城ヶ島制圧戦~名も亡き剣士に捧げる挽歌

作者:朱乃天

 ――喰らった血肉は果たして誰のモノだったのであろうか。
 存在すらも疾うの昔に消滅された剣士の話など、もはや何の意味もないかもしれない。
 だが、その力と技は彼のモノへの糧となって、今この決戦の地で甦ろうとしていた。
 抗う地獄の番犬共を屠ろうと、竜は己の刃を研ぎ澄ませながらその刻を待っていた――。

 緊急でケルベロス達を招集した玖堂・シュリ(レプリカントのヘリオライダー・en0079)。彼女の表情はいつもと変わらないが、どこか緊迫した雰囲気を漂わせていた。
「城ヶ島の強行調査の結果、『固定化された魔空回廊』が存在する事が判明したよ」
 先の調査活動で進展があった事を報告するシュリ。続けて彼女の口からは、次の作戦内容が伝えられる。
「この固定化された魔空回廊に侵入し、内部を突破する事が出来れば、ドラゴン達が使用する『ゲート』の位置を特定する事が可能になるよ」
 もしも位置さえ判明すれば、その地域の調査を行った上で、ケルベロス・ウォーにより破壊を試みる事も出来るだろう。
 そして、『ゲート』を破壊する事が出来れば、ドラゴン勢力は拠点を失って新たな地球侵攻を行えなくなる。 
 つまり、城ヶ島を制圧し、固定された魔空回廊を確保すれば、ドラゴン勢力の急所を押さえる事が出来るのだ。
「強行調査の結果、ドラゴン達にとって固定された魔空回廊の破壊は、最後の手段であると考えているみたいだね」
 ゆえに電撃戦で城ヶ島を制圧し、魔空回廊を奪取する事は決して不可能ではない。
「ドラゴン勢力のこれ以上の侵略を阻止する為にも、キミ達の力を貸してほしいんだ」

 続けてシュリは、今回の作戦におけるチームの役割を伝達する。
 今回の作戦では、仲間の築いてくれた橋頭堡から、ドラゴンの巣窟である城ヶ島公園に向けて進軍する事になる。
 進軍の経路などは全て予知によって割り出しているので、その通りに移動すれば良い。
「固定化された魔空回廊を奪取するには、ドラゴンの戦力を大きく削ぐ必要があるからね。それで、キミ達が戦うドラゴンだけど……」
 そう言って、ケルベロス達の相手となるドラゴンの詳細を説明し始める。
 ドラゴンは赤黒い鱗をしていて、非常に好戦的な性格だ。ドラゴンは過去に喰らった存在によって、それに伴う進化を見せる。
「今回戦うドラゴンは、魔剣を操る剣士を喰らったみたいだね」
 その影響からか、接近戦を得意としているようだ。
 攻撃方法は、魔剣のように鋭い爪で斬りかかり、尻尾を振るって巧みに戦ってくる。時には毒の息を撒き散らして、集団を毒で侵そうとする。
「強敵相手になるけど……もし敗北すると、作戦を断念しないといけない場合もあるから」
 よって、この戦いを含めた今回の作戦の命運は、キミ達の双肩にかかっている――。
 シュリはケルベロス達を鼓舞しながら、すっと目を閉じる。
「だけど……何よりもキミ達の命の方が大切だから。必ず、全員で無事に帰ってきてね」
 最後に、祈りを捧げるように囁いた。


参加者
仁志・一紀(流浪の番犬・e01016)
フクロウ・リブラフォレスト(影のない竜翼・e01213)
エイン・メア(ライトメア・e01402)
山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)
岡留・辰衛(瘧師・e05860)
狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)
東雲・時雨(異風者・e11288)
平島・時枝(フルメタルサムライハート・e15959)

