「ああ、もう! 忌々しいったら!」
メイクもばっちりの美貌を顰め、ドリームイーターは不機嫌そうに唇を尖らせる。
夜風に靡く金のウェーブヘア、スレンダーなパンツスタイルは正にモデル体型で、長い脚で颯爽と闊歩する。
だが、鎌刃を具える魔鍵を握る手は、両方ともモザイクに覆われ、時に不定形に揺らめいていた。
ドリームイーターの本星、ジュエルジグラットがケルベロス共に制圧されて、そろそろ1ヶ月――今の自分は、惨めな敗残兵だ。
だが、このまま、モザイクも晴らさず終わってしまうなんて、プライドが許さない!
「そうよ! アタシに相応しい『手』が見付かるまで、死ぬものですか!」
その声音は裏返ったように甲高く、一々シナを作った仕草は何処か仰々しい。
うん、まあ……所謂、『オネェ』ってヤツだ。
「ま! 失礼しちゃうわね! アタシはアタシが、1番美しく見えるお洒落をしているだけよ!」
目が合うや、慌てて逃げ出した野良猫に悪態を吐いて、ドリームイーターはとある雑居ビルを見上げる。
このビルの屋上が、『待ち合わせ場所』だ。
「……デスバレスでも、手は蒐集できるかしら?」
ぽそりと呟くドリームイーターの周囲には、手首から先の手が左右きっちり揃えられ、幾つも浮遊している。数々の繊手の中で、色黒の左手だけがぽつんと在るのがよく目立った。
「……全く、もう」
その武骨な左手を一瞥し、あからさまに眉根を寄せるドリームイーター。軽やかに地を蹴るや、屋上目掛けて跳躍した。
「遅ればせながらですが……『ジグラット・ウォー』、お疲れ様でした」
慇懃にケルベロス達に会釈した都築・創(青謐のヘリオライダー・en0054)は、所謂『戦後処理』の依頼を伝えるべく口を開く。
「今回の戦果である、ジュエルジグラットのゲート破壊及び、ジグラット・ハート撃破により、ドリームイーターの勢力は壊滅しましたが……戦争で生き延びた『赤の王様』『チェシャ猫』らと、戦場から逃亡したドリームイーターがいるようです」
彼ら残党は、かつてのポンペリポッサと同じく、デスバレスの死神勢力に合流しようとしている。
「ドリームイーターを迎えるべく、下級死神の群れの出現がヘリオンの演算により判明しました。急ぎ合流地点に向かい、下級死神……ザルバルクと、残党のドリームイーターを撃破して下さい」
ドリームイーターは、死神の迎えが来るまで隠れ潜んでいる為、デスバレスに移動しようとするタイミングこそが、撃破のチャンスと言えるだろう。
「合流地点は、深夜の雑居ビルの屋上。戦闘するのに支障のない広さはありますし、周囲の灯りで夜目にも困りません」
ケルベロス達は、下級死神とドリームイーターの出現の時点で、ヘリオンから直接降下する事になる。
「戦闘開始から6分経過で、ドリームイーターはデスバレスに撤退します。下級死神の数は多く、ドリームイーターの撤退支援に全力を尽くす為、単に戦うだけでは、五分五分の確率で撤退されてしまうでしょう」
ドリームイーターを撃破するには、下級死神を後回しにしてドリームイーターを狙う等、それなりの作戦が必要となってくる。
「或いは……所謂『因縁』の存在や、ドリームイーターの性質を踏まえた挑発等があれば、撤退を阻止する率も上昇するかと考えます」
今回、出現するドリームイーターは『ハンドコレクター』と呼ばれている。
「両手がモザイク化したドリームイーターで、己に見合うと評した美しい手の蒐集に執心しています」
喩え好みでは無い手であっても、1度奪った手は両方揃えないと気が済まない性質のようだ。ちなみに、両方揃っていない手が1つある模様。
