城ヶ島制圧戦~竜の首を取る為に

作者:なちゅい

●ドラゴンの巣窟へ
「皆、来てくれてありがとう」
 ヘリポートでケルベロス達を待っていた、リーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)。彼女はケルベロス達に笑顔を見せたが、すぐに真剣な表情で説明を始めた。
「城ヶ島の強行調査によって、城ヶ島に『固定化された魔空回廊』が存在することが判明したよ」
 この固定化された魔空回廊に侵入し、内部を突破する事ができれば、ドラゴン達が使用する『ゲート』の位置を特定する事が可能となる。
 その位置さえ判明すれば、その地域の調査を行った上で、ケルベロス・ウォーにより『ゲート』の破壊を試みることもできるだろう。
 『ゲート』を破壊する事ができれば、ドラゴン勢力は、新たな地球侵攻を行う事ができなくなる。
「だから、城ヶ島を制圧し、固定された魔空回廊を確保する事ができれば、ドラゴン勢力の急所を押さえる事ができるはずだよ」
 強行調査の結果、ドラゴン達にとって、固定された魔空回廊の破壊は最後の手段であると考えているようなので、電撃戦で城ヶ島を制圧し、魔空回廊を奪取する事は決して不可能ではない。
「ドラゴン勢力がこれ以上の侵略してくるのを阻止する為にも、皆の力を貸してもらいたいんだ」
 可能性があるならば、それに賭けたいんだとリーゼリットは告げる。
 さて、今回の作戦だが、仲間の築いてくれた橋頭堡から、ドラゴンの巣窟である城ヶ島公園に向けて進軍する事になる。
「進軍の経路などは全て、ボクを含めたヘリオライダーの予知によって割り出しているから、その通りに移動を頼むよ」
 固定化された魔空回廊を奪取するには、ドラゴンの戦力を大きく削ぐ必要がある。
「ドラゴンは一筋縄でいく相手ではないけれど、作戦を成功させる為にも、討ち取って首を取るくらいの気概でぶつかってもらえればと思う」
 生半可な覚悟では、火傷では済まない。必ず勝つという意気込みで作戦に臨みたい。
 リーゼリットが確認したドラゴンだが、なかなかに特殊な形をしている。
「翼がハープのようになっていて、尻尾で弦を鳴らして攻撃を仕掛けてくるようだよ」
 このドラゴンは特殊な進化をしており、様々な弦楽器を体内に取り込み、長い首など、身体の所々に弦が浮かんでいる。翼自体も弦になっているようだが、身体がやや細いこともあり、弦を翼に密集させることで飛行は可能らしい。
 また、ドラゴンの鳴き声にも、こちらを神経を麻痺させる効果がある。このドラゴンは絡め手で攻めてくるタイプのようだ。
「皆がしてくれた調査が生かせるよう、この作戦を成功させたいね」
 ここで、攻めの一手が成功すれば、今までのように後手に回ることがなくなるかもしれない。
「……よろしく、頼んだよ」
 リーゼリットは改めて、ケルベロス達へとそう懇願するのだった。


参加者
カナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)
超宗我部・雪兎丸(五線譜の檻からの解放者・e01012)
九重・心(黒狐術士・e01718)
ミセリア・アンゲルス(オラトリオの自宅警備員・e02700)
アルルカン・スコーピオ(デッドライン・e03234)
罪咎・憂女(捧げる者・e03355)
真上・雪彦(灰雪の豺狼剣士・e07031)
近藤・美琴(ゼラニウムの誓い・e18027)

