女子小学生SOS

作者:塩田多弾砲

 私立、聖ウリエル女子大学付属小等部。
 その校舎の中庭にある花壇。そこは、放課後の今はあまり人が来ない。
 そして今、そこには二人の生徒の姿があった。一人はベンチに腰掛けて読書中。もう一人は、ジョウロで花壇に水を。
「夢生ちゃん、何読んでるの?」
「……中等部の図書館で借りた、昔のSF」
「へー……っとっとっと。お水なくなっちった」
 氷川美芳は、ジョウロの水を足すために水道へ。花壇には青紫色の、美しい花……ムスカリが咲き誇っている。
 そんなムスカリの花壇の横では、宇引田夢生が読書中。
「……こないだ読んだゴセシケとビルケは面白かった。大人は小学生にもっとああいうのを提供すべき。ジュンブンガク? 知らん」
 そんな夢生に、
「あははー、私はそういうのよくわかんないなー。で、今読んでるのはどんな内容?」
 美芳は隣に座った。
「食用に世界中で栽培されてるトリなんとかって人食い植物が、ある夜の流星群のせいで盲目になった人類に襲い掛かってくるの。怪物ものってだけじゃなく、人間社会の問題も取り扱った名作」
「相変わらず本好きだねー。四月から中等部に上がっても、やっぱ図書委員するの?」
「ろんもち。美芳は?」
「園芸部もいいけど、被服部でコスプレもしたいんだよねー。高等部に進んだ時には、『けものパラダイス』で、麗奈とアルバイトもしたいし」
 そこまで言って、
「……ねえ。麗奈さんは……元気、なの? クラス違うから、心配」
 夢生が聞いてきた。
「うん……ちょっと悩んでたけど、今は大丈夫そう」
「そう、それなら」
『良かった』と言おうとした、その時。
 ムスカリを植えた花壇が、いきなり『波打ち』、
「え? な、何が……」
 二人の前に、植物の怪物が、花壇から立ち上がるようにして出現していた。
「あっ……!」
 怪物……攻性植物は、触手を放って夢生に巻き付け、そのまま……取り込んでしまった。
「夢生ちゃん!」
 床には、夢生が落とした文庫本が。
 美芳が悲鳴を上げ、夢生を取り込んだ攻性植物は、一歩踏み出した。

「皆さん、攻性植物が小学校に出たの!」
 ねむが、君たちへと予見した内容を口にする。
 数日前にマスクのオークが出て、アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)らが倒した事件。
 あの住宅街から、そう離れていない場所にて。
 ウリ女付属校小等部の生徒が、攻性植物に襲われ、取り込まれてしまったというのだ。
「この学校は、天現寺・麗奈(地球人の妖剣士・en0313)さんが今通っているところなの。四月からは中等部に進学するから、じきに卒業だけど……」
 しかし、小等部すなわち小学校。現場には周囲に生徒や教師はいないが、このまま放置していたら、悲劇が起こる事は火を見るよりも明らか。
 放課後の為か、場所柄か、出現した時刻には周囲には生徒や教師の姿がない事は不幸中の幸いだろう。
 現場となる後者は、3階建てでカタカナの『コ』の字型。『コ』の内部に中庭があり、花壇がそこにある。
 そして、校舎一階の廊下は、花壇側の壁は全て取り払われ、中庭の花壇に直結している。校舎内から、すぐに花壇に入り込めるようになっているのだ。
『コ』の開いたところから、外へと向かう事が出来る。が、その先は外壁のフェンス。つまり、逃走されやすいし、外の住宅街にも出やすい場所、という事でもある。
 攻性植物……『ムスカリ』が母体で、犠牲者となった夢生が読んでいた小説に登場する植物から、『ムスカリフィド』、略称『ムスフィド』と命名。
 捕食形態、蔓触手形態、埋葬形態と、小説内の怪植物を彷彿とさせる能力すら持っている。
「いつものように、攻性植物と宿主は一体化してるから、ヒールかけながら戦って、戦闘終了後に宿主を救助する必要があるの」
 ヒール不能ダメージを少しづつ蓄積させつつ、ヒールグラビティをかけていく……という、粘り強い攻撃が必要。毎回の事ながら、厄介で面倒で危険な方法ではある。
「『ムスフィド』の攻撃は、接近戦では捕食形態で頭と手足をハエトリグサに変形させ噛みついて毒注入、少し離れると、蔓触手形態で触手を伸ばし締め付け、または引き寄せるの。さらに……埋葬形態で、地面を侵食し、集団への攻撃も出来るから、注意なの」
 ただ、今回の現場となる中庭は、校舎に囲まれている。そのため、二階・三階の廊下の窓から、狙撃、もしくは砲撃する事は可能。
 とはいえ、触手を伸ばしてきたり、『ムスフィド』が校舎二階へ注意を向け、上ってきたりしたら厄介ではあるが。
「場所が場所だから、麗奈さんも参加して、できるだけ協力するって言ってきてるの。でも……彼女にとっては、色々やりにくい相手だと思うの」
 しかし、それでもやらねばならない。
「皆さんなら、この攻性植物をやっつけることはできると思うの! だから……お願いなの!」
 当然だ。未来ある少女たちの命の危機を、放置するなどできるわけがない。
 すぐに君たちは立ち上がり、現場へと向かっていった。


