宇宙のグランドロン決戦~月面トライアングル

作者:柊透胡

「『暗夜の宝石』攻略戦で生き延びた、マスター・ビーストの残党の動きを掴む事が出来ました」
 都築・創(青謐のヘリオライダー・en0054)の言葉を、ケルベロス達は真剣に聞き入る。
 神造レプリゼンタ3体を中心とした残党軍は、遺棄されていたソフィステギアのグランドロンを改修し、マスター・ビーストの遺産を運び出して地球へと向かおうとしているらしい。
「マスター・ビーストの残党軍は、地球上の希少動物を絶滅させ、更なる神造レプリゼンタを創造する計画を実行しようとしています。彼らが地球に到達する前に、撃破しなければならない脅威です」
 だが、問題は又別にもある。
「マスター・ビースト残党軍を傘下に加えようと、大阪城のユグドラシル勢力より、レプリゼンタ・ロキとジュモー・エレクトリシアンが、グランドロンを利用して宇宙に向かっています」
 マスター・ビースト残党軍は、首魁であったマスター・ビーストを喪った事で士気が低下している。戦力差が大きければ、戦わずしてレプリゼンタ・ロキに降伏、ユグドラシル勢力の傘下に収まってしまうだろう。
「『暗夜の宝石』攻略戦後、ヘリオンの宇宙装備はNASAで調整中です。すぐに動かせる装備も数に限りがあります」
 又、『磨羯宮ブレイザブリク』も利用出来ないとなれば――本件は少数精鋭で阻止せねばならない。
「寡兵の不利を覆すには……まずユグドラシル勢力への先制攻撃と、双方との交渉で敵軍の合流を防ぎ、我々ケルベロスとマスタービースト残党軍、ユグドラシル勢力の三つ巴の戦いに持ち込む必要があります。皆さんは『先制攻撃と交渉に成功した』という前提で、三つ巴の戦いの作戦を練って下さい」
 本件は段階を踏んでの作戦であり、創のヘリオンが『月』に運ぶチームは、第3段階目の三つ巴の戦いに臨む事になる。
「前提となる作戦が成功した場合、戦況は三方の睨み合いとなっている筈です。皆さんには、どちらの勢力を攻撃し、如何な目標の達成を目指すかをチームで意思統一した上で、行動して下さい」
 尚、「地球の動物種を滅ぼす」計画は阻止せねばならない為、最低限、『マスター・ビースト残党軍の破壊或いは奪取を果たす』必要性が生じている。
「最大の危機を回避した上で……『神造レプリゼンタの撃破』、『ジュモー・エレクトリシアンの撃破』、『レプリゼンタ・ロキの撃破』、『ジュモーのグランドロンの撃破或いは奪取』等、更なる戦果を挙げられれば何よりですね」
 万が一、先制攻撃と軍使による交渉が失敗した場合、ケルベロスも攻撃せずに撤退する事になる。
「つまり、先制攻撃と交渉の成功を絶対条件とした上で、三つ巴の戦いに臨む状況を予測して、作戦を練るべきでしょう」
 少数精鋭故に、敵全ての撃破は難しいかもしれない。優先順位を策定し、戦力の振り分けする必要もあるだろう。
「……そう言えば、グランドロンは『妖精8種族グランドロン』が姿を変えたものだそうです。彼らに呼び掛けられれば、グランドロンを仲間にする事も、夢ではないかもしれませんね」
 様々な好機がある今回の作戦、ケルベロスによる目標や標的の取捨選択と用兵バランスが試される。
「皆さんなら、最良の結果を得られると信じています。どうぞ御武運を」


参加者
七奈・七海(旅団管理猫にゃにゃみ・e00308)
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)
秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)
ヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020)
アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)

