城ヶ島制圧戦~白雷の竜

作者:志羽

●城ヶ島制圧作戦
 城ヶ島の強行調査によりあるものの存在が判明したと夜浪・イチ(サキュバスのヘリオライダー・en0047)は集まったケルベロス達に告げた。
 それは『固定化された魔空回廊』だ。
「固定化された魔空回廊に侵入して、内部を突破することができれば、ドラゴン達が使う『ゲート』の位置を特定できると思うんだ」
 それを特定できれば、その地域の調査を行った上で、ケルベロス・ウォーにより『ゲート』の破壊を試みることもできる。
 そして『ゲート』を破壊する事ができれば、ドラゴン勢力は新たな地球侵略を行う事ができなくなる。
「つまり、城ヶ島を制圧して、固定された魔空回廊を破壊する事ができれば、ドラゴン勢力の急所を押える事ができるってわけ」
 そしてイチは強行調査の結果、ドラゴン達は固定された魔空回廊の破壊は最後の手段であると考えているようなので、電撃戦で城ヶ島を制圧し魔空回廊を奪取する事は決して不可能ではないと続けた。
「ドラゴン勢力にこれ以上好き勝手させない為にも、ケルベロスさんたちの力を貸してもらいたいんだ」
 そう言って、作戦についての話を続けた。

●戦う相手
「今回の作戦は。仲間の気付いてくれた橋頭堡から、ドラゴンの巣窟の城ヶ島公園に向けて進むってこと」
 進軍の経路などはすべて、ヘリオライダーの予知によって割り出しているのでその通りに移動してほしいとイチは続けた。
「で、固定化された魔空回廊を―するには、ドラゴンの戦力を大きく削ぐ必要があるわけで。ケルベロスさんたちにはドラゴンの相手をしてほしいんだ」
 ドラゴン相手となれば、それは厳しい戦いになること必至。けれど、必ず勝つと思っているからこそお願いするのだとイチは言って、相手となるドラゴンについて伝え始めた。
「ケルベロスさんたちに相手してもらう一体は、雷系のドラゴン」
 雷電纏う長い一本角を持つ白い身体のドラゴンだ。薄い金色の瞳を持ち、その身体は細身。翼には破れたれたような痕もあることからいくつも戦い重ねてきたのだと思われる。角は薄い橙のような色味で手足の爪は金色に輝き、その口より雷の吐息を吐き相手を痺れさせる。白く長い尾をもって敵を払い、一本角、もしくは爪を硬化させ攻撃をしてくるようだ。
「このドラゴン、性格的には確実に相手を仕留めたい、挑発には乗ってこないタイプ」
 ゆえに、弱い所、戦いの要となる所を見つければそこからついてくる可能性も高い。気を付けて、とイチは紡いだ。
「強行調査で得た情報を無駄にしないためにも、作戦は成功させたいんだ」
 そう言って、それにとイチは言葉続ける。
「敗北すれば魔空回廊の奪取作戦を断念しなきゃならない場合もでてくるから、ケルベロスさんたちがドラゴンたちをどれだけ倒せるかにもかかってるんだ」
 この先をケルベロスさん達に託すしかできないことはちょっと歯がゆいなぁとイチは零して、よろしくお願いしますと頭を下げた。


参加者
絶花・頼犬(心殺し・e00301)
藤守・つかさ(闇視者・e00546)
疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)
トエル・レッドシャトー(茨の器・e01524)
神宮時・あお(夢想ノ華・e04014)
ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)
ユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)
茶野・市松(ワズライ・e12278)