「武器は……手を斬り落とす刃を具えた鎌鍵で、投擲したり、斬撃を通じて生命力を吸収したりします」
又、蒐集された両手の数々が、一斉に掴み掛っても来るようだ。
「ザルバルクは10体程。噛み付いたり、怨霊弾を吐き出して攻撃してきます。少々のダメージを被っても、泳ぎ回って体勢を立て直すようですね」
死神勢力にドリームイーターの残党が加わるのは、けして歓迎出来る事態ではないだろう。
「後顧の憂いを断つ為にも……合流の阻止が望ましいでしょう。皆さん、宜しくお願い致します」
参加者 | |
---|---|
リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833) |
宵月・メロ(人騙り・e02046) |
伏見・万(万獣の檻・e02075) |
美津羽・光流(水妖・e29827) |
●怪魚総壁
「……はぁ。やれやれだわ」
雑居ビルの屋上――貯水槽に上に腰を下ろし、夜空を見上げていた美貌の青年――その両手が陽炎の如きモザイクに覆われたドリームイーターは、虚空から渦巻くように降りてくる怪魚ザルバルクの群れ、数えて10体を認めていそいそと立ち上がる。
「お客を待たせるなんて、イケナイ子達ね。さっさとアタシを連れてって――っ!?」
ドリームイーターが貯水槽を蹴って飛び退くと同時。ビル屋上へ勢い良く飛び降りて来たのは、4人と1体の影。
「へぇ、別嬪さんやん」
すかさず、胸の前で波を描き空間を切り裂いたのは美津羽・光流(水妖・e29827)。
――西の果て、サイハテの海に逆巻く波よ。訪れて打て。此は現世と常世を分かつ汀なり。
溢れ出した仄暗く冷たい海水は、荒れ狂う波と化してドリームイーターを襲わんと――。
「……そんな魚と道行きなんてもったいないわ」
最果ての波の軌道を死神怪魚に遮られ、光流は面倒そうに眉根を寄せる。
「なあ、俺らの相手してくれへん? ……果てるまで」
「いやぁよ」
即答だった。今は屋上の柵の上より、ドリームイーターは高慢にもケルベロス達を見下ろす。
「ジュエルジグラットが落とされた時、決めたのよ。アタシは生き抜いてやるの。死神の手駒になろうが、アタシはアタシに相応しい『手』が見付かるまで、死ぬものですか!」
「美しい手に拘る、か……」
ドリームイーターの名は、ハンドコレクター。それぞれに欠損を抱える彼らに、強固な拘りがあるのも判るけれど。
(「それとこれとは、違うよね……」)
抜け目なく、前衛の2人と1体へオウガ粒子を撒きながら、リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833)は小首を傾げる。
――――!!
早速、ボクスドラゴンのオロシはリノの期待に応え、光流に喰らい付かんとしたザルバルクの牙を阻んでいる。そのままもこもこと反転するや、ボクスブレス。
「きゃぁぁっ! 何するのよぉっ!」
服を汚され、ハンドコレクターは血相変えてパタパタと両腕を振り回す。
緊張感に欠ける様子に顔を顰め、次いで惨殺ナイフ握る己が手を見下ろし、伏見・万(万獣の檻・e02075)は皮肉げに唇を歪める。
(「俺の手は、モザイク野郎のお眼鏡にゃかなわんだろうが」)
ハンドコレクターを取り巻く両手の数々を見ればよく判る。白魚のような繊手ばかり。そんな中、色黒の無骨な左手だけがぽつんと浮かんでいる。
(「まァ、そもそもくれてやる気ねェし、関係ねェか」)
ドリームイーターを喜ばせてやる理由も、見逃してやる理由もない――万は獰猛に金の双眸を眇める。
