偽巨乳でもいいんやで

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「偽巨乳でもいいんやで」
 ビルシャナが町外れの寺に女性信者達を集め、まるで菩薩の如く優しげな表情を浮かべ、自らの教義を語り始めた。
 彼女にとって、偽巨乳は正義ッ!
 例え、それで相手を騙す事になったとしても、悪いのは相手であって、自分ではない。
 むしろ、誤魔化し通す事こそ正義であると、女性信者達に対して訴えた。
 所詮この世は、騙し合い。
 ならば、騙す通す事で、それを真実に変えるべきだと、ビルシャナが声高らかに叫んでいた。
 故に、バレるな。
 絶対に、バレるな。
 バレなければ偽巨乳も、本物になる。
 そう叫びながら、自らの正当性を訴えた。

●セリカからの依頼
「若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが拠点にしているのは、町外れにある寺。
 そこに女性信者達を集め、偽巨乳こそ至高であると訴えているようだ。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカが険しい表情を浮かべ、困った様子で溜息をもらす。
 女性信者達は洗脳によって、偽巨乳こそ至高であると思い込まされているため、みんな揃って爆乳仕様。
 あまりにも胸が大きすぎるため、生活にも支障が出ているようだ。
「ちなみに信者達は色々と手遅れなので、このまま説得せずに、手加減攻撃で意識を奪っても構いません。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくおねがいします」
 そう言って、セリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)

■リプレイ

●都内某所
「おかしな仏像が沢山あるのー♪」
 盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)は仲間達と共に、ビルシャナが拠点にしている寺にやってきた。
 ビルシャナが拠点にしている寺は、しばらく前から廃墟と化しているものの、女性信者達によって不自然なほど胸の大きな仏像が運び込まれていた。
 そのせいで、何やら近寄り難い雰囲気が壁の如く立ちはだかっているものの、今更帰る訳には行かないというのが現実であった。
「なんか一年くらい前にも似たような鶏を倒したような……そういえば、あの鶏もメスだったような」
 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)が何処か遠くを見つめ、過去の記憶を辿っていった。
 もしかすると、あの時の女性信者が、ビルシャナと化してしまったのかも知れない。
 もちろん、それは憶測でしかないものの、そう思えてしまう程、類似点があった。
「一見すると、ビルシャナも心が広いように聞こえるですが……きっと違うのでしょうね」
 そんな中、機理原・真理(フォートレスガール・e08508)が、事前に配られた資料に目を通した。
 ビルシャナは偽巨乳こそ至高であると訴え、バレなければホンモノと同じ扱いになるらしい。
 そのため、女性信者達は偽物の胸を、本物であると思い込んでいるようだ。
「とにかく……平常心を保ちましょう」
 イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)が、小さくコホンと咳をした。
 この時点で嫌な予感しかしないものの、相手がビルシャナであれば何とかなる……はず!
 何とかならなかったとしても、ビルシャナ相手であれば……という考えが脳裏に過った。
 そして、ケルベロス達は警戒した様子で、廃墟と化した寺に足を踏み入れた。

