城ヶ島制圧戦~凍てつく風に抗って

作者:佐枝和人

 居並ぶケルベロスたちの前に、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003) がやってきた。その表情はいつになく固く、緊張しているように見える。
「城ヶ島の調査の結果が帰ってきました。城ヶ島には、『固定化された魔空回廊』があるんです!」
 ことの重大さを反映してか、熱い口調のねむ。難しい言葉が多いだけに、喋りがぎこちなくなるのも無理はない。
「この『固定化された魔空回廊』に入って、中を突破すれば、ドラゴンたちが使う『ゲート』の位置がわかります。そうすれば、その地域を調べて、ケルベロス・ウォーで『ゲート』を壊しちゃうことができます!」
 『ゲート』を破壊する事ができれば、ドラゴン勢力は、新たな地球侵攻を行う事ができなくなる。つまり、城ヶ島を制圧し、固定された魔空回廊を確保すれば、ドラゴン勢力の急所を押さえる事ができるのだ。
「ドラゴンは、『固定化された魔空回廊』を壊すのは、最後の手段だと思ってるみたいです。急いで城ヶ島をこうげきしたら、魔空回廊を奪い取っちゃうこともできるでしょう!」
 ドラゴンは強大な敵だが、決して不可能な戦いではない。
「ドラゴン勢力がこれ以上襲ってこないためにも、皆さんの力を貸してください!」
 ねむの言葉に、ケルベロスたちは頷いた。
「今回の作戦ですが、皆さんは他の方が作ってくれる、きょうとうほ……」
 そこで軽く首をかしげるねむ。
「えっと、攻撃する陣地ですね。そこから、城ヶ島公園に向かってください。公園には、たっくさんのドラゴンがいるみたいです」
 進軍の経路などは全てヘリオライダーの予知によって割り出されている。その通りに移動し、ドラゴンに挑む必要がある。
「『固定化された魔空回廊』を奪うためには、ドラゴンをたくさん倒さないといけません! 強敵ですけど、頑張ってください!」
 そしてねむは、戦う相手となるドラゴンについて解説する。
「今回戦うドラゴンですが、氷のドラゴンです! 青くて、体が氷に覆われてるみたいですね。ねむ、寒いのはあんまり好きじゃないです……」
 吐くブレスは、もちろん凍り付く冷たい息となる。
「尻尾や爪も強いですけど、ブレスを一番たくさん使うみたいです。気をつけてくださいね!」
 ブレスにいかに対処できるかが、戦いを左右すると言えるだろう。
「この作戦は、頑張って成功させないといけません。もし負けてしまったら、魔空回廊を奪うのも難しくなります。皆さんが頼りです。どうか、よろしくおねがいします!」
 そう言って頭を下げるねむに、ケルベロスたちは力強く頷いた。


参加者
天崎・ケイ(地球人の降魔拳士・e00355)
パトリック・グッドフェロー(胡蝶の夢・e01239)
峰岸・周(地球人の刀剣士・e03978)
神喰・杜々子(どらごにーと・e04490)
ネル・エオーレ(紫雲・e05370)
御剣・冬汰(恋するどえむ・e05515)
ヴィンセント・ヴォルフ(モノクロームカサドル・e11266)
東雲・菜々乃(ウェアライダーの自宅警備員・e18447)

