堅塞固塁の士

作者:崎田航輝

 風が木々を戦がせ、翠の音色を響かせる。
 燦々と注ぐ陽光は冬でも暖かく、爽やかな気候が快い。
 なのに先刻から漂う空気は不思議と膚を刺すようで──シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)はふと足を止めていた。
「……ふむ」
 小さく呟き、視線を巡らす。
 そこは長く伸びる林道。見通す限りに並木が続き、絵画の如き眺めが続く風景だ。
 自然の音以外が聞こえない、長閑な景色。人の姿のない、一見すればただ美しいばかりの眺め。
 それでも違和感が拭えないのは──きっと既にその気配を感じ取っていたからだろう。
 始めに聞こえたのは大きな地鳴り。はっと気づいてシヴィルが振り返ると──遠方から土煙を上げて奔る巨体が見えていた。
 シヴィルは瞳を細めてその姿をよく捉えようとする。
「……サイ、か?」
「否! 俺はサイであってサイじゃない!」
 朗々と、勇壮な声が劈いた。
 声の主たるその巨体は、シヴィルの目の前までやってくると二振りの釵を構えて見せる。
 それは確かに犀を彷彿させる見目の巨躯だった。
 同時に瞳には強い戦意を宿し、身には頑強な鋼の鎧を纏う。見上げる程の体躯を持つ、それはデウスエクス──エインヘリアル。
「俺はサイ・THE・サイ! 太陽の騎士シヴィル・カジャス──お前を倒して俺は名を上げる!」
 穂先を突きつけた巨躯の戦士──サイ・THE・サイは、高らかに声を上げてシヴィルへと襲いかかってきた。

「シヴィル・カジャスさんがデウスエクスの襲撃に遭うことが判りました」
 爽風の吹くヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へ説明を始めていた。
「予知された出来事はまだ起こってはいません。ですが一刻の猶予もないのも事実です」
 曰く、シヴィルは既に現場にいるという。
 その上こちらからの連絡は繋がらず、敵の出現を防ぐ事はできない。故に、一対一で戦闘が始まってしまうのは覆せないのだと言った。
「それでも、今からシヴィルさんの元へ駆けつけて戦いに加勢することは可能です」
 時間の遅れは多少出てしまうだろうが、シヴィルを救い戦いを五分に持ち込むことは十分可能だ。
「だから皆さんの力を貸してください」
 現場は並木の続く林道。
 周囲は完全な無人で、一般人の流入に関しては心配する必要はないと言った。
「皆さんはヘリオンで現場に到着後、戦闘に入ることに集中して下さい」
 周辺は静寂でもある。シヴィルを発見することは難しくないだろう。
「シヴィルさんを襲った敵ですが、エインヘリアルのようです」
 鎧に身を包んだ巨躯で、高い体力を誇ると思われる。攻撃能力も多彩で、放置しておけばシヴィルが危険なのは確かだろう。
 だからこそ確実な救出が必要だ。
「シヴィルさんを助け、敵を倒すために。さあ、行きましょう」


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)
マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)
鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)
シド・ニンクヌ(平原の守護者・e85514)