●廃墟と化した寺
「ええか、偽巨乳でもいいんやで。何も恥じる事はない。堂々と胸を張ればいいんや。偽巨乳は悪やない! むしろ、正義や! 人によっては、偽巨乳は詐欺や、という輩もおるが、バレなければ問題ない! 嘘を貫き通せば、偽巨乳も、ホンモノになるんやから!」
 寺の中ではビルシャナが女性信者達を前にして、自らの教義を語っていた。
 女性信者達はビルシャナに対して、尊敬の眼差しを向けており、瞳をキラキラさせていた。
「……と言うか、ビルシャナと一緒にいるせいで、偽巨乳が全く隠せずバレてますよ? あなた達自ら偽巨乳と喧伝するのですか? 教義が広まれば知らぬ者がいない世になる」
 そんな中、イッパイアッテナが、女性信者達に対して、教義の問題点を指摘した。
「……!」
 その途端、女性信者達がハッとした表情を浮かべ、恥ずかしそうに胸元を隠した。
「まあ、確かに……。でも、いいんやで。アンタは口が堅い。ワタシの目に狂いはない。万が一、誰かに喋るような事があれば、その時は、その時や。この世から滅してしまえば、すべて解決! それで、いいんや。いいんや、で!」
 それでも、ビルシャナは怯む事なく、無駄に爽やかな笑顔を浮かべ、傍にいた女性信者達を抱き寄せた。
 その笑顔によって、女性信者達もホッとしたのか、安堵の溜息を漏らした。
「私も大きい方じゃないですし、小さいと何となく自信がない気持ちは分かるのです。でも、だからって騙すのはダメなのですよ。バレないって言うですが、彼氏さんとか出来たら絶対バレるのです。……ばれた時にショックを受けられたら、そっちのほうが自分のダメージも大きいのですよ。そこまで胸に自信が無いのなら、それ以外で勝負すれば良いのです……!」
 真理が何やら察した様子で、女性信者達に語り掛けた。
 実際に、女性信者達は胸の大きさを除いて、魅力的な者ばかり。
 そういった意味でも、胸に執着する必要はなく、それ以外の部分でカバーする事が出来るように見えた。
 だが、女性信者達は自分の魅力を全く活かそうとしておらず、胸にだけ執着しているような感じであった。
「でも、結局は胸よ、胸ッ! 少なくとも、アタシの彼氏は、そうだった!」
 スレンダーボディの女性信者が、悲しげな表情を浮かべ、薄っすらと瞳を潤ませた。
 それに釣られるようにして、まわりにいた女性信者達も同じように瞳を潤ませ、その涙を隠すようにして顔を背けた。
「同じペタン子として、盛りたい気持ちはわからなくはないですけど、男性はそれを絶対認めてくれませんよ。バレれば、罵詈雑言を浴びせられて、さよならです。確かに、ぺたん子でもいろいろ言われますけど、騙してないだけ、軽いものですし、もしかしたら、そっちの方がいい人もいるかもしれませんよ」
 それでも、めぐみが考えを改める事なく、女性信者達に意見を述べた。
「だからこそ、相手を騙し続けるんや! 絶対に認めてくれないのであれば、騙し通すだけ。絶対にバレるというなら、どんな事があっても、誤魔化し通せばいいんやから……」
 ビルシャナが無駄に澄んだ目で、自分達の正当性を訴えた。
 この時点で、何の解決にもなっていないのだが、まわりにいた女性信者達はウットリ。
 『さすがビルシャナ様!』と言わんばかりに、瞳をランラン、キラキラである。
 おそらく、これもビルシャナによって、洗脳されているせい。
 そうでなければ、こんな言い訳めいた反論で、女性信者達が納得するとは思えなかった。
「だから、偽巨乳でもいいんやで」
 そんな空気を察したビルシャナが菩薩のような笑みを浮かべ、女性信者達に対して、偽巨乳ビームを浴びせた。
 それは慈愛に満ちたホンワカビーム。
 その光を浴びた女性信者達の胸が膨らみ、幸せな気持ちに包み込んだ。
「……!」
 間一髪でイッパイアッテナが女性信者を庇ったものの、鬱陶しそうに手を払われ、自分から偽巨乳ビームを浴びに行った。
「あ、あれは……人々を洗脳する危険なビーム!?」
 それを目の当たりにしたイッパイアッテナが、激しい怒りに支配されそうになった。
 それでも、必死に平常心を保とうとしているものの、女性信者達の胸は、幻か、何かの類……。
 そう思い込まされているだけであって、実際に胸が大きくなった訳ではない。
 しかも、女性信者達はビルシャナを心の底から慕っており、彼女の命令であれば何でも従いそうな勢いで、身も心も委ねていた。
「そんな事をしても、無駄です。世の中には、真のバストサイズを見破る鶏もいましたし、胸フェチさんの一部も、偽りの胸を見破ってきますからね」
 めぐみが不安を煽るようにして、女性信者達の顔色を窺った。
「そんなの嘘よ、ハッタリよ!」
 ショートカットの女性信者が、激しく動揺した様子で、めぐみをジロリと睨みつけた。
 本当は不安な気持ちでいっぱいのようだが、それを誤魔化すようにして強気な態度に取っていた。
「偽物でも大きい方が良いかもだけどー、ふわりはちっちゃいおっぱいも可愛いと思うのー! それにね、大きいほうが良いなって人はー……どうせなら偽物じゃなくて、本物の大きいおっぱいにしちゃえば良いの! 大きくするにはマッサージなのー! ふわりね、気持ち良くておっぱいも大きくなるマッサージ、知ってるの♪」
 すぐさま、ふわりが傍にいた信者の背後に回り込み、胸をマッサージし始めた。
「こ、こら、やめ!」
 それに驚いた女性信者が、ふわりの手を振り払おうとした。
 しかし、ふわりはテクニシャン!
 抵抗すればするほど、深い沼に沈んでいくような感覚に襲われ、女性信者が呆気なく……堕ちた!
「う、嘘っ!? 嘘でしょ!?」
 それに動揺したビルシャナが、信じられない様子で、目を丸くさせるのであった。