■リプレイ

●氷の竜
 城ヶ島公園の片隅、海を背にした開けた場所。
 そこに、竜はいた。
「しかしまぁ、デカい奴が出たもんだなぁ……」
 見上げるパトリック・グッドフェロー(胡蝶の夢・e01239)の胸に浮かぶのは、初めての冒険で戦ったダモクレス。あの時の敵もかなりの大きさだったが、今回目の当たりにしているドラゴンは、更に大きく見える。
「流石10m……想像以上に大きいね♪」
「ああ、すごく大きい……」
 軽い調子の御剣・冬汰(恋するどえむ・e05515)に、嘆息で答えるのはヴィンセント・ヴォルフ(モノクロームカサドル・e11266)。味方の奮闘により築かれた橋頭堡、そこを通って公園へとたどり着いた彼らが、数多のドラゴンから敵と定めたのは、氷に体を包まれた青の竜だった。
「……きれいで、だけど、寒そうだ」
 竜の周りで光る氷のかけらを見つめるヴィンセント。微かな指の震えは、寒さ故かそれとも武者震いか。
「今回の制圧戦は、絶対成功させないといけませんね」
「ええ、ここは確実に仕留めておきたいですね」
 東雲・菜々乃(ウェアライダーの自宅警備員・e18447)は、戦闘経験の乏しい自分も頑張ろうと、張り切っている様子。その姿に僅かに微笑んで、峰岸・周(地球人の刀剣士・e03978)が頷いた。
「純粋に強敵との戦闘だから緊張するね」
「そうですね、ちょっと怖いのですが……血がたぎりますね、ふふふ」
 緊張していると言いつつ、外見からはそれを感じさせない神喰・杜々子(どらごにーと・e04490)の呟きには、天崎・ケイ(地球人の降魔拳士・e00355)が答えた。強くなることを求め、闘いの道を選んだケイにとっては、強敵と戦えるのは楽しいことなのかもしれない。
「ま、いつも通りにやるさ」
 緊張と気負いで気持ちを昂ぶらせる仲間たちをなだめるかのように、ネル・エオーレ(紫雲・e05370)はうそぶく。それでいて、頭の中では仲間の攻撃方法や行動方針を繰り返し思い浮かべ、いざという時の行動の誤りを防ごうとしている。
 接近してきたケルベロスたちに、ドラゴンも気づいたのは明白だ。鋭い視線で、近づいてくるケルベロスを睨みつける。聞こえてくるのは戦闘の喧噪。既に、多くのケルベロスたちがドラゴンとの戦いに身を投じているようだ。
 そしてその時は、間もなく彼らにも訪れようとしている。
「確実に格上、と見て良いだろう……」
 青い体を見上げながら、パトリックが呟く。近づいて見るドラゴンの巨体は想像以上の迫力で、思わず気圧されそうになるが、その気持ちを抑え、声を上げた。
「とはいえ、キッチリ生きて帰るぞ!」
 大きな声を出して、味方と自分を鼓舞する。
「……勝てるか……どうかは、関係ない。やれるだけのことを、やるまで」
 自分に言い聞かせるかのように、ぽつりぽつりと呟くのはヴィンセント。その言葉とともに、内なる気力が高まってくる。
 歩を進めるケルベロスたちと、待ち構えるドラゴン。彼我の距離は次第に近づき、やがて接敵。双方の攻撃が届く状況になったところで、ケルベロスは散開し陣をとる。
「さーて、全力で討伐といこうか!」
 後方で冬汰はパンと手を叩き、ドラゴンに狙いを定める。
「では、お相手願います」
 前衛でケイはそう言って、ドラゴンの攻撃に備える構えをとった。
 戦いが、始まろうとしていた。