■リプレイ

●竜が雷
 互いが互いを認識した、それが始まり。
 ばちりと竜の口元で雷撃が爆ぜる。首をもち上げた竜はその吐息をまき散らした。
 深い吐息に爆ぜる雷撃。
 初撃への反応は間に合わず前列の全員が受けた。しかし深く突き刺さる、一撃で致命傷という威力ではなく十分に耐えうることができる物だと知る。
「雷電纏う竜、ね……さて、俺の黒雷とどっちが最後まで立ってるか」
 踊ろうじゃないか、と藤守・つかさ(闇視者・e00546)は自らの内にある物を集中する。
「我が手に来たれ、黒き雷光」
 すべて黒。そんなつかさの手に表れるグラビティを変じたものの色もやはり黒。黒い雷と成り、その手にある武器介して放たれる。
 竜へ迷いなくうち放たれたそれは竜の喉元貫き痺れを残す。
 最初の一撃としては上等とつかさは次の手のために備える。
(「ドラゴンだろうと何だろうと敵なら、私は戦うだけ……」)
 トエル・レッドシャトー(茨の器・e01524)は縛霊手を以て構える。踏み込んで、竜に向ける横からの衝撃。そして、殴った瞬間その爪先からは網状の霊力が放たれ竜の身を絡み捕らえる。
「初手からそれかよ!」
 早めの処置が後々の命運を左右すると、ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)は知っている。だからこそこの竜はここで倒すべき相手だと思えた。
「なんでこーゆー賢くて強そうな奴は今ここできっちり切除しておかねーとなァ!」
 ククロイのその身に宿る攻性植物が姿を変える。それは黄金の果実を実らせる収穫形態。その実より光が溢れる。
「治すのが俺のお仕事ッ!」
 その光は、先ほど吐息を受けた前列へ。癒しの光が少しずつ傷を塞ぎ、加護を与えた。
「……ドラゴン……」
 神宮時・あお(夢想ノ華・e04014)は自身を一飲みにできそうなほどの竜を見つめる。
(「こんなに、早く、戦う、事に、なる、とは、思って、ませんでした……」)
 けれど、出来る限りの事を全力で、やるだけ。
 その一歩目は足元に煌めきと重力を宿し、飛び蹴る事。竜の鼻先蹴りつければ竜の首が逸れた。
 改めて見上げた姿に絶花・頼犬(心殺し・e00301)はうわぁと声零す。
「勝てるかな……じゃなくて、勝たなくちゃ、だね」
 物語に現れるのは、大きくて優しい。けれど目の前にいるのはそういうものでない。
(「仲間になって、はくれないよね」)
 それは少し、残念なのだが向かい合うのなら、力交えるしかない。
 受けた雷撃の痺れは自分にはない。
 一歩踏み込む様は何の準備も無いようで、けれど素早くその手は獲物に伸び抜き放つ。その一撃が竜の爪と響き、手応えはあったが微々たるものと感じて頼犬はその強さを知る。
 全員で立って帰ろう――誰も倒れさせないといつもよりほんの少し、表情引き締まり思いも高まる
 そこへ聞こえない歌声が響く。
「めくるめく 世界は廻る 永久に♪」
 ユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)の紡ぐそれが竜の方向感覚を狂わせる。
 それはかつて時空を司る天使が聖域の護りとして施した秘術の再現。
(「みなさんと一緒なら……きっと大丈夫です」)
 歌い手たるユイのその声に凍星の竜の息吹が込められた透き通る刃の剣が共鳴する。
 ユイは導く、永久の牢獄――迷いの森へ。ユイは今、敵に負荷をかけるに長けている。
 だからこそ一層、響きは深く竜へ食い込んでその足を重くさせてゆくのだ。
 威嚇するように身を伏せ、首は高く。神々しさすら感じる姿に疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)は自らの身体が震えている事に気付いて、笑う。けれど、それは慄きでもなんでもないのだ。
「……ん、怖くはねぇ。例えどうなっても其れが運命だ」
 ただ、心が奮え立っている、それだけの事と知っている。
「さぁて、全身全霊吉兆賭けて……力比べといこうか!」
 その言葉と共に縛霊手の祭壇からはらはらと紙が舞い踊る。その行先は後列の者達へ。戦いの助けとなる守護。
 続けて茶野・市松(ワズライ・e12278)のウィングキャット、つゆが羽ばたく。清浄の翼は前列の者へ耐えうる力を。その羽ばたきで揺れる尾にさがる鈴がからんと音立てる。
「雷の竜かい、腕がなるってもんだ」
 その音が市松の逸る気持ちを抑えるような感覚。つゆの方が今落ち着いて、まだ猪突猛進な市松のストッパーなのだ。
「無理は禁物だろ? 分かってるって。さて、行こうじゃねえの」
 市松はちらりとつゆに視線向け、ケルベロスチェインを振るう。地を這い展開し、守護する魔法陣描けば、守りの力が強くなる。
 今は一人で戦っているわけではない。
 攻撃をものともせず、竜は再び口を開く。竜自身、攻撃を受けその動きの精彩さは少し欠けている。それでもまだ威力があることは事実。
 吐息を向けた方向は後方だ。その吐息を届かせはしないとあおとククロイ、そしてつゆの前へ頼犬と市松が立った。だがその庇う意思があってもすべての攻撃を庇いきることはできない。運よく、ククロイに届くのを市松が防ぐことができた。
 爆ぜる雷の吐息は守りに長けていたから軽いものですんだ。だがすべては守りきれなかった。
 雷の息吹を抜けてあおは走る。その肌の色が一部焼けて変わっているが、それに目も止めず。
 まだ戦いは始まったばかり、まずはこの力落とすため幻影の竜を向けた。

