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大阪城が攻性植物に支配されて久しいが、攻性植物勢力は断続的にその勢力を拡大させようとしていた。
その手段の一つが巨大攻性植物サキュレント・エンブリオである。
全長7mもあるこの巨大植物の上部は胎児のようなモノを中に抱えた多数の花びら。下部は先端が赤い刃となった触手のような根が無数に蠢いている。
これまで、幾度となく大阪の市街地に現れてきたこの巨大植物だが、今回現れた個体はこれまでとは違った異様な姿をしていた。
「なんや、あの不気味なでっかいやつは!?」
いくら襲撃に慣れた大阪市民とはいえ、不気味な植木鉢のような物体には面食らっていたようだ。
大きさはこれまでのサキュレント・エンブリオと同様、全長7m程。
植木鉢のような物体から、いくつもの不気味な仮面が確認でき、仮面の間から垂れた複数の巨大な蔓には多数の珠がついていた。
それらの珠の一つ一つがサキュレント・エンブリオの大元なのだと思われる。
これまでと違った巨大植物の襲撃に面食らって避難の足が鈍りかけた人々だが、今回違っていたことがもう一つある。
すでにこの場には、ヘリオライダーの予知によって周囲にケルベロスが控えており、頭上に浮かぶその物体へと身構えていたのだ。
「いくぞ、サキュレント・エンブリオの母体!」
「これ以上、侵攻はさせない!」
――この襲撃が最後となるように。
姿を現したケルベロス達は、サキュレント・エンブリオの母体……サキュレント・フラクタル目がけて攻撃を仕掛けていくのである。
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ヘリポートへと集まるケルベロス。
その中で、フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)がこんな話を持ち掛ける。
「サキュレントの母体を討伐しに行きたいですわねぇー」
この巨大攻性植物は今なお大阪の市街地に現れ続けている。
そろそろ、この侵攻を食い止め、大阪城へと攻め入るチャンスを作りたいところ。
フラッタリーの言葉を耳にしていたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は一通り予知を確認してから、ケルベロス達へと渾身の笑みを浮かべて。
「今度こそ、市街地に出現するのはサキュレント・エンブリオの母体だよ……!」
これまで、数えきれないほどの胞子を放出してきた巨大攻性植物。
それも、この1件で仕留めてしまえば、後に続く事件と含めて纏めて終結させることができる。事件を放置することで、ゲート破壊成功率がじわじわ下がるなんて事態もなくなるはずだ。
「しかも、先に出現場所で待ち伏せて、奇襲をかけることが可能だよ」
この機は逃さず、確実にサキュレント・エンブリオの母体、サキュレント・フラクタルを討伐してしまいたい。
現場はこれまでと変わらず、大阪の市街地。
魔空回廊から出現してくるポイントはすでに、リーゼリットの予知によって判明している。
この為、事前に周囲の人々の避難誘導を完了させ、万全の状態で敵を迎え撃つことができる。
「母体であるサキュレント・フラクタルは、複数の仮面がついた鉢植えのような形から、多数の珠が実った蔓を垂れ下げたような姿をしているよ」
姿は違うが、今までの事件と同様に、グラビティ・チェインを吸収しようとしてくるはずだ。
攻撃方法はジャマーとして、巨大な蔓で締め付けてくるだけでなく、死体となった植物人間を一時的に操ったり、珠を飛ばして相手の動きを止めたりしてくる。
そうして動けなくなった相手に対し、仮面から光を発して相手のグラビティ・チェインを奪ってくるのだ。
街を侵攻して、破壊活動を行おうとするサキュレント・フラクタル。
その大きさもあり、周囲のビルの中層階や屋上などから飛び移って攻撃を仕掛けることも可能だ。
母体である鉢植え部分を撃破することで、蔓や珠もしなびてしまうはず。
それによって、新たな分体……サキュレント・エンブリオが現れる可能性を断ち切ることができるので、確実に仕留めてしまいたい。