●戦端
 攻撃にかかろうとするケルベロス。その機先を制し、動いたのはドラゴンの側だった。青い体が光に包まれ、体の周囲を取り囲む氷がさらなる冷気に包まれる。
「大きい上に早いな!」
 パトリックが言うとおり、ドラゴンはその巨体に似合わぬほどの素早さも兼ね備えていた。吐き出す息は氷混じりの暴風となる。ドラゴンブレスが、ケルベロスたちの間を吹き抜けた。
「これは、きつい……」
「まるで吹雪ですね」
 ブレスを受けながら思わず漏らす杜々子。ケイも攻撃を受けとめながら、その猛威に率直な感想をこぼす。
「箱竜、ピンチな奴がいたら守れ」
 ネルの命令にボクスドラゴンの箱竜は一鳴きして答え、前衛に加わった。容赦なく吹き荒れるブレスを、共に受け止める。
 強烈なブレスはやがて吹き止み、そしてケルベロスたちの攻撃が始まる。まず動いたのは、周。
「氷には氷、といきましょうか」
 抜き放った日本刀は、先程のブレスの冷たさに、勝るとも劣らぬ冷たい輝きを放つ。達人の動きとしか言いようのない、卓越した軽やかな動きでドラゴンに近づくと、斬撃を放った。あえて力は込めず、無造作に振り抜いただけに見える一撃。刃はドラゴンの固い鱗を切り裂き、その体に突き刺さる。
 痛みを感じたか、低く唸るドラゴン。そこに、激しい炎が舞い上がった。
「続くよ!」
 冬汰が宿す御業が、放つのは強烈な熱を持つ炎弾。炎の弾丸は次々とドラゴンに命中し、青い体を焦がしていく。氷と炎、強烈な温度差がドラゴンの体を傷つけていった。
 ネルの小さな体が、戦場で踊る。愛用する惨殺ナイフは、既に手足の一部の如く。ドラゴンの懐に飛び込み、その刃を巨体に突き刺した。
「痛いだろ? もっと痛めつけてやるよ」
 ナイフがドラゴンの体を切り裂くと、その傷口から炎と氷が染みこむ。味方の攻撃を更に効果的なものにする冷静な動き。ドラゴンが苦悶の表情を浮かべたのを確認すると、さっと飛び退いた。
 代わってそこに飛び込んだのはパトリック。
「ティターニア、行くぞ!」
 操る斬霊刀が、ネルの刻んだ傷跡を正確に切り広げていく。更にティターニアのタックル。固い鱗の守りをものともせず、ドラゴンに的確なダメージを与えていった。
 ヴィンセントは後方から、ドラゴンに向かって走る。一気に距離を縮めると、高々と跳躍。武術着が風になびいて翻った。
「……負けないよ」
 流星の煌めきを宿した、強烈な飛び蹴り。ドラゴンの体に叩き込み、そのまま空中で宙返りして着地。身の軽さを生かして、素早く陣に戻る。 
「はああああ! 無念無想!!」
 杜々子の叫び声が戦場に響く。それと同時に、なぜか彼女の心から雑念が消え、澄み切っていく。時を同じくして、ケイが描くのはケルベロスチェインの魔方陣。後衛にいる味方たちを包んでいく。ドラゴンの攻撃を受け、まずは守りが必要だと判断したのだ。
「猫さん、ちゃんとみんなを守るのですよ」
 菜々乃がウイングキャットに命じると、プリンはそれに応じて鳴く。翼が清浄の光を放ち、前衛を包む。一方の後衛には、菜々乃が生み出した黄金の果実。光に包まれたケルベロスたち。ドラゴンの攻撃も、いくらかであれば受け流せてしまえそうだ。
 猛攻を繰り出し、そして守りも固めたケルベロスたち。面白い、といわんばかりのドラゴンの咆哮が、戦場と化した公園に響き渡った。