■リプレイ

●ドラゴンとの遭遇
 神奈川県三浦半島にある城ケ島。そこは、ドラゴン達の巣窟と化していた。
 先の作戦により、とあるケルベロス達が橋頭堡を築いてくれている。多くのケルベロスのチームがそこから島に攻め入っていた。
 こちらのチームもその一つ。戦いに赴くメンバー達の心情は様々だ。
「さて、力足らず届かなかった前回の無念を晴らしましょう」
「先の逃げ帰った戦のリベンジだぜ、オラッ!」
 罪咎・憂女(捧げる者・e03355)は強行調査の際、無念の中で撤退したのを悔やんでいた。同じ依頼に参加していた超宗我部・雪兎丸(五線譜の檻からの解放者・e01012)も、今回は成功させると意気込む。
「大トリの戦場に恩人が向かう予定なんです。必ずバトンを渡して見せます!」
 知人を送り出す為、この場を抑えると、近藤・美琴(ゼラニウムの誓い・e18027)も気合十分だ。
 一方で、ドラゴンが相手とあって、燃え上がるメンバーの姿もある。
 真上・雪彦(灰雪の豺狼剣士・e07031)も、前方に見えるドラゴン達に胸を躍らせる。
「デカくて強いドラゴンが相手なら、相手に取って不足はないな」
「ドラゴン退治ね、腕がなるわ!」
 敵を斬ることができる。しかも、強敵とあらば、バトルマニアとしてはこれ以上ない喜び。カナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)は気分が高揚させていたようだ。
「アツいねェ。しかも、それが前哨戦で露払いってンだから、尚燃える」
 アルルカン・スコーピオ(デッドライン・e03234)は戦う為に生きている、というよりも、生きているから戦うという男だ。
(「ここを制圧する、その為にもこれ以上、奴等をのさばらせるわけにはいかない」)
 九重・心(黒狐術士・e01718)は、この作戦の成功の為に戦おうと考えるが。
「今日は頑張ってドラゴン退治~! 皆で無理せず、でも確実に仕留めたいな~」
 全く気負いすることなく、ミセリア・アンゲルス(オラトリオの自宅警備員・e02700)がそう自身の考えを口にするのに、心は少し調子を狂わせるが。全員で帰ることができるよう、彼は身を尽くして頑張る所存である。
 そんな彼らの頭上へと覆い被さるように現れた影。それは翼を羽ばたかせ、ケルベロス達を見下ろす。
 それは、全身に弦が張られ、細い線で構成されたような容姿のドラゴンだ。翼には弦が密集して張られており、苦もなく宙に舞っている。
「弦竜……」
 美琴がそのドラゴンをそう形容する。
「楽器ドラゴンか、ユッキーとの相性抜群だな」
 ミュージックファイターの雪兎丸は、自身ありげに言い放った。
「少し特殊とはいえ相手はドラゴン。全力を出し尽くしましょう」
「竜を斬るとか、剣士の憧れよね!」
 その全身から放たれる威圧感。憂女は自身の力の全てを出し切ろうと考える。カナタも早く大好きな刀を振るいたいと待ちきれない様子だ。
「竜の首、ゲットして帰ろうぜェ、兄弟」
「ああ、俺達の手で頂いていくぜ!」
 アルルカンも雪彦も、狙うはドラゴンの首。それを討ち取る為に構えを取る。
「相手にとって不足なし、剣士カナタ・キルシュタイン、いざ参る!」
 カナタがあげる口上が、戦いの口火となって。ドラゴンは甲高い鳴き声を上げるのだった。