■リプレイ

●災害級
 土煙が風に揺蕩う中で、シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)は眼前の敵を見つめていた。
 勇壮な空気を湛えて此方を見下ろす巨躯──サイ・THE・サイ。
「私を狙って、倒しにきたというのか」
「その通り! かの太陽の騎士を討ったとなれば、この手腕の証明になるからな!」
 丸太のような腕で釵を構えたそのサイは、戦意十分、地を踏みしめて襲いかかってきた。
「……!」
 シヴィルはとっさに下がりながら、大剣を振るって獅子座を描く。燦めく星の祝福が、シヴィルへ加護となって護りを齎していた。
 最低限の準備は出来た、が、サイも構わず跳躍。穂先を振るって強烈な圧を加えてくる。
 膝をつくシヴィルは、その威力に微かに目を見開いた。
「くっ、なんという破壊力だ……」
 肩口から血が溢れ、体力の多くが削がれたと自覚する。
 一人で戦う覚悟だったが──生き残るのなら増援が来てくれることを期待する他ないと、シヴィルの冷静な頭脳はすぐに答えを出していた。
 直後には、林の間に入って全速力で距離を取る。
「申し訳ないが、木々を犠牲にするしかないからな……!」
 飛行速度が速ければ、空へ逃げる選択肢もあったのだろうが──敵の速度を見ればそうはいかなかった。
 シヴィルは後方をちらりと見やる。すると濛々と塵を上げて迫る巨体があった。
「逃さないぞ!」
 身を丸め、声と共にサイコロの如く転がってくるサイ。数呼吸で距離を詰めてきている。
 だがシヴィルも真横に跳び、大木を盾にした。同時に身に纏う威風によって自己治癒も行う、が。
「……!」
 それでも負傷は完全に抑えきれず体勢を崩す。羽撃いて事なきを得たが、もうサイも目の前に対峙してきていた。
 長くはもたない。
 サイもそれを悟ってだろう、勝利を確信したように次の攻撃に移ろうとする。
 ──が、丁度その時。
「シヴィルさん、助けに来ました!」
 疾風を切り裂く音が響いて、宙よりシルエットが舞い降りる。
 艶めく黒髪を揺らめかせ、体を翻す幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)。光の軌跡を描きながら、サイへ鮮烈な蹴りを叩き込んでいた。
「夜闇を切り裂く流星の蹴り、どうですか!」
「わたしも行くよっ──流星の煌めき、受けてみてっ」
 同時に響く澄んだ声音が、サイへ降りかかる。
 蒼き煌きをたなびかせ、風の祝福を受けて滑り降りるシル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)。
 廻転しながら零距離へ迫り、白銀靴で一撃。巨体を大きく吹き飛ばしていく。
 その間に、シヴィルの元へと奔っていたのがシド・ニンクヌ(平原の守護者・e85514)。靭やか且つ頑強な半場の脚で、誰よりも疾くその傍に駆け寄っていた。
「シヴィルさん、傷痛いですか? よく頑張るしました」
 そっと掌を当てて、輝かすのは治癒の煌めき。黄金に明滅する光が溶け込んでいくと、苦痛と傷が薄らいでいく。
「大丈夫、皆さん来るしています」
「ああ、済まない……!」
 シヴィルが応える頃には、言葉通りに仲間たちが戦線へ合流しつつあった。
 サイも体勢を立て直し攻撃の機会を窺いつつあった、が。
 そこへはだかる壁が、二人。
「到着した、これより加勢する。合わせるぞフローネ」
 盾になるよう歩み出る機巧戦士、マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)。そしてその言葉と視線に応え頷くフローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)。
「まずは防御陣を、展開します!」
 フローネが輝かすのは自律型のアメジスト・ドローン、そして脳波稼動型のルビー・ドローン。『紅紫防壁陣』──紫と紅に明滅し発光する盾へフローネ自身のアメジストシールドを同調させ、眩くも堅固な護りを構築していた。
「SYSTEM COMBAT MODE」
 と、時を同じくマークが2つの高密度グラビティチェインの塊を超高速で回転。
 抗グラビティフィールドによる『遠心防御』を重ね、護りを厚くしながらもシヴィルを癒やしきっていた。
「これで態勢は万全か」
 槌を構えて鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)が敵へ向き直れば、シルもひらりと着地して──改めて巨躯を見つめている。
「え、ええと、サイだよね?」
「否! 俺はサイであってサイじゃない!」
 サイは釵を握りしめ、攻撃にかかろうとした。が、そこへすたりと奔って立ちふさがるのが、渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)。
「つまりは、サイだろ?」
 くるりと手元で銃身を回転させると、そこへ白色に燿く氷気を収束させていた。
「かつてサイは寒さに耐えられず衰退したらしいぜ。お前もその歴史を再現してみるか?」
「何っ!」
 サイはとっさに護りの体勢を築こうとする、けれど同時に道弘が狙いを定めていた。
「おっと、やらせないぞ」
 真っ直ぐに槌を向けると衝撃波を発射。炸裂する空圧で巨体の足元をぐらつかせる。
「──隙有りだな」
 その間隙に、数汰は氷閃を撃ち出していた。
 刹那、空気を裂いて飛来した煌きの奔流が命中。燿く六花を散らせながらサイを穿ち、その膚を氷晶に蝕んでいく。