説明を終え、リーゼリットは依頼に参加するケルベロス達を1人1人見つめて。
「この戦いに勝利すれば、巨大攻性植物の侵攻は完全に止まるはずだよ」
改めて、繰り返したその言葉にケルベロス達も気合が入る。
メンバー達の準備が整うのを、リーゼリットは見計らって。
「それでは、よろしく頼んだよ」
ケルベロス達を乗せたヘリオンはゆっくりと離陸し、大阪市を目指して飛び立っていった。
参加者 | |
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フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172) |
シエナ・ジャルディニエ(攻性植物を愛する悩める人形娘・e00858) |
祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083) |
豊田・姶玖亜(ヴァルキュリアのガンスリンガー・e29077) |
如月・高明(明鏡止水・e38664) |
カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477) |
副島・二郎(不屈の破片・e56537) |
アルベルト・ディートリヒ(レプリカントの刀剣士・e65950) |
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大阪府大阪市の市街地。
そこは、ビル街の道路を臨み、予知でデウスエクスが出現すると事前に知らされていた場所。
8人のケルベロス達は通りの左右にあるビルに分かれて遮蔽物に潜み、連絡を取り合いつつ敵の出現を待ち伏せていたのだ。
「誰かいないか?」
アルベルト・ディートリヒ(レプリカントの刀剣士・e65950)が念の為にと通りへと呼び掛けるが、周囲はゴーストタウンと化しており、何も反応がない。
どうやら、先程カーラ・バハル(ガジェッティア・e52477)が連絡を取った警察隊が、普段通り上手く避難誘導しているらしい。
警察官の親がいるカーラは、有能な警察の働きに感謝と安堵していた。
こちらの建物の影に隠れていたシエナ・ジャルディニエ(攻性植物を愛する悩める人形娘・e00858)が仲間達へと呼びかける。
「Viens! 来ますわ!」
閑散とした街の道路へ、突如現れた魔空回廊から出てきた巨大かつ不気味な鉢植え。
そいつはグラビティ・チェインを集める為、早速獲物を探し始める。
「やれやれ」
豊田・姶玖亜(ヴァルキュリアのガンスリンガー・e29077)はその威容に一つ嘆息して。
「ボクは朝顔の鉢植えも育てたことはないんだけど、攻性植物には縁があるようだ」
いくつも垂らす蔓に付いた多数の珠。それがこれまで現れたサキュレント・エンブリオの大元だ。
ビルに隠れていた祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)は赤い瞳でじっと全長7mもあるその巨体を見つめて。
「……これほどの母体が居たとはな」
「Fascination……凄く立派な子ですの」
狂的な攻性植物愛好家であるシエナはチームで唯一、その姿を好意的に解釈していたようだ。
「ようやくですわねぇー」
「やっっっっっと見つけた親玉だ、ぜってエ逃さねエ」
その巨大攻性植物を、フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)は普段通りおっとりと、カーラは鋭い視線で見上げた。
「サキュレント・フラクタルですか、何とも不気味な植物です」
如月・高明(明鏡止水・e38664)はそいつ……サキュレント・エンブリオの母体から並々ならぬ力を感じて。
「ですが、被害の根源を断つチャンスですね」
「とうとう大阪のデカ花ともお別れか……全く惜しくないがな!」
アルベルトは頻出するあの攻性植物をここで完全に食い止めることができると、気合は十分。
「……機を逃すわけにはいかん、徹底的に刈り取る」
