宇宙のグランドロン決戦~光を繋ぐ楔を穿て

作者:波多蜜花


「皆集まってくれてありがとな。それから、暗夜の宝石攻略戦ではお疲れ様やったね」
 信濃・撫子(撫子繚乱のヘリオライダー・en0223)がヘリポートに集まったケルベロス達に、そう声を掛ける。柔らかい笑顔と声音はすぐに引き締まったものへと変わり、撫子が今回ケルベロス達を呼び集めた理由を説明する為に唇を開いた。
「先の攻略戦で生き延びたマスタービーストの残党についてやね。彼らの動きを掴むことに成功したんや」
 神造レプリゼンタ3体を中心とした残党は、遺棄されていたソフィステギアのグランドロンを改修し、マスター・ビーストの遺産を運び出して地球へと向かっているのだという。また、地球上の希少動物を絶滅させ神造レプリゼンタを産み出す計画を実行しようとしている情報もあり、彼らが地球に到達する前に撃破する必要があると撫子が言う。
「それでな、これ以外にも問題がまだあってなぁ」
 マスター・ビースト残党は、首魁であるマスター・ビーストを失った事により士気が低下しており、戦力差が大きければ戦わずにレプリゼンタ・ロキに降伏して傘下に入ってしまうと予測されているのだ。
「こっちもなんとかせなあかんのやけど……」
 申し訳なさそうに目を伏せると、撫子が唇を噛み締めるように現在のヘリオンの状況についてケルベロス達に説明する。
「攻略戦の後、ヘリオンの宇宙装備は大幅なメンテナンスが必要になってしもてな? NASAに運び込まれもうてて、すぐに動かせる数には限りがあるんよ」
 また、磨羯宮ブレイザブリクの利用も行えない為、今回は少数精鋭で作戦を決行せねばならない。そしてこの作戦を成功に導く為、先制攻撃と交渉のよって敵軍の合流を防ぎ、三つ巴の戦いへ持ち込むことになるだろう。
「せやから、皆には先制攻撃と交渉に成功したっていうんを前提に三つ巴の戦いを勝利に導くべく作戦行動を取ってほしいんや」
 つまり、先に動く部隊を信じての行動作戦だ。
「前提となる作戦が成功しとったら、戦いは必ずうちらの予測する三つ巴の状態になるはずや。皆にはどちらの勢力に対して攻撃を仕掛け、どんな目標の達成を目指すか考えて作戦を練ってもらうことになるわ」
 まず重要となるのは地球の動物種を滅ぼすという計画を阻止することであり、最低限『マスター・ビースト残党軍の破壊あるいは奪取』を行う必要があるだろう。これが成功すれば、最大の危機を回避することが可能となる。
 そして、その上で『神造レプリゼンタの撃破』『ジュモー・エレクトリシアンの撃破』『レプリゼンタ・ロキの撃破』『ジュモーのグランドロンの撃破或いは奪取』が成功となればかなりの戦果となるのは間違いないだろう。
「さっきも言うた通りなんやけど、先制攻撃と軍使による交渉が失敗した場合は、攻撃は行われず撤退する事になってしまうんよ。せやから、先制攻撃と交渉が成功した状況を考えての作戦を練るのが一番やと思うわ」
 仲間を信じて行動する、それは皆が得意とすることやろ? と撫子が笑う。それから、と前置きをしてケルベロス達に向き直る。
「グランドロンは妖精8種族のグランドロンが姿を変えたものらしいんよ。彼らに呼び掛ける事ができたら、グランドロンを仲間にする事も不可能では無いかもしれへんよ」
 せやけど、無茶はせんようにな! と撫子が開いていたノートを閉じ、できる限りのサポートはするよって、と微笑んだ。


参加者
レベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392)
タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)
クリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)
朝比奈・昴(狂信のクワイア・e44320)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)
ステラ・フォーサイス(嵐を呼ぶ風雲ガール・e63834)