■リプレイ


 城ヶ島公園の一画にある砂浜に立つ、一体のドラゴンの姿があった。
 かつて剣士を喰らった時と同じように、自分に挑もうとする勇猛かつ無謀な勇者の到着を、今や遅しと待ち侘びていた。
 しばらくすると、上空から風を切る音が聞こえてくる。
 音は次第に大きくなって、公園の真上を巨大な影が通過する。
 空を飛行する一機のヘリオンの起こした風によって砂が舞い上がり、複数の影が砂煙の中を突き抜けるように飛び出してくる。
 ドラゴンの前に姿を現した彼等――八人のケルベロス達が、ドラゴンを討ち倒さんと武器を構えて立ち向かうのだった。
「すっごい殺気……やっぱ、一筋縄じゃいかないかもね……」
 山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)はドラゴンの姿を見ただけで、溢れ出る気迫に気圧されそうになっていた。それでも潜入調査をしてくれた仲間達の労力を無駄にしない為にと意気込んで、ドラゴンに負けじと気合を滾らせる。
 ドラゴンがケルベロス達の存在に気付くや否や、彼等が仕掛けるよりも早く動き始めた。
 先手を取ったのはドラゴンだ。好戦的な性格だと聞いていた通り、よほど戦いが待ち遠しかったのだろう。歓喜の雄叫びを上げながら、筋骨隆々とした太い腕を振るい、刃の如く鋭利な爪でケルベロス達に襲いかかった。
「楓さんのスピードよりも速いっすか!? それでこそドラゴンっすね!」
 攻撃の矛先は狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)へと向けられた。瞬時に斬霊刀で受け止めるが爪の威力は衰えず、楓は力任せに吹き飛ばされてしまう。だがそこは獣人ゆえの身軽さで、空中でくるりと一回転して難なく砂浜へと着地する。
 楓が地面に足を着けた瞬間、腹部に激痛が走って鮮血が滴り落ちる。直撃こそ免れたものの、防ぎ切れなかった分の傷が刻まれていた。もしまともに喰らっていたらただでは済まなかっただろう。
「ふぁいおーぉ! ですーぅ♪」
 後方からエイン・メア(ライトメア・e01402)が声援で励ましながら、快楽エネルギーを濃縮した霧を散布して、楓の傷をすぐに治療した。
「ドラゴン相手では一筋縄ではいきませんからね。気を引き締めて行きましょう」
 明るく振舞うエインとは対照的に、岡留・辰衛(瘧師・e05860)が引き締まった表情で雷の壁を展開させて、ドラゴンの攻撃に対抗する。
 辰衛の言うように、ドラゴンは単体のみとはいえ他のデウスエクスよりも強力な存在だ。だからこそ、彼とエインの二人がメディックとして常時回復が出来るように備えていた。
「私もかつて愛剣を失った身。されど、この場では敢えてこう名乗ろう――我は天秤の剣士、フクロウなり!」
 勇猛果敢に名乗りを上げてドラゴンの前に立ちはだかるのは、フクロウ・リブラフォレスト(影のない竜翼・e01213)。
 彼の左腕と翼は地獄の炎と化している。その際に『愛剣』を失った過去を持っているからか、剣士を喰らったこのドラゴンには思うところがあった。
 そう何度も『剣』を奪われるわけにはいかない……強い決意を胸に宿すと炎の翼が燃え上がり、皮膚を硬質化させて守りを固めて迎撃態勢に入る。
 メンバーの中で守り手を担うのは、彼の他にはボクスドラゴンのルタのみだ。接近戦を得意とし、火力に特化したドラゴンを相手取るには少々心許ない面はある。
「ドラゴン……しかも剣客を喰らった奴となれば、相手にとって不足無し! 皆の勝利の為に、最初から全力で行かせてもらうッ!」
 東雲・時雨(異風者・e11288)が後方から斬撃を飛ばして、ドラゴンの注意を引きつけようと試みる。しかし、ドラゴンの強固な鱗によって斬撃は弾かれてしまう。
 太陽の光に照らされて赤黒い輝きを放つ竜の鱗は、まるで今まで浴びてきた返り血が染み込んだかのような、歴戦の重みを感じさせるほどだ。
「どうしたよ。竜のくせに、以前喰らった相手から奪った借り物の業しか使えねェのか?」
 時雨と並ぶようにして後方に位置取った仁志・一紀(流浪の番犬・e01016)が、全力でドラゴンに駆け寄って、鉄塊の如き巨大な剣を叩き込む。
 前衛の負担を減らす為、ドラゴンを怒らせて攻撃の矛先を後衛に向かせようとするのだが。一紀が振るった剣は爪で防がれてしまい、彼等の思いも刃もドラゴンにはまだ届かない。
「出合いましたるは剣士を一呑み腹に収めたる竜が一匹ってな。竜の腹で燃え残った魂、いっちょドンパチで燃やし尽くさせてやろうかね」
 背中に背負った斬霊刀を抜きながら、威勢よく口上を述べるは平島・時枝(フルメタルサムライハート・e15959)だ。
 そのまま剣で斬りかかると思いきや、空いている方の片手から素早くリボルバー銃を取り出して、フェイント気味にドラゴンを狙い撃つ。
 放たれた弾丸はドラゴンの肩を撃ち抜くが、痛がる素振りを微塵も見せず、嘲笑うようにケルベロス達を見下した。
 剣士の技を操る竜と地獄の番犬達の死闘は、まだ始まったばかりだ――。