「……この機会を逃す手は無い……祟り尽くし、確実な根絶をする」
副島・二郎(不屈の破片・e56537)に同意し、イミナも一連の事件を今回で幕引きする構えだ。
「母樹の出てきた理由は分からねどー、屠れば憂いも無くなるでしょうー」
フラッタリーは仲間達へと告げながら、仲間と共に、フラッタリーは魔空回廊から現れたばかりの巨大攻性植物を強襲していく。
「さてさてー、年末の大掃除ですわねぇー」
額のサークレットの展開した彼女は額から地獄の炎を溢れさせ、空中を2段ジャンプしていくのである。
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巨大攻性植物サキュレント・フラクタル。
そいつが攻撃態勢を取る前に、ケルベロス達はビルから一斉に攻撃を行う。
「さっさと根切りだ根切り、二重の意味でな」
空中を飛ぶアルベルトはフックショットを使って鉢植え上部に飛び乗る。
まずは仲間の為にと、アルベルトは「オウガメタル改」からオウガ粒子を振り撒いていく。
(「相手はジャマーで、こっちの動きを鈍らせるのが多め。あと吸収か」)
オウガ粒子に包まれながら、カーラは役割であるディフェンダーの任を果たすべく立ち回ろうとする。
仲間の盾となること自体は難しくはないが、油断は大敵とカーラは身構える。
「やるこたァ、何時もと変わらねエ。護って殴って、叩き潰す」
先手必勝と彼は2本のチェーンソー剣『Gadget Weapon』を横薙ぎに振り払い、鉢植えごとフラクタルの破壊に乗り出す。
そう何発も叩き込むことができない大技ではあるのだが、カーラは出現直後の隙をついたことで、全力で炎を纏わせた2つの刃を浴びせていく。
塵一つ残さず灰燼に還す為、額に地獄の炎を揺らめかせるフラッタリーは金色瞳を開眼させ、狂笑を浮かべて飛びかかる。
まずはフラクタルの真上から、フラッタリーは地獄の炎を纏わせた鉄塊剣『野干吼』を渾身の力で打ち下ろし、さらに空中ジャンプで前方の高層ビルへと飛び移る。
「Appeler! こっちですの!」
シエナは攻性植物の蔦を使って移動しつつ、そこから収穫した黄金の果実を煌めかせて前線メンバーの護りを固めていく。
この戦い、シエナはサキュレント・エンブリオの母体が討たれる状況なのは避けられないとは分かってはいる。
(「Au moins……せめて、一部確保できれば」)
何らかの形で、エンブリオという種を残したいと彼女は考えていたのだ。
だが、この攻性植物の分体、そしてそれが飛ばした胞子が及ぼした被害は数えきれない。
それだけに、メンバーはこの場でフラクタルの完全消滅を目指す。
「……ワタシが視えているか、フラクタル」
イミナもまた奇襲しつつ、じっと美貌の呪いで敵を見つめて。
「……ならば、呪われろ。……この貌を以て、だ」
イミナの及ぼす呪いは見つめた相手の動きを止めるが、さすがにフラクタルがすぐ硬直するとまでは至らない。
仲間達の攻撃が当たりやすくなるようイミナはなおも動きを止めに当たる。
「このまま、攻撃を続けてくれ」
二郎は自身を含む後衛メンバーを守護星座の光で護りつつ、仲間達へと告げる。
フラクタルの変化を見逃さぬよう注視し、二郎はしばらく相手の攻撃を避けるよう立ち回っていく。
「奇跡の果実よ、その豊穣の実りよ、仲間に加護の力を与え給え」
建物屋上を足場としながら、高明もまた黄金の果実を輝かせて仲間の耐性を高める。
なにせ、相手が攻撃を開始してくれば、ジャマーとしてこちらの動きを止めてくるはずなのだ。
その前に、姶玖亜も一気に畳みかけようとして。
「キミにとっては……いい縁とは言えないだろうがね。そろそろ冬枯れの季節だ」
リボルバー銃「セレスティアル・ベル」を敵に向け、鉢植えの下部目がけて銃弾を撃ち込む。
普通のデウスエクスなら、これだけで避けようと踊ってくれるのだが……。
「さすがに屁でもなさそうだね」
多少の攻撃ではビクともせず、悪態づく姶玖亜。
見た目どおりのタフさを誇るフラクタル。
「Dangereux! 危ないですの!」
そこで、腕に巻いていた薔薇の攻性植物ヴィオロンテの反応を見ていたシエナが叫ぶ。