参加者
日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)
カタリーナ・シュナイダー(断罪者の痕・e20661)
弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)
ベルローズ・ボールドウィン(惨劇を視る魔女・e44755)
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)
肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)

■リプレイ

●SOSな女子小学生
 ウリ女付属小等部。
 その校舎。三階廊下。
「さてと……」
 思ったより、『高さ』があるなと、日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)は思った。
 コの字型の校舎。その三階の廊下。
 自分は、この場所から中庭へと『狙撃』する予定。しかし、この場所から見下ろせる中庭は、確かに花がいっぱいで……目を引き、その美しさに心豊かになる気がする。
 花壇から、向かい側の校舎、その廊下の窓を見た蒼眞は。
 同じく三階の廊下の窓に、仲間たるケルベロスの姿を認めた。
 彼女……カタリーナ・シュナイダー(断罪者の痕・e20661)もまた、狙撃手としてここに居る。
「……屋上への階段は、ここにもあるか……」
 カタリーナは、再び狙撃ポイントを見下ろしてみる。その視線の先には、
 狙撃すべき、植物の怪物の姿があった。

「夢生ちゃん!」
 氷川美芳が悲鳴を上げる。
 卯引田夢生を取り込んだ攻性植物『ムスフィド』は、一歩踏み出し、蔦を伸ばしてきた。
「そ、そんな……い、いやあ……」
 美芳に蔦が巻きつき……、
「美芳さんっ!」
 喰霊刀により、切断された。
「え? 麗奈、ちゃん?」
 そのまま、腕を引っ張られる。
「れ、麗奈ちゃん! 夢生ちゃんが! か、怪物に!」
「知ってます。今は、逃げて下さい! こっちです!」
 天現寺・麗奈(地球人の妖剣士・en0313)に腕を引かれ、その場を後に。
 そして、中庭出口側……校舎のコの字の開いた口の方に後退すると……、
「……二人とも、大丈夫のようね」
 弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)に迎えられた。
「え? ……ケモミミ喫茶の時の、裸の綺麗なお姉さん?」
「あら、覚えててくれたのね。……思い出話は後でね、あなたのお友達を助けるため、協力してほしいの。麗奈ちゃん、彼女を任せても?」
「はい、お姉さま!」
「え? まって、このお姉さんケルベロスでしょ? 麗奈ちゃん? って、なんでさっき刀を? どういう事?」
 混乱している美芳に、
「詳しい話は後で! あなたも狙われてる事、わかってますか? わかってますよね!」
 強引に引っ張っていく麗奈。
「お姉様……それから、皆さん……」
 そして、
「……夢生さんの事、お願いします!」
「ええ、任せて」
 麗奈はそのまま、現場から離れていく。
「……さて」
 それを見守り、永凛は現場へと目を向けた。
 唸る攻性植物……『ムスフィド』の蔦は、
「……思ったより、蔦の動きが速いですわね」
 ベルローズ・ボールドウィン(惨劇を視る魔女・e44755)が、マインドソードで切り払っている。
「今のところは、中の卯引田さんは大丈夫そうです」
 アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)、そして、
「それに、逃走する様子もなし。このまま作戦がうまくいけばいいけど……」
 肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)。二人は『ムスフィド』に、視線を向けていた。
 攻性植物にダメージを食らわせ、ヒールをかける。それを何度も繰り返し、ヒール不可能なダメージを蓄積し、攻性植物のみを倒す……。
 ただ倒すよりも、手加減が必要で難しい戦い。
「……いや、うまく『いかせる』! やってみせるとも!」
 弱気になった自分を叱咤し、鬼灯は戦いに集中し始めた。