■リプレイ

●昏迷
 静かすぎる――それが作戦が開始され、宇宙仕様のヘリオンにより作戦現場へと到着していたケルベロス達の意見だった。
「ダモクレスへの先制攻撃は成功している、それは間違いないと思うんだぜ」
 楽観的にも聞こえるが、タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)の意見はもっともで、そうでなければここまで来ることはできなかっただろうと朝比奈・昴(狂信のクワイア・e44320)も頷く。
「あとは二つの交渉、でしょうか」
 昴が柔らかな笑みに僅かな困惑を浮かべて言うと、ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)が自身の眼鏡に指先を触れてリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)とステラ・フォーサイス(嵐を呼ぶ風雲ガール・e63834)を見る。
「マスター・ビースト残党軍との交渉と、私達がいるダモクレス軍……ジュモーへの交渉ですわね」
「通信機器が使えればいいんだけどね」
「通信障害で使い物にならないんじゃ仕方ないよ」
 だからこそ、他チームの成功を信じてこの場に彼らはいるのだ。
「グランドロンへの接触は問題なさそうでありますが……」
 アリアドネの赤い糸をマントから伸ばし、クリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)が仲間を見遣る。どうするか問うような視線に、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)が静かに唇を開いた。
「例えこちら側の交渉が決裂していようとも、前に進む以外に道はない……そうではないのですか?」
「そういうこと、それに残党は何としても処理しないと。地球で暴れられたら大変ですし」
 不安に思う気持ちはあれど、それでも持ち得る最大限の力で作戦を遂行している仲間達を信じるしか他にないとレベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392)が笑った時だった。
「あれは……!?」
 周囲の警戒をしていた昴が宇宙空間に柔らかく光る何かを発見し、声を上げる。
「残党勢力のグランドロンが光を発して消滅……ううん、コギトエルゴスム化しているみたいだよ」
 次々と光を発しては消えるグランドロンに、リリエッタが間違いないと思う、と頷いた。
「マスター・ビースト側の作戦は成功したと思って良さそうですわね」
「そのようです、ならば次は――私達の番です」
 ほっとした表情を浮かべたルーシィドに、シフカが言葉を重ねる。
「あの光を見ているのは俺達だけじゃないはずだぜ」
 尽きることなく光っては消えていく光を見て、タクティがミミックを抱える。自分達にも見えている光なのであれば、敵勢力にも見えているはずだ。
 そう、今ならば、もしかしたら――!
「行くであります!」
「うん! いっくよー! シルバーブリット、Go!」
 クリームヒルトの力強い声に、ステラが宇宙空間でも問題なく戦えるようにと換装したライドキャリバー、シルバーブリットの黄金に輝く車体を叩いた。そして、顔を見合わせたケルベロス達は迷うことなく戦場へと躍り出る――!
 今ならば、とコギトエルゴスム化する光を合図にしたかのように戦場へ向かったのは己達だけではなかったようで、視界の端に別のチームが動くのが見えた。レプリゼンタ・ロキと交戦するチームだろう、エールを送るように一度だけレベッカがバスターライフルの銃口を上にして、くるりと大きく回してみせる。
 互いに健闘を! その気持ちは彼女達に伝わったのだろう、応えるように艶めくような青い髪を翻したシル・ウィンディアが、青空の如意棒を同じようにくるりと回す。信頼できる仲間がいる、この満たされるような気持ちをグランドロンに伝えられたら、そう思いながらケルベロス達はグランドロンへと接近した。

●交錯
 迷いなく真っ直ぐにユグドラシル勢力へ向かったケルベロス達は、グランドロンへ向けてその想いをぶつけるかのように呼びかける。
「さっきの光、貴方達も見たかな? 見えなくても、感じることはできた……リリはそう信じてる、あれはマスター・ビースト達のグランドロンを救出に向かった結果だよ」
「望んで配下になっているのではないのでしょう? 魂のまま、ただ利用され続ける身の上に、憤りを感じていませんか?」
「そうだよ、こんな何もない場所に居てもしょうがないじゃん。楽しいこと、いっぱいあるんだよ」
 リリエッタが口火を切ると、ルーシィドとステラも同じように気持ちを載せた言葉を紡ぐ。それは今までに解放してきた妖精8種族が笑い、喜ぶ姿をその眼で見てきたからだ。
 こんな寂しい場所で、希望もなく利用される為だけに存在するなんて、どんなに悲しいことだろうか。シルバーブリットも、それに同意するようにエンジンを吹かす。
「今は多くの種族が地球で暮らしています。最初はシャドウエルフだけだったけれど、今ではそれも含めて5種族もの妖精がいる……私は、私達はあなた達とも共に生きたいと願っているんです」
 同じ妖精8種族の一つ、シャドウエルフの一人としてシフカが願う。同じシャドウエルフでもあるリリエッタとステラ、そしてケルベロス達によって開放された妖精8種族が一つ、ヴァルキュリアであるクリームヒルトがそれに同意するように頷いた。
「ボク達ヴァルキュリアは定命化してケルベロスとなったであります。シフカ様が言ったように、他の妖精種族も次々と合流しているであります」
 デウスエクスに苦しめられる人々を見捨てられず、エインヘリアルより反逆した過去を持つクリームヒルトが胸に抱いたテレビウム、フリズスキャールヴをぎゅっと抱き締めて言う。デウスエクスに苦しめられる人々を救いたい、そう思ってケルベロスになったのだ。
「ボクが守りたいものの中に、グランドロン様も含まれるのであります!」
「傷付けたいわけじゃないのです、私達はあなた達を助けたい……手を取り合う仲間は多い方が楽しいでしょう?」
 レベッカが大事に想う仲間達のように、自由を謳歌してほしいとレベッカは願う。
「今ここに至るまで色々な戦いに巻き込まれ使われ続けるってのは大変じゃないのか? 君たち本来の意見をお聞かせ頂きたいのだぜ」
 従うしかない状況であっても、それを是としない熱があれば心が死ぬことはないだろう。心が死んでいないのなら、それは立ち上がる力になるはずだ。タクティの力強い瞳が、呼びかけるケルベロス達の想いがグランドロンを射貫く。
「……敵が来ます」
 仲間の呼びかけを見守り、周囲の動きを見張っていた昴の唇から鋭い声が飛んだ。ケルベロス達が敵影を確認し、もう一度グランドロンへ視線を向ける。グランドロンが言葉や何かの意思を発するようなことはなかったけれど、どこか困惑しているようにも感じられた。
「声は届いていると信じて……今は敵を倒しましょう」
 そう言って昴が接近してくる敵影、グランドロンが出撃させたダモクレスの残存勢力である量産型ダモクレスへ向かって武器を構えた。