■リプレイ

●乗り込む迄の暇
 ――待つ時間とは、長く感じるものだ。
 マスター・ビースト残党軍との交渉に向かうチームを見送り、どれだけ時間が経ったか。
「~♪」
 鼻歌混じりに、様子を窺う七奈・七海(旅団管理猫にゃにゃみ・e00308)。隠密気流を纏っているが、身を潜める事を主眼に置くのはチーム内でも半数程。更には、対マスター・ビースト残党軍は6チームに上る。恐らくは、隠れ潜む類の防具特徴は、さして用を為していないだろう。
 尤も、今の所は上手くいっているらしい。マスター・ビースト軍のグランドロンの近くまで、特に戦闘も無く移動出来ているのが、その証左だ。
「……」
 その所為か、ヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)は酷く詰まらなさそうな表情をしている。戦闘と殺害を純粋に楽しむが故に、そこへ向かうのに必要な過程まで否定はしていまい。只、手持無沙汰を、持て余しているような。
「それにしても、月くんだりにまで来て、戦う事になるとはなぁ……」
 何とはなしに、水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)はぼやく。
「三つ巴の戦いねぇ……月に居ていいのは、兎だけって決まってるんだが、な」
「うーん……兎なら、神造レプリゼンタにもいるけどね。確か……パントファルドスだっけ?」
 パントファルドス、ギガトラルドン、そしてジェイダリオン――攻性植物と繋がっている人形を大事に抱え直し、アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)は神造レプリゼンタを数え上げる。彼らが置かれている境遇は、哀れにも思うけれど。
「だからと言って、地球上の動物種絶滅に走るのは、よくない……と思う」
「動物種毎にレプリゼンタを生み出すとか、ほんともう……ウェアライダーに売られた喧嘩なら、買わなきゃダメですよね」
 アンセルムの言葉に、七海は剣呑な面持ちで唇を尖らせる。レプリゼンタが「絶滅種の最後の1体」ならば、敵戦力の増加も、動物種を滅ぼされる事も防がねば。
「どーせなら仲良くしたいんだけどな! いっそ地球の側に亡命しないかな?」
 尤も、心通わせたボクスドラゴンのペレと共にいる所為か、ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)の言葉は明朗だ。
「そう? あのいけ好かないマスター・ビーストに産み出されたレプリゼンタよ。私達の敵に回るって言うなら、容赦はしないわ」
 一方、テレビウムの九十九を伴う橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)は、「ナイチンゲール」と銘したフェアリーブーツの様子を見ながら、ぶっきらぼうに答える。一応、履けば優しい気持ちになるシューズの筈だが……ざっくばらんな口調は相変わらず。
「私は……グランドロンの方が気になるなぁ。何だか色々と、翻弄されてるっぽい感じに見えるんだよね……」
 機会があれば声を掛けたいと、秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)が呟けば、鬼人も頷いて。
「そんな機会があれば、良いんだけどな」
 何せ、これから対峙するのは、神造レプリゼンタだ。難敵との長期戦は予想に難くない。
「最低限、撤退はさせないと」
 慎重な目標を呟きながら、ヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020)の横顔は好戦的な強気を帯びる。脳裏に、緑の獅子を思い浮かべて。