●尾の先
 薄色の金の瞳は8人をよく視ている。再び開かれる口、その吐息が向くのは再び後方。
 竜の吐息は後列の皆を狙ったかのように吐き出された。ククロイとつゆ、あおを巻き込む雷の吐息。
 その吐息を深く受けたのはつゆだ。竜の吐息を正面から受け、その身は消えていく。
「つゆ、ありがとうよ」
 市松は紡いで、まっすぐ青の瞳を竜に向けていた。
 同じくその吐息うけたククロイは声あげた。
「やっぱ来やがったかよ!」
 そしてククロイは後列へ回復すると声かけてそれを行った。
「コード『オラトリオ』ォッ!!」
 特殊なプログラムを身の内で機動する。一時的にオラトリオのデータと同質化したククロイのグラビティ。小型治療無人機の群れをククロイは操り負傷した己、そしてあおのもとへ。ドローン達はオーロラのような光を放って、治癒力を高めながら治療していく。
「ドラゴンと戦う勇者の気持ちがよく分かんぜ、チクショウ!」
 けどまだ、十分戦えるとククロイは
 吐息で受けた身に痺れはあった。けれどヒコからの守護が攻撃に移ろうとした瞬間それを払った。
 動ける、とあおは掌を竜へと向ける。その掌より現れる竜の幻影。
 白き竜に向かい、炎を撒く。燃え上がる焔がその白い身の上にくすぶり続けるが、竜にそれを払う術はない。
 敵の意識は後列へと向いている今、トエルは敵の体力を削ぐのが役目だ。
「鍵はここに。時の円環を砕いて、厄災よ……集え」
 紡ぐ言葉は細い。だがその言葉紡いで変化が起こる。トエルは自らの髪を媒介に、時間法則を捻じ曲げる茨を召喚した。
 茨絡むその手で攻撃すれば、一層深く受けていた毒が竜の身に根付くのをトエルは感じた。
 竜の攻撃の威力はまだ高いがじわじわと落ちてきている。
 丁度良いのがあるとヒコは笑って足元の石を素早く蹴り放った。それはもうただの石ではなく、弾丸と同義。
 竜は石に身を穿たれ、ヒコの方へと薄色の金を向けた。
「……なぁ、お前の眼にこの状況はどう映る?」
 その瞳と対峙して、ヒコは問う。
「竜は神話の中にでも眠ってな。お前にゃ、その方がお似合いだ」
 その答えが竜よりないのはわかっている。
 ここで倒すと、ヒコは改めて強く思うのだ。
 竜は自分たちより、強い。けれど決して戦えぬ相手ではないとユイは今感じていた。回復の要、ククロイは十分動ける。それなら今は、攻撃の機。
 構えて、放つ時空凍結弾。ユイの放った弾はわずかでも避けられる可能性があった。しかし、竜は動けない。惑わされ動けぬところを貫く弾。貫いたその場所から氷結が竜の身をびきびきと凍らせてゆく。
 前列の仲間が戦いやすいように市松は守りを一層重ねるべくケルベロスチェインを振るう。
 竜がこちらを視ているのがわかる。考え、どう攻撃してくるか。その対策は怠らないようにと回復を続ける。だが仲間を庇い、自身のダメージもまだ募っているのは事実。
 頼犬も今は回復に回る。幻影をククロイの為に生み出す。多重に重なる姿に竜は惑わされるのだ。
 受けた傷の痛みを感じ、頼犬の眉が僅かに寄っていた。自分の限界の見極め、頼犬は次にうけるダメージにもよるかと己と向き合う。
「回復、いるか?」
 そこへヒコが投げる声。頼犬はいいやと首ふった。
「まだ一撃くらいは大丈夫」
 けどそうなれば後ろに下がった方がいい。その言葉に分かったとヒコは返し、ユイと頷きあう。状況は徐々に動いているからだ。
 そこへごう、と風切る――風薙ぐ轟音。振り払われた白き尾が前列の者達を圧倒する。
 流れる尾の一撃、咄嗟に自分がかわすのは間に合わないとつかさは判断する。けれどトエルはと腕ひいてその射程から押し出した
 一撃で倒れる強さではないが確実にダメージは積んでいた。
 頼犬と市松が下がり、ヒコとユイが前へ。その変更に時間は要するが、倒れて戦いを続けられなくなるのを避けるためだ。
 つかさ自身も、その身に巻きつく攻性植物に黄金の果実を宿らせ、聖なる光で皆を癒す。
「悪いな? 倒れるつもりもないし、誰一人倒れさせるつもりもない……」
 俺の矜持を侮って貰っちゃ困る――つかさはそう言って漆黒の瞳で竜を見やる。 そこへククロイが緊急手術を向ける。
「ウィッチドクターなめんなよ!」
 魔術切開とショック打撃を伴う強引な回復。けれど、その負傷は大幅に回復する。
 つかさはまだここで戦えると再び踏み込んだ。