虚を突かれた敵はケルベロスの攻撃の間に態勢を整え、鉢の中から植物人間の群れをこちらへとけしかけてきたのだった。
●
本格的に始まるサキュレント・フラクタルの侵攻。
多数の植物人間はグラビティによって動く為、一時的に現れる相手でしかない。
だが、数で攻めてくる植物人間は直接怪力で、あるいはその身を操る植物で襲い来る。
アルベルトはそれらの攻撃を堪えつつ、ジェネレーターを仕込んだ煙草を取り出して。
「さて、一服するか」
そこから凍気を生成し、鉢植え目がけて吹きかける。
仲間達への被害は決して小さくないが、耐性は機能していたようだ。
「ヴィオロンテ! 激励お願いしますの!」
シエナは仲間達へと攻性植物ヴィオロンテに激励の咆哮を上げさせ、活力を与えていく。
植物人間の侵攻を食い止めるべく、高明はビル屋上から敵へと躍りかかる。
勢いそのままに重力を宿す一蹴を叩き込み、高明は敵の動きを制しようとした。
とはいえ、そう簡単にフラクタルが侵攻を止めるはずもない。
攻め来る植物人間を目にしたフラッタリーの脳裏に浮かぶは、かつてこの母樹が故郷を滅した時の事。
グラビティによって植物人間の群れを操る姿を懐かしく感じた彼女は、植物を宿す罪なき人をこの場でまた荼毘に付すのだと怪しく微笑む。
そして、握りしめた火種を相手へと打ち込んで爆発させ、紅蓮の華を咲かせて。
――紅蓮の華を開花させ、野干の吼え声を叩きつけよう。
――永遠に、永延と。地獄は終わらないものだから。
狂気に歪むフラッタリーは空に浮かぶ攻性植物へと攻撃を繰り返す。何度も、何度も。
見た目通りのタフさを誇るサキュレント・フラクタルへと攻撃を加えていくのはさほど難しくはない。
しかしながら、なかなか攻撃の手を止めない敵は、宙を跳び回るメンバー達の体を蔓で締め付け、エンブリオとなる珠を飛ばし、その衝撃でこちらの動きを止めてくる。
相手はこの図体でジャマーだ。こちらの動きの阻害する力は非常に強く、メンバー達は耐性を整えてなお、徐々にその動きを奪われることとなってしまう。
それを確認した二郎は、仲間達が十全に攻撃できるようにと光の盾を展開し、異常を取り払うと同時に傷を塞ぐ。
「待っていろ。すぐに癒す」
メディックという位置を十分に利用し、二郎は癒しに当たり続ける。
相手の侵攻を止めるべく、姶玖亜が敵を銃で狙う。
ただ、フラクタルも蔓を振り回し、珠を飛ばして反撃し、こちらを足場ごと破壊してこようとする敵。
姶玖亜は足場がなくなる前にと止む無く一度地上へと降りて、真上の敵目掛けてリボルバーの銃口を向ける。
すでに仲間が狙って僅かに入る亀裂目がけ、姶玖亜は素早く弾丸を撃ち込んでいった。
そこで、植物人間の侵攻の手が僅かに止まる。
鉢が壊れた為か、植物の動きも些か緩んだようにも見えた。
「今のうちだな!」
竜の翼でカーラは宙を飛んで直接敵の上に乗り、『Gadget Weapon』でその破壊を目指す。
植物を叩ききるのは元より、鉢植え部分が壊れればそれで侵攻は止まるはずなのだ。
そこで、イミナも表情を変えずに、相手を呪う。
「……此度の媒介にして対象はお前だ。……祟る祟る祟祟祟……」
彼女も直接、植物本体へ、鉢植えへ、呪力を込めた杭を打ち付けていく。何度も、何度も。
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繰り返されるケルベロスの攻撃。
徐々にサキュレント・フラクタルも動きを鈍らせてはいたが、その力はやはり脅威だ。
特に、前線メンバーに叩きつけられるグラビティはあまりに強烈であり、仲間の回復に回っていた高明目がけ、鉢側面の仮面が怪しい光を放つ。
余裕をもって立ち回っていたはずの高明だったが、その一瞬で生命力を奪われてしまい、地面へと落ちてしまう。
ケルベロスである高明は地面に叩きつけられてもダメージは受けないが、それ以上に眼光によるダメージは深刻ですぐには動けぬ傷を負ってしまっていたようだ。
さらに、フラクタルの矛先は、仲間を庇いつつ回復に当たっていたのだがアルベルトへと向く。
フックショットで移動していたアルベルトを蔓が素早く締め付け、何とか抵抗を試みていた彼は抵抗できぬままうな垂れるように力尽きてしまう。