●SOSな花園
『ムスカリ』、別名『ブドウヒヤシンス』。その花は美しい紫色で、それが花壇を彩る様は、夢のような光景。
 だが、目前の『ムスフィド』は、悪意ある何かにより、醜く歪まされ汚された結果のよう。
 胸部には、透明な繭が、その中に夢生が捕らわれている。それを見て蒼眞は、
「……前に見た、古いSF映画の怪物みたいでもあるな」
 元ネタとなった映画の、あの植物怪物にも似ていたが。むしろそれよりも遊星よりやってきた、人型の吸血怪物の方にも似ている。
 その怪物よろしく、捕食形態で掴みかかる『ムスフィド』だが、
「はっ!」
 ベルローズが迎撃。
 シャドウリッパー、ゾディアックソード『白羊星剣』が放った、ジグザグな斬撃が、『ムスフィド』の体表面を切り裂く。
「そこっ!」
 続けざまに、鬼灯が己のゾディアックソード、鬼哭啾啾・夜刀神『剣』で切り込んだ。
 手加減攻撃とはいえ、切り込むたびに中の夢生が、苦し気に顔をしかめるのを見るのは痛々しい。
 よろける『ムスフィド』に、
「……行けっ!」
 蒼眞が放ったのは、ドラゴンサンダー。頭上からの攻撃に、『ムスフィド』はきりきり舞うものの、何とか踏みとどまる。
「……!」
 が、校舎の反対側廊下の窓から、もう一発放たれた。
 カタリーナの妖精弓から射かけられた、ハートクエイクアロー。それに貫かれ、膝をつく『ムスフィド』。
「……ヒール、行くわ」
 頃合いを見て、永凛が治癒を……、ウィッチオペレーションを。
『ムスフィド』は、ヒールされる事で再び紫の花を取り戻した。
「……さて、あとどのくらい攻撃すれば……攻性植物は倒せるかな」
 アンヴァルに見られながら、『ムスファド』は進撃を再開した。

 校舎、中庭口の出口側。その壁の前。
「待ってください、今戻るのは危ないです!」
「何言ってるの! 麗奈ちゃん、夢生ちゃんが……」
「……私も、可能ならば自分の手で助けたいです。でも……それができる技量は、今の私たちにはありません」
「……でも、このまま見捨てて逃げるなんて! 夢生ちゃんは友達なのに!」
「友達、だからです! あなたも、私の大切な友達です!」
「えっ……!」
「あなたの安全を確保する。それが、私の仕事であり、戦いです」
「……そっか、麗奈ちゃんも……ケルベロス、なんだね」
「……ええ。隠すつもりは、無かったのですが」
「……ご両親が事故に遭って、その後で『家の都合でケルベロスのお手伝いをする事になった』って先生から聞いたけど、まさか……本人がケルベロスに、とはね」
「……すみません、もっと早く言うべきでした」
「ううん。じゃあ、今来てる人たちは、信じられるんだね? それなら……」
 そこまで言った、その時。
 強烈な衝撃が周辺に響き渡り、壁の一部にひびが走った。