●角先
 戦いは長引く。それぞれの立ち位置をこの戦いを持たせる為に変えていた。
 最初に竜はククロイへ狙いを定めた。だが誰かが庇いに動き、仲間を癒す。立たせ続ける術はそれぞれが持っていると気付いたのだ。
 ひとりに集中している間に自らは傷を負う。そしてなかなか倒せない。それなら、己に最も痛手を与えるものと考えたのだろう。
 その角は攻撃に比重を置くトエルへと向けられた。
 しかしその攻撃を通させないとつかさが受け止める。竜の挙動に注意していたからこそ、その攻撃を防ぐことができたがそれは重い一撃。
 だが、竜も着実に弱っているのがわかる。
 つかさは痛みを堪え、攻撃を仕掛ける。空の霊力を帯びた一撃で、的確にその傷を切り開いた。
 苦しい局面ではあったが、あと少し。あと少しと思う気持ちがある。それが少しずつ見て、とれるからだ。
 ククロイの手は攻撃に回るほどの余裕はない。前列の皆へとずっと、癒しの術を向け続けている。
 前へと出たユイもその回復の手伝いを。自らのオーラを溜めて、そして仲間の癒しとする。
 二人分。向けられる癒しにつかさの傷は癒えてゆく。
「……弱って、きてる」
 竜の息が今まで以上に上がっている。動きも今までより衰えていた。それは重ねてきた、竜の力落とす攻撃の成果だ。金色の瞳向けて、ふわりと紡ぐのは古代唄魔法の一種。
「……後には、何も残らない、美しくも、悲しい、破滅の、詩」
 声に乗る『破壊』の魔力。その唄声は細く、けれども確かに竜へと届いていた。竜の内に響くその唄声は残響となり重ねて響き渡った。
 竜の意識は、その唄声に向いている。気づかれぬ間に、死角からトエルは仕掛けた。まっすぐ、その姿を見つめ電光石火の蹴りを浴びせればそのダメージは深かったのだろう。
 血反吐吐いて、竜は呻いた。
 どの技であっても狙手たる今、確実にあたる。けれどその中で最も、効く技を一瞬で判断する。それは頼犬のみが唯一持つグラビティ。
 距離詰めるのは一瞬だった。抜き放った刃が頭下げたままの竜、その角を一線。
 亀裂が入る、その一撃の痛みにか竜は地を這う声を呪いのように吐いた。
 ヒコはとんと地を蹴って紡ぐ。
「東風ふかば にほひをこせよ 梅の花――……忘れるな、この一撃」
 双翼で起こす辻風、その風に舞う梅花とどこか懐かしい甘い香り。風に乗って飛び蹴るは一撃で終わらない。一撃蹴り抜いて、反動と風以て再び跳び上がり二撃三撃と続く。
 竜はすでに明確に誰か狙う余裕無くその角を間近にいた者へ向けた。
 けれどユイが代わりに受け止めた。攻撃する力も落ち、守り手の力の恩恵を受けているユイにとってこの一撃は重いものではなかった。それは気を振り絞った、竜の最後の一撃になる。
「白雷の竜……あなたに恨みはないですけど、ここで朽ちてください」
 今ですとユイは竜に向かう仲間の姿を瞳の中に捕える。
 走る摩擦で炎伴うその足。踏み込んで蹴り上げる一撃を、市松は竜のその角へと見舞った。
 蹴りと角が交錯する瞬間炎が爆ぜ、角はばきりと音たてて――折れた。