●一筋
 敵が迫る前に各々が武器を構え、迎撃の体勢を取る。ケルベロス達の前に現れた量産機は、以前にもミッション地域やドレッドノートの闘いにおいて目にしたことのあるトランペッター・メイデンだった。見た目は麗しい少女のようだが、かつてマザー・アイリスの軍団で量産機の中でも主力に近い位置にいた機体だ。
「邪魔をしないで欲しいな。ルー、力を貸して!」
 最初に動いたのはリリエッタで、迷わずルーシィドへと手を差し伸べる。
「はい、お任せください!」
 リリちゃん、と呼んでルーシィドがその手を迷いなく繋ぐと、身体が熱くなるような感覚が駆け巡る。お互いの魔力が循環し、瞬間的に莫大なエネルギーが二人の間に生まれていく。
「スパイク・バレット!」
 二人の声が重なるように響き、荊棘の魔力を込められた弾丸がトランペッター・メイデンの身体を打ち抜いた。
「まずは一機、だよ」
 繋いだ手を離し次の敵へと目を向けるその横から、シフカが縛神白鎖『ぐlei伏ニル』の銀色に光る鎖を腕に纏い、日本刀――廃命白刃『Bluと願グ』に雷を纏わせて飛び出していく。
「戦闘準備完了……では、行きましょうか」
 鋭い突きが敵の防御を掻い潜るように放たれると、オウガメタルによる仮面xeno possibilityを装着したタクティがligula desireからドラゴニック・パワーによって加速した一撃を見舞った。
「続け、ミミック!」
 タクティの声に応えるように、ミミックがキラキラとした財宝をばら撒いてトランペッター・メイデン達を惑わしていく。
「ここは通さないであります!」
 虹の模様が刻まれたガントレット、ビフレストに包まれた拳をぐっと握ると、クリームヒルトが霊力を帯びた紙兵を大量に散布して前に立つ仲間へと守護を与え、フリズスキャールヴが閃光を放つ。
「もう少しだけでも、私達の声を……想いを伝えたい」
 利用され、いつか使い捨てられるかもしれないグランドロンをこのままにはしておけないと、ルーシィドがオウガメタルから光輝く粒子をステラとシルバーブリットへ放ちながら願いを口にする。
「ルーちゃんらしくて、いいと思うよ! それにあたし達はグランドロンを助けたくてここにきたんだから!」
 シルバーブリットに騎乗したステラがルーシィドに向けて魔法の木の葉を纏わせ、に、と白い歯を見せて微笑む。それを勢い付けるように、シルバーブリットが敵群に向けて銃砲を撃ち放った。
「ふふ、迫りくる量産機を捌きながらグランドロンへ呼び掛ける……それも一つの、私達に今できることかもしれないですね」
 レベッカが折り畳んでいたアームドフォートを展開し、迫りつつあったトランペッター・メイデンに向けて一斉に発射してその動きを沈めて不敵に笑う。
「それが、あなた達の望みならば――」
 お手伝いいたします、そう言って昴がその身体をワイルドスペースへと変えていく。
「偉大なる我らが聖譚の王女よ、その恵みをもって我を救い給え、彼の者を救い給え、全てを救い給え」
 ワイルドスペースへと変貌した自身の身体を切り離し、敵へと投げつける。今にも狂いそうな程の激痛を狂信的なまでの信仰心によって抑え込み、祈りの形を崩さない。
 幾つかの機体は沈めたが、まだこちらへ向かってくる複数の機体がその手にしたトランペットをルーシィドへ向けた。
「させねぇんだぜ!」
 放たれた魔力の炎から庇う為、タクティが小型の盾が付いた右腕のガントレットから光の剣を具現化し、それを薙ぎ払うとミミックが武器を振り回しながら弱っている敵へ襲い掛かる。
「呼び掛けを続けるってのには賛成、俺もまだ伝えたりないんだぜ」
「うん、リリもまだまだ伝えたいことがあるよ」
 重さを載せた蹴りで敵が構える武器ごと蹴り飛ばしたリリエッタが頷くと、シフカがその腕の鎖を敵の首に巻き付けた。
「グランドロンをこのままにはしておけないという気持ちは、皆同じでしょう」
 その意見に否はないと言うと同時に、シフカの腕が敵ごと鎖を振り回す。