●弦竜との戦い
 抜刀術を基本とした我流剣術を基本として戦うカナタ。だが、空を舞う敵に、剣術を浴びせることはできそうにない。
 ならばと、カナタは身軽な身体を生かし、素早さで相手を攻めたてる。そして、彼女は空高く跳躍し、ローラーによって燃え上がるエアシューズでドラゴンの体を蹴りつけた。
 見た目は細い敵の首。すぐにも折れそうに見えるが、そこはドラゴン。体を覆う鱗、そして、身体に張り巡らされた弦はなかなかに硬い。
「楽器のような翼と細い体ですか、破壊か斬撃に耐性があるかもしれません」
 憂女はまず、自分達の前面にドローン群を展開し、それらに自身と仲間の警護を任せ、彼女もまた翼で空を舞う。
 ドラゴンはすっと息を吸い込み、鳴き声を発する。そこから発せられた声は、超音波のようにケルベロス達を襲った。
 その音は、神経を麻痺させる効果を持つ。ケルベロス達は身体に痺れを覚えながらも、空を飛ぶドラゴンへ攻撃を仕掛ける。
「ドラゴンの癖にいやらしい攻撃するとか、何考えてドラゴンやってるんだろ~?」
 ドラゴンとして恥ずかしくないのかなと、ミセリアは敵に少し呆れながらも、カナタと同じく、エアシューズを燃え上がらせる。
「目には目~、刃には刃~、いやらしい攻撃にはいやらしい攻撃で~」
 自分がされて嫌なことを積極的に。ミセリアは、燃え上がる炎でさらに敵を焦がしていく。
 ドラゴンはそれに抵抗しつつも、羽ばたく翼を風に揺らし、音色を響かせた。
「ひれ伏し、感謝の涙を流せ。ユッキーの音楽の一部にしてやる」
 空を舞う敵を雪兎丸は見上げるが、見下すように言葉を吐きかける。そして、彼もまたすっと息を吸い込んだ。
「腹筋に力を込めて聴きやがれぇぇ」
 雪兎丸が発した歌。それは、叩き付けてくるような、暴力的な重低音の歌声。ドラゴンから流れてくる旋律を津波のように飲み込み、仲間を強引に麻痺から救い出す。
 その間に、雪兎丸はミミック、ウーハー君をドラゴンへとぶん投げる。ウーハー君は大きく口を開き、偽物の財宝をばら撒いた。光輝くそれらに、ドラゴンの気を引いていたようだ。
 敵の注意が逸れている隙に、美琴のウイングキャット、エスポワールは翼を羽ばたかせ、ケルベロス達へとドラゴンが奏でる音色に耐える力を与える。
(「こんな素敵な人達を……倒れさせてたまるもんですか」)
 美琴自身も光の盾を仲間達の前面へと展開していく。とりわけ、ディフェンダーとして立つメンバーの為に。
 万全のサポートを得て前に立つ雪彦。彼は両手に斬霊刀を握り、それらを続けて振るって衝撃波を放つ。狙うは敵の首。連撃を浴びたドラゴンから、流れる音に乱れが生じていたようだ。
 空を飛ぶドラゴンを、心が見上げる。
「さぁ、出番だぞ」
 心がそう告げ、爪先でノックするように軽く叩くと、影へと擬態していたブラックスライムが一直線に飛び、ドラゴンの細い体を貫く。
「ハッハー! いいぞ兄弟!」
 アルルカンは仲間達の攻撃を絶賛した。彼もまた回復を考えていたが、現状は手すきと判断し、攻撃を行うべく空を飛ぶ敵を見上げる。
「……しかし、ハープの翼なんて繊細な造形してンなァ。弦でも叩ッ斬ってやりゃあ、グラビティの一つくらい抑え込めンじゃねェの?」
 そんな感想を抱きつつも、バスターライフルを携えたアルルカンは標準を定める。
「しかも、切っちまえば飛べないと来たもんだ」
 翼を穿てば、というより、弦を切ってしまえば、行動を封じることもできるはずだ。
「外さねェよ、レプリカントは目がいンだ」
 ライフルの銃口に光が集まり、号砲が放たれる。部位狙いこそ外れたが、アルルカンの宣言通りにドラゴンへと命中した。放射された右脚を凍らせたドラゴンは、痛みの為か飛行がおぼつかなくなる。
 それでも、ドラゴンは翼を広げ、尻尾を使って曲を奏で始めた。
(「広範囲に効果のある攻撃ばかりですが……。こちらに注視させて向きを誘導することで、皆さんを範囲から外せないでしょうか」)
 翼で飛ぶ憂女はドラゴンの頭前方を飛び、敵の注意を引き付ける。
 対して、ドラゴンが奏でるその曲は、先程の痺れるような鳴き声とは違い、甘く、誘いかけるメロディ。憂女の思惑通りとはならず、それはケルベロスへと届いてしまう。
 思わず聞き惚れながらも、ケルベロス達は誘惑を振り払ってさらなる攻撃を飛ばす。
 カナタは黒い鎖を伸ばし、絡めとったドラゴンの体をきつく縛り付ける。
 これには、ドラゴンもたまらず、地面へと降り立つ。身体から鋭い弦を飛ばし、敵はケルベロスの体をその弦で縛り付けようとする。冷静に見えるが、その目は爛々と赤く輝いていた。
 それから仲間を庇ったのは、憂女だ。身体を絡めとられた彼女は、きつく縛り付けられる弦に痛みを覚えるも、それに屈せずに己を奮い立たせる。
「痛みは危険を示す合図……ならば、今このときに限っては不要! さぁ、闘争を始めようか」
 憂女は徐々に追い込まれながらも、さらに闘志を燃やすのである。