●勃発
 三つ巴の睨み合い――というよりも、寧ろマスター・ビースト残党軍を守るような布陣で待機していたケルベロス達。だが、本格的な戦闘となる前に、マスター・ビースト残党軍のグランドロンの外壁が爆発する。
「あそこだ!」
 すかさず二刀構えた鬼人の、刃の切っ先が示すのは――正に、交渉チームが神造デウスエクスモドキを攻撃して脱出してくる瞬間。
「行こう!」
 魔杖鞘"龍の顎門"握るノーフィアの掛け声に、真っ先にペレが、続いて七海が動く。ドラゴニアンとボクスドラゴンの連続攻撃に更に畳掛け、七海が放つのは敵の初手を崩すべくレガリアスサイクロン。暴風を伴う強烈な回し蹴りで、神造デウスエクスモドキを纏めて薙ぎ払う。
 そして、ヴォルフが掲げるのはルナティックヒール――氷河期の精霊を召喚する前に、仲間の火力を底上げせんと。
「速攻だね!」
 ヴィルフレッドが黒のシンプルな杖を振るうや、忽ちずんぐりとしたデグーに変化。チューと鬨の声を上げ、猛スピードで天翔ける。間髪入れず、アンセルムが翳した掌よりドラゴンの幻影が奔った。ドラゴンブレスも斯くやの炎が、異形を焼き捨てる。
「地球を守るケルベロスとして、あんた達に引導を渡してやるわ!」
 強気を言い放ち、芍薬は九十九と共に飛び出していく。やはり接敵の前に、バスターフレイムを以て神造デウスエクスモドキを炎上させた。
 無論、待機していた6チーム全てが、グランドロンに乗り込むべく、爆破で開けられた穴へと殺到している。
「もう、しかたないなぁ」
 謂わば『前衛』への圧力を減らすべく――狙撃の援護射撃を敢行する結乃は、頃合いを見計らい、グランドロンへ駆け出していく。

 ――少なくとも、ユグドラシル勢力への合流を行わないで欲しい。
 それが、マスター・ビースト残党軍との交渉の骨子であったという。更には「ケルベロスがマスター・ビースト残党軍を攻撃しない」「ユグドラシル勢力との戦闘では、ケルベロスが前線に立って戦う」といった『約束』も交わしていた。
 だが、交渉チームはグランドロンの外壁近くまで戻って来た所で、護衛についてきた残党軍の『神造デウスエクスモドキ』を撃破。内側からグランドロンを攻撃して突破口を開き、友軍をグランドロンに招き入れた。
 大混乱に陥った神造デウスエクスモドキは忽ち平らげられ、先行4チームは更に奥を目指す。取り急ぎ、グランドロンへの語り掛けは後回しだ。
 彼らの標的は勿論、神造レプリゼンタ3体。先導するのはギガトラルドンを狙う2チームだ。
 果たして――神造レプリゼンタらは、怒りも露に迎え撃つ。こうも簡単に裏切られては、それも当然だろう。
 なればこそ、けして負けられぬ。まず、2チーム掛りでギガトラルドンを引き離すや、残る2チームが切り込み、パントファルドスとジェイダリオンをも分断――こちらのチームは、緑の獅子と対峙する。
「ジェイダリオン、久しぶりだね。前回はお世話になったよ」
 ヴォルフが冷ややかに緑の眼を細める一方、ヴィルフレッドは不敵に言い放つ。
「前は、君達の攻撃を防ぐしかなかったけど……今回は、再生出来なくなるまで、戦い続けてあげよう。覚悟してくれ給え」