「その為にも、邪魔をするこの子達は此処で絶やす……! 殺技肆式、『鎖拘・Ge劉ぎャ』!」
 敵を全力で振り回し、叩き付ける。活動を停止したことを確認すると鎖はシフカの腕に巻き付くように戻っていく。
「はい、皆様の仰る通りなのであります! ボクの熱意はまだこんなものじゃないのです!」
 稲妻が走ったような突きをクリームヒルトが繰り出し、また一機動きを止めるとフリズスキャールヴがタクティを癒す。ぐっと祈るようにルーシィドが手を組み、大自然の力でタクティの傷を重ねて癒すとグランドロンへ語り掛けた。
「本当はたくさんの時間と言葉を尽くして語りたい、けれどあまり時間がありません。だからどうか、耳を……心を貸して下さい」
「そちらにいても、便利な道具扱いされるだけではないのですか? 既に仲間になってくれている妖精種族の、その中に入ってはくれないですか」
 レベッカが敵機を撃ち抜きながら、そう声を上げる。打ち漏らした敵はわたくしが、と昴が煌く軌跡を描いて蹴りを放つと、ステラが手榴弾を投げ付けて複数の機体を凍らせた。その隙を逃さぬように、シルバーブリットが激しいスピンで敵を轢き潰す。
「ねえ、地球に来なよ。ここから見る青い海も良いけど、間近で見るともっと凄いよ? その時は一緒に、楽しいことをしようよ」
 宇宙から見える地球にちらりと視線をやって、ステラがグランドロンに向かって笑みを浮かべた。その間もトランペッター・メイデンの攻撃は続き、ケルベロス達がそれを防いでは数を減らしていく。
「見えるよね、あの青い綺麗な星。リリ達の故郷の星……リリは、グランドロンにもあの星を一緒に守ってほしいよ。一緒に戦ってくれるなら、今度はリリ達がグランドロンのことを守るって契約……ううん、約束するよ」
「あなたに教えてあげたいんです。地球の文化を。地球の人々を。……私達と、一緒に生きてくれませんか?」
 利害の一致などではなく、心を通わせたいのだと願ってリリエッタが迫る敵を蹴り倒し、共に生きる道を、とシフカが白刃を閃かせる。
「グランドロン、君たちが自我を得た状態で決めたことなら別に文句はないのだぜ? 強制進化の使い捨てはどうかしてると思うけどね。だけどそれは本当に望んだこととは違う、そうだろ? っと、話の邪魔をするなんざ行儀がなってないのだぜ! セット……咲誇れ愚者の華! 晶華ァ!」
 タクティが指先を敵に向けて狙いを定めると、結晶の弾丸を放つ。着弾した弾丸は爆発を引き起こし、それに乗じてミミックが敵を惑わすように動いた。
「これで、最後であります!」
 クリームヒルトが最後の敵影を崩すと、それまで動きの見られなかったダモクレス軍が退いていくのが見えた。

●楔
「敵が……グランドロンも撤退しています」
 戦闘中も説得を続ける仲間のフォローを行っていた昴が、いち早く周囲の状況を確認してそれを告げる。
「ああ、しっかり見えているのだぜ」
 タクティが声に若干の苦さを含ませてそれに答える。
「深追いは禁物、私達にできることはここまでのようです」
 地球側へと撤退していく敵影を見ていることしかできない歯痒さに、レベッカが僅かに眉を顰めた。
「ヘリオンの迎えを待つしかない……ね」
「リリちゃん……それでも、私達の声はきっと届いたはずですわ」
 リリエッタが救えなかった妖精の仲間を思って強く拳を握り締めると、そっとその手をルーシィドが握り、ステラが反対の手を黙って優しく包み込んだ。

 説得は失敗に終わってしまったのだろうか。それでも、ケルベロス達が伝えたかった想いは、伝えることができたはずだ。それが少しでも届いていれば、それは間違いなく楔の一つとなるだろう。
 青く輝く星の光と、撤退していくグランドロンを祈るような気持ちで眺めながら、ケルベロス達は戦場を後にしたのだった。

作者:波多蜜花 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。