●激戦
 ドラドンが吠える。ブレスがくる、と身構えた杜々子の裏をかくように、繰り出されたのは鋭い爪の一撃。防御の構えを打ち砕き、彼女の体から血が流れる。
「ぐうっ……」
 その勢いに、杜々子の体が揺らいだ。
「傷つき者達に希望を、戦う者達に力を与えるのですっ」
 菜々乃が慌てて、乙女の希望を杜々子に放つ。妄想エネルギーが昂ぶり、杜々子の体がピンクの光に包まれた。
「菜々乃さん、ありがと」
 傷が癒え、再びしっかりと立ち上がった杜々子に菜々乃は手を振り。
「皆さんのお役に立つのですよ」
 そう言って跳びはねた。
 ドラゴンの攻撃はいずれも強力。事前にブレス対策を考え、守りを固めているケルベロスたちにとっても、簡単に受け流せるようなものではけしてない。攻撃を受けるごとに、ダメージが体に蓄積していく。
 しかし、ケルベロスたちの攻撃もまた、着実にダメージを与えている。ドラゴンの体は、既に炎と、元々宿していたのとは明らかに異質な氷に包まれている。一撃一撃の重さはドラゴンほどではないが、その積み重ねがドラゴンを苦しめていることは、ケルベロスたちにもわかる。
 勝負の趨勢は、簡単には決まりそうにない。そうなると、回復力のある菜々乃とプリンの存在は、ケルベロスたちにとって大きな好材料といえた。
「喉を狙うよ!」
 冬汰がナイフを手に、ドラゴンの喉元に飛び込む。複数のナイフを操り、喉近辺を切り裂いた。ブレスを封じようとする攻撃だ。
「続くぞ」
「……ああ」
 ネルの呼びかけに、ヴィンセントが頷いた。詳細まで言わなくても、相手の目を見れば欲する動きはわかる。アイコンタクトをかわした2人が、交差するように戦場を駆けた。ドラゴンの喉に、ヴィンセントの鎌は月を思わせる弧を描いた動きで突き立てられる。間髪入れず、ネルのナイフが傷口を切り裂いた。息のあった攻撃に、ドラゴンは苦しそうな声で吠える。ネルとヴィンセントは、言葉は交わさないまま手を打ち合わせた。
 ケイのライトニングロッドが光を宿す。迸る雷を、ドラゴンに叩きつけた。ドラゴンの体内を電流が駆け巡り、全身が痙攣する。その痺れから抜け出したときドラゴンの目前にいたのは、ローラーを駆ったパトリックだった。
「氷の竜なら、炎には弱いか?」
 摩擦により生じた炎が、パトリックの足を包む。痺れに妨げられ、ドラゴンの体は無防備。炎を纏った足蹴が、ドラゴンの腹部に叩き込まれた。腹部が炎に包まれ、ドラゴンの動きが鈍くなる。
 周は簒奪者の鎌を構えた。
「後に続く仲間たちのためにも、ここで退くわけにはいきません!」
 虚の力を込めた鎌が、ドラゴンの体に突き立てられる。鎌を通して、竜の生命力が周の体へと吸い込まれた。傷も癒えた周は、後方にアイコンタクト。視線の先には、冬汰がいた。
「キミが負けたら……オレのこと存分に罵って、蔑んで、剰え一生飼い殺しにして貰うから覚悟してね☆」
 ドMを自認する彼らしい呟きをこぼし、武器に宿すのは霧の国に幽牢された魔女のエネルギー体。その力に、ドラゴンは幻覚に苛まれる。
「嗚呼、考えただけでゾクゾクしてきた♪」
 【☆Niflheimr★】の一撃が、ドラゴンに繰り出される。切りつけられたドラゴンが悶える、その隙を杜々子は逃さない。
「どっちのブレスが強いか、比べてみる?」
 杜々子が吐くのは、炎の力を持ったブレス。ドラゴンはさらなる炎に包まれ、燃えさかる。
 息もつかせぬ猛攻で攻め立てるケルベロスだが、ドラゴンとて黙っている訳がない。氷のブレスを、今度は後方めがけて吹きつける。舞い起こる恐ろしいほどの風、周囲の気温を一気に下げてしまうような氷と雪。
 思わず目をつぶった菜々乃だが、予期していた冷風は来ない。おそるおそる目を開くと、目の前には両手を広げ、立ちはだかるケイの姿があった。
「ケイさん!」
「屈するわけにはいけませんッ! この程度でッ!」
 気丈に言い放つケイだが、その口の端からは血がこぼれる。それでもドラゴンから視線を外すことはない。菜々乃が慌てて、同じくブレスを受けたヴィンセント、冬汰とともに、果実の光で癒やしていく。