●最上の追求
「流石にケルベロス。中々やるようだな!」
 傾いだサイは、それでも脚に力を込め踏みとどまる。
 その声音には未だ漲る戦気があった。
「だが俺は退かない。ここでシヴィル・カジャスを討ち、名を上げる為に──!」
「干名采誉ってか」
 肩を竦める道弘は、半ば呆れ調子でもある。
「節操のねぇ奴はどこにでもいるもんだな。だが、下らねぇ動機のために仲間を殺させてたまるかよ」
「そうだよ。シヴィルさんをやるなら……わたし達をどうにかしないとやらせないから」
 シルが蒼空の瞳で見据えてみせると、鳳琴も肯いて僅かに膝を落とし、戦いの構えを取っていた。
「ええ、私達も相手ですよ」
「いいさ。敵がいるなら倒すまでだ!」
 サイは構わぬとばかりに奔り出し、加速の前触れを見せる。シヴィルは羽撃いて間合いを取りながら皆に声を投げた。
「みんな、気をつけろ! サイコロのように丸まった姿勢でしてくる突進と、釵を使った攻撃が厄介だ!」
「巨体に似合わず多芸ってわけだ」
 だが、と。数汰はコートを揺らして前へと疾駆しながら、下がらない。
「生憎だが、どの目が出てもお前の敗北は決定済みだ」
 サイが身を固めて転がり始めようとしたその直後、滑り込むように肉迫。体を旋転させて鋭い風を巻き込みながら、刃の如き蹴撃を加えた。
 金属音と共に巨体の懐が開くと、数汰は視線を横へやる。
「鳳琴ちゃん、頼むよ」
「はいっ! 幸家拳士──鳳琴、参ります!」
 同時に地を蹴った鳳琴は、残像すら生ませぬ速度で巨体の至近へ。
 敵が正面から堂々とくるのなら、真っ向勝負で打って出る、と。
 一直線に奔りながら拳を出し、喰らわせるのは裂帛の正拳突き。爆発的な威力を生み出しサイに地を滑らせた。
「シルさん!」
「うん!」
 シルは以心伝心、既にそのサイの眼前に迫る。
 仰ぐ程の体躯に対し怯みもなく、小柄を活かし一息に足元へ入っていくのは──。
「太陽の騎士団のみんなの分も、頑張らないとね!」
 団員から託された思いを無下にしない為でもあるから。その手は迷わず六彩の煌めきを抱き、眩いほどの剣閃で傷を刻みつけていく。
「っ、まだまだ、今度は此方の攻撃を受けてみろ!」
 サイは顔に苦渋を顕しながら、それでも後方へ跳んで勢いをつけ転がってきた。
 けれどそれを前にフローネは決して逃げはしない。
 敵の堅固さも、力も十二分に理解した、だからこそ。
「守り堅きサイ・THE・サイ! その要塞と比喩される堅牢さ、相手にとって不足なし! こちらの『盾』が全力でお相手しましょう!」
 多重に展開した二色を、天が眩むほど強く燦めかせ──最前に出ながらサイの体にぶつけるよう、背中の皆を盾で守った。
 強烈な擦過音と衝撃音と共に、転がる巨体の速度が激減する。
 それでも盾を破砕しながら突破してくる、が。そこへ飛び出るのがマーク。
 稼働音を響かせながら脚部のパイルバンカーを射出。地面に刺して固定すると、ショルダーシールドを突き出してサイの巨体を受け止めた。
 岩同士が激突したかのような余波の中で──それでもマークは斃れず耐えきっている。
 多少の衝撃は仲間にも波及したが、その頃には豊かなバリトンの声が耳朶を打った。
「心配ないです。傷はすぐ癒やすします」
 それは駆け出しながら、その手に蔓を繰るシド。
 速度を活かしながら皆を取り巻くように植物を広げると──そこに黄金を生らせて光の雨を注がせる。
 陽にも劣らぬ温かな心地と耀きに、濯い流されるように負傷が癒えていった。
「さあ、皆さん、攻撃するしてください」
「READY」
 と、砲身を向けるのがマーク。小型機とミサイルも同時に発射準備を終えると──。
「LOCK ON FIRE」
 爆炎を上げながらサイを集中砲火し、巨体に血潮を噴かせていく。
 唸りながら、それでもサイが跳躍し釵を振り下ろしてくれば、シヴィルはとっさに剣で受け止めていた。
「あれだけの攻撃を受けても斃れず、そしてあらゆる攻撃が未だ強烈とは」
 なんと手強いのだ、と。
 伝わる衝撃に実感を得ながら、それ故にシヴィルは一層の戦意を返す。
「力なき人々を守る騎士として、私はここで負けるわけにはいかない!」
 刹那、振り抜いた一刀で鎧を深々と裂けば、道弘も時を同じくクライデンリザード──使い魔の蜥蜴をチョークのように指に挟んでいた。
「勿論、負けねぇさ。俺らに牙を剥いたこと、きっちり後悔させてやらぁ!」
 力を込めて投擲すれば、蜥蜴は弾丸の如き速度で飛来する。接触と共に牙を突き立てられたサイは、その硬質な皮膚を破られ血煙を散らしていった。