「いざ、尋常に勝負だよ!」
 涼子が拳に込めた重力を破壊力に変換させて、力一杯ドラゴンを殴打する。拳は鱗を突き破ってじわりと血が滲み出てくるが、ドラゴンは意にも介さず涼子を振り飛ばそうとする。
「仲間を傷つけるなら、楓さんがその倍切り刻んであげるっす!」 
 楓の頭上に無数の刃が浮遊する。螺旋の力で操る刃は旋回しながらドラゴンの前で揺らめいて、微睡の中へと誘おうとする。
「このまま眠ってしまったほうが楽っすよ? 楓さんはそれじゃつまんないっすけど」
 一瞬、ドラゴンの勢いが弱まった。楓は不敵に笑いながらも警戒は怠らない。ドラゴンの弱点を探ろうと、攻撃中も次の一手に思考を巡らす。
 強きが弱きを従えたるのは、いつの世も、人も獣も同じ事である。なれば今一度、刃合わせ力にて雌雄を決しようではないか。
「――平島塵風斎時枝、全霊にて御相手仕る」
 ドラゴンを正面に見据えて、臆する事なく対峙する時枝。息を大きく吸い込むと全速力で疾走し、ダッシュ時の摩擦で生じた炎を纏った脚で、ドラゴンの足を思いきり蹴飛ばした。
 ぐらり、とドラゴンの巨大な体躯がよろめくが、すぐに体勢を直して身構える。まずは最前列にいる目障りな者達から片付けようと、大木のような尻尾を豪快に振り回して薙ぎ払おうとする。
「その剣と技、我が剣技によって受けて見せよう」
 だがここは、フクロウとルタが咄嗟に盾となってドラゴンの攻撃を抑え込み、被害を最小限に食い止めるのだった。
「んむんむーぅ、こういう時はわたしにお任せあれですーぅ♪」
 エインがひたすら笑顔で戦いを愉しむかのように漆黒の鎖を展開させて、地面に魔法陣を描いて前衛陣を回復すると同時に守護の力を付与させた。
「どうした、その程度か? 東雲流――『鬼斬否』!」
 時雨が禍々しいまでの剣気を刃に込める。幼少時からの修練によって身に付けた、卓越した剣術から繰り出された斬撃が、ドラゴンの鱗を斬り裂いた。
「グルルウウゥゥゥッ!?」
 幾度目かの挑戦でようやく命中に成功したその箇所は、ドラゴンにとってまさに『逆鱗』と呼ぶモノだった。
「グガアアアァァァッ!!」
 ドラゴンの眼に殺意が宿る。怒りを覚えたドラゴンは、後衛陣に攻撃の目を向ける。
 口から噴出される闇色の息。暗く澱んだ瘴気は、まるで人の肉が腐敗したようなおぞましい異臭を漂わせ、ケルベロス達を蝕んでいく。
「くっ……これしきの事で倒れるわけにはいきません!」
 辰衛がすかさず光のカーテンで仲間を覆って、闇の瘴気を打ち消し毒を浄化する。
「爪だけに、所詮は『小手先の芸当』だな」
 一紀が更にドラゴンを煽り立てながら、脚に重力を込めて強烈な蹴りを打ち込んだ。
 最初はドラゴンに押されて後手に回っていたケルベロス達だったが、ドラゴンの攻撃を分散させた事で各自の消耗が抑えられ、ここまでは目立った損傷もなく互角の勝負に持ち込んでいた。
 とはいえ高い威力を誇るドラゴンの攻撃は決して侮れない。せめて直撃を受けないように最大限の注意を払いながら、戦いは進められていく。
「やっぱりドラゴンって半端無く強いね……。でも、逃がさないよ! 瞬地拳!!」
 涼子は体内に溜め込んだ気を一気に解放し、爆発的な加速力で瞬時にドラゴンの懐に潜り込み、拳を叩き込もうとしたのだが――彼女の単調な動作は完全に見切られていた。 
 突き出した拳はドラゴンの身体を掠める事なく空を切り、即座にドラゴンが反撃に転じる。迫り来る刃に反応するも間に合わず、爪の剣尖は涼子の身体を刺し貫いて、赤い体液が爪を染め上げていく。
 涼子はそのまま地面に落とされて、受け身を取る事も出来ずに叩きつけられる。起き上がろうとしても身体が動かない。彼女にはこれ以上戦う力は残されていなかった。