●弦竜の発するメロディに
 敵が飛行を諦め、降り立ってきたことで、ケルベロス達は攻勢を強める。
「属性付与! これでも喰らえ!」
 狐のウェアライダーである心は、自身と同じ黒い小さな狐の姿をしたココをファミリアロッドへと変え、魔力を付与する。その上で、殴打と共に、放った魔力で追撃を行う。
 攻撃を繰り返すケルベロス達。ミセリアは戦いながら、敵の分析を進めていた。
「敏捷の効果が大きいようですね~」
「そうですね、ですが……」
 憂女も仲間達の攻撃の効果が出ているかを確認していた。ミセリアと相違がないようである。
 そのミセリアは早速、敏捷での攻撃をと、敵に向かって御業を放つ。敵の身体を御業で捉え、ドラゴンの身体を鷲掴みにした。
 ドラゴンは体を束縛されて苦しむが、効果に明確な差が出るというレベルではない。さらに、同じ攻撃ばかりで攻撃すると、どうしても見切られる恐れがある。結局は、ローテーションでの攻撃にメンバー達の攻めは落ち着いてしまっていた。
 ドラゴンは全身から音を響かせてケルベロスを惑わし、その身体を縛り続ける。それまでエクトプラズムで作りだした鈍器で殴りかかっていたミミック、ウーハー君だったが、音波に耐えきれずに身体が消えてしまう。
「うるっせェなァ、龍ってヤツは」
 戦の華っつったら此処だと、ディフェンダーとして立つアルルカン。彼は身体に痺れを覚えながらも悠然とそれを聞き流す。
 その上で、アルルカンは仲間の為にと、溜めたオーラを敵の奏でる音楽に惑わされる仲間へと撃ち出す。
「イクゼ! スターカタパルト」
 雪兎丸は絶対に届かせる意志を持ち、仲間へと叫びかけるように吠える。
 だが、その歌は……ひどい。音程と呼ばれるものが壊滅状態なのだ。それでも、癒されるという不思議な事態にケルベロス達は戸惑うが、いまだ健在のドラゴンを討ち取る為に攻撃を続けるのである。