●ロングロングラン
「黒曜牙竜のノーフィアよりレプリゼンタ・ジェイダリオンへ。牙と剣の祝福を」
 黒曜断剣"猛き牙のジャガンナータ"を掲げ、ノーフィアは朗々と名乗りを上げる。
「悔いは小さくしたい。お互い手抜きも妥協も無し、全力でやろ?」
「裏切者が今更、正々堂々を語るか。笑止」
 憤り収まらぬジェイダリオンは、ノーフィアの言葉も苛立たしげに突き放す。
「そっちこそ、色々地球でも暗躍してたようだけど。多少は頭も切れるんでしょ?」
 続いて、芍薬もジェイダリオンの爪の軌道を遮りながら。
「もうマスター・ビーストもいないし、ここで私達に仲間になるって選択もありだとおもうけど……そこんとこどうなの」
「言うまでもなかろう!」
 牙剥き吼えるジェイダリオンと対照的に、芍薬はぞんざいに肩を竦める。
「あっそ。それじゃ、やっぱ見逃す訳にはいかないわね」
 胸部を変形展開させるや、出現した発射口から必殺のエネルギー光線を放つ芍薬。相棒に続き、九十九の巨大十徳ナイフが唸りを上げる。
「Weigern……」
 Vorzeit zauber――意味するところは『太古の魔術』】。遥か昔に失われた筈の約束の魔法術は『敵の破壊』を約束する事で精霊を召喚し、敵の治癒を阻害する。
「さて、今回はどれだけもつか」
 只々、殺害する為に。ヴォルフの呟きには、興味と好奇心が滲む。
 ――刀の極意。その名、無拍子。
 鬼人の一撃は、一切の無駄を省いた刀術の基礎にして奥義。認識していようと、来ると判っていようと、躱す事能わず。
 ――――!!
 長き時を刀と共に過ごし、常に刀を振るい続けた者のみが至る極地の技を、初撃から惜しみなく繰り出した。
 先に出たケルベロス達のグラビティは、それぞれに得手であるのだろう。鮮やかに閃き、獅子躯を穿つ。そして、ヴィルフレッドのスターゲイザーも、見事獣人の足を刈った。1箇所に留まるを避けるべく、すぐさま地を蹴る。
 畳掛けられるケルベロス達の連打に、ジェイダリオンも一溜りも無く――否。穿たれた傷が、見る見る癒されていく。
 ――――!!
 一閃された爪撃が、真空波を飛ばす。ディフェンダーをすり抜けて七海を抉れば、歯を食い縛った彼女はキッと敵を睨み据える。
(「叩き潰されようが叩き潰し返します。噛みつかれようが噛みつき返します」)
「血みどろの沼に、引きずり込んであげますよ!」
 剣呑を言い放ち、強化ガラスの短刀を振う七海。刃がジグザグに変じるや、肉をズタズタに斬り刻まんと。
 応酬の頼もしさに目を瞠りながらも、アンセルムは七海が被ったダメージに眉根を寄せる。一見して、防具耐性にそぐわぬ攻撃であったが……遠距離の一撃で負った傷の深さは尋常でない。
 取り急ぎ、七海にウィッチオペレーションを施しながら、アンセルムは確信する。
「クラッシャー、ですね」
 ジェイダリオンにしてみれば、自己回復著しい身で防御を固めたり、攻撃を回避する必要性は感じていないのだろう。
「それは……厄介、かも」
 だが、ノーフィアは怯まない。自身の右腕に古の鋼竜の魂を降ろして具現化、巨腕を叩きつける。
 ――我黒曜の牙を継ぎし者なり。然れば我は求め命じたり。顕現せよ、汝鋼の鱗持ちし竜。我が一肢と成りて立塞がる愚者へと鉄鎚を打ち下ろせ。
 同時、蒼い焔奔り、ペレのボクスブレスがノーフィアの巨腕の軌跡を正確になぞる。息も吐かせぬ攻防の最中、ノーフィアとペレの連続攻撃は、確かに誇らしかろう。見上げてくるペレに、ノーフィアはパチリとウインクしてみせる。
「……捉えるっ」
 そうして、結乃は超集中の果て、『第六感』の域まで研ぎ澄ました知覚を以て、ジェイダリオンの急所を確実に捉える。
 ――――!!
 バスターライフルによる狙撃に穿たれ、緑の体躯が仰け反るのも束の間。忽ち、肉が盛り上がり風穴は塞がれていく。
(「そう……こっちを見て」)
 ダメージが散じれば、メディックたるアンセルムも動き易いだろう。瞳孔を絞り切ったまま、結乃は引き続き狙撃の態勢。やるべきは唯1つ、斃れるまで、撃ち続ける。