「さっさとシメて喰っちまおうぜ」
飛び掛かろうにも、ザルバルクはハンドコレクターを護るように大挙して押し寄せる。喩えドリームイータが後衛に在ろうと、フレイムグリードなら届くが……。
「さァ、刻んでやるぜェ!」
万の中に潜む獣の群れを、幻影として喚ばい放つ。一斉に襲い掛かった獣はその爪で容赦なく怪魚を掻き毟り、切り裂いていく。
「げっ……まさか、全部ディフェンダーか!?」
千の獣爪に巻き込まれた怪魚は、何と10体全て。内3体は仲間を庇って身を躍らせた。列減衰で相応に威力は減じていようと、歴戦のクラッシャーの一撃だ。それで掃討出来なかったとなれば……怪魚のポジションは、万の予想通りだろう。
「ま! げっ、だなんて。お下品な子は嫌われるわよ」
声も甲高く、シナを作って咎めるハンドコレクター。宵月・メロ(人騙り・e02046)はファミリアの幼隼、大福と顔を見合わせる。
(「所謂、オネェと言われる性質、でしょうか」)
それ自体は単に1つの個性だ。更には身嗜みを整え、己を美しく魅せたいと努力している事自体、否定する気はメロにない。
(「ただ……人類の脅威ですから。ドリームイーターは」)
だから、戦わなくてはいけないのだ。メロ自身、そこまで強くないと理解してはいても。
「……っ」
幼隼がロッドに変じるや、その先から大量の魔法の矢が迸る。やりたい事を全てやろうとするとどれも半端で成果は得られない。だから、メロは死神怪魚には手を出さず、ハンドコレクターへの攻撃に専念する心算だ。
喩え、初撃がザルバルクに阻まれようとも。
●時間との勝負
庇い立てたザルバルクはグルグルと宙を泳ぎ回って体勢を立て直し、残る半分は前衛目掛けて噛み付いたり、怨霊弾を浴びせたり。今回唯一の盾であるオロシが、懸命に遮ろうと動き回る。
「死神ちゃん達、頑張って時間稼いで頂戴ね☆」
ザルバルクの奮闘に笑みを浮かべるハンドコレクターだが、少し迷った素振り。
「うーん……お手伝い、要るかしら?」
この雑居ビル屋上は、デスバレスへ行く為のポイントらしい。故にドリームイーターに逃げる様子はない。だが、6分間――既に1分過ぎた――を凌げれば離脱出来る所為か、戦闘自体には余り積極的でなさそうだ。
(「まだ、ダメージは大丈夫そう?」)
眼力で己の命中率は知れても、被ダメージや打たれ強さの程迄は判らない。回復のタイミングを計るのは、メディックとしての目だ。
その実、オロシと魂を分け合うリノは回復量も目減りしているし、列型ヒールのエンチャントに至っては、付与の期待値が前後衛共に1人にも満たない。メディックはリノ1人。的確なヒールの使い分けが必要となりそうだ。
「ネギ、シソ。チアモードシフト――! Go for it!」
2分目に入り、リノは予定通り、両のファミリアロッドを振う。幻獣行進曲――ロッドからファミリアへ。フェレットのネギとスピックスコノハズクのシソが、2匹を模した幻影達と一緒にラインダンスで一所懸命応援する。
(「……ネギとシソのダンスで気を引けたりしないかな?」)
愛らしい光景に、少年自らも表情を和ませる。ハンドコレクターを窺うも、生憎とさして興味はない様子だった。
(「喧嘩に作法無し、だが――))
ハンドコレクターの退路を断つ位置取りを量りながら、その実、万は死神の方を見やる。
何せ、敵群はディフェンダー10体。ハンドコレクターは後衛――グラビティの内容からしてスナイパーだろう。遠距離攻撃を強行したとして、数の暴力で尽く阻まれかねない。
(「ま、庇ってくれて上等だ」)