●SOSな校舎
 進撃を再開した『ムスフィド』は、
 地面に両足から、『根』を張り巡らせた。
「……来ます!」
 鬼灯の指摘通り、『来た』。地面に根が張り、融合・一体化。
 浸食するかのように、『ムスフィド』の周囲の地面が波打ち、大地が割れ、地獄のような光景を現出させた。
『波打ち』をわずかに早く見切った鬼灯、そしてアンヴァルと永凛は、襲い来る地割れから身を引いたが。
「しまっ……た!」
 ベルローズはその割れ目に落ち、がっきと咥えられてしまった。
 好機とばかりに、『ムスフィド』は。
 ベルローズに接近し……捕食形態で、ツルの先のハエトリソウのような形状の手で、掴みかかった。
「「「させないっ!」」」
 まず動いたのは、鬼灯。
 彼は『ムスフィド』に攻撃するより先に、ベルローズを捉えた地面へと取りついた。
 続き動いたのは、校舎三階から狙い撃つ、カタリーナ。
 バスターライフルからのゼログラビトン、エネルギー光弾の直撃が、その植物の身体を貫き、弱体化させる。
 ゼログラビトンに続いて、爆発も起こる。蒼眞のサイコフォースが、『ムスフィド』を襲ったのだ。
 身を震わせる『ムスフィド』。
 それをすぐ背中に感じ取りながら、鬼灯は……、
「待ってて……くださいっ! 今助けますっ!」
 怪力無双を用い、ベルローズを咥え込んだ大地の割れ目を開き……彼女を開放した。
 そのままベルローズを抱え上げ、後退する。
「……す、すまない……」
 ダメージを負っている彼女に、
「今、回復させます」
 アンヴァルが、メタリックバーストを。
 永凛もまた、膝をついた『ムスフィド』に対し、
「……大丈夫よ、卯引田さん……ううん、夢生ちゃん」
 再び、ウィッチオペレーション。
「必ず……助けるから!」
 そして、再び立ち上がる『ムスフィド』。
 地面を波打たせ……否、地面を沸き立たせ、
 怒るかのように、『ムスフィド』は両腕を広げ、狂おしく身体を揺らしていた。

「……やっこさん、怒ってる様子だな」
 廊下にて、窓から見られないように、身体を屈めつつ……蒼眞は走る。
 こうやって、位置を変えつつ攻撃しているため、こちらの場所は気取られてはいないはずだ。
「……蒼眞か?」
 やがて、カタリーナとすれ違った。
「私は、屋上から狙う。お前は?」
「このまま三階で」
「了解した」
 彼女は一瞬、外へと視線を向け、
「……奴の動きは、かなり鈍くなっている。ただ……我々が頭上から攻撃している事には、気付いたようだ」
 そう述べた。
「こちらにも攻撃を?」
「おそらくはな。気を付けろ」
「了解。そっちもな」
 階段から屋上に向かったカタリーナを見届け、窓から注意深く、『ムスフィド』を観察する。
 ベルローズらが攻撃しているのが見えるが、なるほど確かに、最初に比べて動きに精彩がない。
「……このまま、海水浴びせたら倒せないもんかな……?」
 などとくだらない事を考えつつ、次の攻撃を放つ準備をした、その時。
 自分のすぐ近くの窓に、『ムスフィド』から伸びた蔓草、その先端のハエトリソウがぶち当たり、ガラスを破壊していた。
 それが窓枠に噛みつくように咥え込み、そして……、
 本体の『ムスフィド』の身体を、校舎の壁へと引っ張り上げていた。
 窓のすぐ近くに、『ムスフィド』の身体と、捕らわれている夢生の姿が。
 窓から廊下に入り込もうとする『ムスフィド』だったが、
『…………!』
 いきなり砲撃を受け、身体をくねらせた。窓を見ると、屋上にフォートレスキャノンを構えたカタリーナの姿が。
「ナイスアシストだ、カタリーナ!」
 蒼眞はそのまま、窓から外へ。
 空中で二段ジャンプをすると、斬霊刀をその背中に切り付けた。
 中庭へと落下する『ムスフィド』。
 よろめきつつ立ち上がった攻性植物へ、永凛が再三のウィッチオペレーション。
 再び、回復した『ムスフィド』だったが……よろめきが止まらない。
 膝をつくと、身体の前面を開き……捕えていた夢生を吐き出すように、解放したのだ。
「……もらった!」
 中庭のケルベロスたちは、即座に動く。
 永凛とアンヴァルは夢生を受け止め、
 ベルローズと鬼灯は『ムスフィド』へと、ゾディアックソードを切り込む。
 ベルローズと鬼灯の、食い込んだ刃の『感触』。
 永凛とアンヴァルの手の中の、抱き留めた夢生の『感触』。
 それらの『感触』が、ケルベロスたちに勝利の実感をもたらしていた。

