『赤ずきん』再誕計画~恋話かぼちゃとペポハロウィン

作者:のずみりん

 デスバレスの海底は異様な橙が敷き詰められていた。
「『赤ずきん』や、ようやく準備ができたよ」
 橙の正体は集いうごめく数百体もの南瓜のお化け『南瓜うにうに』、そしてこの異常な光景の元凶こそ中心に呟く『ポンペリポッサ』に他ならない。
 彼女は謡う。死神と共に、呪いの言葉を。
「このハロウィンが、『赤ずきん』を蘇らす事ができる最後のチャンスだ。あたしがハロウィンの魔力を死神に渡せば、ジュエルジグラットは今度こそ終わりになるだろうさ」
 だけど構いやしない。
 断ずるようなその声に新たな影が動き出す。
「あんたを見捨てたジュエルジグラットなど、何度でも捨ててやるのだから」
 吐き捨てられた言葉と共に、立ち上がる三体の死神の魔女が『南瓜うにうに』の橙が消えていく。
 そして一呼吸置き、ポンペリポッサも、全てが消える。
 嵐の前の静けさのように、デスバレスの海底は静寂へと戻っていった。

「『『暗夜の宝石』攻略戦』では、みなよく頑張ってくれた。世界……いや地球滅亡の危機を皆は救ったんだ」
 地球の全てを代表して、というのもおこがましいが……と、リリエ・グレッツェンド(シャドウエルフのヘリオライダー・en0127)は『ありがとう』と、ケルベロスたちに労いの声をかけた。
「……こんな大仕事の後で心苦しいのだが、滅亡の危機を回避したハロウィンに動き出したデウスエクスが予知された」
 またも、だ! 集まったケルベロスたちと同じくらいにリリエの顔は苦々しい。
「ドリームイーター、『寓話六塔』ポンペリポッサの事は覚えているか。寓話六塔戦争で姿をくらました彼女は死神と合流していたらしい」
 ポンペリポッサの目的は々寓話六塔の一人、『赤ずきん』の復活。
 彼女はそのために三体の死神の魔女、数百体の死神『南瓜うにうに』を引き連れ、季節の魔力一つ『ハロウィンの魔力』を強奪にハロウィンの祭を襲撃しようとしているのだという。
「『赤ずきん』の復活という脅威は勿論、そのために各地のハロウィンパーティが襲撃されれば大きな被害が出てしまう」
 人類の未来のため、そして平和なハロウィンのため、なんとしても彼女の陰謀は食い止めなければならない。

「ポンペリポッサを迎え撃つ作戦だが……ケルベロスハロウィンを活用する」
 リリエはそういって会場とポンペリポッサ、三人の死神の魔女を図に示す。
「ポンペリポッサ達は、最も盛り上がったハロウィンパーティーの場所に現れて、ハロウィンの魔力を強奪しようとしている。つまり、ケルベロスハロウィンを大きく盛り上げれば、ポンペリポッサ達をケルベロスハロウィンにおびき出せる……というわけだ」
 皆には『恋話かぼちゃランタン』の会場を盛り上げ、死神の魔女の一人『昏迷のペポハロウィン』と配下の『南瓜うにうに』を相手どってほしいと、リリエは図に書き加えた。
「作戦は三班で行うが、最も盛り上がった場所には『昏迷のペポハロウィン』が直接現れ、それ以外には『南瓜うにうに』が十二体ほど出現する……が、ペポハロウィンは一班で戦うには苦しい相手だ。素早く『南瓜うにうに』を倒すか回避して、救援に向かう必要がある」
 足止めの『南瓜うにうに』を素早くやりすごすのにも、ハロウィンの盛り上がりが活かせる。
『南瓜うにうに』はハロウィンの魔力を好物としており、盛り上がりが大きければ魔力を集めるのに夢中で戦闘を放棄してしまう。
 この状態では『南瓜うにうに』の側から仕掛けてくることはないので、向かってくる敵だけを倒していけば半分以上の敵と戦わずにやりすごすことができる。
「倒さなかった『南瓜うにうに』のぶんだけ、ハロウィンの魔力は持ち去られてしまうが……魔女の撃破とどちらを優先するかは悩ましいところだ」
 リリエが言うには、魔女の力を得た『死神の魔女』達は、ドリームイーターが持つ『季節の魔力』を操る力に目覚めつつあるという。
 ハロウィンの魔力を奪わせないことも大事だが、彼女たちを撃破しきれなかった場合、死神による季節の魔力の強奪事件が起きるかもしれない。
「それと純粋に戦力比の話だが……十二体の『南瓜うにうに』と正面から戦うのは、今の皆でも少々苦しいと思う。撃破を優先する場合も、相応の作戦は立てておいた方がいいだろうな」

