終わらない戦い

作者:ゆうきつかさ

●東京焦土地帯
 エインヘリアルとの戦いで敗北した死神勢力が、東京焦土地帯の奪還を目指して戦いを挑んでいた。
 焦土地帯奪還軍を率いるのは、シヴェル・ゲーデン。
 漆黒の鎧を纏った彼女が率いているのは、死翼騎士団という死神の集団だった。
 それを迎え撃つのは、磨羯宮『ブレイザブリク』を支配する第九王子サフィーロが指揮する蒼玉衛士団。
 いまのところ、大きな戦いには発展しておらず、配下の軍勢による小競り合いが頻発している状況のようである。
「行くぞ、お前ら! 例え、この命が尽きたとしても、ここでの戦いは無駄にはならない。俺達の屍が、後に続く者達の道となるのだ」
 そんな中、死翼騎士のひとりが、仲間達を鼓舞しながら、勢いよく斧を振り上げ、蒼玉衛士団に襲い掛かった。
 度重なる戦いによって傷つき、身体が悲鳴を上げているものの、一人でも多くの敵を倒すため、鬼神の如く勢いで蒼玉衛士団に斬り掛かった。
「なんだ、アイツは……。化け物か……」
 その気迫に圧倒されて、完全に戦意を喪失させた蒼玉衛士団がいたものの、逃げる間もなく命を奪われ、無残な骸を晒していた。
「あんなモノは見掛け倒しだ! よく見ろ! 敵は虫の息だ! 殺せ! 迷わず殺せ! 躊躇うな!」
 それを迎え撃つようにして、蒼玉衛士団のひとりが大声を上げ、仲間達を率いて、死翼騎士団に攻撃を仕掛けていった。

●セリカからの依頼
「エインヘリアルが磨羯宮ブレイザブリクによって支配している東京焦土地帯に、死神の軍勢が攻め込んで戦いになっています。攻め込んだのは、死翼騎士団という死神の集団で、東京焦土地帯を守る第9王子サフィーロの蒼玉衛士団と小競り合いを繰り返しているようです。この戦いは、東京焦土地帯で行われており、一般人の被害者などは出ていないが、この機に乗じて敵戦力を減らせれば、それに越したことはありません。そこで、この戦いに横槍を入れて、敵デウスエクスの撃破してください」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「皆さんに向かってもらうのは、磨羯宮ブレイザブリクから出陣した蒼玉衛士団が、東京焦土地帯に攻め込んだ死神の軍勢を迎撃している戦場のひとつ。既に戦闘が行われているため、なるべく敵に気づかれないようにしながら近づき、生き残った蒼玉衛士団を相手にする事になります。もちろん、戦闘中に乱入する事も可能ですが、共闘は不可能なので、三つ巴の戦いになる事でしょう。また敵は死ぬまで戦う事を止めませんが、逃げる相手を追いかけるような事がないため、身の危険を感じるようであれば、戦いの途中で徹底しても構いません」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 戦力的に考えて、相手にする蒼玉衛士団は3人~5人程度。
 死翼騎士団との戦いで傷つき、疲れ果てているため、油断さえしなければ負ける事はないだろう。
「この戦いに乗じて敵の戦力を削っていけば、今後の戦いで有利となるでしょう。そういった意味でも、ここで負ける訳には行きません。皆さんの頑張りによって、戦況を一変させる事が出来るかも知れません」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、蒼玉衛士団の撃破を依頼するのであった。


参加者
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)
灰山・恭介(地球人のブレイズキャリバー・e40079)
之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)
肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)
嵯峨野・槐(目隠し鬼・e84290)
 

