇ！」
　そのため、蒼玉衛士団の一般兵が動揺した様子で、ケルベロス達から離れていった。
「怯むな！　怯むんじゃねぇ！」
　それと入れ替わるようにして、リーダーと思しき一般兵が大声を上げ、星天十字撃を仕掛け、二つの星座の重力を同時に宿し、天地を揺るがす超重力の十字斬りを仕掛けてきた。
「噛み砕け！　食い散らかせ！」
　その攻撃を千翠が真正面から受け止め、大量の血を撒き散らしながら、餓竜の牙（ガリュウノキバ）を仕掛け、自らを巨大な竜に変化させ、相手目掛けて放出した。
　その竜はリーダーと思しき一般兵の首元に食らいつき、鎧ごと右肩の肉を食い千切った。
「それじゃ、みんなに御仕置きしちゃうよ！」
　苺がマカロンと両手（？）を繋ぎ、クルクルと回転しながら、竜巻を発生させて蒼玉衛士団を吹き飛ばした。
「来たれ、降りそそげ、滅びの雨よ！」
　その間に、ペテスがスマホをポチポチいじり、無人のジャンボジェット機をドッカンドッカンと降らせまくった。
「な、なんだ、ありゃああああああああ！」
　それは蒼玉衛士団にとって……、まさに悪夢！
　逃げたくても、逃げる事が出来ない最悪な状況。
　逃げる事も、立ち向かう事も出来ず、絶望だけが彼らを包んだ。
　そして、彼らの悲鳴を飲み込むようにして、無人のジャンボジェット機が落下した。
「サ、サフィーロ様のためにも、ここで屈する訳には……！」
　リーダーと思しき一般兵がギチギチと歯を鳴らし、再び攻撃を仕掛けようとした。
　だが、先程の攻撃で肉体が悲鳴を上げ、少し体を動かしただけでも、大量の血が身体のあちこちから噴き出した。
「これで……終わりだ！」
　次の瞬間、泰地がマッスルキャノンを放ち、敵を追尾するオーラの弾丸を両手から放ち、リーダーと思しき一般兵の身体を貫いた。
「うぐ……ぐぐぐ……こんなはずでは……」
　リーダーと思しき一般兵が恨めしそうに声を震わせ、血溜まりの中に崩れ落ちた。
　他の仲間達も蒼玉衛士団を蹴散らし、ホッとした様子で溜息を漏らしていた。
「仕事上がりの一服は身に染みるでござる」
　そんな中、くくるが何処からかキセルを取り出し、一服して煙をふかせるのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年3月5日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 2／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 0
あなたが購入した「複数ピンナップ（複数バトルピンナップ）」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。