●長々しき果てに
 破壊し、斬り裂き、穿ち、貫く――倒しても、倒しても、ジェイダリオンは復活し続ける。
 ――――!!
 振るわれる爪牙は、一撃一撃が重く、アンセルムは懸命に癒し続けた。ノーフィアの相棒ペレも、芍薬と肩並べる九十九も、せっせとヒールに当たっている。
 デウスエクスとて眼力を具えるならば、命中率からケルベロスの実戦経験もある程度測れよう。故に、後衛に立つ七海はよく狙われ、時に結乃も被弾したが、やはり見切りを鑑みてか、近接の攻撃が混じるのは幸いであった。
 ちなみに、稲妻突きとジグザグスラッシュは、共に敏捷に則ったグラビティだ。少なからずジェイダリオンに見切られるヴォルフだったが、あたかもルーチンワークの如く、粛々と攻撃を重ね続けている。
(「でも、このままだと……」)
 回復にも限度がある。回復不能のダメージが積み上がり切って、一角が倒れてしまえば……一気に押し切られかねない可能性に、焦燥を覚えるアンセルム。
 それは、ケルベロス全員が肌で感じている事だろう。それでも、今は只管に戦い続けなければ。10分経ち、20分経ち――更に長らえるべく、結乃がゼログラビトンを撃ったその時。
「な……」
 逸早く異変に気付いたのは、鬼人。周囲の壁が――グランドロンが、散じていく。
「え、ええっ!?」
 ビックリ眼を瞬かせる七海。崩壊したグランドロンは、忽ち無数のコギトエルゴスムに変わっていく――。
「ば、馬鹿な……!?」
 さしものジェイダリオンも呆然と立ち尽くし、崩壊進む天井を仰ぐ。
 それを見逃す、ケルベロスはいない。
「今こそ!」
 この期に及んでの超回復を阻むべく、太古の約束の魔法術を編み上げるヴォルフ。
 鬼人の渾身の雷刃突が奔るや、敵の強靭なる毛皮を斬り裂き貫く。
「報いを! 報いを! 尊厳を冒せし者に相応しき報いを!!」
 淤岐嶋乃鰐――其れは原始的な呪い。圧倒的な意思、報復の狂気が場を飲み込む。心魂を直接侵す凶暴な咆哮が、尊厳を剥ぎ取っていく。
 気力で殺す、必ず殺す。七海の意気が、ジェイダリオンの精神を抉る。
「エネルギー充填率……100%! いくわよ、インシネレイト!」
 赤熱して輝く拳を握る。熱エネルギーを手に集中させた芍薬は、掌の放出口から触れた敵の内部へ、膨大な熱量を送り込み内から爆砕させる。
 ――――!!
 目を見開いたままのジェイダリオンを、結乃の狙撃が、よくよく狙い、粛々と撃ち抜いた。
「――顕現せよ、汝鋼の鱗持ちし竜。立塞がる愚者へと突き立てろ、その鋼牙」
 ノーフィアが右腕に古の鋼竜の魂を降ろせば、腕の先に現れる龍の頭。
 ――――!!
 雄叫び上げて、喰らう。噛み砕かれた緑の体躯は――とうとう、膝を突く。
「怖がらなくていいよ、誰もが通る道だからさ」
 そうして――チラと周囲を見回し、気配を断つヴィルフレッド。相手の意識から自分の存在を一瞬だけ忘れさせ、敵の死角に忍び入り葬る。
 臆するな、死こそ最も公正にして平等な神なれば――。

 復活を繰り返す脅威の生命力を打ち破り、見事ジェイダリオンに引導を渡すケルベロス達。その骸は忽ち儚く霧散する。
「ん、こんにちはー。何してあそぼーかー?」
「その気が有るのならこっちにつけ。安全は保障する」
「色々利用されてたようだけど、もう大丈夫よ。これからは、あなた達の意志で生きられるわ」
「あっちへ行ったりこっちへ行ったり、改修されたり。どう思ってるのか分からないけど、とりあえずこっちに来れば、守りたい物は好きに選べるよ。検討して貰えれば」
「自分の意志が、やりたいことがあるなら、わたしたちはいつでも歓迎だよ」
 ――そうして、グランドロンチームに合流したケルベロス達は、それぞれに思いの丈を口にしながら、コギトエルゴスムの回収まできちんとやり遂げる。
「さて、どうなる事か……」
 婚約者からのロザリオに手を添え、鬼人は無事終わった事に感謝の祈りを捧げた。

作者:柊透胡 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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