 涼子の離脱で戦力を一人欠いてしまったが、ケルベロス達の戦意は少しも衰えない。
 エインと辰衛のメディック二人が戦線を支えてドラゴンの猛攻を耐え凌ぎ、その間も攻撃を緩めずに攻め続け、ドラゴンへのダメージを蓄積させていく。
「コイツでブッチ抜けぇりゃああぁぁッッ!!」
 時枝が腕を激しく回転させて放った一突きが、ドラゴンの肉体を抉り取る。
「血沸く! まだまだこれからだぞ!」
 フクロウが竜の翼を盾として、守り役に徹してドラゴンの攻撃を踏み止まって受け流す。
 ケルベロス達の予想以上の抵抗にドラゴンも苛立って、なりふり構わず仕掛けてくる。
 癒し手を排除しようと毒の息を撒き散らすが、ルタが辰衛を庇って毒の脅威からその身を守る。代わりに毒を受けたルタの消耗は限界を超えてしまい、その場で倒れ込んでしまう。
「くッ……中々やるじゃねェか……。だが、これで倒れるわけにはいかねェ!」
 身体に纏わりつく毒の瘴気は、まるで剣士の亡霊があの世へ引き摺り込もうとしているかのようだ。一紀は意識を失いかけそうになるが、鉄塊剣を地面に突き刺して身体を支える事で必死に堪える。
「地獄の番犬を――舐めるなよ!」
 自らを只の一兵と称し、戦場を求めて彷徨う事しか知らない男の意地だった。極限まで集中力を高めた精神は裂帛の気合となって、烈火の如き気魄が爆ぜてドラゴンの肩を吹き飛ばす。
「一気に畳み掛けるぞ。こいつで引導を渡してやるッ!」
 時雨はここが勝負所と読んで火力を集中させる。両手に携えた漆黒の手裏剣を高速回転させると、左右に巨大な竜巻を発生させる。生み出された竜巻は時雨の意のままに動いて、ドラゴンを圧し潰そうと挟んで重なり合う。
 竜巻に巻き込まれたドラゴンは、風の刃によって身体を斬り裂かれて体力を削られる。
「魔剣士の力、爪や尻尾で攻撃するだけで使いこなせてると思ったら大間違いっすよ!」
 常に前線で戦い続けてきた楓も満身創痍の状態ではあるが、どれほどの苦痛に侵されようと顔には出さず笑顔を絶やさない。
 追い討ちをかけようと、手にした惨殺ナイフで傷口を積み重ねるように斬り広げ、刃を深く刻み込んでいく。
「グオオオオォォォッ!!」 
 大気が震えるほどの咆哮と共に、ドラゴンが楓を狙って爪を振り翳す。黒緋の軌跡を描いて襲い来る凶刃を躱す事もままならず、狐耳の少女は斬り伏せられついに力尽きてしまう。
 崩れ落ちる楓の身体をフクロウが抱き止めて、蔑むように一瞥するドラゴンを鋭い眼光で睨み返した。
 前衛の攻撃手は二人とも倒れてしまったが、彼等は確実にドラゴンを追い詰めていた。
 まだ戦力は残っている。最後まで諦めるわけにはいかないと、武器を強く握り締めて闘志を奮い立たせた。