■リプレイ

●東京焦土地帯
「……随分と派手にやっているようだな」
 ヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)は東京焦土地帯に仲間達と向かい、警戒した様子で岩陰に隠れた。
 現在、東京焦土地帯では死神勢力の『死翼騎士団』と、エインヘリアル勢力の『蒼玉衛士団』が戦闘を行っており、互いに命を捨てる覚悟で、敵に突っ込んでいた。
「ブレイザブリク周辺は、色々と謎が多いようだが……。私は難しいことは、よく分からぬ故、ただ敵を倒すだけだ」
 嵯峨野・槐(目隠し鬼・e84290)が複雑な気持ちになりながら、建物の陰に隠れて隠密気流を発動させた。
 念のため、風下から戦場に接近したものの、辺りを支配しているのは、むせ返るほど濃厚な血のニオイ。
 そのせいで、両勢力とも興奮状態に陥っており、傷つく事も恐れず、得物を振るっているような感じであった。
「今まで、あんまり他勢力の諍いに介入するなんてなかったから、中々珍しい事態ですね」
 その間に、瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)が光の翼で目立たないように、ビルからビルに飛び移り、隠密気流で接近すると、物陰に隠れて様子を窺った。
 いまのところ、戦力的には、五分五分。
 両勢力とも血塗れになりながら、鬼神の如く勢いで、敵陣に突っ込んでいた。
「……死神とエインヘリアルの戦いで漁夫の利か」
 ジャスティン・アスピア(射手・e85776)が隠密気流を発動させ、瓦礫の陰に身を潜めた。
 両勢力とも敵を倒す事に夢中で、ケルベロス達の存在には、まったく気づいていない様子であった。
「一体、この地に何がある……? 気にはなる所だが、今は敵を排除することが最優先だな」
 灰山・恭介(地球人のブレイズキャリバー・e40079)が瓦礫の陰に身を潜め、隠密気流を利用して、敵に気づかれないギリギリまで、静かに距離を縮めていった。
「まあ、理由が何であれ、一番地の利があるのは、私たちです。八王子は絶対に奪回しましょう」
 之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)が隠密気流で潜みつつ、自分自身に気合を入れた。
 その傍には、死翼騎士団の死体が転がっていたものの、見た目に異常はなく、何かに変化するような兆しもなかった。
「とにかく、今は様子を見ましょう。少なくとも、どちらか決着がつくまでは……」
 肥後守・鬼灯(度徳量力・e66615)が仲間達に声を掛けた後、物陰に隠れつつ移動を開始した。
「はあはあ、何故だ! 何故、勝てない! こんなはずでは……! こんなはずではァ!」
 一方、死翼騎士は剣を杖代わりにしながら、荒々しく息を吐き、恨めしそうにしながら、崩れ落ちるようにして突っ伏した。
「……雑魚がっ! 我らに勝てる訳がないだろ! 自分の力を過信し、我らを倒せると思い込んでいた過去の自分を恨むんだなッ!」
 そんな中、蒼玉衛士団の一般兵が勝ち誇った様子で、足元に倒れた死翼騎士に剣を突き立てた。
 それでも、死翼騎士が自分の身体に突き刺さった剣を掴んだものの、身体の方が先に屈してしまい、大量の血を噴水の如く撒き散らしながら、ビクビクと震えて絶命した。
「……愚かなヤツめ。抵抗さえしなければ、もっと楽に死ねたモノを……。だが、これも運命だ!」
 蒼玉衛士団の一般兵がフンと鼻を鳴らして、死翼騎士の頭を踏みつけた。
 そんな死翼騎士が見下ろしながら、蒼玉衛士団の一般兵達が不気味な笑い声を響かせた。