●SOSな花園
「夢生ちゃん……夢生ちゃんっ……」
「も、もう大丈夫、だから……」
 永凛からヒールを受け、夢生は体力を回復していた。
「……良かったわね、麗奈ちゃん」
「ええ、本当に……」
 やはり、知り合いが助かるのは良い。ましてや、まだ小学生。若くして命を落とすなど、あってはならない事。
「さてと。校舎の方も……」
 蒼眞らもまた、ヒールを。校舎の方は、壁面のヒビと廊下の窓ガラス程度で済んだが、
「花壇の方が、大変だな」
 カタリーナの言う通り、こちらは掘り返されたかのように、めちゃくちゃになっていた。
 だがそれでも、ヒールは完了。しかし、花壇のムスカリまでは元通り……とまではいかなかった。
「……はあ、酷い目にあった」
 ベンチに腰掛け、溜息をつく夢生。
「大変だったね。あ、僕も読書好きなのですよ?」
 和ませようと、鬼灯が語り掛ける。が、
「どんなの読む?」
「ええと……」
「……私は最近、『ストーカー』にハマってる」
「ああ、付きまとい犯罪者の本?」
「違う。旧ソ連の、ストルガツキーって巨匠が書いた名作SF。お兄さん、知らないの?」
「ええと……」
 戸惑う鬼灯に、『ふふーん』とドヤ顔を向ける夢生。
 美芳は、ベルローズやアンヴァルとともに、花壇の土を掘り返していた。
「氷川さん。この機会に、別の花も植えてみてはどうかしら」
 と、ベルローズ。
「別の花、ですか?」
「ええ。ムスカリの他に、この時期に植えるなら、ラベンダーやゼラニウム、チューリップに芝桜とかどうかしら。ネモフィラの爽やかな青も素敵ですよ」
「そう、ですね。健闘しておきます」
 とりあえず、部室に余っていたチューリップの球根を植える事に。
 が、
「こうすれば、いいのか? ……っと、石が埋まっているな」
 手伝いのため、土を掘っていたカタリーナから、土の小さな塊が飛び、
「……って、ミミズ!?」
 その塊に入っていたミミズが、ベルローズの服の中に入り込んでしまった。
「って、だ、誰か取って下さい!」
「ベルローズさん? 今助け……」
 と、かけつけた鬼灯がベルローズの服を脱がすが、
 次の瞬間。ビンタの音が響くのであった。
「あはは。ま、チューリップの球根植え終えたから、水やりを……あれ?」
 構えたホースから水が出ない。おかしいなと口を覗き込むと、
「あの、その水道は……」
 美芳の警告は間に合わず、時間差で水がホースから噴出。アンヴィルの顔に直撃するのであった。

●SOSな女子小学生の、花園
 後処理が全て終わり、麗奈は職員室で、担任教師へ報告を済ませ、
「お姉様、保健室で待ってるって言ってたけど……」
 永凛が待つ、保健室に。
「うふふ……美芳ちゃん。あのメイド喫茶で、ネコミミメイドにえっちなこと、してたんでしょ?」
「し、知ってたの……ふあっ………」
 そのベッド上では、押し倒され、服を脱がされ愛撫を受けている美芳と、
「ん……んっ……くふうっ……」
 同じく永凛に押し倒され、服を脱がされ愛撫されている夢生の姿があった。
「……ねえ、さっき図書室で……官能小説……読んでたわね?」
「は、はい……んっ……んうっ……」
 夢生の首筋と、胸の先端に、じっくり舌を這わせる永凛。
「……お姉様……ずるい! 勝手に始めちゃうなんて!」
「あら、麗奈ちゃん。うふふ、つい我慢できなくて、ね……」
 麗奈の姿を認め、夢生は、
「え? 麗奈ちゃん? って、見ないで……んむうっ!」
 羞恥に恥じらうが、永凛にキスされ、身体を弛緩させた。
「……ふふっ、それじゃあ……夢生ちゃんの『ケア』。お願いできるかしら?」
「はい。そ、その……終わったら、私にも……」
 もじもじする麗奈に、
「もちろんよ。最後は、二人に私と麗奈ちゃんのラブラブを見てもらって……安心してもらいましょう。でも、その前に……」
 この二人を、じっくり『ケア』しなきゃね。
 そう言って、永凛は美芳の身体を愛撫し始めた。
 麗奈もまた、夢生の身体を……つたないながらも愛撫していく。
 未成熟な美芳と夢生の身体が、快感に染まっていく。
(「中等部でも、麗奈ちゃんと『仲良く』してくれると、嬉しいのだけど」)
 きっと、仲良くしてくれるだろう。永凛はそう確信していた。
 少女たちとサキュバスの愛の営みは……夜が更けても続いていた。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年3月14日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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