「もう一息ですね。私達も援護します!」
 回復役に専念していた辰衛も攻撃に加わって、ドラゴンを攻め落としにかかる。
 相手が圧倒的に格上であっても、怯むことなく果敢に戦ったルタの分まで戦い抜こうと、誓いを込めて力を集束させる。
 一点に注がれた力は、空間が凍てつくような冷気を纏った弾丸となって、ドラゴン目掛けて撃ち込むと竜の翼が瞬く間に氷に浸食されていく。
「んふふーぅ♪ その力ごと、ドラゴンを喰らいたいですねーぇ」
 それはまるで狂気にも似た感情。エインはただ己の快楽を満たす為だけに力を振るう。掌から竜の幻影を創造し、放射された紅蓮の炎がドラゴンを飲み込んでいく。
 ドラゴンがもがき苦しむ様を、エインは愉悦に浸りながら見つめるのだった。
 例え竜といえども、ただの獣として倒されるのでは余りに不憫だと時枝は考えていた。持てる技の粋を披露して、全身全霊を賭して仕留めてこそ亡き剣士への手向けとなるだろう。
「――仁機風塵流・畜生剣【捨射矢】、六道連ね。未熟の段、偏に御免にて」
 時枝がレプリカントの身体能力や知覚能力を全開放して挑む大技を炸裂させる。
 拳銃に詰めた六発の弾が紫電を帯びて、間合いを詰めて零距離から高速の六連撃を射出する。銃弾は的確に急所を射抜き、体内に電流を流し込んで麻痺させる。
 動きの鈍ったドラゴンは体勢が崩れて、思わず手と膝を地面に突いてしまう。
 起き上がろうとするドラゴンに止めを刺そうと、フクロウが無骨な剣を抜いて身構える。
「見栄えは奇抜だが、なまくらと思ってくれるなよ」
 手にした剣は、一風変わった刻刻した鋸刃だ。これ以上は貴様に『剣』を奪わせない――刃に燃え盛る炎を纏わせて、揺るがぬ矜持で迷いなく剣を振り下ろす。 
 刹那――ドサリ、と重い音が響き渡る。音と共に地に墜ちたのは、ドラゴンの首だった。
 切り離された首と胴体は、炎に包まれやがて灰燼と化して燃え尽きていく。
 ドラゴンが完全に消滅するのを見届けた後、フクロウは全員の無事を確認すると、安堵の溜め息を漏らしながらポツリと呟いた。
「――本当の『剣』とは、共に戦った仲間達だ」
 吹き抜ける一陣の風が、ケルベロス達を癒すかのように柔らかく包み込む。
 ドラゴンとの死闘を乗り越えて、地獄の番犬達は見事に勝利を収めたのだった――。

作者:朱乃天 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月9日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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