「ポンペリポッサと『死神の魔女』……この二つの合流は生き残った場合、かなり厄介になる可能性が高い。ビルシャナ大菩薩に続いて面倒なところだが、できればここで叩いておきたいところだな」
 平穏なハロウィンパーティのためにも……そう付け加え、リリエはケルベロスたちに頼むぞと告げた。


参加者
ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)
ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)
齋藤・光闇(リリティア様の仮執事・e28622)
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)

■リプレイ

●恋話は揺れる誘蛾灯
「皆様、【恋バナ人狼】イベントの司会進行をさせていただきます。齋藤光闇と申します!」
 仮装に湧くケルベロスハロウィン会場、『恋話かぼちゃランタン』の一角に立ち上げられたステージより声をあげる、歯車飾りが目を引くハロウィン仮装のスーツ姿の齋藤・光闇(リリティア様の仮執事・e28622)を拍手が迎える。
「イベント名だけだとなんのこっちゃ? あ、いや、あ分かった! と言う顔がチラホラと……て気になるイベント内容ですが……!」
 言葉巧みに盛り上げる光闇に、会場のケルベロスたちもこなれたもの。
 ハロウィンを狙う死神の魔女迎撃が目的とわかっていても、いやわかっているから会場は大いに盛り上がる。一般人の集まるイベントを守るのに比べれば、ケルベロスたちに向かってきてくれるのは随分と気が楽なものだ。
「恋バナ人狼、つまるところは人狼ゲームです。共通の恋バナと話題をグループに振り分けますので、多数側の方は少数の話題の人を当ててください。少数側は多数側の恋バナを当てるか、時間内に充てられなければ……」
「恋バナ人狼ね……オレも興味があるからね。試しに参加してみようか」
 コレでも悩みは多いんだぜ? と短く切った髪を指す目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)に、ゲームの様子を伺う純白のフリルドレス姿のティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)は神妙そうに首を傾げた。
「正直恋をしたことないからわからんのだが……恋とはそもそも何なのだろうか?」
「ボタンの掛け違いで幾らでも変わるよ、それは……なかなか哲学的な質問だな」
 こういう時に頼りになりそうなのはと周囲を見回してみるが。
「南瓜より甘いリア充め」
 曰く、リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)。
「恋人にはなってないけど、気になってる子はいる………かな……よくお話してるうちに好きになってて、その子が他の人と仲良くしてるとモヤっとしちゃったり、とか……うん、したことあるよ、一緒にイベント楽しんだりとか」
 曰く、空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)。
「甘酸っぱい乙女め」
 突っ込むのは、リティ。
「わたしの大切な人はね、とっても強くて、可愛い自慢の人ですっ! もちろんあるよっ、離れていてもいつも一緒だよって……」
 曰く、シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)。
「安納芋より甘いリア充め」
 突っ込むのは、リティ。
「……ダメだこりゃ」
「命を懸ける事らしい、というのは理解できなくもないが。うん」
 妙にリズミカルなノロケと突っ込み、しかし漂う『ばくはつしろ』というオーラは本物の謎の南瓜黒ナース、もといリティに真はティーシャとそっと見守る事にする。
「恋人……ぃる? したこと、は……よくわ、わからなぃ」
「わかりました。御題は『贈り物』ですね?」
「正解!」
 光闇が身振り手振りで勝者と勝利を宣言する。
 何回目かの対戦、キョンシー姿のラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)の回答に続いた、ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)が見事に正解を引いたようだ。
「勝者のピコ様にはナノナノぬいぐるみ(ハロウィンver)をプレゼントです! ちなみに恋話の方は?」
「ダモクレス陣営から抜ける際に助けてくれた人が気になる人です。恋という概念はわかりませんが」
「きっと恋だよ、なんかロマンチックだよね!」
 ラプンツェルをイメージした仮装……脚立と垂れ幕の塔までついたピコを祝福するシルは女神様イメージのプリンセスモード。
 幽霊イメージの白ワンピースの無月と二人で挟めば動と静、美しい好対照だ。
「好意の一種、ということでしょうか……いえ、推察の時間はないようです」
 首を傾げながら商品をピコが受け取った時。万雷の拍手の中にそれは現れた。
「最高に盛り上がるタイミング……なるほどな!」
「こっちも最高に高まったところ……やろうか」
 しみ出すようにステージ周辺を覆い尽くすのは南瓜スイーツにも見える『南瓜うにうに』。
 その得体のしれぬうごめく姿に頷き合い、ティーシャとリティは仮装から戦闘武装を展開した。
「ドローン各機、支援対指定完了……データリンク開始」
「これ、リティさん?」
 黒ナース風ぬいぐるみめいたドローンに驚くシルに、気のせいよと一声。
 二人の声に、南瓜を被ったナース姿の『メディカルドローン』一機が円を描いて飛翔した。