●終局
 一撃をその身に受けて、竜は低く呻く声をあげた。
 巨体は、白く長い首は地に伏した。
「つゆ、やったぜ」
 最後の一撃を与えた市松は、先に倒れた相棒を思い浮かべる。あとで呼んでこの勝利を伝えようと。
 その肩にぽんと手をおいてヒコがお疲れと言う。市松はおうと笑って返した。
「しかし倒れるときも、派手なもんだな」
 巨体は周囲の者を薙ぐように倒れ込んだ。ヒコはその様にやれやれと息を付いた。
 その表情はいつもより少しだけ、安堵が滲み柔らかなものだ。
 は、と息を吐く。頼犬はふと、両の掌を見つめる。その手には竜と戦った感覚がまだあった。
「……守る戦いっていうのが性に合ってるのかな」
 ぎゅ、と握りこむ。零した言葉は自分の内側を確認するような、そんな言葉だった。
 トエルとつかさは名を呼ぶ。
 竜からの攻撃を庇いはしたがそれでも無傷ではない。向けられた角の一撃をもしトエルが受けていたなら、おそらく立ってはいられなかっただろう。
 大丈夫かと問えば、頷き一つ。
 トエルはまだ終わってないかもしれないと紡ぐ。
「回廊を抜けた先に戦場があるなら」
 いかなきゃ、とトエルは言う。けれどダメージは相応に受けて継続の戦闘は
「ああ……」
 怪我と言われあおは自分の身を確認した。すると腕に焼けた痕を見つけ、雷の吐息で焼かれたのだろうと淡々と見つめる。
 その様子にククロイは見せてみなと、にっと笑顔向けた。
「皆も、まだ戦い続くかもしれないからできるだけ癒すッ!」
 ククロイの操る小型治療無人機。それは竜との戦いの中でも皆を支える要であった。それがオーロラのような光を放ち、治療してゆく。
 焼けた跡が消える様を目に、あおは淡々とありがとうと紡ぎ、同じく光受けたユイは歌うように礼を紡いだ。
 戦い終わって響く声は軽やか。
 だがまだ終わってはいないと、誰もが思っている。
 眼前の敵は倒したが本命の戦いがどうなっているのかは、まだわからないのだから。

作者:志羽 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月9日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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