●撃砕
 風が吹き木々が揺れる。
 訪れる狭間の静けさに、サイは信じられぬという声音を零していた。
「……まさか、俺が苦境に立っているというのか」
「俺達を倒すには、志大才疎だったな」
 道弘は使い魔を手元に戻しながら、挑発的な言葉を投げてみせる。サイは歯噛みしながら、それでも首を振った。
「いいや、まだだ。この護りも、そしてスピードも……まだ負けてない!」
 声をいからせると、再度サイコロの如く転がり、林の中に迂回する。死角を取ろうという算段だろうが──。
「サイ。セントールより速くは走るしない」
 廻転する巨体に、木々を縫って横に並ぶ影があった。
 風の力を借り、翠を駆け抜けて──剛速で四足を奔らせるシド。セントールの健脚は、上半身で槍を握りしめることすら容易にさせて。
「速いは力。貴様を倒し、地球に名を上げるは私です」
 一撃、シドは穂先で巨体を真横から貫いた。
 バランスを失い大きく転げたサイは、鎧で身を固めて自身を癒し、同時に防御力を増大させて自己を護ろうとした、が。
「そこまでだ」
 道弘が瞬時に肉迫。装甲の角に竜爪を差し込んで、こじ開けるように力づくで鎧を剥ぎ、隙を作り出す。
 マークがそこへ既にライフルを向けていた。
「TARGET IN SIGHT」
 巨大なマズルフラッシュと共に、放たれた一弾はその隙間を縫い直撃。サイの体を貫き滂沱の血を零させた。
 サイはそれでもがむしゃらに釵を振り回す、が、その穂先がアメジストの燦めきに受け止められて静止する。
「退きはしません」
 全てを受けきって見せますから、と。凛然と言ってみせたフローネは、そのままシールドを横に滑らせて攻撃を逸らし、光剣を顕現させて斬撃を見舞った。
 よろける巨体は未だ反撃を狙うが──数汰が既に眩い魔法陣を展開している。
「その体力と妨害能力、もし仲間と連携されていたら厄介だっただろうね。尤も、功名心に逸るその性格じゃ難しかっただろうけど」
 なれば最後に勝つのはこちらだと。『時流変転』──圧縮したグラビティを注ぎ敵の体内時間を加速させ、傷を一瞬で深化させていた。
 血を吐くサイは、危機を感じてだろう。身を縮こまらせて防護に徹する。
 そうなれば攻めるのも容易ではない、が。
「硬い、ならばこそ力を合わせ打ち砕きます!」
 鳳琴が己がグラビティを龍状へ耀かせると──並び立つシルも一層眩い光の剣を形作っていた。
「そう、わたし達の攻撃、簡単に防げるなんて思わないでねっ!」
 そのまま風に踊るように翔け出すと、シルは隣に声をかける。
「琴ちゃん、合わせてっ!絆の力見せる時っ!!」
 その声を合図に飛び出した鳳琴は、巨大な光を靡かせてサイの至近へ。
「私に翼はなくても、仲間と共に羽ばたく想いの翼と、共に!」
 同時、『幸家・鳳龍』──苛烈なまでの掌打を叩きこむと、龍に鳳凰の如き炎翼を上げさせ焔で包み込んでいた。
 シルがそこへ光舞う剣撃を叩き込めば、鳳琴も連撃に加わって。二人による『双華乱舞』がサイの命を高速で削り取ってゆく。
 二人がハイタッチして離れると、そこへシヴィルが手を翳していた。
「これで終わりだ。貫かせてもらおう!」
 古代語の詠唱より、己の羽根を象った光の矢を放つ。
 『シャイニングフェザーレイン』──文字の如く雨と降り注いだその輝きが、サイ・THE・サイを穿ち貫き、千々に消滅させた。

 敵の残滓も消え去れば、そこは爽風の吹く林道。
 涼やかな空気を感じながら、鳳琴は小さく息をついていた。
「なんとか、打ち砕けましたね」
「ああ、俺達の勝ちだな」
 数汰が応えれば、皆もそれぞれに武器を収める。
 マークは戦闘モードを解くと、視線をシヴィルに向けていた。
「ケガは?」
「ああ、問題ない。みんなのおかげで助かった!」
 明るく応えたシヴィルは、皆に改めて頭を下げて礼を言っていた。
「こうしてここに立っていられるのは、みんなが駆けつけて来てくれたからだ」
 だからありがとう、と。
 シルは瞳を和らげ、頷きを返す。
「無事でよかった」
「皆さんも、お怪我は有りませんね」
 フローネが視線を巡らすと、皆が健常な声を返す。
 少しでも傷の残りがあると見れば、シドが丁寧に治療していった。
「皆さん、頑張るしましょう」
 それが済めば、道弘は周囲に目をやっていた。
「倒載干戈ってな。じゃ、後はヒールだけしていくかね」
 皆も倣って辺りを修復する。それも終われば──そこは明媚な自然が目に優しい、翠の景色が広がる光景だった。
「それじゃ……みんなの待っている場所へ帰ろっかっ!」
 シルが歩み出せば、皆も続いて歩を進める。
 快い陽光の中、鳳琴は景色を眺めながら呟く。
「新年から倒しがいのある相手でした」
「そうだな。強い敵だった。だが、みんなの力で勝てた。それを誇ろう」
 シヴィルの言葉に、皆も肯きを見せて。
 歩み出すと新年の快い風が頬を撫でる。さらさらと揺れる葉と草花の音に、耳を澄ませながら──皆は美しい道を帰路についていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年1月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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