●南瓜うにうに林立
 橙の森めいた『南瓜うにうに』の群れが吹き出す炎に対し、ボクスドラゴン『リリ』のエクトプラズム属性が拮抗する。
「うにー」
「うにー」
「うにー……」
 キョンシーぴょんとキョンシー姿で跳ねて見せるラトゥーニに追随し、動いた影は五つ。
「死神の魔女は……けっこう遠いね、また!」
 気配を感じた真を、遭遇班の花火が確信させる。
 残念だが少々遠い。突破、そして背後を撃たれぬためにも、まずは跳ね回る『南瓜うにうに』たちを何とかするしかなさそうだ。
「リティさんより目標のマーキング情報を共有しました。ナノマシン散布、ダミー投影開始。集中して叩いていきましょう」
「動かない南瓜はそっとしてぉぃて……」
「翔之助はひたすらブレスだ、任せたぞ」
 仮装に偽装していた『増設型擬似螺旋炉』を起動したピコから『多重分身の術』の支援が真とボクスドラゴン『翔之助』の姿をぼやかし隠す。
 ラトゥーニのゴーストヒールが惨劇の記憶を力に変え、リリもまた立ち直った。長期戦の構え、そう易々と倒れるわけにはいかない。
「性に合っているのはこちらだな」
「さぁ、この至近から避けられるか?」
 ティーシャの『バスターライフルMark9』が放つゼログラビトン弾に続き、真の気咬弾が南瓜うにうにのケーキ台座をごっそりと抉る。
「うにー!」
「深海魚型程度との事でございますが……っ」
 ホッピングおもちゃのように跳ねまわり、南瓜の口でくらいついてくる南瓜うにうに。間一髪で光闇がオウガメタルの腕を食わせ受けたが、即座に意外な膂力に身体が持っていかれそうになる。
 あまりに生物離れしたうにうにの姿と動きに苦戦しつつ、シルは光闇ごと羽の候とする瞬間を旋刃脚で払い蹴とばした。
 ケーキ状の下半身大半を失い、倒れ弾けるうにうに。まず一つ。
「なんていうか、遣り辛い!」
「空間戦装備をこう役立てることになるとはな……!」
 横に『泳ぐ』深海魚型死神に対し、うにうには縦方向に跳ね回る。ティーシャの月面戦用に改修した『アームドフォートMARK9改』が機動戦に活躍してくれなければ、かなり危なかったところだ。
「捕まえた。後の先で」
「りょ」
 ティーシャの牽制に落とされた南瓜うにうにを無月が全身防御、ラトゥーニの暗黒縛鎖が縛り上げる。すかさず『星天鎗アザヤ』を回転させ、極寒の突きがうにうにを撃つ。
 貫けない。クラッシャーではないラトゥーニや無月の一打では捉えられても威力が足りないのか。
「……凍てつけ」
 だが、予想の範疇だ。
 再び跳躍しようとするうにうにを『烈凍槍』の霊力が内部から凍り付かせ、一気呵成に打ち砕いた。

●南瓜の森を超えて
「あと三つ……星はまだある?」
「ごきげん、ななめさんじゅぅ……くらぃ?」
 傷ついた無月を『凝縮する闇』が癒す。ラトゥーニの調子はいつものままだが、指し示された魔女との戦況はかなりまずい。
「あら、もう終わり? 地獄の番犬なんて名乗っている割に、大したことないのね」
「私は……あの時、あなたに何も……」
 ぺポハロウィンのあざける声に、虚空を睨む獅子谷・銀子の苦い顔。
 チェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614)、リューディガー・ヴァルトラウテ(猛き銀狼・e18197)たちの戸惑いと苦悶が、うにうにたちの向こうに凄惨さを見え隠れさせている。
「茜さんたちの方は突破したみたいだけど……こっちも急がなきゃ」
 状況はかなり悪いが、まだ負けたわけではない。救援に駆けつけていく折平・茜の羊角を見つけ、シルは声に出して奮起する。
「こちらも切り札と致しましょう。来てくださいませ、魔人卸し……あぁ……!」
 卸された『もう1人の光闇(魔人卸し)』の力が、彼に鮮血を纏わせる。銀は黒に、赤は血に。
 その叫びは苦悶でなく、けだるく、獰猛な唸り。
「リティ、ウイルスだ! 癒しは足りてっからなァ!」
「変わった? ……了解。メディカルドローン、リターン。ウイルス弾を装填、支援射撃開始」
 スーツの下地と化した黒ナース服に潜るよう消える『メディカルドローン』と同時、展開した『強行偵察型アームドフォート』の砲が迫撃砲のような急角度で殺神ウイルスのカプセルを投射する。
「っしゃぁ、おらぁっ!」
 カプセルを蹴り押し込むような光闇のスターゲイザーが、真上からうにうにを襲う。
 べコリと凹んだ南瓜頭はもはや癒される気配もなく、すかさずピコの『破鎧衝』がひび割れを伝わり、粉々にその頭部を吹き飛ばした。
「残り二つ、お願いします」
「任せて! 闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……!」
 ピコの声にシルが詠える。
 詠唱と共に高ぶる精霊収束砲の輝きを止めんと、炎をぶつけてくる南瓜うにうにたち。だがそれを遮る小さな多重壁も共にあった。
「ん、リリ……ここでぃ、ってみょ?」
 ラトゥーニの声に投げ込まれるボクスドラゴン『リリ』の身体。ここが正念場だ、リリの意見は求めない。
 尊い犠牲が稼いでくれた時間に、シルの増幅魔法『六芒増幅(ヘキサドライブ)』が加速バレルを完成その必殺の一撃を放つ。
「……六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 放たれる『六芒精霊収束砲』に合わせ、背中に展開された魔力の翼が反動に抵抗する。
 そうしなければならなほど、凄まじい集束率の魔力が迸り跡形もなく南瓜うにうにを消滅させる。
「みんなっ、これで!」
「後詰めは任せろ! 『斬環の末妹』が引き受けた!」
 駆け出す仲間たちと並ぶティーシャのアームドフォートには、巨大なマスドライバーユニット『ジャイロフラフープ』が装備され、その身を高速に失踪させていた。
 飛び跳ね追いすがろうとする南瓜うにうにをけん制するスラローム。高速機動によろめいたうにうにへとぶつかり、押し倒しながらジャイロフラフープだけを切り離す。
「お前はここで仕舞だ、デウスエクリプス!」
 零距離から放たれた運動エネルギーの戦輪『デウスエクリプス』はうにうにを三枚におろし、ティーシャを見送るようなテレサの残霊と共に消えていった。