だが、フラクタルも死力を尽くして戦っている。ここで自分がやられれば、サキュレントという種が滅びると悟っているのだろう。
前線が崩れる中、植物人間を抑えるカーラは一喝する。
「人様の庭に勝手に生えてた雑草、根っこも残さず抜いてやんよ!」
叫んで態勢を整え直したカーラは再び炎を纏わせた2本のチェーンソーを同時に叩き込み、2本の蔓を寸断し、さらに鉢植えを大きく破壊し、大きく炎を燃え上がらせた。
シエナはその存在が完全になくなる前にと、チェーンソー剣で相手を切り広げつつも、エンブリオの一部か胞子の回収を試みる。
しかしながら、この戦場でそれは難しく、手に取った珠も燃えてなくなってしまう。
「Oh……、なんてこと」
それに、シエナは表情を陰らせてしまうのである。
ケルベロス達もかなり疲弊し、いつ落とされてもおかしくない状況に追い込まれてきていた。
フラクタルだって全身をボロボロにしており、鉢植えは亀裂が走り、蔓はほとんど切り裂かれてしまっている。
これ以上守りに当たっても犠牲が出るだけと、イミナは前のめりに仕掛け、鉢植えに飛び乗って惨殺ナイフを振り回す。
二郎も被害の拡大を防ぐには、攻撃しかないと考える。
回復の手を止めた二郎は直接、フラクタルへとオウガメタルを纏わせた拳で殴り掛かっていく。
危機を察したフラクタルは眼光を煌めかせようとするが、姶玖亜がガネーシャパズルから解き放った竜を象った稲妻で敵を撃ち抜き、それを許さない。
「残念ながら……キミには次の春は来ないよ」
徐々に降下していくフラクタルへ、空中ジャンプして乗り移ったフラッタリー。
その姿はまさに執念深く、天を駆けるケダモノといった様相だ。
「此ノ身焚bEテ焔ト成rAン。吾モ彼モ煉獄ニ堕チヨ」
彼女は握りしめた地獄の種火を『野干吼』の刀身へと込めていき、一気にフラクタルへと振り下ろす。
巻き起こる爆発に、フラクタルの鉢がついに大きく割れる。
グラビティを完全に失ったそれは地面へと落ちていき、さらにその衝撃で粉々に砕けていったのだった。
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苦戦しながらも、サキュレント・フラクタルの撃墜を確認したケルベロス達。
その痕跡を残さぬよう、一行は鉢の中身を燃やし、確実に破壊して回る。
「まだ残ってないでしょうかー?」
元の容姿に戻ったフラッタリーはぼんやりふらふらと微笑みながらも、燃え残りを徹底的に燃やしていく。
イミナも鉢の外を見回して植物の破片などが散っていないかと探索、呪術で徹底的に滅していく。念を入れ、塵すら残さない。
そんな状況でシエナが見つけた珠もことごとく萎んでおり、表情を陰らせていた。
「巨大ゴミ花とお別れして清々した!」
傷つくアルベルトは晴れやかな顔で、なるべく無難な景観になるようにと戦場となった街に花びらのオーラを舞わせていた。
危険がなくなったと判断し、カーラが討伐を警官隊に報告すると、少しずつ人々が戻ってくる街で高明も自らの傷を押して気力を撃ち出し、建物の亀裂を幻想で補い、崩壊を防ぐ。
気づけば、二郎の姿がなくなっていたが、仲間達の傷を塞ぎ、さらに自らの担当箇所はしっかりと補修してからこの場を去っていたようだ。
「……今日のバイトは遅刻だな。こいつはまいったよ」
オウガ粒子を飛ばしていた姶玖亜が一つ溜息をつき、バイト先へと連絡をとる。
それでも、一つの脅威がなくなったことに、彼女もまた笑顔を浮かべていたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:如月・高明(明鏡止水・e38664) アルベルト・ディートリヒ(レプリカントの刀剣士・e65950) 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月30日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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