 反撃を受けても、ケルベロスの攻撃が止むことはない。ネルはナイフにドラゴンの恐れる鏡像を照らし出し、具現化させる。怯えを見せるドラゴンに、回復する間を与えず箱竜のブレス。ドラゴンの体を包む炎が、更に勢いを増す。
 好機と見たパトリックが、斬霊刀を抜いた。
「抜けば玉散る氷の刃!!」
 冷気を帯びた刀身が、冬の嵐を巻き起こす。自らのブレスよりも更に激しい冷たさに包まれ、ドラゴンは苦しげな息を漏らした。
 ヴィンセントは気を高める。肌に刻まれた魔術回路が、彼の意思に反応し怪しい光を放つ。
「己に仇成す、理を受けろ……喰らいつけ」
 身の裡から破壊する呪詛を叩きつけた。反逆の魔手だ。殺意と魔力は刃と化し、鱗を貫いてドラゴンの体に突き刺さる。
 傷つき、炎や氷に体を覆われ、動きも鈍ったドラゴン。しかし、最後の力を振り絞るかのように、渾身のブレスを吐きだした。もう何度目になるのか、氷をそのまま風にしたような暴風が吹き荒れた。その勢いに、傷が癒えきっていなかった杜々子が崩れ落ちる。
「あとを……」
 そういって、地面に倒れた。駆けつけた菜々乃が首を横に振り、杜々子の体を横たえる。戦闘中には、彼女を癒やす術はない。箱竜も意識を失い、ケイもまた、立っているのが不思議に思えるほどだ。
 撤退、そんな言葉が皆の心に浮かぶ。まだ事前に決めた撤退条件には至っていないが、このままではその状況になる恐れもある。撤退戦となれば、安全のため、誰かが暴走する危険もあるだろう。
「少しでも躊躇うなら止めときなよ」
 仲間たちの空気を感じ取ったのか、冬汰が軽く、それでいて決意を込めた言葉を言う。
「それより、倒すことを考えよう」
「ああ、もう少しだ。かたをつけよう」
 冬汰の言葉に続き、ネルが彼にしては珍しい、鼓舞のメッセージを口にする。生み出すのは、魔法で作り出した蝙蝠。
「全てを噛み砕け」
 ドラゴンに触れた蝙蝠が、周囲の空間を圧縮する。虚空の技が、悪くなりかけた流れを変えた。
 ケルベロスたちの、雪崩の如き攻撃が始まる。ケイは電光石火の如き蹴りを叩きこみ、冬汰のナイフはドラゴンを切り刻む。ヴィンセントの投じた鎌は、回転しながらドラゴンに突き刺さった。
「逃さねえ!」
 パトリックが二振りの斬霊刀を交差させると、生み出される衝撃波がドラゴンを切り裂いた。苦しげに悶えるドラゴンをパトリックは一瞥すると、周に頷きかける。前に出た周に飛ぶ、菜々乃のエネルギー球。周の内なる攻撃性を呼び覚まし、さらなる攻撃力を与える。
「我が名に於いて封を解く 其は神を滅ぼすモノなり」
 虚空から引き抜くように封印をとき、現れたのは全くの汚れなき純白の刀身。触れるもの全てを消滅させる神殺しの剣を、周が振るう。周辺の空気が吸い込まれ、刀に向かって風が吹く。
 一閃。
 刃は鱗を消滅させ、ドラゴンの体を切り裂く。断末魔の叫びが公園に響き、ドラゴンの巨体はゆっくりと倒れた。
「良い勝負でした……。この一戦はずっと胸に留めておきます」
 血で顔や服装を汚したまま、ケイはそう呟いた。

●終戦
 戦いは終わった。ケルベロスたちを苦しめたドラゴンの骸が、公園に転がっている。
 幸い、杜々子の負傷も重篤なものではなかったようだ。戦闘後の手当てにより、すぐに意識を取り戻した。
 周囲でも、戦いの終わった場所は出てきている。飛び交う言葉や鬨の声から判断するに、戦況は明るいようだ。一方で、一部ではまだ激しい戦いが繰り広げられている。
「助太刀したいが……難しいな」
 パトリックがため息。できることなら苦戦している戦場を助けたいが、皆傷だらけ。余力があるとはとても言えず、回復する時間も十分ではない。
 とはいえ、相手をしたドラゴンを屠ったことで、役目は十分に果たしたと言えるだろう。
 激闘の末にドラゴンを打ち破り、ケルベロスたちは公園をあとにするのだった。

作者:佐枝和人 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月9日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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