●ぺポハロウィン決戦
 苦戦する仲間たち、死神の魔女への最後の数歩を真は跳躍で一気に詰めた。
「破ッ!」
 武装の間合いも装備にも拠らず、隙なく放たれた『蹴剣』がペポハロウィンの邪悪な笑みをかき消す弧月を描く。
「久しぶりだね。オレの手で、かつてのモザイクに苛まれる姿に戻してやろうか?」
「その声……姿ッ!」
「真の嬢さん!」
 宿敵の強襲に声を失ったペポハロウィンへ、ヴィクトル・ヴェルマンの快哉と共に二条の流星が追撃する。
「獲物に不足はねぇようだなぁっ!」
「茜さん、さくらさん! 大丈夫っ!?」
 足を取られた魔女を光闇とシルのスターゲイザーが捉え、一気に大事へと叩きつけた。
 守り、拘束、止めの火力。薄氷の窮地にして、全てがそろった。
「何人来ても、同じは同じと……」
「その傲りが命取りだ」
 ペポハロウィンの魔術が襲おうとする瞬間を撃ち抜くティーシャの『カアス・シャアガ』竜撃砲。足止めを受ける魔女を尻目に戦場を覆う祝福の花びら。
「やらせはしない……これ以上は」
 それは無月の放ったフローレスフラワーズの花弁。ケルベロスたち……特に始まりより戦い続けた茜たちの傷はヒールの限界を超えつつあるが、異常をいやす輝きはヒール以上に効果的だ。
「敵動作の鈍化を確認。ナノマシン残量減少、ですが……勝機です」
 更にピコのブレイブマインが仲間たちの背を後押し、そして獅子谷・銀子が組み付いたところへ、一気にケルベロスたちの反撃は叩きこまれた。
 三班二十四人による一斉攻撃、積み上げられた束縛はペポハロウィンの離脱も癒しも許さず、すりおろすようにその生命を削り倒していく。
「……この私が? いえ、こんな猟犬達になんて……」
「いいや、順当だね。オマエの心にモザイクが残る限り、何も変わりやしないのだからな……砕いてやる。覚悟しろ!」
「これで……ぉしまぃ」
 ラトゥーニの暗黒縛鎖が掴み上げたペポハロウィンへ突き刺さる真の破鎧衝は、余裕の笑みと守りを砕く。
「任せたよ、止めを!」
 チェレスタとリューディガーの支援を受け、ヴィクトルが最後、真に頷きガジェットへとグラビティチェインを纏わせ、機獣形態へと変形させる。
「最期が猫の獲物とは……ね。じゃあな、嬢さん」
 けしかけられる機獣は猫のように鋭く、残忍。
 ズタズタにされたペポハロウィンの身体が夜の闇へと消えていくまで、そうかからない。
「作戦終了、ね」
 失恋の涙に似た儚い光がハロウィンの夜に流れていくなか、リティの声が『合図用花火ランチャー』を打ち上げる。
 討伐を知らせるケルベロスたちの花火は美しく夜空を彩った。

作者:のずみりん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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