今度こそ、ハンドコレクター目掛けてフレイムグリードが奔る。案の定、地獄の炎弾を怪魚1体が遮ったが……今度は凌ぎ切れず、燃やし尽くされる。
「よし!」
初手の列攻撃の威力減衰も考慮すれば、実に6倍以上の威力だ。この調子で盾も減じれば、ハンドコレクターに届く手も増えよう。
ただ、問題は――それでは余りに時間が掛かり過ぎる。元より今回は少数編成。「手」が少ない。長期戦叶うならば、腰を据えての耐久戦も出来ようが。
このままでは、後4分でハンドコレクターが撤退しかねない。
(「注意引かんとな」)
螺旋氷縛波を放つ光流。行き掛けの駄賃でザルバルクを氷砕しながら、怪魚の壁の奥へと声を張る。
「デレク先輩の手だけは置いてけや。片方だけみたいやし要らへんやろ? アレ」
挑発の意図もあるけれど、光流は本当に取り戻したいと思っている。無口だけど、面倒見は良かった彼の左手を。
「あら。この手の事? そうねぇ、確かに好みじゃないんだけど」
ハンドコレクターが思案する様子も束の間、それでも立て続けに『壁』が2枚減じれば、やる気になったようだ。光流に掴み掛ってきた数多の両手がその返答。
「アタシ、1度蒐集したモノは大事にする性格なの……何より、ケルベロスに指図されるなんて、ぜぇぇったい御免だわ」
「……っ」
襲い来る『両手』の中に、『左手』は無い。当てが外れ、光流は悔し気に唇を噛む。そも、部位狙いはスナイパーが得手とする所だ。
(「だったら、僕が……!」)
メロは決意の表情で、敵を見据える。ハンドコレクターが1番執着しているのは、片方だけの色黒の左手だろう。故に、杖を幼隼の姿に戻したメロは、大福に魔力を籠めて射出する。
「奪ってきて!」
主の意に沿い、幼隼は件の左手目掛けて飛翔する。
本来、よくよく狙いを付けられるスナイパーの位置なら、メロも確実な命中は叶う。だが、部位狙いは相応の精度が求められる。痛打を浴びせる勢いでなければ、その命中すら覚束ないのだ。
「あ……」
ハンドコレクターの鎌鍵に僅かに軌道を逸らされ、ファミリアシュートが空を切る。
ドリームイーターと目が合ったような気がした……それでも、メロは怯まない。
(「いざとなったら、ペインキラーがあります。痛みに動けなくなっても、大丈夫」)
その実、制限時間内に鎮痛剤の投与で一手費やすのは現実的でないだろう。それでも、少年は敢えて気持ちを奮い立たせ、身構える。
●届け、届け
2枚壁が潰えたとして、その数はまだまだ多い。敵の手数も多ければ、リノのヒールが不要となるタイミングは、遠い。
「ねぇ、美しい手って、細い手? 長い手? 白い手? 何にしても君に理想の手は見つけられないよ」
それでも、声は出せる。オロシにルナティックヒールを施しながら、少年はハンドコレクターに言い放つ。
「なぜってほら、その欲望食らう手が答えじゃないかな?」
「ま! お子様が生意気」
ズラリと並ぶ両手を揶揄されて、流石にハンドコレクターも気色ばむ。
「そんな事なくてよ、欠損は埋められるの。ぜぇぇったい! アタシを待ってる『両手』があるに決まってるわ!」
鎌鍵がリノ目掛けて飛んでくる。元より他を相手取る戦闘は不慣れなのだろう。ハンドコレクターは、気分次第で標的を替える。それが隙とも言えようが。
「野郎の癖に、なよなよすんじゃねぇよ! 気色わりぃ」
悪し様に罵倒し、万は再び千の獣爪を解き放つ。目論見通り、2体同時に怪魚が失せれば、すかさず、オロシがボクスブレスを吹く。
「西の果て、サイハテの海に逆巻く波よ――」
光流の最果ての波が荒れ狂い、メロがマジックミサイルを射出すれば――届いた!!