●荒ぶるビルシャナ
「みんなにも、おっぱいマッサージしてあげるの! 全部の信者さんを気持ち良くしてあげるのー♪」
 その間に、ふわりが女性信者達の背後に回り、問答無用で胸をマッサージし始めた。
 そのため、女性信者達は、腰砕け。
 次々と甘い声を響かせ、膝から落ちた。
 みんな、頭の中が真っ白になっており、ふわりの虜になっていた。
「こんな短時間で、嘘やろ!?」
 ビルシャナが唖然とした表情を浮かべ、女性信者達を見下ろした。
 女性信者達は完全にメロメロ。
 『もっと、揉んで……』と言わんばかりに、ウットリとしていた。
「なら、こっちも手加減なしや!」
 ビルシャナが半ばヤケになりつつ、偽巨乳光線をぶっ放した。
 それはヘビの如く、めぐみの体に纏わりつき、ドカンと胸が膨らんだ。
 だが、その胸は偽り……。
 確かに重量感があるものの、胸と言うより、シリコンの塊のような感じであった。
「確かに……ちょっと大きくなったのです。……ダメなのは分かってるですけど、やっぱりこれ位ある人は羨ましいのですね」
 その巻き添えを喰らった真理も、興味津々な様子で胸を持ち上げた。
 何やら偽乳感が満載ではあるものの、これはこれで悪くない。
 むしろ、ヤミツキになりそうな勢いで、胸を持ち上げ、谷間を作り、恥ずかしくなって赤面した。
「……こ、こんな事で喜ぶと思いましたか」
 そんな中、めぐみが激しく肩を震わせ、恨めしそうにビルシャナを睨みつけた。
 それと同時に、パッドが潰れて罵詈雑言を浴びた記憶が蘇ってきた。
 途端に芽生えたのは、激しい殺意。
「ど、どうして! ワタシはイイコトをしてあげているのに……。信じられない!」
 ビルシャナが両目をカッと見開き、ワナワナと体を震わせた。
「これが……イイコト!?」
 次の瞬間、イッパイアッテナが間合いを詰め、SynergyAttack(シナジーアタック)を仕掛け、相箱のザラキ(ミミック)の中に備えた武装や様々な武装を模したエクトプラズムを互いの持つ武装と交換し合いながら攻撃を繰り出し、同時にブラックスライムと攻性植物がビルシャナを取り囲んで拘束せんと動き、その間にファミリアが縦横無尽に駆け、変幻自在に変身を繰り返し、ヒールドローンが壁や翻弄を担い飛び交った。
「偽らないで、私は私のままでいきたいのです」
 それに合わせて、真理がライドキャリバーのプライド・ワンと連携を取りつつ、ビルシャナにフォートレスキャノンを撃ち込んだ。
「生まれてきた事を後悔させてあげます」
 続いて、めぐみが殺意のオーラ全開で、ビルシャナに攻撃を繰り出した。
「信者さん達を困らせる悪いビルシャナさんは、お仕置きなのー!」
 その間に、ふわりが腕を大型砲台に変形させ、混沌の砲弾をビルシャナに撃ち込んだ。
「……って、少しはワタシにも反げ……いやああああああああああああ」
 その一撃を喰らったビルシャナが断末魔を響かせ、肉の塊と化して崩れ落ちた。
「わ、私達は一体……」
 その途端、女性信者達が我に返り、不安げな表情を浮かべて、辺りをキョロキョロと見回した。
「きっと、悪い夢を見ていたんですよ」
 そう言ってイッパイアッテナが、女性信者達を励ました。
 その言葉を聞いた女性信者達が洗脳されていた時の事を思い出し、青ざめた表情を浮かべて、自分の胸をペタペタと触り始めた。
「それなら、マッサージをしてあげるなのー!」
 そんな空気を察したふわりが、女性信者達を引き連れ、奥の部屋に入っていった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年10月12日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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