●ケルベロス
「……そろそろ頃合いのようだね」
 右院も物陰に隠れながら、アイコンタクトとハンドサインで、まわりにいる仲間達と連絡を取った。
 蒼玉衛士団の一般兵達は死翼騎士団を倒した事で、完全に油断しており、隙だらけになっていた。
「……敵の動向が気になるところですが、このまま放って置く訳にも行きませんしね」
 鬼灯が納得した様子で、蒼玉衛士団の死角に回り込んだ。
 真意を測りかねる部分が大きく、死神勢力の動きに関しても、考えさせられる部分も大きいものの、いまは蒼玉衛士団を倒す事に集中する必要があった。
「……後ろが、がら空きだ!」
 次の瞬間、恭介が蒼玉衛士団に奇襲を仕掛け、猟犬縛鎖で鎖を伸ばして締め上げた。
「ひ、卑怯な真似を……! こんな汚い真似をして、恥ずかしくないのかッ!」
 その事に気づいた蒼玉衛士団の一般兵がイラついた様子で、ケルベロス達に剣を向けた。
「……汚い? まったく、そうは思わないが……。正々堂々の勝負を臨んで敗れたら、今まで以上に犠牲者が増えてしまうんだ。それを避けるためなら、何の躊躇いもない」
 ジャスティンが躊躇う事なくスターゲイザーを仕掛け、蒼玉衛士団の一般兵を蹴り飛ばした。
 それに合わせて、鬼灯がジャスティンをカバーするようにして、蒼玉衛士団の一般兵に攻撃を仕掛けていった。
「ええい、怯むな! 我らが負ける訳などない!」
 リーダーと思しき一般兵が、自らの心を奮い立たせるようにして、必要以上に強がった。
 それとは対照的に、まわりの一般兵は動揺の色が隠せないものの、ここで逃げる訳にもいかないため、同じように大声を上げて自分自身に気合を入れ、ケルベロス達に斬り掛かった。
「私達も負ける訳にはいかないんです!」
 すぐさま、しおんが太陽光に紛れての一撃(タイヨウコウニマギレテノイチゲキ)を発動させ、太陽の方向から飛び掛かり、摩利支天の加護を願いながら、日輪を背負った一撃を蒼玉衛士団の一般兵に叩き込んだ。
「うぐぐ……」
 その一撃を喰らった蒼玉衛士団の一般兵が、剣を振り上げたまま、崩れ落ちるようにして倒れ込んだ。
「ば、馬鹿なっ! たったの一撃……だと!?」
 それを目の当たりにしたリーダーと思しき一般兵が、信じられない様子で身体を震わせた。
 他の一般兵達も勝ち目がない事を悟ったのか、挙動不審な様子で辺りをキョロキョロし始めた。
「せっかく選定されたエインヘリアルなのに、俺たち未満の使い捨ての兵なんですね」
 そんな中、右院がヴァルキュリアであることを活かし、蒼玉衛士団の一般兵達を挑発した。
「ふ、ふざけるな! 俺達はサフィーロ王子のために……! 新たな王子が派……クッ! そんな事は、お前達に関係ない!」
 蒼玉衛士団の一般兵が、何か言おうとした途端、まわりの視線に気づいて、吐き出しかけた言葉を飲み込んだ。
「新たな王子が……なんだ?」
 槐がライドキャリバーの蒐と連携を取りながら、ブレイブマインで仲間達の背後にカラフルな爆発を発生させ、爆風を背にした味方の士気を高めた。
 それに合わせて、蒐がデットヒートドライブを繰り出し、まわりにいた蒼玉衛士団を牽制した。
「き、貴様らには関係のない話だ」
 リーダーと思しき一般兵が不自然なほど殺気立った様子で、ケルベロス達に斬り掛かってきた。
 これ以上、この話を聞かれたくなかったのか、他の一般兵も同じように剣を振り上げ、ケルベロス達に斬り掛かってきた。
「そんな事を言われてしまうと、余計に知りたくなりますが……。まあ、いいでしょう。このままでは話す気もないようですし……」
 鬼灯が気持ちを切り替え、仲間達の援護をするようにして、蒼玉衛士団と距離を取った。
 蒼玉衛士団は怒りと疲れと動揺で、本来の力を発揮する事が出来なくなっているらしく、殺意が剥き出しになっていた。
 そのおかげで行動を先読みする事が出来たものの、捨て身の覚悟で襲い掛かってくるため、油断は禁物であった。
「確かに、無理やり話を聞こうとしたところで、真実を話す訳がないか」
 恭介が納得した様子で月光斬を繰り出し、緩やかな弧を描く斬撃で、蒼玉衛士団の一般兵を斬り捨てた。
「……」
 一方、ヴォルフは相手を殺害するため、純粋な意味で戦闘を楽しみ、蒼玉衛士団の一般兵に攻撃を仕掛けていた。
 それに合わせて、ジャスティンがホーミングアローを仕掛け、妖精の加護を宿した矢で蒼玉衛士団の一般兵を攻撃した。
「なんだ、コイツら! 強過ぎる!」
 蒼玉衛士団の一般兵が悔しそうにしながら、ヴォルフに反撃を仕掛けたものの、その攻撃はまったく当たらない。
 それどころか、二撃、三撃……と反撃を喰らい、不名誉な傷が増えていった。
 だからと言って、ここで逃げる訳にはいかない。
 その焦りがすべてを鈍らせ、最悪の選択肢を選ばせているような感じであった。
「……無駄だ」
 その間もヴォルフは落ち着いた様子で間合いを取り、クイックドロウを仕掛けて、目にも止まらぬ速さで弾丸を放ち、蒼玉衛士団の一般兵が持っていた剣を木っ端微塵に破壊した。
 それと同時に、しおんが足元に落ちていたザルバルクソードを拾い上げ、蒼玉衛士団の一般兵にトドメをさした。
「Weigern……」
 続いて、ヴォルフがVorzeit zauber(フォーアツァイト ツァオバー)を発動させ、『敵の破壊』を約束する事で精霊を召喚し、蒼玉衛士団の一般兵の治癒を阻害した。
 その隙をつくようにして、右院がレガリアスサイクロンを仕掛け、暴風を伴う強烈な回し蹴りで、周囲の敵を守りごと薙ぎ払った。
「……」
 その間にヴォルフがリーダーと思しき一般兵にトドメをさし、完全に興味を失った様子で惨殺ナイフについた血を払った。
「どうやら、終わったようだな」
 槐も蒼玉衛士団の一般兵にトドメをさし、ホッとした様子で溜息を漏らした。
 蒼玉衛士団は最後まで抵抗していたものの、死翼騎士団との戦いで傷ついていた事もあり、ケルベロス達の敵でなかった。
「現場のヒール……は要らないな」
 ジャスティンがゆっくりと辺りを見回した後、何やら察した様子で口を開いた。
 未だに死翼騎士団』と蒼玉衛士団の戦いが繰り広げられているため、例えヒールで直したとしても、破壊されてしまうのは時間の問題であった。
「とりあえず、何か起こる事は間違いないようですね」
 そう言って、しおんが先頭の途中で一般兵が口にした言葉を思い出し、何処か遠くを見つめるのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年2月25日
難度:普通
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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