「あの……髪が、バサバサですよ」
静かな少年の声音が、何故かよく響いた。
「え……?」
「侵略者でなければ、その綺麗な姿を崩さずに済んだのに……残念ですね?」
「あ……きゃぁっ! やだわぁっ!」
乱れた装いを指摘され、ハンドコレクターは慌てて全身をパタパタと。
「もう! 死神ちゃん、早くデスバレスの扉を開けて頂戴! ヘアスタイル、直さなきゃ!」
余計に逃げる気満々になってしまったようだが、一手、ハンドコレクターの攻撃が無くなったのは成果だろう。
この機を逃さじと、ケルベロス達は攻撃を畳掛けていく。巻添え上等でザルバルクを撃墜しながら、ハンドコレクターに集中砲火を浴びせんと。
「行って! ネギ、シソ」
5分経過した所で、リノもファミリアシュートを放つ。光流の業が幾許かとも敵を足止めしたお陰で、命中の目があるのはありがたい。
「……逃がさない」
メロより迸るかまいたち。荒れた感情を魔力に乗せ、風が刃と化して襲い掛かる。
「さっさと喰われちまえ!」
万のフレイムグリードは、この期に及んでザルバルクを燃やすも、その間隙の向こうに、はっきりとドリームイーターが見えた――すかさず、光流は夜絃刀を振り抜く。
「これで……仕舞にしたる!」
二刀斬霊波――両手の斬霊刀から、霊体のみを斬る衝撃波を放つ。光流が今回持ち得る最大火力を以て、ハンドコレクターを真っ向から斬り払う。
「きゃぁぁっ!」
甲高い悲鳴が響き渡り――だが、それでも足りなかった。
「……あらぁ、やっと時間が来たみたい」
「!!」
愕然と息を呑む光流に、踏み止まったハンドコレクターは艶然と笑み零れた。
●デスバレスでも、手は蒐集できるかしら?
「てめぇ、勝ち逃げすんじゃねぇよ!」
憤るままに吼える万だが、その姿に変化はない。現状、彼自身にも仲間にも死亡の危機は無い。無意識下のストッパーが、万が獣と化すのを許さない。
「それじゃぁねぇ~♪」
これ見よがしに腕を振り、ハンドコレクターは軽やかに屋上を蹴る。
「待てや!」
ケルベロス達が追撃するより早く、その長躯は虚空に消えていった。
「ああ! けったくそわりぃ」
最後のザルバルクを血襖斬りで斬り捨てながら、万は忌々し気に吐き捨てる。
ハンドコレクターがデスバレスに撤退して後、ケルベロス達は残る死神怪魚を全滅させた。幾分かは、八つ当たりも含んでいたかもしれない。
多数の下級死神を掃討した事で、それなりの戦果は上げた事になろうが……ケルベロス達の表情は、一応に芳しくない。
「……挑発だけじゃ、足りなかったかな?」
オロシを労いながらも、唇を尖らせるリノ。或いは、血気盛んなドリームイーターであれば突っ掛ってきただろうが、ハンドコレクターは「死なない事、生き抜く事」を重視していた。そんな理性を吹っ飛ばすものと言えば。
「僕が……手を1つでも捕まえていたら」
メロも、悔しそうに目を伏せる――きっと、両手を揃えておきたいハンドコレクターの性癖を刺激出来ただろう。スナイパーであった少年ならば、可能性はあった。だが、部位狙いは外すリスクも高く、狙い続ける間は有効打を与え難い。撃破を優先するか、足止めを狙うかで、結局仕留め損ねてしまった結果が痛かった。
仮に、『左手』の持ち主がこの場に居れば、両手を揃える事に執心するハンドコレクターが逃亡する事は無かっただろう。
又は『新たな獲物』、つまりは『ハンドコレクターにとって魅力的な両手』を餌とすれば。今回は、参戦した人数こそ少なかったが、アピール次第で気を引く事は可能であった筈だ。
「あー……挑発の方向性が、ちょいちごとったんかもなぁ」
頭を抱えんばかりの光流であるが、生来は楽観的な性格だ。何れ、死神とも事を構えるならば、デスバレスに消えたハンドコレクターとの再戦もあるだろう。その時こそ、絶対に負けなければ良いと思う。
「あんな……挑発でドリームイーターにコナ掛けたけど、俺は嫁一筋やから。ほんまやから」
寧ろ、気に懸けているのは、そっちの方面でだった。
「あれを情熱的と勘違いしたらあかんで。言うても、俺の嫁の方が別嬪やからな……内緒やで」
「けど、ヘリオライダーの報告書で、結局バレるだろ」
「うわぁぁぁっ!?」
頭が冷えたのか、万の冷静なツッコミに、光流は大仰に夜空を仰ぐ。年上のおにーさんの悲鳴に、メロもリノも漸く唇を緩めたのだった。
作者:柊透胡 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2020年3月10日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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