 回復に重点を置いて戦うケルベロス達。序盤はそれがうまく機能し、ドラゴンを攻めることができていた。
 しかし、それは、攻撃の手を弱めることにもなる。カナタや雪彦がドラゴンに全力を叩き込んでいくが、ドラゴンの皮膚、そして、全身に張り巡らされる弦はなかなかに切れることがない。
 長引く戦いに、ケルベロス達の体力は徐々に削り取られてしまう。
(「痛みは危険を示す信号だが……リスクを犯さずに、倒せるはずもないからな。動けなくなるまで、何度でも立ちふさがって見せよう」)
 憂女は束縛され、身体に麻痺を覚え、果ては、敵のメロディによって、自傷行為さえ行ってしまう。
 彼女はバスターライフルをメインに、ドラゴンへと攻撃していたが、敵が怯んだ隙を見はからい、一気にドラゴンに躍りかかる。
「……疾ッ!」
 斬霊刀でドラゴンを切り落としたかと思うと、憂女は尻尾で体勢を整え、翼で反転した上で切り上げを行う。
 ……だが、敵は冷静だった。ドラゴンは直接、憂女へと鳴き声を叩きつける。彼女は身体が動かなり、そして……、地面へと落ちてしまう。
 盾となるメンバーが減り、ドラゴンの狙いはケルベロス達を回復する後ろのメンバーに向く。
「果てなき宙より来たりし者よ、幻の姿として我が記憶より飛来せよ」
 心も攻撃手段を替えながら仕掛けていた。手のひらからドラゴンの幻影を放ち、敵の身体、そして、張り巡らされた弦を燃やす。
 燃える炎に身をよじらせるドラゴン。カナタはここぞと得意の抜刀術で仕掛ける。
「ずばずば~っと、一刀両断ですよ~」
 ミセリアがカナタを応援する。彼女はミセリアにとって所属旅団の団長なのだ。
 カナタは刃に空の霊力を纏わせ、居合で仲間の付けた傷を狙って斬りかかった。狙った首を落とすことはできなかったが、所々の弦が切れ、首からは血が流れ出ていたようだ。
 もちろん、ミセリアもただ観戦しているだけではない。彼女はチェーンソー剣を握りしめ、ドラゴンの体をジグザグに切り裂いていった。弱ってきていたドラゴンの身体の弦がついに、ぷつり、ぷつりと切れていく。
 心も追って攻撃をと考えるのだが、敵は後衛メンバー、自分達を狙い続けている。やむなく叫び、自身の身体に走る痺れを取り払うが……。
 ドラゴンは尾を弓のようにして、残る翼の弦で音色を響かせる。アルルカンが庇いに走るが……間に合わず。甘く響き渡る音色に、心はついには抵抗できなくなってしまい、体力も尽きて崩れ落ちてしまう。
 同じく、その音を浴びていた美琴はかろうじて立っていた。もしかしたら、彼女の胸ポケットの懐中電灯が、少しなりとも守ってくれたのかもしれない。
「貴方を思うたび、この鼓動は強くなる」
 美琴は魂の鼓動で自身に力を巡らせる。まだ、倒れていられないのだ。
 一方、全身に傷を負ったドラゴンは弱々しく息を吐く。さすがに、鳴き声もかなり小さくなってきていたようだ。
 休むことなく攻めたてていた雪彦。彼もまた、矢面に立っており、かなり敵の音色に苦しめられていた。しかし、雪彦もまた戦闘狂。この状況にあっても笑みすら浮かべる。
 そこで飛んでくる桃色の霧。雪兎丸が癒す為にと放ったものだ。体力が幾分か戻った彼は納刀し、構えをとった。
「剣戟必殺――」
 狙うは首。次に敵の音色をその身に浴びようとも、今度こそ討ち取る。
 そんな気概を抱く雪彦は刀に氷の霊力を纏わせ、血も凍る斬撃で敵を斬り捨てた。
 その時、竜から流れていた音色が完全に止まる。落ちるドラゴンの首。それに近づく美琴は、折れたドラゴン、弦竜の角をそっと拾い上げるのだった。

●次に狙うは……
 弦竜……ドラゴンを倒したケルベロス達。
「このドラゴン、どう考えてもイロモノだし~、ドラゴン四天王とかの中では、一番の小物だったのかな~??」
 こっそりとスマホを使って撮影していたドラゴンの動画を投稿サイトにアップしつつ、ミセリアはそんな疑問を口にする。
 確かに変わり者のドラゴンだったのだろうが、かなりの強さであったことには違いない。こちらも2人が倒れているのだ。
 憂女、心の傷は多少深いが、程なく2人は目覚める。動けぬほどではなかったのは、不幸中の幸いと言ったところか。
 この場を立ち去る前にと、メンバー達は自分達のできる範囲で戦闘痕をヒールする。城ケ島に戻ってくる住民を想っての行動だ。
 その最中、雪兎丸が見やる方向に、魔空回廊がちらりと見えた。
 今度は魔空回廊の捜索を。雪兎丸はそう考えるのである。

作者:なちゅい 重傷:九重・心(黒狐術士・e01718) 罪咎・憂女(刻む者・e03355) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月9日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 10/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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